2011年07月24日

【インフォーマント!】My Cinema File 735

インフォーマント.jpg

原題: The Informant!
2009年 アメリカ
監督: スティーヴン・ソダーバーグ
出演: マット・デイモン/スコット・バクラ/ジョエル・マクヘイル/メラニー・リンスキー

<STORY>********************************************************************************************************
1992年、イリノイ州にある大企業で働くウィテカーは順風満帆だった。
33歳にして重役、工場をまかされ、家庭も円満。
ところがある日、工場でウィルスが発生。
日本企業のスパイから脅迫を受けたと報告した事から、FBIが介入。
しかしなぜか録音機を取り付けに来た捜査官に、ウィテカーは会社が違法な価格協定を行っていると告白。
その日以来、ウィテカーは巨大企業の内部告発者になるのだが、彼には「隠しごと」があった・・・
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マット・デイモン主演という事で迷わず観る事にした映画。
実話を基にしているといいつつも、かなり脚色されていると最初に説明があったが、なかなか正直だなと感じる。
実話と言っても、実際はみんなある程度の脚色はあると思うからだ。

さて、「インフォーマント」というタイトルにある通り、この映画は内部告発者の映画である。
主人公はアメリカの企業ADM社の若き重役マーク・ウィテカー。
何とスーツ姿のマット・デイモンであるが、でっぷりと太って登場。
最近はすっかりアクションスターとしてのイメージが強いが、そのイメージを一新するかのようである。

マークは6歳の時に両親が事故死。
以来裕福な家庭の養子となって育てられる。
やがて努力の甲斐あってADM社の若き重役にまで上り詰める。
そのまま勤めあげていれば、順風満帆な人生だったのかもしれない。

ところがある日、彼の担当する工場でウィルスが発生し、日本企業からそれについて脅迫を受けたと報告する。
報告を受けた経営陣は、FBIに連絡。
FBIはマークの家に録音機をセットする事を提案。
捜査官がマークの家にやってくる。

しかし、そこでマークは捜査官にADM社が行っているカルテルを密告する。
大規模なカルテルの立件に向けて、FBIはマークに協力を要請。
こうして水面下での捜査が始る。
交渉時に登場する企業に味の素などの名前がバンバン出てきて実にリアル。
こういうところが実話の強みなのだろう。

大規模なカルテルの摘発という方向に進むかと見られたが、ストーリーは意外な方向に展開していく。
徐々に露わになるマークの人物像。
あのマット・デイモンのイメージとはどんどんかけ離れていく。

役者だから、いろいろな役柄をこなす必要もあるのだと思う。
アクションもいいが、こうした地味な男の役もまたそれなりに良いのではないかと思う。
それにしてもこの映画、2009年制作という事は、「インビクタス/負けざるものたち」と同じ年なわけで、にも拘らずこの体型の違い・・・
かつてのロバート・デ・ニーロほどではないが、短期間という事を考えると、凄いなぁと感心させられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆




     
posted by HH at 23:52 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年07月11日

【クレイマー クレイマー】My Cinema File 729

クレイマークレイマー.jpg

原題: Kramer vs. Kramer
1979年 アメリカ
監督: ロバート・ベントン
出演: ダスティン・ホフマン/メリル・ストリープ/ジャスティン・ヘンリー/ジェーン・アレキサンダー/ジョージ・コー

<STORY>********************************************************************************************************
ジョアンナ・クレイマー(メリル・ストリープ)は結婚して8年。
今日も夜通し帰らぬ夫を持ってついに夜明けを迎えていた。
最初は幸せだった結婚生活も、今ではもう無意味なものに感じられていた。
夫テッド(ダスティン・ホフマン)は仕事第一主義で帰宅はいつも午前様だ。
2人の間には会話すらなくなっていた。
7歳になる子供ビリー(ジャスティン・ヘンリー)のことを気にしながらも、ジョアンナは自分をとり戻すために家を出る決心をした。
寝息をたてるビリーに“アイ・ラブ・ユー”とささやきかけ、スーツケースを片手にまさに家を出ようとした時、テッドが帰って来た…。
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この映画を観たのはもう30年も前になる。
だが、印象深い映画というのは何年経ってもよく覚えているもの。
この映画も主要なシーンは記憶に残っている。
30年振りに観てみると、ダスティン・ホフマンもメリル・ストリープも若いし、ファッションはやっぱり時代を感じるし、何よりアメリカでさえ女性は家で家事をするものという風潮だった事があらためてわかる。
映画は時代を映す鏡なのである。

