2011年11月27日

FLOWERSフラワーズ

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2010年 日本
監督: 小泉徳宏
出演: 蒼井優(凛)/鈴木京香(奏)/竹内結子(薫)/田中麗奈(翠)/仲間由紀恵(慧)/広末涼子(佳)

<STORY>********************************************************************************************************
2009年(平成21年)、奏(かな)はピアニストの夢にも行き詰まり、長年付き合った恋人とも別れ、意気消沈していた。
お腹の中には子どもがいたのだ。
祖母の告別式であった妹・佳(けい)は既に息子を産み、幸せそうな生活を送っていた…。
1936年(昭和11年)奏の祖母にあたる凛は会ったことのない男性と結婚すべきかどうか悩んでいた。
時代は巡り、物語は1960〜1970年代の凛の三人の娘、薫、翠、慧の恋愛・結婚の軌跡を追う。
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クレジットの出演女優のリストを観ているだけで、なんと豪華なと思ってしまった。
よくぞ集めたものである。
資生堂が、自社製品「TSUBAKI」のCMに出ていた女優さんを集め、制作・特別協賛したというが、こうした貢献でいい映画が出来あがるなら好ましいと思う。

物語はある家族の年代記。
トップは昭和11年の凛。
女学校を出た凛は親の決めた結婚を明日に控えて、心は揺れ動く。
父と娘のやり取りは、いかにも古き時代のそれ。
挙句に式の当日、凛は花嫁衣装のまま家を飛び出してしまう。

続いて昭和40年代の3姉妹。
凛の長女薫は、亡き夫との思い出の新婚旅行の地を一人訪れる。
二女の翠は、当時としては珍しいキャリアウーマン。
セクハラや「女のくせに」という風当たりを受けつつ、恋人にプロポーズされて思い惑う。
三女の慧は二人目の子供を授かるが、もともと体が弱く医者からは出産を諦めるようにと言われる。

そして現代の姉妹。
慧の長女奏は、ピアニストの夢は遠ざかり、お腹の中には分かれた恋人の子供を抱え思い迷う。
二女の佳は、夫と子供と幸せそうに過ごしている。

悩みを抱えた3世代の女性達。
時代を背景にそれぞれの悩みと向き合う。
当人たちのとっては大きな悩みも、時代を経て世代が変わると、その流れの中に埋もれていってしまう。
凛の葬儀に集まった人たちは、凛の結婚式での顛末をもはや誰も記憶していないだろう。
その中で一人奏の抱える苦悩も、やがては同じように埋もれていくのだろう。

それぞれオムニバス形式で描かれるが、昭和40年代のシーンは、とくに映像が懐かしい感じがした。
ファッションやオフィスの様子や車などが、丁寧に再現されていて、ストーリーと別のところで感心。
高度成長期も遠い過去になりつつある。

親と子とのシーンでは、少しうるうるする場面もあり、全体的には好印象。
欲を言えば各シーンがもう少し長ければ、というところだ。
現代のシーンでは、凛の葬儀が一つの舞台となっている。
そこにいるはずの薫と翠も描いて欲しかったと思うのだ。

奏と佳もやがて次の世代へとバトンを渡す。
こうして時代は流れていく。
個人的にはこの手のストーリーが好きな事もあって、大手企業が金に余せて有名女優を並べて終わったというだけの映画にならなかったところが良かったところだろう。
観る価値の十分ある映画である。


評価:★★★☆☆

                      

    
     
posted by HH at 23:58 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

レクイエム

レクイエム.jpg


原題: Five Minutes of Heaven
2009年 イギリス・アイルランド
監督: オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演: リーアム・ニーソン/ジェームズ・ネスビット/アナマリア・マリンカ/

<STORY>********************************************************************************************************
爆弾テロや殺人が日常茶飯事となっていた1975年の北アイルランドで、アルスター義勇軍のメンバーである17歳のアリスター・リトルは、報復テロとしてカトリック教徒である19歳のジム・グリフィンを殺害する。
しかし、その現場をジムの8歳になる弟ジョーに目撃される。
33年後、加害者であるアリスターと被害者の弟ジョーがテレビ番組の企画で顔を合わせることになる。
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アイルランド紛争も世界の中では大きな紛争の一つであった。
そのアイルランド紛争まっ最中の1975年。
アルスター義勇軍のメンバーであったアリスターは、自分達の仲間の受けた報復として、相手の男を射殺する。
その男は引っ越す予定であり、あえて殺害する事もなかったのであるが、仲間に対する虚栄心から計画を実行する。

そして現場では一部始終を相手の弟に目撃される。
弟のジョーは、母親からは何もしなかった事を責められ続け、それが心の傷となって残る。
33年後、テレビの企画で、ジョーはすでに服役して釈放されていたアリスターとの対談番組に出演する事になる。

