2010年06月20日

そして、私たちは愛に帰る

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原題: Auf der anderen Seite(独)/The Edge of Heaven(英)/Yaşamın kıyısında(トルコ)
2007年 ドイツ/トルコ/イタリア
監督:  ファティ・アキン
出演 :  バーキ・ダヴラク/ハンナ・シグラ/ヌルセル・キョセ/トゥンジェル・クルティズ/ヌルギュル・イェシルチャイ/パトリシア・ジオクロース

<STORY>********************************************************************************************************
ハンブルクに住む大学教授のネジャットの老父アリはブレーメンで一人暮らしだったが、同郷の娼婦イェテルと暮らし始める。
ところが、アリは誤ってイェテルを死なせてしまう。
ネジャットはイェテルが故郷トルコに残してきた娘アイテンに会うためにイスタンブールに向かう。
そのアイテンは反政府活動家として警察に追われ、出稼ぎでドイツへ渡った母を頼って偽造パスポートで出国し、ドイツ人学生ロッテと知りあう・・・
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ふだん観る映画はその大半がアメリカ映画か邦画であり、その他の国の映画は数が少ない。
個人的な趣味もあるが、やっぱり配給量の差というものもあるだろう。
数が少ないながらも我々の目に留まるという事は、逆に厳選された映画だけが配給されているとも言えるかもしれない。
そんな期待をもって観た「ドイツ=トルコ」映画である。

一人暮らしの老人アリが一人の女性に声をかける。
場所は雰囲気からすると娼婦街。
元気だなと思う反面、相手の娼婦もえらくくたびれているなというのが正直なところ。
やがてこの娼婦イェテルも27の娘がいるとわかる。
見た目の判断は間違っていなかったわけである。

アリもイェテルも出身はトルコ。
ドイツでは労働者の移民が問題となっているが、そんな社会的問題をまさに映し出す内容なんだろうと想像する。
日本でも民主党が「移民受け入れ増」を主張しているが、それに伴う事象をいろいろと考慮しないといけないだろう。
やがてアクシデントから同居していたイェテルをアリは殺してしまう。

シーンが変わってトルコで反政府活動に加わるアイテン。
指名手配され仲間の手引きでドイツへと逃れる。
知り合ったロッテの家でロッテの母と議論になる。
「トルコではお金持ちでなければ教育は受けられない、それを改善するために戦っている」と主張するアイテン。
「そんなのトルコがEUに加盟すれば解決する」と答えるロッテの母。

EU神話のようなものを感じさせるシーンである。
こうしたセリフが映画の中で語られるという事は、市民の間にもそんな感覚があるのかもしれない。
トルコの抱える問題があぶり出される映画である。

そんな2つの物語が後半で一つに融合していく。
交わる事のなかった二つの家族が「死」をきっかけに交わっていく。
同時に壁があった二組の親子の間からその壁がなくなる。
社会問題を浮き彫りにしつつ、親子の愛情を描いた映画であり、やっぱり配給される理由は十分に理解できる映画だと言える。

たまにはこういう映画もいいものである・・・


評価:★★☆☆☆


     
posted by HH at 11:11 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年06月15日

真木栗ノ穴

真木栗ノ穴.jpg

2007年 日本
監督・脚本 : 深川栄洋 
出演:  西島秀俊/粟田麗/木下あゆ美/キムラ緑子/北村有起哉

<STORY>********************************************************************************************************
売れない小説家の真木栗勉は、古いアパートで小説を書く日々を送っていた。
ある夜、彼は部屋の壁に二つの「穴」がある事に気付く。
真木栗は官能小説の執筆を依頼される。
隣の男が女を引っ張り込んで、情事に耽る様子を覗いては小説のネタにしていた。
ある日、彼はアパートを見上げている美しい女を目にする。
どうやら部屋を探しているようだ。
隣室宛の荷物を預かった真木栗は、反対側の「穴」を覗いてみた。
すると、あの女が…
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あらすじをまったく知らずに映画を観始めるというのは面白い経験だ。
メジャーな映画は大抵あちこちで宣伝活動をしているから、否が応でもある程度のあらすじはわかってしまう。
少なくともホラーなのかファンタジーなのかSFなのかはわかるものだ。
それゆえに、まったく予備知識なく観られる映画というのは貴重でもある。

この映画はまさにそんな一作。
ただし、未知の映画とはいってもそれはあくまでも「私にとって」という意味である。
ほとんどタイトルだけで観る事を決めたこの映画。
タイトルと言ってもただの気まぐれでしかない。

