2016年05月01日

さよなら渓谷

さよなら渓谷.jpg

2013年 日本
監督: 大森立嗣
出演: 
真木よう子:尾崎かなこ
大西信満:尾崎俊介
大森南朋:渡辺一彦
鈴木杏:小林杏奈
鶴田真由:渡辺の妻

<映画.com>
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真木よう子が「ベロニカは死ぬことにした」以来7年ぶりに単独主演を飾り、吉田修一の同名小説を映画化した人間ドラマ。緑豊かな渓谷で幼児殺害事件が起こり、容疑者として実母の立花里美が逮捕される。しかし、里美の隣家に住まう尾崎俊介の内縁の妻かなこが、俊介と里美が不倫関係にあったことを証言。現場で取材を続けていた週刊誌記者の渡辺は、俊介とかなこの間に15年前に起こったある事件が影を落としていることを知り、2人の隠された秘密に迫っていく。俊介役は「赤目四十八瀧心中未遂」『キャタピラー』の大西信満。「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「まほろ駅前多田便利軒」の大森立嗣監督がメガホンをとり、監督の実弟・大森南朋も週刊誌記者・渡辺役で出演。
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とある地方の寂れた共同住宅。冒頭から抱き合うカップル。そこへ隣人の、いかにも田舎のヤンキーでしたという感じの女がドアを叩き、午後に届く予定の荷物の受け取りを頼んでくる。あたりを取り囲む報道陣。やがて女は自分の子供を殺した容疑で逮捕される。そのニュースをベッドではなく、布団の中で聞く二人。男は尾崎俊介。女はかなこ。

報道陣の中の一人であった記者の渡辺。何気なく俊介に挨拶する。そして間もなく、俊介も警察から事情聴取を受ける。慌てて俊介の過去を洗う渡辺。学生時代有望な投手とされていた俊介。だが、在学中に4人のチームメイトとともに退部していた。関係者への調査で、渡辺はそれがレイプ事件であったことを突き止める。

淡々と進むドラマ。一体どういう物語なのだろうかと思わせられる。
俊介の過去を調べる渡辺。俊介には「集団レイプ」という過去がある。男目線で、「被害者もついて行った」と語る渡辺に、同僚の女性記者が被害者のその後の悲惨な人生を教える。このあたりは男と女の目線の違いであろう。

渡辺自身も家庭では妻とうまくいっていない。もともとラグビーをやっていて、おそらく会社の都合で「ラグビーを辞めて工場勤務に就くか、ラグビーを選んで会社を辞めるか」の決断を迫られ、渡辺は妻の反対を押し切ってラグビーを選んだようである。だが、その後怪我で引退せざるを得なくなり記者になったものの、それが原因で妻とはうまくいっていないようである。サイドストーリーなのに、そちらの方にも強い共感を感じてしまった。

そして次第に明らかになっていく俊介とかなこの関係。なんとなく予想はついていたものの、狂ってしまった人生の歯車の行き着く先を見ている気になる。流れ流れて辿り着いた住処は、そうでなければ歩んでいたであろう都会のきらめきとは遥かな隔たりがある。最後に渡辺が俊介に問う。「もう一度戻れるならどちらの人生を選ぶか」と。その答えはなかなかに興味深い。

全体としてイメージは暗い。それが淡々と進むが、登場人物たちの行動の理由も次第に分かってきて、そこはなかなかの展開である。どうやら原作があって、そちらの方がもっともっと深そうであるが、映画との違いはやむをえないのかもしれない。とはいえ、映画は映画なりにドラマの奥行きの深さを感じさせてくれる。観終わった後に余韻が残る映画である・・・


評価:★★☆☆☆



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2016年04月29日

桜、ふたたびの加奈子

桜、ふたたびの加奈子.jpg

2013年 日本
監督: 栗村実
出演: 
広末涼子: 梶原容子
稲垣吾郎: 梶原信樹
福田麻由子: 野口正美
高田翔: 東山直也
江波杏子: 富永松代
吉岡麻由子: 砂織

