2012年07月18日

幸せの雨傘

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原題: Potiche
2010年 フランス
監督: フランソワ・オゾン
出演: カトリーヌ・ドヌーヴ(Suzanne Pujol)/ジェラール・ドパルデュー(Maurice Babin)/ファブリス・ルキーニ(Robert Pujol)/カリン・ヴィアール(Nadege)/ジュディット・ゴドレーシュ(Joelle)

<STORY>********************************************************************************************************
70年代フランスの地方都市。
毎朝ジョギングに出かけ、森の動物たちの愛らしい仕草に心を打たれては趣味のポエム作りに生かす優雅なブルジョワ主婦スザンヌ。
仕事への口出しも家事もするな、妻はただ美しくおとなしくしていればいいが持論の夫ロベールは雨傘工場のワンマン経営者だ。
ところが、折から労働争議真っ直中の工場で、ロベールが心臓発作で倒れてしまう。
急遽、工場運営を任されたスザンヌは…。
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舞台は1977年のフランス。
主人公はブルジョワ主婦スザンヌ。
夫は雨傘工場の経営者。
毎朝森へジョギングへ行き、ポエムを作るという優雅な日々を送る。
何の苦労もいらないが、何の仕事もない。
夫からも「飾り壺(Potiche)」と言われている。

そんな夫はワンマン経営者。
まさに搾取する資本家の見本のような人物。
今日も工場では待遇改善を求めたストが起こっている。
労働者に甘えは許さないというスタンスの夫は労働組合と激しく衝突する。

そんな中で夫は持病が悪化して戦線離脱。
代わりに社長の椅子に座る事になったのが、飾り壺のスザンヌ。
労働組合の幹部たちが手ぐすね引いて待ち構える労組交渉の場に、スザンヌはおめかしして出かけていく。
緊張感の漂う交渉の場に、「仲良くしましょう」とスザンヌは提案する。

鬼の経営者になり代わって一介の主婦が、経営を変えていく・・・
何だかよくある経営改善モノかと思って楽しみにしていた。
「県庁の星」「川の底からこんにちは」のようなストーリー展開を期待してしまった。

確かに、途中までは順調に行っていたが、病気療養から夫が復帰。
復権を図ろうとしてスザンヌと対立。
見事復権を果たしたところからおかしな方向へと進んでいく。
経営改善ストーリーから、単なる女性解放モノへと転換。
このあたりからストーリーに興味を失っていく。
残念!
思わず途中で呟く。

主演はカトリーヌ・ドヌーブ。
往年の美人女優であるが、ここで登場するのはすっかり良いおばさんになったドヌーブ。
この姿を見てしまうと、若い人などは過去の栄光など想像もできないだろう。
加えて、ジェラール・ドパルデューもでっぷり太って登場。
昔のイメージなど気にしないのだろうが、それはそれでいい感じがする。

予告編を観て、勝手にビジネス系映画をイメージしてしまったが、そんな先入観がなければもう少し楽しめたかもしれない。
でもイメージ通りであって欲しかったな、と悔やまれる一作である。


評価:★★☆☆☆
     
     


     
posted by HH at 22:21 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年07月15日

愛する人

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原題: Mother and Child
2009年 アメリカ・スペイン
監督: ロドリゴ・ガルシア
出演: ナオミ・ワッツ(Elizabeth)/アネット・ベニング(Karen)/ケリー・ワシントン(Lucy)/サミュエル・L・ジャクソン(Paul)/ジミー・スミッツ(Paco)/デイヴィッド・モース(Tom)

<STORY>********************************************************************************************************
51歳の女性・カレンは老いた母親とロサンゼルスで二人暮らしをしている。
37年前、14歳の時に産んですぐに手放した娘のことばかりを思い、彼女に手紙を書く事を日課としていた。
37歳のエリザベスは、母を知らずに育った女性。
各地で弁護士としてキャリアを積み、故郷のロサンゼルスに戻って来ていた。
何事にも執着しない彼女だが、会社の上司・ポールの子を妊娠した事をきっかけに、37年前に自分を手放した母を捜そうと決心する。
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「愛する人」という邦題だと、どうしても恋人の話のように思えてしまうが、原題に「Mother and Child」とある通り、これは母と子をテーマにした物語。
カレンは14歳の時、ボーイフレンドとの間に子供ができてしまう。
育てられるはずもなく、生まれてすぐ里子に出す。
そして37年の月日が経つ。

