2012年06月25日

メッセージ そして、愛が残る

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原題:Et après /英題:AFTERWARDS
2008年 ドイツ=フランス=カナダ
監督: ジル・ブルドス
出演: ロマン・デュリス(Nathan)/ジョン・マルコヴィッチ(Doctor Kay)/エヴァンジェリン・リリー(Claire)/リース・トンプソン(Jeremy)/パスカル・ブシェール(Anna)

<STORY>********************************************************************************************************
法律事務所に勤めるネイサンの元に、ある日、ジョゼフ・ケイと名乗る医師が現れる。
幼い息子を突然亡くし、妻や娘と別れてひとり仕事に没頭していたネイサンに、ケイは見知らぬ青年の死を予告する。
半信半疑だったネイサンだが、不思議な出来事が続き、死を予見するケイの能力を信じるようになる。
ケイは死期の迫った人に、その運命と向き合う時間を与えるメッセンジャーの役目を果たしていたのだ。
そしてケイがネイサンの前に現れた理由が解き明かされていく。
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冒頭、湖のほとりで遊んでいた子供二人。
女の子が桟橋の木が壊れ池にハマる。
大人の助けを求めて走る男の子。
しかし、道路に飛び出した瞬間、車にはねられる。
ピクリとも動かぬ男の子の体は、やがて白い光に包まれる・・・

大人になったネイサンは弁護士。
しかし幼い息子を突然死で失い、妻のクレアとの関係もまずくなり別居する。
そんな彼の前にケイと言う名の医師が現れる。
彼は地下鉄駅で見知らぬ青年の死を予告し、的中させる。
彼には人の死を予見する能力があった。

人の死が予見できるというのも、何だかあんまり気持ちの良いものではない。
相手に教えてどうなるのだろうと言う気もする。
教えてもらって嬉しいと思う人と、そうでない人とがいるだろうが、それを見分けるのは難しい。

ケイを演じるのはジョン・マルコビッチ。
個人的な感覚かもしれないが、この人のねちっこいしゃべり方にどうもイライラ感がしてしまう。
何だか小バカにされているような気がして、それで「あなたは死にます」と言われたら、自分だったらブチ切れてしまうかもしれないと感じる。

自分の死期が近いとわかってしまったら、自分だったらどうするだろう。
そんな事を考えながら、ストーリーを追う。
ネイサンも妻と娘との元へ行き、和解しようとする。
そんな心が妻のクレアにも伝わる。

ハッピーエンドとは言えないエンディング。
いろいろと感じてくれというメッセージのようなものを感じる。
しかし、ジョン・マルコビッチへの反発からあまり面白いとは感じられなかった。
他の俳優だったら、もう少し印象が変わったかもしれない。
最初のシーンの映像の意味も、もう少しわかりやすくして欲しかった気もする。

人によってこの映画の評価は分かれるかもしれない。
良い映画だと思える要素もわかる。
ただ個人的にはちょっと合わなかったな、と言える映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
    
     

    
posted by HH at 00:02 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月22日

白いリボン

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原題: Das weiße Band
2009年 オーストリア=フランス=イタリア=ドイツ
監督: ミヒャエル・ハネケ
出演: 
クリスティアン・フリーデル(The School Teacher)
レオニー・ベネシュ(Eva)
ウルトリッヒ・トゥクール(The Baron)
スザンネ・ローター(The Midwife)
ブルクハルト・クラウスナー(The Pastor)
ライナー・ボック(The Doctor)

<STORY>********************************************************************************************************
1913年夏、北ドイツのある村。
張られた針金が原因でドクターが落馬したのが発端だった。
翌日にはその針金が消え、小作人の妻が男爵家の納屋で起きた事故で命を落とす。
秋、収穫祭の日、母の死に納得できない息子が、男爵の畑のキャベツを切り刻む。
その夜、男爵家の長男ジギが行方不明になった。
一方、牧師は反抗的な自分の子供たちに“純心”の象徴である白いリボンを腕に巻かせる。
犯人がわからないまま、不信感が村に広がっていく。
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2009年カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。
ヨーロッパの映画は、ハリウッドのそれとは一味違う。
さらにもまして、モノクロとくると映画全体を覆う暗い雰囲気がより一層際立つ感じがする。

