2008年03月09日

【地下鉄(メトロ)に乗って】My Cinema File 180

地下鉄に乗って.jpg

原作: 浅田次郎
2006年 日本
出演: 堤真一/岡本綾/常盤貴子/大沢たかお/田中泯

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絶縁状態の父親が倒れたという知らせを受けた日、小さな衣料品会社の営業マン・長谷部真次は、いつものようにスーツケースを転がしながら地下鉄で移動していた。
そこに突然、亡き兄が姿を現す。
兄の背中を追って地下通路を抜けると、そこは昭和39年の東京だった。
ほどなくして真次は無事現在に戻ってくるが、後日、今度は恋人の軽部みち子も一緒に昭和21年に遡り、闇市でしたたかに生きる若き日の父・小沼佐吉に出会う・・・
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昭和30年代の日本の町並みが出てくる映画というと「ALWAYS三丁目の夕日」とかぶるところがあるが、これはまったく違うテイストの映画。
原作はなんといってもあの浅田次郎というところで大いに期待して見た。

父との対立から父とは袂を分かち、名前まで母親の旧姓に変えて大会社社長の跡取りの座を捨て一サラリーマンとして生きる主人公長谷部真次。
父親が倒れたという知らせにも会いに行こうとしない。
その彼が地下鉄永田町駅で死んだ兄の姿を見かけ、後をおって地上にでるとそこは昭和39年10月5日、東京オリンピックに沸く新中野鍋屋横丁であった・・・

それから愛人軽部みち子とともに現代と過去を行ったり来たりする。
過去で会うのは若き日の父。
非情だと思っていた父であるが、不安を隠し出征していく姿は「一度乗ってみたかった地下鉄(メトロ)」に乗って無邪気に喜ぶただの青年。
戦地では自らの身を省みず市民の盾となり、闇市ではしぶとく生き残る。
最愛の兄の死に際し、表向きの冷たい態度とは裏腹に気を許した愛人の前で涙を流す・・・
そんな父の姿を見ながらいつしか心のわだかまりが消えていく真次。

浅田次郎らしい世界が展開される。
丸の内線新中野駅を出ると目の前にある鍋屋横丁。
町並みはともかくいまでも名前はそのままだ。
個人的にはよく行くところだけに親近感が湧く。

永田町、赤坂見附といった地下鉄駅構内もよく通る場所である。
なんだかそのうち自分も体験しそうなお話だ。
もしも自分が映画のような経験をしたらどうするだろう?
ちょっと想像してみると楽しくなる。

父親には父親の、子供にはわからない人生がある。
「あなたの息子でよかった」という真次の言葉に心が温かくなる映画である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 14:20 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ

2008年03月02日

【カサノバ】My Cinema File 178

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原題: CASANOVA
2005年 アメリカ
出演: ヒース・レジャー/シエナ・ミラー/ジェレミー・アイアンズ/オリヴァー・プラット
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18世紀、ヴェネチア。
ある男が修道女との情事の末、教会の役人たちに追われている。
彼の名はジャコモ・カサノバ。
娼婦から淑女まで、落とせない女性はいないと評判のプレイボーイだ。逃げ込んだ大学の講堂で、彼は女性解放を説く演説を目にする。
実は、論客はフランチェスカという男装をした美しい女性だった。
結局、カサノバは逮捕されるも、総督の取り計らいによって放免になるが、後ろ盾を得るため、良家の子女との結婚が必要になり…
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プレイボーイとして歴史に名を残すカサノバは実在の人物で本名をジャコモ・ジローラモ・カサノバというらしい。
生涯に1,000名の女性とベッドを共にしたという。
今のようにフリーセックスの時代ではないことを考えるとかなりの「戦歴」といえる。

そんなカサノバの映画であるが、ある特定の女性フランチェスカとの関係を中心にしたのが本映画である。
主役のカサノバを演じるのは先日惜しくも亡くなったヒース・レジャー。
代表作となった「ブロークバック・マウンテン」の次に出演した作品がこれである。

