2011年10月09日

グッド・ウィル・ハンティング

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原題: Good Will Hunting
1997年 アメリカ
監督: ガス・ヴァン・サント
出演: マット・デイモン/ロビン・ウィリアムズ/ベン・アフレック/ミニ・ドライヴァー/ステラン・スカルスゲールド

<STORY>********************************************************************************************************
南ボストン。
ウィル・ハンティング(マット・デイモン)は、MIT(=マサチューセッツ工科大学)で清掃員のバイトをしている。
親友のチャッキー(ベン・アフレック)、モーガン(キャセイ・アフレック)、ビリーらとつるんで、たびたび警察沙汰の事件を起こしたりとタチが悪いが、実は彼は、特に数学に異様な才能を見せる天才だった。
ある日、ウィルは人目を盗んで、MITの掲示板に書かれた難解な数学の証明問題をこっそり解く。
出題者のランボー教授(ステラン・スカルゲールド)は問題を解いたのがウィルと知り、傷害事件で拘置所にいた彼をたずねて、身柄をあずかる。
条件は、週2回彼と共に研究室で勉強し、さらに週1回セラピーを受けること。
ウィルはランボーの下で新たな日々を送りはじめた・・・
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マット・デイモンの初期の作品。
最初のクレジットで、「脚本マット・デイモン&ベン・アフレック」と出るが、幼馴染であるという二人が無名時代に書いた脚本を映画化したのだと言う。
そのまま二人でアカデミー脚本賞を受賞しているのも、興味深いエピソードである。
かつて一度観た映画であるが、思い出してまた観たくなった次第である。

全米屈指の大学MITで清掃員のアルバイトをしているウィルは、「数学のノーベル賞」とも言われるフィールズ賞を受賞したランボー教授が、生徒に課題として出した数学の問題を密かに解いてしまう。
ランボー教授は、「犯人」を突き止めるが、ようやく見つけた場所は法廷。
過去の罪状を知るも、法廷で自己弁護をするウィルの才能に気付いたランボー教授は、収監寸前のウィルを救い出す。

条件は数学の研究と週に一度のセラピー。
しかしウィルはセラピーには反発し、ランボーが連れてくる医者をことごとく追い返してしまう。
ウィルの才能を惜しんだランボーは、最後の手段として大学時代のルームメイトであるショーンにセラピーを依頼する。

このショーン役が、ロビン・ウィリアムス。
今回は髭もじゃながら、あの独特の笑顔は変わらない。
5人の専門家がさじを投げたウィルとのセラピーを開始する。
頑なに心を閉ざしたウィルとショーンのやり取りがこの映画の見所の一つ。
次第に冷たく凍りついたウィルの心の扉を、ショーンは少しずつ氷を溶かしていく。
似たような境遇の二人が、次第に歩み寄っていく様は胸が温かくなるものがある。

ウィルはフィールズ賞を受賞したランボー教授を唸らせ、やがてその才能はランボー教授をも凌駕する。
アルバイトのウィルが、MITの学生が歯が立たない数学の難問を難なく解き、知識をひけらかすハーバードの学生を論破する様は痛快。

そしてストーリーの中でも重要な役割を果たす親友チャッキー。
共同脚本家であるベン・アフレックも良い役どころを持っていく。
ウィルと一緒に毎日をおもしろおかしく過ごすものの、ウィルの才能には気がついている。
ウィルを迎えに行くシーンで映画は始るが、やがてそのシーンに重要な意味がある事が明らかになる。
ウィルを取り巻く友人たちの行動も、忘れられないものがある。

アクションスターに変身する前のマット・デイモンの若き日の出演作。
マット・デイモン映画としては外せない一作であろう。


評価:★★★☆☆
    
     
posted by HH at 22:39 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年09月08日

ツリー・オブ・ライフ

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原題: The Tree of Life
2011年 アメリカ
監督: テレンス・マリック
出演: ブラッド・ピット/ショーン・ペン/ジェシカ・チャスティン/フィオナ・ショウ/ハンター・マクケラン

