2007年08月11日

【SAYURI】My Cinema File 95

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原題: Memories of Geisha
2005年 アメリカ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
監督: ロブ・マーシャル
出演: 
チャン・ツィイー:さゆり
渡辺謙:会長
ミシェル・ヨー:初桃
役所広司:ノブ
桃井かおり:お母さん
工藤夕貴:カボチャ
ケリー・ヒロユキ・タガワ:男爵

<シネマトゥデイ>
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スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、チャン・ツィイー主演による究極の“ゲイシャ・ムービー”。共演には渡辺謙、役所広司ら日本の俳優たちのほか、ミシェール・ヨー、コン・リーらアジアの名優たちが顔をそろえる。『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が、1人の芸者の人生を描くとともに、豪華けんらんな美の世界を表現する。ハリウッドが描いた斬新な“日本の伝統美”の数々は一見の価値あり。
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日本の海辺の寒村。貧しさゆえに二人の姉妹が身売りされていく。連れて行かれたところは姉が遊郭で妹が置屋。9歳の妹千代は同じ町で暮らしているであろう姉に思いを馳せながら厳しい置屋での生活に耐える。同じ置屋の売れっ子芸者初桃のいじめに涙する日々。そんなある日、橋のたもとである紳士に声をかけられる・・・

この映画は、スピルバーグ製作で話題になったが、興行的には失敗だったらしい。
日本といえば「ゲイシャ」「フジヤマ」「ハラキリ」・・・とのイメージが外国人にはあると聞く。
外国人が描いた日本は我々日本人から見るとどこか違和感が漂う。

この映画も全編を通して英語が使われる。
渡辺謙も桃井かおりも英語で喋っている。
そんなところも違和感を覚えるし、街の様子も芸者の髪型もそうである。

また混浴のシーンが出てくる。
アメリカ人の将校の接待でみんなで混浴するのだ。
かつて「将軍(ショーグンだったか)」というアメリカのテレビドラマでやはり島田陽子が日本では混浴が当たり前というような説明をしていた。
おそらくアメリカ人からするとこれはかなりの憧れのようである。
(日本人でもそうだが・・・)
こんなところも違和感の一つである。

だが、そんな細部をほじくっていても仕方がない。
日本人が主演するチンギス・ハーンの映画だって地元の人からすれば違和感だらけかもしれないのだし・・・

日本ということを深く意識せず、架空の国のお話として見ればよく出来ていると思う。
身売りされて家族と離れ離れになった少女の成長と成功のストーリーとしてみればかなり面白い。

少女と「会長」さんとの出会いのシーン。
初めて食べた(であろう)かき氷に目を輝かせてみせるあどけない少女の笑顔がなんとも言えず印象的だった。

細部にこだわらず見てみたい映画である。


評価:★★★☆☆




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2007年07月17日

【ミュンヘン】My Cinema File 82

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原題:MUNICH
2005年アメリカ
監督: スティーブン・スピルバーグ
主演: 
エリック・バナ:アヴナー
ダニエル・クレイグ:スティーヴ
シアラン・ハインズ:カール
マチュー・カソヴィッツ:ロバート
ハンス・ジッヒラー:ハンス
ジェフリー・ラッシュ:エフライム
アイェレット・ゾラー:ダフナ
ギラ・アルマゴール:アヴナーの母
マイケル・ロンズデイル:パパ

<シネマトゥデイ>
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スティーヴン・スピルバーグ監督が、1972年のミュンヘン・オリンピックで実際に起きた事件の真相を、事件に関わった人々のコメントや、史実に基づいて映画化した衝撃の問題作。主演に『トロイ』のエリック・バナや6代目のボンド役を務めるダニエル・クレイグら実力派俳優が名を連ねるほか、製作陣にはピューリツァー賞やオスカー受賞者などが顔を揃え、作品の質を高めている。国家への忠誠心や家族への愛を描きつつ、世界平和の真意を問うストーリー展開が見事。
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1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中に、パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー 黒い九月”によるイスラエル選手団襲撃事件が起こる。人質となった選手11名は全員死亡。これに激怒したイスラエル機密情報機関“モサド”は、秘密裏に暗殺チームを編成、首謀者11名の殺害を企てる。リーダーに任命されたアフナーは、仲間4人とともに殺害を実行していくが、次第に自分たちの任務に疑問を感じ始めていく・・・

1972年に起きたミュンヘン事件。
報復としてイスラエルが実施したテログループ幹部の暗殺を扱った映画。
暗殺は実施されているが、映画自体は「inspired」=ヒントを得た、というテロップがあったので必ずしも史実通りというわけではないようだ。