映画は若き日のアリスターが殺害を実行するまでと、33年後にアリスターと被害者の弟ジョーとの再開の場面とに二分される。
前半部分は映画の導入部分だ。
激化する紛争。
その中で殺人をも厭わない抗争。
若き日のアリスターが一人の男を射殺するまで。

そして後半。
33年後にアリスターと殺された男の弟とが出会う。
どのような出会いとなるのかが興味の焦点。
しかしながら、どうも肝心のこの部分が感情移入できない。
33年のブランクを飛び越え過ぎなのである。

その33年の間にどんな人生があったのか。
母親に兄の死の責任を押し付けられ、それがトラウマとなったジョー。
それはよくわかるのであるが、アリスターの方はよくわからない。
わからないまま、二人の出会いを見ていても心に残るものはない。
90分と時間が短いのだから、もう少し丁寧に二人の背景・心情を描いていっていたら、あるいはもう少し心に残るものになったかもしれない。

なんだか中途半端な映画である・・・


評価:★☆☆☆☆


                    
posted by HH at 00:55 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年11月20日

オーケストラ

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原題: Le Concert
2009年 フランス
監督: ラデュ・ミヘイレアニュ
出演: アレクセイ・グシコフ/メラニー・ロラン/フランソワ・ベルレアン/ミュウ・ミュウ/ドミトリー・ナザロフ

<STORY>********************************************************************************************************
かつてボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレは、今はさえない劇場清掃員として働いている。
ある日パリのシャトレ劇場から、出演できなくなった楽団の代わりの出演依頼FAXを偶然目にした彼に、とんでもないアイデアが閃いた。
クビになったかつての楽団仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリショイ交響楽団代表としてパリに乗り込もうというのだ。
早速元チェロ奏者のグロスマンに話を持ちかける……。
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オーケストラが演奏練習する様子をうっとりと眺めるアンドレ。
実は劇場の清掃員。
サボっている姿を支配人に咎められる。
そんな彼は、支配人の部屋を掃除している時に、パリのシャトレ劇場からの演奏依頼のFAXを見つけてしまう。
閃いたアイディア。

さっそく友人のグスマンにアイディアを持ちかける。
俺たちで代わりに演奏に行こうと。
実はブレジネフ時代に、仲間のユダヤ人バイオリニストをかばって、アンドレはKGBからタクトを取り上げられたのだった。

30年のブランクも気にせず、「計画」に突き進むアンドレ。
一緒にやっていた頃から30歳年を取ったメンバーを集める。
一難去ってまた一難の連続なのだが、とうとう計画が動き出す。
さらにパリの一流バイオリニストとの共演まで、話が進んでしまう。
荒唐無稽な計画とドタバタ風の展開に、すっかりコメディ映画かと思う。

パリで共演するバイオリニストは美形のアンヌ・マリー・ジャケ。
自身アンドレのファンと好意的だが、にわか集めの楽団はパリに着いた途端、勝手な行動をして、リハーサルにも集まらない。
土壇場で破談の危機が迫る。

一方で、アンドレの不遇の過去が次第次第に明らかになる。
そして、アンヌ・マリーとの因縁。
チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」の演奏に執念を燃やすアンドレ。
物語の展開と明かされる過去とが対比されて進む。

ドタバタ風の喜劇は、やがてシリアスな展開へと移行する。
ブランクのある劇団が、自らの正体を偽り、ろくにリハーサルもせずに本番に臨む。
クラッシックの演奏を聞いても、その良し悪しを聞きわける耳などない。
しかしながら、俳優陣たちの表情でなんとなくそれがわかる。
そうした演出が、クラッシック音楽に疎い身にはありがたい。

アンヌ・マリーのソロに感化された劇団員たちが、30年の時を越えて本物の演奏をする。
その感動が、チャイコフスキーとともに伝わってくる。
コメディ風の映画として観ていたのに、ラストのチャイコフスキーの演奏とバックに流れる映像は、ストーリーを引き締め、心地良い感動をもたらす。

いい映画じゃないかと思わず独り言が漏れた映画である・・・


評価:★★★☆☆
                 


  
    
    
posted by HH at 23:03 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年11月14日

映画版ねこタクシー

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2010年 日本
監督: 亀井亨 
出演: カンニング竹山/鶴田真由/山下リオ/芦名星/室井滋

<STORY>********************************************************************************************************
間瀬垣勤は、人付き合いが苦手なタクシー運転手。
日の当たらない公園で弁当を食べるのが唯一の楽しみだった。
そんな間瀬垣を、じっと見つめる猫がいた。
まるでおじさんのようなふてぶてしい目つきをし、首輪には「御子神」と書かれている。
猫の何とも言えない貫禄に魅了された間瀬垣は、タクシーに猫を乗せ、猫カフェならぬ、猫タクシーを思いつく・・・
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タイトルに「映画版」とあるのを見ると、テレビドラマか何かの映画化版なのかと思ったら、その通りだった。
テレビドラマの方は観ていないし、と言うよりやっていたのも知らなかったほどである。
したがって、テレビドラマ版との比較はできないが、映画は単独でも十分楽しめるのは確かである。