カレンは51歳となり、年老いた母親と二人暮らし。
カレンの気難しい性格は人を寄せ付けない。
それでも同じ職場の同僚パコが好意を寄せてくる。
悪い気はしないものの、どうしても邪険な態度に出てしまう。
それは14歳の時の出来事がトラウマとなっているのだろうか。

37歳のエリザベスは完ぺきに自立した弁護士。
有能であるが、生まれてすぐ里子に出された過去を持ち、生みの親の事は何も知らない。
新しい弁護士事務所に雇われると、まもなく所長のポールと関係を結ぶ。
さらには隣家の旦那をも誘惑し、奔放な生活振りを見せる。

ルーシーはまだ若いものの子供が産めない体。
夫婦で話し合い、養子をもらう事にする。
望まぬ妊娠をしてしまったレイと契約し、生まれたらすぐ養子に迎え入れる事になる。
レイもまた同じような境遇で未婚の母の子として生まれていた。

カレンとエリザベスとルーシー。
3人の物語が平行して語られる。
奔放な生活からやがて妊娠してしまうエリザベス。
子供を里子に出した事がトラウマで、他人と、特に子供とうまく接する事ができないカレン。
子供ができなくて、養子をもらう事にしたものの、夫や親たちとの軋轢に悩むルーシー・・・

それぞれの母と子のそれぞれの物語。
子供を生む事の意味。
それぞれの物語を通じて、感じる事はまた人それぞれかもしれない。
3人はやがて最後につながりを持つことになる。
別々に育まれてきた物語が一つにつながる。

じっくりと観て、じっくりと感じるところを考えてみる。
これはそんな鑑賞の仕方が合う映画かもしれない。


評価:★★☆☆☆
     
     
ナオミ・ワッツ出演作品
「キング・コング」
「ステイ」
「イースタン・プロミス」
「ザ・バンク〜落ちた虚像〜」
「J・エドガー」

     


    
     
posted by HH at 19:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年07月14日

チーム・バチスタの栄光

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2008年 日本
監督: 中村義洋
原作: 海堂尊
出演: 竹内結子(田口公子)/阿部寛(白鳥圭輔)/吉川晃司(桐生恭一)/池内博之(鳴海涼)/玉山鉄二(酒井利樹)

<STORY>********************************************************************************************************
成功率60%といわれる心臓手術「バチスタ手術」を26例連続成功させていた、東城大学付属病院の専門集団「チーム・バチスタ」。
しかしその手術が3例連続で失敗するという事態が起きた。
原因は果たして事故なのか? 
それとも故意の“殺人”なのか?? 
心療内科医の田口は院長の命で手術失敗の内部調査を行うことに。
聞き取り調査の結果彼女は単なる事故として調査を終了しようとするが、そこに厚生労働省の白鳥が現れ……。
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東城大付属病院を舞台にした海堂尊の一連の医療小説の先駆けとなった「チームバチスタの栄光」。
その映画化作品である。
小説の映画化となると、2時間という時間的制約があったり、キャストのイメージギャップがあったりという問題がある。
それをうまく乗り越える事ができるかどうかが、映画が面白くなるかどうかの境だと思う。
この映画はそれらをうまく乗り越えられている。

タイトルにあるバチスタとは、心臓手術の一種。
心臓を止めてその間に心臓の一部を切り取るというもの。
映画の中でも桐生医師が語っていたが、「心臓を止めるという事は一旦患者を殺すという事」でもあり、考えた人はつくづく凄いと思う。
その成功率は60%。
難易度は非常に高い。

