2010年10月17日

オーストラリア

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原題: AUSTRALIA
2008年 オーストラリア
監督・原案・脚本 : バズ・ラーマン
出演 : ニコール・キッドマン/ヒュー・ジャックマン/デヴィッド・ウェンハム/ブライアン・ブラウン/ジャック・トンプソン

<STORY>********************************************************************************************************
第二次世界大戦前夜のオーストラリア。
イギリス人貴族のレディ、サラ・アシュレイは、夫を捜しに北部の町・ダーウィンにやって来た。
彼女を迎えたのは無骨なカウボーイ、ドローヴァー。
夫の領地に着いたサラは、夫が何者かに殺されたことを知る。
彼女に残されたのは、広大な牧場と1500頭の牛だった。
牧場を立て直すため牛を売ることを決心したサラは、ドローヴァーの力を借り、牛を引き連れ出発する…。
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オーストラリアといえば、エアーズロックにグレートバリアリーフなどといった雄大な自然に恵まれた観光地という印象があるが、砂漠と原住民アボリジニという問題もある。
これはそんな砂漠とアボリジニのオーストラリアを舞台とした恋愛映画である。

時は1939年、ヨーロッパでは第二次世界大戦が始ろうとしている。
イギリス人貴族のサラ・アシュレイはオーストラリアに行ったきりの夫を探しにダーウィンにやってくる。
澄ました貴婦人のサラを無骨な男ドローヴァーが出迎える。
貴婦人と埃の舞う街と荒くれ男たちというミスマッチ。

なんとか夫の領地に辿りついたサラであるが、対面したのは夫の遺体。
アボリジニの矢で射抜かれて絶命していた。
残された屋敷にはアボリジニのメイドたちと混血の少年ナラ。
オーストラリアは当時「同化政策」という、白人とアボリジニの混血児を隔離して白人社会で育てるという政策を取っており、ナラは警察から逃げ回っていた。
これが全編を通じての背景となる。

ナラのおかげで牧場で不正を働いていたフレッチャーを追い出したサラは、母親を失ったナラを慰めるうちに情が湧いてくる。
夫の残した牛と牧場を狙って安く買いたたこうとする地主。
サラを助けて牛をダーウィンまで運ぶドローヴァー。
ストーリーは本場の西部劇さながらの展開で進んで行く。

牧場を畳んでイギリスに帰ろうとしていたサラがドローヴァーに惹かれ、ナラを放置できなくなっていく。
やがて始る太平洋戦争でダーウィンは日本軍の爆撃も受ける。
こうした中で描かれる2時間40分の大作はかなり見応えがある。
このまますべて受け入れて観てしまうのもそれなりに楽しめる。

しかしながら結局なんだか優越的な立場の白人が、混血の子を保護するという白人の「上から目線」も感じる映画でもある。
「同化政策」を反省するテロップも出るのではあるが、白人視線が最後まで気になる事も確かである。
まあ白人が創っているのであるから、当然といえば当然なのであるが・・・

とはいえ、貴婦人然としていたニコール・キッドマンが、荒くれた土地でなりふり構わず同化していくストーリーは痛快だ。
周りの婦人たちが顔をしかめるのもお構いなく、悪に立ち向かい自分を通していく。
そんな主人公像はニコール・キッドマンのイメージにあっている。

さまざまな要素が盛り込まれたストーリーも面白い。
観る価値十分の映画である。


評価:★★★☆☆



    
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2010年09月27日

マンデラの名もなき看守

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原題: Goodbye Bafana
2007年 フランス=ドイツ=ベルギー=南アフリカ
監督: ビレ・アウグスト
出演 :  ジョセフ・ファインズ/デニス・ヘイスバード/ダイアン・クルーガー

<STORY>********************************************************************************************************
南アフリカで刑務所の看守として働くジェームズ・グレゴリーがロベン島の刑務所に赴任した1968年、アパルトヘイト政策により、反政府運動の活動家の黒人が日々逮捕され、投獄されていた。
グレゴリーはそこでネルソン・マンデラの担当に抜擢される。
黒人の言葉・コーサ語が解るので、会話をスパイするためだ。
妻のグロリアは夫の出世を喜び、順風満帆のようだった。
だがマンデラに初めて会った時から、グレゴリーは特別な印象を抱き始める・・・
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タイトルにある通り、これは元南アフリカ大統領ネルソン・マンデラが、投獄されていた時に看守だったジェームズ・グレゴリーの手記を映画化したものである。

アパルトヘイト廃止後の南アフリカに焦点を当てた「レッドダスト」、27年間の投獄生活を経て自由の身となり、さらに大統領となったネルソン・マンデラとラグビーチームを描いた「インビクタス/負けざるものたち」
今年に入って何だか南アフリカ付いているような気もするが、言ってみればその第3弾とも言える。

今回は投獄中のネルソン・マンデラの看守ジェームズ・グレゴリーにスポットを当てているところが興味深い。
(まあ本人の手記であるから当然なのであるが・・・)
マンデラの自伝である「自由への長い道」を読むと、グレゴリー氏の事はちょっとだけ出てくる。
もしかしたらグレゴリー氏が思うほどマンデラは彼の事をあまり意識していなかったのではないかと思ってしまう。