<映画.com>
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広末涼子と稲垣吾郎が娘を亡くした夫婦を演じ、さまざまな人とめぐり合いながら再生していく姿を描いたヒューマンドラマ。娘の加奈子を事故で亡くした容子は、自分を責め続け、もう存在しない加奈子が見えると言って世話を焼くようになる。夫の信樹は、そんな妻を救い出したいと願いながらも、現実を受け入れ、前を向こうとしない容子にいら立ちを募らせていく。そんなある日、容子はシングルマザーとして子どもを産む決意をしていた女子高生に出会い、その子どもが加奈子の生まれ変わりに違いないと確信する。デビュー作「飯と乙女」がモスクワ国際映画祭最優秀アジア賞を受賞した栗村実の監督第2作。
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冒頭、いきなりの葬儀シーン。棺は小さく、子供のものだとわかる。
両親は信樹と容子。一人娘の加奈子と公園で楽しく遊ぶ回想シーンが痛ましい。
自分の住所を覚える加奈子。この何気ないシーンが最後に生きてくる。
その加奈子が小学校に入学する日、事故で加奈子は死んでしまう。

ショックを受けた容子は、死んだ加奈子が見えると言い、やがて自殺を図る。早い通報で一命を取り留めるが、そんな時、高校生ながら妊娠してしまった正美とその恩師である砂織と知り合う。やがて正美は女の子を出産するが、手のひらに加奈子と同じ黒子があったことから、容子は正美の子供が加奈子の生まれ変わりだと信じるようになる。

自分の子供が生まれた時、一番怖かったのは何らかの原因で子供が死んでしまうことだった。
そんなこと想像することさえ苦痛であり、映画『火垂るの墓』を観た時は、観たことを心から後悔したものである。そんな経験があったからだろう、子供が死ぬというストーリーと母親の容子が見えない子供の姿を見る気持ちもよくわかる。

しかしながら、見えない子供が見える容子と信樹の夫婦の行方の物語なのかと思うと、高校生ながら妊娠してしまった正美と彼女に心を寄せるようになる後輩の物語が加わり、かと思うと生まれ変わりという話が出てきたり、人間ドラマなのかホラーなのかわかりにくくなる。事前にストーリーを見ないようにしているゆえ、どうなるかわからない面白さがある一方、戸惑うこともある。

結局、この曖昧さが観ていてなんとなくスッキリしない展開になってしまう。まぁ昔はそんなに興味もなかった広末涼子が、最近は非常に魅力的な女優さんになったから、それだけでも観る甲斐はある。それで良しとしたいところである。最初に幾つかの謎が投げつけられるが、それは最後にきちんと説明がつけられる。ただ、それが何を意味するのか、何を意図するのかはよくわからなかった。
そうした部分を含め、何の映画だったのかをもう少しはっきりさせて欲しかった映画である・・・

評価:★★☆☆☆




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2016年04月04日

すべては君に逢えたから

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2013年 日本
監督: 本木克英
出演: 
Story1〈イヴの恋人〉
玉木宏:黒山和樹
高梨臨:佐々木玲子
Story2〈遠距離恋愛〉
木村文乃:山口雪奈
東出昌大:津村拓実
Story3〈クリスマスの勇気〉
本田翼:大友菜摘
Story4〈クリスマスプレゼント〉
市川実和子:岸本千春
甲斐恵美利:寺井茜
Story5〈二分の一成人式〉
時任三郎:宮崎正行
大塚寧々:宮崎沙織
山崎竜太郎:宮崎幸治
Story6〈遅れてきたプレゼント〉
倍賞千恵子:大島琴子
小林稔侍:松浦泰三

