2010年03月21日

【訴訟】My Cinema File 527

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原題: Class Action
1991年 アメリカ
監督: マイケル・アプテッド
出演: ジーン・ハックマン/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/コリン・フリールズ/ジョアンナ・マリーン/ローレンス・フィッシュバーン

<STORY>********************************************************************************************************
60年代以降、弱者たちの弁護に人生を捧げ英雄視されてきたジェディダイア・タッカー・ウォードは、全米有数の自動車会社アルゴの自動車メレディアンを欠陥車として訴訟を起こそうとしていた。
一方、ウォードの娘マギーも父と同じ弁護士の道を歩んでいたが、父が世間の名声とはうらはらに女性関係で母エステルを泣かせてきたこともあり彼を憎み、父娘の間には深いミゾがあった・・・
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ちょっと古い映画であるが、ジーン・ハックマン主演という事で懐かしさもあって観てしまった。
当時すでに御年61歳。
最後の迫力を魅せてくれるが如き映画である。

ストーリーは訴訟社会アメリカに相応しい法廷モノ。
互いに弁護士である父と娘であるが、浮気を繰り返して母親を傷つけてきた父を娘は許せないでいる。
それを反映するかのように弁護士稼業でも二人は相反する。
有力な弁護士事務所で出世を目指す娘と、個人事務所で弱者たちのために汗を流す父。
そんな二人が、大手自動車会社アルゴの欠陥車疑惑を巡り真っ向から対立する。

大手自動車会社は、その資金力でもって大手弁護士事務所とタッグを組み、万全の構え。
しかし実情はといえば、欠陥に際してリコールした場合の費用と事故が発生した場合の費用とを比較し、経済性からリコールせずに事故対応をする方を選ぶという狡さをみせる。
汚い大手と正義感に燃える弱者の弁護士という対立構造は、始めから観る者の心を正義の側に立たせる。

このあたりはヒーロー好きのアメリカ映画らしい。
そして出世か正義かで揺れる娘マギー。
善と悪の対立、父と娘の葛藤。
それらをうまく織り成してオーソドックスに仕上げている。

「マトリックス」で圧倒的な存在感を示したローレンス・フィッシュバーンがまだ若々しいまま登場する。
クレジットに出てくる名前は「ラリー・フィッシュバーン」になっているので、最初はわからなかった。

ほどよく楽しめる娯楽作品である。


評価:★★☆☆☆
    
posted by HH at 20:10 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年03月06日

【七夜侍】My Cinema File 524

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2008年 日本
監督: 河瀬直美
出演:  長谷川京子/グレゴワール・コラン/村上淳

<STORY>********************************************************************************************************
人生のリセットを求めてタイに着いた日本人女性・彩子が、タクシーに連れて行かれたのはホテルではなく森の中。
その川のほとりでフランス人青年グレッグに出会った彩子は、彼が同居するタイ人母子の住む高床式の家に連れて行かれる。
言葉も通ぜず、ここがどこかもわからない彩子だが、不安と苛立ちの中でそこで受けた古式マッサージで心の安らぎを得ていく。
少しずつ周囲と調和していく彩子は、そこで七つの夜を過ごす・・・
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何だかよくわからない映画であった。
そもそもタイトルから意味不明。
「ななよまち」と読むらしいが、「待」ならわかるが「侍」となっている。
何かサムライをイメージした映画なのかと思ったら全然違う。

わかる人にはわかるのかもしれない。
だが、こちらは何の予備知識もなくいきなり映画を観て楽しむタイプだ。
それで意味がわからない映画に出くわすと、素直に「何だこれ?」と思う。
通を気取って無理に解釈したりはしない。
「わからないもの」はわからないのである。

タイが舞台だ、というのはさすがにわかる。
女が一人、タンクトップ一枚で(しかも下着はつけていないから、どうしてもいらぬところに注意がいってしまう)思い旅行ケースを引きずってホテルを探す。
乗ったタクシーで居眠りをしてしまい、気がつくと人気のない森の中。
「ほら、言わんこっちゃない」と思わず独り言。