<STORY>********************************************************************************************************
若い頃に弟に死なれたジャックは、仕事で成功し中年にさしかかった今も、子ども時代のトラウマに囚われていた。
1950年代半ば、中央テキサスの田舎町で暮らしていた10代のジャック。
夢のように美しい風景に包まれていながら、彼の生活は、強権的な父親に完全に支配されていた。
「男が成功するためには、なによりも力が必要」と信じ、自分の信念を息子たちに叩き込もうとする父親。
我が子に無償の愛を注ぎ続ける聖母のごとき母親。
そんな相反する両親に挟まれ、翻弄されるうち、幼かった少年はやがて純真さを失い、そんな自分に傷ついていく…。
時が経っても痛みを伴う回想の中で、ジャックは心の平安にたどりつけるのか?
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この映画を観た友人が一言「難解だった」と感想をもらした。
「2001年宇宙の旅」みたいなものだろうか、と最初のシーンから緊張して観た。
例えワンシーンであろうと見逃すまいと・・・
その結果の感想は、一言で言えばこの映画は「理解する映画ではなく感じる映画だ」というものだった。

冒頭で少女とともに語られる言葉「生き方には2つある。世俗に生きるか、神に委ねるか」、これが全編を通して描かれる。
中心となるのは両親と3人の子供の一家。
音楽家になる夢を諦め、世俗で金と名誉を求めるも挫折していく父。
その夢を子供たちに託そうと厳格に躾ける。
一方で神の御心のままに生きようとする母。

宇宙の映像が挿入される。
そして生命の誕生と進化。
恐竜が闊歩する。
そして親らしき恐竜が子供らしき恐竜の頭を踏みつける。
その後のストーリーを暗示するかのように・・・
そして、恐竜時代に終わりを告げる事を意味する隕石の落下・・・

人類は繁栄し、もっとも繁栄するアメリカに住む一つの家族。
生命進化の大きな流れ(Tree of Life)からすれば取るに足りない存在。
神へ祈りを捧げたところで、大きな川の流れの中のそれは小さな波紋の如く、神の目には止まらないように思える。
事実、敬虔に生きていても、母は最愛の息子を失う。
それは誰にも逆らえない運命。

淡々と過ぎゆく一家の日常生活。
厳格な父と子供たちの葛藤。
観ているうちに何かの映画と似ているような気がしてきた。
「アース」のような自然界のドキュメンタリーだ。
これは動物たちの代わりにある家族の日常を追い掛けたものだ。
動物たちの家族が自然の中で、餌を捕えたり、敵に追われたり、兄弟でじゃれあったりしているのを観ているようだ。

それを観ていて、その動物たちを映す事に寄って監督は何を言いたいのだろうと推理しても始らない。
自然に生きる動物たちのありのままの姿を観て、それぞれ何を感じるかだ。
大人になっても厳格な父と敬虔な母が心の中で同居する長男。
そんな長男を中心にその家族を観ていて何かを感じる映画なのだろう。

「シン・レッド・ライン」でも監督のテレンス・マリックは、まるで叙事詩のような戦争映画を作ったが、この映画にも相通ずるものがある。
面白いか面白くないかと言う観点から評価したらまったく面白くない。
ただ何かを感じる映画である。
それがカンヌ映画祭パルム・ドールの理由なのかもしれない。
確かである事は、スカッとしたい時に観るのにはふさわしい映画ではないという事である・・・

それにしても一家の子供たち。
ショーン・ペンとブラッド・ピットに良く似ていた。
本当の子供を出演させているのかと思ってしまった・・・


評価:★★☆☆☆

                     

     
posted by HH at 23:08 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | ドラマ

2011年08月22日

しあわせの隠れ場所

しあわせの隠れ場所.jpg

原題: The Blind Side
2009年 アメリカ
監督: ジョン・リー・ハンコック
出演: サンドラ・ブロック/ティム・マッグロウ/クイントン・アーロン/キャシー・ベイツ/リリー・コリンズ

<STORY>********************************************************************************************************
夫と子供たちと裕福に暮らすリー・アンは、寒い真冬の夜、Tシャツ一枚で街を歩く黒人の少年、マイケルと出会う。
アンは身寄りのないマイケルを憐れに思い家族として迎えるが、家や豊かな食事に感謝するマイケルから、幸せとは何かを教えられていく。
やがて、マイケルはアメリカン・フットボールの選手として頭角を表すようになる・・・
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現在NFLのボルチモア・レイブンズに所属するアメリカン・フットボール選手マイケル・オアーの実話に基づく映画化である。
涙腺の弱い人は気をつけて観ないといけない。

