2017年04月07日

神の一手

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原題: 신의 한 수
2014年 韓国
監督: チョ・ボムグ
出演: 
チョン・ウソン: テソク
イ・ボムス: サルス
アン・ソンギ: ジーザス
キム・イングォン: コンス
イ・シヨン: ペッコム
アン・ギルガン: ホ・モクス
チェ・ジニジョク: ソンス

<映画.com>
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「私の頭の中の消しゴム」「愛のタリオ」などの人気俳優チョン・ウソンが主演し、囲碁の世界を舞台に男の復讐劇を描いたサスペンスアクション。兄を助けるため賭け囲碁に手を出したプロ棋士テソク。しかし、賭けの元締めサルスの一団に騙されて兄を殺されてしまい、その殺人の罪も着せられてしまう。サルスへの復讐を誓うテソクは、獄中で囲碁の腕前と肉体を鍛え上げていく。そして数年後、出所したテソクは囲碁のプロたちと手を組み、兄のかたき討ちのため動き始める。「スーパースター☆カム・サヨン」など多数の映画に出演するイ・ボムスと韓国の国民的俳優アン・ソンギが共演。
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 囲碁の試合に負け、一人で歩いて帰るテソクの前に兄が現れる。頼みがあるとテソクを連れていく兄。着いたところは怪しげな人気のない事務所。なんとそこで兄はサルス率いるギャングと賭け碁をする。無線で待機しているテソクと連絡を取りながら碁を打つ兄。はっきり言っていかさま(代理打ちとでもいうべきか)であるが、サルスの方も同様にバックで元女流プロのペッコムが指示を出している。

 順調な展開だったが、途中で電波状況が悪くなり、兄は絶体絶命のピンチとなる。さらに無線がバレてテソクは兄ともども捕らえられてしまう。ギャング相手にいかさまがバレればタダでは済まない。兄はその場で碁石を飲まされた挙句、無残にも殺され、さらにその罪はテソクに着せられる。そしてテソクは刑務所に送られる。

 刑務所の中でもなぜか賭け碁が行われていて、そこでテソクは刑務所長と碁を打つギャングのボス(サルスとは別組織)と知り合う。ボスに成り代わって刑務所長を負かしたテソクは、ボスに気に入られる。兄の復讐を心に誓うテソクは、ボスに喧嘩を教えてほしいと頼む。それから刑務所での鍛錬の日々。さらに独房では隣の房にいる謎の人物から勝負を持ちかけられる。壁を叩いて碁を打つ2人。しかし、テソクはとうとう一度も勝てずに終わる。謎の人物は出所したら「ジーザス」と言う人物を探せとメッセージを残す。

 刑務所から出たテソクは、ボスに金を借り復讐の仲間集めに入る。兄が殺された時に組んでいたコンス。刑務所の謎の人物に紹介されたジーザス、その知人のモクス。4人は、兄の敵のギャングを一人一人追い詰めて葬っていく。最初の相手は、縛っておいて「デコピン」で目を潰すというなかなかエグイ手口。ギャングの賭場に金持ちを装って潜入し、捕らえたソンスとは、テソクは冷凍庫で互いに裸のまま碁の勝負をする。順調に復讐をこなしていくテソク。

 それにしても、映画は映画として韓国社会に碁ってどの程度広まっているのだろうかとふと思う。まぁこういう映画だからと言ってしまえばそれまでなのであるが、映画を観ている限りあちこちで日常的に、日本で言えばパチンコレベルで碁を打っているような感じである。そしてバックから打ち手の指示を出すのだが、その方法が漫画チックで面白い。

 囲碁の勝負と言いながら、最後は結局乱闘劇。刑務所でどれほどトレーニングを積んだのかはわからないが、テソクの無敵ぶりはなかなかのモノ。どうせなら碁石を使った必殺技でも披露してくれればより一層漫画チックで良かったかもしれない。まぁ韓国映画もいろいろあるなという感じである。
 ちょっと笑えてしまう映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年04月02日

