2012年04月09日

【パーマネント野ばら】My Cinema File 850

パーマネント野ばら.jpg

2010年 日本
監督: 吉田大八
原作: 西原理恵子
出演: 菅野美穂/小池栄子/池脇千鶴/江口洋介/宇崎竜童/夏木マリ

<STORY>********************************************************************************************************
なおこは夫と離婚し、娘の一人娘のももを連れて実家に戻った。
実家では母・まさ子が「パーマネント野ばら」という美容室を営んでおり、毎日近所の女性たちが詰めかけては男の思い出や恋の話に花を咲かせていた。
何度も再婚を繰り返したまさ子は最後の夫・カズオとは別居中。
カズオは別の女性と同居しており、なおこに取り成しを頼んできた。
そんななおこは、高校教師のカシマと、誰にも秘密でひっそりとした交際を続けていた…
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西原理恵子原作漫画の映画化作品。
一見ほのぼのとした人間ドラマだが、ぐさりと突き刺さるものがある映画である。

舞台は海辺の田舎町。
古びた看板を掲げる美容院。
店の名前は「パーマネント野ばら」。
この美容院を一人で切り盛りしている母まさ子のところに、主人公なおこは、離婚して一人娘のももと一緒に戻って暮らしている。

店に出入りするのは近所の常連のおばさんたち。
男の下ネタ話で毎回会話に花を咲かせている。
他にも町にはなおこの幼馴染みのみっちゃんとともちゃんがいる。
みっちゃんもともちゃんも、男では苦労の連続。
なおこも離婚はしたものの、密かに高校教師のカシマと付き合っている。

こんな登場人物たちが、順番にエピソードを披露してくれる。
しかしながら、登場する女たちはみんなあけすけで遠慮がない。
男の下ネタ話のオンパレード。
おばちゃんパワー全開で、とても中には入れない。
男が女の品評会をやるのと逆の世界である。

注目したのは、主人公なおこと幼馴染みの3人組。
主演の菅野美穂は、力を抜いた感じで登場し、一人男と良好な関係を維持しているが、それも最後に隠し玉を秘めている。
ともちゃんは池脇千鶴。
久しぶりに観た気がするが、記憶よりもいつの間にか太っている。
されど不幸ないじめられキャラは健在だ。

みっちゃんを演じるのは小池栄子。
「接吻」での狂気の主人公役が印象深いが、ここでも大きな目が顔の中心で際立つ表情で、田舎のお姉ちゃんとして登場。
「接吻」とはまったくイメージが違い、役者としての力量のようなものを感じる。
カンブリア宮殿のアシスタントとはがらりとイメージが違い、さすが役者という感じだ。

一人で生きていくには辛そうな環境の中、みんなで寄り添ってなんとか生きている女たち。
そんな女たちの日常生活を描いた映画。
映画化された理由もなんとなく伝わってくる映画である。


評価:★★☆☆☆
    




   
posted by HH at 22:22 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年03月25日

【コトバのない冬】My Cinema File 839

コトバのない冬.jpg

2008年 日本
監督: 渡部篤郎
出演: 高岡早紀/渡部篤郎/未希/広田レオナ/鈴木一真

<STORY>********************************************************************************************************
北海道の小さな町で父親と暮らす冬沙子。
東京でモデルとして成功している妹と違い、冬沙子は、父や町の人々と過ごす平凡な生活を愛していた。
ある日、冬沙子は父親の使いで夕張まで出かける。
雪が降り出した帰り道、冬の間、閉鎖している遊園地を管理する青年、渉と知り合う。
渉は、言葉を話せなかったが、2人は不思議な心のつながりを感じるのだった…。
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舞台は北海道のある小さな町。
父親は薬局を経営、母親は既に亡くなり、主人公の冬沙子は牧場で働いている。
すでに結婚適齢期でありながら、こんな片田舎では出会いもないまま平凡な日常生活が続いている・・・
そんな雰囲気が、説明はなくとも伝わってくる。
きっとどこにでもある光景なのだろう。

やがて東京から妹が帰ってくる。
モデルとして働いている妹だが、いつ戻るとも言わない帰宅に、何となく何か東京であったのかな、という感じを覚えさせる。
小説と違い、映画はこういう雰囲気で伝える部分が強みだ。

ある日、冬沙子は父親に頼まれて、遠方に住む顧客に薬を届けに行く。
その帰り途。
いつ来るとは知れぬ田舎のバスを待つ時、遊園地を管理する一人の青年と知り合う。
彼は口がきけない。
タイトルの意味がなんとなくわかってくる。

映画を観て行くと、なんとなく映画らしからぬ違和感に包まれる。
映画を観ているというよりも、何だかドキュメンタリー番組を観ているような感覚に襲われるのである。
何でだろうかはよくわからない。
たぶん、ハンドカメラなのだろうか、手ぶれ感が漂う画面だからかもしれない。