<映画.com>
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1914年に開業した東京駅が2014年12月に100周年を迎えることを記念し、クリスマスの同駅で繰り広げられる男女の恋や家族のドラマを描いたオムニバスストーリー。人間不信に陥ったウェブデザイン会社の社長、仙台と東京で遠距離恋愛中のカップル、意中の先輩に告白できない女子大生、余命半年を宣告された新幹線運転士、母親と過ごすクリスマスを夢見る少女など、10人の男女が織りなす6つのエピソードが描かれる。JR東日本が全面協力し、東京駅でロケを敢行。12年に復元された3階建ての丸の内駅舎や東京ステーションホテル、新幹線での撮影などが行われた。出演は玉木宏、高梨臨、木村文乃、東出昌大、本田翼ら若手から、時任三郎、大塚寧々、小林稔侍、倍賞千恵子らベテランまで多数。「犬と私の10の約束」『』
「ゲゲゲの鬼太郎」の本木克英監督がメガホンをとった。
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<イヴの恋人>女優の夢を諦め、クリスマスイヴに養護施設で上演する劇を最後に田舎に帰る予定の佐々木玲子は、東京での最後の思い出に少し贅沢をしようとレストランに入る。そこは、ウェブデザイン会社社長・黒山和樹の行きつけの店だった。翌日、二人はやはり和樹のお気に入りのカフェで偶然の再会を果たす…

<遠距離恋愛>東京のドレスメーカーで働く山口雪奈と建設会社の仙台支社に勤務する津村拓実は遠距離恋愛中。雪奈はクリスマスイヴに開催されるブライダルショーの準備に忙しいが、拓実へのモーニングコールは欠かさない。ある日、突然拓実の東京出張が決まり、雪奈は久しぶりに会えるときめきを感じていた。だが拓実は明け方まで先輩と飲み明かし、そのまま仙台へ戻ろうとする。拓実にショーのチケットを渡そうと東京駅へと向かった雪奈は、その先輩が女性だと知り動揺する…

<クリスマスの勇気>ケーキ屋でアルバイト中の大友菜摘は、クリスマスイヴにアルバイトの予定しか入っていない。友人から、憧れの三上先輩が来るというカラオケ大会へ誘われるが、自分に自信のない菜摘は断ってしまう。ケーキ屋のオーナー兼パティシエ・大島琴子に「告白しなければ何も始まらないでしょ」と励まされる菜摘。そんな菜摘に琴子は、若き日の大恋愛を打ち明け始める…

<クリスマスプレゼント>いつも明るく元気な女の子、寺井茜は両親と離れて、養護施設で暮らしている。施設で教員を務める岸本千春は、そんな茜をいつも優しく見守っていた。茜は大好きなサンタクロースの絵本を読みながら、クリスマスイヴが来るのを心待ちにしている。お母さんはきっとイヴに会いに来てくれる、と茜は密かに信じていた…

<二分の一成人式>
新幹線の運転士である宮崎正行は、最後の乗車を終え職場の人たちに見送られて退職する。まだ若く、息子の幸治も10歳であったが、正行は余命宣告を受けての退職であった。そんな親の事情を知らない幸治は、子供らしい親に対する反抗をしながら、学校で行われる「二分の一成人式」の準備をしていく…

<遅れてきたプレゼント>東京駅近くでケーキ屋を営む琴子は、アルバイトの菜摘に49年前の昔話を披露する。親の決めた婚約者がいる男と恋に落ち、駆け落ちを決意、クリスマスイヴに東京駅で待ち合わせるが男は現れなかった。その後、琴子はケーキ職人を志し、以来、何度か恋に落ちるがついに結婚することはなかった。そんなある日、琴子のもとにある男が現れる…

「クリスマス」、「東京駅」、「新幹線」といったキーワードで6つの物語が並行して描かれる映画。そのどれもがありふれていてどこにでもありそうな話である。まぁそれでもやっぱり「創られた感」のある話はどうしても入ってくるのだが…
なんとなくどの話もいい話だとは思うものの、6つもあるせいかどうも感情移入しにくいものがあった。
うまくまとめ過ぎているのだろうと思う。

