2010年05月09日

【余命】My Cinema File 550

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2009年 日本
監督・脚本 : 生野慈朗
原作 : 谷村志穂
出演 : 松雪泰子/椎名桔平/林遣都/奥貫薫/市川実和子/二階堂智/かとうかず子/宮崎美子/橋爪功

<STORY>********************************************************************************************************
敏腕外科医・百田滴は結婚10年目にして妊娠する。
過去に乳がんを患い、子供を授かることを期待していなかっただけに、カメラマンの夫・良介と至福の時間を味わう。
しかし喜びもつかの間、全身性の乳がんが再発する。
出産は38歳の滴にとって最後のチャンス。しかし産んだところで自分は育てられない。
子供を諦めて治療に専念すべきか、ガンの進行を早めることになっても子供を生むか、病を知り尽くした滴は苦渋の決断を迫られる…。
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結婚10年目にしてようやく子供を授かった滴。
喜んだのもつかの間、かつて患ったがんが再発した事を知る。
治療をするなら子供は諦めないといけない。
しかし、子供を産むとなるとがんの進行を早め、みずからの命を短くする。
究極の選択に迫られる滴・・・

ストーリーの大筋だけみるとよくありがちな「お涙ちょうだい」モノかと思う。
基本はそうなのであろうが、実際に観た感じとしては、「さあ泣け」というようないやらしさは漂ってこない。
その最大のポイントは主人公が死んでいくシーンが描かれていない事であろう。
時間を飛ばし、写真立てに収まる彼女を描く事でその事実を伝えているのである。

旦那は元医師でありながら、好きな写真の道に転身し売れないカメラマンとなっている。
主人公に対しては献身的で、かなり理想主義的な男である。
お金に縛られず、好きな事をやって好きな人と家庭を大切にして暮らすというタイプである。
それに対して主人公は現役の外科医としてバリバリ働いている。
ストーリーとはあまり関係ないが、こうした設定も面白い。

感心したのは松雪泰子の演技だ。
設定は38歳となっているが、最初に乳がんにかかったのは10年ほど前となる。
回想シーンの松雪泰子は20代後半なのであるが、実に若々しく年相応に見える。
そして終盤、故郷の島に家族で戻ったシーンでは、すでに車いすに頼っており弱々しい表情が病の進行を語っている。

映画はどちらかと言えばハッピーエンド的な雰囲気をもって終わる。
悲劇のストーリーで観客に「泣け、泣け」と迫るわざとらしさもない。
それでいて、もし自分たちもそんな状況に置かれたらどうしようと考えさせてもくれる。
いやらしさが目につかないという意味においても良い映画であった。


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 11:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年05月06日

【ラーメンガール】My Cinema File 548

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原題: The Ramen Girl
2008年 アメリカ
監督: ロバート・アラン・アッカーマン
出演: ブリタニー・マーフィー/西田敏行/タミー・ブランチャード/余貴美子/山崎努

<STORY>********************************************************************************************************
恋人イーサンを追いかけて、東京にやってきたアビー。
しかしイーサンはあっさりアビーを捨て、仕事で大阪へ向かってしまう。
言葉も習慣もわからない国で、突然1人ぼっちにされたアビーは、孤独と不安で胸を押しつぶされそうになる。
そんな時、アパートの向かいにあるラーメン屋の赤提灯に引き付けられ、店に入ったアビーは、どん底の精神状態を一杯のラーメンで救われる。
これが天職と確信した彼女は、店の主人マエズミに「弟子入りしたい」と迫るが…!?
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舞台は東京だし、西田敏行が出ているしで、この映画日本映画だと思っていたら、れっきとしたアメリカ映画だった。
「東京に来た金髪美人が、言葉も通じないまま頑固おやじのラーメン店に弟子入りする」っていう映画のあらすじは、それだけで十分観たいという気にさせられる。

イントロは今風の金髪美女アビーがラーメン店に弟子入りするまで。
恋人にふられ、仕事もうまくいかない中で、たまたま入ったラーメン屋で一杯のラーメンをごちそうになる。
仲良くなって弟子入り志願。
ところが事あるごとに、頑固おやじと激突する。

まあそれも仕方がない。
何せ弟子入りと言ってもいきなりラーメンを作らせてくれるほど職人の世界は甘くない。
まずは皿洗いにトイレそうじ。
日本的な修行が西洋合理主義とあうわけがない。
このギャップはなかなか面白い。

いざラーメンを作り始めても、頑固おやじは味見もせずにダメ出しをする。
「魂をこめろ」なんて言ってもアメリカ人には理解できない。
言葉も日本語と英語でのやり取りでお互い通じない。
こういう映画はハッピーエンドになると決まっているが、どのような展開をしていくのかという興味はしっかり持たせてくれる。

