2013年03月18日

【ビフォア・ザ・レイン】My Cinema File 1000

ビフォア・ザ・レイン.jpg


原題: Before the Rain/ Pred dozhdot
1994年 マケドニア/フランス/イギリス
監督: ミルチョ・マンチェフスキ
出演: 
グレゴワール・コラン(キリル)
ラビナ・ミテフスカ(ザミラ)
カトリン・カートリッジ(アン)
ラデ・シェルベッジア(アレキサンダー・キルコフ)
ジェイ・ヴィラーズ(ニック)

<STORY>********************************************************************************************************
「第1部 言葉」(Part 1. Words)
修道院で沈黙の修行に励む若い修道僧キリルの元に、アルバニア人の少女ザミラが逃げ込んでくる。
「第2部 顔」(Part 2. Faces)
ロンドンの雑誌社に勤めるアンは夫ニックとの関係がうまくいかず、マケドニア出身の写真家アレキサンダーに魅かれていた。
「第3部 写真」(Part 3. Pictures)
帰国したアレキサンダーだが、故郷の村ではマケドニア人とアルバニア人が対立し、一触即発の状態になっていた。
********************************************************************************************************

ちょっと古いヨーロッパ映画。
物語は3部作となっている。
第1部は「言葉」というタイトルで、修道院で沈黙の修行に励むキリルとキリルの元に逃げ込んできたアルバニア人の少女の物語。

少女は殺人を犯したという事で、殺した相手のマケドニア人グループが追いかけてくる。
キリルは成り行きで少女を匿うが、殺気立つマケドニア人が修道院のまわりを固めている。
そして少女の存在は司教の知るところとなる。

第2部では景色が一転してロンドン市街となる。
雑誌社に勤めるアンは、マケドニア出身の写真家アレキサンダーと不倫関係にある。
一緒に故郷のマケドニアに行こうと誘われるが、すぐに行けるわけもなく、また夫との関係もあって、その日はロンドンに残る。
そして事件が起こる。

第3部ではマケドニアに戻ったアレキサンダーの物語。
16年振りの故郷だが、いつのまにかマケドニア人とアルバニア人の対立が激しくなっている。
かつて恋したアルバニア人の女性を訪ねるが、敵意に満ちた歓迎を受ける。
そんな中で、従兄弟がアルバニア人の少女に殺されてしまう。

無関係に思えた3つの物語も第3部で一つになる。
しかしながら不思議な事がある。
見間違いでなければ、第2部でアンが見ていた写真は第1部のラストのもの。
そして第2部でアンを故郷マケドニアに誘ったアレキサンダーが、一人先に故郷に帰る事から第3部は第2部の続き。
さらに第3部の最後の事件は第1部へと続く。
つまり時間が循環している。
何の説明もなく、単なる勘違いなのかよくわからない。

映画の背景には旧ユーゴスラビア崩壊に伴う混乱の余波がある様子。
ただボスニアの内戦と、マケドニア国内のマケドニア人とアルバニア人の対立などはどう関係しているのかよくわからない。
それは仕方ない事であるが、知っていればより深くこの映画を理解できるのかもしれない。

この映画を観ようと思ったのは、たぶんWOWOWの宣伝文句に惹かれたからだと思うが、もうだいぶ前の事なので忘れてしまった。
淡々とした映画とも言えるし、エンターテイメントとしては今一つ。
雨が降る前という意味のタイトルのこの映画。
雨が降ったあとどうなったのだろうと、ちょっとだけ興味を引かれた・・・


評価:★★☆☆☆





    
posted by HH at 23:04 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年03月13日

【スーパー・チューズデー 正義を売った日】My Cinema File 997

スーパーチューズデー.jpg


原題: The Ides of March
2011年 アメリカ
監督: ジョージ・クルーニー
製作総指揮:レオナルド・ディカプリオ
出演: 
ジョージ・クルーニー(マイク・モリス知事)
ライアン・ゴズリング(スティーヴン・マイヤーズ)
フィリップ・シーモア・ホフマン(ポール・ザラ)
ポール・ジアマッティ(トム・ダフィー)
マリサ・トメイ(アイダ・ホロウィッチ)
ジェフリー・ライト(トンプソン上院議員)
エヴァン・レイチェル・ウッド (モリー・スターンズ)

<びあ映画生活>********************************************************************************************************
ジョージ・クルーニーが、監督・出演・制作と意欲的に携わり完成させたポリティカル・サスペンス。
大統領を目指す州知事の姿を通して、現代社会における政治と権力の構図、そしてあらゆる欲望入り混じる人間模様を描き出す。
ライアン・ゴズリングやフィリップ・シーモア・ホフマンなど演技派が頭脳戦でしのぎを削る様が最大の見所だ。
********************************************************************************************************