しかし、このヒース・レジャーであるが1,000人斬りの伝説のプレイボーイというイメージはどうもしない。
個人的にはオーランド・ブルームあたりの方がぴったりくるような気がする。

映画自体は数々の女性遍歴から縛り首の危機に瀕し、いよいよ結婚しなければならなくなったカサノバが本命の女性フランチェスカと結ばれるまでのあの手この手が描かれる。
カサノバの「悪名」に敵意と警戒心を持つフランチェスカ。
その彼女に対し、名前を隠して近づき何とか真の自分を理解してもらおうと務めるカサノバ。
そんなカサノバを捕まえて縛り首にするのに執念を燃やす司教、フランチェスカの婚約者、カサノバを慕う女性が入り乱れてのドタバタ劇。

本当のカサノバの自伝がどうであったかは知らないが、カサノバの自伝というよりもカサノバを題材にした活劇という感じである。
ちょっと軽いノリの映画を見たい時にはいいかもしれない・・・


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 10:31 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年02月23日

【プライドと偏見】My Cinema File 175

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原題: Pride & Prejudice
2005年 イギリス
出演: キーラ・ナイトレイ/マシュー・マクファディン/ドナルド・サザーランド/ブレンダ・ブレッシン

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18世紀末のイギリス。
5人姉妹がいるベネット家の隣に大富豪の独身男性ビングリーが引っ越してきた。
美しく慎み深い長女ジェーンとビングリーが互いに惹かれ合う一方で、快活な次女エリザベスは、ビングリーの親友ダーシーの気位の高さに強い反発を抱いていた。
様々な噂を耳にし、ますますダーシーに嫌悪感を募らせていくエリザベスだったが、なぜか彼の存在が気になって仕方がなく……
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キーラ・ナイトレイといえば昨年公開された「パイレーツ・オブ・カリビアン」で海賊どもを向こうに回して一歩も怯まない姿が印象的であった。

原作はイギリス女流文学の最高峰と称されるジェーン・オースティン。
古式ゆかしき18世紀のイギリス社会。
女性には相続権がなく、人生の目的は「結婚」といってもその重みは今のそれとは桁違いという時代。
男勝りの役柄とは正反対の役柄と思いきや、5人姉妹の中にあっていい男を見つけてははしゃぐ他の姉妹とは一味違いしっかりと自己主張する女性の姿はなんとなく相通ずるものを感じる。

ストーリーは5人姉妹の次女エリザベスと隣家に越してきた富豪ビングリーの友人ダーシーとの恋物語。
しかし、高慢なダーシーにエリザベスは反発する。
悪い噂も耳にする。
プライドの高い男とそれに偏見を持つ女。
やがてそのプライドと偏見が取り除かれていく・・・

そうしたストーリーとは別にのどかな田園風景とイギリスの階級社会の様子、風俗などが興味深い。
女性に相続権がない、ということはこのベネット家のように両親と娘だけの家は、父親が死んでしまうと相続権が親族の(相続権のある)男に移ってしまうわけであり、場合によっては路頭に迷うわけである。

そういう時代背景、階級制度、紳士淑女の振る舞い・・・
一昔前のイギリス社会もまた確実に物語の一部である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 11:30 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ

2008年01月27日

【ブロークバック・マウンテン】My Cinema File 166

brokeback_mountain.jpg

原題: Brokeback Mountain
2005年 アメリカ
出演: ヒース・レジャー/ジェイク・ギレンホール/ミシェル・ウィリアムズ/アン・ハサウェイ

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1963年、ワイオミング州ブロークバック・マウンテン。
農場に季節労働者として雇われたイニスとジャックはともに20歳の青年。
対照的な性格だったが、キャンプをしながらの羊の放牧管理という過酷な労働の中、いつしか精神的にも肉体的にも強い絆で結ばれていく。
やがて山を下りたふたりは、何の約束もないまま別れを迎える。
イニスは婚約者のアルマと結婚、一方のジャックは定職に就かずロデオ生活を送っていた……
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アメリカワイオミング州。
田舎というよりほとんど大自然の中(ブロークバックマウンテン)でひと夏羊の群れの番をする二人のカウボーイが、やがて許されざる関係になり苦悩するというお話。
もっとも舞台は1963年からとなっているので、ゲイ先進国のアメリカでもまだゲイが市民権を得ていなかったため「許されざる関係」になってしまったのだろう。