その難易度の高い手術を26例連続で成功させているのが、東城大学付属病院の桐生医師を中心としたスタッフ。
人呼んで「チーム・バチスタ」。
しかしそのチーム・バチスタが3例続けて手術に失敗する。
原因がわからない桐生は、自ら第三者による調査を依頼する。
引き受けたのは、病院の中でも閑職にあたる心療内科の田口。
そして、途中から加わるのが厚生労働省の白鳥。

凸凹コンビが真相究明に向かっていくストーリーだが、見所の一つがそのリアリティだろう。
本物かどうかはわからないが、手術室でのシーンでは心臓を見せて目の前で手術が展開される。
小説では絶対にできない事であり、映画の強みでもある。

主人公の田口は、原作では男。
それが映画では女になって、しかもなんと竹内結子がキャスティングされている。
個人的に竹内結子は大好きなのだが、これはミスキャストだ。
原作の田口の雰囲気がずれてしまっている。
竹内結子も一所懸命原作のぼおっとした主人公の雰囲気を出そうとしているが、美人女優のイメージとはどうしても合わない。

逆に白鳥役の阿部寛はハマっていたように思う。
この人は最近もあちこちの映画に出ていて、一見同じテイストに思えるが、実に器用に多角的に演じている感じである。
個人的には好きな役者の範疇に入ってくる。
驚いたのは桐生医師。
吉川晃司なのであるが、昔の記憶から比べると随分太っていた。
その他のキャストもお馴染みの役者陣だ。

観終わって感じたのは、「面白かった」の一言。
ベストセラーの映画化は難しいと思うが、映画の強みを活かしてよく2時間にまとめ上げている。
案外このシリーズの映画化は面白いのではないかと感じた。
機会があれば、次の作品も観てみたいと思う・・・


評価:★★☆☆☆
     
      

     
posted by HH at 11:56 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年07月08日

レオニー

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原題: Leonie
2010年 日本
監督: 松井久子
出演: エミリー・モーティマー(レオニー)/中村獅童(野口米次郎)/原田美枝子(梅子)/竹下景子/中村雅俊

<STORY>********************************************************************************************************
1901年、米国の名門女子大学を卒業し教職に就いていたレオニー・ギルモアは、ニューヨークで新進気鋭の日本人詩人ヨネ・ノグチこと野口米次郎に雇われ念願の編集者になる。
文学上のパートナーだった2人の関係はやがて恋愛へと発展しレオニーは妊娠するが、ヨネは逃げるように帰国してしまう。
意を決して男子を出産したレオニーは、日露戦争を経て日本人への差別が激しくなると幼い息子と共に日本へ旅立つのだった。
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名前だけは何となく知っているイサム・ノグチ。
著名な芸術家であるが、映画化される伝記となるとそういう有名人のものになりそうな気がするが、この映画は彼の“母親”を取り上げている。
なぜ母親なのか興味を惹かれるながら観た映画である。

その母親レオニー・ギルモアは米国の名門女子大の出身。
在学中に日本から留学してきていた津田梅子(津田塾大創設者)と知り合う。
自分はかなりの変わり者だと自覚し、そんな自分にあえて好意を示してきたキャサリンと仲良くなり、生涯の友となる。

卒業し、編集者になりたくて応募したレオニーを待っていたのは日本人の野口米次郎。
詩人である米次郎とのコンビで、彼の作品は売れて行く。
まだ人種差別の色濃い時代。
名前から日本人だとわかって売れない事を案じ、あえて名前を伏せての出版であった。
そして、自然の流れで二人は結ばれる。

やがて日露戦争が始ると日本人への風当たりも強くなり、米次郎は街で暴行を受けるようになる。
そんなアメリカに嫌気がさし、米次郎は帰国を決意。
レオニーは妊娠するが、そんな彼女を置いて米次郎は帰国してしまう。

時代は「坂の上の雲」の時代。
日本人も世界の列強に伍すべく背伸びをしていた。
近代の礎を築いた人たちが、明日を夢見て活躍しており、映画の時代背景は躍動感を感じる。