手記の方は読んでいないからなんとも言えない。
ただ、冒頭でマンデラをテロリストと信じて厳しい目つきで見ていたグレゴリーが、やがてマンデラの言動に惹きつけられていく様子は、あんまりはっきり描かれていない。
それゆえにマンデラに影響されていく様子が何か唐突なものに感じてしまう。
広場で運動のため歩かされているマンデラに、グレゴリーが寄り添って歩きながら話しかけるシーンがある。
たちまちグレゴリーは注意を受ける。
そんな状況下でなぜ、マンデラの言動に惹かれていくのか、映画を見ているだけではわかりにくい。
それに「自由への長い道」を読んでいたからこそ、展開についていけたところがあったが、読んでない人には果たしてどうだったのだろうかという疑問は残った。

マンデラは終身刑であったとはいえ、刑務所で虐待されていたわけではなく、むしろ自身弁護士として様々な権利の申し立てをしていた。
のちに国内情勢、国際的批判の中でマンデラがロベン島の刑務所から本土の刑務所に移されていくが、その背景も映画ではよくわからない。

もう少し丁寧に描かれていれば多少は感動的になったのかもしれない。
街中で白人警官が、黒人たちにIDの提示を求めるシーンがある。
提示できない者は片っ端から投獄される。
赤ん坊を抱いた母親に対してでさえ容赦はなく、それを目撃したグレゴリーの娘はショックを受ける。
そうしたアパルトヘイトの現実がもう少し見たかった気もする。

何度も辞めようとして慰留されるグレゴリー。
コーサ語が話せるという特技が彼を体制が必要とする人間たらしめたようである。
原題のBafanaとは彼が幼少時に一緒に遊んでいた黒人の子供の名前。
彼が「名もなき看守」だったのかどうか。
原題・邦題とも何だかしっくりこない映画である・・・


評価:★★☆☆☆

     
posted by HH at 23:13 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年09月26日

劔岳 点の記 

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2009年 日本
監督: 監督・撮影 : 木村大作
原作 : 新田次郎
出演 : 浅野忠信/香川照之/宮崎あおい/小澤征悦/井川比佐志/國村隼/夏八木勲/松田龍平/仲村トオル/役所広司

<STORY>********************************************************************************************************
明治40年、地図の測量手として、実績を上げていた柴崎芳太郎は、突然、陸軍参謀本部から呼び出される。
「日本地図最後の空白地点、劔岳の頂点を目指せ」―当時、ほとんどの山は陸地測量部によって初登頂されてきたが、未だに登頂されていないのは劔岳だけだった。
柴崎らは山の案内人、宇治長次郎や助手の生田信らと頂への登り口を探す。
その頃、創立間もない日本山岳会の会員も剱岳の登頂を計画していた・・・
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登山どころかハイキングでさえあまり好きでない私ゆえ、剱岳がどんなところかなどまったくの知識もなかった。
そんな私にも剣岳がどんな山かよくわかるのがこの映画である。
そしてさらにこれは実話がベースとなっており、知られざる日本の山岳史、測量史を知るという意味でも良い映画であった。

物語は明治40年。
日露戦争直後の日本。
それまでに日本の各地はほとんど測量されつくしていたが、唯一測量されていなかったのが剱岳であった。

険しいゆえに前人未到と言われていたが、陸軍は軍の威信をかけて初登頂と測量機の設置を測量手柴崎芳太郎に依頼する。
一方、外国の登山技術を取り入れ、独自に初登頂を目指す日本山岳会。
自然と初登頂を競う雰囲気が醸し出されていく。

柴崎は伝手を辿って山の案内人宇治長次郎と出会い、登頂の下見をするが、ただでさえ登頂困難なところに、測量機器を運びあげるという難題も抱え柴崎は気乗りしない。
しかしながら威信をかける陸軍が弱腰を許すはずもなく、柴崎は渋々登頂の準備を進める。
日本山岳会の面々も最新設備で登頂を目指し、競争を煽る新聞記者が柴崎らにまとわりつく。

近代装備もない時代。
案内人とともに登頂ルートを求めてさまよう柴崎。
何のために上るのか、地図作りとはいったい何なのかを自問する。
なるほど当時の陸軍らしい様子と一途に目的に向かう男の姿。
最後の結末は見事なまでに呆気なかった。
もう少し盛り立てても良かった気もする。

明治の気骨溢れる男たちの物語としても堪能できる一作である。



評価:★★☆☆☆
    
  
posted by HH at 21:51 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年09月21日

幻影師アイゼンハイム

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原題: The Illusionist
2006年 アメリカ=チェコ
監督・脚本 : ニール・バーガー
原作 : スティーヴン・ミルハウザー
出演 : エドワード・ノートン/ポール・ジアマッティ/ジェシカ・ビール/ルーファス・シーウェル

