2008年06月16日

【サン・ジャックへの道】My Cinema File 224

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原題: SAINT-JACQUES... LA MECQUE
2006年 フランス
監督: コリーヌ・セロー
出演: ミュリエル・ロバン/アルチュス・ド・パンゲルン/パスカル・レジティミュス

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ストレスで薬に依存している兄ピエール、頑固なオバサン教師クララ、アルコール漬けで文無しの弟クロード。
険悪な仲の兄姉弟が、亡き母の遺産を相続するためフランスのル・ピュイからスペインの西の果て、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500kmにも及ぶ巡礼路を一緒に歩くはめになった。
このツアーの同行者は、ガイドのギイ、山歩きと勘違いして参加した女の子エルザとカミーユ、アラブ系移民の少年サイッド、従兄弟サイッドにだまされ、二人分の旅費を母親から出してもらったラムジィ、物静かな女性マチルド。
9人の男女が、様々な思いを胸にフランスのル・ピュイから旅の一歩を踏み出した・・・
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仲の悪い3兄弟。
母親の残した遺産が相続できると思っていたら、相続には条件がついていた。
その条件とは徒歩で遠くスペインまで巡礼の旅に出る事。
ぶつぶつ文句を言うものの結局背に腹は変えられず旅立つ3人。

総勢9名での巡礼の道中。
9名それぞれが事情を抱えており、平穏な道中ではない。
しかし、旅を続けるうちにやがて少しずつみんなが変化していく。
ちょっと変わったロードムービーである。

それにしてもこういった巡礼はやっぱり盛んなのだろうか。
日本でもお遍路があり、歩くという事が宗教上は重要な修行なのだろう。
このドラマはフィクションなのだろうが、こういう変化は巡礼にはあってもおかしくなさそうである。

今は交通手段も発達し、世界各地どこへ行くにしてもかつては信じられないほどの短時間で移動できる。
そういう時代に、ただ単に目的地へ行くだけでなくその道中の一歩一歩に重要な意味を持たせるのが「巡礼」なのだろう。

旅を終えた3兄弟の変化もすがすがしいものがある。
フランス・スペインの景色も楽しめる映画である。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 23:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | ドラマ

2008年06月15日

【ツォツィ】My Cinema File 223

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原題: Tsotsi
2005年 イギリス・南アフリカ
監督: ギャヴィン・フッド
出演: プレスリー・チュエニヤハエ/ZOLA/テリー・ペート

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自分の本名と過去を封印し、幼い頃からたった1人、社会の底辺で生きてきたツォツィ。
仲間とつるんで、富裕階級の人間から暴力で金を奪うのだ。
ある日、高級住宅地を歩いていたツォツィは、黒人女性が運転するベンツを見かけ、女性を脅し車を盗んで逃走。
しかし、後部席に赤ん坊がいることに気が付く。
紙袋に赤ん坊を入れ、途方に暮れている時、女手ひとつで子供を育てているミリアムと出会う。
ツォツィは、彼女に赤ん坊を預け…
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ツォツィとはチンピラ、不良といった意味のスラングだそうである。
そうしたあだ名で呼ばれるツォツィの本名など誰も知らない。
スラム街にまともな仕事などあるわけもなく、仲間とつるんで金を奪う生活。
仲間も同じような境遇。
いとも簡単に人を殺す。

次第にツォツィの育ちが明らかになるが、土管の中で育った彼にとって愛情・幸福といった言葉は無縁のしろもの。
そうした境遇が人を犯罪者にしてしまうのだろう。
それは襲われる方からすると恐ろしい事だ。
何せ真面目に暮らしていてもいつそういった連中に襲われるかわからないからだ。
犯罪の温床、貧困問題の一面がここにある。

ある時金持ちのベンツを奪ったツォツィは車の中に赤ん坊がいるのを見つける。
連れて帰るがどうしてよいのかわからない。
乳飲み子を抱えたミリアムに銃を突きつけて授乳させるが、そういうやり方しかできない人間なのだ。
そうして次第に彼の心の中に変化が生まれていく・・・

