2009年08月24日

【シビル】My Cinema File 442

多重人格シビルの記憶.jpg

原題: Cybil
2007年 アメリカ
監督: ジョセフ・サージェント
出演: ジェシカ・ラング/タミー・ブランチャード

<STORY>********************************************************************************************************
1920年代、米国。女性の心理学者ウィルバーは自殺未遂した女性患者シビルを担当することになり、彼女に自分の半生を振り返らせる。
ところがシビルは突然異なる人格に移り変わっていき、ウィルバーを混乱させる。
しかしウィルバーは根気よくシビルが言うことに耳を傾け、シビルが何者か探り出そうと試みる。
また当時は解離性同一性障害そのものが医学界で認められておらず、ウィルバーは周囲の医師を理解させようと奔走するが……
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最近では多重人格という症状もよく知られるようになってきた。
以前ダニエル・キースの「24人のビリー・ミリガン」という本を読んだ事があるが、「本当かな」と信じ難い思いは拭いきれない。
この映画に登場するシビルは実在の人物。
しかも1920年代というまだこの病気が知られていなかった時代の話である。

ストーリーは自殺未遂の女性患者シビルを診断した医師が、女性医師のウィルバーにシビルを任せるところから始まる。
シビルの症状を女性特有の「ヒステリー」と判断し、同じ女に任せようとしたのである。
そこにはまだ女性そのものに対する蔑視の時代背景が見え隠れする。

シビルの診断を始めたウィルバーであるが、やがてその異常性に気がついていく。
次々と現れる人格。
演技なのかもしれないし、事情もよく飲み込めない。
そうして過去の経緯を聞きだしているうちに、段々と状況が飲み込めてくるようになる・・・

映画だからもちろん演技なのだが、シビルを演じるタミー・ブランチャードがまた真に迫っている。
同じ人間なのに表情が変わり、しぐさが変わり、言葉遣いが変わる。
まさに突然別人になるわけである。
この映画の大半は彼女の演技に負っていると言えるだろう。

そして一つ一つ原因を解き明かしていくウィルバー医師。
医師を演じるのはジェシカ・ラング。
その昔、キングコング(1976年版)でのヒロインのイメージが強く残っているが、もうけっこうなおばさんになっている。
周囲の女性蔑視と無理解に腹を立てながらも信念をもって向っていく強さを披露する。

二人の女優の演技だけで進む映画であるが、見応えはある。
日本劇場未公開だったらしいが、こういう映画をさり気なく流すのがWOWOWのいいところかもしれない・・・


評価:★★☆☆☆

posted by HH at 22:33 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月23日

【Sweet Rain 死神の精度】My Cinema File 441

死神の精度.jpg

2008年 日本
監督 : 筧昌也
原作 : 伊坂幸太郎
出演 : 金城武/小西真奈美/富司純子/光石研/石田卓也/村上淳/奥田恵梨華/吹越満

<STORY>********************************************************************************************************
死神が現れるのは、人が不慮の死を迎える前。
観察期間の後、「実行」か「見送り」かを判断するのが仕事だ。
楽しみは、CDショップで、“ミュージック”を聴く事である。
今日の「ターゲット」は、27歳の一恵。家族を亡くし、恋人にも先立たれた薄幸の女性だ。
しかし、ひょんなことから音楽プロデューサーが彼女の声に惚れ込み、歌手にならないかとスカウトする・・・
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原作が伊坂幸太郎ということで期待して観た映画である。
原作はまだ読んでいないのでなんとも言えないが、結果から言えばちょっと残念であった。
映画にはどうしても「時間制限」がある。
小説では十分に説明し読者の理解を得た上でストーリーを進められるが、映画ではそれを端折る事がある。
そうするとなんとなく身内の話を第3者が聞くようで疎外感を感じる。
この映画でもそれを感じてしまった。

死神にも何かルールがあるようなのであるが、それがなんだかよくわからない。
別にわからなくても差し支えはないのだが、どことなくしっくりいかない。
例えば死神の手に触れると花は枯れ、人は気を失う。
だから死神は手袋をしているのだが、その他は触っても大丈夫なのだろうか、とか。
すべて死に行く人の前に死神は現れるのか、とか・・・