サスペクト 哀しき容疑者

サスペクト 哀しき容疑者.jpg

原題: 용의자
2013年 韓国
監督: ウォン・シニョン
出演: 
コン・ユ:チ・ドンチョル
パク・ヒスン:ミン・セフン大佐
チョ・ソンハ:キム・ソッコ室長
ユ・ダイン:チェ・ギョンヒ記者
キム・ソンギュン:リ・グァンジョ
チョ・ジェユン:チョ大尉
ソン・ジェホ:パク・コノ会長
パク・チイル:ソン・サングン専務
キム・ウィソン:シン次長
ナム・ボラ:ドンチョルの妻

<シネマトゥデイ>
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リベンジを誓った追跡者にして、殺人容疑の掛かった逃亡者である北朝鮮特殊部隊の元エリート工作員を、『トガニ 幼き瞳の告発』などのコン・ユが演じるアクション。妻子を殺した犯人を捜すために脱北した主人公が殺人事件を目にしたことで、憎き敵を追跡しつつも、自らも容疑者として追跡されるさまをスリリングに描く。メガホンを取るのは、『セブンデイズ』などのウォン・シニョン。『依頼人』などのパク・ヒスン、『哀しき獣』などのチョ・ソンハなどが共演。肉弾戦やカーチェイスなど壮絶なアクションはもちろん、登場人物たちの思惑が絡み合うドラマも見応えがある。
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韓国映画は、「南北分断」という悲劇が映画の世界では功を奏していると言えるだろう。映画の題材としては、他にないものを提供してくれるからである。この映画もそんな南北モノである。主人公のチ・ドンチョルは脱北者。北支援組織のユン会長の支援申出に頑なに首を振り、運転代行をしながら貧しい暮らしを送っている。しかし、部屋には壁一面の地図。実はドンチョルは、妻子を殺した犯人を追っているのである。

そんなある日、ユン会長宅を訪れたドンチョルは、異変を感じてユン会長の部屋へと向かう。するとそこに何者かがいて、まさにユン会長を殺害しようとしているところであった。犯人ともみあいになったドンチョルは、鮮やかにこれを倒す。実はドンチョルは元北工作員。しかし、そんな彼を駆け付けた偽警官が襲う。死の間際の会長にメガネを託されたドンチョルは、その場を逃げおおせるも会長殺害の容疑をかけられてしまう。

一方、ユン会長を殺害したのはなんと国家保安部。指揮を執るのはソッコ室長。思いがけない難敵の登場にソッコ室長は、特殊部隊教官のミン大佐にドンチョル逮捕を命じる。ミン大佐は、かつてドンチョル一人に率いる部隊を翻弄され、教官に左遷されるという過去があり、自らの因縁の相手でもあるドンチョル逮捕に執念を燃やす。

こうして国家から追われるドンチョルであるが、追われながらも妻子を殺した男を追い、追いつ追われつの展開が全編にわたって展開される。そしてこれが実に迫力がある。ドンチョルはただの工作員ではなく、地獄のような訓練を生き抜いた腕利き。しかし、組織に捨てられ、拷問の挙句、絞首刑になるところを何と首一本で耐え、後ろ手に縛られたまま肩の関節を外してロープを掴んで逃れるという離れ業をやってのける。

ソッコ室長は、実は裏で武器の密売を仕切っており、保安部とは別に北進会という元工作員脱北者で組織する暗殺組織を動かしている。それをドンチョル退治に仕向けるのであるが、工作員同士の息詰まる死闘が展開される。ドンチョルも警官隊は手玉に取るが、さすがにプロ相手では苦戦を強いられる。

次から次へと襲い来る北進会とのバトルアクションに加え、迫力あるカーチェイスが展開される。観ていて飽きるどころか息をするのも忘れそうである。ミン大佐もソッコ室長とは確執があり、言いなりにはならない。腹心の部下がこれを支え、ストーリーはいろいろな角度から複雑に絡み合う。

映画としては、実に完成度が高い。これだから嫌いな韓国でも映画だけは認めざるを得ない。ちょっと前の映画であるが、今日まで気付かずにきたのに反省させられる。アクションといい、ストーリーといい、文句なく面白い映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2017年03月11日