妊娠した妻を置いて帰国してしまうなんて、なんて酷い男なのだろうと思ってしまうが、アメリカの人種差別もまた酷い。
故郷に戻り、一人男の子を生んだレオニーは、米次郎からの要請で日本へ渡る。
この時代、渡航は船で長い時間がかかる。
幼い子を連れて見知らぬ日本へ渡ったレオニーの決意もまた凄い。

舞台は日本へと移り、当時の様子も興味深い。
英語を教える事で生計を立てる事になったレオニー。
生徒たちとの交流や言葉の通じない日本での生活。
今にして思えば大変な苦労だっただろうと思ってしまう。
生まれた子供イサムは、すぐに日本語も覚え、母親の通訳をするまでになるのが面白いところだ。

映画はそんなレオニーの生涯を追っていく。
まだまだ世界が広かった時代。
勇気ある人生を貫いた女性。
なるほど、映画になるのもわかる気がする。

レオニーは1933年に世を去る。
第2次大戦前で良かったと言えるのかもしれない。
人の数だけ物語がある。
そんな事を感じた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     
      


    
   
posted by HH at 21:36 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月25日

メッセージ そして、愛が残る

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原題:Et après /英題:AFTERWARDS
2008年 ドイツ=フランス=カナダ
監督: ジル・ブルドス
出演: ロマン・デュリス(Nathan)/ジョン・マルコヴィッチ(Doctor Kay)/エヴァンジェリン・リリー(Claire)/リース・トンプソン(Jeremy)/パスカル・ブシェール(Anna)

<STORY>********************************************************************************************************
法律事務所に勤めるネイサンの元に、ある日、ジョゼフ・ケイと名乗る医師が現れる。
幼い息子を突然亡くし、妻や娘と別れてひとり仕事に没頭していたネイサンに、ケイは見知らぬ青年の死を予告する。
半信半疑だったネイサンだが、不思議な出来事が続き、死を予見するケイの能力を信じるようになる。
ケイは死期の迫った人に、その運命と向き合う時間を与えるメッセンジャーの役目を果たしていたのだ。
そしてケイがネイサンの前に現れた理由が解き明かされていく。
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冒頭、湖のほとりで遊んでいた子供二人。
女の子が桟橋の木が壊れ池にハマる。
大人の助けを求めて走る男の子。
しかし、道路に飛び出した瞬間、車にはねられる。
ピクリとも動かぬ男の子の体は、やがて白い光に包まれる・・・

大人になったネイサンは弁護士。
しかし幼い息子を突然死で失い、妻のクレアとの関係もまずくなり別居する。
そんな彼の前にケイと言う名の医師が現れる。
彼は地下鉄駅で見知らぬ青年の死を予告し、的中させる。
彼には人の死を予見する能力があった。

人の死が予見できるというのも、何だかあんまり気持ちの良いものではない。
相手に教えてどうなるのだろうと言う気もする。
教えてもらって嬉しいと思う人と、そうでない人とがいるだろうが、それを見分けるのは難しい。

ケイを演じるのはジョン・マルコビッチ。
個人的な感覚かもしれないが、この人のねちっこいしゃべり方にどうもイライラ感がしてしまう。
何だか小バカにされているような気がして、それで「あなたは死にます」と言われたら、自分だったらブチ切れてしまうかもしれないと感じる。

自分の死期が近いとわかってしまったら、自分だったらどうするだろう。
そんな事を考えながら、ストーリーを追う。
ネイサンも妻と娘との元へ行き、和解しようとする。
そんな心が妻のクレアにも伝わる。

ハッピーエンドとは言えないエンディング。
いろいろと感じてくれというメッセージのようなものを感じる。
しかし、ジョン・マルコビッチへの反発からあまり面白いとは感じられなかった。
他の俳優だったら、もう少し印象が変わったかもしれない。
最初のシーンの映像の意味も、もう少しわかりやすくして欲しかった気もする。

人によってこの映画の評価は分かれるかもしれない。
良い映画だと思える要素もわかる。
ただ個人的にはちょっと合わなかったな、と言える映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
    
     

    
posted by HH at 00:02 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