冒頭で400字詰め原稿用紙に万年筆で文章を書く男真木栗が登場。
どうやらタイトルは男の名前らしい。
今ならパソコンだろうから、少し昔の作家といった感じだ。
いい男だが売れない作家。
一つの連載が終わるも次の連載の目処はたたない。
行きつけの中華料理店で、パートの女性に声をかけられアパートに誘われる。
「うちでお風呂に入らない?」

「お風呂に入っていかない」と誘われてついていく真木栗。
一人狭いユニットバスに浸かっていると、女が入ってくる。
「穴」で連想される一つに「のぞき」がある。
当然、その先にはエロチックなものがあり、「そうか、これはそういう映画か」と一人頷く。

「穴」は壁の穴であり、ご丁寧に両方の壁に空いているものだから、両隣がのぞけてしまう。
ふとしたきっかけで連載が決まるも、それは何と官能小説。
おまけに担当が若い女性。
両隣を覗くうち作品のアイディアが次々とわいてくる。
空いている隣に越してきた若き女性。
もはや完全な官能ストーリーへと発展していく・・・

真木栗はいい男なのに、なぜか女に対してはクールだ。
周りで渦巻く官能の世界。
中心にありながら彼だけは官能の世界へは向かわない。
やがて、彼自身もその世界に飛び込む事を決意した時、ストーリーは意外な方向へと進んで行く。

そうか、そういう映画だったのか。
思わず観終わってつぶやいた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     
    
posted by HH at 22:21 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年05月16日

築地魚河岸三代目

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2008年 日本
監督:  松原信吾
原作 :  はしもとみつお
出演 :  大沢たかお/田中麗奈/伊原剛志/森口瑤子/柄本明/伊東四朗

<STORY>********************************************************************************************************
エリート商社マンの赤木旬太郎はリストラの陣頭指揮を任され思い悩んでいた。
そんな時、恋人の明日香が家業である築地市場の仲卸「魚辰」と装飾デザイナーの仕事を掛け持ちで奮闘していることを知る。
明日香を助けたい一心で「魚辰」を手伝い始めたものの、ド素人の身では足手まといになるばかりだった。
それでも、活気に満ちた魚河岸に心惹かれるようになった旬太郎は、生き方を変える大きな決断をする・・・
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移転問題で話題となっている築地魚河岸。
そこを舞台とした人情ドラマである。
原作は漫画らしいが読んだ事はない。
ただどうやら漫画とは内容的に異なる部分が多いようである。

主人公はエリート商社マンの旬太郎。
出世街道とはいうものの、常務の使いっ走りが中心で仕事に疑問を抱いている。
付き合っている明日香にプロポーズをしようと決意し、レストランで一緒に食事をしている時にも「ゴルフバック」を届けろと携帯にコールがかかる始末。

そして明日香が実は築地魚河岸にある仲卸「魚辰」の二代目の娘であり、父の入院で仕事を手伝っている事を知り、魚河岸の世界と接するようになる。
ストーリーは旬太郎が明日香の手伝いをするようになった事を契機として、やがて三代目を目指していこうとする物語である。

魚河岸を舞台として威勢のいい男たちの人情話となってくるわけであるが、かつてバイトをした事がある場内の雰囲気は懐かしいモノがある。
慣れない旬太郎が、モタモタしていて怒鳴られるシーンなどはまさにそのもの。
魚の素人である旬太郎が悪戦苦闘するところは、ついつい応援したくなる。

しかし、物語が旬太郎と明日香の結婚、魚辰の英二と千秋との恋愛となってくると、とたんにそこらの三流メロドラマに転落。
雨にびしょ濡れになりながら恋人に会いに行ったり、他の人と結婚しそうになっているところを走って奪い返しに行ったり・・・
いわゆる「クサイ」シーンの続出にそれまでの盛り上がりが消えてしまう。

あまり気にしなければ気にならないのであるが、気になる人間としてはちょっと残念。
原作はグルメ漫画らしいが、この映画ではむしろ人情ドラマ。
どちらがいいかはわからないが、当初はあった続編の企画も興行成績のせいで延期になったようだから、勝負あったのだろう。

ちょっと残念な気もする映画である・・・


評価:★★☆☆☆

     
  
posted by HH at 11:44 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ

2010年05月09日

余命

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2009年 日本
監督・脚本 : 生野慈朗
原作 : 谷村志穂
出演 : 松雪泰子/椎名桔平/林遣都/奥貫薫/市川実和子/二階堂智/かとうかず子/宮崎美子/橋爪功

