2010年08月14日

電話で抱きしめて

電話で抱きしめて.jpg

原題: HANGING UP
2000年 アメリカ
監督:  ダイアン・キートン
出演:  メグ・ライアン/ダイアン・キートン/リサ・クードロー/ウォルター・マッソー

<STORY>********************************************************************************************************
イヴは3人姉妹の次女。
テレビ・プロデューサーの夫ジョーと一人息子ジェシーに恵まれ、家事の傍らイベントやパーティの企画をしながらロスで暮らしている。
姉のジョージアは女性誌の編集長を務めるバリバリの仕事人間。
妹のマディは昼メロの女優。
そんな3姉妹のパパが老人性のボケのせいで入院することになった。
必然的に看病役となったイヴは、他の姉妹と電話で連絡を取り合うのだが・・・
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メグ・ライアン主演のハートウォーミングドラマである。
メグ・ライアンと言えば、「ラブコメの女王」。
この映画はラブコメではないものの、同系統と言える。
個人的には「戦火の勇気」とか、「プルーフ・オブ・ライフ」といったシリアス系が好きである。
シリアス系でも十分魅せてくれると思うのだ・・・

まあそれでもメグ・ライアンの魅力にケチがつくわけではないので、楽しみに観る。
イヴは3姉妹の真ん中。
姉は女性雑誌の編集長、妹は昼メロの女優。
イヴもイベント企画で忙しい身である。
そんな時に、父親がボケて入院する事になる。

3姉妹のうち、イヴが面倒をみる事になるが、イヴ自身も忙しい。
姉妹と連絡を取り合うものの、それぞれ忙しくて結局はイヴ任せ。
めまぐるしい慌ただしさの中、車の運転中に電話に夢中になって事故を起こす始末。
一方でボケた父親は追い打ちをかけるようにイヴに手間暇をかけさせる。
心の余裕を失っていくイヴ。

このボケた父親がなんとウォルター・マッソー。
「がんばれ!ベアーズ」が懐かしい。
久々に見たが、なんともいい味を出している。
しかし、この映画が遺作となってしまったとの事である。

長姉役のダイアン・キートンが、この映画の監督。
とは言え、私にはその善し悪しの判別はつかない。
単純なドラマなのであるが、老いた父親との関係、姉妹関係と思わず考えさせられる。
子供の頃は一つの家庭に収まっていた家族が独立し、年をとったあとどうなっていくのか、そんな事をふと考えさせられる。

ボケた父親の言動にいら立つイヴであるが、そんな時に子供の頃遊んでくれた父親との楽しかった思い出が脳裏を過る。
遠くを見つめるメグ・ライアンの表情が何とも言えない。

忙しさにかまけて大事な事を忘れてしまいがちな人たちに、そっとそれらを思い起こさせるような映画である。
メグ・ライアンの魅力とともに、ちょっといい映画である・・・


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 17:38 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年08月09日

フラッシュバック

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原題: FLASHBACKS OF A FOOL
2008年 イギリス
監督: ベイリー・ウォルシュ
製作総指揮: ダニエル・クレイグ
出演: ダニエル・クレイグ/ハリー・イーデン/イヴ オフェリア/ヘレン・マックロリー/クレア・フォーラニ/マーク・ストロング/オリヴィア・ウィリアムズ/

<STORY>********************************************************************************************************
ハリウッドスターのジョーは裕福だがドラッグや酒、女性に溺れる毎日で、そんな生活に引きずられ、仕事にも恵まれなくなっていた。
そんな彼に、英国で過ごした少年時代に親友だったブーツの訃報が届く。
当時を振り返るジョー。
1970年代、少年期だったジョーもブーツも異性に興味津々だったが、ジョーは近所に住む人妻イーヴリンから何かと言い寄られる一方、同世代のルースにほのかな好意を抱いていた。
しかしある悲劇が……。
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この映画は日本未公開だという。
確かに内容的には良い映画だと思うのだが、興行的には難しいという判断なのだろう。
何となくその判断は正しいような気がする。

ダニエル・クレイグは現役のジェームズ・ボンドなのであるが、ちっともボンドらしくない。
(それは悪い意味である)
アクション映画ならば、むしろ「レイヤーケーキ」「ディファイアンス」などのような映画の方がずっと様になっている。
そんな彼がここではシリアスな役柄を演じる。

金がある事をいい事に放蕩生活を送るジョー。
乱れた生活振りに愛想を尽かした家政婦が辞めようとすると、札束で引き留めようとする男である。
そんな男が、昔馴染の親友の死を聞いて過去を振り返る(フラッシュバックする)。