特に可もなく不可もなくという印象の映画。
ハズレるのは論外だが、もう少し盛り上がりが欲しいと個人的には思う。
個人の好みの問題だと思うが、「負け試合の9回裏、2アウトランナーなしで7番バッターが打ったセンター前ヒット」とでも喩えたい映画である…


評価:★★☆☆☆



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2016年01月28日

マップ・トゥ・ザ・スターズ

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原題: Maps to the Stars
2014年 アメリカ
監督: デヴィッド・クローネンバーグ
出演: 
ジュリアン・ムーア: ハヴァナ・セグランド
ミア・ワシコウスカ: アガサ・ワイス
ジョン・キューザック: スタッフォード・ワイス博士
ロバート・パティンソン: ジェローム・フォンタナ
オリヴィア・ウィリアムズ: クリスティーナ・ワイス
サラ・ガドン: クラリス・タガート
エヴァン・バード:ベンジー・ワイス
キャリー・フィッシャー (カメオ出演)

<シネマトゥデイ>
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『ヒストリー・オブ・バイオレンス』などで知られる鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が、ハリウッドセレブの実態をシニカルに描いた人間ドラマ。ハリウッドでリムジン運転手をしていた脚本家ブルース・ワグナーが実際に体験した話を基に、富も名声も得た完璧なセレブ一家が抱える秘密を暴き出す。本作の演技で第67回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したジュリアン・ムーアをはじめ、ミア・ワシコウスカ、ジョン・キューザック、ロバート・パティンソンら豪華キャストの競演も見どころ。
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アガサという名の若い女がロサンゼルスにやって来る。
ジェロームという若者の運転するリムジンを雇い、スター子役のベンジー・ワイスが以前住んでいた家の跡地に行く。
アガサは顔と体にひどい火傷を負っている。
そしてアガサとジェロームは親しくなる。

一方、スター子役のベンジーは非ホジキンリンパ腫に苦しむ少女を病院に訪ねる。
しかし、少女との会話はどこかちぐはぐ。
はるか年上の付き人に対する態度も横柄。
ベンジーの父親である心理学者のスタッフォード・ワイス博士は、中年の女優ハヴァナ・セグランドを治療している。
ハヴァナは大女優として知られていた母・クラリスの亡霊によって苦しめられている。

ハヴァナは、エージェントとともに母クラリスが出演した映画『Stolen Waters』のリメイク版に出演できるように奮闘している。
ベンジーも薬物依存症から抜け出すためのリハビリを終え、母親のクリスティーナと共に自身の復帰作への出演交渉中である。
その頃、キャリー・フィッシャーと知り合ったアガサは、ハヴァナに紹介され彼女の個人秘書となる。

かつては、その独特な世界に惹かれたデヴィッド・クローネンバーグ監督だが、最近はちょっと傾向が変わっている。
一見何の映画かわからないように進行していくこの映画も、『コズモポリス』と似たような雰囲気で進んでいく。

アガサはジェロームと交流を続け、スタッフォード博士とアガサの関係が明らかになってくる。
ハヴァナは、『Stolen Waters』への出演が決まる。
秘書のアガサも製作現場に出入りし、セットにいたベンジーに接触し、自分は精神分裂病で、両親が寝ているときに火をつけた時に火傷をしたと告白する。

それぞれの物語がとりとめもなく進んでいく。
目につくのは、スターと言われる人の傲慢さ。
もちろん、すべてではないだろうが、ここに出てくるベンジーもハヴァナも傲慢だし、自己中だし。
なにやら事情を抱えたアガサの危うい雰囲気もそこに彩りを添える。

これがクローネンバーグ作品の新しい傾向だろうか。
だとしたらちょっと残念な気がする。
奈落の底を覗き込むような独特の世界観が漂っていたクローネンバーグ監督も、作風変更ということなら魅力が薄れてしまう。
それにしてもミア・ワシコウスカの怪しい雰囲気が良かった一作である・・・


