2008年07月27日

燃ゆるとき

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2006年 日本
監督:  細野辰興
出演: 中井貴一 /大塚寧々/長谷川初範/中村育二

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即席めんを主力商品として、アメリカ大陸にも拠点を置く食品会社・東輝水産は、安価な新商品を売り出すアジア各国の企業に押され気味で、工場再建が不可欠となっていた。
社長と現地法人の社長の命で単身渡米した資材担当・川森は、さっそく再建に着手する。
まずは現地従業員の一時的なレイオフ。
そして大幅なコストカット。
さらにアメリカ人の嗜好に合う、新たな安くておいしいカップ麺の開発。
古株社員と対立しながらも再建は進められ、新発売されたカップめんの評判は上々、すべては順調だと思われたが…
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カップ麺といえば日本ではカップヌードルで有名な日清食品であるが、海外では少々事情が異なる。
赤いきつねと緑のたぬきでお馴染みの東洋水産がブランドを確立している。
とくにメキシコでは圧倒的なシェアで、「マルちゃん」という言葉は現地語に溶け込んでいるそうである。

そんな東洋水産であるが、順風満帆というわけではなく市場開拓には苦労があった。
そんなアメリカでの苦労を映画化したのが本作品。
原作は高杉良の同名小説。
高杉良といえば「金融腐食列島」などで、どこまで本当なのだろうと思わせられる小説が多く、したがって本作品も原作は読んでいないのだがかなり期待してしまった。
上記のストーリーのさわりを読んでいただいてもそれは普通の反応だと思う。

しかし、結論から言えば期待はずれの空振り三振であった。
原作はどうなのだろうか。
たぶんそれなりに高杉良の名前にふさわしいものであるのだろうと想像はされる。
しかしわずか2時間という映画の限界なのだろうか。
短い時間に伝えられるエピソードは限られている。
原作は読んでいないが、原作が面白いとすればここに原因があるのであろう。

企業の奮闘記の映画化といえばビデオのVHS開発を扱った「陽はまた昇る」が思い起こされる。
こちらはかなり満足のいく内容であった。
個人的にはこういう映画は好きである。
したがって本作品にも相当の期待があっただけに残念である。

中心となるのは資材担当の川森。
単身赴任で現地に溶け込みながらの改革を目指す。
アメリカ企業とは一線を画し、日本的経営でトップブランドを目指すのである。
しかし、エピソードはどれも底が浅く展開がわかりすぎるほどわかってしまい、逆に白々しい。
さらっと上辺だけを撫でたようなイメージである。
それだけでは人の心は動かない。
映画ではなく原作をじっくりと読んでみたいものである。


評価:★★☆☆☆
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2008年06月18日

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

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原題: Charlie Wilson's War
2007年 アメリカ
監督: マイク・ニコルズ
出演:  トム・ハンクス/ジュリア・ロバーツ/フィリップ・シーモア・ホフマン/エイミー・アダムス

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下院議員チャーリーは、酒と女が好きなお気楽政治家。
しかし、その内面では、平和を愛するゆるぎない心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。
国防歳出小委員会がアフガニスタン支援に500万ドルしか用意していない事を知ると、委員会のメンバーである彼は、予算を倍にするよう指示する。
そこに、テキサスで6番目の富豪で、反共産主義者のジョアンが目をつけ、アフガニスタンを救うよう彼に訴える・・・
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ソ連がアフガニスタンに侵攻したのは1979年。
もう30年前のこと。
西側諸国のモスクワオリンピックボイコット騒動へと発展したが、その後アフガニスタン国内での抵抗勢力ムジャーヒディーンとの紛争から「ソ連版ベトナム戦争」と化していた。

そうしたアフガニスタン情勢へ足を踏み入れたテキサス州選出の下院議員チャーリー・ウィルソン。
おおらかな人柄でどこかにくめない彼は酒と女を愛し、美人で固めた秘書軍団は「チャーリーズ・エンジェル」のモデルになったとか・・・
立派な人物かと思いきや麻薬使用の疑いで逮捕されそうになると必死にもみ消すあたりは聖人君子というのでもなさそうである。