主人公はモリス州知事の広報官を務めるスティーブン。
キャンペーンマネージャーのポールとともに、大統領を目指す州知事を支えている。
そして、モリス州知事はライバルのプルマン議員をわずかにリードしていた。
両候補が雌雄を決するオハイオ州予備選を前に激務をこなすスティーヴンの元へ、プルマン陣営の選挙参謀トムから密会の打診がある。

一方、スティーヴンは選挙スタッフの女性モリーに誘われ親密な関係になる。
しかし、やがてモリーの携帯にモリス州知事から電話がかかってきた事から、州知事の隠された秘密を知ることになる。
そして、事件が起こる・・・

大統領選という事で、邦題は「スーパーチューズテー」としたようであるが、そんな邦題に見事に期待して観てしまった。
しかしそんな期待とは裏腹に、「普通の」ドラマであった。
もっとも原題は「カエサルが暗殺された日」の事であるらしいが、観終わって考えるとなんとなく意味がわかる程度だから似たり寄ったりかもしれない。

注目はやつぱりキャストである。
ジョージ・クルーニーは「オーシャンズ」シリーズのリーダー役そのままで、やっぱりこういう役柄がイメージとしてはしっくりくる感じ。
ライアン・ゴズリングは「ステイ」の不思議な患者の印象が強いが、なんとなく気を引かれる。
フィリップ・シーモア・ホフマンはただでさえ個性たっぷり。
そんなキャストたちが、それぞれ腹に一物を抱えた男たちとして登場する。

選挙と言えば、候補者は白い歯を輝かせたスマイルで聴衆に手を振るのだが、裏ではこんな事が起こっているんだろうなと自然と思えてくる。
洋の東西を問わず、選挙戦というものは似たようなものなのだろうか。
キツネとタヌキの化かし合いが好きな向きには、ピッタリのドラマである・・・


評価:★★☆☆☆


    
   
    
posted by HH at 23:33 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年02月18日

【カンパニー・メン】My Cinema File 990

カンパニー・メン.jpg

原題: The Company Men
2010年 アメリカ
監督: ジョン・ウェルズ
出演: 
ベン・アフレック(Bobby Walker)
トミー・リー・ジョーンズ(Gene McClary)
ローズマリー・デウィット(Maggie Walker)
ケヴィン・コスナー(Jack Dolan)
クリス・クーパー(Phil Woodward)
マリア・ベロ(Sally Wilcox)

<STORY>********************************************************************************************************
総合企業のGTX社で若くして部長の座についたボビーだが、突然のリストラを受ける。
家族を養わなければならないボビーは再就職の道を歩むが、それはとても困難だった。
一方、GTX社創業時から在籍している重役のジーンはリストラに反対しながらも、最終的にはそれを受け入れざるを得なかった。
やがて、リストラはジーンの身にも及ぶ。
仕事が見つからないボビーは、相性が悪い妻の兄に頭を下げて建築現場で働く事になる。
しかしそんな苦境が、逆に家族の絆を深めていった…。
********************************************************************************************************

直訳すると「会社人間」となるのであろうか。
日本よりはるかにシリアスなアメリカの企業で働く男たちの物語である。

冒頭でリーマンショックのニュースが流れる。
100年に一度と言われた不況を決定付けるニュース。
総合企業のGTX社で、37歳のボビーは部長職。
リーマン・ショックなど他所の出来事と見向きもしなかったに違いない。
ところが突然の解雇。

みんな私物を入れた段ボールを持って車に向かう。
アメリカらしい光景。
そしてボビーの再就職活動が始る。
支援センターのようなところへ通うボビー。
費用はGTXが出してくれるようである。

GTXで部長を務めたという自負が、ボビーの鼻を高くする。
再就職など簡単と思っていたが、ずるずると月日は過ぎる。
妻のマギーは倹約モードの生活に入るが、ポルシェに乗ってゴルフに行き、高給をもらっていた頃の生活を続けるボビー。
やがてとうとう高コストの生活を維持できなくなる。

子供の心遣いにとうとう改心したボビーは、ポルシェを手放し、自宅を売り、嫌な実家に家族で転がり込む。
ウマの合わなかった義兄に頭を下げ、大工の仕事を手伝う事になる。
一方GTXでは、買収防衛に躍起になる経営陣。
さらなるリストラの嵐が吹き荒れる・・・