物語の舞台は第一次大戦前のドイツ。
まだ男爵という爵位が残っており、その男爵を中心とした村に小作人たちが暮らしている。
そんな村で事件が起こる。
まずは村のドクターが、乗馬中に張られた針金に引っ掛かり落馬して重傷を負う。
明らかに意図的な事件だが、犯人はわからない。

続いて村の農婦が納屋の二階から落ちて死ぬ。
さらに男爵の息子ジギが、何者かに襲われて怪我をする。
そしてドクターを手伝う看護婦の知恵遅れの息子もまた、同じ目に会う。
そしてある晩、納屋が放火される。
すべて犯人は不明である。

村の有力者は男爵と牧師とドクター。
いずれも村で唯一の権威。
されど人格者というわけではなく、裏の顔を持つ。
男爵は夫婦関係に冷たい亀裂が入っており、牧師は家庭内でもあまりにも厳格過ぎ、ドクターは看護婦と不適切な関係を続けているといった有り様である。

村で起こる事件と3人の権力者を脇に置き、どうやら物語の語り部である教師の暮らしが描かれる。
男爵家のメイドに想いを寄せ、アプローチしていく。
まだ男女交際も不自由な時代を感じさせる二人の付き合いが、サイドストーリーとして語られる。

サラエボでオーストリア皇太子が暗殺される。
時代は戦争の足音がこだまする。
漠然と浮かび上がる犯人の姿。
心を病んでいると言える犯人だが、それを生み出しているのは明らかにその村である。

タイトルにある白いリボンとは、牧師が自分の子供につけさせたもの。
嘘をつく罰としてつけさせるのだが、どうやらそれは子供にとっては不名誉の証のようなものらしい。
ドイツらしい厳格な家庭で反抗は許されず、それがまた闇を生み出している事を連想させる。

ハリウッド映画のようなハッピーエンドとはほど遠く、重い雰囲気がのしかかってくる。事件の真相は結局わからないが、背景をあれこれと想像させてくれる。
そして大体の全体像もなんとなくわかる。
この村に特別に起こった事というよりも、大なり小なりどこにでも起こりうる事なのかもしれない。
観終わったあとに、考えさせてくれる映画である・・・

評価:★★☆☆☆
    
      

     
posted by HH at 22:19 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月09日

僕と妻の1778の物語

僕と妻の1778の物語.jpg


2011年 日本
監督: 星護
出演: 草なぎ剛/竹内結子/谷原章介/吉瀬美智子/小日向文世/大杉漣

<STORY>********************************************************************************************************
SF作家・朔太郎と銀行に勤める妻、節子は、人も羨む仲睦まじい夫婦。
朔太郎は一旦小説を書き始めると声も聞こえないほど熱中し、新婚旅行も取りやめにしたほど。
しかし、そんな朔太郎を節子は愛し、優しく見守っていた。
ある日、節子は突然、激しい腹痛を訴え病院へ行くと、大腸ガンと診断される。
医者から告げられた余命は1年。
笑いに抗がん作用があると聞いた朔太郎は、節子を笑わせるために、1日1篇の短編小説を書き始める…。
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「癌で余命いくばくもない・・・」などというキャッチ・コピーを見ると、ついついわざとらしいお涙ちょうだいモノを想像して敬遠してしまう。
「食わず嫌い」と言えばその通り。
それでもなんとなく観てみようと思ったのは、主演が竹内結子だからという理由に他ならない。
いざ観てみると、あまりわざとらしいお涙ちょうだいモノにはなっていない。
やはり「食わず嫌い」はほどほどがいいかもしれない。

SF作家朔太郎と銀行に勤める妻節子は、高校時代から付き合って結婚したという仲の良い夫婦。
出来あがった作品は、真っ先に妻節子が目を通す。
新婚旅行に出かける時、玄関で小説のアイディアが閃いた朔太郎は、そこで小説を書き始め、ついに新婚旅行へ行かずに書き続けたというエピソードを持つ。
普通なら離婚モノなのに、笑って許してしまう妻節子は、まさに「妻の鏡」と羨ましく思う。
演じる竹内結子がそれを増幅しているところもある。

