2009年08月14日

ファウンテン〜永遠に続く愛

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原題: THE FOUNTAIN
2007年 アメリカ
監督・脚本 : ダーレン・アロノフスキー
原案 : ダーレン・アロノフスキー&アリ・ハンデル
出演 : ヒュー・ジャックマン/レイチェル・ワイズ/エレン・バースティン

<STORY>********************************************************************************************************
医師のトミーは最愛の妻イジーを死の病から救うため、新薬の開発に没頭していた。
運命を受け入れたイジーは、残された時間を少しでも夫と過ごしたいと願うが、薬の完成を焦るトミーは彼女を遠ざけてしまう。
そんな中、イジーは「私の死後、あなたが完成させて」と書きかけの本をトミーに託す。
それはトミーの前世とおぼしき中世スペインの騎士が、愛する王女のために、永遠の命を授けるという<ファウンテン(生命の泉)>を探す物語だった…
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何本も映画を観ていると、事前にある程度選別しているつもりであるのだが、ハズレくじを引いてしまう事はやはり避けられない。
これはそんなハズレくじの一つだ。

構成は主として3つから成る。
中世のスペインの騎士の物語。
現代の医師トミーの物語。
そして何やら不思議な円球に包まれた大木と男の物語。

それが交互に繰り返される。
どうやら「永遠の生命」を巡って関連しあっているのだが、同じような映像が何度も繰り返され、出来の悪いイメージビデオのようにストーリーがはっきりと伝わってこない。
観ていくうちに、それはトミーの妻イジーが創作した中世スペインの騎士の物語とトミーの幻想のようなのであるが、だから何なのだという思いが先にたつ。

観終わって結局何だったんだと、「?」マークが頭の上を飛び回る。
せっかく「X−MEN」のヒュー・ジャックマンが熱演していたというのに・・・
せっかくレイチェル・ワイズ(「スターリングラード」「コンスタンティン」)が熱演していたというのに・・・

めげずに次に期待したいと思う・・・


評価:★☆☆☆☆
   
    
posted by HH at 20:40 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月09日

ヴィーナス

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原題: Venus
2006年 イギリス
監督: ロジャー・ミッシェル
脚本 : ハニフ・クレイシ
出演 : ピーター・オトゥール/レスリー・フィリップス/ジョディ・ウィッテカー/リチャード・グリフィス/ヴァネッサ・レッドグレーヴ

<STORY>********************************************************************************************************
かつて数多の女性たちと浮き名を流したベテラン俳優のモーリスも老境に入り、今では端役の仕事を細々と続ける一人暮らしの孤独な身の上だ。
そんなたそがれ気味の日々に、親友イアンの年若い姪ジェシーが出現し久々にときめきを覚える。
粗野で非常識な姪を持て余していたイアンを尻目に、女心の専門家を自負するモーリスは俄然張り切ってジェシーに近づき、モデルになりたいという彼女のために仕事を紹介するのだが…
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人間は誰しもが年を取る。
それは誰にとっても防ぐ事はできないものである。
そうわかっていてもなかなか実感できないのが実情である。
男はいったいいくつになったら女の尻を追い掛け回さなくなるのだろうか。
この映画を観ると、その答えは「いくつになっても変わらない」という事になりそうである。

かつてはプレイボーイでならしたモーリスも今ではすっかりとおじいさん。
ある日親友のイアンが年若い姪と同居する事になる。
親戚とはいえ若い女性との二人暮らしにウキウキと準備を進めるイアン。
例え二人の関係に「発展性」はかけらもないとしても、やはり男というものはこういうものだ。

ところが実際は実家でも手をもてあましたあばずれを押し付けられただけなのであった。
せっかく用意した名作小説も、夕食の時に聞こうと思ったバッハも、料理してもらおうと思った新鮮な魚も、「電子レンジに入れてチンするのが夕食」の娘に通用するはずもない。
そこに登場するのがモーリス。
巧みに「異星人」に近づいていく・・・

モーリス演じるのは、あのピーター・オトゥール。
「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールである。
今でもあの勇壮なテーマ曲が頭の中を過ぎる名作に主演した名優も、今は映画の中のモーリスそのままである。
しかし優雅に口説くかと思いきや、こっそりと覗いたり、「触らせてくれ」と言ったりしてどうにもカッコよくない。
ただのエロジジイなのである。
それでも次第次第に異星人の心を解きほぐしていく。