マイケル・オアーは13人兄弟の一人だが、父親の顔は知らず、母親はドラッグ漬けという環境で育つ。
190センチを越える巨漢で、ビック・マイクと呼ばれている。
キリスト教系のブライアクレスト・クリスチャンスクールに入学を認められたのは、ほとんど慈悲の精神から。
成績も振るわず、世話になっている家でも厄介者扱いだった。

ある寒い晩、Tシャツに短パンという姿で歩いているマイケルをテューイ夫妻が見かける。
暖を求めて体育館に行くところだと語るマイケルをリー・アン夫人は自宅へと連れていく。
黒人で巨漢ということもあり、おっかなびっくりのところもあったリー・アンだが、マイケルの境遇を知り、家族として迎え入れる事にする。

レストランチェーンのオーナー、ショーンをはじめとして、リー・アン夫人、コリンズ、SJの姉弟のテューイ一家はスポーツ一家。
やがてマイケルも学業の改善もあってフットボールを始める。
テストでは下位の結果ばかりのマイケルだが、「保護本能」だけは極めて高く、それは交通事故でSJを救った事でも発揮される。
そしてそれは、「チームメイトを守る」というフットボールのポジションで大いに発揮される事になる・・・

この映画でもまた実話の持つ強さというものを感じる。
マイケルを受け入れたテューイ一家の愛情も、フィクションだと白々しいがノンフィクションだとなると重みが増す。
マイケルを主導的に受け入れていくのはリー・アン夫人だが、夫の人格もまた大したもの。

最初の晩に、泊める事にしたものの、やっぱり不安なリー・アンが、「何か盗まれないかしら」と夫ショーンに打ち明ける。
ショーンの答えは簡単だ。
「朝になればわかるよ」
そしてその朝、勇気を持って階下に様子を見に行ったリー・アンは、ソファの上にきちんとたたまれたシーツを発見する。
黙って出ていこうとするマイケルを追いかけ、リー・アンは連れ戻す・・・

金持ちだから出来た事と言えば100%その通りだろう。
しかし、同じ金持ちの奥様連中はリー・アンの行為を単なる外面のための慈善行為としか見ていないし、ましてや自分たちもやろうなどとは思わない。
お金と心の両方が備わっていないとできないことである。

主演はサンドラ・ブロック。
マイケルに愛情を向ける一方で、男勝りの気の強さも随所に見せる。
ほろりとさせるところや思わずにやりとさせられるシーンもあり、アカデミー賞の主演女優賞も納得といったところ。

エンドクレジットでは、マイケル・オアーはじめテューイ一家本人たちの映像が流れる。
映画を観終わったあとにそれを観るのは格別な気分がする。
運命のいたずらと言えば言えるのだが、まさに「しあわせの隠れ場所」というタイトルそのままの感動を味わえる映画である・・・


評価:★★★☆☆


    

     
posted by HH at 22:36 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年08月21日

プレシャス

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原題: Precious: Based on the Novel Push by Sapphire
2009年 アメリカ
監督: リー・ダニエルズ
出演: ガボレイ・シディベ/モニーク/ポーラ・パットン/マライア・キャリー/シェリー・シェパード

<STORY>********************************************************************************************************
ニューヨーク・ハーレムに暮らす16歳の黒人少女プレシャスは、二人目の子どもを妊娠していた。
二人とも、実の父親に性的虐待されてできた子どもだ。
彼女は実の母からも虐待を受けている。
妊娠の事実が学校に知れ、プレシャスは学校を退学になる。
代替学校に通い始めたプレシャスは、レイン先生と出会い、文字が読めるようになり、自分の感情を文字で人に伝える方法を知る。
そして、劣悪な環境から抜け出そうと戦い始める…。
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主人公は16歳の黒人少女プレシャス。
でっぷりと太り、当然可愛くもなく、口数も少なく、体の大きさを除けば目立たない存在。
授業中に校長先生に呼び出され、妊娠しているのかと詰問される。
そして妊娠を理由に退学を宣告される。

