2011年08月22日

【しあわせの隠れ場所】My Cinema File 754

しあわせの隠れ場所.jpg

原題: The Blind Side
2009年 アメリカ
監督: ジョン・リー・ハンコック
出演: サンドラ・ブロック/ティム・マッグロウ/クイントン・アーロン/キャシー・ベイツ/リリー・コリンズ

<STORY>********************************************************************************************************
夫と子供たちと裕福に暮らすリー・アンは、寒い真冬の夜、Tシャツ一枚で街を歩く黒人の少年、マイケルと出会う。
アンは身寄りのないマイケルを憐れに思い家族として迎えるが、家や豊かな食事に感謝するマイケルから、幸せとは何かを教えられていく。
やがて、マイケルはアメリカン・フットボールの選手として頭角を表すようになる・・・
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現在NFLのボルチモア・レイブンズに所属するアメリカン・フットボール選手マイケル・オアーの実話に基づく映画化である。
涙腺の弱い人は気をつけて観ないといけない。

マイケル・オアーは13人兄弟の一人だが、父親の顔は知らず、母親はドラッグ漬けという環境で育つ。
190センチを越える巨漢で、ビック・マイクと呼ばれている。
キリスト教系のブライアクレスト・クリスチャンスクールに入学を認められたのは、ほとんど慈悲の精神から。
成績も振るわず、世話になっている家でも厄介者扱いだった。

ある寒い晩、Tシャツに短パンという姿で歩いているマイケルをテューイ夫妻が見かける。
暖を求めて体育館に行くところだと語るマイケルをリー・アン夫人は自宅へと連れていく。
黒人で巨漢ということもあり、おっかなびっくりのところもあったリー・アンだが、マイケルの境遇を知り、家族として迎え入れる事にする。

レストランチェーンのオーナー、ショーンをはじめとして、リー・アン夫人、コリンズ、SJの姉弟のテューイ一家はスポーツ一家。
やがてマイケルも学業の改善もあってフットボールを始める。
テストでは下位の結果ばかりのマイケルだが、「保護本能」だけは極めて高く、それは交通事故でSJを救った事でも発揮される。
そしてそれは、「チームメイトを守る」というフットボールのポジションで大いに発揮される事になる・・・

この映画でもまた実話の持つ強さというものを感じる。
マイケルを受け入れたテューイ一家の愛情も、フィクションだと白々しいがノンフィクションだとなると重みが増す。
マイケルを主導的に受け入れていくのはリー・アン夫人だが、夫の人格もまた大したもの。

最初の晩に、泊める事にしたものの、やっぱり不安なリー・アンが、「何か盗まれないかしら」と夫ショーンに打ち明ける。
ショーンの答えは簡単だ。
「朝になればわかるよ」
そしてその朝、勇気を持って階下に様子を見に行ったリー・アンは、ソファの上にきちんとたたまれたシーツを発見する。
黙って出ていこうとするマイケルを追いかけ、リー・アンは連れ戻す・・・

金持ちだから出来た事と言えば100%その通りだろう。
しかし、同じ金持ちの奥様連中はリー・アンの行為を単なる外面のための慈善行為としか見ていないし、ましてや自分たちもやろうなどとは思わない。
お金と心の両方が備わっていないとできないことである。

主演はサンドラ・ブロック。
マイケルに愛情を向ける一方で、男勝りの気の強さも随所に見せる。
ほろりとさせるところや思わずにやりとさせられるシーンもあり、アカデミー賞の主演女優賞も納得といったところ。

エンドクレジットでは、マイケル・オアーはじめテューイ一家本人たちの映像が流れる。
映画を観終わったあとにそれを観るのは格別な気分がする。
運命のいたずらと言えば言えるのだが、まさに「しあわせの隠れ場所」というタイトルそのままの感動を味わえる映画である・・・


評価:★★★☆☆


    

     
posted by HH at 22:36 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年08月21日

【プレシャス】My Cinema File 753

プレシャス.jpg

原題: Precious: Based on the Novel Push by Sapphire
2009年 アメリカ
監督: リー・ダニエルズ
出演: ガボレイ・シディベ/モニーク/ポーラ・パットン/マライア・キャリー/シェリー・シェパード

<STORY>********************************************************************************************************
ニューヨーク・ハーレムに暮らす16歳の黒人少女プレシャスは、二人目の子どもを妊娠していた。
二人とも、実の父親に性的虐待されてできた子どもだ。
彼女は実の母からも虐待を受けている。
妊娠の事実が学校に知れ、プレシャスは学校を退学になる。
代替学校に通い始めたプレシャスは、レイン先生と出会い、文字が読めるようになり、自分の感情を文字で人に伝える方法を知る。
そして、劣悪な環境から抜け出そうと戦い始める…。
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主人公は16歳の黒人少女プレシャス。
でっぷりと太り、当然可愛くもなく、口数も少なく、体の大きさを除けば目立たない存在。
授業中に校長先生に呼び出され、妊娠しているのかと詰問される。
そして妊娠を理由に退学を宣告される。

