2012年05月04日

ヘヴンズストーリー

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2010年 日本
監督: 瀬々敬久
出演: 寉岡萌希/長谷川朝晴/忍成修吾/村上淳/菜葉菜

<STORY>********************************************************************************************************
8歳の少女のサトは、友だちと海水浴中に両親と姉を殺害さる。
ひとり残されたサトは、ひとり暮らしの祖父ソウイチに引き取られることになる。
ひとり息子を育てている警官のカイジマは、他人には言えない副業をしている。
春、まだ雪が残る東北の鉱山跡で“仕事”をこなしていた。
バンドでギターを弾いているタエは、父の暴力のせいで片耳が聞こえない。
ある雨の日、鍵屋のトモキと知り合う。
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• 第1章・夏空とオシッコ
• 第2章・桜と雪だるま
• 第3章・雨粒とRock
• 第4章・船とチャリとセミのぬけ殻
• 第5章・おち葉と人形
• 第6章・クリスマス☆プレゼント
• 第7章・空にいちばん近い町1 復讐
• 第8章・空にいちばん近い町2 復讐の復讐は何?
• 第9章・ヘヴンズ ストーリー

物語は9つのタイトルが冠された章から出来あがっており、登場人物は共通である。
全体で4時間38分という長さは、今まで観た映画で最長だ。
人気のある映画なら、前編・後編などとして分けて上映するという事が可能になるのだろうが、こういう映画では不可能だろう。
苦肉の策とは言え、映画館に観に行った人たちは大変だったであろう。

両親と姉を殺されて一人ぼっちになってしまった8歳のサト。
祖父に引き取られて住み慣れた街を去る事になる。
犯人が自殺したというニュースに釘付けとなり、それに続いたニュースに惹きつけられる。
未成年者に妻と幼い子供を殺され、犯人に無期懲役の刑が宣告されたというニュースだ。
記者会見している被害者の夫トモキは、犯人はこの手で殺すと宣言していた。
実際の山口県の事件をモチーフにしているのだろう。

強盗を射殺した過去を持つ警官海島は、副業で殺人代行をしている。
一人息子ハルキを男手一つで育てながらの毎日。
トモキは仕事で難聴のギタリスト・タエと知り合う。
5歳の頃、酔った父の暴力で難聴となったタエは、自らの不遇もありやり場のない怒りを秘めた生活を送っていた。

海島に父を殺されたカナは、継母と暮らしながら、すっかり自暴自棄で優しさのかけらもない大人に成長し、未婚の母になろうとしている。
トモキの妻と子供を殺したミツオは、出所して支援者でもある若年性アルツハイマーに侵されている恭子とともに暮らしている。
タエと再婚したトモキの前に表れたサトは、ミツオへの復讐を忘れたのかと詰め寄る。

そうした登場人物たちの行動を9つの章に分けて追いかけていく。
突然犯罪被害者となったサトとトモキ。
職務とは言え、突然人を殺してしまった海島と、何の意図もなく突然衝動的に殺人を犯してしまったミツオ。
そして彼らを取り巻く人々。

タイトルから引っ張られるのだろうか、人間たちの所業を高いところから淡々と眺めているような感覚になる。
第8章で、トモキがまぶしい青空を眺めながら、生まれてからの人生を振り返るシーン。
走馬燈のようにという表現がぴったり当てはまるシーンが、個人的には印象に残った。
人生とは波間に漂う小舟なのかもしれない。
そんな印象を持った映画である。


評価:★★☆☆☆
      



    
posted by HH at 11:08 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年05月01日

東京島

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2010年 日本
監督: 篠崎誠
原作: 桐野夏生
出演: 木村多江/窪塚洋介/福士誠治/柄本佑/鄭龍進

<STORY>********************************************************************************************************
夫婦二人の船旅の途中、嵐に遭い無人島に漂着した清子。
そこにある日、16人の若いフリーターたちが流れ着く。
さらには密航に失敗した6人の中国人たちが加わり、若い男23人と清子の共同生活が始まる。
いつまで待っても助けの船は来ず、いつしか島を“東京島”と呼ぶようになる中、清子はただ一人の女性として特別視され、したたかに生き抜いていく。
月日は流れ、島に定住しようとする男たちに対し、清子は脱出のための行動を開始するが……。
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「無人島に取り残された男女」というシチュエーションでは、昔「流されて」という映画があった。
それは上流階級の婦人とその使用人という設定であったが、サバイバル環境で立場が逆転し、やがて男と女の関係に・・・というようなストーリーであった。
似たような設定とはいえ、こちらは女が一人に多数の男という設定。
何でも同様の実在の事件があったらしいが、こちらは桐野夏生原作の映画化作品である。

夫婦二人で世界一周の旅に出た清子と夫。
嵐に巻き込まれ、辿りついたのは場所もわからぬ無人島。
トランクいっぱいに詰め込まれた衣類の数々は、無人島では空しい品々。
そこに辿りついた若い男16人の集団。
どこかの島でのバイトに嫌気がさして、逃げ出してきたらしい。
さらに中国人の密航グループ6人がこれに加わる。