<STORY>********************************************************************************************************
敏腕外科医・百田滴は結婚10年目にして妊娠する。
過去に乳がんを患い、子供を授かることを期待していなかっただけに、カメラマンの夫・良介と至福の時間を味わう。
しかし喜びもつかの間、全身性の乳がんが再発する。
出産は38歳の滴にとって最後のチャンス。しかし産んだところで自分は育てられない。
子供を諦めて治療に専念すべきか、ガンの進行を早めることになっても子供を生むか、病を知り尽くした滴は苦渋の決断を迫られる…。
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結婚10年目にしてようやく子供を授かった滴。
喜んだのもつかの間、かつて患ったがんが再発した事を知る。
治療をするなら子供は諦めないといけない。
しかし、子供を産むとなるとがんの進行を早め、みずからの命を短くする。
究極の選択に迫られる滴・・・

ストーリーの大筋だけみるとよくありがちな「お涙ちょうだい」モノかと思う。
基本はそうなのであろうが、実際に観た感じとしては、「さあ泣け」というようないやらしさは漂ってこない。
その最大のポイントは主人公が死んでいくシーンが描かれていない事であろう。
時間を飛ばし、写真立てに収まる彼女を描く事でその事実を伝えているのである。

旦那は元医師でありながら、好きな写真の道に転身し売れないカメラマンとなっている。
主人公に対しては献身的で、かなり理想主義的な男である。
お金に縛られず、好きな事をやって好きな人と家庭を大切にして暮らすというタイプである。
それに対して主人公は現役の外科医としてバリバリ働いている。
ストーリーとはあまり関係ないが、こうした設定も面白い。

感心したのは松雪泰子の演技だ。
設定は38歳となっているが、最初に乳がんにかかったのは10年ほど前となる。
回想シーンの松雪泰子は20代後半なのであるが、実に若々しく年相応に見える。
そして終盤、故郷の島に家族で戻ったシーンでは、すでに車いすに頼っており弱々しい表情が病の進行を語っている。

映画はどちらかと言えばハッピーエンド的な雰囲気をもって終わる。
悲劇のストーリーで観客に「泣け、泣け」と迫るわざとらしさもない。
それでいて、もし自分たちもそんな状況に置かれたらどうしようと考えさせてもくれる。
いやらしさが目につかないという意味においても良い映画であった。


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 11:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年05月06日

ラーメンガール

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原題: The Ramen Girl
2008年 アメリカ
監督: ロバート・アラン・アッカーマン
出演: ブリタニー・マーフィー/西田敏行/タミー・ブランチャード/余貴美子/山崎努

<STORY>********************************************************************************************************
恋人イーサンを追いかけて、東京にやってきたアビー。
しかしイーサンはあっさりアビーを捨て、仕事で大阪へ向かってしまう。
言葉も習慣もわからない国で、突然1人ぼっちにされたアビーは、孤独と不安で胸を押しつぶされそうになる。
そんな時、アパートの向かいにあるラーメン屋の赤提灯に引き付けられ、店に入ったアビーは、どん底の精神状態を一杯のラーメンで救われる。
これが天職と確信した彼女は、店の主人マエズミに「弟子入りしたい」と迫るが…!?
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舞台は東京だし、西田敏行が出ているしで、この映画日本映画だと思っていたら、れっきとしたアメリカ映画だった。
「東京に来た金髪美人が、言葉も通じないまま頑固おやじのラーメン店に弟子入りする」っていう映画のあらすじは、それだけで十分観たいという気にさせられる。

イントロは今風の金髪美女アビーがラーメン店に弟子入りするまで。
恋人にふられ、仕事もうまくいかない中で、たまたま入ったラーメン屋で一杯のラーメンをごちそうになる。
仲良くなって弟子入り志願。
ところが事あるごとに、頑固おやじと激突する。

まあそれも仕方がない。
何せ弟子入りと言ってもいきなりラーメンを作らせてくれるほど職人の世界は甘くない。
まずは皿洗いにトイレそうじ。
日本的な修行が西洋合理主義とあうわけがない。
このギャップはなかなか面白い。

いざラーメンを作り始めても、頑固おやじは味見もせずにダメ出しをする。
「魂をこめろ」なんて言ってもアメリカ人には理解できない。
言葉も日本語と英語でのやり取りでお互い通じない。
こういう映画はハッピーエンドになると決まっているが、どのような展開をしていくのかという興味はしっかり持たせてくれる。

ストーリーとしてはとっても面白いと思う。
だが、それにも関らず何か太鼓判を押せないモノがある。
それは何かというと、「ラーメンがおいしくなさそう」という一言に尽きる。
舞台となるのは昔風の街のラーメン屋で、しかもオーソドックスなラーメンである。
今時のうまいラーメンとは程遠い感じがしてしまう。
そこがどうしても残念なところである。

やっぱりラーメンの本当の味は、アメリカ人には理解できないのだと、思わざるを得ない映画である・・・


評価:★★☆☆☆
      

    
posted by HH at 22:57 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