ドラマ自体はツォツィの再生の物語。
非情な人間が生まれ変わっていく。
今尚貧困が渦巻くアフリカ諸国。
単なるドラマ以上に深いテーマを内包している。
ちょっと考えさせられる映画だ。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 10:47 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年06月14日

【明日の記憶】My Cinema File 222

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2005年 日本
監督: 堤幸彦
出演: 渡辺謙/樋口可奈子/坂口憲二/吹石一恵/木梨憲武

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広告会社の営業マンとして働く雅行は、時に家庭を返り見ないほど仕事に没頭してきた。
大きなプロジェクトと娘の結婚を控え、忙しい日々を送っていたが、50歳を前にしたある日、原因不明の体調不良に襲われる。
ミーティングを忘れたり、部下の顔が思い出せず、心配になった雅行は病院を訪れ、医師から「若年性アルツハイマー」の診断を受ける。
そんな雅行を、妻の枝実子は献身的に支え、一緒に病と闘うことを決心する……
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今やハリウッドでも大活躍の渡辺謙であるが、実はこの映画が初主演なのだという。
意外なものである。
「サユリ」の撮影中に立ち寄ったハリウッドの書店で原作を見て、作者の萩原浩に自ら手紙を書いて映画化に漕ぎつけたという。
渡辺謙自らエグゼクティブ・プロデューサーを兼ねる渾身の作品である。

49歳と言えばまだまだ働き盛り。
冒頭では部下を叱咤し精力的に働く広告会社の営業部長として登場する佐伯。
しかし、病状は少しずつ現れる。
同僚の名前がすぐに出てこなかったり、有名な映画の主人公の名前が思い出せなかったり・・・
「そんなのよくあるどころじゃない」と少し冷やりとする。

妻に指摘され、自らも不安になって病院を訪れる佐伯。
医師が簡単なテストを始める。
「年齢は?今日は何年何月何日ですか?・・・」
思わず一緒に受けている自分を発見。
取りあえず異常はなさそうなので安心して続きを観ることに・・・

アルツハイマーという病気は老人の病気というイメージであるが、そうではない。
20代での発症事例もあると映画の中で及川光博演じる医師が語っている。
怖い病気だ。

病状が進行していく。
仕事もやむなく辞め、専業主婦だった妻枝実子は働き始める。
一家の大黒柱が病気になる怖さは生活に大きな波となって打ち寄せる。

当たり前の事が当たり前にできなくなる怖さ。
自分が自分でなくなっていくという事がどういう事なのか。
単なる娯楽作品ではなく、考えさせられる映画だ。
そして仕事も大事であるがやっぱり家族がなにより大事だと感じる。
表情の変化で病状を演じる渡辺謙にも脱帽である。


評価:★★★☆☆

posted by HH at 11:08 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(2) | ドラマ

2008年06月07日

【エコール】My Cinema File 220

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原題: École/Innocence
2004年 ベルギー・フランス・イギリス
監督: ルシール・アザリロヴィック
出演: マリオン・コティヤール/エレーヌ・ドゥ・フジュロール/ゾエ・オークレール/ベランジェール・オーブルージュ/リア・ブライダロリ

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棺に裸で横たわる少女イリス、6歳。
彼女を待っていたのは7歳から12歳までの6人の少女たち。
年長のビアンカが皆と揃いの白いシャツとスカート、赤いリボンで身支度を整えてくれる。
「お家に帰りたい」とつぶやくイリスに、これからは7人で暮らすのだと諭すビアンカ。
少女たちは森の中の屋敷に住み、ダンスと自然科学の授業を受けに同じ森の中に建つ学校へ通う。
その森は高い壁で囲まれた閉ざされた世界だった・・・
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冒頭シーン。
おどろおどろしいBGMと水のイメージシーンが流れる。
ひょっとしてこれホラー映画だったっけと一瞬思う。