「クレイマー クレイマー」というタイトルは、アメリカでは訴訟の時に「〜vs〜」とする事からきている。
元クレイマー夫妻が子供の親権を裁判で争う。
まさに原題の「Kramer vs. Kramer」の意味するところであり、内容を良く表しているタイトルである。

「男は仕事」という世間の風潮の中で、がむしゃらに働くテッド。
昇進のチャンスを目前に控え、気分良く家に帰ってくる。
出迎えた妻のジョアンナは身の回りの荷物をまとめ、細々とした生活の必要事項をテッドに伝えると、「別れたい」と告げて出ていってしまう。
7歳のビリーとともに後に残されて茫然とするテッド。
ビリーと二人の生活が始る。

この映画の象徴的なシーンの一つにフレンチ・トーストがある。
ジョアンナが出ていった翌朝、何でもない事のようにビリーに伝えながら、テッドはフレンチ・トーストを作る。
ところが満足に卵さえ割れない。
しかし、年月を経て二人で迎えた最後の日の朝、鮮やかな手つきで二人協力してフレンチ・トーストを手早く作る。
セリフはなくとも、何よりも雄弁に語っているシーンである。

女性の社会進出が始った時代。
親権を争う裁判では母親が有利。
今ではたぶんあり得ないのだろう。
裁判では互いに相手を完膚なきまで叩く弁護士。
妻が自分より年収が多いと知ってショックを受ける表情のテッド。
この微妙な表情もさすがダスティン・ホフマンといったところだ。

今でこそ、家庭第一、家族第一が映画でも謳われているが、まさにこの時期が過渡期であったとわかるこの映画。
ほんとうは両親二人と仲良く暮らすのが子供とっては一番良いわけであるが、両親の事情など子供にはわかるはずもない。
今でこそ簡単に離婚してしまう時代となってしまい、「死が二人を別つまで」という結婚式での誓いが白々しく思えてしまうが、この映画ではそんな意味をしっかりと考えさせてくれる。

ラストのビリーにはウルッとさせられるし、テッドとジョアンナとの互いに対する思いやりにも心が温かくなる。
あらためて観ても良い映画だなぁと思わせられる。
テーマ曲とあわせて、いつまでも心に残る一作である・・・


評価:★★★☆☆

     

     
posted by HH at 21:55 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年06月30日

【おとうと】My Cinema File 723

おとうと.jpg

2010年 日本
監督: 山田洋次
出演: 吉永小百合/笑福亭鶴瓶/蒼井優/小林稔侍/加瀬亮

<STORY>********************************************************************************************************
早くに夫を亡くした吟子は、東京の私鉄沿線の一角で、小さな薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春を育て、義母の絹代と3人で暮らしていた。
小春とエリート医師の結婚が決まり、一家は幸せの絶頂にあった。
そして結婚式当日。
和やかに始まった披露宴に、にわかに暗雲が―吟子の夫の13回忌で大暴れしたのを最後に、音信不通になっていた吟子の弟・鉄郎が紋付き袴で現れたのだ・・・
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しっかり者の姉とダメな弟。
タイトルの通り、そんな兄弟愛を描いた山田洋次監督の人情ドラマである。

主演は吉永小百合。
夫を亡くし、一人薬局を切り盛りしながら義母と一人娘と暮らしている。
一人娘の小春は、薬剤師になって店を手伝う一方で、医師との結婚が決まり幸せの絶頂期にある。
そんな小春の結婚式に、音信普通だった“叔父”が突然やってくる。

