2009年08月29日

マイ・ブルーベリー・ナイツ

マイブルーベリーナイツ.jpg

原題: My Blueberry Nights
2007年 フランス・香港
監督・製作・原案・脚本 : ウォン・カーウァイ
出演:  ノラ・ジョーンズ/ジュード・ロウ/デイヴィッド・ストラザーン/レイチェル・ワイズ/ナタリー・ポートマン

<STORY>********************************************************************************************************
恋人に捨てられたエリザベスは彼のことが忘れられず、彼の行きつけのカフェに乗り込む。
そんな彼女を慰めてくれたのは、カフェのオーナー・ジェレミーと、甘酸っぱいブルーベリー・パイ。
それからのエリザベスは、夜更けにジェレミーと売れ残りのパイをつつくのが日課になる。
しかしそんなある日、彼女は突然ニューヨークから姿を消す。
恋人への思いを断ち切れずにいたエリザベスは、あてのない旅へとひとり旅立ったのだった…
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雰囲気的にはアメリカ映画なのであるがなぜかフランス・香港合作というちょっと変わった映画。
といっても内容的にはアメリカ映画そのものである。
ストーリーは失恋したエリザベスが、あるカフェのオーナーとそこのブルーベリー・パイに慰められ、やがて旅に出るというもの。
カフェ・オーナーとの出会いと旅先で出会った人との交流との2部構成とでもいう内容である。

カフェのオーナーはジュード・ロウ。(「スルース」、「スターリングラード」、「イグジステンズ」
旅先で出会う女性にレイチェル・ワイズ(「コンスタンティン」「ファウンテン〜永遠に続く愛」)。
それとナタリー・ポートマン(「スターウォーズシリーズ」、「Vフォー・ヴェンデッタ」)とくると何だかそれだけで得した気分になるというもの。

しかし、内容的には短い時間に詰め込み過ぎている感は否めない。
前半のジェレミーとの出会いからエリザベスは約300日間の旅に出てるのだが、その間のエピソードは2つだけである。
旅の間、NYにいるジェレミーに手紙を書くのだが、内容もさらっと触れた程度。
長い物語をダイジェストでお届けしますといった感じを受ける。

個人的に期待していたナタリー・ポートマンの出番も最後のエピソードだけで短いものであった。
ただ、ダイジェストなりによくまとまっていたのも確かである。
全体の印象としては悪くない。
毎夜売れ残っていたブルーベリー・パイに何となく悲運な自分の運命を重ね、遠回りしながらも自分の居場所を探すエリザベス。
若い頃にありがちな迷いに共感できた気がする。
こんな旅をしてみてかったが、そんな暇なかったなと羨ましくも思う。

失恋は誰でもある事であるが、その痛みは当人にしかわからない。
だから失恋したエリザベスの気持ちもなんとなくしかわからない。
恋人の部屋の下から、窓に映った恋人とその新しい恋人が仲睦まじくしているところを見上げる辛さも本当の意味では当人にしかわからない。
ただ、エリザベスと一緒に旅をして、そこで出会った人を見て思うのだ。
人生いろいろだ、と。
自分一人が不幸を背負っているわけではない。
みんないろいろと抱えて生きているのである。
そして誰にでも平等に朝がやって来る・・・

もう少しいろいろなエピソードも観てみたかったと思うが、これだけでもいいかもしれない。
学生時代よりも、少し社会経験を積んでから観てみたい映画である・・・


評価:★★★☆☆

posted by HH at 21:59 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(2) | ドラマ

2009年08月25日

ホームレス中学生

ホームレス中学生.jpg

2008年 日本
監督 : 古厩智之
原作 : 田村裕
出演 : 小池徹平/西野亮廣/池脇千鶴/イッセー尾形/古手川裕子

<STORY>********************************************************************************************************
中学2年生の田村裕は、クラスの人気者。1学期最終日には、気になっていた女子から映画に誘われ、上機嫌で帰宅すると、家の周りの様子がおかしい。
団地の前には田村家の家具が山のように積まれ、カギが変えられて中にも入れない。
兄、姉と玄関の前で途方に暮れていると、父親がやって来て「今日で我が家は解散!」とだけ言って、去って行った。
事態を把握し、立ち往生する3人。
しかし、それは人生最高の夏休みの幕開けだった・・・
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お笑い芸人の麒麟というコンビがあるらしい。
その相方の一人である田村裕の体験談を元にしたベストセラーの映画版である。

父親が突然家族の解散宣言をしどこかへ行ってしまう。
家は差押えで入れない。
あとに残された子供3人は途方に暮れる・・・
一見ありそうもない設定だが実話だというのだから驚きである。

田村は当時中学生。
男の子だからであろうか、「何とかなる」と言って兄姉と別れる。
しかし何とかなるはずもなく、公園で寝泊りする毎日。
食べるものにも困ってダンボールまで口にする。
それなりに年季の入った大人であれば、あれこれと知恵を働かせるのだろう。
だが中学生だ。
よく万引きに走らなかったものだと感心する。