森の中の怪しげな学校。
棺の中から出てくる少女。
森には壁があって外の世界から隔離されている。
いったいどういう映画なのかまるでわからない。
いつ謎が解き明かされるのだろうと見守るもなかなかその気配が見られない。

年齢ごとに分かれるリボンの色。
年下の少女たちは壁の中での生活を無邪気に送る。
しかし、外が気になるのは人情というもの。
外の世界への興味を押さえられない少女もいる。
だが、その壁は厚い。
ボートで脱出しようとするも底に穴が開いていて溺れ死ぬ少女。
壁を乗り越えて行った少女はその後どうなったかわからない。
やっぱりホラーなのだろうかと思わせられる。

最年長の少女達には外への道が開かれる。
怪しげな地下道。
そしてようやく描かれる下界。
結局謎は最後まで明らかにならない。

何なのだろうかこの映画。
誰かに解説してもらいたい気分である。
ヨーロッパの雰囲気溢れる映画であるが、そういえばカミュの小説のようでもある。
理解できない方が悪いのかと思わせられる・・・


評価:★☆☆☆☆☆
posted by HH at 10:37 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ

2008年06月01日

【バベル】My Cinema File 218

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原題: BABEL
2006年 アメリカ
監督: アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演: ブラッド・ピット/ケイト・ブランシェット/ガエル・ガルシア・ベルナル/役所広司/菊地凛子/アドリアナ・バラッザ

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壊れかけた夫婦の絆を取り戻すために旅をしているアメリカ人夫婦のリチャードとスーザン。
バスで山道を走行中、どこからか放たれた銃弾が、スーザンの肩を撃ち抜く。
なんとか医者のいる村までたどり着くが、応急処置がやっと。
彼は英語がなかなか通じない村の住人たち、対応が遅いアメリカ政府に苛立ちを露わにするが…。
同じころ、東京に住む聴覚に障害を持った女子高生のチエコは、満たされない日々にいら立ちを感じていた…
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「バベル」とは旧約聖書に出てくる町の名前。
傲慢になった人類が天に届く塔(バベルの塔)を建てようとして神の怒りに触れ、罰として言葉を分けられてしまう。
以来、人類は様々な言語を有するようになったという逸話である。

そんなタイトルがぴったりのドラマである。
登場人物たちは、モロッコの地で少年ユセフが放った一発の銃弾によって複雑に絡み合う。
その銃弾を偶然受けてしまうスーザンと夫リチャードのアメリカ人夫婦。
その事件の影響で人生が狂っていくベビーシッターのアメリア。
意外なつながりを持った東京のチエコ親子。
そして事件が大きくなるにつれ悲劇に見舞われるユセフ親子。

まるで見えざる神の手にかかったかのように彼らは運命の奔流にさらされていく。
うまくいかないコミュニケーション。
思い通りにならない出来事。
どうにもならない流れの中から抜け出てみると、リチャード夫妻は悪化していた夫婦関係が改善へと向かい(たぶん)、彼らの子供たちのベビーシッターだったアメリアは息子の結婚式という喜びから一転して生活基盤を失う。
ユセフ親子には大きな不幸が訪れ、チエコ親子は関係改善へと向かう(たぶん)。
そこには何の法則もなく、出会う人々によって変わる可能性のあった偶然と必然のみ。
神の身業の前に翻弄される人々のドラマを淡々と追う映画である。

この映画で大きな話題となったのが米映画批評会議賞新人女優賞を受賞した菊地凜子。
しかし、どうなんだろう?
個人的にはあまりこれといったものを感じない。
むしろモロッコの少年ユセフの方が強いインパクトがあった。
お馴染みの役所広司が出ていて親近感が湧くものの騒ぐほどではない感じである。

登場人物たちに起こった出来事の意味を考えてみても意味はない。
それに何かの意味を持たせようとするのが人間なのかもしれない。
そして起きてしまった事は元に戻せない。
まさに「運命のいたずら」なのだろう。
ちょっと哲学的になってしまう映画である。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 10:58 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | ドラマ