20代の頃は40になった自分を想像しにくかった。
40代の人間の恋愛というのも然りだ。
40代の今、70代になった自分を想像してみるが、はたしてどうなっているのか。
モーリスと比べてどうなっているのだろうか?
どんな自分がそこにいるのか、そんな事を考えさせられた映画である。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 11:07 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月06日

その名にちなんで

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原題: The Namesake
2006年 アメリカ・インド
監督: ミーラー・ナーイル
原作 :  ジュンパ・ラヒリ
出演: カル・ペン/タブー/イルファン・カーン/ジャシンダ・バレット/ズレイカ・ロビンソン

<STORY>********************************************************************************
1974年、インド・コルカタの学生ガングリーは列車事故に遭い、九死に一生を得る。
彼の命を救ったのは、ニコライ・ゴーゴリ著の「外套」を握りしめていたからだった。
事故の直前に親しくなった老人から受けた海外に出て経験を積めとのアドバイスに従い、アメリカの大学へ。
そして親の進める見合いで結婚し、家族に祝福されながら、ニューヨークでの生活を始める。
妻はやがて妊娠、生まれてきた男の子に“ゴーゴリ”と名付けた・・・
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あるインド人家族の長きにわたる生活を描いた映画である。
「その名にちなんで」というタイトルはロシアの作家ゴーゴリの名前をつけられた一家の長男の事。
しかし、これは長男の人生でもあるが、父親、そして母親の物語でもある。

インドの列車の中からストーリーは始まる。
ゴーゴリの「外套」を読む青年アショケ。
直後の事故で九死に一生を得る。
やがて結婚し、アメリカに渡る。

新妻との見合いのシーン。
脱いであったアメリカ製の靴にそっと足を通すアシマ。
アメリカから嫁探しのため一時帰国していたアショケとあっさりと結婚が決まる。
インドの風習が珍しい。

地球を半周してたどり着いたアメリカ。
コインランドリーでの慣れない洗濯。
誰も知る人のいない環境でやがて長男を生む。
インドでは祖母が名付け親になるが、すぐつけるわけではない。
何と6歳になるまでかかる例もあるそうである。
名前を決めないと出生証明が出せず、したがって退院もできないと言われ、仮のつもりで「ゴーゴリ」と名付ける。

異文化と異文化の交流がこの映画の何といってもみどころである。
ドラマは急ピッチで展開する。
4歳になってニコルという正式名称を与えられるも、それを断ってゴーゴリを本人は貫く。
しかし思春期になったゴーゴリは、実はロシアではかなりの変人という事を知り傷つく。
両親はインド人でもアメリカ生まれのアメリカ育ちであるゴーゴリはすっかりアメリカ人である。

そんなゴーゴリが、やがてインド人としての自らのアイデンティティーを意識していく。
結婚をするならやはり文化風習がおなじ民族同士にすべきなのか。
あまりにも異なる二つの文化を対比しているとそんな思いが脳裏を過ぎる。

映画の原作も監督もインド人らしい。
自らの経験を踏まえてのドラマは自ら語り継ぐ民族の誇りなのかもしれない。
インド人ならずとも自らの民族を今一度思い返して意識してみたくなる映画である・・・


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 23:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年07月28日

つぐない

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原題: Atonement
2007年 イギリス
監督: ジョー・ライト
原作: イアン・マキューアン
出演: キーラ・ナイトレイ/ジェイムズ・マカヴォイ/シーアシャ・ローナン/ロモーラ・ガライ/ヴァネッサ・レッドグレイヴ/ブレンダ・ブレッシン

<STORY>********************************************************************************
第二次世界大戦前夜、夏のイングランド。
政府官僚の娘で未来の大作家を自負する13歳のブライオニーは、大学を卒業したばかりの姉セシーリアと使用人の息子で幼なじみのロビーのただならぬ関係を察知し、ロビーへの警戒心を抱く。
そして事件は起きる。
ブライオニーの嘘の証言によって、愛しあう恋人たちは無残にも引き裂かれ、犯した過ちの重さにブライオニーが気づいたときには、泥沼の戦争が始まっていた・・・
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第二次世界大戦前夜、1935年のイングランド。
上流階級のセシーリアとブライオニー姉妹。
ブライオニーは13歳にして恋愛をテーマにした戯曲を書き、才能に溢れるがちょっとおませな少女。
セシーリアは表面とは裏腹に使用人の子であるロビーに心惹かれている。

