2010年10月23日

UNエージェント

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原題: Résolution 819
2008年 フランス・ポーランド・イタリア
監督: ジャコモ・バティアート
出演: ブノワ・マジメル/イポリット・ジラルド/カロリナ・グルツカ/ケン・デュケン

<STORY>********************************************************************************************************
1995年7月、国連が保護する「安全地帯」に指定されていたスレブレニツァから、8,000人を超えるムスリム人(ボシュニャク人)が消息を絶った。
事態を重く見た旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)はフランス人捜査官ジャックを派遣する。
捜査を開始したジャックは、ラトコ・ムラディッチ率いるスルプスカ共和国軍による恐るべき戦争犯罪を知る。
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ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を題材とした映画である。
同じ題材としては、過去に「ハンティング・パーティー」を観たが、これとはまた趣向が違う。

この映画で取り上げられているのは、スレブレニツァの虐殺と言われている事件。
ムラディッチ将軍が率いるスルプスカ共和国軍によるムスリム人虐殺事件である。
この事件の捜査のために派遣されたのはフランス人の捜査官ジャック。
映画は基本的に実話であるが、この捜査官ジャックは複数の人物を元にした架空の人物らしい。

かつて『7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字により構成される1つの国』と言われたユーゴスラビアだが、チトー死後に大分裂。
紛争が勃発して各地で民族浄化と言われる虐殺事件が起こる。
この映画の題材となっているスレブレニツァの虐殺もその一つ。

映画の冒頭では市街地にスルプスカ共和国軍による砲撃が出てくる。
国連軍が派遣されているものの、手も足も出ない、出せない。
現地の指揮官による空爆要請も却下されてしまう。
挙句の果てには、国連軍の目の前で住人が連れ去られてしまう。
理想とは裏腹に国連の持つ機能の限界が描かれている。
さらには国連軍はヘルメットや装備などを奪われ、これが後にスルプスカ軍が国連軍に扮して、ムスリム人をおびき寄せて虐殺を行うというあり様にも発展する。

映画は主人公のジャックが、懸命の捜査を通じてやがて戦争犯罪人として、ムラディチ以下の人物を逮捕していくのであるが、どうも事件の紹介という感が漂う映画である。
1時間半という短さのせいか、早送りされた感じで映画は進む。
日本ではほぼ無名の俳優陣は新鮮だが、それがスポットライトが俳優陣よりも事件に当っているような感じがする一因でもある。

正直言って映画の出来はともかく、このような事件が現代でも起こり続けている事に暗鬱な気分にさせられる映画である。
ちなみに原題はスレブレニツァを安全地帯に指定した国連決議のことである。


評価:★★☆☆☆


     
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2010年10月17日

オーストラリア

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原題: AUSTRALIA
2008年 オーストラリア
監督・原案・脚本 : バズ・ラーマン
出演 : ニコール・キッドマン/ヒュー・ジャックマン/デヴィッド・ウェンハム/ブライアン・ブラウン/ジャック・トンプソン

<STORY>********************************************************************************************************
第二次世界大戦前夜のオーストラリア。
イギリス人貴族のレディ、サラ・アシュレイは、夫を捜しに北部の町・ダーウィンにやって来た。
彼女を迎えたのは無骨なカウボーイ、ドローヴァー。
夫の領地に着いたサラは、夫が何者かに殺されたことを知る。
彼女に残されたのは、広大な牧場と1500頭の牛だった。
牧場を立て直すため牛を売ることを決心したサラは、ドローヴァーの力を借り、牛を引き連れ出発する…。
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オーストラリアといえば、エアーズロックにグレートバリアリーフなどといった雄大な自然に恵まれた観光地という印象があるが、砂漠と原住民アボリジニという問題もある。
これはそんな砂漠とアボリジニのオーストラリアを舞台とした恋愛映画である。

時は1939年、ヨーロッパでは第二次世界大戦が始ろうとしている。
イギリス人貴族のサラ・アシュレイはオーストラリアに行ったきりの夫を探しにダーウィンにやってくる。
澄ました貴婦人のサラを無骨な男ドローヴァーが出迎える。
貴婦人と埃の舞う街と荒くれ男たちというミスマッチ。

なんとか夫の領地に辿りついたサラであるが、対面したのは夫の遺体。
アボリジニの矢で射抜かれて絶命していた。
残された屋敷にはアボリジニのメイドたちと混血の少年ナラ。
オーストラリアは当時「同化政策」という、白人とアボリジニの混血児を隔離して白人社会で育てるという政策を取っており、ナラは警察から逃げ回っていた。
これが全編を通じての背景となる。

ナラのおかげで牧場で不正を働いていたフレッチャーを追い出したサラは、母親を失ったナラを慰めるうちに情が湧いてくる。
夫の残した牛と牧場を狙って安く買いたたこうとする地主。
サラを助けて牛をダーウィンまで運ぶドローヴァー。
ストーリーは本場の西部劇さながらの展開で進んで行く。