酒癖が悪いため、「飲まない」と約束していたにも関わらず、飲んで酔って醜態をさらす。
旅芸人として全国を回り、たまに帰ってくれば、常識外れで空気の読めない立ち居振る舞いで一族の鼻つまみ者。
そんな叔父を笑福亭鶴瓶が自然に演じる。

結婚式はぶち壊すし、借金は押し付けてくる。
ダメダメ人間のおとうと・鉄郎だが、姉吟子は事あるごとに庇う。
吟子の一人娘小春のエピソードと吟子と鉄郎のエピソードが人情味溢れて綴られていく。

どうして吟子はこんなにも鉄郎をかばうのだろうか。
単に吉永小百合のキャラクターに合わせたシナリオなのか。
観ているとそんな風に思うかもしれない。
しかし、姉弟の組み合わせを持つ親の立場からすると、また違ったように見える。
親亡きあと、弟がダメ人間になったとしても、やっぱりお姉ちゃんには面倒をみてほしいものだと、親の立場からは思えてしまう。
きっと二人の親も、吟子の事を空の上から褒めているに違いない。

この二人を見ていると、「ダメな兄貴としっかり者のの妹」というあるコンビが頭に浮かぶ。
山田洋次監督も、きっとフーテンの寅さんを意識しているに違いない。
まあ寅さんの方が、もっとしっかりしているかもしれないが・・・

吉永小百合のどこまでも非の打ちどころのないキャラクターと鶴瓶のどんぴしゃりとハマったキャラクターと、小春の蒼井優のどこか幸薄げなキャラクターが見事にブレンドされた心温まるドラマである・・・


評価:★★★☆☆





posted by HH at 23:05 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年06月18日

【アン・ハサウェイ/裸の天使】My Cinema File 720

裸の天使.jpg

原題: HAVOC
2005年 アメリカ
監督: バーバラ・コップル
出演: アン・ハサウェイ / ビジョウ・フィリップス / シリ・アップルビー / マイケル・ビーン / ジョセフ・ゴードン・レヴィット / マット・オレアリー

<STORY>********************************************************************************************************
LAの裕福な家庭に育ちながら、退屈な生活に飽きたらずコカインとケンカに明け暮れる毎日のアリソン。
さらなる刺激を求めて、仲間とヒスパニック街に出かけた彼女は、メキシコ人のヤクの売人ヘクトルと出会い、彼らストリート・ギャングのエキサイティングな生き方に魅了される。
しかし、仲間に入れてほしいと持ちかけた彼女に、ヘクトルが出した条件は、サイコロを振って出た目の数だけ、彼の仲間たちとセックスをすることだった…
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邦題は「アン・ハサウェイ/裸の天使」。
アン・ハサウェイと言えば、美人女優。
見ているだけで何時間でも過ごせるようなキュートな美女だ。
そんなアン・ハサウェイが主演の映画とあれば、無条件に観たいと思うもの。
そんな単純な動機で観た映画である。

観終わって気がつく。
なぜ邦題に「アン・ハサウェイ」と入っているのか。
もちろん、アン・ハサウェイ主演という事をセールスしたいのだろうが、本当のところは「それ以外には何の魅力もない映画だから」である。
ストーリーは、実につまらない。

アン・ハサウェイ演じるアリソンは、お金持ちの家の高校生。
しかし両親は多忙でいつもアリソンとはすれ違い。
冷蔵庫に貼ったメモで会話する毎日。
彼氏たちと毎日をおもしろかしく過ごすもどことなく満たされない。
何をしても面白くない。

そんなある日、ヒスパニックたちが多く住むダウンタウンへと繰り出す。
場末の危険な香りが漂い、カッコつけていた彼氏は地元のギャングに凄まれて、ビビって帰る。
危険な状況に驚きながらも、その強烈な刺激に惹かれたアリソンは、女たちだけでダウンタウンに乗り込んでいく・・・

