2012年07月14日

【チーム・バチスタの栄光】My Cinema File 889

チームバチスタの栄光.jpg

2008年 日本
監督: 中村義洋
原作: 海堂尊
出演: 竹内結子(田口公子)/阿部寛(白鳥圭輔)/吉川晃司(桐生恭一)/池内博之(鳴海涼)/玉山鉄二(酒井利樹)

<STORY>********************************************************************************************************
成功率60%といわれる心臓手術「バチスタ手術」を26例連続成功させていた、東城大学付属病院の専門集団「チーム・バチスタ」。
しかしその手術が3例連続で失敗するという事態が起きた。
原因は果たして事故なのか? 
それとも故意の“殺人”なのか?? 
心療内科医の田口は院長の命で手術失敗の内部調査を行うことに。
聞き取り調査の結果彼女は単なる事故として調査を終了しようとするが、そこに厚生労働省の白鳥が現れ……。
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東城大付属病院を舞台にした海堂尊の一連の医療小説の先駆けとなった「チームバチスタの栄光」。
その映画化作品である。
小説の映画化となると、2時間という時間的制約があったり、キャストのイメージギャップがあったりという問題がある。
それをうまく乗り越える事ができるかどうかが、映画が面白くなるかどうかの境だと思う。
この映画はそれらをうまく乗り越えられている。

タイトルにあるバチスタとは、心臓手術の一種。
心臓を止めてその間に心臓の一部を切り取るというもの。
映画の中でも桐生医師が語っていたが、「心臓を止めるという事は一旦患者を殺すという事」でもあり、考えた人はつくづく凄いと思う。
その成功率は60%。
難易度は非常に高い。

その難易度の高い手術を26例連続で成功させているのが、東城大学付属病院の桐生医師を中心としたスタッフ。
人呼んで「チーム・バチスタ」。
しかしそのチーム・バチスタが3例続けて手術に失敗する。
原因がわからない桐生は、自ら第三者による調査を依頼する。
引き受けたのは、病院の中でも閑職にあたる心療内科の田口。
そして、途中から加わるのが厚生労働省の白鳥。

凸凹コンビが真相究明に向かっていくストーリーだが、見所の一つがそのリアリティだろう。
本物かどうかはわからないが、手術室でのシーンでは心臓を見せて目の前で手術が展開される。
小説では絶対にできない事であり、映画の強みでもある。

主人公の田口は、原作では男。
それが映画では女になって、しかもなんと竹内結子がキャスティングされている。
個人的に竹内結子は大好きなのだが、これはミスキャストだ。
原作の田口の雰囲気がずれてしまっている。
竹内結子も一所懸命原作のぼおっとした主人公の雰囲気を出そうとしているが、美人女優のイメージとはどうしても合わない。

逆に白鳥役の阿部寛はハマっていたように思う。
この人は最近もあちこちの映画に出ていて、一見同じテイストに思えるが、実に器用に多角的に演じている感じである。
個人的には好きな役者の範疇に入ってくる。
驚いたのは桐生医師。
吉川晃司なのであるが、昔の記憶から比べると随分太っていた。
その他のキャストもお馴染みの役者陣だ。

観終わって感じたのは、「面白かった」の一言。
ベストセラーの映画化は難しいと思うが、映画の強みを活かしてよく2時間にまとめ上げている。
案外このシリーズの映画化は面白いのではないかと感じた。
機会があれば、次の作品も観てみたいと思う・・・


評価:★★☆☆☆
     
      

     
posted by HH at 11:56 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年07月08日

【レオニー】My Cinema File 888

レオニー.jpg


原題: Leonie
2010年 日本
監督: 松井久子
出演: エミリー・モーティマー(レオニー)/中村獅童(野口米次郎)/原田美枝子(梅子)/竹下景子/中村雅俊

<STORY>********************************************************************************************************
1901年、米国の名門女子大学を卒業し教職に就いていたレオニー・ギルモアは、ニューヨークで新進気鋭の日本人詩人ヨネ・ノグチこと野口米次郎に雇われ念願の編集者になる。
文学上のパートナーだった2人の関係はやがて恋愛へと発展しレオニーは妊娠するが、ヨネは逃げるように帰国してしまう。
意を決して男子を出産したレオニーは、日露戦争を経て日本人への差別が激しくなると幼い息子と共に日本へ旅立つのだった。
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名前だけは何となく知っているイサム・ノグチ。
著名な芸術家であるが、映画化される伝記となるとそういう有名人のものになりそうな気がするが、この映画は彼の“母親”を取り上げている。
なぜ母親なのか興味を惹かれるながら観た映画である。