何とまあ衝撃的なプロローグ。
可愛い子ならともかく、何で妊娠なんかしたのだろうと、むしろ相手に対する興味が湧く。
しかし、相手は何と自分の父親。
しかも家に帰れば働きもせず、生活保護で暮らす母親からいびられる毎日。
何の楽しみも感じられない毎日。

退学で学校を放り出されたプレシャス。
そんな彼女に校長先生は代替学校を紹介してくれ、必要な手続きもしてくれる。
代替学校なんて日本人には馴染みがないが、どうやら希望者に最低限の教育をしてくれるところらしい。
通うのもいかにも学校をドロップアウトしたような生徒や移民の子たちだ。
そこでブルー・レインという女性の先生に出会う。

何せ“ABC”の書き方から学ぶわけであるからレベルは知れている。
それでもレイン先生はとにかくみんなに書かせる事から教えていく。
自分の気持ちを、考えを文字にしていく事の大切さを教えていく。
やがてプレシャスは出産し、自分の父親との子供二人の母親としての生活が始る。

男だったらこうした劣悪な環境に育った子供たちは、ギャングになってしまうのかもしれない。
女であってもその取り巻きになり、売春婦となるのかもしれない。
しかし自分の父親の子供とは言え子供を授かったからこそ、真面目に勉強して子育てをしていこうと決意できたのかもしれない。

プレシャスを虐待していた母親も、悪人というわけでもなく、彼女なりの辛さもあったわけで、それが虐待というゆがんだ形で出ていたのである。
フィクションとはいえ、アメリカのハーレムあたりではごくありがちな風景なのかもしれない。
子供と一緒に観るというわけにもいかないが、考えさせられる事の多い映画である。


評価:★★☆☆☆
    
     

    
  
posted by HH at 21:39 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年08月06日

【わたし出すわ】My Cinema File 738

わたし出すわ.jpg

原題: 
2009年 日本
監督: 森田芳光
出演: 小雪/黒谷友香/井坂俊哉/山中崇/小山田サユリ

<STORY>********************************************************************************************************
東京から生まれ故郷に戻ってきた山吹摩耶は、久々に高校時代の同級生たちと再会する。
世界の路面電車巡りに憧れる市電の運転士、練習中にケガをしたマラソンランナー、箱庭協会の会長になりたい男の妻、養魚試験場で働く研究員・・・
彼らの夢や希望の実現のために、彼女は次々に「わたし、出すわ」と大金を差し出す。
どのように稼いだお金なのか、友人たちは勘ぐりながらもその大金を受け取ってしまう。
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森田芳光監督作品という事で、ちょっと期待して観た映画だった。
しかし、そのブランドもそろそろ色褪せてきている気がする。
それだけで期待するのはもうちょっと厳しいかもしれない。

主人公は東京から生まれ故郷に戻って来た摩耶。
引っ越し業者の青年にチップとしていきなり10万円を包んでしまう。
しかし、そんな大盤振る舞いをするような身なりでもない。
路面電車に乗り込むと、運転手の同級生に話しかける。
かつての仲間たちと会いたいと言うも、最初からは集まらず。
世界の路面電車巡りをしたいと語る彼に、その費用を出すわと言って、ポンと大金を段ボールに入れて送りつける。

そして昔の友人たちに次々とお金を渡していく。
摩耶がなぜそんなにお金を持っているのかはなぞのままストーリーは進んでいく。
思いがけずお金を受け取った友人たちの様子もまた様々。
お金はその使い道によって明暗が分かれる。
お金の持つ魅力と魔力とでもいうべきものが現れる。

現実にはあって欲しいがあり得ないストーリー。
それはそれで展開によっては面白いと思う。
しかしながら、この物語はどうだろう。
摩耶のなぞはなぞのまま。
母親との関係はどうなっているのだろう。

なぞの多いストーリーは面白いと思うが、それも種明しがあってこそ。
なぞがなぞのまま終わってしまうと、どうだったんだろうと変な欲求不満が残る。
それが作り手の狙いという場合もあるかもしれないが、受け手に受け入れられなければそれまでの事。
そんな肩すかしが入った終わり方。

評価はひとそれぞれ。
個人的には「出せないわ」と言いたい。


評価:★☆☆☆



     
posted by HH at 22:16 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年07月26日

【ジュリー&ジュリア】My Cinema File 736

   ジュリー&ジュリア.jpg

原題: Julie & Julia
2009年 アメリカ
監督: ノーラ・エフロン
出演: メリル・ストリープ/エイミー・アダムス/スタンリー・トゥッチ/クリス・メッシーナ/リンダ・エモンド

<STORY>********************************************************************************************************
1949年、ジュリア・チャイルドは外交官の夫ポールの任地パリで、芸術的なフランス料理の洗礼を受ける。
好奇心旺盛で食べることが大好きなジュリアは、大胆にも名門料理学校コルドン・ブルーのプロ養成クラスに飛び込むのだった。
それから半世紀を経たニューヨークで、ジュリー・パウエルは夫エリックに励まされながら、ジュリアの著した料理本の全レシピを1年365日で制覇し、ブログに掲載することを決意する・・・
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「この映画は2つの実話に基づいている」と最初に説明される。
「2つの実話?」と訝しがりながら観始めると、やがてその理由がわかる。
ストーリーは2つの話が並行して進む。
1949年、外交官の夫ポールとともに、ポールの任地であるパリに到着するジュリア。
そして現代のニューヨークで、ピザ店の2階のアパートで夫エリックとともに新しい生活を始めるジュリー。
一見、無関係な2つのストーリーが絡み合って進む。