牧場を畳んでイギリスに帰ろうとしていたサラがドローヴァーに惹かれ、ナラを放置できなくなっていく。
やがて始る太平洋戦争でダーウィンは日本軍の爆撃も受ける。
こうした中で描かれる2時間40分の大作はかなり見応えがある。
このまますべて受け入れて観てしまうのもそれなりに楽しめる。

しかしながら結局なんだか優越的な立場の白人が、混血の子を保護するという白人の「上から目線」も感じる映画でもある。
「同化政策」を反省するテロップも出るのではあるが、白人視線が最後まで気になる事も確かである。
まあ白人が創っているのであるから、当然といえば当然なのであるが・・・

とはいえ、貴婦人然としていたニコール・キッドマンが、荒くれた土地でなりふり構わず同化していくストーリーは痛快だ。
周りの婦人たちが顔をしかめるのもお構いなく、悪に立ち向かい自分を通していく。
そんな主人公像はニコール・キッドマンのイメージにあっている。

さまざまな要素が盛り込まれたストーリーも面白い。
観る価値十分の映画である。


評価:★★★☆☆



    
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2010年09月27日

マンデラの名もなき看守

マンデラの名もなき看守.jpg

原題: Goodbye Bafana
2007年 フランス=ドイツ=ベルギー=南アフリカ
監督: ビレ・アウグスト
出演 :  ジョセフ・ファインズ/デニス・ヘイスバード/ダイアン・クルーガー

<STORY>********************************************************************************************************
南アフリカで刑務所の看守として働くジェームズ・グレゴリーがロベン島の刑務所に赴任した1968年、アパルトヘイト政策により、反政府運動の活動家の黒人が日々逮捕され、投獄されていた。
グレゴリーはそこでネルソン・マンデラの担当に抜擢される。
黒人の言葉・コーサ語が解るので、会話をスパイするためだ。
妻のグロリアは夫の出世を喜び、順風満帆のようだった。
だがマンデラに初めて会った時から、グレゴリーは特別な印象を抱き始める・・・
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タイトルにある通り、これは元南アフリカ大統領ネルソン・マンデラが、投獄されていた時に看守だったジェームズ・グレゴリーの手記を映画化したものである。

アパルトヘイト廃止後の南アフリカに焦点を当てた「レッドダスト」、27年間の投獄生活を経て自由の身となり、さらに大統領となったネルソン・マンデラとラグビーチームを描いた「インビクタス/負けざるものたち」
今年に入って何だか南アフリカ付いているような気もするが、言ってみればその第3弾とも言える。

今回は投獄中のネルソン・マンデラの看守ジェームズ・グレゴリーにスポットを当てているところが興味深い。
(まあ本人の手記であるから当然なのであるが・・・)
マンデラの自伝である「自由への長い道」を読むと、グレゴリー氏の事はちょっとだけ出てくる。
もしかしたらグレゴリー氏が思うほどマンデラは彼の事をあまり意識していなかったのではないかと思ってしまう。

手記の方は読んでいないからなんとも言えない。
ただ、冒頭でマンデラをテロリストと信じて厳しい目つきで見ていたグレゴリーが、やがてマンデラの言動に惹きつけられていく様子は、あんまりはっきり描かれていない。
それゆえにマンデラに影響されていく様子が何か唐突なものに感じてしまう。
広場で運動のため歩かされているマンデラに、グレゴリーが寄り添って歩きながら話しかけるシーンがある。
たちまちグレゴリーは注意を受ける。
そんな状況下でなぜ、マンデラの言動に惹かれていくのか、映画を見ているだけではわかりにくい。
それに「自由への長い道」を読んでいたからこそ、展開についていけたところがあったが、読んでない人には果たしてどうだったのだろうかという疑問は残った。

マンデラは終身刑であったとはいえ、刑務所で虐待されていたわけではなく、むしろ自身弁護士として様々な権利の申し立てをしていた。
のちに国内情勢、国際的批判の中でマンデラがロベン島の刑務所から本土の刑務所に移されていくが、その背景も映画ではよくわからない。

もう少し丁寧に描かれていれば多少は感動的になったのかもしれない。
街中で白人警官が、黒人たちにIDの提示を求めるシーンがある。
提示できない者は片っ端から投獄される。
赤ん坊を抱いた母親に対してでさえ容赦はなく、それを目撃したグレゴリーの娘はショックを受ける。
そうしたアパルトヘイトの現実がもう少し見たかった気もする。

何度も辞めようとして慰留されるグレゴリー。
コーサ語が話せるという特技が彼を体制が必要とする人間たらしめたようである。
原題のBafanaとは彼が幼少時に一緒に遊んでいた黒人の子供の名前。
彼が「名もなき看守」だったのかどうか。
原題・邦題とも何だかしっくりこない映画である・・・


評価:★★☆☆☆

     
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2010年09月26日

劔岳 点の記 

劔岳 点の記.jpg

2009年 日本
監督: 監督・撮影 : 木村大作
原作 : 新田次郎
出演 : 浅野忠信/香川照之/宮崎あおい/小澤征悦/井川比佐志/國村隼/夏八木勲/松田龍平/仲村トオル/役所広司