映画自体は難しくないが、イスラエルとパレスチナ・アラブの対立の背景がわかっていた方が理解が深まるかもしれない。
ユダヤ人がもともとのパレスチナを追われたのは旧約聖書の時代。
ホロコーストを経てようやく国を作ったら、その間住んでいたパレスチナ人達が逆に国を作れなくなり血で血を洗う対立となったのだ。

双方にそれぞれの「正義」がある。
映画はあくまでもテロへの報復としてイスラエル側の視点で描かれる。
だが、ミュンヘン事件への報復は「空爆」という形で行われ、数百人に犠牲者が出ている。
更なる報復がどうなのか、パレスチナ側の視点からは別の見方があるだろう。

イスラエルにとっても回りを敵に囲まれ、敵視されている中では身を守ることが必要だ。
4度の中東戦争に一度でも負けていれば再び流浪の民となっていたからだ。
そういう背景から作戦への任命を引き受ける主人公のアヴナー。
強い意志を持って作戦を遂行していく。
しかし、次第に追う立場は追われる立場となる。

「報復が報復を呼ぶ」連鎖は終わらない・・・
それは平和な家庭を持つ人間にとっては恐怖である。
詳細な史実はどうであろうと「映画は映画として単純に楽しむ」私としては十分に堪能できた映画である。


評価:★★★☆☆


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2007年07月12日

【プレステージ】My Cinema File 78

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原題 : The Prestige
2007年 アメリカ
監督 : クリストファー・ノーラン
主演 :
ヒュー・ジャックマン:ロバート・アンジャー
クリスチャン・ベール:アルフレッド・ボーデン
スカーレット・ヨハンソン:オリヴィア
マイケル・ケイン:カッター
パイパー・ペラーボ:ジュリア・マッカロー
レベッカ・ホール:サラ
アンディ・サーキス:アリー
デビッド・ボウイ:ニコラ・テスラ

<映画.com>
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「メメント」「バットマン・ビギンズ」のクリストファー・ノーラン監督が、クリストファー・プリーストの小説「奇術師」を映画化。19世紀末のロンドンを舞台に、ライバル関係にある2人の天才マジシャンが、お互いの意地とプライドを賭けて戦いを繰り広げる。主演のマジシャン2人にはヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベール。マジック監修はデビッド・カッパーフィールドが担当。
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19世紀末のロンドン。若き奇術師アンジャーとボーデンは、中堅どころの奇術師ミルトンの元で修行をしていた。しかしある日、アンジャーの妻で助手のジュリアが水中脱出に失敗し死亡。事故の原因はボーデンの結んだロープが外れなかったことだった。これを機にアンジャーは復讐鬼へと変貌し、2人は血を流す争いを繰り返すことになる。その後、結婚し幸せな日々を送るボーデンは、新しいマジック「瞬間移動」を披露するのだが…。

対立する二人のマジシャン。
もともとは共に修行する仲間だったが、ある事件をきっかけに対立する。
ライバルという関係ではない。
互いに相手を破滅させようとするのだ。
だんだんとエスカレートしていくさまは醜い対立でもある。

マジック対立はそれはそれで良かった。
今ちょっとしたマジックブーム。
トリックを使った見せ場を期待した。
ある意味その要求は果たされた。

互いのマジックの裏を探りあう様は見ている観客の気持ちを代弁する行為でもある。
「タネも仕掛け」もあるが、あるように見えないのがマジック。
わからないからいいのか、わかってしまうと興ざめか。
でも最後のネタはいただけない。最後の見せ場のトリックだからこそ期待もしたが・・・
「そんなのありか」とがっくりきた。
見事に★ひとつ落としたと言えよう。


評価:★★☆☆☆





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2007年07月07日

【シリアナ】My Cinema File 75

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原題: Syriana
2005年 アメリカ
監督: スティーヴン・ギャガン
出演: 
ジョージ・クルーニー:ボブ・バーンズ
マット・デイモン:ブライアン・ウッドマン
アマンダ・ピート:ジュリー・ウッドマン
クリス・クーパー:ジミー・ポープ
ジェフリー・ライト:ベネット・ホリデイ
クリストファー・プラマー:ディーン・ホワイティング
ウィリアム・ハート スタン・ゴフ

