2010年08月01日

【ミルク】My Cinema File 578

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原題: Milk
2008年 アメリカ
監督:  ガス・ヴァン・サント
出演:  ショーン・ペン/エミール・ハーシュ/ジョシュ・ブローリン/ジェームズ・フランコ/ディエゴ・ルナ

<STORY>********************************************************************************************************
1972年のニューヨーク。
金融や保険業界で働いていたミルクは、20歳年下のスコットと出会い、恋に落ちる。
二人は新天地を求めてサンフランシスコに移り住み、小さなカメラ店を開店。
そこはたちまち同性愛者やヒッピーたちのよりどころとなり、ミルクは彼らを快く思わない保守派に対抗した新しい商工会を結成する事になる。
社交的でユーモアにあふれたミルクは、近隣住民の抱える問題に、政治的により関わりを深めていく・・・
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主人公のハーヴィー・ミルクは同性愛を公言して初めてアメリカで公職についた人物とされている。
これはそのミルク氏の自伝的ドラマである。

当時のアメリカ社会では同性愛は異端として世間から厳しい目で見られていた。
それが発覚しただけで、職を失う事になったため、みんなひたすらそれを隠していた。
「クローゼットから出てくる」という例えの形で、それが映画の中で表わされているのである。

ミルクは40歳の誕生日にスコットと出会い、一緒に暮らすようになる。
二人のキスシーンを観ておぞましいと思う自分は、どうやら正統派の「ストレート」(普通の人)のようである。
例え演技でもどうなんだろうと思う。

やがて二人はサンフランシスコに移り住む。
ここでも偏見は同じだが、カメラ店を構え、そして同じような同性愛者やヒッピーたちがたむろする場となっていく。
トラック協会の抗議運動に協力し、その見返りとしてトラック協会が同性愛者の採用を始めるといったところから政治活動に軸足を移していくミルク。

仲間の支持を受け、1回、2回と落選するも票は確実に伸ばしていく。
そしてやがて当選。
仲間にはレズビアンもいたりして、バラエティに富んでいる。
ストーリーは「自分が暗殺された場合のみ公開してほしい」として、本人がテープに様々な事を語る形式で進んで行く。

仲間たちの支持を受けて市会議員となったミルク。
次に教職から同性愛者を追放しようとする法律に反対運動を展開していくことになる。
こうした動きが出てくるという事はそれだけ同性愛者が多いという事に他ならない。
我が国ではあまり大事にならないという事はそれだけ数が少ないということだろうか、それとも隠す傾向が強いのだろうか。

いずれにせよ、同性愛者の嗜好はわからない。
こうした映画を観ても、「そういう人がいたんだ」という感覚しかない。
アメリカはいろいろな意味で広いなと感じた映画である。


評価:★★☆☆☆
 
    
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2010年07月28日

【扉をたたく人】My Cinema File 576

扉をたたく人.jpg

原題: The Visitor
2008年 アメリカ
監督: トム・マッカーシー
出演:  リチャード・ジェンキンス/ヒアム・アッバス/ハーズ・スレイマン/ダナイ・グリラ

<STORY>********************************************************************************************************
コネチカットで暮らす大学教授のウォルターは、妻と死に別れて以来本を書く事にも、教える事にも情熱を燃やせず憂鬱な日々を送っていた。
ある日、出張でニューヨークを訪れた彼は、マンハッタンにある自分のアパートで見知らぬ若いカップルに遭遇する。
知人に騙されて住んでいたというそのカップルは、シリアから移住してきたジャンベ奏者のタレクと彼の恋人でセネガル出身のゼイナブだと名乗る・・・
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主人公は大学教授のウォルター。
ピアノを習い始めるも、合わない教師を冷たく首にしたり、一方で大学の仕事はやる気のなさがありありとしているという具合の人物。
そんな彼が、しぶしぶニューヨークへの出張に出かける。
ニューヨークにある自分のアパートに久しぶりに寄る。
ところが、そこには見知らぬカップルが住んでいる。

カップルはタレクとゼイナブという名で、友人に騙されてその部屋でくらしていた。
行くあてもない彼らを受け入れ、妙な同居生活を始める。
タレクはジャンべという太鼓の一種である楽器の奏者であり、ウォルターはタレクからジャンべの演奏を習う事となる。

ウォルターとタレク、ゼイナブとの交流。
なんだかよくわからないまま、淡々とストーリーが進んで行く様子は「そして、私たちは愛に帰る」にどことなく雰囲気が似ていなくもない。
仕事にもピアノにも没頭できなかったウォルターが、しだいにタレクとの交流を深めていく。
いつのまにかタレクと公園でともにジャンべを演奏するようになっていく様は、それまでにはあり得なかった彼の変化を表している。