その母親レオニー・ギルモアは米国の名門女子大の出身。
在学中に日本から留学してきていた津田梅子(津田塾大創設者)と知り合う。
自分はかなりの変わり者だと自覚し、そんな自分にあえて好意を示してきたキャサリンと仲良くなり、生涯の友となる。

卒業し、編集者になりたくて応募したレオニーを待っていたのは日本人の野口米次郎。
詩人である米次郎とのコンビで、彼の作品は売れて行く。
まだ人種差別の色濃い時代。
名前から日本人だとわかって売れない事を案じ、あえて名前を伏せての出版であった。
そして、自然の流れで二人は結ばれる。

やがて日露戦争が始ると日本人への風当たりも強くなり、米次郎は街で暴行を受けるようになる。
そんなアメリカに嫌気がさし、米次郎は帰国を決意。
レオニーは妊娠するが、そんな彼女を置いて米次郎は帰国してしまう。

時代は「坂の上の雲」の時代。
日本人も世界の列強に伍すべく背伸びをしていた。
近代の礎を築いた人たちが、明日を夢見て活躍しており、映画の時代背景は躍動感を感じる。

妊娠した妻を置いて帰国してしまうなんて、なんて酷い男なのだろうと思ってしまうが、アメリカの人種差別もまた酷い。
故郷に戻り、一人男の子を生んだレオニーは、米次郎からの要請で日本へ渡る。
この時代、渡航は船で長い時間がかかる。
幼い子を連れて見知らぬ日本へ渡ったレオニーの決意もまた凄い。

舞台は日本へと移り、当時の様子も興味深い。
英語を教える事で生計を立てる事になったレオニー。
生徒たちとの交流や言葉の通じない日本での生活。
今にして思えば大変な苦労だっただろうと思ってしまう。
生まれた子供イサムは、すぐに日本語も覚え、母親の通訳をするまでになるのが面白いところだ。

映画はそんなレオニーの生涯を追っていく。
まだまだ世界が広かった時代。
勇気ある人生を貫いた女性。
なるほど、映画になるのもわかる気がする。

レオニーは1933年に世を去る。
第2次大戦前で良かったと言えるのかもしれない。
人の数だけ物語がある。
そんな事を感じた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     
      


    
   
posted by HH at 21:36 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月25日

【メッセージ そして、愛が残る】My Cinema File 882

メッセージ そして、愛が残る.jpg


原題:Et après /英題:AFTERWARDS
2008年 ドイツ=フランス=カナダ
監督: ジル・ブルドス
出演: ロマン・デュリス(Nathan)/ジョン・マルコヴィッチ(Doctor Kay)/エヴァンジェリン・リリー(Claire)/リース・トンプソン(Jeremy)/パスカル・ブシェール(Anna)

<STORY>********************************************************************************************************
法律事務所に勤めるネイサンの元に、ある日、ジョゼフ・ケイと名乗る医師が現れる。
幼い息子を突然亡くし、妻や娘と別れてひとり仕事に没頭していたネイサンに、ケイは見知らぬ青年の死を予告する。
半信半疑だったネイサンだが、不思議な出来事が続き、死を予見するケイの能力を信じるようになる。
ケイは死期の迫った人に、その運命と向き合う時間を与えるメッセンジャーの役目を果たしていたのだ。
そしてケイがネイサンの前に現れた理由が解き明かされていく。
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冒頭、湖のほとりで遊んでいた子供二人。
女の子が桟橋の木が壊れ池にハマる。
大人の助けを求めて走る男の子。
しかし、道路に飛び出した瞬間、車にはねられる。
ピクリとも動かぬ男の子の体は、やがて白い光に包まれる・・・

大人になったネイサンは弁護士。
しかし幼い息子を突然死で失い、妻のクレアとの関係もまずくなり別居する。
そんな彼の前にケイと言う名の医師が現れる。
彼は地下鉄駅で見知らぬ青年の死を予告し、的中させる。
彼には人の死を予見する能力があった。

