2007年08月25日

アメリカ家族のいる風景

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原題: Don't Come Knocking
2005年 ドイツ、アメリカ
出演: サム・シェパード/ジェシカ・ラング

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西部劇のスターだったハワードは、新作の撮影現場から突然逃げ出し、故郷に向かう。
そこで彼は、久々に再会した母から驚きの事実を聞かされる。
彼の子供を身ごもったというモンタナの女性から連絡があったというのだ。
ハワードは自分の子供を探し出すため、モンタナ州ビートの町へと車を走らせる。
昔の恋人との不安まじりの再会、息子の反発、骨壷を抱えた不思議な少女との出会い。
ハワードの心の孤独は深まるばかりだが…
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映画俳優のハワード・スペンス。
撮影の途中で急遽撮影所を抜け出す。
あてもなく移動し、母親のもとを訪ねる。

彼が何でそんな行動に出たのか?
母親の実家でゴシップ記事満載の自分のスクラップブックを見つけたハワードの目を通じて原因がわかってくる。

俳優としての名声を享受し、富も名声も女にも不自由しない生活。
だが、本当に必要だったのはもっと血の通ったもの・・・
特に解説するわけでもなく、見ているものにそう思わせる手法はなるほどと思う。

突然子供がいると知らされ、わずかな心当たりを頼りに訪ねて行く。
それは「家族」への想い。
サラリと見ていてはわからないかもしれない。
噛めば噛むほど味わえるような映画。
逆に言えば噛まないとわからないかもしれない。

それはそうとジェシカ・ラング。
初めて見たのは小学生の時の「キングコング」。
可憐なヒロインがすっかり貫禄のある母親。

なぞの少女のサラ・ポーリー。
最初は「キル・ビル」のユマ・サーマンかと思ってしまったが、よく似ている。
脇役も味わい溢れている・・・


評価:★☆☆☆☆
posted by HH at 20:50 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2007年08月21日

ALWAYS 三丁目の夕日

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2005年 日本
出演: 堤真一/吉岡秀隆/小雪/薬師丸ひろ子

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昭和33年の東京。
短気だが情の厚い則文が営む鈴木オートに、集団就職で六子がやってきた。
小さな町工場にがっかりした六子を、一家のやんちゃ坊主・一平は、「もうすぐテレビがくる」と慰める。
鈴木オートの向かいで駄菓子屋をする茶川は、芥川賞の選考に残った経験がありながら、今は少年誌に冒険小説を投稿する日々。
ある日茶川は、淡い思いを抱く飲み屋のおかみ、ヒロミに頼まれ、身寄りのない少年、淳之介を預かることに・・・
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昭和33年といえば戦後13年。
まだほとんどの人が戦争=欠乏を経験をしており、それゆえ平和の中で世の中が少しずつ良くなっていくのを実感していた時代・・・
そんな時代を映像で再現したのがこの映画の見所の一つ。
これぞ映画の醍醐味。

時間の経過を徐々に出来上がっていく東京タワーと重ね合わせているのが印象的。
親から聞いていた時代のはなし。
きっとこういう風だったんだろうなと感じる。

だが、そんな映像だけがこの映画の魅力ではない。
物のない時代。
だけど心は豊かな時代。
そんな時代の物語が大きな魅力。

小説で身を立てることを夢見ながら駄菓子屋を経営する茶川さん。
戦争で生き残りでっかい会社にすることを夢見る鈴木オート社長とそれを支える奥さん。
飲み屋のヒロミさん。
集団就職で青森から出てきた六子。
身寄りがなくて転々と預けられる淳之介・・・

登場人物のエピソードの一つ一つが「豊かな」現代と対比させられる。
「豊かさ」とは何かと考えざるを得ない。

「電気」冷蔵庫を買って喜ぶ鈴木オートのおくさん。
冷蔵庫はそれまで氷を入れて冷やしていたのだ。
当時豊かさの象徴と言われた三種の神器、テレビ・冷蔵庫・洗濯機。
今ではあるのが当たり前。
冷蔵庫を買って喜ぶ人などいない・・・
逆に言えば冷蔵庫を買って素直に嬉しいと思えたのだ。
そう考えると現代に生きる我々はかなり「心の豊かさ」を失っているように思われる。

現代では大した事ではないことに素直に喜びを感じることができた「心の豊かさ」溢れる時代。
何よりも個性的な登場人物たちの人を思う心が胸を打つ。
涙腺のゆるい人は覚悟が必要だろう。
こういう映画に素直に感動できる自分でいたいと思う。




評価:★★★★★


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posted by HH at 23:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2007年08月11日

サユリ

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原題: Memories of Geisha
2005年 アメリカ
出演: チャン・ツィイー/渡辺謙/ミシェル・ヨー

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日本の海辺の寒村。
貧しさゆえに二人の姉妹が身売りされていく。
連れて行かれたところは姉が遊郭で妹が置屋。
9歳の妹千代は同じ町で暮らしているであろう姉に思いを馳せながら厳しい置屋での生活に耐える。
同じ置屋の売れっ子芸者初桃のいじめに涙する日々。
そんなある日、橋のたもとである紳士に声をかけられる・・・
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この映画スピルバーグ製作で話題になったが、興行的には失敗だったらしい。
日本といえば「ゲイシャ」「フジヤマ」「ハラキリ」・・・とのイメージが外国人にはあると聞く。
外国人が描いた日本は我々日本人から見るとどこか違和感が漂う。