レッド・フアミリー

レッド・フアミリー.jpg

原題: 붉은 가족
2013年 韓国
監督: イ・ジュヒョン
製作総指揮・脚本: キム・ギドク
出演: 
キム・ユミ:ベク・スンへ(妻/班長)
チョン・ウ:キム・ジェホン(夫)
ソン・ビョンホ:チョ・ミョンシク(祖父)
パク・ソヨン:オ・ミンジ(娘)
イ・ジェグ:影 隊長
キム・ビョンオク:金物屋の主人

<シネマトゥデイ>
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『アリラン』『嘆きのピエタ』などの鬼才キム・ギドクが、脚本、編集、エグゼクティブプロデューサーを務めた異色のドラマ。家族を装って韓国に潜入する北朝鮮の工作員たちが、次第に階級の壁を乗り越えて奇妙な絆で結ばれていくさまを追う。監督を務めるのは、本作が初の長編作となるイ・ジュヒョン。『人形霊』などのキム・ユミ、『大韓民国1%』などのソン・ビョンホら実力派俳優が共演。ハートウオーミングかつスリリングな物語の中に、南北分断の現状も垣間見える作品。
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仲睦まじい家族を装って、韓国国内で任務を遂行する4人の北朝鮮スパイたちを扱った物語ということで、ちょっと興味を惹かれた映画。テーマの設定自体、分断国家韓国ならではの映画である。

4人のメンバーはそれぞれ祖父、夫婦、娘であるが、リーダーは妻役のスンへ。このあたり男女平等の社会ゆえだろうかという感じがする。表面上は誰もが羨むような理想の家族を演じながら、巧みに軍事施設の写真を撮影したりしている。そして一歩家の中に入れば厳格な階級に従い行動している。

隣家に住むのは祖母と夫婦と息子の4人家族。ところが夫婦はことあるごとに喧嘩が絶えない。北朝鮮社会に比べれば普通の衣食住も十分贅沢であるが、慣れてしまえば不満は尽きない。そんなケンカの絶えない隣の家族を“資本主義の限界”と馬鹿にする4人。しかし、家族とは離れ離れの生活で、手紙すらも中身を読まれる窮屈な生活。そして偽装のためには隣家との付き合いも必要で、娘役のミンジは隣家の息子がいじめられているのを助けたり、誕生パーティーに行き来したりしている。

祖父のミョンシクは隠れて病院に通っているが、脱北者の暗殺指令に対しては、不慣れなジェンホに代わってミッションを完遂する。そんな折、リーダーであるスンヘは、ジェンホの妻が脱北に失敗したことを知る。そのままでは処刑は免れず、手柄を立てれば助けられると独断で作戦を実施する。しかし、殺害した人物は二重スパイであり、逆に大失態となってしまう・・・

実際に北朝鮮のスパイは韓国内に潜入しているのだろうかと想像してみるに、昨今の金正男暗殺事件などを見てみると、いたずらな想像とは言い難い。韓国内どころか我が国にもいるのだろうと想像しながら見入る。メンバーはみな筋金入りにプロ。暗殺もさることながら、隣家にガラの悪い借金取りが来た時には、さり気なくこれを撃退したりする腕前を持っている。

そんなスパイたちであるが、ある事件が起こって運命の歯車が狂っていく。自分がその立場に置かれたらどうなんだろうと想像してみる。任務は絶対で、故郷には家族がいる。実質的な人質なわけで、4人はみな故郷の家族に思いを馳せ、目の前の任務に携わっている。リーダーのスンヘは、厳格なリーダーシップを発揮しているものの、自ら範を垂れようとした暗殺計画では、赤ん坊を殺せずミンジになじられてしまう。

たとえ人として残酷なミッションであろうと、拒否すれば家族がどうなるかわからず、心を鬼にするしかない。祖国に比べればはるかに豊かな西側諸国の生活を目の当たりにすれば、祖国に対する疑問も生じるかもしれない。しかし、家族が人質であればどうにもならない。金正男暗殺事件に関与したグループにもそんな事情があるかもしれないなどと思ってみたりする。

