2008年08月13日

【フリーダムランド】My Cinema File 255

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原題: FREEDOMLAND
2005年 アメリカ
監督: ジョー・ロス
出演: サミュエル・L・ジャクソン/ジュリアン・ムーア/イーディ・ファルコ/ロン・エルダード/ウィリアム・フォーサイズ

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刑事のロレンゾは黒人低所得者が住むアームストロング団地を担当し、住人から厚い信頼を寄せられていた。
そんなある日、病院に手を血まみれにした女性が現れた。
彼女――ブレンダは、アームストロング団地で黒人男性にカージャックされたと、駆けつけたロレンゾに告げる。
しかしその態度に違和感を覚えるロレンゾ。
彼がさらに問い詰めると、ブレンダは追い詰められた表情で答えた。
「後部座席に4歳の息子が乗っていた」と…
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原作は全米でベストセラーになったそうだ。
そんな宣伝文句に惹かれて観てみたのだが・・・

フリーダムランドというのは1950年代に閉鎖された養護院の跡地。
さらわれた子供がいるのではないかと捜索される場所なのであるが、ストーリーの中ではなんら重要な役割を果たしていない。
何でタイトルになっているのか、映画ではわからない。

ある晩カージャックの被害者ブレンダが病院に現れる。
担当刑事ロレンゾが対応する。
車の中には4歳の子供がいたとわかり緊急手配。
翌日から大捜索が始まる。
現場のアームストロング団地は低所得黒人が住んでいる。
隣町の警察が犯人が潜んでいる可能性が高いとして団地を封鎖。
やがて住民と警官との間に不穏な空気が流れ始める・・・

初めはサスペンスかと思っていたらそうではなかった。
なぜかロレンゾはブレンダが何かを隠している、本当の事をすべて話していないと半信半疑で捜索を手伝う。
やがて判明する事実。

格差社会が話題となっているアメリカの低所得者層。
そんな人々の人間ドラマである。
ブレンダ自身が孤独な女性。
隣町の警察署に勤める兄がいるも子供と二人の暮らしをひっそりとしてきた。
ロレンゾ刑事も息子が服役中。
団地の住人たちもみんな問題を抱えている。

なるほど、小説にしたら何やら重厚なものになりそうである。
しかし、映画になるとその重厚さは伝わってこない。
たぶん映画ならではの時間制限から人物・背景などが十分に描ききれないのだろう。
ベストセラー小説としてはちょっと物足りないストーリーだ。

サミュエル・L・ジャクソンはありとあらゆる映画に出演している印象があるほどいろいろな映画に出ている。
このブログでは「コーチ・カーター」を取り上げたが、あくの強いキャラクターである。

原作もサミュエル・L・ジャクソンの演技も今一傑作には結びつかなかったと言えよう・・・


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 23:59 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年08月09日

【黒い潮】My Cinema File 251

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1954年 日本
監督: 山村聡
出演: 山村聡/東野英治郎/津島恵子/夏川静江/滝沢修

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毎朝新開社の社会部記者速水は、警視庁詰めの記者筧から行方不明の秋山国鉄総裁が、轢死体となって発見されたという報をうけた。
複雑な政治的問題を孕む社会情勢から、この事件の真相は容易に判断できず、捜査当局も、単なる状況報告に止っていた。
他社の新聞は他殺説を主張したが、この事件を担当する速水は、正確な記事を客観的にという立場から自、他殺のいずれとも推定せず、見透しさえ書かなかった・・・
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1949年、まだ米国の占領下の日本で起こった下山事件を扱った古い映画である。
下山(映画では秋山)国鉄総裁が突然失踪し翌朝轢死体で発見されたこの事件は、自殺とも他殺とも断定できないまま捜査本部が解散となり、真相不明のままになっている。
松川事件、三鷹事件とともに戦後の国鉄三大ミステリー事件とされている。

ストーリーはこの事件を追う毎朝新聞の記者たちを描く。
リーダーの速水は正確な記事を客観的に書くという信念のもと、自殺説・他殺説いずれにも偏らず報道する。
ところが他社は自殺説、他殺説をそれぞれ展開し報道合戦を繰り広げる。

そんな中どっちつかずの毎朝新聞のスタンスは世の中から孤立。
社内外からの猛烈な圧力下、速水はスタンスを貫く。
結局どちらともつかないまま捜査本部解散によって事件は終了。
三鷹事件などの新たな大事件発生で新聞社はまた忙しくなる・・・

実在の事件を基にした映画であるが、何せ製作は1954年。
ストーリーそのものもそうであるが、それ以上に当時の世相が興味深い。
CGが発達した現在ではおよそほとんどの映像表現は可能であると思われるが、やはりその時代に撮影したという強みには及ばない。

