2010年04月24日

BOY A

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原題: BOY A
2007年 イギリス
監督: ジョン・クローリー
出演: アンドリュー・ガーフィールド/ピーター・ミュラン/ケイティ・リオンズ/ショーン・エヴァンス/シヴォーン・フィネラン

<STORY>********************************************************************************************************
24歳のジャックは、子供の頃に犯した犯罪により少年院に入れられ、14年間の刑期を終え再び外の世界へ出ようとしている。
ソーシャルワーカーのテリーから仕事とアパートが与えられ、彼は過去を隠し、名前も変え新しい生活を始める。
運送業の会社に就職した彼は、同世代の青年クリスとコンビを組むことになる。
職場にはミシェルという気になる女性もいた。
ある日ジャックは、クリスに後押しされてミシェルを誘う…
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原題を和訳すれば「少年A」。
日本でも未成年者が犯罪を犯した場合は実名報道されないが、イギリスでもそれは同様。
これはそんな少年Aが、社会復帰していく様子を描いた作品である。

冒頭でソーシャルワーカーのテリーから社会復帰の手ほどきを受けるジャック。
ジャックという名前もその場で決めたものである。
新しいアパートと仕事、そしてテリーからは靴をプレゼントされる。
並行して描かれる少年時代のエピソード。
どうやら少年Aとなった経緯は、友人とともにある少女を殺害した事だとわかっていく。

世間ではいまだにその事件に対する憎しみが強く、少年Aが出所したというニュースが新聞で報道され、似ているとされた人の家が放火されるというエピソードも出てくる。
罪は償っても世間はそれを許していない様子がうかがえる。
やがて仕事にも慣れ、パートナーとも仲良くなり、そして彼女もできる。
普通に暮らし始めた彼の心に重く圧し掛かるのは、「もしも過去がばれたら」という不安と、最愛の彼女に事実を伝えるべきかという葛藤。

日本でも一時少年犯罪が話題となった。
筆頭格の「酒鬼薔薇聖斗」もすでに出所しているが、居場所について近所で話題になった事もあったが、その手の話に対する関心はどこの国でも同じなのであろう。
事実、ジャックの正体がばれるとともに報道関係者がジャックの自宅に押し掛けてくる。

映画はあくまでジャックの視点で描かれている。
一生懸命普通に生きようとするが、儘にならない現実。
観ているうちに自然と同情的になる。
しかも犯行自体、もう一人の少年が主導していたように暗示されているから、尚更である。

しかしながら事件には当然被害者がいるわけで、被害者(の家族)の視点は描かれない。
描かれれば当然ジャックについても別の姿が浮かび上がるわけであるが、それも描かれていない。
意図的に犯罪者に同情的に作られているが、これはこれとして別の視点もあるよという認識は持たないといけない。
そんなに簡単に社会に受け入れられていいとはどうしても思えないし、ジャックの苦しみはある意味自業自得なのである。

単なる娯楽と割り切ってもいいし、そんな問題意識をもっても面白い。
映画ってやっぱり面白いものである・・・


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 12:22 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年03月28日

スリーキングス

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原題: Three Kings
1999年 アメリカ
監督: デヴィッド・O・ラッセル
出演: ジョージ・クルーニー/マーク・ウォルバーグ/アイス・キューブ/ジェイミー・ケネディ

<STORY>********************************************************************************************************
1991年3月、湾岸戦争が終結し、停戦が発表された直後のイラク砂漠地帯の米軍ベースキャンプ。
補充兵のトロイ上級曹長(マーク・ウォールバーグ)とコンラッド上等兵(スパイク・ジョーンズ)は、降伏したイラク軍兵士が肛門に隠し持っていた地図を発見。
特殊部隊のゲイツ少佐(ジョージ・クルーニー)はこれがイラクがクウェートから奪った金塊の隠し場所を示した地図と知って、発見者のふたりと生真面目な二等軍曹チーフ(アイス・キューブ)を仲間に引き入れ、一獲千金とばかり金塊探しに乗り出す・・・
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いまだ治安の安定しないイラク。
米軍もなかなか撤退できずにいる。
そんなイラク戦争であるが、発端はといえば1991年の湾岸戦争である。
この時はイラクのクウェート侵攻という暴挙に対して世界が結束し、アメリカ軍を中心とした多国籍軍がクウェート解放の戦いに参戦した。
戦闘は装備に勝る多国籍軍の圧勝に終わるが、その直後を舞台としたのがこの映画である。

