2009年02月11日

ショコラの見た世界

ショコラの見た世界.jpg

2006年 日本
監督: 行定勲
出演: 竹内結子/大塚ちひろ/和田聰宏/藤本七海

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小学校の頃のテンコは、姉のショコラが旅先で遭遇したという不思議な“おとぎ話”を聞くのが大好きだった。
しかし、ある夏の暑い日にショコラは溶けるようにこの世を去った。
それから7年後のある雨の日、テンコは、姉のかつてのボーイフレンドだったジダンを偶然再会する。
“おとぎ話”だと思っていた姉のエピソードが、ジダンのケータイのメモリーに美しい映像として残されていた。
想像していた世界がケータイの画面に姉の姿とともによみがえる。
そしてショコラが最後に伝えたかったメッセージ。
テンコとジダンは、彼女が最後に立ち寄った「奇跡の場所」へと向かう。そこでふたりが目にしたものは…
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「遠くの空に消えた」に続く行定勲監督作品である。
珍しい事に50分という短い映画である。

タイトルとなっている「ショコラ」とは登場人物である治男(はるお)の死んだ恋人であり典子(のりこ)の姉のニックネームである。
登場人物はいずれも名前の漢字を音読みしてつけたニックネームで呼ばれる。
治男は「ジダン」であり、典子は「テンコ」であり、そして「初子(はつこ)」は「ショコラ」である。
おもしろいなと思ったのは、残念ながらこのニックネームだけだった。

姉がしてくれたおとぎ話を懐かしむ妹。
そして偶然出会った姉の元恋人が携帯に保存していた姉の動画にそのおとぎ話が事実だった事を知る。
7年前に現代のような携帯動画が利用できたかどうかは置いておくとして、どうにもこうにもピンとこない映画である。

ファンタジーなのであるが、「わざとらしく作られすぎたファンタジー」とも言うべきものでちっともほんわかとしてこない。
雨宿りした喫茶店でジダンとテンコによって語られるショコラの世界。
美しく酔いしれていたのは行定勲監督だけだったのかもしれない。

そうはいっても竹内結子ファンなら必見である事は間違いない・・・


評価:★☆☆☆☆

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2009年02月08日

遠くの空に消えた

遠くの空に消えた.jpg

2007年 日本
監督・脚本 : 行定勲
出演 : 神木隆之介/大後寿々花/ささの友間/小日向文世/伊藤歩/長塚圭史/チャン・チェン/石橋蓮司/大竹しのぶ/三浦友和

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緑が広がるのどかな村に、都会から一人の少年が転校してきた。
おかしなギャングの集団がいたり、怪しげなバーがあったりと、一風変わった村だったが、住民たちは皆幸せに暮らしていた。
その平和な村に空港建設の話が持ち上がり、反対する村人たちは建設会社と争っていた。
実は、少年の父親は、空港建設のために、村に転勤してきたのだった。
村の人々に溶け込み、冷徹な父親に反発していた少年は、悪ガキ仲間とある作戦を思いつく・・・
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多くの大人たちがよく犯している間違いがある。
それは子供を子供としてしかみないという事である。
当然の事ながら子供には子供なりの思想・世界観がある。
そしてそれは実は大人のそれとそう大して変わらない。
それは自分たちが子供だった頃の事を思い返してみてもよくわかる。
この映画はそんな子供たちの映画である。

のどかな村に都会からやってきた親子。
父親はこの村に空港を建設しようとする公団の責任者。
そして村では村を上げての建設反対運動を展開している。
息子のりょうすけはそんな村の小学校に転入する。
いつも四面楚歌だと自嘲するりょうすけだが、地元の少年こうへいと意気投合する。

父親をUFOに連れ去られたという少女ヒハル、鳩を飼っている知恵遅れの赤星、美しいサワコ先生に泣く子も黙るバーのママ・・・
そんな子供たちと大人たちが展開する騒動を主人公のりょうすけがノスタルジックに思い出すというストーリー。

ヒハルはUFOとの交信をいつも試みている。
父親を連れ去ったUFOに自分も連れて行ってもらいたいと頼むためだ。
それを聞いて協力するりょうすけとこうへい。
何かを信じて行動する姿は子供であっても胸を打つものがある。
知識と経験は大人に劣るものの、その根底にある考え方は大人と変わらない。