ストーリーは3部作となっている。
それぞれ死神がターゲットとなった人物の前に現れ、その人物を観察し、「死にふさわしいかどうか」を判断する。
「実行」を選択すればその人物は死ぬわけである。
そして「見送り」の判断もある。

3つのストーリーがそれぞれ微妙に絡みあってはいるが、だからどうだというわけでもない。
特に第3話目は意味のわからない登場人物がでてきてどうかと思う。
原作通りにしたのかどうか、読んでいないから何とも言えないが、中途半端に出すならカットした方がいいのにと残念である。

主演は金城武。
多国語を操る国際派スターである。
日本映画は、「リターナー」以来であるが、今回は「最近の」日本語がよくわからないという死神役が妙にユーモラスにフィットしていた。
これからも日本映画にちょくちょく出演してもらいたいものである。

観終わって感じた事は、「原作を読んでみたい」という事。
映画としてはどうも今ひとつであった・・・


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 12:07 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月20日

【幸せの1ページ】My Cinema File 438

幸せの1ページ.jpg

原題: NIM'S ISLAND
2008年 アメリカ
監督・脚本 : ジェニファー・フラケット&マーク・レヴィン
原作 : ウェンディ・オルー
出演 : ジョディ・フォスター/アビゲイル・ブレスリン/ジェラルド・バトラー

<STORY>********************************************************************************************************
アレクサンドラは、大人気の冒険小説家。
なのに、対人恐怖症で引きこもり。
そんな彼女が書くヒーローは、空想で作った理想の男性像だった。
新しい小説のネタを探していると、孤島で暮らす海洋学者の記事が目にとまった。
彼に協力を求めるつもりでいたが、ある日、南の島の少女・ニムから、物語のヒーロー宛にSOSのメールを受け取る。
ニムを救うため、アレクサンドラは初めて家の外へ出て、南太平洋へと旅立つが・・・
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南の島で父親と暮らす11歳の少女とサンフランシスコに住む人気冒険女流作家。
ふたりのありえないような冒険を描く楽しい映画である。

主人公はニムという名の11歳の少女。
科学者の父と南太平洋の孤島で暮らしている。
美しい空と海と自然と動物たちに囲まれた暮らしは、誰もが憧れるような環境だが、現実的にそんな環境下での生活は、現代人には難しいだろうなと随所で感じさせられる。

晴れている時は楽園のようだが、モンスーンが来ると大騒動だし、生活物資は船の定期便でないと得られない。
ネットで買うなどもちろん不可能である。
それでもソーラーシステムで発電し、eメールでリアルタイムの連絡が取れるところはさすが現代である。

サンフランシスコに住む作家のアレックスがニムにメールで助けを求められ、一大決心をして助けにいく。
しかし、飛行機を乗り継ぎ船やヘリコプターを利用しての旅は、外出恐怖症の彼女には大冒険となる。
世界はすっかり狭くなったが、やっぱりこういうところでは世界はまだ広いのである。

ニムが暮らす島に、突然観光客がやってくる。
どかどかとやってきてバーベキューをし、仮設トイレまで設置し、いちなり文明を持ち込む。
しかし、捨てられたゴミもまた文明であり、ストーリーとは関係ないところではたと考えさせられる。
あまり便利になるのも考えものだ。

ストーリー自体は何も考えずに観るのが正しい観方だろう。
あれこれと重箱の隅をつつくのはナンセンスである。
ジョディ・フォスターもこういう映画に出るんだなと思ってしまった。
パパ役のジェラルド・バトラーも「300スリーハンドレッド」のゴツイ役柄や「オペラ座の怪人」の怪人役のような濃い役柄とはうって変わってユーモラスなパパを演じている。

みんなで肩の力を抜いて観るべき映画なのだろう・・・


評価:★★★☆☆
posted by HH at 22:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月14日

【ファウンテン〜永遠に続く愛】My Cinema File 432

ファウンテン.jpg  

原題: THE FOUNTAIN
2007年 アメリカ
監督・脚本 : ダーレン・アロノフスキー
原案 : ダーレン・アロノフスキー&アリ・ハンデル
出演 : ヒュー・ジャックマン/レイチェル・ワイズ/エレン・バースティン

