2012年02月11日

春との旅

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2010年 日本
監督: 小林政広
出演: 仲代達矢/徳永えり/大滝秀治/菅井きん/淡島千景/田中裕子/香川照之

<STORY>********************************************************************************************************
19歳の孫娘・春と、北海道の漁村・増毛で暮らす74歳の忠男。
かつて漁師だった忠男は、妻と春の母である一人娘にも先立たれ、兄弟たちとも疎遠になっていた。
しかし、春が勤めていた小学校が廃校になり、春は都会へ出たいと言う。
そこで、忠男は兄弟たちの家に居候するために、春とともに兄弟たちの家を訪ねて行くことにする。
最初に訪れた長兄・重男は、忠男の申し出を拒んだ。
実は、重男は老人ホームへの入居が決まっていた…。
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冒頭、一人の老人が家を出てくる。
追いすがる若い娘。
老人は足が悪い。
突然の旅のスタートであるが、次第に事情が掴めてくる。

老人は孫娘の春と二人暮らし。
妻と春の母親でる一人娘はすでに他界。
春は務めていた小学校が廃校で職を失う。
地元の北海道増毛では職がなく、かといって春は都会に出ようとも祖父は一人暮らしが困難。

そんな中で、うっかり春は老人に兄弟の誰かと一緒に暮らしたらどうかと言ってしまったようである。
春は言葉を撤回したが、一途な老人は兄弟のところへと向かうべく家を出る。
こうして老人と春との、兄弟を尋ねる旅が始る。

始めは旅の目的もわからない。
それが登場人物たちの会話を通して、次第に事情が浮かび上がってくる。
折り合いの悪い兄は楽隠居し、大きな家に住んで悠々自適に暮らしている。
苦手な姉は鳴子温泉で旅館の女将をしている。
最も馬のあった弟は近況不明。
もう一人の弟は仙台で不動産業を営んで羽振りがいいらしい。
それぞれ当てをつけて尋ね歩くが、それぞれに事情を抱えている。

老人は頑固だ。
そして我がままでもある。
孫娘は振り回されつつも、健気についていく。
そして兄弟たちの現状に、それぞれ現代の日本が抱える問題が透けて見えてくる。
老人介護、後継者難、不況・・・

老人役は仲代達矢。
黒沢明監督作品に、三船敏郎とともに燦然と輝く大俳優だが、ここでは頑固な偏屈老人として登場。
自らの生き方が、今の自分自身の問題に表れている老人を好演。
いや、お見事と素人目にも言いたくなる。

もう一人の主演、春の役は徳永えり。
始めは年齢がわからなかった。
というのも若いのだけど、ガニマタで歩くしちっとも女性っぽくない。
きっとまだまだ幼いのだろうと思っていたら、のちに19歳(の役)だとわかる。
演技なのか地なのか、判別不能であった。

そして登場人物もバラエティに富んでいる。
兄の大滝秀治とその妻菅井きん。
姉の淡島千景と弟の妻田中裕子。
仙台で暮らす弟柄本明とその妻美保純。
春の父香川照之とその妻戸田菜穂。
みんなそれぞれ味わい深いを見せてくれる。

ラストはハッピーエンドかどうなのか迷うところだが、映画を観てきた最後の感想としては、これで良かったのではないかと思わせられる。
映画と同時に出版された同名の本では、映画のその後も語られているという。
今度読んでみたいという気になった。
日本映画らしいと言える映画かもしれない・・・


評価:★★☆☆☆
            
         




    
   
posted by HH at 11:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年02月06日

マイ・ブラザー

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原題: Brothers
2010年 アメリカ
監督: ジム・シェリダン
出演: トビー・マグワイア/ジェイク・ギレンホール/ナタリー・ポートマン/サム・シェパード/クリフトン・コリンズ・Jr

<STORY>********************************************************************************************************
海兵隊員のサムは、よき夫でよき父。
厄介者の弟トミーが出所するのと入れ替わりに、妻のグレースと二人の娘を残し、アフガニスタンに出征する。
しばらくしてグレースのもとにサムの訃報が届く。
悲しみに沈むグレースたちを慰めたのはトミーだった。
彼は兄嫁や姪たちを支える中で次第に更生していくが、ある日、死んだはずのサムが別人のようになって生還する……
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戦争映画と言えば、バッタバッタと敵をなぎ倒すものであったのが、「ディア・ハンター」以来、その負の面を描いたものが珍しくなくなった。
ベトナムと言えば、敗戦の苦みもあってか、アメリカ映画ではそれらの代名詞のようである。
時代は流れ、今はイラクだろう。