評価:★★☆☆☆



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2016年01月20日

市民ケーン

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原題: Citizen Kane
1941年 アメリカ
監督: オーソン・ウェルズ
出演: 
オーソン・ウェルズ:チャールズ・フォスター・ケーン
ジョゼフ・コットン:ジェデッドアイア・リーランド
ルース・ウォリック:エミリー・ノートン
ドロシー・カミンゴア:スーザン・アレクサンダー
アグネス・ムーアヘッド:ミセス・ケーン
ジョージ・クールリス:ウォルター・サッチャー
ウィリアム・アランド:トンプソン
エヴェレット・スローン:バーンスタイン
レイ・コリンズ:ジェームズ・W・ゲティス

<映画.com>
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オーソン・ウェルズが1941年に発表した処女作。脚本はハーマン・J・マンキーウィッツの協力を得たが、製作・脚本・監督・主演とオーソン・ウェルズのワンマン映画。撮影は「怒りの葡萄」のグレッグ・トーランド、音楽はニューヨーク・フィル、BBC交響楽団の指揮者として知られ「灰色の服を着た男」のバーナード・ハーマンが担当した。出演はオーソン・ウェルズのほかに、「第3の男」のジョセフ・コットン、「愛情の花咲く樹」のアグネス・ムーアヘッド、「女相続人」のレイ・コリンズなど。
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古い名画を観ようという一環で選んだのが、この映画。
タイトルはよく知っているが、内容についてはまったく知らなかった。
主演のオーソン・ウェルズが、なんと原作から監督・製作・脚本すべてを手掛けたという。

物語は荒廃した壮大な邸宅で始まる。
屋敷の主である新聞王ケーンが息を引き取る。
片手に雪景色の一軒家のあるガラス玉を握り、「バラのつぼみ」という最後の言葉を残す。
ニュース記者トムスンは、「バラのつぼみ」という言葉の真意を探ろうと、関係者を訪ね歩くことを決意する。

ケーンは幼少の頃、宿泊代のかたにとった金鉱の権利書から母親が思わぬ金持ちになる。
母親は財産の管理と教育のため、幼いケーンをたった一人で無理矢理ニューヨークに送る。
成長したケーンは新聞経営に乗り出す。
破産寸前のインクワイアラー紙を買いとり、友人の劇評家リーランドとバーンステインの協力を得てに立ち直らせる。
さらに強引な経営方針で遂にニューヨーク一の新聞に育てあげる。

友人の忠告には耳を貸さず、膨大な財産をバックに絶大な権力を築いていく。
大統領の姪エミリーと結婚し、さらに知事に立候補する。
ところが、圧勝を予想された知事選挙の前に、オペラ歌手スーザンとの情事を暴露され、民衆の支持を一気に失う。
この時代、まだアメリカでも貞操観念が強かったようである。

妻エミリーはケーンの下を去るが、スーザンと再婚したケーンは、スーザンのために巨大なオペラ劇場を建て、自分の新聞で大々的に売り出す。
ところが、才能のないスーザンにそれはかえって重圧となり、自殺未遂へと追いやってしまう。
遂にはスーザンもケーンの下を去り、そして広大な屋敷にはケーンが一人残ることになる・・・

映画は、ケーンの人生を追っていくのだが、とにかくケーンはワンマン。
取り巻きは多いものの、真の友人と呼べる者はなく、確かにお金は持っているのだろうが、とても同じ境遇に身を置きたいとは思えない。
そんなケーンの人生を見せられて何が面白いのかと思っていたら、最後にケーンが残した「バラのつぼみ」という言葉の意味がわかり、それがエンディングとともに深い味わいを残す。
なるほど、と納得。

どうしてとても尊敬などできかねる人物であるケーンの人生を追っていったのか。
最後の瞬間にすべて腑に落ちる。
そしてだからこそ、名画と評価されているのだとわかる。
月日を経てなお名画と称されるにはそれなりの理由があるわけで、それを再認識させられた形である。
大いに納得させられた一作である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 21:04 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