ドキュメンタリー風に、淡々と登場人物たちを映し出していく。
どこで、何がどう盛り上がるのか、まるで掴めないままなのである。
その感覚のまま、冬沙子はしきりにどこかに電話をかけ、コール音だけを空しく聞いている。
そして突然の展開。

冬の北海道と言えば一面の銀世界。
その白いイメージのままの映画。
突然の展開に、「ああそういう話だったのか」と思わず思ってしまう。
そんな事もあるのかもしれない。
どこかの街で、起こりそうとも言えるし、ドラマなお話とも言える物語なのである。


評価:★★☆☆☆
   
   
   
posted by HH at 16:40 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年03月19日

【川の底からこんにちは】My Cinema File 837

川の底からこんにちは.jpg

2009年 日本
監督: 石井裕也
出演: 満島ひかり/遠藤雅/相原綺羅/志賀廣太郎/岩松了

<STORY>********************************************************************************************************
上京して5年、仕事も恋愛もうまくいかず妥協した日々を送っていたOLの佐和子。
そんな彼女の元に、父が末期がんで倒れたという知らせが届いた。
佐和子は田舎に戻り、実家のしじみ工場を継ぐことに。
しかし工場は倒産寸前で、パートで働くおばちゃんたちからも相手にされない。
さらについてきた恋人にまで浮気されてしまう始末。
そんな追い込まれた中で佐和子は工場を立て直す決意をし……。
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上京して5年。
上京して5つ目の仕事に就き、上京して5人目の彼氏健一はバツイチこぶつきというOL佐和子。
何事も「しょうがない」という口癖とともに、諦め切って人生を送るが如くの日々の生活。
同僚OLとの会話を聞いていると、その無気力さに尻を蹴飛ばしたくなる。

そんな佐和子の下に、故郷の父が倒れたという知らせが届く。
末期癌で余命いくばくとなり、やむなく父の経営するしじみ工場を引き継ぐ事になる。
そこについてきたのが、会社を辞めた彼氏の健一。
子供も連れて押しかけてくる。
この彼氏も女房に逃げられ、会社も実質的に首になり、要は佐和子の実家を当てにして転がり込んで来ているのである。
誰も彼もが性根を入れ変えたくなるような人物ばかり。

いざ継いだ工場であるが、社長の後継ぎと言っても、工場で働くおばさんたちにしてみればただの小娘。
しかも高校を卒業してすぐ東京へ駆け落ちしたが失敗したという経緯もあり、田舎では半端モノの烙印を押されて見られてしまう。
肝心な工場は、しじみのパック詰めという何の特色もない事業で、受注は減り続け経営的には青息吐息の状態。

経営はどうしていいかわからず、周りからは白い目で見られ、彼氏は子供を残して同級生の女の下へ走ってしまう。
こんな八方ふさがりの状況に、“キレた”佐和子は自らを「中の下」と称して、「頑張る」と周囲に宣言。
猛烈な開き直りを見せる・・・

ちょっと変わったタイトルは、川の底から取れるしじみから来ている。
主演は満島ひかり。
冒頭から妙な雰囲気を醸し出す。
この満島ひかりは、実は「悪人」にも出演していて、主人公に殺されてしまう女の子の役だったが、妙に印象に残っている。
この映画ではまた違った雰囲気。
ひょっとしたらかなりの演技派なのかもしれない。

何をやってもダメな「中の下」の女が、開き直って物事すべてに体当たりでぶつかっていく。
そんな痛快なストーリー。
ただ、傾いたしじみ工場を立て直すのに、「県庁の星」のようなビジネス的に納得性の高い手法だったりすると、サラリーマン的にも受けたのではないかと、ちょっと残念な気もする。

あまりあれこれ考えずに、ストーリーに集中すれば結構楽しめる映画である。
満島ひかりには、これからちょっと注目してみたいと思う・・・


評価:★★☆☆☆
    



    
    
posted by HH at 22:49 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年03月04日

【メランコリア】My Cinema File 830

メランコリア.jpg

原題: Melancholia
2011年 アメリカ
監督: ラース・フォン・トリアー
出演: キルスティン・ダンスト/シャルロット・ゲンズブール/キーファー・サザーランド/シャーロット・ランプリング/ジョン・ハート

<STORY>********************************************************************************************************
マイケルとの結婚を決めたジャスティンは、姉・クレアの豪邸で結婚パーティーを行う。
最初は楽しそうに振舞っていたジャスティンだが、段々と浮かない顔を見せ始める。
やがてパーティーを抜けしたり、マイケルとのベッドを離れたり、奇妙な行動を取り始めたジャスティン。
そんなジャスティンに怒ったマイケルは、彼女をクレアの家に置いて帰ってしまう。
その頃、天体異常が起こり、メランコリアという惑星が地球に近付いていた…。
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冒頭、意味ありげな幻想的なシーンと音楽が続く。
そして2つの惑星が衝突する。
なんとも思わせぶりな、それでいて夢をみているようなイントロである。