しかし、どうやら運ちゃんが自宅に連れて行ったようで、何故だかそこでもともと居候していたフランス人とともに過ごし始める。
そこからの日常生活がまるでドキュメンタリーのように描かれていく。
タイの田舎の村での生活。
それをカメラが追って行く。
ストーリーもあるのだか、ないのだか・・・

何か意味があるのだろうか?
観る人が観ればわかるのだろうか?
だがこのドキュメンタリー(?)、どう観てもよくわからない。
そして映画はわからないうちにエンディングを迎える。

この女性、タイに何しに来たのだろう・・・
ふと気になった映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
     
posted by HH at 22:55 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年02月28日

【おくりびと】My Cinema File 523

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原題: 
2008年 日本
監督:  滝田洋二郎
出演:  本木雅弘/広末涼子/余貴美子 /吉行和子/笹野高史/山崎努

<STORY>********************************************************************************************************
所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる。
早速、求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、それは遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。
戸惑いながらも社長の佐々木に指導を受け、新人納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいた・・・
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第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、話題となった作品である。
もともとは「納棺夫日記」という原作を読んだ主演の本木雅弘が、映画化を計画したものの、原作と脚本の相違から著者の承諾を得られず、「まったく別の作品としてやってほしい」という話になり本作に至ったという。
そんなエピソードは映画に隠し味を与える。

納棺夫などという職業が存在しているという事実は、考えてみれば理解できるが、一般的に知名度は低い。
映画の中でも、失職して故郷に帰った主人公大梧が納棺夫の仕事を得るものの、仕事の内容を妻に言えないというシーンが出てくる。
そしてその事実を知った妻からは辞めてくれと懇願され、またある納棺時に「この人みたいな仕事をして・・・」と言われるシーンからも伺えるように、忌み仕事と思われているからかもしれない。

個人的にはどうとも思わないが、日本には伝統的に「死」を扱う職業についてはあまりいい扱いを受けていないため、そんな風になるのだろう。
実際にはわからないが、この映画が話題となった事で納棺夫という職業も市民権を得られたのではないかと推測する。

映画の方は、音楽家としての夢を断念した大梧が仕事として納棺夫を選び、仕事を通じて納棺夫という職業に対する理解を深めていく過程を妻・故郷の友人・会社の社長たちとの交流を横糸に描いていく。
遺体を棺桶に入れるという単純な作業を、死者に対する敬意を込め、遺族に対する配慮も交えながらきめ細かな思いやり溢れる手順で行っていく様は、繊細なる日本人らしいものと改めて思う。

映画はいろいろな影響を観る者に与える。
ただ単に「オスカーを取った」という話題性だけではなく、そうした影の部分に優しい光を当てたところがこの映画の良いところかもしれない。
広末涼子があまりにも良い奥さんを演じ過ぎていて、ちょっと羨ましく思えた映画である・・・


評価:★★★☆☆

posted by HH at 10:06 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年02月27日

【コッポラ胡蝶の夢】My Cinema File 522

コッポラ胡蝶の夢.jpg


原題: YOUTH WITHOUT YOUTH
2007年 アメリカ=ドイツ=イタリア=フランス
監督・製作・脚本 : フランシス・フォード・コッポラ 
出演:  ティム・ロス/アレクサンドラ・マリア・ララ/ブルーノ・ガンツ/アンドレ・M・ヘンニック/マーセル・ユーレス

<STORY>********************************************************************************************************
第二次世界大戦前夜のルーマニア。
年老いた言語学者のドミニクは、一生をかけた研究も未完のまま、かつて愛した女性ラウラのことばかり想い続けていた。
そんな日々に耐え切れず自殺を決意した日、彼を落雷が直撃する。
全身火傷の重傷を負いながら、彼は奇跡的に一命をとりとめたのだった。
驚異的なスピードで回復していくドミニクの身体―。
不思議なことに肉体と頭脳は驚異的に若返り、さらに超常的知能を発揮するようになる・・・
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フランシス・F・コッポラといえば何と言っても「ゴッドファーザー」シリーズだろう。
それ以外にも「地獄の黙示録」や個人的には「ペギー・スーの結婚」、「タッカー」、「レインメーカー」は好きな作品だ。