そして思い余って友達に頼んでご飯を食べさせてもらう。
映画では食べ物をアップで強調するシーンが多用されている。
普段ありがたみも感じずに何気なく食べているご飯でも、ひもじい思いをしたあとには輝いて見えるもの。
そんな田村の思いが画面から伝わってくる。
なかなかのショットだと思う。

雨水で体を洗っていた身には風呂のお湯さえ泉の如し。
今の日本は実に豊かで物資が溢れかえっているが、こういう立場にたってみると、一つ一つのありがた味がしみじみと伝わってくる。
映画を観てそれを感じる人がどれくらいいるのであろうか。

そして手を差し伸べてくれる周りの人達。
思い余って友達の家に転がり込んだ田村。
4人の子持ちのその家はけっして広いとはいえない住まい。
家計だって楽ではないだろう。
それでも「ここにいなさい」と言える事はたいへんな事だ。
そんな人達に助けられる田村兄弟。

兄弟を演じるのは小池徹平に池脇千鶴。
とても中学生・高校生という役をやる年ではないのであるが、そこは演技力のなせる業か、なんとなく違和感なくなりきっている。
そして何とも味のあるのが、「解散宣言」をする父親のイッセー尾形。
「太陽」では昭和天皇を見事に演じきったが、ここでもいかにもという父親になりきっている。
お笑い芸人としてよりももはや立派な役者ではないかと思われる。

そんなキャストが演じる兄弟の姿はちょっと感動的である。
今の世の中甘えたような人間が多いと感じるが、それはあまりにも恵まれすぎているゆえに成長できないのだと思わざるを得ない。
長男といえども大学生。
なのにとてもしっかりとしている。
そんな姿にそう感じる。
多くの気付きが得られる映画である・・・


評価:★★★☆☆
posted by HH at 21:52 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ

2009年08月24日

シビル

多重人格シビルの記憶.jpg

原題: Cybil
2007年 アメリカ
監督: ジョセフ・サージェント
出演: ジェシカ・ラング/タミー・ブランチャード

<STORY>********************************************************************************************************
1920年代、米国。女性の心理学者ウィルバーは自殺未遂した女性患者シビルを担当することになり、彼女に自分の半生を振り返らせる。
ところがシビルは突然異なる人格に移り変わっていき、ウィルバーを混乱させる。
しかしウィルバーは根気よくシビルが言うことに耳を傾け、シビルが何者か探り出そうと試みる。
また当時は解離性同一性障害そのものが医学界で認められておらず、ウィルバーは周囲の医師を理解させようと奔走するが……
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最近では多重人格という症状もよく知られるようになってきた。
以前ダニエル・キースの「24人のビリー・ミリガン」という本を読んだ事があるが、「本当かな」と信じ難い思いは拭いきれない。
この映画に登場するシビルは実在の人物。
しかも1920年代というまだこの病気が知られていなかった時代の話である。

ストーリーは自殺未遂の女性患者シビルを診断した医師が、女性医師のウィルバーにシビルを任せるところから始まる。
シビルの症状を女性特有の「ヒステリー」と判断し、同じ女に任せようとしたのである。
そこにはまだ女性そのものに対する蔑視の時代背景が見え隠れする。

シビルの診断を始めたウィルバーであるが、やがてその異常性に気がついていく。
次々と現れる人格。
演技なのかもしれないし、事情もよく飲み込めない。
そうして過去の経緯を聞きだしているうちに、段々と状況が飲み込めてくるようになる・・・

映画だからもちろん演技なのだが、シビルを演じるタミー・ブランチャードがまた真に迫っている。
同じ人間なのに表情が変わり、しぐさが変わり、言葉遣いが変わる。
まさに突然別人になるわけである。
この映画の大半は彼女の演技に負っていると言えるだろう。

そして一つ一つ原因を解き明かしていくウィルバー医師。
医師を演じるのはジェシカ・ラング。
その昔、キングコング(1976年版)でのヒロインのイメージが強く残っているが、もうけっこうなおばさんになっている。
周囲の女性蔑視と無理解に腹を立てながらも信念をもって向っていく強さを披露する。