のちのイラク戦争はアメリカが自国のエゴによって難癖をつけて無理やり開戦したが、この時の湾岸戦争にはクウェート開放という立派な大義名分があった。
それでもイラク兵が捕らえたトロイに拷問を行う時、「石油のためだろう」と責める場面があって当時既にそんな見方があったのかと、新たな発見をした気分である。
のちのイラク戦争は100%石油資源確保のためというのはほぼ通説として語られている。

映画はそんな硬い話は抜きとして単純に進む。
戦闘が終わったとなると欲望が出てくるのが人間。
ちょっと考え方のよろしくないゲイツら4人の兵士は、偶然見つけた金の隠し場所の情報を基に、勝手に隊を離れて奪還に行く。
そこにあるのは正義感ではなく、カネの亡者と化した姿。

情報は正しく、クウェートから持ち出された金塊を発見。
しかしそこには反フセイン派の市民が、イラク軍に苦しめられている姿があった。
金塊を渡して米軍を追い返そうとするイラク軍。
米軍がいなくなれば殺されるため必死に助けを求める市民。
黙って引き上げれば金塊は丸ごとせしめる事ができる。

金塊を見つけて持って帰るというだけのはずが、異なる様相を呈してストーリーは進んでいく。
知恵を働かせて悪事に挑むもいまいち悪人になり切れない、ジョージ・クルーニーのこのあたりの役どころは「オーシャンズ11〜13・シリーズ」のリーダーと被ってくる。

アメリカにまだ大義名分があったこの時、映画もすっきりと終わり後味もよい。
アメリカ軍も立派に正義の味方として通用する。
その後のイラク戦争をかの地の人達はどのように捕らえているのだろうか。
時代背景とあわせて観ると興味深い映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     

posted by HH at 11:37 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年03月21日

訴訟

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原題: Class Action
1991年 アメリカ
監督: マイケル・アプテッド
出演: ジーン・ハックマン/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/コリン・フリールズ/ジョアンナ・マリーン/ローレンス・フィッシュバーン

<STORY>********************************************************************************************************
60年代以降、弱者たちの弁護に人生を捧げ英雄視されてきたジェディダイア・タッカー・ウォードは、全米有数の自動車会社アルゴの自動車メレディアンを欠陥車として訴訟を起こそうとしていた。
一方、ウォードの娘マギーも父と同じ弁護士の道を歩んでいたが、父が世間の名声とはうらはらに女性関係で母エステルを泣かせてきたこともあり彼を憎み、父娘の間には深いミゾがあった・・・
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ちょっと古い映画であるが、ジーン・ハックマン主演という事で懐かしさもあって観てしまった。
当時すでに御年61歳。
最後の迫力を魅せてくれるが如き映画である。

ストーリーは訴訟社会アメリカに相応しい法廷モノ。
互いに弁護士である父と娘であるが、浮気を繰り返して母親を傷つけてきた父を娘は許せないでいる。
それを反映するかのように弁護士稼業でも二人は相反する。
有力な弁護士事務所で出世を目指す娘と、個人事務所で弱者たちのために汗を流す父。
そんな二人が、大手自動車会社アルゴの欠陥車疑惑を巡り真っ向から対立する。

大手自動車会社は、その資金力でもって大手弁護士事務所とタッグを組み、万全の構え。
しかし実情はといえば、欠陥に際してリコールした場合の費用と事故が発生した場合の費用とを比較し、経済性からリコールせずに事故対応をする方を選ぶという狡さをみせる。
汚い大手と正義感に燃える弱者の弁護士という対立構造は、始めから観る者の心を正義の側に立たせる。

このあたりはヒーロー好きのアメリカ映画らしい。
そして出世か正義かで揺れる娘マギー。
善と悪の対立、父と娘の葛藤。
それらをうまく織り成してオーソドックスに仕上げている。

「マトリックス」で圧倒的な存在感を示したローレンス・フィッシュバーンがまだ若々しいまま登場する。
クレジットに出てくる名前は「ラリー・フィッシュバーン」になっているので、最初はわからなかった。

ほどよく楽しめる娯楽作品である。


評価:★★☆☆☆
    
posted by HH at 20:10 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年03月06日

七夜侍

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2008年 日本
監督: 河瀬直美
出演:  長谷川京子/グレゴワール・コラン/村上淳