一転して郊外のゴルフ場に隣接するお城のような屋敷。
まさに一組の結婚式が始っている。
新郎はマイケル、新婦はジャスティン。
幸せ一杯のカップルに見えるが、ジャスティンの姉夫婦の豪邸で開かれたパーティーには不穏な空気が漂う。

気まぐれな新婦は、式をアレンジした姉の苦労には無頓着。
周りの迷惑も考えず、自由気ままに行動する。
妻を精一杯愛するマイケルも、その行動に戸惑うばかり。
一体、何の映画だったのだろうとわからなくなりそうなシーンが延々と続く。

そう言えば、名画「ディア・ハンター」でも、前半一時間は結婚式と鹿狩りの平和なシーンが延々と続いた。
それが後半のベトナムの戦場との見事なコントラストになった。
この映画もそんな狙いがあったのかもしれない。

その頃、実は大きな惑星が太陽系の軌道に入り込み、地球に接近していた。
当然、その軌道は計算され、地球のそばを通過するとされていた。
だからだろうか、「2012」や「ハルマゲドン」のようなパニック映画になる事もなく、ストーリーは淡々と姉妹の行動を追っていくものになっている。
それはまるで詩の朗読を聞いているかのようである。

迫りくる惑星の名前は「メランコリア」。
メランコリーと言えば憂鬱、あるいは悲哀。
そんな意味を意識した名前なのだろうか。
何か訴えかけてくるものがあるが、それが何かはっきりとはしない。
そんなもどかしさを感じてしまう。

人はいざ死を前にしたらどう行動するのか、できるのか。
そんな事を問い掛けられたようである。
自分だったらどうするだろう。
あまりにも印象的な美しい音楽に包まれながら、そんな事を考えてみた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
  
     


    
   
posted by HH at 11:03 | 東京 ☁ | Comment(1) | TrackBack(2) | ドラマ

2012年03月03日

【ジョニー・マッド・ドツグ】My Cinema File 829

ジョニー・マッド・ドッグ.jpg

原題: Johnny Mad Dog
2007年 フランス=ベルギー=リベリア
監督: ジャン=ステファーヌ・ソヴェール
出演: クリストフ・ミニー/デジー・ヴィクトリア・ヴァンディ/ダグベー・トウェー

<STORY>********************************************************************************************************
内戦で混乱を極めるアフリカ。
反政府軍の名の下に虐殺・レイプ・強盗など残虐行為を繰り返す少年兵部隊。
リーダーの“ジョニー・マッド・ドッグ”は、ナンバー2の“ノー・グッド・アドバイス”ら部下を引き連れ、上官の命令を全うすべく命知らずの行軍を続けて行く。
一方、幼い弟と歩けない父親を抱えた13歳の少女ラオコレは、戦乱の街を逃げ惑っている最中、ジョニーたちが幼い少年をなぶり殺しにするのを目撃する。
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以前、「シティ・オブ・メン」という映画を観た。
その前に観た「シティ・オブ・ゴッド」もそうであったが、ブラジルの貧民街の少年たちの衝撃的なストーリーだった。
年端もいかぬ子供たちが銃を持って対立に明け暮れている。
体は子供でも、銃を持てば立派に人を殺せる。
そこには大人も子供も差はなく、肉体的なハンデも関係ない。
これはそんなブラジル映画を久しぶりに思い起こさせてくれた映画である。

とあるアフリカの国。
反政府軍が勢力を増し、その一員達が村を襲う。
彼らはみな子供。
リーダーはジョニー・マッド・ドッグ。
略奪をし、父親を銃殺しその子供を拉致する。
やがて自分達の仲間に入れてしまうのである。
そういえば、「ブラッド・ダイアモンド」にもそんな話が出てきた。

子供の頃から銃を振り回す殺戮の世界。
当然人命などどうとも思わず、まともな大人になどなるはずもない。
その子供たちも同様で、どこまでいってもその国の未来は暗い。
これはフィクションだろうが、似たような話はたくさんあるのだろう。

映画はそんなバイオレンス少年軍団の姿を追う。
彼らに命令を与え、操るのは大人たち。
障害者の父親と弟を抱えた少女が、そんな彼らと遭遇する。
混乱の中で逃げまどう人々。
略奪と殺人を繰り返す子供たち。

観ているこちらの方まで絶望的な気分が伝わってくる。
国連もなす術がないのは、「ルワンダ 流血の4月」でも同様だった。

結局最後までどこの国の物語かはわからなかったが、毎日命の心配をしなくていい社会というのは、つくづくありがたいものだと思わせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆
    
    
posted by HH at 00:11 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