この映画の場合はアフガニスタン。
というのも、この映画は2004年のデンマーク映画「ある愛の風景」のリメイクらしいから、時間的にもアフガニスタンなのだろう。

主人公のサムは、妻グレースにとっては良き夫であり、二人の子供たちにとっては良き父。
親子二代にわたる海兵隊員として、任務にも忠実で良き兵士である。
一方で、弟のトミーは銀行強盗で捕まり刑務所入り。
好対照な二人の兄弟である。

そしてサムにアフガニスタンに出征の命令が下る。
出所するトミーを出迎え、愛する妻と子供たちに別れを告げて、サムは出征する。
そしてやがて、サムの乗っていたヘリが撃墜され、留守宅には戦死の連絡がなされる。
悲観にくれるグレース。
優秀な兄の死に両親も悲しみ、一族の鼻つまみ者であるトミーに父は冷たくあたる。

トミーも根っからの悪人ではなく、徐々に自分の生き方を定めていく。
子供たちの良き遊び相手になり、グレースのためにキッチンの改装をし、自らの罪を改めて悔い、被害者に詫びる。
トミーを嫌っていたグレースの気持ちも次第にほぐれていく・・・

このままでいれば、グレースとトミーの関係も進展し、また別の物語が芽生えていたのかもしれない。
しかし、それでは映画が盛り上がらない。
そこに、乗っていたヘリが撃墜されたものの、実は運よく生き残り、しかし捕虜になって心に深い傷を負ったサムが帰ってくる。
別人のようになったサムは、トミーとグレースの関係を疑い、物語は核心へと向かうのである。

元ネタはデンマーク映画なのであるが、デンマークもアフガニスタンに派兵していたんだろうか、とふと思う。
この映画ではすべてアメリカに置き換えてあるが、アメリカは国益を追求してあちこちに派兵しているから、どこでも違和感はないのだろうが、元ネタのデンマーク版はどうだったのだろうか。
まあそれはそれ。

トミーとグレースの関係を疑うサムであるが、本当の理由はアフガニスタンでの出来ごとにある。
心理学者でなくても、そのあたりの心の動きはよくわかり、映画としてもそう導いている。
こうなると、俳優陣の演技力がモノを言うのかもしれない。

主演のサムは、「スパイダーマン」のトビー・マグワイア。
元々どこか「心ここにあらず」的な表情の人だから、戦地帰りで傷心の軍人という役は合っている気がする。
役作りなのだろう、痩せて頬がこけ、目だけがギョロっとしているからよけいに迫力がある。

そしてここでも美しいナタリー・ポートマンが、健気な妻を演じる。
弟のトミーには、ジェイク・ギレンホール。
この人も「ブロークバック・マウンテン」で繊細な役柄を演じたが、この映画でも、そのイメージ通りに登場する。

特に感動溢れる物語というわけではないものの、静かに訴えかけてくるものがある映画である・・・


評価:★★☆☆☆
               



     
posted by HH at 23:00 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年01月14日

ヤギと男と男と壁と

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原題: The Men Who Stare at Goats
2009年 アメリカ
監督: グラント・ヘスロヴ
出演: ジョージ・クルーニー/ユアン・マクレガー/ジェフ・ブリッジス/ケヴィン・スペイシー/スティーブン・ラング

<STORY>********************************************************************************************************
妻の浮気を知った地方紙の記者ボブは、傷心のまま戦争が始まったばかりのイラクへと旅立つ。
クウェートでリンという米国人と知り合ったボブは、以前に取材した男からリンの名を聞いていたことを思い出した。
その男は「リンは軍で有能な超能力者」だと言っていたのだ。
リンに興味を示したボブは、イラクに向かうリンに同行する。道中でリンは、冷戦中に発足した驚くべき“超能力部隊”の歴史を語り始める…。
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主演がジョージ・クルーニーとユアン・マクレガー。
さらにジェフ・ブリッジスとケヴィン・スペイシーが共演しているというと、垂涎の映画という感じがする。
タイトルを見ても食指は動かなかったが、やはりこの出演陣を見たら、そりゃあ観ないといけない、と普通は思うだろう。
それがこの映画を観た動機だ。

