2011年11月14日

【映画版ねこタクシー】My Cinema File 789

ねこタクシー.jpg

2010年 日本
監督: 亀井亨 
出演: カンニング竹山/鶴田真由/山下リオ/芦名星/室井滋

<STORY>********************************************************************************************************
間瀬垣勤は、人付き合いが苦手なタクシー運転手。
日の当たらない公園で弁当を食べるのが唯一の楽しみだった。
そんな間瀬垣を、じっと見つめる猫がいた。
まるでおじさんのようなふてぶてしい目つきをし、首輪には「御子神」と書かれている。
猫の何とも言えない貫禄に魅了された間瀬垣は、タクシーに猫を乗せ、猫カフェならぬ、猫タクシーを思いつく・・・
********************************************************************************************************

タイトルに「映画版」とあるのを見ると、テレビドラマか何かの映画化版なのかと思ったら、その通りだった。
テレビドラマの方は観ていないし、と言うよりやっていたのも知らなかったほどである。
したがって、テレビドラマ版との比較はできないが、映画は単独でも十分楽しめるのは確かである。

主人公は人付き合いの苦手なタクシー運転手間瀬垣。
今日もカーナビの操作がうまくいかず、客からきちんと料金をいただけない。
営業所でも成績は最下位。
給料も当然少ないのだが、それでも何とか生活していられるのは、妻が教師をしているからのようである。

少ない小遣いを節約するため、ランチは公園で弁当を食べる。
ある時、その公園で1匹の猫と出会う。
「御子神」と名札を付けたその猫と、コムギと言う名の猫を猫屋敷に住む老婆からもらい受けた間瀬垣は、家に猫を連れて帰る。
そして、タクシーに乗せて仕事に取り掛かる・・・

主演はカンニング竹山。
あまりよく知らないが、コメディアンらしい。
これが気の弱い主人公を好演。
猫がきっかけで、口もきいてくれなかった娘が、猫を買うのに反対する妻と対立した時に味方になってくれる。
最下位だった営業成績が、ぐんぐん伸びる。
いつの間にか、間瀬垣の人生に追い風が吹いてくる。

しかし、物語はそう簡単にはいかない。
役所からクレームがつき、猫を乗せる事ができなくなる。
よくありがちなパターンだ。
そこから孤軍奮闘する間瀬垣。

妻を演じるのは鶴田真由なのであるが、これが実に良い奥さんなのである。
初めこそ猫を買うのを反対するものの、その後はしっかりと旦那さんを支える。
どうしてこんな冴えない男が、こんな奥さんと結婚できたのだろう。
いくらドラマでも納得がいかないところがある。

猫を巡る物語は、間瀬垣にも大きな転機をもたらす事になる。
気弱な男が少しずつ、殻を破っていく物語は観ていて心地良い。
映画版ゆえダイジェストになったところもある感じがするが、それはそれで気にはならない。
ちょっとほのぼのとしていて、それでいて楽しめる映画である。


評価:★★☆☆☆
             
  



     
posted by HH at 22:59 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年11月12日

【あの夏の子供たち】My Cinema File 788

あの夏の子供たち.jpg



原題: Le père de mes enfants
2009年 フランス
監督: ミア・ハンセン=ラヴ
出演: キアラ・カゼッリ/ルイ=ドー・デ・ランクサン/アリス・ド・ランクザン/アリス・ゴーティエ/エリック・エルモスニーノ

<STORY>********************************************************************************************************
独立系映画のプロデューサーとして精力的に飛び回るグレゴワール。
妻のシルヴィアや、クレマンス、ヴァランティーヌ、ビリーの3人の娘たちと過ごす休暇中も携帯電話を手放せないほど多忙だった。
ところが、経営する製作会社ムーン・フィルムが多額の負債を抱え、進行中の企画すら完成の目処が立たない苦境に追い込まれたある日、自ら命を絶つ。
遺された妻と娘たちは悲しみの中、最愛の父が生きた証を再確認してゆく・・・
********************************************************************************************************

映画プロデューサーのグレゴワールは片時も携帯を手放さず、常にあれこれと電話で指示を出している。
予算を気にせず制作に没頭する監督に、赤字続きの毎日に銀行との交渉もあり、次の企画もありと休まる時がない。
それでも週末は郊外の別荘で家族と過ごす。
贅沢な生活なのに長女は週末は自由に過ごしたいと不満をもらす。