<STORY>********************************************************************************************************
19世紀末ウィーン。
ハプスブルク帝国末期の芸術文化の都では、大掛かりな奇術=イリュージョンが一世を風靡していた。
中でも絶大な人気を誇っていたのは、アイゼンハイムという名の幻影師。
ある日彼は舞台の上で、幼なじみのソフィと再会する。
今では、皇太子の婚約者として注目を集める彼女は、その後ほどなく皇太子邸で謎の死を遂げてしまう。
謀殺の噂も沸き立つ一大スキャンダルのさ中、アイゼンハイムはソフィの幻影を蘇らせる前代未聞のイリュージョンを発表するのだが…。
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何もない箱からハトを取りだしたり、選んだトランプのカードを言い当てたりする手品は、だれもがやってみたいと思うだろう。
合コンでやれば女の子にも受けるに違いない。
そうした手品がいつ頃から行われていたのかはわからない。
この映画は19世紀のウィーンが舞台であるが、この頃にはこんな興行が実際に行われていのだろうかと、映画には関係ないところで思ったりした。

ストーリーは一人の幻影師が主人公。
マジシャンなのであるが、最後は死者の姿を人々に見せるという業を披露するからタイトルのIllusionist(幻影師)となったのであろう。
その幻影は映画だからそれなりに見られるが、19世紀の世界ではどんなネタがあって可能なのだろうとちょっと考えてしまう。

幻影師がその幻影を使って何をするのだろうかと思っていたら、その昔身分違いで諦めた恋を成就させようとしたもの。
要は恋愛映画と言える。
幻影師ゆえに奇抜な幻影で世間をあっと言わせるようなイメージがあったのだが、ちょっとイメージとは違う映画であった。

最後はあまりにも出来過ぎた感がある。
下手な幻影よりも舞台で見せた鏡を使ったマジックの方が面白かった。
舞台に上がってもらった素人さんに鏡の前でお辞儀をしてもらうのだが、鏡に映ったその人はお辞儀をしない。
驚いて振り向いても誰もいないし、すると人物が現れて剣を振りかざす。
実際にそんなマジックがあるのだろうか、あったら面白いだろうとストーリーとは関係のないところで関心した。

ストーリーの方は残念だったというのがオチだ。



評価:★★☆☆☆
    
   
posted by HH at 22:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年09月18日

まぼろしの邪馬台国

まぼろしの邪馬台国.jpg
 
2008年 日本
監督: 堤幸彦
原作 : 宮崎康平
出演 : 吉永小百合/竹中直人/窪塚洋介/風間トオル/平田満/柳原可奈子/黒谷友香/麻生祐未/石橋蓮司 /ベンガル/江守徹/大杉漣/余貴美子/由紀さおり

<STORY>********************************************************************************************************
昭和32年、島原鉄道で働く宮崎康平は、水害による鉄道復旧の際に土器の破片を見つけたのを機に、邪馬台国の探求を始める。
目の不自由な夫に、妻の和子は魏志倭人伝、日本書紀、古事記などを繰り返し読み聞かせ、立体地図を作って九州各地を二人で旅するのだった。
康平の口述を和子が書き留める共同作業で、康平だけでなく、夫婦の夢となった「まぼろしの邪馬台国」を著してゆく…。
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実話を基にしたフィクションというベースが面白いこのストーリーは、宮崎康平・和子という実在の夫婦の物語である。
冒頭、昭和12年の中国。
日中戦争が始ったために九州に引き上げてきた和子の家族。
親戚も頼る人もいないこの地で苦労した様子が伺われる。

そして時を経ていささか年齢を経た和子は、ラジオ番組で宮崎康平と出会う。
盲目の康平は九州男児の典型で、郷土史家と島原鉄道社長という二つの顔を持つ。
絶対君主でありながら、勉強熱心な姿にやがて和子は心を許す。
冒頭に登場したやはり勉強熱心な父親に姿をダブらせたのかもしれない。

経営の常識を無視した絶対君主ぶりから社員・役員の反発を買い、やがて康平は島原鉄道社長の座を追われる。
失意の中ながらも和子とともに邪馬台国を探す事に執念を燃やすようになる。
盲目ゆえに書物も読めないし、九州各地へも一人では行かれない。
まさに二人三脚の研究である。

ストーリーの中で語られる魏志倭人伝。
遥か昔の中国の書籍。
記述されているルートを辿ると確かに九州地方に邪馬台国はあったような気がする。
しかし、邪馬台国は畿内説もあり、そちらの言い分も聞いてみないとなんとも言えない。

ただ魏志倭人伝の記述によると、邪馬台国は数ある小国家群の中の指導的な国家であったようである。
想像してみれば、昔から日本という国家があったわけではなく、自然発生的に誕生したいくつかの地域グループが集合していった事は想像に難くない。
なんだか歴史ロマンをくすぐられる。

傍若無人な宮崎康平も、気がつけば地元の英雄。
家族のドラマは胸にこみ上げるものもある。
子供のために子守唄を作ってしまうような才能もあったりして、なかなか変わった人だったようである。
どこまでフィクションかはわからないが、映画としても十分堪能できる夫婦のドラマである。


評価:★★★☆☆


   
posted by HH at 13:49 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | ドラマ