そんな彼がアフガニスタンの抵抗勢力ムジャーヒディーンへの支援のため動き回ることになる。
予算を次々と増やし、テキサスの富豪ジョアン・CIAのガストと組んでアフガニスタンに武器を送る。
アメリカ製ではソ連との対立を招くためイスラエル、エジプト、パキスタンと組んでソ連製兵器を送り込む。
当時のニュースでは窺い知れないこんな舞台裏があったのかと驚く。

重装甲の攻撃ヘリがアフガン市民を無差別に攻撃するシーンは迫力あると同時にソ連兵の残忍さもクローズアップする。
おもちゃ爆弾で両手を失った子供たちを登場させ、チャーリーならずとも観る者をもソ連兵憎しの感情を増幅させる。
したがってムジャーヒディーンの兵士が供与されたスティンガーミサイルで攻撃ヘリを撃墜するシーンでは思わず快哉を叫んでしまうのだ。

この映画、ロシアでは上映されていないらしいがそれも無理もない。
ベトナムでのアメリカ同様、ソ連にはソ連の事情があり「お前に非難されたくない」のだろう。

やがて表舞台でもお馴染みのソ連軍の撤退がニュース映像で流れる。
みごとなウィルソンの活躍である。
しかし、この時すでにアフガニスタンにはオサマ・ビン・ラディンが入国しておりやがて、9・11、アフガンへの米軍侵攻へと続くのは歴史の皮肉である。
これをウィルソンは阻止しようとしたらしいが、それに対しては批判もあるようである。
そこは映画にもあまり関係ないが、それはそれとして十分楽しめる映画である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 23:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年06月16日

サン・ジャックへの道

saint_jacques.jpg

原題: SAINT-JACQUES... LA MECQUE
2006年 フランス
監督: コリーヌ・セロー
出演: ミュリエル・ロバン/アルチュス・ド・パンゲルン/パスカル・レジティミュス

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ストレスで薬に依存している兄ピエール、頑固なオバサン教師クララ、アルコール漬けで文無しの弟クロード。
険悪な仲の兄姉弟が、亡き母の遺産を相続するためフランスのル・ピュイからスペインの西の果て、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500kmにも及ぶ巡礼路を一緒に歩くはめになった。
このツアーの同行者は、ガイドのギイ、山歩きと勘違いして参加した女の子エルザとカミーユ、アラブ系移民の少年サイッド、従兄弟サイッドにだまされ、二人分の旅費を母親から出してもらったラムジィ、物静かな女性マチルド。
9人の男女が、様々な思いを胸にフランスのル・ピュイから旅の一歩を踏み出した・・・
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仲の悪い3兄弟。
母親の残した遺産が相続できると思っていたら、相続には条件がついていた。
その条件とは徒歩で遠くスペインまで巡礼の旅に出る事。
ぶつぶつ文句を言うものの結局背に腹は変えられず旅立つ3人。

総勢9名での巡礼の道中。
9名それぞれが事情を抱えており、平穏な道中ではない。
しかし、旅を続けるうちにやがて少しずつみんなが変化していく。
ちょっと変わったロードムービーである。

それにしてもこういった巡礼はやっぱり盛んなのだろうか。
日本でもお遍路があり、歩くという事が宗教上は重要な修行なのだろう。
このドラマはフィクションなのだろうが、こういう変化は巡礼にはあってもおかしくなさそうである。

今は交通手段も発達し、世界各地どこへ行くにしてもかつては信じられないほどの短時間で移動できる。
そういう時代に、ただ単に目的地へ行くだけでなくその道中の一歩一歩に重要な意味を持たせるのが「巡礼」なのだろう。

旅を終えた3兄弟の変化もすがすがしいものがある。
フランス・スペインの景色も楽しめる映画である。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 23:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | ドラマ

2008年06月15日

ツォツィ

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原題: Tsotsi
2005年 イギリス・南アフリカ
監督: ギャヴィン・フッド
出演: プレスリー・チュエニヤハエ/ZOLA/テリー・ペート