<映画.com>
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「トラフィック」でアカデミー賞脚本賞を受賞したスティーブン・ギャガンが、全米ベストセラーとなったノンフィクション「CIAはなにをしていた?」(新潮社刊)を元に映画化した社会派群像劇。CIA工作員、アラブの王族、米国の石油企業、イスラム過激派テロリストら石油利権の周辺にうごめく人間たちの運命をドキュメンタリータッチで描く。ウィリアム・ハートやクリス・クーパーといったアカデミー賞俳優が脇を固めるほか、アマンダ・ピート、クリストファー・プラマーらが共演。
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CIA諜報員ボブは、息子の進学を機に、キャリアに終止符を打とうと決心する…。一方、一流法律事務所の弁護士ベネットは、アメリカの巨大石油会社の合併調査を依頼される。又、ジュネーブ在住の石油アナリスト・ブライアンは、ある事件をきっかけに石油王の王子ナシールの相談役となる。そしてパキスタン人のワシームは、母国を離れ中東の油田で働いているが、過酷な労働と人間以下の生活に希望を失いかける…。

CIA諜報員、弁護士、アナリスト、パキスタン人労働者のそれぞれのドラマが平行して進んでいく。
いったいどういう展開になるのだろうと見ていて不思議になる。
互いに関連のなさそうな話が淡々と進んでいくからである。
それは結局最後まで交わる事がない。
いやきちんと交わっている。石油を取り巻く世界が描かれ、すべてはどこかで関連し合っている。
こういう形式の映画も結構面白いかもしれない。

オスカーを取ったということで主演はやっぱりジョージ・クルーニーなのだろうか。
いや平行して進むストーリーのどれにスポットを当てるかによって主演が変わる。
好きな俳優にスポットをあてて見るのもいいかもしれない。
祖国を離れて豊かな産油国で最低の労働条件で働くパキスタン人。
彼を見ているとなぜ若者が自爆テロに身を投じるのかがわかるような気がする。
巧みにスカウトされ、テロリストに仕立て上げられていく・・・

ヘビーな内容の映画だ。
最後に帰宅したマット・ディモンと家族の表情にちょっとほっとしたりする・・・


評価:★★★☆☆





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2007年06月30日

【美しき運命の傷跡】My Cinema File 71

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原題: L'Enfer
2005年 フランス・イタリア・ベルギー・日本
監督: ダニス・タノビッチ
出演: 
エマニュエル・ベアール:ソフィ
カリン・ビアール:セリーヌ
マリー・ジラン:アンヌ
キャロル・ブーケ: 母親

<映画.com>
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「トリコロール」3部作で知られるクシシュトフ・キェシロフスキ監督の遺稿を「ノーマンズ・ランド」のダニス・タノビッチ監督が映画化。ある出来事によって父を失った3姉妹とその母。「美しすぎて」のキャロル・ブーケが母親役、3姉妹を演じるのは「8人の女たち」のエマニュエル・ベアール、「年下のひと」のカリン・ビアール、「ひとりぼっちの狩人たち」のマリー・ジラン。セバスチャン役は「ザ・ビーチ」のギョーム・カネ。
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三人姉妹の長女のソフィは夫の浮気に悩んでいた。別れを告げたソフィに、家へ戻ってきた夫は「子どもに会わせろ」とドアを叩く。その光景は22年前に父親が出所してきた夜を思い出させた。
次女のセリーヌは体の不自由な母親の世話をしている。セリーヌは、教師だった父が全裸の男子生徒と一緒にいる姿を母と共に目撃した。その後、母に告発され、刑務所送りになったのだ。
一方、三女のアンヌは、大学教授と不倫関係にあった・・・

原題は「地獄」。
なんというタイトルだろうと思ったらクシシュトフ・キェシロフスキという人の「天国」「地獄」「煉獄」という3部作の1作品らしい。

冒頭に鳥の巣のシーンが出てくる。
他の鳥の巣に卵を産み自分の子供を他の鳥に育てさせる行為がある。
カッコウの例を聞いたことがあるが、そのカッコウなのだろうか。

もともとの卵よりも早く孵化し、あげくにはもともとの卵を巣から落としてしまうのだ。
ところが自分が巣から落ちてしまう。
それを偶然にも通りかかった男に拾われ、巣に戻してもらう。
【偶然】【運命】という言葉がテーマとしてでてくるこの映画の象徴的なシーンだろう。

さて、ある3姉妹がそれぞれ問題を抱えながら暮らしている。
何が「地獄」なのか、それが3姉妹の苦悩を通して描かれる。

途中で出てくるギリシャ悲劇の「王女メディア」の話も象徴的だ。
自分を捨てた夫を憎み、苦しめるために夫の愛する子供(自分の子供だ)を殺してしまう女の話である。

3姉妹の苦悩の出発点にある事件がある。
【偶然】なのか【運命】なのか。

ストーリーとしては重厚だ。
原作は読んでいないが、映画化したくなるのも分かるような気がする。
だが、映画としてはどうだろうか。
ちょっと疑問に思わざるをえない映画である・・・


評価:★☆☆☆☆





posted by HH at 11:26 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