そうして好事魔多し。
そんな時に事件が起こる。
アメリカ社会が抱える問題点の一つがこの事件を通して明らかになる。
いかにアメリカ社会が多様な人種から成り立っているか。
そして必ずしも優しい社会ではないというのがわかるのである。

なんだかアメリカ映画というよりヨーロッパ系の映画のような雰囲気が漂う映画。
ストーリー的には面白いとはいいにくいものの、じっくり観てしまう。
そんなタイプの映画である。


評価:★★☆☆☆

     
    
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2010年07月20日

【レボリューショナリー ロード 燃え尽きるまで】My Cinema File 574

レボリューショナリーロード.jpg


原題: Revolutionary Road
2008年 アメリカ・イギリス
監督:  サム・メンデス
原作 : リチャード・イェーツ
出演 : レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレット/キャシー・ベイツ/キャスリーン・ハーン/マイケル・シャノン

<STORY>********************************************************************************************************
1950年代のアメリカ、コネチカット州。
フランクとエイプリルのウィーラー夫妻は、閑静な住宅街に暮らし、子供にも恵まれた理想のカップル。
しかし、甘い新婚時代の暮らしも次第に色あせていく。
演劇志向のエイプリルは地元の劇団の舞台に立つが、芝居の出来が悪く夫婦で口論に。
一方フランクは、しがないセールスマンの仕事にやるせない不満を感じていた。
そんな時エイプリルが提案する。
「みんなで、パリで暮らしましょう」と…
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レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットと言えば「タイタニック」
その二人が「タイタニック」以来の共演と言う事で随分と盛り上がった映画である。
そうしたイメージの延長には当然、恋愛映画という連想が成り立つ。
ところが、そうした連想を打ち砕くシリアスな人間ドラマである。

時は1950年代。
第2次大戦で疲弊した欧州各国を尻目に、アメリカが我が世の春を謳歌していた時代。
フランクとエイプリルの二人は二人の子供にも恵まれ、平均的なサラリーマンとして中の上とも言える生活を送っている。
「レボリューショナリーロード」に面した住宅街はちょっとした憧れの的。
「大工や左官工が住む地域を抜けると」、と不動産屋が誇らしげに進めた地域である。

しかしながらフランクは通勤電車に揺られてのしがないセールスマン生活に、どこかうんざりしている。
エイプリルは役者を夢見ているが、地元の劇団での活動はぱっとしない。
「人生これでいいのだろうか」と思うも、だからといって代わりに目指すものがあるわけでもない。
世間からみれば十分恵まれた生活を送っているのだが、当人たちにしてみればそうでもない。
何だか現代の我々にも当てはまりそうな状況である。

そんな二人が現状を打破しようと試みる。
パリに移住してエイプリルが国際機関で高級の秘書として働き、フランクは自分に合った仕事を探すという計画。
周りも観ているこちらも夢物語のような計画に唖然とする。
しかし計画実現を前にして次の難題が持ち上がってくる。
無理やり計画を実行するか、堅実な現実路線を行くか。
そうこうするうちに二人の間に微妙な温度差が生じてくる・・・

恋愛ドラマどころか、シリアスな人間ドラマ。
ディカプリオもケイト・ウィンスレットも甘い夫婦関係どころか、苦悩する夫婦として正面からぶつかり合う。
互いに秘めた思いを精神を患う知人がずけずけと言い当て、それがまた諍いの元となる。

途中で出てくる精神病の知人。
極めて合理的なものの考え方をするのだが、「人間関係」においてはどこかが壊れている。
しかし、一見「幸せな家庭」の結末を見ると何が正常で何が異常なのか、判別は難しい。
我々の日常生活にもすぐ隣接しているようなちょっとした怖さがある。
ちょっと濃厚な人間ドラマである・・・


評価:★★★☆☆
 
    
    
posted by HH at 18:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年07月15日

【情愛と友情】My Cinema File 570

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原題: Brideshead Revisited
2008年 イギリス
監督: ジュリアン・ジャロルド
出演:  マシュー・グード /ベン・ウィショー /ヘイリー・アトウェル /エマ・トンプソン /マイケル・ガンボン

<STORY>********************************************************************************************************
オックスフォード大学に入学したチャールズは、貴族の息子セバスチャンと出会い、友情とも愛情ともつかぬ妖しい関係を深めていく。
しかし、セバスチャンの屋敷“ブライズヘッド”に招かれたチャールズは、彼の美しい妹ジュリアにも惹かれてしまうのだった。
一見すると由緒正しき豪奢な貴族一家。
その実、家庭内は敬虔なカトリック信者である母親のマーチメイン夫人によって仕切られ、彼女の厳格さに閉口した夫のマーチメイン卿はヴェネチアへ逃避し、セバスチャンとジュリアも母の強制的な信仰的教育に苦しんでいた・・・
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「情愛と友情」という邦題はなんだかわかったようなわからないようなものである。
原題は「再び訪れたブライズヘッド」とでも訳すべきであろうか、「ブライズヘッド」という屋敷を舞台とした貴族の物語であるが、どちらにしてもタイトルはいまいちピンとこない。