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自分の本名と過去を封印し、幼い頃からたった1人、社会の底辺で生きてきたツォツィ。
仲間とつるんで、富裕階級の人間から暴力で金を奪うのだ。
ある日、高級住宅地を歩いていたツォツィは、黒人女性が運転するベンツを見かけ、女性を脅し車を盗んで逃走。
しかし、後部席に赤ん坊がいることに気が付く。
紙袋に赤ん坊を入れ、途方に暮れている時、女手ひとつで子供を育てているミリアムと出会う。
ツォツィは、彼女に赤ん坊を預け…
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ツォツィとはチンピラ、不良といった意味のスラングだそうである。
そうしたあだ名で呼ばれるツォツィの本名など誰も知らない。
スラム街にまともな仕事などあるわけもなく、仲間とつるんで金を奪う生活。
仲間も同じような境遇。
いとも簡単に人を殺す。

次第にツォツィの育ちが明らかになるが、土管の中で育った彼にとって愛情・幸福といった言葉は無縁のしろもの。
そうした境遇が人を犯罪者にしてしまうのだろう。
それは襲われる方からすると恐ろしい事だ。
何せ真面目に暮らしていてもいつそういった連中に襲われるかわからないからだ。
犯罪の温床、貧困問題の一面がここにある。

ある時金持ちのベンツを奪ったツォツィは車の中に赤ん坊がいるのを見つける。
連れて帰るがどうしてよいのかわからない。
乳飲み子を抱えたミリアムに銃を突きつけて授乳させるが、そういうやり方しかできない人間なのだ。
そうして次第に彼の心の中に変化が生まれていく・・・

ドラマ自体はツォツィの再生の物語。
非情な人間が生まれ変わっていく。
今尚貧困が渦巻くアフリカ諸国。
単なるドラマ以上に深いテーマを内包している。
ちょっと考えさせられる映画だ。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 10:47 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年06月14日

明日の記憶

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2005年 日本
監督: 堤幸彦
出演: 渡辺謙/樋口可奈子/坂口憲二/吹石一恵/木梨憲武

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広告会社の営業マンとして働く雅行は、時に家庭を返り見ないほど仕事に没頭してきた。
大きなプロジェクトと娘の結婚を控え、忙しい日々を送っていたが、50歳を前にしたある日、原因不明の体調不良に襲われる。
ミーティングを忘れたり、部下の顔が思い出せず、心配になった雅行は病院を訪れ、医師から「若年性アルツハイマー」の診断を受ける。
そんな雅行を、妻の枝実子は献身的に支え、一緒に病と闘うことを決心する……
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今やハリウッドでも大活躍の渡辺謙であるが、実はこの映画が初主演なのだという。
意外なものである。
「サユリ」の撮影中に立ち寄ったハリウッドの書店で原作を見て、作者の萩原浩に自ら手紙を書いて映画化に漕ぎつけたという。
渡辺謙自らエグゼクティブ・プロデューサーを兼ねる渾身の作品である。

49歳と言えばまだまだ働き盛り。
冒頭では部下を叱咤し精力的に働く広告会社の営業部長として登場する佐伯。
しかし、病状は少しずつ現れる。
同僚の名前がすぐに出てこなかったり、有名な映画の主人公の名前が思い出せなかったり・・・
「そんなのよくあるどころじゃない」と少し冷やりとする。

妻に指摘され、自らも不安になって病院を訪れる佐伯。
医師が簡単なテストを始める。
「年齢は?今日は何年何月何日ですか?・・・」
思わず一緒に受けている自分を発見。
取りあえず異常はなさそうなので安心して続きを観ることに・・・

アルツハイマーという病気は老人の病気というイメージであるが、そうではない。
20代での発症事例もあると映画の中で及川光博演じる医師が語っている。
怖い病気だ。

病状が進行していく。
仕事もやむなく辞め、専業主婦だった妻枝実子は働き始める。
一家の大黒柱が病気になる怖さは生活に大きな波となって打ち寄せる。

当たり前の事が当たり前にできなくなる怖さ。
自分が自分でなくなっていくという事がどういう事なのか。
単なる娯楽作品ではなく、考えさせられる映画だ。
そして仕事も大事であるがやっぱり家族がなにより大事だと感じる。
表情の変化で病状を演じる渡辺謙にも脱帽である。


評価:★★★☆☆

posted by HH at 11:08 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(2) | ドラマ