ところが、そんな夫婦に悪夢が襲いかかる。
妻節子が大腸がんに罹り、余命1年と宣告される。
苦悩する朔太郎。
生活のすべてを妻節子に負っていた彼には、してあげられる事がない。
考えた末、笑いが免疫力を高めるという医師の言葉を信じ、1日1話、楽しい話を書く事にする。
さっそく、第1話を原稿に書き始める・・・

朔太郎がいつも抱えているのは、ペンと原稿。
今時ならキーボードなのだろうが、時代を感じさせるシチュエーション。
それもそのはず、この話は眉村卓というSF作家の実話をもとにしているようだ。
事実には小説に勝る強さがある。
1日1話の小説を、タイトルにある通り1778話書き続けたエピソードは、それだけで胸が熱くなるものがある。

もう一人の主演が草なぎ剛。
この人は何となく独特のキャラを持っており、そういう役柄が良く合う。
「山のあなた 徳市の恋」は個人的には絶賛したい役柄だったが、ここでも妻に頼りきりの純情な夫という役柄がピッタリとハマっている。
竹内結子とのカップルは本当にほのぼのとしていて羨ましい。

懸念したお涙ちょうだい的な盛り上がりはなく、ごく自然にストーリーに入っていけた。
願わくば、1778も綴ったストーリーをもう少し紹介してもらいたかったところだ。
タイトルだけでも面白そうなものがあった。
毎日一日も欠かさず、書き綴ったという事実が胸に温かいモノを呼び込む。
ストーリー的にも、キャスト的にも満足できた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
      
      
posted by HH at 23:22 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ

2012年05月20日

ノルウェーの森

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2010年 日本
監督: トラン・アン・ユン
原作: 村上春樹
出演: 松山ケンイチ/菊地凛子/水原希子/高良健吾/霧島れいか/玉山鉄二

<STORY>********************************************************************************************************
親友・キズキを自殺で失ったワタナべは、東京で大学生活を送り始める。
ある日、ワタナベは偶然にキズキの恋人だった直子と出会い、毎週直子と東京の街を散歩するようになる。
しかし、直子の20歳の誕生日、精神的に不安定になった直子と夜を共にする。
それ以来、ワタナベは直子と連絡がとれなくなってしまう。
さらに喪失感が深まり心を病んだ直子は、京都の療養施設に入所していたのだ。
直子に会いたくても会えない状況の中で、ワタナベは大学で出会った不思議な魅力を持つ女の子・緑にも惹かれていく。
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村上春樹原作小説の映画化。
機会があれば一度読んでみようと思いながら、ずるずると月日を過ごし、先に映画を観る事になった。
若者のあてどなく揺れ動く心が、共感を持って伝わってくる気がする物語である。

舞台は1960年代。
高校生のワタナベは、親友キズキとその幼馴染みであり恋人でもある直子と楽しい日々を過ごしている。
ところが、キズキが突然自殺してしまう。

東京で大学生活を送り始めたワタナベ。
周囲は学園紛争で騒然としているが、ワタナベは一人読書の世界に没頭している。
そして偶然直子と再会する。
直子はキズキの自殺によって心を病んでいたが、ワタナベとの再会で少しずつ回復に向かう。
しかし20歳の誕生日、初めてワタナベと結ばれた夜、何気ないワタナベの一言で直子はワタナベの下を去ってしまう。

寮で一緒のプレイボーイの先輩とともに女の子と遊んだり、緑という女の子と知り合い親しくなっていき、心の病から療養施設に入った直子にも会いに行き、ワタナベの生活は女の子が常に入れ替わり占めていく。
ただの女好きに見えるが、ワタナベはそれぞれと真剣に生きている感じがする。
たぶん、そうなのであろう。
そんな若者の心理がよく伝わってくる。

主演は松山ケンイチ。
「カムイ外伝」のカムイの印象が残っているが、ここでは物静かな青年として登場。
役柄とイメージはよくあっている感じを受けた。
一方相手役は菊地凛子。
「バベル」で話題となった女優さんだが、この2作を観てみるとどことなく心に影を持った役柄のイメージが出来てしまいそうな気がする。
個人的にはこれがデビュー作となる水原希子に興味を引かれた。
今後は本格的にスクリーンに登場するのであろうか?