誰もが経験するような友人との付き合い。
年頃の女の子ルースとのほのかな交際。
年上の人妻からの誘惑。
故郷を捨てて大スターとなった彼の心に秘めた過去。

親友の葬儀の為に故郷に帰るジョー。
冒頭の放蕩生活から、過去を振り返った事によって次第に心境が変化していく様がさりげなく描かれていく。
言葉ではなく、表情や回想シーンによって心境の変化を観ている者に伝える事は、映画ならではだろう。

いい加減な生活をしていても、捨ててきた故郷に残る家族に対しては十分な援助をしてきたジョー。
その心根は昔のまま。
ラストで親友の妻となっていたルースに対する態度にもそれは表れている。
しみじみとするラストなのである。
原題はFLASHBACKS OF A FOOLとなっている。
邦題と比べて、実に映画の味がよくにじみ出ているタイトルである・・・


評価:★★☆☆☆
     
   
posted by HH at 23:11 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年08月01日

ミルク

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原題: Milk
2008年 アメリカ
監督:  ガス・ヴァン・サント
出演:  ショーン・ペン/エミール・ハーシュ/ジョシュ・ブローリン/ジェームズ・フランコ/ディエゴ・ルナ

<STORY>********************************************************************************************************
1972年のニューヨーク。
金融や保険業界で働いていたミルクは、20歳年下のスコットと出会い、恋に落ちる。
二人は新天地を求めてサンフランシスコに移り住み、小さなカメラ店を開店。
そこはたちまち同性愛者やヒッピーたちのよりどころとなり、ミルクは彼らを快く思わない保守派に対抗した新しい商工会を結成する事になる。
社交的でユーモアにあふれたミルクは、近隣住民の抱える問題に、政治的により関わりを深めていく・・・
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主人公のハーヴィー・ミルクは同性愛を公言して初めてアメリカで公職についた人物とされている。
これはそのミルク氏の自伝的ドラマである。

当時のアメリカ社会では同性愛は異端として世間から厳しい目で見られていた。
それが発覚しただけで、職を失う事になったため、みんなひたすらそれを隠していた。
「クローゼットから出てくる」という例えの形で、それが映画の中で表わされているのである。

ミルクは40歳の誕生日にスコットと出会い、一緒に暮らすようになる。
二人のキスシーンを観ておぞましいと思う自分は、どうやら正統派の「ストレート」(普通の人)のようである。
例え演技でもどうなんだろうと思う。

やがて二人はサンフランシスコに移り住む。
ここでも偏見は同じだが、カメラ店を構え、そして同じような同性愛者やヒッピーたちがたむろする場となっていく。
トラック協会の抗議運動に協力し、その見返りとしてトラック協会が同性愛者の採用を始めるといったところから政治活動に軸足を移していくミルク。

仲間の支持を受け、1回、2回と落選するも票は確実に伸ばしていく。
そしてやがて当選。
仲間にはレズビアンもいたりして、バラエティに富んでいる。
ストーリーは「自分が暗殺された場合のみ公開してほしい」として、本人がテープに様々な事を語る形式で進んで行く。

仲間たちの支持を受けて市会議員となったミルク。
次に教職から同性愛者を追放しようとする法律に反対運動を展開していくことになる。
こうした動きが出てくるという事はそれだけ同性愛者が多いという事に他ならない。
我が国ではあまり大事にならないという事はそれだけ数が少ないということだろうか、それとも隠す傾向が強いのだろうか。

いずれにせよ、同性愛者の嗜好はわからない。
こうした映画を観ても、「そういう人がいたんだ」という感覚しかない。
アメリカはいろいろな意味で広いなと感じた映画である。


評価:★★☆☆☆
 
    
posted by HH at 22:57 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年07月28日

扉をたたく人

扉をたたく人.jpg

原題: The Visitor
2008年 アメリカ
監督: トム・マッカーシー
出演:  リチャード・ジェンキンス/ヒアム・アッバス/ハーズ・スレイマン/ダナイ・グリラ

<STORY>********************************************************************************************************
コネチカットで暮らす大学教授のウォルターは、妻と死に別れて以来本を書く事にも、教える事にも情熱を燃やせず憂鬱な日々を送っていた。
ある日、出張でニューヨークを訪れた彼は、マンハッタンにある自分のアパートで見知らぬ若いカップルに遭遇する。
知人に騙されて住んでいたというそのカップルは、シリアから移住してきたジャンベ奏者のタレクと彼の恋人でセネガル出身のゼイナブだと名乗る・・・
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主人公は大学教授のウォルター。
ピアノを習い始めるも、合わない教師を冷たく首にしたり、一方で大学の仕事はやる気のなさがありありとしているという具合の人物。
そんな彼が、しぶしぶニューヨークへの出張に出かける。
ニューヨークにある自分のアパートに久しぶりに寄る。
ところが、そこには見知らぬカップルが住んでいる。