ロビーからセシーリアへの手紙を託されたブライオニーは中味を見てしまう。
13歳の少女にとっては大人のエロティックな手紙は衝撃的。
おまけに二人が屋敷の片隅で愛し合う姿を目撃してしまい、ロビーに対する嫌悪感を抱く。
そして友人が草むらの中で男に覆いかぶさられているのを見てしまうと、暗闇の中で男を確認しなかったにも関わらず、犯人はロビーだと証言するブライオニー。
上流階級と使用人の子。
そんな背景もあって、ロビーは刑務所へと送られる・・・

前半は階級社会イギリスで、ロビーとセシーリアの人目を偲ぶ恋と妹ブライオニーの関係が綴られる。
愛だの恋だのに憧れる13歳にとって恋愛とはどこかしら美しいものであり、実際に愛し合う男女の行為は生々し過ぎて理解できない。
そんなブライオニーの心情は、大人からすれば微笑ましく映るものである。

潔癖なブライオニーにとって愛する姉のそんな姿は、逆にロビーに対する反感へとつながる。
13歳という年齢は実に微妙だ。
草むらで抱き合っていた友人も「押し倒された」とブライオニーに語ったが、それに抵抗したのかどうかは怪しいところだ。
むしろ後半のシーンでは同意の上であったように思わせられる。

現代であればそんな少女の証言一つで刑務所というのも行き過ぎだと思われるが、そこが戦前のイギリス社会ゆえか。
引き裂かれたロビーとセシーリア。
13歳ゆえの過ちと言えばそうなのかもしれない。
そしてその「つぐない」はあまりにも切ないもの。
原作は読んでいないが名作の香り漂う作品である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 10:14 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年07月05日

いつか眠りにつく前に

いつか眠りにつく前に.jpg

原題: Evening
2007年 アメリカ
監督 : ラホス・コルタイ
出演 : クレア・デインズ/ヴァネッサ・レッドグレイヴ /メリル・ストリープ/グレン・クローズ/トニ・コレット/ナターシャ・リチャードソン/パトリック・ウィルソン/ヒュー・ダンシー

<STORY>********************************************************************************
重い病に倒れた老女アンは、2人の娘と夜勤の看護婦に見守られ、自宅のベッドで静かに人生の最期を迎えようとしていた。
混濁する意識の中で、アンは娘たちが聞いたこともない「ハリス」という名を口走る。
彼女の意識は、40数年前の夏の日へと戻っていた。
親友ライラの結婚式でブライズメイドをするため、ライラの別荘を訪れていたアンは、ライラの弟で大学の同級生だったバディと再会。
さらに一家のメイドの息子で、今は医者をしているハリスと出会う・・・
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人には誰にでも歩んできた人生がある。
そしてその数だけドラマがある。
そんな事を改めて感じさせる映画である。

老女アンは病でいつお迎えが来てもおかしくない状態。
娘二人が付き添うが、うわ言で「ハリス」という名前を口走る。
「過ちを犯した」「バディを殺した」という言葉が続く。
思い当たる節のない娘二人は疑問を抱く・・・

映画は若い時代のアンを平行して描く。
売れない歌手として生計を立てる一方で、親友ライラの結婚式に参加したアン。
そこでライラの弟バディと再会し、そしてハリスと出会う。
ライラはハリスに思いを寄せるが、片想いに絶望し結婚へ踏み切る。
そんなライラに同情しつつもハリスに惹かれるアン。
そんなアンを慕うバディ。
それぞれがそれぞれの想いを秘めて結婚式の当日を迎える。
そして運命は大きく変わっていく・・・

心惹かれながらも結局ハリスと一緒になる事はなかったアンとライラ。
人生は必ずしもうまくいく事ばかりではない。
アンもライラもその後、子供をもうけ幸せに暮らしてきた。
しかし、どうしても「歩む事のなかったもうひとつの人生」が心を過ぎる。
時計の針を戻す事はできない。

人生に「もしも」はつきものであるだろうが、やっぱり「もしもあの時・・・」と考えてしまうのは人の常。
人生の最後に人は走馬灯のように歩いてきた人生を振り返るという。
その時強烈に蘇ってくるのはやっぱり「もしもあの時・・・」の思いなのだろうか?
思い当たる節のある人も多いのではないだろうか。

年をとったライラがアンを見舞いに来る。
ライラを演じるのはメリル・ストリープ。
ライラの若い頃とそっくりだな、と感心していたらなんと若いライラを演じたメイミー・ガマーは実娘であるという。
カエルの子はカエルなのだろうが、今後どんな活躍をするのだろうか・・・


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 10:17 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