<STORY>********************************************************************************************************
医師のトミーは最愛の妻イジーを死の病から救うため、新薬の開発に没頭していた。
運命を受け入れたイジーは、残された時間を少しでも夫と過ごしたいと願うが、薬の完成を焦るトミーは彼女を遠ざけてしまう。
そんな中、イジーは「私の死後、あなたが完成させて」と書きかけの本をトミーに託す。
それはトミーの前世とおぼしき中世スペインの騎士が、愛する王女のために、永遠の命を授けるという<ファウンテン(生命の泉)>を探す物語だった…
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何本も映画を観ていると、事前にある程度選別しているつもりであるのだが、ハズレくじを引いてしまう事はやはり避けられない。
これはそんなハズレくじの一つだ。

構成は主として3つから成る。
中世のスペインの騎士の物語。
現代の医師トミーの物語。
そして何やら不思議な円球に包まれた大木と男の物語。

それが交互に繰り返される。
どうやら「永遠の生命」を巡って関連しあっているのだが、同じような映像が何度も繰り返され、出来の悪いイメージビデオのようにストーリーがはっきりと伝わってこない。
観ていくうちに、それはトミーの妻イジーが創作した中世スペインの騎士の物語とトミーの幻想のようなのであるが、だから何なのだという思いが先にたつ。

観終わって結局何だったんだと、「?」マークが頭の上を飛び回る。
せっかく「X−MEN」のヒュー・ジャックマンが熱演していたというのに・・・
せっかくレイチェル・ワイズ(「スターリングラード」「コンスタンティン」)が熱演していたというのに・・・

めげずに次に期待したいと思う・・・


評価:★☆☆☆☆
   
    
posted by HH at 20:40 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年08月09日

【ヴィーナス】My Cinema File 427

ヴィーナス.jpg

原題: Venus
2006年 イギリス
監督: ロジャー・ミッシェル
脚本 : ハニフ・クレイシ
出演 : ピーター・オトゥール/レスリー・フィリップス/ジョディ・ウィッテカー/リチャード・グリフィス/ヴァネッサ・レッドグレーヴ

<STORY>********************************************************************************************************
かつて数多の女性たちと浮き名を流したベテラン俳優のモーリスも老境に入り、今では端役の仕事を細々と続ける一人暮らしの孤独な身の上だ。
そんなたそがれ気味の日々に、親友イアンの年若い姪ジェシーが出現し久々にときめきを覚える。
粗野で非常識な姪を持て余していたイアンを尻目に、女心の専門家を自負するモーリスは俄然張り切ってジェシーに近づき、モデルになりたいという彼女のために仕事を紹介するのだが…
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人間は誰しもが年を取る。
それは誰にとっても防ぐ事はできないものである。
そうわかっていてもなかなか実感できないのが実情である。
男はいったいいくつになったら女の尻を追い掛け回さなくなるのだろうか。
この映画を観ると、その答えは「いくつになっても変わらない」という事になりそうである。

かつてはプレイボーイでならしたモーリスも今ではすっかりとおじいさん。
ある日親友のイアンが年若い姪と同居する事になる。
親戚とはいえ若い女性との二人暮らしにウキウキと準備を進めるイアン。
例え二人の関係に「発展性」はかけらもないとしても、やはり男というものはこういうものだ。

ところが実際は実家でも手をもてあましたあばずれを押し付けられただけなのであった。
せっかく用意した名作小説も、夕食の時に聞こうと思ったバッハも、料理してもらおうと思った新鮮な魚も、「電子レンジに入れてチンするのが夕食」の娘に通用するはずもない。
そこに登場するのがモーリス。
巧みに「異星人」に近づいていく・・・

モーリス演じるのは、あのピーター・オトゥール。
「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールである。
今でもあの勇壮なテーマ曲が頭の中を過ぎる名作に主演した名優も、今は映画の中のモーリスそのままである。
しかし優雅に口説くかと思いきや、こっそりと覗いたり、「触らせてくれ」と言ったりしてどうにもカッコよくない。
ただのエロジジイなのである。
それでも次第次第に異星人の心を解きほぐしていく。

20代の頃は40になった自分を想像しにくかった。
40代の人間の恋愛というのも然りだ。
40代の今、70代になった自分を想像してみるが、はたしてどうなっているのか。
モーリスと比べてどうなっているのだろうか?
どんな自分がそこにいるのか、そんな事を考えさせられた映画である。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 11:07 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