この映画も全編を通して英語が使われる。
渡辺謙も桃井かおりも英語で喋っている。
そんなところも違和感を覚えるし、街の様子も芸者の髪型もそうである。

また混浴のシーンが出てくる。
アメリカ人の将校の接待でみんなで混浴するのだ。
かつて「将軍(ショーグンだったか)」というアメリカのテレビドラマでやはり島田陽子が日本では混浴が当たり前というような説明をしていた。
おそらくアメリカ人からするとこれはかなりの憧れのようである。
(日本人でもそうだが・・・)
こんなところも違和感の一つである。

だが、そんな細部をほじくっていても仕方がない。
日本人が主演するチンギス・ハーンの映画だって地元の人からすれば違和感だらけかもしれないのだし・・・

日本ということを深く意識せず、架空の国のお話として見ればよく出来ていると思う。
身売りされて家族と離れ離れになった少女の成功と成長のストーリーとしてみればかなり面白い。

少女と「会長」さんとの出会いのシーン。
初めて食べた(であろう)かき氷に目を輝かせてみせるあどけない少女の笑顔がなんとも言えず印象的だった。

細部にこだわらず見てみたい映画である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 18:15 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2007年07月17日

ミュンヘン

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原題:MUNICH
2005年アメリカ
監督: スティーブン・スピルバーグ
主演: エリック・バナ/ダニエル・クレイグ

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1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中に、パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー 黒い九月”によるイスラエル選手団襲撃事件が起こる。
人質となった選手11名は全員死亡。
これに激怒したイスラエル機密情報機関“モサド”は、秘密裏に暗殺チームを編成、首謀者11名の殺害を企てる。
リーダーに任命されたアフナーは、仲間4人とともに殺害を実行していくが、次第に自分たちの任務に疑問を感じ始めていく・・・
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1972年に起きたミュンヘン事件。
報復としてイスラエルが実施したテログループ幹部の暗殺を扱った映画。

暗殺は実施されているが、映画自体は「inspired」=ヒントを得た、というテロップがあったので必ずしも史実通りというわけではないようだ。

映画自体は難しくないが、イスラエルとパレスチナ・アラブの対立の背景がわかっていた方が理解が深まるかもしれない。

ユダヤ人がもともとのパレスチナを追われたのは旧約聖書の時代。
ホロコーストを経てようやく国を作ったら、その間住んでいたパレスチナ人達が逆に国を作れなくなり血で血を洗う対立となったのだ。

双方にそれぞれの「正義」がある。
映画はあくまでもテロへの報復としてイスラエル側の視点で描かれる。
だが、ミュンヘン事件への報復は「空爆」という形で行われ、数百人に犠牲者が出ている。
更なる報復がどうなのか、パレスチナ側の視点からは別の見方があるだろう。

イスラエルにとっても回りを敵に囲まれ、敵視されている中では身を守ることが必要だ。
4度の中東戦争に一度でも負けていれば再び流浪の民となっていたからだ。

そういう背景から作戦への任命を引き受ける主人公のアヴナー。
強い意志を持って作戦を遂行していく。
しかし、次第に追う立場は追われる立場となる。

「報復が報復を呼ぶ」連鎖は終わらない・・・
それは平和な家庭を持つ人間にとっては恐怖である。

詳細な史実はどうであろうと「映画は映画として単純に楽しむ」私としては十分に堪能できた映画である。


評価:★★★☆☆


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posted by HH at 23:45 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2007年07月12日

プレステージ

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原題)The Prestige
2007年アメリカ
主演)ヒュー・ジャックマン/クリスチャン・ベール

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19世紀末のロンドン。若き奇術師アンジャーとボーデンは、中堅どころの奇術師ミルトンの元で修行をしていた。
しかしある日、アンジャーの妻で助手のジュリアが水中脱出に失敗し死亡。
事故の原因はボーデンの結んだロープが外れなかったことだった。
これを機にアンジャーは復讐鬼へと変貌し、2人は血を流す争いを繰り返すことになる。
その後、結婚し幸せな日々を送るボーデンは、新しいマジック「瞬間移動」を披露するのだが…。
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対立する二人のマジシャン。
もともとは共に修行する仲間だったが、ある事件をきっかけに対立する。

ライバルという関係ではない。
互いに相手を破滅させようとするのだ。
だんだんとエスカレートしていくさまは醜い対立でもある。

マジック対立はそれはそれで良かった。
今ちょっとしたマジックブーム。
トリックを使った見せ場を期待した。
ある意味その要求は果たされた。

互いのマジックの裏を探りあう様は見ている観客の気持ちを代弁する行為でもある。
「タネも仕掛け」もあるが、あるように見えないのがマジック。
わからないからいいのか、わかってしまうと興ざめか。

でも最後のネタはいただけない。
最後の見せ場のトリックだからこそ期待もしたが・・・
「そんなのありか」とがっくりきた。
見事に★ひとつ落としたと言えよう。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 21:20 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