しかしながら、どうもイメージしたのとは異なる展開で物語は進む。
ボブは地方記者。
その平和な生活が一変したのは、最愛の妻が編集長と浮気をし、彼の下を去ってしまった事による。
傷心のまま、ボブはイラクへと向かう。

そこで出会ったのが、リンと言う名の男。
かつて取材した男から名前を聞いた事があり、驚くボブ。
実はリンは米軍の超能力部隊に在籍していた超能力者だというのである。
さて、ここから実在したという米軍の超能力部隊の歴史が語られていく。
ボブは内心胡散くささを感じながら、それでもすごすごと帰国するわけにもいかず、リンと行動を共にする。

念力を使った超能力を大真面目に披露するリンであるが、観ている我々もボブとともにその胡散くささを拭いきれない。
タイトルにあるヤギは、念力で心臓を止める実験に使われるのであるが、実在の部隊もこんなことしていたのであろうか。
大真面目にヤギに念を送る姿(The Men Who Stare at Goats)は、滑稽でなんとも言えない。

ストーリーは大した盛り上がりがあるでもなく終わる。
ジョージ・クルーニーもユアン・マクレガーもジェフ・ブリッジスもケヴィン・スペイシーも、みんな真面目に演じているのだが、どうにもこうにも眠くなる映画だった。
正直言って面白くない。
まあみんなの次回作に期待したいと思うのである・・・


評価:★☆☆☆☆

                        


    
     
posted by HH at 23:59 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年01月07日

ザ・ロード

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原題: The Road
2009年 アメリカ
監督: ジョン・ヒルコート
出演: ヴィゴ・モーテンセン/コディ・スミット=マクフィー/ロバート・デュヴァル/ガイ・ピアース/シャーリーズ・セロン

<STORY>********************************************************************************************************
文明が崩壊して10年あまり。
空を厚い雲が覆い、寒冷化が進んだ世界には生物の姿はなく、食料もわずかしかない。
生き残った人々のなかには、人を狩り人肉を食らう集団もいた。
そんな大地を、ひたすら南を目指して歩く親子がいた。
道徳や理性を失った世界で、父親は息子に正しく生きることを教える。
自分たちが人類最後の「希望の火」になるかもしれないと。
人間狩りの集団におびえながらも、二人は海にたどり着く…。
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原作はピューリッツァー賞受賞の小説との事。
核戦争か天変地異か何かのウィルスなのかはわからないが、文明が崩壊したあとの世界。
ある父と子が南を目指して歩く。
食べるものもなく、動物も植物も目にする事もない。
そんな世界は毎日生きる事だけが為すべき事。

食べるモノがなくなると人間は理性も失い、やがて共食いを始める集団が出てくる。
親子は食べ物を確保して生き残る事だけではなく、こうした「人肉食い」の集団からも逃れなければならない。
厄介なものはやはり人間というわけである。

男の妻は、そんな世界に絶望して自ら命を断つ。
いずれは肉食集団につかまり、レイプされ殺されて食べられるのなら、そんな未来を迎える前に命を絶つという決断を下したのである。
それ以来、男は一人で息子を育てている。
「あの子が寒くないように南へ行って」という妻の言葉に従い、南を目指す。

映画はそんな親子の姿を追う。
観ながらいろいろと考えさせられる。
妻の決断を弱いモノと片付ける事はできない。
親子で生き残って、その先に何があるというのだろう。
自分達が老いて死んだあと、息子はどうなるのだろう。
ただ毎日生き残る事だけの人生にどんな価値があるのだろう。
毎日本能のままに食べるモノを探してうろつく姿は、残念ながら野良犬と変わらない。

父親は、それまでの経験でとにかく用心深い。
途中で出会ったよぼよぼの老人にすら、警戒を解かない。
それに対して、純粋に育った息子は寛容だ。
食べ物を与えようとし、手をつないで共に歩こうとする。
息子の寛容性が一服の清涼剤のようだ。
しかし、寝ている間に食料を持って逃げられるかもしれないという可能性は考えないといけない。
文明は、刑罰というタガがあってはじめて成り立っているのかもしれない。