イギリスは階級社会と言われている。
日本人には馴染みにくいのだが、この映画を観ればそれがよくわかる。
主人公のチャールズは貧しい家の出身。
オックスフォード大学に入学するも周りの貴族の子弟たちとは歴然とした差がある。
立ち居振る舞いのすべてが鼻もちならず、絶対友達にはなれないと思うのだ。

入学早々知り合ったセバスチャンはそんな貴族の子弟の一人。
招かれてランチに行くも、シャンパンにワインにと優雅な食事に、やたら出身を話題にする会話。
庶民からかけ離れた貴族社会に戸惑うのはセバスチャンだけでなく、観ているこちら側も同じである。

続いてセバスチャンに家に招待される。
出掛けて行ったお屋敷は城と見間違うばかりの大邸宅。
庶民派の私としては、ついつい「掃除が大変そう」と思ってしまう。
もしも我が家だとしたら、絶対手伝わされるに違いないと実に庶民的な発想をしてしまう。

そしてセバスチャンの母親を囲んでの優雅な食事。
しかしながらこの母親、カトリックだと言う。
イギリスは英国国教会のはずだし、カトリックの貴族がどういう位置付けになるのか、ここら辺はかの国の事情に通じていないからわからない。
そしてこれが後々大きな意味を持ってくる。

同性愛のセバスチャンと彼の妹のジュリア。
セバスチャンに対する友情と、ジュリアに対する愛情。
貴族の生活と母親の信仰。
いろいろな要素がミックスされ、濃厚なストーリーが展開される。
厚いハードカバーの文学作品を読んでいるが如き映画である・・・


評価:★★☆☆☆

     
posted by HH at 22:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年07月03日

【バーンアフターリーディング】My Cinema File 566

バーンアフターリーディング.jpg

原題: Burn After Reading
2008年 アメリカ
監督・製作・脚本 : ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演 :  ブラッド・ピット/ジョージ・クルーニー/ジョン・マルコヴィッチ/フランシス・マクドーマンド/ティルダ・スウィントン

<STORY>********************************************************************************************************
CIAの機密情報が書き込まれた1枚のCD-ROMを、勤務先のフィットネスセンターで拾ったチャドとリンダ。
チャドはそれを利用して一攫千金を狙う大胆な計画を思いつく。
そのころ、元CIA諜報員のオズボーンは、機密情報の紛失にうろたえていた。
一方、オズボーンの妻ケイティは、財務省連邦保安官ハリーと不倫中で…
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「ノーカントリー」のコーエン兄弟が監督・制作・脚本まで手掛けた一作。
出演者をみると、ブラピ、ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコビッチと意外な大物が出演していてちょっと驚く。

「読み終えたら燃やせ」というタイトルは何やらスパイ映画のようであるが、その名の通りのスパイ映画である。
しかし007シリーズのようなものを想像するとだいぶ違う。

CIAのアナリスト、オズボーンは飲酒が原因で機密情報に接する機会の少ない部署への転属を言い渡される。
しかし、激怒したオズボーンはその場で辞めてしまう。
そしてそれまでの経験を基にした暴露本の執筆に取り掛かる。

そんなオズボーンの妻ケイティは、財務省連邦保安官のハリーと不倫中。
ケイティはオズボーンと別れるためにパソコンのデータをすべてコピーするが、その中には暴露本のデータも含まれており、それが偶然フィットネスクラブに勤めるチャドとリンダの手に渡る。

オズボーン、ケイティ、ハリー、チャド、リンダ、そしてCIA。
オズボーンは自尊心を守ろうとし、ケイティはオズボーンと別れてハリーと一緒になりたくて、ハリーはただいろいろな女性とお楽しみしたいだけで、チャドは面白半分でお金を得ようとし、リンダは整形手術の費用が欲しかっただけなのである。
そんな交わる事のない人々が微妙に絡み合い、驚くべき展開に発展する。

その意外性のあるストーリーが見どころ。
バカバカしいと言えばバカバカしい。
シリアスなんだか不真面目何だかわからない映画だし、なのになんでこんな大物が出ているのか不思議なのだが、やっぱり面白いと思う気持ちが若干勝った映画である。


評価:★★☆☆☆

     
posted by HH at 11:36 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