カップルはタレクとゼイナブという名で、友人に騙されてその部屋でくらしていた。
行くあてもない彼らを受け入れ、妙な同居生活を始める。
タレクはジャンべという太鼓の一種である楽器の奏者であり、ウォルターはタレクからジャンべの演奏を習う事となる。

ウォルターとタレク、ゼイナブとの交流。
なんだかよくわからないまま、淡々とストーリーが進んで行く様子は「そして、私たちは愛に帰る」にどことなく雰囲気が似ていなくもない。
仕事にもピアノにも没頭できなかったウォルターが、しだいにタレクとの交流を深めていく。
いつのまにかタレクと公園でともにジャンべを演奏するようになっていく様は、それまでにはあり得なかった彼の変化を表している。

そうして好事魔多し。
そんな時に事件が起こる。
アメリカ社会が抱える問題点の一つがこの事件を通して明らかになる。
いかにアメリカ社会が多様な人種から成り立っているか。
そして必ずしも優しい社会ではないというのがわかるのである。

なんだかアメリカ映画というよりヨーロッパ系の映画のような雰囲気が漂う映画。
ストーリー的には面白いとはいいにくいものの、じっくり観てしまう。
そんなタイプの映画である。


評価:★★☆☆☆

     
    
posted by HH at 23:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年07月20日

レボリューショナリー ロード 燃え尽きるまで

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原題: Revolutionary Road
2008年 アメリカ・イギリス
監督:  サム・メンデス
原作 : リチャード・イェーツ
出演 : レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレット/キャシー・ベイツ/キャスリーン・ハーン/マイケル・シャノン

<STORY>********************************************************************************************************
1950年代のアメリカ、コネチカット州。
フランクとエイプリルのウィーラー夫妻は、閑静な住宅街に暮らし、子供にも恵まれた理想のカップル。
しかし、甘い新婚時代の暮らしも次第に色あせていく。
演劇志向のエイプリルは地元の劇団の舞台に立つが、芝居の出来が悪く夫婦で口論に。
一方フランクは、しがないセールスマンの仕事にやるせない不満を感じていた。
そんな時エイプリルが提案する。
「みんなで、パリで暮らしましょう」と…
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レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットと言えば「タイタニック」
その二人が「タイタニック」以来の共演と言う事で随分と盛り上がった映画である。
そうしたイメージの延長には当然、恋愛映画という連想が成り立つ。
ところが、そうした連想を打ち砕くシリアスな人間ドラマである。

時は1950年代。
第2次大戦で疲弊した欧州各国を尻目に、アメリカが我が世の春を謳歌していた時代。
フランクとエイプリルの二人は二人の子供にも恵まれ、平均的なサラリーマンとして中の上とも言える生活を送っている。
「レボリューショナリーロード」に面した住宅街はちょっとした憧れの的。
「大工や左官工が住む地域を抜けると」、と不動産屋が誇らしげに進めた地域である。

しかしながらフランクは通勤電車に揺られてのしがないセールスマン生活に、どこかうんざりしている。
エイプリルは役者を夢見ているが、地元の劇団での活動はぱっとしない。
「人生これでいいのだろうか」と思うも、だからといって代わりに目指すものがあるわけでもない。
世間からみれば十分恵まれた生活を送っているのだが、当人たちにしてみればそうでもない。
何だか現代の我々にも当てはまりそうな状況である。

そんな二人が現状を打破しようと試みる。
パリに移住してエイプリルが国際機関で高級の秘書として働き、フランクは自分に合った仕事を探すという計画。
周りも観ているこちらも夢物語のような計画に唖然とする。
しかし計画実現を前にして次の難題が持ち上がってくる。
無理やり計画を実行するか、堅実な現実路線を行くか。
そうこうするうちに二人の間に微妙な温度差が生じてくる・・・

恋愛ドラマどころか、シリアスな人間ドラマ。
ディカプリオもケイト・ウィンスレットも甘い夫婦関係どころか、苦悩する夫婦として正面からぶつかり合う。
互いに秘めた思いを精神を患う知人がずけずけと言い当て、それがまた諍いの元となる。

途中で出てくる精神病の知人。
極めて合理的なものの考え方をするのだが、「人間関係」においてはどこかが壊れている。
しかし、一見「幸せな家庭」の結末を見ると何が正常で何が異常なのか、判別は難しい。
我々の日常生活にもすぐ隣接しているようなちょっとした怖さがある。
ちょっと濃厚な人間ドラマである・・・


評価:★★★☆☆
 
    
    
posted by HH at 18:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