主人公は人付き合いの苦手なタクシー運転手間瀬垣。
今日もカーナビの操作がうまくいかず、客からきちんと料金をいただけない。
営業所でも成績は最下位。
給料も当然少ないのだが、それでも何とか生活していられるのは、妻が教師をしているからのようである。

少ない小遣いを節約するため、ランチは公園で弁当を食べる。
ある時、その公園で1匹の猫と出会う。
「御子神」と名札を付けたその猫と、コムギと言う名の猫を猫屋敷に住む老婆からもらい受けた間瀬垣は、家に猫を連れて帰る。
そして、タクシーに乗せて仕事に取り掛かる・・・

主演はカンニング竹山。
あまりよく知らないが、コメディアンらしい。
これが気の弱い主人公を好演。
猫がきっかけで、口もきいてくれなかった娘が、猫を買うのに反対する妻と対立した時に味方になってくれる。
最下位だった営業成績が、ぐんぐん伸びる。
いつの間にか、間瀬垣の人生に追い風が吹いてくる。

しかし、物語はそう簡単にはいかない。
役所からクレームがつき、猫を乗せる事ができなくなる。
よくありがちなパターンだ。
そこから孤軍奮闘する間瀬垣。

妻を演じるのは鶴田真由なのであるが、これが実に良い奥さんなのである。
初めこそ猫を買うのを反対するものの、その後はしっかりと旦那さんを支える。
どうしてこんな冴えない男が、こんな奥さんと結婚できたのだろう。
いくらドラマでも納得がいかないところがある。

猫を巡る物語は、間瀬垣にも大きな転機をもたらす事になる。
気弱な男が少しずつ、殻を破っていく物語は観ていて心地良い。
映画版ゆえダイジェストになったところもある感じがするが、それはそれで気にはならない。
ちょっとほのぼのとしていて、それでいて楽しめる映画である。


評価:★★☆☆☆
             
  



     
posted by HH at 22:59 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年11月12日

あの夏の子供たち

あの夏の子供たち.jpg



原題: Le père de mes enfants
2009年 フランス
監督: ミア・ハンセン=ラヴ
出演: キアラ・カゼッリ/ルイ=ドー・デ・ランクサン/アリス・ド・ランクザン/アリス・ゴーティエ/エリック・エルモスニーノ

<STORY>********************************************************************************************************
独立系映画のプロデューサーとして精力的に飛び回るグレゴワール。
妻のシルヴィアや、クレマンス、ヴァランティーヌ、ビリーの3人の娘たちと過ごす休暇中も携帯電話を手放せないほど多忙だった。
ところが、経営する製作会社ムーン・フィルムが多額の負債を抱え、進行中の企画すら完成の目処が立たない苦境に追い込まれたある日、自ら命を絶つ。
遺された妻と娘たちは悲しみの中、最愛の父が生きた証を再確認してゆく・・・
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映画プロデューサーのグレゴワールは片時も携帯を手放さず、常にあれこれと電話で指示を出している。
予算を気にせず制作に没頭する監督に、赤字続きの毎日に銀行との交渉もあり、次の企画もありと休まる時がない。
それでも週末は郊外の別荘で家族と過ごす。
贅沢な生活なのに長女は週末は自由に過ごしたいと不満をもらす。

忙しい仕事と、妻と3人の娘と週末は別荘で過ごす生活で、一見グレゴワールは充実した人生を送っているかのように見える。
ところが資金繰りに窮し、歯車が狂いだす。
予算を気にしない監督、溜まりゆく請求書、給料の未払いに不満を言うスタッフ・・・
そして追いつめられたグレゴワールは、ついにピストルをこめかみに当てる。

人間は目の前にある幸せには得てして気付かないもの。
失って初めてその大事さに気がついたりする。
グレゴワールの家族にとって、グレゴワールの存在がまさにそれと言える。
いつも携帯を手放さず、休暇中も仕事の電話をしているグレゴワールに妻のシルヴィアは不満を爆発させる。
グレゴワールの死後、友人と共に会社の現状を目の当たりにすると、改めて夫の抱えていたものの重さを悟る。

まだ子供である二人の妹と比べると、大人になりかけの長女クレマンスの行動が、微妙な年頃の女の子をよく表している。
妹二人は対照的にとても無邪気。
グレゴワールの生前を描いた前半と、死後の後半との対比が印象的。
そう言えば「ディア・ハンター」でも、前半の幸せな日常生活の描写が、後半の地獄のような戦場を見事に浮き上がらせていた。
ふとそんな事を思い出す。

夫の残した会社を清算し、家族はパリを離れる。
最後に流れるのは「ケ・セラ・セラ」。
「将来どうなるの」と問う子供に「なるようになる」と答える歌詞が、家族の行く末を暗示する。
淡々とした描写が印象的な映画である。


評価:★★☆☆☆
   
    
    
posted by HH at 11:42 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