やがて大人たちの対立をもどかしく思った子供たちが自ら村を守るための行動に出る。
大人になってからしみじみと思い出すにはいい思い出だ。
細かい設定については粗があるが、そんなのは気にするべきではない。
それはそれとして十分楽しめる。
観ておいて損はない映画だ。


評価:★★★☆☆

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2009年02月01日

バルトの楽園

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2006年 日本
監督: 出目昌伸
出演: 松平健/ブルーノ・ガンツ/阿部寛/國村隼/高島礼子

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1914年、第1次世界大戦が勃発し、日本軍はドイツ軍の極東拠点地である中国・青島を攻略。
この戦いで捕虜となったドイツ兵4700人は、日本国内12ヶ所の俘虜収容所に振り分けられた。
劣悪な環境下で囚人同様の扱いを受けていた捕虜たちは2年後、収容所の統合により徳島県鳴門市にある板東収容所へ移される。
新たな地獄を覚悟していた彼らを待っていたのは、意外にも楽隊による盛大な歓迎。
松江所長の寛容な待遇を目の当たりにし、一同は驚愕する・・・
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鳴門市に実在した坂東俘虜収容所を扱った映画である。
第1次世界大戦は日本も連合国側として参戦。
中国・青島でドイツ軍と交戦、戦闘に勝利し降伏したドイツ兵約4700人を捕虜とする。
「国際社会デビュー」して日が浅い日本は捕虜の受け入れ態勢が十分ではなく、当初は国内12箇所に仮設収容所を設置して対応したが、捕虜の環境は劣悪だったそうである。

それが徳島県鳴門市にできた収容所に統合される。
その坂東収容所の所長は松江陸軍中佐。
ここではドイツ兵たちは極めて公正かつ友好的な扱いを受ける。
周辺住民との交流もなされ、当時のドイツの高い技術力で現在も残るドイツ橋が作られたりした。
日本に初めてバームクーヘンを伝えた「ユーハイム」で知られる菓子店はこの時創業者がドイツに帰らず日本で店舗をオープンしたのが始まりだそうである。

映画は脚色もあるそうであるが、ドイツとの戦闘から捕虜収容所での交流、そして第1次世界大戦が終わり開放されて祖国に帰る事になったドイツ兵たちが、坂東市民に感謝の念を込めて「第九」を演奏するところまでを描く。
悪名高い戦前の日本軍であるが、こうした人道的にも誇るべき行為のエピソードも多くもっとPRしてもいいように思う。
この時、日本で始めて演奏された「第九」は日本では今ではすっかりお馴染みだ。

「バルト」とはドイツ語で「ヒゲ」の意味だそうであり、松江中佐のはやしていた立派なヒゲをイメージしているようである。
ドイツ軍の司令官は「ヒトラー〜最後の12日間」でヒトラーを演じたブルーノ・ガンツ。
ヒトラーそっくりだと思っていたが、この映画ではそんな感じはしなかった。
あらためて役者だなと感じさせる。
マツケンも人間味溢れる松江収容所長として登場。
ちょっといい話に触れたい方にはお勧めである。


評価:★★☆☆☆

 
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2009年01月31日

スプレンドール

スプレンドール.jpg

原題: Splendor
1989年 イタリア・フランス
監督: エットーレ・スコラ
出演: マルチェロ・マストロヤンニ/マッシモ・トロイージ/マリナ・ヴラディ/ パメラ・ヴィロレージ

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閉館決定後、既に改装準備にあるイタリアの田舎町の映画館・スプレンドール座。
館主のジョルダンは、人々が立ち働く喧操の中、映画と共に歩んだ自らの人生を回想し始める。
子供の頃は、巡業映画館を営む父の手伝い。
長じて復員してきた彼は、スプレンドール座を継ぐ。
その頃は映画の全盛期、彼の恋心も全盛で、レビューの踊り子シャンタルに一目惚れして彼女を自分の劇場の座席係に据え、彼女のグラマラスな美貌を目当てにいよいよ客足も繁くなる・・・
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いかにも映画を愛する者が作りましたという雰囲気が出ている映画である。
「ニューシネマパラダイス」という映画に似た雰囲気を感じさせられた。