清子の夫は文明社会においてこそ力のある夫。
夫を指して、「私の持ってきたもので一番役に立たないモノ」という清子の表現が何とも言えない。
やがてその夫は崖から転落死。
そして清子は若者16人のリーダー格の男と“結婚”する。
威張り散らしていたその男もやがて同じ崖から転落死。
若者たちは清子の次の夫を決める事にする。

清子は若者たちよりも一回りくらい年上。
たぶん街中では若者たちに相手にもされないだろう。
しかし、無人島ではみんなが求める対象となる。
やがてそこに中国人も加わる。
一人の女を巡るバトルロイヤルである。

なぜか食べ物には困らないようで、サバイバルそのものには焦点が当たらない。
ただひたすら、女一人がテーマである。
状況設定について粗探しするのは適切ではない。
おかしな点は多々あるが、それはそれとして目を瞑るのが正しい鑑賞だろう。

女一人の“所有”を巡り、3人目の夫はくじ引きとなる。
女王のようにかしずかれる清子であるが、そんな清子に選択権はない。
ある意味公平と言えるのかもしれない。

逞しいのが中国人。
島にあるモノを巧みに利用して便利な生活を送り、やがて脱出用のいかだをも作ってしまう。
日本の若者たちはそれに比べると軟弱だ。
状況からして避妊などしているわけもなく、当然のことながら清子は妊娠するが、出産を前に清子は逞しい中国人たちの下での出産を選択する。
象徴的な感じがする扱いだ。

脱出するのか救助を待つのかという現実的な選択もあり、やがて転機が訪れる。
結末的にはいかがなものかという気はしたが、まあそこは映画の世界だ。
自分だったら、どんな行動を取るだろうか。
逆に男が一人だったら、どうなるのだろう。
現実感覚には乏しいが、そんな妄想を抱きながら観ても面白い映画かもしれない・・・


評価:★★☆☆☆



     
posted by HH at 22:59 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ

2012年04月29日

ディアドクター

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2009年 日本
監督: 西川美和
出演: 笑福亭鶴瓶/瑛太/余貴美子/井川遙/松重豊/香川照之/八千草薫

<STORY>********************************************************************************************************
山間の小さな村のただ一人の医師、伊野が失踪した。
村人たちに全幅の信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知るものは誰一人としていなかった。
やがて刑事が二人やってきて彼の身辺を洗い始める――。
失踪の2か月前、東京の医大を出たばかりの研修医・相馬が村にやってくる。
看護師の朱美と3人での診察の日々。
そんなある日、一人暮らしの未亡人、かづ子が倒れたとの一報が入る……。
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小さな村の診療所の医師が失踪したところから物語は始る。
そしてその医師がどんな医師であったのか、過去と現在を往復する形で物語は進行していく。

一人の研修医相馬がこの村にやってくる。
今風の若者で、真っ赤なスポーツカーは村でも異彩を放つ。
着いた診療所には、溢れかえる老人たち。
そしてまるで茶飲み話でもするかのように、患者たちと向き合う医師伊野。
失踪した原因は、観ている者には見当もつかない。

しかし観ていくうちに、伊野の独特のスタンスがわかっていく。
ただ病気を治すだけが医者ではない。
患者の望んでいる事、家族が望んでいる事を微妙に嗅ぎ分けていく。
一人の老人の臨終の床に伊野が呼ばれる。
患者の様子を伺う伊野。
しかし、周りの家族は誰ひとり口にはださなくとも、老人の死を望んでいる。
そんな現場が伊野の職場であり、やがてそんな “医療現場”に相馬も馴染んでいく。

やがて伊野には大きな秘密がある事がわかる。
まあ途中で大体何なのかわかってしまうのだが、そんな事は軽微な事。
そうした事実を通して、一体何が大事な事なのか、その本質を鋭くついてくる。
気がつくと、思わず引き込まれてしまっている。

主演は笑福亭鶴瓶。
これが実にいい味を出している。
「おとうと」でもそうだったが、本業は役者でも十分通用するのではないかと思う。

その他瑛太、余貴美子、香川照之、八千草薫とそれぞれが深い味わいのある演技。
じんわりと感動が湧きおこってくる。
予想外に良い映画に巡り合うと嬉しくなってしまう。
これはそんな映画だ。


評価:★★★☆☆
     


     
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posted by HH at 11:43 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年04月22日

キャタピラー

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2010年 日本
監督: 若松孝二
出演: 寺島しのぶ/大西信満/吉澤健

<STORY>********************************************************************************************************
一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。
シゲ子の夫・久蔵も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。
しかしシゲ子の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。
村中から奇異の眼を向けられながらも、久蔵は多くの勲章を胸に、“生ける軍神”と祀り上げられる・・・
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映画のストーリーを晒してしまうのは、あまり良い事ではないかもしれないが、観る価値がない映画は構わないだろうと思う。
そうではないと思う人は、以下は読まない方がいいだろう。