二人の女優の演技だけで進む映画であるが、見応えはある。
日本劇場未公開だったらしいが、こういう映画をさり気なく流すのがWOWOWのいいところかもしれない・・・


評価:★★☆☆☆

posted by HH at 22:33 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月23日

Sweet Rain 死神の精度

死神の精度.jpg

2008年 日本
監督 : 筧昌也
原作 : 伊坂幸太郎
出演 : 金城武/小西真奈美/富司純子/光石研/石田卓也/村上淳/奥田恵梨華/吹越満

<STORY>********************************************************************************************************
死神が現れるのは、人が不慮の死を迎える前。
観察期間の後、「実行」か「見送り」かを判断するのが仕事だ。
楽しみは、CDショップで、“ミュージック”を聴く事である。
今日の「ターゲット」は、27歳の一恵。家族を亡くし、恋人にも先立たれた薄幸の女性だ。
しかし、ひょんなことから音楽プロデューサーが彼女の声に惚れ込み、歌手にならないかとスカウトする・・・
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原作が伊坂幸太郎ということで期待して観た映画である。
原作はまだ読んでいないのでなんとも言えないが、結果から言えばちょっと残念であった。
映画にはどうしても「時間制限」がある。
小説では十分に説明し読者の理解を得た上でストーリーを進められるが、映画ではそれを端折る事がある。
そうするとなんとなく身内の話を第3者が聞くようで疎外感を感じる。
この映画でもそれを感じてしまった。

死神にも何かルールがあるようなのであるが、それがなんだかよくわからない。
別にわからなくても差し支えはないのだが、どことなくしっくりいかない。
例えば死神の手に触れると花は枯れ、人は気を失う。
だから死神は手袋をしているのだが、その他は触っても大丈夫なのだろうか、とか。
すべて死に行く人の前に死神は現れるのか、とか・・・

ストーリーは3部作となっている。
それぞれ死神がターゲットとなった人物の前に現れ、その人物を観察し、「死にふさわしいかどうか」を判断する。
「実行」を選択すればその人物は死ぬわけである。
そして「見送り」の判断もある。

3つのストーリーがそれぞれ微妙に絡みあってはいるが、だからどうだというわけでもない。
特に第3話目は意味のわからない登場人物がでてきてどうかと思う。
原作通りにしたのかどうか、読んでいないから何とも言えないが、中途半端に出すならカットした方がいいのにと残念である。

主演は金城武。
多国語を操る国際派スターである。
日本映画は、「リターナー」以来であるが、今回は「最近の」日本語がよくわからないという死神役が妙にユーモラスにフィットしていた。
これからも日本映画にちょくちょく出演してもらいたいものである。

観終わって感じた事は、「原作を読んでみたい」という事。
映画としてはどうも今ひとつであった・・・


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 12:07 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月20日

幸せの1ページ

幸せの1ページ.jpg

原題: NIM'S ISLAND
2008年 アメリカ
監督・脚本 : ジェニファー・フラケット&マーク・レヴィン
原作 : ウェンディ・オルー
出演 : ジョディ・フォスター/アビゲイル・ブレスリン/ジェラルド・バトラー

<STORY>********************************************************************************************************
アレクサンドラは、大人気の冒険小説家。
なのに、対人恐怖症で引きこもり。
そんな彼女が書くヒーローは、空想で作った理想の男性像だった。
新しい小説のネタを探していると、孤島で暮らす海洋学者の記事が目にとまった。
彼に協力を求めるつもりでいたが、ある日、南の島の少女・ニムから、物語のヒーロー宛にSOSのメールを受け取る。
ニムを救うため、アレクサンドラは初めて家の外へ出て、南太平洋へと旅立つが・・・
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南の島で父親と暮らす11歳の少女とサンフランシスコに住む人気冒険女流作家。
ふたりのありえないような冒険を描く楽しい映画である。

主人公はニムという名の11歳の少女。
科学者の父と南太平洋の孤島で暮らしている。
美しい空と海と自然と動物たちに囲まれた暮らしは、誰もが憧れるような環境だが、現実的にそんな環境下での生活は、現代人には難しいだろうなと随所で感じさせられる。

晴れている時は楽園のようだが、モンスーンが来ると大騒動だし、生活物資は船の定期便でないと得られない。
ネットで買うなどもちろん不可能である。
それでもソーラーシステムで発電し、eメールでリアルタイムの連絡が取れるところはさすが現代である。

サンフランシスコに住む作家のアレックスがニムにメールで助けを求められ、一大決心をして助けにいく。
しかし、飛行機を乗り継ぎ船やヘリコプターを利用しての旅は、外出恐怖症の彼女には大冒険となる。
世界はすっかり狭くなったが、やっぱりこういうところでは世界はまだ広いのである。

ニムが暮らす島に、突然観光客がやってくる。
どかどかとやってきてバーベキューをし、仮設トイレまで設置し、いちなり文明を持ち込む。
しかし、捨てられたゴミもまた文明であり、ストーリーとは関係ないところではたと考えさせられる。
あまり便利になるのも考えものだ。

ストーリー自体は何も考えずに観るのが正しい観方だろう。
あれこれと重箱の隅をつつくのはナンセンスである。
ジョディ・フォスターもこういう映画に出るんだなと思ってしまった。
パパ役のジェラルド・バトラーも「300スリーハンドレッド」のゴツイ役柄や「オペラ座の怪人」の怪人役のような濃い役柄とはうって変わってユーモラスなパパを演じている。

みんなで肩の力を抜いて観るべき映画なのだろう・・・


評価:★★★☆☆
posted by HH at 22:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