ストーリーとしてはとっても面白いと思う。
だが、それにも関らず何か太鼓判を押せないモノがある。
それは何かというと、「ラーメンがおいしくなさそう」という一言に尽きる。
舞台となるのは昔風の街のラーメン屋で、しかもオーソドックスなラーメンである。
今時のうまいラーメンとは程遠い感じがしてしまう。
そこがどうしても残念なところである。

やっぱりラーメンの本当の味は、アメリカ人には理解できないのだと、思わざるを得ない映画である・・・


評価:★★☆☆☆
      

    
posted by HH at 22:57 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年04月24日

【BOY A】My Cinema File 541

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原題: BOY A
2007年 イギリス
監督: ジョン・クローリー
出演: アンドリュー・ガーフィールド/ピーター・ミュラン/ケイティ・リオンズ/ショーン・エヴァンス/シヴォーン・フィネラン

<STORY>********************************************************************************************************
24歳のジャックは、子供の頃に犯した犯罪により少年院に入れられ、14年間の刑期を終え再び外の世界へ出ようとしている。
ソーシャルワーカーのテリーから仕事とアパートが与えられ、彼は過去を隠し、名前も変え新しい生活を始める。
運送業の会社に就職した彼は、同世代の青年クリスとコンビを組むことになる。
職場にはミシェルという気になる女性もいた。
ある日ジャックは、クリスに後押しされてミシェルを誘う…
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原題を和訳すれば「少年A」。
日本でも未成年者が犯罪を犯した場合は実名報道されないが、イギリスでもそれは同様。
これはそんな少年Aが、社会復帰していく様子を描いた作品である。

冒頭でソーシャルワーカーのテリーから社会復帰の手ほどきを受けるジャック。
ジャックという名前もその場で決めたものである。
新しいアパートと仕事、そしてテリーからは靴をプレゼントされる。
並行して描かれる少年時代のエピソード。
どうやら少年Aとなった経緯は、友人とともにある少女を殺害した事だとわかっていく。

世間ではいまだにその事件に対する憎しみが強く、少年Aが出所したというニュースが新聞で報道され、似ているとされた人の家が放火されるというエピソードも出てくる。
罪は償っても世間はそれを許していない様子がうかがえる。
やがて仕事にも慣れ、パートナーとも仲良くなり、そして彼女もできる。
普通に暮らし始めた彼の心に重く圧し掛かるのは、「もしも過去がばれたら」という不安と、最愛の彼女に事実を伝えるべきかという葛藤。

日本でも一時少年犯罪が話題となった。
筆頭格の「酒鬼薔薇聖斗」もすでに出所しているが、居場所について近所で話題になった事もあったが、その手の話に対する関心はどこの国でも同じなのであろう。
事実、ジャックの正体がばれるとともに報道関係者がジャックの自宅に押し掛けてくる。

映画はあくまでジャックの視点で描かれている。
一生懸命普通に生きようとするが、儘にならない現実。
観ているうちに自然と同情的になる。
しかも犯行自体、もう一人の少年が主導していたように暗示されているから、尚更である。

しかしながら事件には当然被害者がいるわけで、被害者(の家族)の視点は描かれない。
描かれれば当然ジャックについても別の姿が浮かび上がるわけであるが、それも描かれていない。
意図的に犯罪者に同情的に作られているが、これはこれとして別の視点もあるよという認識は持たないといけない。
そんなに簡単に社会に受け入れられていいとはどうしても思えないし、ジャックの苦しみはある意味自業自得なのである。

単なる娯楽と割り切ってもいいし、そんな問題意識をもっても面白い。
映画ってやっぱり面白いものである・・・


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 12:22 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年03月28日

【スリーキングス】My Cinema File 530

スリーキングス.jpg



原題: Three Kings
1999年 アメリカ
監督: デヴィッド・O・ラッセル
出演: ジョージ・クルーニー/マーク・ウォルバーグ/アイス・キューブ/ジェイミー・ケネディ

<STORY>********************************************************************************************************
1991年3月、湾岸戦争が終結し、停戦が発表された直後のイラク砂漠地帯の米軍ベースキャンプ。
補充兵のトロイ上級曹長(マーク・ウォールバーグ)とコンラッド上等兵(スパイク・ジョーンズ)は、降伏したイラク軍兵士が肛門に隠し持っていた地図を発見。
特殊部隊のゲイツ少佐(ジョージ・クルーニー)はこれがイラクがクウェートから奪った金塊の隠し場所を示した地図と知って、発見者のふたりと生真面目な二等軍曹チーフ(アイス・キューブ)を仲間に引き入れ、一獲千金とばかり金塊探しに乗り出す・・・
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いまだ治安の安定しないイラク。
米軍もなかなか撤退できずにいる。
そんなイラク戦争であるが、発端はといえば1991年の湾岸戦争である。
この時はイラクのクウェート侵攻という暴挙に対して世界が結束し、アメリカ軍を中心とした多国籍軍がクウェート解放の戦いに参戦した。
戦闘は装備に勝る多国籍軍の圧勝に終わるが、その直後を舞台としたのがこの映画である。