リーマン・ショック後のアメリカのサラリーマンたちの悲哀が実にリアルに描かれる。
日本では簡単に解雇などできないが、アメリカは実に簡単。
ある朝出社したら解雇を告げられ、その日のうちに荷物をまとめて出ていかないといけない。
再就職活動の様子など、実に参考になる。
ストーリーとは別の部分で映画に引き込まれていくのは、自分もサラリーマンだからに他ならない。
「自分ならどうするだろう」
そんな事を自然に考えている。

実にドライなアメリカの企業。
解雇されて収入が途絶え、子供の学費の支払いに苦しむ社員を横目に、CEOは社員の平均給与の700倍の収入を得る。
何とも言えない世界。

久しぶのケヴィン・コスナーが、ボビーの義兄ジャックとして登場。
ジャックは大工の棟梁。
自ら仕事を取り、人を雇って働く自営業者だ。
零細企業の悲哀を、たぶんいろいろ味わっている。

優雅なサラリーマンだったボビーとウマが合わなかったのは、額に汗して肉体労働に励む自分とは正反対の世界で、スーツを着て高給を取るカンパニー・メンに反感を抱いていたからに他ならない。
それでも、仕事がなくてプライドを捨てて頭をさげてきたボビーを雇い、大して役に立たなくても余計に給料を払う。

仕事を取るためには安く請け負わないといけないが、一方で給料も払わないといけない。
足りない分は、一人残業と休日出勤を繰り返して賄っている。
そういう男が、ケヴィン・コスナーには良く似合う。
そしてそんなジャックの気持ちをやがて理解するようになるボビーに、ちょっと胸が熱くなったりする。
ボビーの妻も懸命に夫を支える。
窮地に陥ってこそ、家族の結束が固まる様子が胸に迫る。

日本よりはるかにシビアな環境で生きるアメリカのサラリーマン(カンパニー・メン)たち。
ストーリーはともかく、その生きる姿にあれこれと我が身を振り返ってみてしまう、サラリーマン必見の映画である。


評価:★★☆☆☆
     



posted by HH at 23:14 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年12月30日

【日輪の遺産】My Cinema File 967

日輪の遺産.jpg

2011年 日本
監督: 佐々部清
原作: 浅田次郎
出演: 
堺雅人(真柴少佐)
中村獅童(望月庄造)
福士誠治(小泉中尉)
ユースケ・サンタマリア(野口先生)
八千草薫(金原久枝)


<STORY>********************************************************************************************************
終戦間近の昭和20年8月10日。
帝国陸軍の真柴少佐は、阿南陸軍大臣ら軍トップに呼集され、ある重大な密命を帯びる。
山下将軍が奪取した900億円(現在の貨幣価値で約200兆円)ものマッカーサーの財宝を、秘密裡に陸軍工場へ移送し隠匿せよ……。
その財宝は、敗戦を悟った阿南らが祖国復興を託した軍資金であった。
真柴は、小泉中尉、望月曹長と共に極秘任務を遂行。
勤労動員として20名の少女たちが呼集される。
御国のため、それとは知らず財宝隠しに加担するが、任務の終わりが見えた頃、上層部は彼女らに非情きわまる命令を下す。
果たして少女たちの運命は?そして財宝の行方は…?
********************************************************************************************************

浅田次郎原作という事で気になっていた映画をようやく観た。
しかしながら期待とは裏腹に、ちょっと物足りなさが残る映画だった。
原作を読んでいないから何とも言えないが、面白くなかったのは原作のせいなのか、それとも脚本か。
いつか原作を読んで確認してみようと思う。

こういう歴史モノによくありがちだが、物語は現代から始る。
中学校の卒業式に参加した老夫婦が二人。
いかつい顔をした祖父は、卒業式の途中で倒れそのまま息を引き取る。
祖父が横たわるその横で、祖母は子供たちに昔の話をし始める。
それは、学校の石碑にもなっている当時の先生と友人たちとにまつわる話であった。

昭和20年8月10日。
すでに天皇陛下の裁断が下され、ポツダム宣言を受諾して降伏する事が内々に決まっていた。
陸軍近衛師団の真柴少佐は、阿南陸軍大臣らトップに呼び出され、会計のエキスパートである小泉中尉とともに密命を受ける。
フィリピンのマッカーサーから奪った財宝を、復興に備えて密かに隠せというものであった。
行動は隠密裏に行なわれ、作業は何も知らない勤労動員の女学生20名に託される。