<STORY>********************************************************************************************************
人生のリセットを求めてタイに着いた日本人女性・彩子が、タクシーに連れて行かれたのはホテルではなく森の中。
その川のほとりでフランス人青年グレッグに出会った彩子は、彼が同居するタイ人母子の住む高床式の家に連れて行かれる。
言葉も通ぜず、ここがどこかもわからない彩子だが、不安と苛立ちの中でそこで受けた古式マッサージで心の安らぎを得ていく。
少しずつ周囲と調和していく彩子は、そこで七つの夜を過ごす・・・
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何だかよくわからない映画であった。
そもそもタイトルから意味不明。
「ななよまち」と読むらしいが、「待」ならわかるが「侍」となっている。
何かサムライをイメージした映画なのかと思ったら全然違う。

わかる人にはわかるのかもしれない。
だが、こちらは何の予備知識もなくいきなり映画を観て楽しむタイプだ。
それで意味がわからない映画に出くわすと、素直に「何だこれ?」と思う。
通を気取って無理に解釈したりはしない。
「わからないもの」はわからないのである。

タイが舞台だ、というのはさすがにわかる。
女が一人、タンクトップ一枚で(しかも下着はつけていないから、どうしてもいらぬところに注意がいってしまう)思い旅行ケースを引きずってホテルを探す。
乗ったタクシーで居眠りをしてしまい、気がつくと人気のない森の中。
「ほら、言わんこっちゃない」と思わず独り言。

しかし、どうやら運ちゃんが自宅に連れて行ったようで、何故だかそこでもともと居候していたフランス人とともに過ごし始める。
そこからの日常生活がまるでドキュメンタリーのように描かれていく。
タイの田舎の村での生活。
それをカメラが追って行く。
ストーリーもあるのだか、ないのだか・・・

何か意味があるのだろうか?
観る人が観ればわかるのだろうか?
だがこのドキュメンタリー(?)、どう観てもよくわからない。
そして映画はわからないうちにエンディングを迎える。

この女性、タイに何しに来たのだろう・・・
ふと気になった映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
     
posted by HH at 22:55 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年02月28日

おくりびと

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原題: 
2008年 日本
監督:  滝田洋二郎
出演:  本木雅弘/広末涼子/余貴美子 /吉行和子/笹野高史/山崎努

<STORY>********************************************************************************************************
所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる。
早速、求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、それは遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。
戸惑いながらも社長の佐々木に指導を受け、新人納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいた・・・
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第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、話題となった作品である。
もともとは「納棺夫日記」という原作を読んだ主演の本木雅弘が、映画化を計画したものの、原作と脚本の相違から著者の承諾を得られず、「まったく別の作品としてやってほしい」という話になり本作に至ったという。
そんなエピソードは映画に隠し味を与える。

納棺夫などという職業が存在しているという事実は、考えてみれば理解できるが、一般的に知名度は低い。
映画の中でも、失職して故郷に帰った主人公大梧が納棺夫の仕事を得るものの、仕事の内容を妻に言えないというシーンが出てくる。
そしてその事実を知った妻からは辞めてくれと懇願され、またある納棺時に「この人みたいな仕事をして・・・」と言われるシーンからも伺えるように、忌み仕事と思われているからかもしれない。

個人的にはどうとも思わないが、日本には伝統的に「死」を扱う職業についてはあまりいい扱いを受けていないため、そんな風になるのだろう。
実際にはわからないが、この映画が話題となった事で納棺夫という職業も市民権を得られたのではないかと推測する。

映画の方は、音楽家としての夢を断念した大梧が仕事として納棺夫を選び、仕事を通じて納棺夫という職業に対する理解を深めていく過程を妻・故郷の友人・会社の社長たちとの交流を横糸に描いていく。
遺体を棺桶に入れるという単純な作業を、死者に対する敬意を込め、遺族に対する配慮も交えながらきめ細かな思いやり溢れる手順で行っていく様は、繊細なる日本人らしいものと改めて思う。

映画はいろいろな影響を観る者に与える。
ただ単に「オスカーを取った」という話題性だけではなく、そうした影の部分に優しい光を当てたところがこの映画の良いところかもしれない。
広末涼子があまりにも良い奥さんを演じ過ぎていて、ちょっと羨ましく思えた映画である・・・


評価:★★★☆☆

posted by HH at 10:06 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