人の死が予見できるというのも、何だかあんまり気持ちの良いものではない。
相手に教えてどうなるのだろうと言う気もする。
教えてもらって嬉しいと思う人と、そうでない人とがいるだろうが、それを見分けるのは難しい。

ケイを演じるのはジョン・マルコビッチ。
個人的な感覚かもしれないが、この人のねちっこいしゃべり方にどうもイライラ感がしてしまう。
何だか小バカにされているような気がして、それで「あなたは死にます」と言われたら、自分だったらブチ切れてしまうかもしれないと感じる。

自分の死期が近いとわかってしまったら、自分だったらどうするだろう。
そんな事を考えながら、ストーリーを追う。
ネイサンも妻と娘との元へ行き、和解しようとする。
そんな心が妻のクレアにも伝わる。

ハッピーエンドとは言えないエンディング。
いろいろと感じてくれというメッセージのようなものを感じる。
しかし、ジョン・マルコビッチへの反発からあまり面白いとは感じられなかった。
他の俳優だったら、もう少し印象が変わったかもしれない。
最初のシーンの映像の意味も、もう少しわかりやすくして欲しかった気もする。

人によってこの映画の評価は分かれるかもしれない。
良い映画だと思える要素もわかる。
ただ個人的にはちょっと合わなかったな、と言える映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
    
     

    
posted by HH at 00:02 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月22日

【白いリボン】My Cinema File 881

白いリボン.jpg

原題: Das weiße Band
2009年 オーストリア=フランス=イタリア=ドイツ
監督: ミヒャエル・ハネケ
出演: 
クリスティアン・フリーデル(The School Teacher)
レオニー・ベネシュ(Eva)
ウルトリッヒ・トゥクール(The Baron)
スザンネ・ローター(The Midwife)
ブルクハルト・クラウスナー(The Pastor)
ライナー・ボック(The Doctor)

<STORY>********************************************************************************************************
1913年夏、北ドイツのある村。
張られた針金が原因でドクターが落馬したのが発端だった。
翌日にはその針金が消え、小作人の妻が男爵家の納屋で起きた事故で命を落とす。
秋、収穫祭の日、母の死に納得できない息子が、男爵の畑のキャベツを切り刻む。
その夜、男爵家の長男ジギが行方不明になった。
一方、牧師は反抗的な自分の子供たちに“純心”の象徴である白いリボンを腕に巻かせる。
犯人がわからないまま、不信感が村に広がっていく。
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2009年カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。
ヨーロッパの映画は、ハリウッドのそれとは一味違う。
さらにもまして、モノクロとくると映画全体を覆う暗い雰囲気がより一層際立つ感じがする。

物語の舞台は第一次大戦前のドイツ。
まだ男爵という爵位が残っており、その男爵を中心とした村に小作人たちが暮らしている。
そんな村で事件が起こる。
まずは村のドクターが、乗馬中に張られた針金に引っ掛かり落馬して重傷を負う。
明らかに意図的な事件だが、犯人はわからない。

続いて村の農婦が納屋の二階から落ちて死ぬ。
さらに男爵の息子ジギが、何者かに襲われて怪我をする。
そしてドクターを手伝う看護婦の知恵遅れの息子もまた、同じ目に会う。
そしてある晩、納屋が放火される。
すべて犯人は不明である。

村の有力者は男爵と牧師とドクター。
いずれも村で唯一の権威。
されど人格者というわけではなく、裏の顔を持つ。
男爵は夫婦関係に冷たい亀裂が入っており、牧師は家庭内でもあまりにも厳格過ぎ、ドクターは看護婦と不適切な関係を続けているといった有り様である。

村で起こる事件と3人の権力者を脇に置き、どうやら物語の語り部である教師の暮らしが描かれる。
男爵家のメイドに想いを寄せ、アプローチしていく。
まだ男女交際も不自由な時代を感じさせる二人の付き合いが、サイドストーリーとして語られる。

サラエボでオーストリア皇太子が暗殺される。
時代は戦争の足音がこだまする。
漠然と浮かび上がる犯人の姿。
心を病んでいると言える犯人だが、それを生み出しているのは明らかにその村である。