浅田次郎原作というと、「地下鉄(メトロ)に乗って」「憑神」「椿山課長の七日間」などの映画を観たが、いずれも原作の良さを映画で表現しきれないという限界を露呈していた。
この映画の原作は読んでいないものの、同じ轍を踏んでいるのではないかと思わずにはいられない。

結論から言えば面白くない。
マッカーサーの遺産云々はともかくとして、前半に出てくる主人公久枝の恩師と級友がどうして終戦前日に亡くなったのかというのが話のポイント。
そしてそれはそれなりにうまく物語として完成しているのであるが、面白くない。
原作を読めば、そのあたりの原因はわかるかもしれないが、「作られ感」がどうしても強いのである。
原作にどこまで忠実なのかはわからないが、感動モノに仕上げようという意図が見え見えだと、かえって興醒めしてしまうものなのである。

それに時代考証的にもどうなのだろうかと疑問に思うところもいくつかあった。
玉音放送を敢えて聞かなかったりする事は、当時できたのであろうかとか。
戦後の日本の繁栄を見越したような発言とか。
曹長と久枝の年齢差は、とか。
考えると興味がそがれてしまうという部分が結構あった。

やはり「浅田次郎は原作で」が原則だろうか。
そんな事をまたしても思わされた映画である。


評価:★★☆☆☆
    



     
    
posted by HH at 23:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年12月27日

【人生の特等席】My Cinema File 965

人生の特等席.jpg

原題: Trouble with the Curve
2012年 アメリカ
監督: ロバート・ロレンツ
出演: 
クリント・イーストウッド(Gus)
エイミー・アダムス(Mickey)
ジャスティン・ティンバーレイク(Johnny)
ジョン・グッドマン(Pete Klein)
マシュー・リラード(Phillip Sanderson)
ロバート・パトリック(Vince)

<STORY>********************************************************************************************************
長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきたガス・ロベル。
伝説のスカウトマンとして知られる存在の彼だったが、年齢のせいで視力が弱ってきていた。
それでも引退する素振りを微塵も見せない彼に、球団フロントは疑問を抱き始める。
そんな苦しい立場のガスに救いの手を差し伸べたのは、父との間にわだかまりを感じ続けてきたひとり娘のミッキーだった。
ガスはスカウトマンの誇りをかけ、父娘二人で最後のスカウトの旅に出る。
********************************************************************************************************

「グラン・トリノ」以来のクリント・イーストウッド最新作である。
歳をとっても尚健在なクリント・イーストウッド。
今度の役柄はメジャーリーグのスカウト。
冒頭のトイレのシーンから、老いを披露してくれる。

スカウトのガスは早くに妻を亡くし、一人暮らしをしている。
一人娘のミッキーは弁護士として順調にキャリアを続けている。
二人の親子関係は、事情があってあまりうまくいっていない。
しかし、ガスの親友でもあるピートの依頼で、ミッキーは父のスカウト旅行に付き合う事にする。
ガスも視力が弱ってきて、仕事にも支障をきたしていたのである。

思いもかけない親子旅。
二人は評判の高校生ボブの試合を追う事になる。
そしてそこにかつてガスがスカウトし、今は肩を壊して引退しスカウトとなっているジョニーが加わる。
ガスとミッキー、ミッキーとジョニー、そしてガスとジョニーの人間模様が描かれる・・・

それにしてもこの映画、今年公開された同じメジャーリーグの映画「マネー・ボール」へのアンチ・テーゼのような映画である。
「マネー・ボール」では、「セイバー・メトリクス理論」という、データを中心にして選手を起用しようという新しい手法を採用したアスレチックスが取り上げられていた。
従来からの、現場を歩くタイプのスカウトはみな過去の遺物扱いだった。

ところがこの映画では、「目で見る、耳で聞く」といった古いタイプのスカウトに脚光を当てている。
現場を見ずにデータだけで判断しようとした男は、最後に大恥をかかされる。
スカウトとしてはどちらが良いのか、結論は難しいが、クリント・イーストウッド流の「マネー・ボール」への反撃パンチなのだろうか。

パートナーへの昇進がかかる大事な仕事を前にし、父のために職場を離れたミッキー。
野球をこよなく愛し、現場で選手を観察し、球音に耳を澄ませるガス。
親子関係にしろ、古いタイプのスカウトにしろ、本当に大事なものは何かという事を訴えかけてくるところがある。

ハリウッド映画らしく、最後はパーフェクトなハッピーエンド。
ベースボールはやっぱりアメリカの文化なのだと改めて思う映画である。


評価:★★★☆☆
    
     


    
   
posted by HH at 19:21 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