裕福な白人と貧しいヒスパニック。
アメリカの格差ある貧富の差を象徴したような二つの地域。
ヒスパニックたちは、白人居住地区に立ち入っただけで警官たちに職務質問を受ける。
ストーリーとは別にそんなアメリカ社会の一面を垣間見る事ができる。

見所はアン・ハサウェイの立ち居振る舞いだけなのであるが、トップレスシーンもあったりして、こんな映画なのにここだけは観る価値があるかもしれないと思ったりする。
続きは適当に想像して下さいと言いたげなエンディング。
もうちょっと続きを丁寧に描いたら、それなりの映画になっていたかもしれず、残念な気もする。

ただこの映画は邦題がすべてを語っている。
アン・ハサウェイだけ観てよしとすべきなのだろう・・・


評価:★☆☆☆☆

アン・ハサウェイ出演映画
「ジェイン・オースティン 秘められた恋」
「レイチェルの結婚」
「パッセンジャーズ」
「アリス・イン・ワンダーランド」
「プラダを着た悪魔」
「ブロークバック・マウンテン」


     
posted by HH at 23:53 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2011年06月04日

【正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官】My Cinema File 715

正義のゆくえ.jpg

原題: Crossing Over
2009年 アメリカ
監督: ウェイン・クラマー
出演: ハリソン・フォード/レイ・リオッタ/アシュレイ・ジャッド/ジム・スタージェス/クリフ・カーティス

<STORY>********************************************************************************************************
ロサンゼルス、移民・関税執行局(I.C.E.)のベテラン捜査官マックス・ブローガンは、不法滞在の移民たちを取り締まりながらも、彼らの境遇に同情していた。
メキシコから不法入国してきた若い母親のミレヤは、息子をアメリカに残したまま、メキシコに強制送還されてしまう。
女優を目指しオーストラリアから観光ビザで入国クしたクレアは、グリーンカードを手に入れるため、偶然出会った移民判定官の男に身を任せる…。
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舞台となるのはアメリカ移民・関税執行局(I.C.E.)。
外国からの不法移民・就労を取り締まる部署だ。
冒頭、このICEがある工場に一斉捜査に入る。
蜘蛛の子を散らすように逃げ回る労働者たち。
みんな不正に入国し、隠れて働く就労者だ。

踏み込んだ捜査官の一人がマックス・ブローガンを演じるハリソン・フォード。
昔は主演映画は見逃せなかったが、最近はめっきりお目にかかれなかった。
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」で久々にヒットシリーズを復活させて以来のご対面である。
人情家の捜査官としての登場である。

捕まえたうちの一人が若きメキシコ人の母親。
子供を預けて働きに来ている。
周りから同情的なのを責められているマックスは、感情を殺して仕事をする。
必死になってマックスに子供の事を訴える母親は無情にもそのまま強制送還させられる。
知らん顔を決め込むはずのマックスは、ベッドに入ってからいたたまれなくなって子供を捜しに行く。

オーストラリアから来たクレア。
韓国人の親子。
イラン人の一家。
ユダヤ人の男。
アラブ人の親子。
様々な登場人物たちが永住権を得ようとしているが、それぞれに現実が立ちふさがる。

アメリカは移民の国。
それがアメリカのアイデンティティでもあるが、無制限に受け入れているわけではない。
9.11テロ以降は、テロ対策の意味合いも加わっているようだ。
メキシコからは働き口を求めて人々が流入している。
映画では描かれていなかったが、そうした安い労働者を雇う工場にも意図があるに違いない。

アメリカにはアメリカの正義があり事情がある。
しかし随所でほころびは生じる。
法の執行は正義でも、それに携わる人間次第でそれは無情なものになる。
ハリソン・フォードの活躍に心を奪われる暇などなく、映画が投げかける問題的に気を取られてしまう。
考えればなかなか重い映画である。

ICEの人たちも、マックスや同僚のハミードのような相手の気持ちのわかる人間ばかりであったなら、捜査対象となる人たちも救われるのだろうが・・・
アメリカの一面を見る事のできる映画である・・・


評価:★★★☆☆
     
    

   
  
posted by HH at 23:32 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