次第に追い詰められていく4人。人としてのあり方とミッションとの間で苦悩する。最後は何ともやりきれないものがあった。まったく架空のおとぎ話であれば救いだが、リアリティがあるだけに、かの国に生まれなくて、そして日本に生まれて本当に良かったと心底思う。
これもまた韓国映画の奥深さを感じさせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年03月05日

殺人の輪廻

殺人の輪廻 .jpg

原題: 비밀
2015年 韓国
監督: パク・ウンギョン/イ・ドンハ
出演: 
ソン・ドンイル: イ・サンウォン刑事
キム・ユジョン: ジョンヒョン(キジョン)
ソン・ホジュン: ナム・チョルン
イム・ヒョンジュ:シン・ジチョル
ナム・イル: カン・ユシンの父
ソ・イェジ:カン・ユシンの母
イェジ・セオ: カン・ユシン
チン・ギョン:キジョンの母

<シネマトゥデイ>
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『ビッグマッチ』などのソン・ホジュン、『探偵なふたり』などのベテラン俳優ソン・ドンイルが共演したサスペンスドラマ。10年前の婦女暴行殺害事件を軸に被害者の元婚約者、犯人の娘と彼女を育てる刑事に待ち受ける運命を活写する。そのほか、『チェイサー』などのキム・ユジョンらが出演。登場人物たちの思惑が複雑に交錯する衝撃の展開に言葉を失う。
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キジョンは母と2人で暮らしている。キジョンの6歳の誕生日に父親シン・ジチョルが訪ねてくる。しかし、母親はすげなく追い返す。腹を立てたジチョルはタクシーの運転手をしており、客に怒りをぶちまけるが、それでオムツ代を稼ぐために犯罪を犯し、5年間刑務所に服役していたという事情がわかる。刑務所に離婚届が送られてきたのも無理はないかもしれない。そしてそんな不満をぶちまけられた客もたまったものではなく、ある若い女の客は金を投げて車を降りてしまう・・・

一方、結婚を間近に控えたナム・チョルンと、その恋人カン・ユシンは婚約指輪をはめ、近々挙式も行なわれる予定で、幸福の絶頂期にある。ところがチョルンのちょっとした態度にユシンは不満で、新居に絵を飾った後の車中で喧嘩になってしまう。ユシンは車を降りてしまい、チョルンもそのまま走り去ってしまう。その流れを見ていると、たぶん自分も同じ行動を取ったと思う。ところが、あたりは民家のない地域。やがて日も暮れるが、不安になったユシンの前に一台のタクシーが止まる。

そのタクシーこそジチョルの運転するもので、やけになっていたジチョルはユシンを縛って監禁する。そしてユシンが縄を解いて逃げようとすると、追いかけたジチョルはユシンを殴打し殺してしまう。ジチョルの犯行であることはあっさりと判明し、イ・サンウォン刑事が元妻の自宅を張り込む。そしてジチョルともみ合いになる中、落とした拳銃を幼いキジョンが拾い上げる・・・

 ジチョルを逮捕する中、元妻は撃たれて死亡する。父ジチョルは逮捕され、母は死んでしまい身寄りのないキジョンを何とサンウォンが引き取る。そして10年が過ぎる。殺人犯の子という宿命を背負ったキジョン。高校生になった彼女の前に担任として現れたのは、最愛の恋人を失ったチョルン。「殺人犯の子」と対峙したチョルン。何となく我が子を殺した男の子供を育てた物語である『氷点』と似通ったところがなくもない。しかしながら、一緒に議論するにはかなり無理がある。

 成長したキジョンは自分が殺人犯の子であることを知る。そして恋人を失ったチョルンは、キジョンの顔に憎き犯人の面影を見る。それで殺意を抱くストーリーはちょっと感情移入しにくい。キリスト教の原罪というものを芯から理解させてくれた『氷点』とは比べるべくもない。この感情移入のし難さが、この映画の最大の欠点であろう。韓国映画と言っても、みんな良いとは限らない。予告では面白そうであったが、この映画は残念な結果であった。