名もなき父親を演じるのは、ヴィゴ・モーテンセン。
そう言えば、クローネンバーグ監督の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でも家族を守る父親として登場した。
頼るべきもののない中で、家族を守る父という形では相通じるものがある。
登場人物の少ない映画なわりには、妻としてシャーリーズ・セロン、途中で出会う老人はロバート・デュバル、最後に表れる男がガイ・ピアースとそれなりの役者が揃っている。

ストーリーを楽しむという映画ではなく、観て考えるという映画だ。
そこがピューリッツァー賞の所以なのかもしれない。
人として生きるという意味を考えさせられる映画である。


評価:★★☆☆☆
                    
                        
posted by HH at 21:55 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年11月27日

FLOWERSフラワーズ

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2010年 日本
監督: 小泉徳宏
出演: 蒼井優(凛)/鈴木京香(奏)/竹内結子(薫)/田中麗奈(翠)/仲間由紀恵(慧)/広末涼子(佳)

<STORY>********************************************************************************************************
2009年(平成21年)、奏(かな)はピアニストの夢にも行き詰まり、長年付き合った恋人とも別れ、意気消沈していた。
お腹の中には子どもがいたのだ。
祖母の告別式であった妹・佳(けい)は既に息子を産み、幸せそうな生活を送っていた…。
1936年(昭和11年)奏の祖母にあたる凛は会ったことのない男性と結婚すべきかどうか悩んでいた。
時代は巡り、物語は1960〜1970年代の凛の三人の娘、薫、翠、慧の恋愛・結婚の軌跡を追う。
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クレジットの出演女優のリストを観ているだけで、なんと豪華なと思ってしまった。
よくぞ集めたものである。
資生堂が、自社製品「TSUBAKI」のCMに出ていた女優さんを集め、制作・特別協賛したというが、こうした貢献でいい映画が出来あがるなら好ましいと思う。

物語はある家族の年代記。
トップは昭和11年の凛。
女学校を出た凛は親の決めた結婚を明日に控えて、心は揺れ動く。
父と娘のやり取りは、いかにも古き時代のそれ。
挙句に式の当日、凛は花嫁衣装のまま家を飛び出してしまう。

続いて昭和40年代の3姉妹。
凛の長女薫は、亡き夫との思い出の新婚旅行の地を一人訪れる。
二女の翠は、当時としては珍しいキャリアウーマン。
セクハラや「女のくせに」という風当たりを受けつつ、恋人にプロポーズされて思い惑う。
三女の慧は二人目の子供を授かるが、もともと体が弱く医者からは出産を諦めるようにと言われる。

そして現代の姉妹。
慧の長女奏は、ピアニストの夢は遠ざかり、お腹の中には分かれた恋人の子供を抱え思い迷う。
二女の佳は、夫と子供と幸せそうに過ごしている。

悩みを抱えた3世代の女性達。
時代を背景にそれぞれの悩みと向き合う。
当人たちのとっては大きな悩みも、時代を経て世代が変わると、その流れの中に埋もれていってしまう。
凛の葬儀に集まった人たちは、凛の結婚式での顛末をもはや誰も記憶していないだろう。
その中で一人奏の抱える苦悩も、やがては同じように埋もれていくのだろう。

それぞれオムニバス形式で描かれるが、昭和40年代のシーンは、とくに映像が懐かしい感じがした。
ファッションやオフィスの様子や車などが、丁寧に再現されていて、ストーリーと別のところで感心。
高度成長期も遠い過去になりつつある。

親と子とのシーンでは、少しうるうるする場面もあり、全体的には好印象。
欲を言えば各シーンがもう少し長ければ、というところだ。
現代のシーンでは、凛の葬儀が一つの舞台となっている。
そこにいるはずの薫と翠も描いて欲しかったと思うのだ。

奏と佳もやがて次の世代へとバトンを渡す。
こうして時代は流れていく。
個人的にはこの手のストーリーが好きな事もあって、大手企業が金に余せて有名女優を並べて終わったというだけの映画にならなかったところが良かったところだろう。
観る価値の十分ある映画である。


評価:★★★☆☆

                      

    
     
posted by HH at 23:58 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