のちのイラク戦争はアメリカが自国のエゴによって難癖をつけて無理やり開戦したが、この時の湾岸戦争にはクウェート開放という立派な大義名分があった。
それでもイラク兵が捕らえたトロイに拷問を行う時、「石油のためだろう」と責める場面があって当時既にそんな見方があったのかと、新たな発見をした気分である。
のちのイラク戦争は100%石油資源確保のためというのはほぼ通説として語られている。

映画はそんな硬い話は抜きとして単純に進む。
戦闘が終わったとなると欲望が出てくるのが人間。
ちょっと考え方のよろしくないゲイツら4人の兵士は、偶然見つけた金の隠し場所の情報を基に、勝手に隊を離れて奪還に行く。
そこにあるのは正義感ではなく、カネの亡者と化した姿。

情報は正しく、クウェートから持ち出された金塊を発見。
しかしそこには反フセイン派の市民が、イラク軍に苦しめられている姿があった。
金塊を渡して米軍を追い返そうとするイラク軍。
米軍がいなくなれば殺されるため必死に助けを求める市民。
黙って引き上げれば金塊は丸ごとせしめる事ができる。

金塊を見つけて持って帰るというだけのはずが、異なる様相を呈してストーリーは進んでいく。
知恵を働かせて悪事に挑むもいまいち悪人になり切れない、ジョージ・クルーニーのこのあたりの役どころは「オーシャンズ11〜13・シリーズ」のリーダーと被ってくる。

アメリカにまだ大義名分があったこの時、映画もすっきりと終わり後味もよい。
アメリカ軍も立派に正義の味方として通用する。
その後のイラク戦争をかの地の人達はどのように捕らえているのだろうか。
時代背景とあわせて観ると興味深い映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     

posted by HH at 11:37 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年03月21日

【訴訟】My Cinema File 527

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原題: Class Action
1991年 アメリカ
監督: マイケル・アプテッド
出演: ジーン・ハックマン/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/コリン・フリールズ/ジョアンナ・マリーン/ローレンス・フィッシュバーン

<STORY>********************************************************************************************************
60年代以降、弱者たちの弁護に人生を捧げ英雄視されてきたジェディダイア・タッカー・ウォードは、全米有数の自動車会社アルゴの自動車メレディアンを欠陥車として訴訟を起こそうとしていた。
一方、ウォードの娘マギーも父と同じ弁護士の道を歩んでいたが、父が世間の名声とはうらはらに女性関係で母エステルを泣かせてきたこともあり彼を憎み、父娘の間には深いミゾがあった・・・
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ちょっと古い映画であるが、ジーン・ハックマン主演という事で懐かしさもあって観てしまった。
当時すでに御年61歳。
最後の迫力を魅せてくれるが如き映画である。

ストーリーは訴訟社会アメリカに相応しい法廷モノ。
互いに弁護士である父と娘であるが、浮気を繰り返して母親を傷つけてきた父を娘は許せないでいる。
それを反映するかのように弁護士稼業でも二人は相反する。
有力な弁護士事務所で出世を目指す娘と、個人事務所で弱者たちのために汗を流す父。
そんな二人が、大手自動車会社アルゴの欠陥車疑惑を巡り真っ向から対立する。

大手自動車会社は、その資金力でもって大手弁護士事務所とタッグを組み、万全の構え。
しかし実情はといえば、欠陥に際してリコールした場合の費用と事故が発生した場合の費用とを比較し、経済性からリコールせずに事故対応をする方を選ぶという狡さをみせる。
汚い大手と正義感に燃える弱者の弁護士という対立構造は、始めから観る者の心を正義の側に立たせる。

このあたりはヒーロー好きのアメリカ映画らしい。
そして出世か正義かで揺れる娘マギー。
善と悪の対立、父と娘の葛藤。
それらをうまく織り成してオーソドックスに仕上げている。

「マトリックス」で圧倒的な存在感を示したローレンス・フィッシュバーンがまだ若々しいまま登場する。
クレジットに出てくる名前は「ラリー・フィッシュバーン」になっているので、最初はわからなかった。

ほどよく楽しめる娯楽作品である。


評価:★★☆☆☆
    
posted by HH at 20:10 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