戦時中、出征していた夫久蔵が帰ってくる。
しかし、その姿は四肢を失い、顔の半分は焼けただれ、聴力も失っている。
「こんな姿で帰されたって・・・」と絶句する父の姿が、周りの人の偽らざる心境だ。
代わりに得られた勲章と武勲を讃える新聞記事。

妻シゲ子は、始めは動揺して錯乱するも、気を取り直して久蔵の世話をする。
そんな姿でも、久蔵は村で軍神ともてはやされ、シゲ子はその妻として一目置かれる。
ただ寝ているだけの久蔵。
衰えないのは食欲と性欲。

映画は久蔵を世話するシゲ子を描いていく。
食欲も性欲も強い久蔵は、一人では何も満たせないだけにシゲ子も大変。
R15に指定されているが、なるほどシゲ子が久蔵の上に乗って「世話」をするシーンは、とても子供には見せられない。

久蔵とシゲ子とのやり取りは、それなりに訴えかけるものがあると言えばある。
それだけであれば、少しは評価できた。
気に入らないのは回想シーン。
冒頭で、中国で女を追いかけて強姦する日本兵の姿が描かれる。
久蔵自身の行為なのだが、いかがなものかと思ってしまう。

もちろん日本兵がそんな事をしなかった、などというつもりはないが、ただでさえ誤解を招きやすい日本軍に対する評価だ。
あえてそれを刺激する必要もあるまい。
婦女暴行など現代のアメリカ兵だって沖縄で繰り返している。
不心得者などどこにでもいるし、むしろ日本軍は武士道を叩きこまれていて、当時のその他の先進国より規律は高かったと聞いている。
敢えて、「それ見た事か」と言われそうなフィクションをわざわざ描く必要などないだろう。

ひもじい時代、妻の分まで食べてしまう久蔵。
いも虫と妻に罵られるが、まさにそんなイメージだ。
徹底して軍人を下劣に描きたかったのだろうか。
作り手のゆがんだ反戦メッセージが伝わってくる。
寺島しのぶをはじめとして、俳優陣の熱演はあったのだが、それ以外のマイナスが多い映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
    
    
posted by HH at 22:22 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年04月09日

パーマネント野ばら

パーマネント野ばら.jpg

2010年 日本
監督: 吉田大八
原作: 西原理恵子
出演: 菅野美穂/小池栄子/池脇千鶴/江口洋介/宇崎竜童/夏木マリ

<STORY>********************************************************************************************************
なおこは夫と離婚し、娘の一人娘のももを連れて実家に戻った。
実家では母・まさ子が「パーマネント野ばら」という美容室を営んでおり、毎日近所の女性たちが詰めかけては男の思い出や恋の話に花を咲かせていた。
何度も再婚を繰り返したまさ子は最後の夫・カズオとは別居中。
カズオは別の女性と同居しており、なおこに取り成しを頼んできた。
そんななおこは、高校教師のカシマと、誰にも秘密でひっそりとした交際を続けていた…
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西原理恵子原作漫画の映画化作品。
一見ほのぼのとした人間ドラマだが、ぐさりと突き刺さるものがある映画である。

舞台は海辺の田舎町。
古びた看板を掲げる美容院。
店の名前は「パーマネント野ばら」。
この美容院を一人で切り盛りしている母まさ子のところに、主人公なおこは、離婚して一人娘のももと一緒に戻って暮らしている。

店に出入りするのは近所の常連のおばさんたち。
男の下ネタ話で毎回会話に花を咲かせている。
他にも町にはなおこの幼馴染みのみっちゃんとともちゃんがいる。
みっちゃんもともちゃんも、男では苦労の連続。
なおこも離婚はしたものの、密かに高校教師のカシマと付き合っている。

こんな登場人物たちが、順番にエピソードを披露してくれる。
しかしながら、登場する女たちはみんなあけすけで遠慮がない。
男の下ネタ話のオンパレード。
おばちゃんパワー全開で、とても中には入れない。
男が女の品評会をやるのと逆の世界である。

注目したのは、主人公なおこと幼馴染みの3人組。
主演の菅野美穂は、力を抜いた感じで登場し、一人男と良好な関係を維持しているが、それも最後に隠し玉を秘めている。
ともちゃんは池脇千鶴。
久しぶりに観た気がするが、記憶よりもいつの間にか太っている。
されど不幸ないじめられキャラは健在だ。

みっちゃんを演じるのは小池栄子。
「接吻」での狂気の主人公役が印象深いが、ここでも大きな目が顔の中心で際立つ表情で、田舎のお姉ちゃんとして登場。
「接吻」とはまったくイメージが違い、役者としての力量のようなものを感じる。
カンブリア宮殿のアシスタントとはがらりとイメージが違い、さすが役者という感じだ。

一人で生きていくには辛そうな環境の中、みんなで寄り添ってなんとか生きている女たち。
そんな女たちの日常生活を描いた映画。
映画化された理由もなんとなく伝わってくる映画である。


評価:★★☆☆☆
    




   
posted by HH at 22:22 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