タイトルにある白いリボンとは、牧師が自分の子供につけさせたもの。
嘘をつく罰としてつけさせるのだが、どうやらそれは子供にとっては不名誉の証のようなものらしい。
ドイツらしい厳格な家庭で反抗は許されず、それがまた闇を生み出している事を連想させる。

ハリウッド映画のようなハッピーエンドとはほど遠く、重い雰囲気がのしかかってくる。事件の真相は結局わからないが、背景をあれこれと想像させてくれる。
そして大体の全体像もなんとなくわかる。
この村に特別に起こった事というよりも、大なり小なりどこにでも起こりうる事なのかもしれない。
観終わったあとに、考えさせてくれる映画である・・・

評価:★★☆☆☆
    
      

     
posted by HH at 22:19 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月09日

【僕と妻の1778の物語】My Cinema File 876

僕と妻の1778の物語.jpg


2011年 日本
監督: 星護
出演: 草なぎ剛/竹内結子/谷原章介/吉瀬美智子/小日向文世/大杉漣

<STORY>********************************************************************************************************
SF作家・朔太郎と銀行に勤める妻、節子は、人も羨む仲睦まじい夫婦。
朔太郎は一旦小説を書き始めると声も聞こえないほど熱中し、新婚旅行も取りやめにしたほど。
しかし、そんな朔太郎を節子は愛し、優しく見守っていた。
ある日、節子は突然、激しい腹痛を訴え病院へ行くと、大腸ガンと診断される。
医者から告げられた余命は1年。
笑いに抗がん作用があると聞いた朔太郎は、節子を笑わせるために、1日1篇の短編小説を書き始める…。
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「癌で余命いくばくもない・・・」などというキャッチ・コピーを見ると、ついついわざとらしいお涙ちょうだいモノを想像して敬遠してしまう。
「食わず嫌い」と言えばその通り。
それでもなんとなく観てみようと思ったのは、主演が竹内結子だからという理由に他ならない。
いざ観てみると、あまりわざとらしいお涙ちょうだいモノにはなっていない。
やはり「食わず嫌い」はほどほどがいいかもしれない。

SF作家朔太郎と銀行に勤める妻節子は、高校時代から付き合って結婚したという仲の良い夫婦。
出来あがった作品は、真っ先に妻節子が目を通す。
新婚旅行に出かける時、玄関で小説のアイディアが閃いた朔太郎は、そこで小説を書き始め、ついに新婚旅行へ行かずに書き続けたというエピソードを持つ。
普通なら離婚モノなのに、笑って許してしまう妻節子は、まさに「妻の鏡」と羨ましく思う。
演じる竹内結子がそれを増幅しているところもある。

ところが、そんな夫婦に悪夢が襲いかかる。
妻節子が大腸がんに罹り、余命1年と宣告される。
苦悩する朔太郎。
生活のすべてを妻節子に負っていた彼には、してあげられる事がない。
考えた末、笑いが免疫力を高めるという医師の言葉を信じ、1日1話、楽しい話を書く事にする。
さっそく、第1話を原稿に書き始める・・・

朔太郎がいつも抱えているのは、ペンと原稿。
今時ならキーボードなのだろうが、時代を感じさせるシチュエーション。
それもそのはず、この話は眉村卓というSF作家の実話をもとにしているようだ。
事実には小説に勝る強さがある。
1日1話の小説を、タイトルにある通り1778話書き続けたエピソードは、それだけで胸が熱くなるものがある。

もう一人の主演が草なぎ剛。
この人は何となく独特のキャラを持っており、そういう役柄が良く合う。
「山のあなた 徳市の恋」は個人的には絶賛したい役柄だったが、ここでも妻に頼りきりの純情な夫という役柄がピッタリとハマっている。
竹内結子とのカップルは本当にほのぼのとしていて羨ましい。

懸念したお涙ちょうだい的な盛り上がりはなく、ごく自然にストーリーに入っていけた。
願わくば、1778も綴ったストーリーをもう少し紹介してもらいたかったところだ。
タイトルだけでも面白そうなものがあった。
毎日一日も欠かさず、書き綴ったという事実が胸に温かいモノを呼び込む。
ストーリー的にも、キャスト的にも満足できた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
      
      
posted by HH at 23:22 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