映画館がつぶれるというのは寂しい事である。
子供の頃に住んでいたところには映画館が3館もあった。
いかにもローカルな映画館であったが、「映画館のある街」である事が嬉しかったものである。

冒頭で館主のジョルダンが子供の頃の回想をする。
トラックに上映機材を満載し、町の広場に白い布のスクリーンを設置する。
(2本の柱を立てて紐で結び付けるのである)
夜になってみんな思い思いに椅子を持って集まってくる。
風で「スクリーン」が揺れる中、モノクロの映画が上映される。
音響係のジョルダンは得意満面でレコードを回すのである・・・

やがてジョルダンに代替わりし、映画館での上映が始まる。
映画の全盛。
人々は争ってチケットを求め、館内は立ち見も出る。
踊り子のシャルタンを連れてきて劇場係にしてしまうジョルダン。
(ちょっと年を食った踊り子で、モノクロでもごまかしきれないのが玉に瑕)

そんな歴史が華やかに綴られる。
やがて経営難から閉館となるわけであるが、次の用途のために回想される館内でぼぉーと運び出されていく品々を眺めるジョルダンの姿がなんとも印象的である。
古き良き映画館に想いを寄せて作られた映画である。


評価:★★☆☆☆

posted by HH at 09:24 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年01月25日

厨房で逢いましょう

厨房で逢いましょう.jpg

原題: EDEN
2006年 ドイツ・スイス
監督: ミヒャエル・ホーフマン
出演: ヨーゼフ・オステンドルフ/シャルロット・ロシュ/デヴィット・シュトリーゾフ

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南ドイツの保養地で小さなレストランを営む天才シェフのグレゴア。
彼の作る料理は舌の肥えたグルメたちもうならせる。
しかし人づきあいが苦手な彼には恋人もいなかった。
その彼が出逢ったのはビアガーデンで働く主婦エデン。
グレゴアの料理を食べた彼女は、たちまちその味の虜になる。
やがて二人は親しくなり、グレゴアはエデンに料理をふるまうことが最大の楽しみになる。
しかしエデンの夫はそのことを快く思わなかった…
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天才シェフと人妻のラブ(友情?)ストーリー
主人公のグレゴアは子供の頃に見た妊娠中の母親の裸体に魅せられ、自ら大きなお腹に憧れて育ったという奇妙な人物。
大きなお腹になるために食べて食べて食べ続けてきた。
そのお陰でいつしか料理の腕前は天才的となるのだが、女性との付き合いからは程遠くどう接していいのかもわからないままきてしまう。

そんな彼が何気なく通ううちに気になりだしたのが、そこでウェートレスとして働く主婦エデン。
ふとしたきっかけで話をするようになる。
ぎこちない態度は、とても女性の心を射止めたものではない。
ところが娘の誕生日にプレゼントしたケーキでそれを変えてしまう。

狂ったようにケーキを食べる知的障害児の娘を目にして一口食べたエデン。
自らもそのおいしさの虜となり、レストランの厨房に通うようになる。
ここからのエデンとグレゴアの交流が邦題にもなっている通り、映画のテーマとなっていく。

ドイツって料理というイメージはしないのであるが、予約はずっと先まで一杯というグレゴアのレストラン。
エデンも客としては行けないが夜に厨房に忍び込み、特別料理を味わうという贅沢。
二人は双方とも好意を寄せつつも手も握らない関係。
逆にエデンは、彼の料理のお陰で家族関係がよくなり子供まで授かったと、嬉しそうに彼に報告する。

すぐにベッドインするような激しい恋とはほど遠い
密かな想いを秘めるグレゴアと友情と感じるエデン。
しかし嫉妬に狂ったエデンの夫が、行動に移った事で事態は予期せぬ方向へと進んでいく。

エデンに食べさせる料理を黙々と作るグレゴア。
彼の料理をうっとりとした表情で食べる客。
なんだかこちらも食べてみたくなる。
当たり前であるが五感のうち触覚、味覚、臭覚は映画では楽しめない。
それが残念だ。
結局街を追われたグレゴアが、最後にたどり着いた場所でも才能を発揮しているのをみて微笑ましく思う。
ちょっと味わいのある映画である。


評価:★★☆☆☆

posted by HH at 10:06 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