国産車が普及せず社用車は左ハンドルの外国車。
タクシーもそうであり、空車の札を手で変える。
持ち歩くのは巨大なカメラ。
夏であるが当然エアコンなどはなく、氷屋に氷柱を社内に届けてもらい記者たちは触ったりタオルを冷やして顔を拭いたりして涼を取る。
交代で宿直。
活字を拾う女工。
男は24時間365日仕事、という世相・・・

半世紀前の作り物でない日本がそこにあり、どれもこれもが斬新である。
あそこは有楽町かなどと推察するのも楽しい。
おどろおどろしい効果音やナレーションなど現代では違和感を覚える構成も然り。
温故知新ではないが、時折こうした古い映画を観るのは結構好きである。
たまには趣向を変えて観てみてはいかがだろうか・・・


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 10:53 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年08月04日

【フラガール】My Cinema File 250

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2006年 日本
監督: 李相日
出演: 松雪泰子/豊川悦司/蒼井優/山崎静代/岸部一徳/富司純子

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昭和40年。
エネルギーの需要は石炭から石油へとシフト、世界中の炭鉱が次々と閉山していた。
そんな中、福島県いわき市の炭鉱会社は、地元の温泉を活かしたレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」の計画を進めていた。
目玉となるのは、フラダンスのショー。
早速、本場ハワイでフラダンスを学び、松竹歌劇団で踊っていたという平山まどかを東京から招き、地元の娘たちのダンス特訓を始める。
しかし数世代も前から山で生きてきた住民は、閉山して“ハワイ”を作る計画に大反対。
まどかや娘たちへの風当たりも強く…
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石炭から石油へと移り行く時代。
雇用対策も含めて計画され作られた「常磐ハワイアンセンター」のフラガールズの実話を描いた作品である。
主役はもちろんフラガールズなのであるが、時代の変化についていこうとする人達、ついていけない人達の葛藤も観ていて興味深い。

もはや時代の要求に応えられなくなった石炭。
いくら掘っても必要とされないのだ。
なのに抵抗する鉱夫たち。
「30年掘ってきて紙切れ一枚で首か」と怒る鉱夫。
そこには長年やってきた事に対する誇りと今更他の事はできないという焦りがにじみ出ている。
そんな彼らが、時代の変化に合わせで変わろうとする人達に冷たく当たるのもまた人情である。

移り行く時代の中で、炭鉱の町にハワイをつくろうと考えた発想も面白いが、実現に向けたストーリーも面白い。

目玉のフラダンスの講師として東京から招かれた平山まどか。
髪型に服装にどれをとっても田舎町とは不似合いである。
フラガール募集に集まった女性たちも衣装を見て逃げ出す。
たった4人残ったメンバー。
「こんな田舎でど素人の田舎娘に何ができる」とやる気のないまどか。
そのまどかが一人で踊るのを覗いていた4人のメンバーが、そのあざやかな踊りを観て反感を一新。
弟子入りを志願しフラガールズの活動が本格化する。

そこからの紆余曲折。
冷ややかに観ていれば臭いシーンも多いのであるが、気にせず観ているとところどころで心に響くシーンが続く。

「強いものが生き残るのではない、変化できるものが生き残るのである」という言葉をダーウィンは残した。
己の強さを誇示し続けた鉱夫たちと、ハワイアンセンターのオープンに情熱を傾けた人達。
ビジネスにも通じる映画として観る価値もある。
フラガールズたちの奮闘はやがて鉱夫たちの心をも動かしていく・・・

行った事はないが、子供の頃に聞いた事がある「ハワイアンセンター」の響き。
今でも残っているスパリゾートハワイアンセンターに行ってみたくなった・・・


評価:★★★☆☆
posted by HH at 23:46 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年07月27日

【燃ゆるとき】My Cinema File 243

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2006年 日本
監督:  細野辰興
出演: 中井貴一 /大塚寧々/長谷川初範/中村育二

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即席めんを主力商品として、アメリカ大陸にも拠点を置く食品会社・東輝水産は、安価な新商品を売り出すアジア各国の企業に押され気味で、工場再建が不可欠となっていた。
社長と現地法人の社長の命で単身渡米した資材担当・川森は、さっそく再建に着手する。
まずは現地従業員の一時的なレイオフ。
そして大幅なコストカット。
さらにアメリカ人の嗜好に合う、新たな安くておいしいカップ麺の開発。
古株社員と対立しながらも再建は進められ、新発売されたカップめんの評判は上々、すべては順調だと思われたが…
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カップ麺といえば日本ではカップヌードルで有名な日清食品であるが、海外では少々事情が異なる。
赤いきつねと緑のたぬきでお馴染みの東洋水産がブランドを確立している。
とくにメキシコでは圧倒的なシェアで、「マルちゃん」という言葉は現地語に溶け込んでいるそうである。