 無理無理のストーリーに萎えてしまった映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年02月10日

海にかかる霧

海にかかる霧.jpg

原題: 해무
2014年 韓国
監督: シム・ソンボ
出演: 
キム・ユンソク: カン・チョルジュ
パク・ユチョン: ドンシク
ムン・ソングン: ワノ
キム・サンホ: ホヨン
イ・ヒジュン: チャンウク
ユ・スンモク: ギョング
ハン・イェリ: ホンメ
チョン・インギ:朝鮮族 教師
ユン・ジェムン:海洋警察 監視長

<シネマトゥデイ>
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『殺人の追憶』の脚本を担当したシム・ソンボが初監督を務め、韓国の人気男性グループJYJのパク・ユチョンらが出演を果たしたサスペンス。2001年に発生した「テチャン号事件」を基にした舞台「海霧(ヘム)」を映画化し、中国人密航に端を発するドラマを描写する。脚本と製作を務めるのは、『母なる証明』、『スノーピアサー』などのポン・ジュノ。荒々しい海上で船の上に取り残された人々を襲う予想外の事態に言葉を失う。
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冒頭、1998年とテロップが出る。ということは実話なのかと思うも、「実話をベースにした」物語ということらしい。舞台となるのは、漁船チョンジン号。カン船長は、かつては豊漁で羽振りも良かったが、近年不漁に苦しんでいる。しかも老朽化から故障した船の修理代も出せずにいる。知り合いからは、廃船にして補償金をもらえと言われる始末。銀行も融資には応じてくれず、金策に悩んだ末、中国から朝鮮族の密航を引き受けることにする。

6人の船員たちは、この仕事を躊躇するが、誰も船の実情を知っておりこれに従う。そして決行の夜、約束の座標に辿り着いたチョンジン号の前に、密航者たちを乗せた中国船が現れる。荒れ狂う雷雨の中、中国船からチョンジン号へ次々に密航者たちが飛び移ってくる。その中の1人、ホンメは海に転落するが、新米乗組員のドンシクがこれを助ける。

甲板でびしょ濡れになっている密航者たちを船員たちは暖かく迎える。カップラーメンを配り食べるように勧めるが、密航者の一人がこれはトイレだろうと詰め寄る。普通、密航者たちは狭い船倉に押し込められ、トイレもままならない状態に晒されている様子がわかる言動である。純情なドンシクは、助けたホンメを密かに暖かい機関室に連れて行く。

密航者を乗せたチョンジン号に、やがて監視船が接近してくる。カン船長は密航者たちを魚艙に隠す。監視船から乗り込んできた旧知の仲のキム係長をなんとかやり過ごしたカン船長だが、監視船が去ったあと、魚艙を開けると密航者たちは1人残らず死んでいた。冷凍機の故障でガスが漏れたことが原因であった・・・

ここからすべての歯車が大きく狂っていく。カン船長は、密航者の遺体を甲板にあげるとこれを「バラして」処分するよう指示。機関長のワノは、家族のために出稼ぎにきた密航者の言葉を思い出し、精神が崩壊していく。あたりには濃霧が立ち込める。船員たちの「作業」をただ1人、ドンシクによって機関室に匿われていたホンメが目撃する・・・

はじめはカン船長の下、仲良く団結していた船員たちだが、事件を機にバラバラになっていく。人間の醜い部分だけが露わにされたような感じである。こういうドロドロ劇になると、韓国映画の持つ暗さが生きてくる。実に迫力に満ちているのである。最後は阿鼻叫喚の様相を呈する船内。もうなんとも言えない。

密航者に同情するあまり精神に異常をきたしてしまう機関ワノ、女とやりたくて狂ったように発情するチャンウクとギョング、船長も船を守ろうとする行動は常軌を逸し、一気に船内に狂気が溢れる。その渦に翻弄されるドンシクとホンメ。この展開は韓国映画ならでは、である。
韓国映画の狂気が見事に際立つ一作である・・・


評価:★★★☆☆




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