過去にゲイの男がリンチを受けて殺されるところを目撃したイニス(ヒース・レジャー)が、それがトラウマでジャック(ジェイク・ギレンホール)と二人で暮らす事に抵抗する。
きっと今なら二人幸せに暮らしてハッピー・エンドなのだろう。

そういう時代背景だからであろうか、二人は山を降りた後別々に「普通の生活」を送る。
結婚して子供ができて、表面的には幸せなファミリーを築く。
だが、互いに「ブロークバック・マウンテン」での出来事が忘れられない。
再会を機に関係が復活する。
離れて暮らすゆえに会えるのは年に数回。
しかも人目を気にして、あるいはブロークバック・マウンテンを思い出してか会うのはいつも山の中。

時間の経過を二人の子供の成長具合で表している。
特に断らなくてもはっきりわかる。
こういう表現も映画ならではだろう。
最後に19歳の娘が訪ねてくる事によって、二人の関係が20年続いている事がわかるのである。

ブロークバック・マウンテンが出発点であり、常に心にブロークバック・マウンテンがある二人の心情は、普通の男女間であったら「マディソン郡の橋」のような恋愛映画になったのかもしれない。
なにかと物議を醸したようであるが、こういう映画が作られるアメリカもスケールが大きい。

さる1月22日(アメリカ現地時間)に主演のヒース・レジャーが亡くなったとの事、まだ28歳なのに残念である。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 11:15 | 東京 | Comment(0) | TrackBack(3) | ドラマ

2008年01月11日

【記憶の棘】My Cinema File 159

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原題: Birth
2004年 アメリカ
出演: ニコール・キッドマン/キャメロン・ブライト/ダニー・ヒューストン/ローレン・バコール

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ニューヨークで家族と暮らすアナは、30代の未亡人。
10年前に夫のショーンを心臓発作で亡くして以来、悲しみにくれていたが、最近になりようやく新しい恋人、ジョゼフのプロポーズを受ける決意がついた。
ところが2人の婚約パーティーの夜、ひとりの少年がアナのもとを訪ねてくる。
少年は「僕はショーン、君の夫だ」とアナに告げる。最初は信じていなかったアナだが、死んだ夫と自分しか知らない出来事を、ショーン少年が話し出すうち、疑いが生じ出す。
「彼は本当に生まれかわりかもしれない」と・・・
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なんとも不思議な出だしで映画が始まる。
アナの目の前に突然現れた10歳の少年が、10年前に死んだ自分の夫だと言う。
いわゆる生まれ変わりである。

忘れかけていた最愛の夫。
しかも新しい恋人との結婚が決まったばかり。
そんな時に・・・

こういう時に本人しか知りえない事を聞くのは常套手段。
だが、次々に質問に答えて行く少年。
次第に信じて行くアナ。
一方で謎めいた行動を取る亡き夫の親友の妻。

見ているうちに二コール・キッドマンの別の映画「アザーズ」を思い出した。
なんとなく映画の雰囲気が似ている。
「アザーズ」同様に最後に「あっ」と言わせるようなオチがあるのかなと期待してみていた。
だが、結末は意外な方向へ展開する。
謎めいた行動の理由も判明する。
スリラーでもサスペンスでもなく普通のドラマであった。
普通であるがゆえになんとなくアナに同情してしまった。

もしも最愛の人が亡くなって、ある日突然「生まれ変わりだ」と称する子供が現れたらどうするだろうか?
そんな事をちょっと考えてみた。
自分が生まれ変わった方だったら・・・
そんな事を想像してみるのもいいかもしれない。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 00:20 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