そんなコッポラ監督の久々の作品という事で一も二もなく観る事にした。
観終わって唸ってしまった。
とても難しい作品だ。
全体的に哲学的に深みがある事は確かである。
だが映画として面白いかというとちょっと次元が違う気がする。
面白い面白くないという範疇で語っていい映画なのかもよくわからない。

ストーリーは一見奇抜である。
孤独な言語学者ドミニクは、この世に見切りをつけ自殺をしようと知り合いのいない街へ行くが、そこで突然落雷に打たれる。
瀕死の重傷を負って病院に担ぎ込まれた彼をみて、誰もが助かるまいと思う。
しかし驚異的に復活したばかりか、70歳だったはずの彼はどうみても30〜40代に若返っている。

そんな彼が不思議な力も身につけ、新たに人生をやり直していく。
かつて愛した女性に似たヴェロニカと出会い、言語学者として研究も進む。
しかしヴェロニカの身には逆に過去に遡っていくという現象が起こり始める。
不思議が渦巻くストーリー。
そしてかつて通った地元のカフェに戻った彼は、そこで懐かしい友人たちと会う・・・

何だろうと思って観ていくうちに不思議な雰囲気のまま映画は終わる。
終わってみれば深い余韻が残る。
これがコッポラの新しい世界なのだろうか。
難しいところである・・・


評価:★★☆☆☆
   
posted by HH at 11:17 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年02月14日

【休暇】My Cinema File 517

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2007年 日本
監督: 門井肇
出演:  小林薫/西島秀俊/大塚寧々/大杉漣/柏原収史

<STORY>********************************************************************************************************
刑務官の平井は、職場で当たり障りのない付き合いを続け、40歳を越えた今も独身だった。
ある日、姉の紹介でシングルマザーの美香と見合いをする。
仲人に乗せられ、会ったその場で、二人の結婚は決まったような雰囲気に。
しかし、平井は、この結婚にささやかな希望を持っていた。
処刑の際、下に落ちて来た体を支える役をやれば、1週間の休暇が取れる。
美香を新婚旅行に連れて行きたい平井は、「支え役」を自ら志願するのだった…。
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刑務官という普段あまり日の当たらない職業に就く主人公平井。
そんな彼の姿を通し、刑務官の日常と苦悩を描く映画である。

真面目一筋に生きる彼は40歳を過ぎてようやくシングルマザーの美香と見合い結婚をする。
朴訥としたその様子からたぶんそれまで女性とあまり付き合った事はなかったと思われる。
それが子連れのシングルマザーと結婚する事になる。
慣れない女性との付き合いに加えて子供までできて、そのぎこちなさがうまく表現されている。

平行して刑務官としての日常が描かれる。
死刑囚として収監されているのが金田。
独居房で絵を描いて過ごす。
そんなある日、金田にも刑の執行日がやってくる。

金田がなぜ死刑になったのかはわからないが、大人しい日常生活からは死刑になるような人間には思えない。
刑務官にとってもそれは同様で、なのに仕事で彼を殺さないといけないという事実はかなり刑務官にとっても酷なのだろう。
執行のメンバーに選別されると一日休暇が与えられる。
そして絞首刑の時、死刑囚を支える(息絶えるまで動かないように押さえる)「支え役」ともなると一週間の休暇が与えられる。

そんな様子はどこまで実情を現しているのかわからないが興味深い。
死刑囚とはいえ、一人の人間が死ぬまで押さえているというのも嫌な役回り。
休暇が与えられるのも無理もないのかもしれない。
普通は誰も志願などしないのだが、平井はあえて志願する。
父の葬儀で休暇を取り尽くしてしまった平井は、新婚旅行に行く事ができなかったのである。

人を殺す役目を休暇を取るために志願する。
その葛藤が、この映画のポイントだ。
慶弔休暇は有給休暇とは別に取れるのではないのだろうか、などと野暮な詮索をしても仕方がない。
そこは映画だし、理由はどうあれ自分だったらどうするだろうと考えてみるのも興味深い。

観終わってなかなか面白いテーマの映画だと感じた。
日本映画も最近は幅広くなってきたとつくづく感じたのである・・・


評価:★★★☆☆


    
ネタバレ覚悟で続きを読む
posted by HH at 23:59 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