そんな東洋水産であるが、順風満帆というわけではなく市場開拓には苦労があった。
そんなアメリカでの苦労を映画化したのが本作品。
原作は高杉良の同名小説。
高杉良といえば「金融腐食列島」などで、どこまで本当なのだろうと思わせられる小説が多く、したがって本作品も原作は読んでいないのだがかなり期待してしまった。
上記のストーリーのさわりを読んでいただいてもそれは普通の反応だと思う。

しかし、結論から言えば期待はずれの空振り三振であった。
原作はどうなのだろうか。
たぶんそれなりに高杉良の名前にふさわしいものであるのだろうと想像はされる。
しかしわずか2時間という映画の限界なのだろうか。
短い時間に伝えられるエピソードは限られている。
原作は読んでいないが、原作が面白いとすればここに原因があるのであろう。

企業の奮闘記の映画化といえばビデオのVHS開発を扱った「陽はまた昇る」が思い起こされる。
こちらはかなり満足のいく内容であった。
個人的にはこういう映画は好きである。
したがって本作品にも相当の期待があっただけに残念である。

中心となるのは資材担当の川森。
単身赴任で現地に溶け込みながらの改革を目指す。
アメリカ企業とは一線を画し、日本的経営でトップブランドを目指すのである。
しかし、エピソードはどれも底が浅く展開がわかりすぎるほどわかってしまい、逆に白々しい。
さらっと上辺だけを撫でたようなイメージである。
それだけでは人の心は動かない。
映画ではなく原作をじっくりと読んでみたいものである。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 09:56 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年06月18日

【チャーリー・ウィルソンズ・ウォー】My Cinema File 225

Charlie Wilson's War.jpg

原題: Charlie Wilson's War
2007年 アメリカ
監督: マイク・ニコルズ
出演:  トム・ハンクス/ジュリア・ロバーツ/フィリップ・シーモア・ホフマン/エイミー・アダムス

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下院議員チャーリーは、酒と女が好きなお気楽政治家。
しかし、その内面では、平和を愛するゆるぎない心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。
国防歳出小委員会がアフガニスタン支援に500万ドルしか用意していない事を知ると、委員会のメンバーである彼は、予算を倍にするよう指示する。
そこに、テキサスで6番目の富豪で、反共産主義者のジョアンが目をつけ、アフガニスタンを救うよう彼に訴える・・・
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ソ連がアフガニスタンに侵攻したのは1979年。
もう30年前のこと。
西側諸国のモスクワオリンピックボイコット騒動へと発展したが、その後アフガニスタン国内での抵抗勢力ムジャーヒディーンとの紛争から「ソ連版ベトナム戦争」と化していた。

そうしたアフガニスタン情勢へ足を踏み入れたテキサス州選出の下院議員チャーリー・ウィルソン。
おおらかな人柄でどこかにくめない彼は酒と女を愛し、美人で固めた秘書軍団は「チャーリーズ・エンジェル」のモデルになったとか・・・
立派な人物かと思いきや麻薬使用の疑いで逮捕されそうになると必死にもみ消すあたりは聖人君子というのでもなさそうである。

そんな彼がアフガニスタンの抵抗勢力ムジャーヒディーンへの支援のため動き回ることになる。
予算を次々と増やし、テキサスの富豪ジョアン・CIAのガストと組んでアフガニスタンに武器を送る。
アメリカ製ではソ連との対立を招くためイスラエル、エジプト、パキスタンと組んでソ連製兵器を送り込む。
当時のニュースでは窺い知れないこんな舞台裏があったのかと驚く。

重装甲の攻撃ヘリがアフガン市民を無差別に攻撃するシーンは迫力あると同時にソ連兵の残忍さもクローズアップする。
おもちゃ爆弾で両手を失った子供たちを登場させ、チャーリーならずとも観る者をもソ連兵憎しの感情を増幅させる。
したがってムジャーヒディーンの兵士が供与されたスティンガーミサイルで攻撃ヘリを撃墜するシーンでは思わず快哉を叫んでしまうのだ。

この映画、ロシアでは上映されていないらしいがそれも無理もない。
ベトナムでのアメリカ同様、ソ連にはソ連の事情があり「お前に非難されたくない」のだろう。

やがて表舞台でもお馴染みのソ連軍の撤退がニュース映像で流れる。
みごとなウィルソンの活躍である。
しかし、この時すでにアフガニスタンにはオサマ・ビン・ラディンが入国しておりやがて、9・11、アフガンへの米軍侵攻へと続くのは歴史の皮肉である。
これをウィルソンは阻止しようとしたらしいが、それに対しては批判もあるようである。
そこは映画にもあまり関係ないが、それはそれとして十分楽しめる映画である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 23:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