忙しい仕事と、妻と3人の娘と週末は別荘で過ごす生活で、一見グレゴワールは充実した人生を送っているかのように見える。
ところが資金繰りに窮し、歯車が狂いだす。
予算を気にしない監督、溜まりゆく請求書、給料の未払いに不満を言うスタッフ・・・
そして追いつめられたグレゴワールは、ついにピストルをこめかみに当てる。

人間は目の前にある幸せには得てして気付かないもの。
失って初めてその大事さに気がついたりする。
グレゴワールの家族にとって、グレゴワールの存在がまさにそれと言える。
いつも携帯を手放さず、休暇中も仕事の電話をしているグレゴワールに妻のシルヴィアは不満を爆発させる。
グレゴワールの死後、友人と共に会社の現状を目の当たりにすると、改めて夫の抱えていたものの重さを悟る。

まだ子供である二人の妹と比べると、大人になりかけの長女クレマンスの行動が、微妙な年頃の女の子をよく表している。
妹二人は対照的にとても無邪気。
グレゴワールの生前を描いた前半と、死後の後半との対比が印象的。
そう言えば「ディア・ハンター」でも、前半の幸せな日常生活の描写が、後半の地獄のような戦場を見事に浮き上がらせていた。
ふとそんな事を思い出す。

夫の残した会社を清算し、家族はパリを離れる。
最後に流れるのは「ケ・セラ・セラ」。
「将来どうなるの」と問う子供に「なるようになる」と答える歌詞が、家族の行く末を暗示する。
淡々とした描写が印象的な映画である。


評価:★★☆☆☆
   
    
    
posted by HH at 11:42 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年10月23日

【リミッツ・オブ・コントロール】My Cinema File 780

リミッツ・オブ・コントロール.jpg

原題: The Limits of Control
2008年 アメリカ
監督: ジム・ジャームッシュ
出演: イザアック・ド・バンコレ/ティルダ・スウィントン/工藤夕貴/ジョン・ハート/ガエル・ガルシア・ベルナル

<STORY>********************************************************************************************************
ある孤独な男は、任務を遂行するために一切他人を信用せず、計画の目的など謎に包まれたまま、スペインの様ざまな街をめぐる。
ありのままの現実と、夢の中をさまようかのように非現実的な光景が交錯する男の旅。
男は自身の意識の中をもさすらう…
********************************************************************************************************

主人公は名前の出てこない孤独な男。
どうやら殺し屋らしいとわかる。
“仕事”の指示を受け、スペインへと向かう。
ホテルに滞在し、カフェでなぜかエスプレッソを2カップ並べて飲む。
次々に指示を持って訪れる男女。

次にどう展開するのかまったくわからず、時間だけが過ぎて行く。
男はなぜかいつもエスプレッソ2カップを並べて飲む。
殺し屋には不思議な習慣があるものだから、これはなんとなく何らかの威厳を持たせる習慣かもしれないと思う。

殺し屋はクールだ。
依頼主がよこした女が部屋のベッドで全裸で寝ていても、眉一つ動かさない。
それどころか、仕事中に女は抱かないとの己の信念を守って、全裸の女と同じベッドで一晩何もせずに過ごす。
美術館巡りをしながら、ひたすら指示を待つ。

途中で工藤夕貴が登場する。
まだまだ海外でもメジャーな日本人なのだろう。
そんな刺激でもない限り眠気を押さえられない。
男はあまりしゃべらないし、まあゴルゴ13並みの孤独主義なのかもしれない。

そしていよいよ指示が来る。
向かった場所は、ボディーガードがうようよといる砂漠の中の建物。
とてもではないが、侵入は難しい。
ターミネーターでもない限り、不可能に思えるミッション。
眠気に耐えて観てきた甲斐があったというもの。

ところが、なんとこの強固な警戒網を男は“イマジネーション”で易々と越えてしまう。
ゴルゴ13も真っ青だ。
あっけに取られたのは言うまでもない。
そしてようやく何日着続けたのかわからないスーツを着替えて物語は終わる。

こういう映画は嫌いだ。
ストーリーはまったく面白くない。
しかし、面白くないと言ってしまうと、「わかってないな」と烙印を押されてしまいそうである。
「お前は、ジム・ジャームッシュ監督のこの映画がわからないのか」と。