<STORY>********************************************************************************************************
明治40年、地図の測量手として、実績を上げていた柴崎芳太郎は、突然、陸軍参謀本部から呼び出される。
「日本地図最後の空白地点、劔岳の頂点を目指せ」―当時、ほとんどの山は陸地測量部によって初登頂されてきたが、未だに登頂されていないのは劔岳だけだった。
柴崎らは山の案内人、宇治長次郎や助手の生田信らと頂への登り口を探す。
その頃、創立間もない日本山岳会の会員も剱岳の登頂を計画していた・・・
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登山どころかハイキングでさえあまり好きでない私ゆえ、剱岳がどんなところかなどまったくの知識もなかった。
そんな私にも剣岳がどんな山かよくわかるのがこの映画である。
そしてさらにこれは実話がベースとなっており、知られざる日本の山岳史、測量史を知るという意味でも良い映画であった。

物語は明治40年。
日露戦争直後の日本。
それまでに日本の各地はほとんど測量されつくしていたが、唯一測量されていなかったのが剱岳であった。

険しいゆえに前人未到と言われていたが、陸軍は軍の威信をかけて初登頂と測量機の設置を測量手柴崎芳太郎に依頼する。
一方、外国の登山技術を取り入れ、独自に初登頂を目指す日本山岳会。
自然と初登頂を競う雰囲気が醸し出されていく。

柴崎は伝手を辿って山の案内人宇治長次郎と出会い、登頂の下見をするが、ただでさえ登頂困難なところに、測量機器を運びあげるという難題も抱え柴崎は気乗りしない。
しかしながら威信をかける陸軍が弱腰を許すはずもなく、柴崎は渋々登頂の準備を進める。
日本山岳会の面々も最新設備で登頂を目指し、競争を煽る新聞記者が柴崎らにまとわりつく。

近代装備もない時代。
案内人とともに登頂ルートを求めてさまよう柴崎。
何のために上るのか、地図作りとはいったい何なのかを自問する。
なるほど当時の陸軍らしい様子と一途に目的に向かう男の姿。
最後の結末は見事なまでに呆気なかった。
もう少し盛り立てても良かった気もする。

明治の気骨溢れる男たちの物語としても堪能できる一作である。



評価:★★☆☆☆
    
  
posted by HH at 21:51 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年09月21日

幻影師アイゼンハイム

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原題: The Illusionist
2006年 アメリカ=チェコ
監督・脚本 : ニール・バーガー
原作 : スティーヴン・ミルハウザー
出演 : エドワード・ノートン/ポール・ジアマッティ/ジェシカ・ビール/ルーファス・シーウェル

<STORY>********************************************************************************************************
19世紀末ウィーン。
ハプスブルク帝国末期の芸術文化の都では、大掛かりな奇術=イリュージョンが一世を風靡していた。
中でも絶大な人気を誇っていたのは、アイゼンハイムという名の幻影師。
ある日彼は舞台の上で、幼なじみのソフィと再会する。
今では、皇太子の婚約者として注目を集める彼女は、その後ほどなく皇太子邸で謎の死を遂げてしまう。
謀殺の噂も沸き立つ一大スキャンダルのさ中、アイゼンハイムはソフィの幻影を蘇らせる前代未聞のイリュージョンを発表するのだが…。
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何もない箱からハトを取りだしたり、選んだトランプのカードを言い当てたりする手品は、だれもがやってみたいと思うだろう。
合コンでやれば女の子にも受けるに違いない。
そうした手品がいつ頃から行われていたのかはわからない。
この映画は19世紀のウィーンが舞台であるが、この頃にはこんな興行が実際に行われていのだろうかと、映画には関係ないところで思ったりした。

ストーリーは一人の幻影師が主人公。
マジシャンなのであるが、最後は死者の姿を人々に見せるという業を披露するからタイトルのIllusionist(幻影師)となったのであろう。
その幻影は映画だからそれなりに見られるが、19世紀の世界ではどんなネタがあって可能なのだろうとちょっと考えてしまう。

幻影師がその幻影を使って何をするのだろうかと思っていたら、その昔身分違いで諦めた恋を成就させようとしたもの。
要は恋愛映画と言える。
幻影師ゆえに奇抜な幻影で世間をあっと言わせるようなイメージがあったのだが、ちょっとイメージとは違う映画であった。

最後はあまりにも出来過ぎた感がある。
下手な幻影よりも舞台で見せた鏡を使ったマジックの方が面白かった。
舞台に上がってもらった素人さんに鏡の前でお辞儀をしてもらうのだが、鏡に映ったその人はお辞儀をしない。
驚いて振り向いても誰もいないし、すると人物が現れて剣を振りかざす。
実際にそんなマジックがあるのだろうか、あったら面白いだろうとストーリーとは関係のないところで関心した。

ストーリーの方は残念だったというのがオチだ。



評価:★★☆☆☆
    
   
posted by HH at 22:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