何とまあ衝撃的なプロローグ。
可愛い子ならともかく、何で妊娠なんかしたのだろうと、むしろ相手に対する興味が湧く。
しかし、相手は何と自分の父親。
しかも家に帰れば働きもせず、生活保護で暮らす母親からいびられる毎日。
何の楽しみも感じられない毎日。

退学で学校を放り出されたプレシャス。
そんな彼女に校長先生は代替学校を紹介してくれ、必要な手続きもしてくれる。
代替学校なんて日本人には馴染みがないが、どうやら希望者に最低限の教育をしてくれるところらしい。
通うのもいかにも学校をドロップアウトしたような生徒や移民の子たちだ。
そこでブルー・レインという女性の先生に出会う。

何せ“ABC”の書き方から学ぶわけであるからレベルは知れている。
それでもレイン先生はとにかくみんなに書かせる事から教えていく。
自分の気持ちを、考えを文字にしていく事の大切さを教えていく。
やがてプレシャスは出産し、自分の父親との子供二人の母親としての生活が始る。

男だったらこうした劣悪な環境に育った子供たちは、ギャングになってしまうのかもしれない。
女であってもその取り巻きになり、売春婦となるのかもしれない。
しかし自分の父親の子供とは言え子供を授かったからこそ、真面目に勉強して子育てをしていこうと決意できたのかもしれない。

プレシャスを虐待していた母親も、悪人というわけでもなく、彼女なりの辛さもあったわけで、それが虐待というゆがんだ形で出ていたのである。
フィクションとはいえ、アメリカのハーレムあたりではごくありがちな風景なのかもしれない。
子供と一緒に観るというわけにもいかないが、考えさせられる事の多い映画である。


評価:★★☆☆☆
    
     

    
  
posted by HH at 21:39 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年08月06日

わたし出すわ

わたし出すわ.jpg

原題: 
2009年 日本
監督: 森田芳光
出演: 小雪/黒谷友香/井坂俊哉/山中崇/小山田サユリ

<STORY>********************************************************************************************************
東京から生まれ故郷に戻ってきた山吹摩耶は、久々に高校時代の同級生たちと再会する。
世界の路面電車巡りに憧れる市電の運転士、練習中にケガをしたマラソンランナー、箱庭協会の会長になりたい男の妻、養魚試験場で働く研究員・・・
彼らの夢や希望の実現のために、彼女は次々に「わたし、出すわ」と大金を差し出す。
どのように稼いだお金なのか、友人たちは勘ぐりながらもその大金を受け取ってしまう。
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森田芳光監督作品という事で、ちょっと期待して観た映画だった。
しかし、そのブランドもそろそろ色褪せてきている気がする。
それだけで期待するのはもうちょっと厳しいかもしれない。

主人公は東京から生まれ故郷に戻って来た摩耶。
引っ越し業者の青年にチップとしていきなり10万円を包んでしまう。
しかし、そんな大盤振る舞いをするような身なりでもない。
路面電車に乗り込むと、運転手の同級生に話しかける。
かつての仲間たちと会いたいと言うも、最初からは集まらず。
世界の路面電車巡りをしたいと語る彼に、その費用を出すわと言って、ポンと大金を段ボールに入れて送りつける。

そして昔の友人たちに次々とお金を渡していく。
摩耶がなぜそんなにお金を持っているのかはなぞのままストーリーは進んでいく。
思いがけずお金を受け取った友人たちの様子もまた様々。
お金はその使い道によって明暗が分かれる。
お金の持つ魅力と魔力とでもいうべきものが現れる。

現実にはあって欲しいがあり得ないストーリー。
それはそれで展開によっては面白いと思う。
しかしながら、この物語はどうだろう。
摩耶のなぞはなぞのまま。
母親との関係はどうなっているのだろう。

なぞの多いストーリーは面白いと思うが、それも種明しがあってこそ。
なぞがなぞのまま終わってしまうと、どうだったんだろうと変な欲求不満が残る。
それが作り手の狙いという場合もあるかもしれないが、受け手に受け入れられなければそれまでの事。
そんな肩すかしが入った終わり方。

評価はひとそれぞれ。
個人的には「出せないわ」と言いたい。


評価:★☆☆☆



     
posted by HH at 22:16 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