ジュリーは公務員。
9.11に対する電話応対を担当する。
30歳を迎え、仕事でバリバリ稼ぐ友人たちに引け目と焦りを感じながら、人生を模索する。
そして、夫にヒントをもらい自分を変えるために、ジュリア・チャイルドが書いた“Mastering the Art of French Cooking”という料理本に記載されている536のレシピを365日かけて作る事を決意する。
料理が好きで作家を夢見ていたジュリー。
作る事と書く事と、二つをブログを使ってやろうというものである。
ジュリーの生活は、それを期に徐々に変化していく・・・

パリ赴任からしだいに料理に目覚めていくジュリアと、「ジュリア&ジュリープロジェクト」と称して料理を作り始めるジュリー。
そんな二人の奮闘が綴られていく。
何かを成し遂げようと頑張る姿は、ドラマとしても美しい。

映画の中で、ジュリーの綴るブログは、現在もまだ「THE JULIE/JULIA PROJECT」として残っていて、閲覧する事ができる。
ストーリーの内容と同様、「Nobody here but us servantless American cooks...」というサブタイトルのそのままである。
映画の中のジュリーの心境が実際に窺い知れるわけである。
こうしたところは、実話の持つ強みだろう。

しかしながらこのブログ、せめて作った料理の写真だけでもアップされていると、ビジュアルに訴えかけるものがあっていいと思う。
本題とはかけ離れているが、ちょっとした雑感だ。

それにしても頑張って何かを成し遂げる姿は心に訴えかけるものがある。
諦めて漫然と日常生活を送っている人には、誰でもきっと何かを成し遂げられるというヒントになるかもしれない。
ちょっと元気がでる映画である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 21:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年07月24日

【インフォーマント!】My Cinema File 735

インフォーマント.jpg

原題: The Informant!
2009年 アメリカ
監督: スティーヴン・ソダーバーグ
出演: マット・デイモン/スコット・バクラ/ジョエル・マクヘイル/メラニー・リンスキー

<STORY>********************************************************************************************************
1992年、イリノイ州にある大企業で働くウィテカーは順風満帆だった。
33歳にして重役、工場をまかされ、家庭も円満。
ところがある日、工場でウィルスが発生。
日本企業のスパイから脅迫を受けたと報告した事から、FBIが介入。
しかしなぜか録音機を取り付けに来た捜査官に、ウィテカーは会社が違法な価格協定を行っていると告白。
その日以来、ウィテカーは巨大企業の内部告発者になるのだが、彼には「隠しごと」があった・・・
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マット・デイモン主演という事で迷わず観る事にした映画。
実話を基にしているといいつつも、かなり脚色されていると最初に説明があったが、なかなか正直だなと感じる。
実話と言っても、実際はみんなある程度の脚色はあると思うからだ。

さて、「インフォーマント」というタイトルにある通り、この映画は内部告発者の映画である。
主人公はアメリカの企業ADM社の若き重役マーク・ウィテカー。
何とスーツ姿のマット・デイモンであるが、でっぷりと太って登場。
最近はすっかりアクションスターとしてのイメージが強いが、そのイメージを一新するかのようである。

マークは6歳の時に両親が事故死。
以来裕福な家庭の養子となって育てられる。
やがて努力の甲斐あってADM社の若き重役にまで上り詰める。
そのまま勤めあげていれば、順風満帆な人生だったのかもしれない。

ところがある日、彼の担当する工場でウィルスが発生し、日本企業からそれについて脅迫を受けたと報告する。
報告を受けた経営陣は、FBIに連絡。
FBIはマークの家に録音機をセットする事を提案。
捜査官がマークの家にやってくる。

しかし、そこでマークは捜査官にADM社が行っているカルテルを密告する。
大規模なカルテルの立件に向けて、FBIはマークに協力を要請。
こうして水面下での捜査が始る。
交渉時に登場する企業に味の素などの名前がバンバン出てきて実にリアル。
こういうところが実話の強みなのだろう。

大規模なカルテルの摘発という方向に進むかと見られたが、ストーリーは意外な方向に展開していく。
徐々に露わになるマークの人物像。
あのマット・デイモンのイメージとはどんどんかけ離れていく。

役者だから、いろいろな役柄をこなす必要もあるのだと思う。
アクションもいいが、こうした地味な男の役もまたそれなりに良いのではないかと思う。
それにしてもこの映画、2009年制作という事は、「インビクタス/負けざるものたち」と同じ年なわけで、にも拘らずこの体型の違い・・・
かつてのロバート・デ・ニーロほどではないが、短期間という事を考えると、凄いなぁと感心させられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆




     
posted by HH at 23:52 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