しかし、したり顔してわかったようなコメントをするのも性に合わない。
裸の王様の着ている服を褒めるような気がしてならない。
映画の事がわかってないなと言われても仕方ないが、はっきり言おう。
「この映画はつまらない」。
過去がどうだったかは関係なく、ジム・ジャームッシュだろうとなんだろうとこの映画はつまらない。
わかるヤツにしかわからない映画を作って満足しているなら、それでいい。
素人の自分としては、他の監督の作った「素人でもわかる映画」を観て、貴重な人生の時間を過ごしたいと思う。


評価:☆☆☆☆☆




      
    
posted by HH at 10:44 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年10月09日

【グッド・ウィル・ハンティング】My Cinema File 775

グッド・ウィル・ハンティング.jpg

原題: Good Will Hunting
1997年 アメリカ
監督: ガス・ヴァン・サント
出演: マット・デイモン/ロビン・ウィリアムズ/ベン・アフレック/ミニ・ドライヴァー/ステラン・スカルスゲールド

<STORY>********************************************************************************************************
南ボストン。
ウィル・ハンティング(マット・デイモン)は、MIT(=マサチューセッツ工科大学)で清掃員のバイトをしている。
親友のチャッキー(ベン・アフレック)、モーガン(キャセイ・アフレック)、ビリーらとつるんで、たびたび警察沙汰の事件を起こしたりとタチが悪いが、実は彼は、特に数学に異様な才能を見せる天才だった。
ある日、ウィルは人目を盗んで、MITの掲示板に書かれた難解な数学の証明問題をこっそり解く。
出題者のランボー教授(ステラン・スカルゲールド)は問題を解いたのがウィルと知り、傷害事件で拘置所にいた彼をたずねて、身柄をあずかる。
条件は、週2回彼と共に研究室で勉強し、さらに週1回セラピーを受けること。
ウィルはランボーの下で新たな日々を送りはじめた・・・
********************************************************************************************************

マット・デイモンの初期の作品。
最初のクレジットで、「脚本マット・デイモン&ベン・アフレック」と出るが、幼馴染であるという二人が無名時代に書いた脚本を映画化したのだと言う。
そのまま二人でアカデミー脚本賞を受賞しているのも、興味深いエピソードである。
かつて一度観た映画であるが、思い出してまた観たくなった次第である。

全米屈指の大学MITで清掃員のアルバイトをしているウィルは、「数学のノーベル賞」とも言われるフィールズ賞を受賞したランボー教授が、生徒に課題として出した数学の問題を密かに解いてしまう。
ランボー教授は、「犯人」を突き止めるが、ようやく見つけた場所は法廷。
過去の罪状を知るも、法廷で自己弁護をするウィルの才能に気付いたランボー教授は、収監寸前のウィルを救い出す。

条件は数学の研究と週に一度のセラピー。
しかしウィルはセラピーには反発し、ランボーが連れてくる医者をことごとく追い返してしまう。
ウィルの才能を惜しんだランボーは、最後の手段として大学時代のルームメイトであるショーンにセラピーを依頼する。

このショーン役が、ロビン・ウィリアムス。
今回は髭もじゃながら、あの独特の笑顔は変わらない。
5人の専門家がさじを投げたウィルとのセラピーを開始する。
頑なに心を閉ざしたウィルとショーンのやり取りがこの映画の見所の一つ。
次第に冷たく凍りついたウィルの心の扉を、ショーンは少しずつ氷を溶かしていく。
似たような境遇の二人が、次第に歩み寄っていく様は胸が温かくなるものがある。

ウィルはフィールズ賞を受賞したランボー教授を唸らせ、やがてその才能はランボー教授をも凌駕する。
アルバイトのウィルが、MITの学生が歯が立たない数学の難問を難なく解き、知識をひけらかすハーバードの学生を論破する様は痛快。

そしてストーリーの中でも重要な役割を果たす親友チャッキー。
共同脚本家であるベン・アフレックも良い役どころを持っていく。
ウィルと一緒に毎日をおもしろおかしく過ごすものの、ウィルの才能には気がついている。
ウィルを迎えに行くシーンで映画は始るが、やがてそのシーンに重要な意味がある事が明らかになる。
ウィルを取り巻く友人たちの行動も、忘れられないものがある。