諸行無常、万物は流転する。
ワタナベを取り巻く環境も、女の子たちとの関係も、ワタナベの意思とは無関係に否応なしに変化していく。
揺れ動く若者の心。
誰もがいつか通ってくる道。

あてどない未来。
目の前の道はどこに続いていくのか。
映画の舞台となった60年代後半から、半世紀近くの月日が経過している。
その後、ワタナベはどんな人生を送ったのだろう。
ちょっと想像してみたくなった映画である・・・


評価:★★☆☆☆
    
     

      
posted by HH at 22:35 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年05月04日

ヘヴンズストーリー

ヘヴンズストーリー.jpg

2010年 日本
監督: 瀬々敬久
出演: 寉岡萌希/長谷川朝晴/忍成修吾/村上淳/菜葉菜

<STORY>********************************************************************************************************
8歳の少女のサトは、友だちと海水浴中に両親と姉を殺害さる。
ひとり残されたサトは、ひとり暮らしの祖父ソウイチに引き取られることになる。
ひとり息子を育てている警官のカイジマは、他人には言えない副業をしている。
春、まだ雪が残る東北の鉱山跡で“仕事”をこなしていた。
バンドでギターを弾いているタエは、父の暴力のせいで片耳が聞こえない。
ある雨の日、鍵屋のトモキと知り合う。
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• 第1章・夏空とオシッコ
• 第2章・桜と雪だるま
• 第3章・雨粒とRock
• 第4章・船とチャリとセミのぬけ殻
• 第5章・おち葉と人形
• 第6章・クリスマス☆プレゼント
• 第7章・空にいちばん近い町1 復讐
• 第8章・空にいちばん近い町2 復讐の復讐は何?
• 第9章・ヘヴンズ ストーリー

物語は9つのタイトルが冠された章から出来あがっており、登場人物は共通である。
全体で4時間38分という長さは、今まで観た映画で最長だ。
人気のある映画なら、前編・後編などとして分けて上映するという事が可能になるのだろうが、こういう映画では不可能だろう。
苦肉の策とは言え、映画館に観に行った人たちは大変だったであろう。

両親と姉を殺されて一人ぼっちになってしまった8歳のサト。
祖父に引き取られて住み慣れた街を去る事になる。
犯人が自殺したというニュースに釘付けとなり、それに続いたニュースに惹きつけられる。
未成年者に妻と幼い子供を殺され、犯人に無期懲役の刑が宣告されたというニュースだ。
記者会見している被害者の夫トモキは、犯人はこの手で殺すと宣言していた。
実際の山口県の事件をモチーフにしているのだろう。

強盗を射殺した過去を持つ警官海島は、副業で殺人代行をしている。
一人息子ハルキを男手一つで育てながらの毎日。
トモキは仕事で難聴のギタリスト・タエと知り合う。
5歳の頃、酔った父の暴力で難聴となったタエは、自らの不遇もありやり場のない怒りを秘めた生活を送っていた。

海島に父を殺されたカナは、継母と暮らしながら、すっかり自暴自棄で優しさのかけらもない大人に成長し、未婚の母になろうとしている。
トモキの妻と子供を殺したミツオは、出所して支援者でもある若年性アルツハイマーに侵されている恭子とともに暮らしている。
タエと再婚したトモキの前に表れたサトは、ミツオへの復讐を忘れたのかと詰め寄る。

そうした登場人物たちの行動を9つの章に分けて追いかけていく。
突然犯罪被害者となったサトとトモキ。
職務とは言え、突然人を殺してしまった海島と、何の意図もなく突然衝動的に殺人を犯してしまったミツオ。
そして彼らを取り巻く人々。

タイトルから引っ張られるのだろうか、人間たちの所業を高いところから淡々と眺めているような感覚になる。
第8章で、トモキがまぶしい青空を眺めながら、生まれてからの人生を振り返るシーン。
走馬燈のようにという表現がぴったり当てはまるシーンが、個人的には印象に残った。
人生とは波間に漂う小舟なのかもしれない。
そんな印象を持った映画である。


評価:★★☆☆☆
      



    
posted by HH at 11:08 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