アクションスターに変身する前のマット・デイモンの若き日の出演作。
マット・デイモン映画としては外せない一作であろう。


評価:★★★☆☆
    
     
posted by HH at 22:39 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年09月08日

【ツリー・オブ・ライフ】My Cinema File 763

ツリーオブライフ.jpg

原題: The Tree of Life
2011年 アメリカ
監督: テレンス・マリック
出演: ブラッド・ピット/ショーン・ペン/ジェシカ・チャスティン/フィオナ・ショウ/ハンター・マクケラン

<STORY>********************************************************************************************************
若い頃に弟に死なれたジャックは、仕事で成功し中年にさしかかった今も、子ども時代のトラウマに囚われていた。
1950年代半ば、中央テキサスの田舎町で暮らしていた10代のジャック。
夢のように美しい風景に包まれていながら、彼の生活は、強権的な父親に完全に支配されていた。
「男が成功するためには、なによりも力が必要」と信じ、自分の信念を息子たちに叩き込もうとする父親。
我が子に無償の愛を注ぎ続ける聖母のごとき母親。
そんな相反する両親に挟まれ、翻弄されるうち、幼かった少年はやがて純真さを失い、そんな自分に傷ついていく…。
時が経っても痛みを伴う回想の中で、ジャックは心の平安にたどりつけるのか?
********************************************************************************************************

この映画を観た友人が一言「難解だった」と感想をもらした。
「2001年宇宙の旅」みたいなものだろうか、と最初のシーンから緊張して観た。
例えワンシーンであろうと見逃すまいと・・・
その結果の感想は、一言で言えばこの映画は「理解する映画ではなく感じる映画だ」というものだった。

冒頭で少女とともに語られる言葉「生き方には2つある。世俗に生きるか、神に委ねるか」、これが全編を通して描かれる。
中心となるのは両親と3人の子供の一家。
音楽家になる夢を諦め、世俗で金と名誉を求めるも挫折していく父。
その夢を子供たちに託そうと厳格に躾ける。
一方で神の御心のままに生きようとする母。

宇宙の映像が挿入される。
そして生命の誕生と進化。
恐竜が闊歩する。
そして親らしき恐竜が子供らしき恐竜の頭を踏みつける。
その後のストーリーを暗示するかのように・・・
そして、恐竜時代に終わりを告げる事を意味する隕石の落下・・・

人類は繁栄し、もっとも繁栄するアメリカに住む一つの家族。
生命進化の大きな流れ(Tree of Life)からすれば取るに足りない存在。
神へ祈りを捧げたところで、大きな川の流れの中のそれは小さな波紋の如く、神の目には止まらないように思える。
事実、敬虔に生きていても、母は最愛の息子を失う。
それは誰にも逆らえない運命。

淡々と過ぎゆく一家の日常生活。
厳格な父と子供たちの葛藤。
観ているうちに何かの映画と似ているような気がしてきた。
「アース」のような自然界のドキュメンタリーだ。
これは動物たちの代わりにある家族の日常を追い掛けたものだ。
動物たちの家族が自然の中で、餌を捕えたり、敵に追われたり、兄弟でじゃれあったりしているのを観ているようだ。

それを観ていて、その動物たちを映す事に寄って監督は何を言いたいのだろうと推理しても始らない。
自然に生きる動物たちのありのままの姿を観て、それぞれ何を感じるかだ。
大人になっても厳格な父と敬虔な母が心の中で同居する長男。
そんな長男を中心にその家族を観ていて何かを感じる映画なのだろう。

「シン・レッド・ライン」でも監督のテレンス・マリックは、まるで叙事詩のような戦争映画を作ったが、この映画にも相通ずるものがある。
面白いか面白くないかと言う観点から評価したらまったく面白くない。
ただ何かを感じる映画である。
それがカンヌ映画祭パルム・ドールの理由なのかもしれない。
確かである事は、スカッとしたい時に観るのにはふさわしい映画ではないという事である・・・

それにしても一家の子供たち。
ショーン・ペンとブラッド・ピットに良く似ていた。
本当の子供を出演させているのかと思ってしまった・・・


評価:★★☆☆☆

                     

     
posted by HH at 23:08 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | ドラマ