2018年01月02日

【トンネル 闇に鎖された男】My Cinema File 1847

トンネル 闇に鎖された男.jpg

原題: 터널(Tunnel)
2016年 韓国
監督: キム・ソンフン
出演: 
ハ・ジョンウ:イ・ジョンス
ペ・ドゥナ:セヒョン
オ・ダルス:キム・デギョン

<映画.com>
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崩落したトンネルの中にひとり閉じ込められた男と、男の救助をめぐって奮闘する人々の姿を描き、韓国で700万人を超える動員を記録したヒット作。主人公ジョンス役を『チェイサー』「お嬢さん」など数々の話題作に出演する演技派ハ・ジョンウが務め、「空気人形」『クラウド アトラス』など日本やハリウッドでも活躍する女優ペ・ドゥナが、ジョンスの妻セヒョン役で共演した。自動車ディーラーとして働くジョンスは、大きな契約に成功して意気揚々と妻と娘の待つ家へ車を走らせていた途中、通りかかったトンネルが突然崩れ落ち、生き埋めになってしまう。かろうじて一命は取り留めたが、手元にあるのはバッテリー残量78%の携帯電話と水のペットボトル2本、そして娘にあげるはずだった誕生日ケーキだけ。崩落事故はすぐに全国ニュースとなり、救助活動も開始されるが、現場の惨状は救助隊の想像を超えるもので作業は難航し……。
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 主人公のイ・ジョンスは、自動車販売代理店に勤める38歳の男性。営業の仕事を終えての帰り道、完成したばかりの『ハド・トンネル』を通過中、突如トンネルが崩落。かろうじて原形をとどめている車内で意識を取り戻したジョンスは、事態を掌握して愕然とする。手元にあるのは携帯電話と娘の誕生日に買ったケーキと水のペットボトル2本。そのペットボトルは、途中で寄ったガソリンスタンドで、給油量を間違われたお詫びに受け取ったものであった。

 すぐに持っていたスマートフォンで緊急通報し、天井崩落の事故を告げる。トンネルの崩落事故はすぐにマスコミの知るところとなり、ニュース速報が流れる。それを見ていたジョンスの妻セヒョンは、夫が惨事に巻き込まれたことを知る。一方、トンネル内にいるジョンスには、電話がかかってくる。掛けてきたのはマスコミ。通話の生放送はニューズバリューがある。そして、それを知った救助チームの隊長キム・デギョンは、バッテリー切れを危惧してマスコミに猛抗議する。携帯電話は、救助のための必要不可欠の連絡手段だからである。

 この映画では、マスコミの報道姿勢の酷さが目につく。トンネル内に閉じ込められたジョンスの救出劇というストーリーの側面に、ハイエナの如く群がるマスコミの姿が描かれる。一方、救助隊のキム隊長は、ジョンスに携帯の電池を長持ちさせる方法を説き、食べ物と飲み物を持たせる方法を伝える。その時点で想定していた救助までの時間は7日間。ジョンスは目についた送風機の情報を伝え、これによってジョンスの居場所が特定されることになる。

 開通したばかりのトンネルの崩落など、日本では考えられないが、何かと手抜き工事の多い韓国では珍しくもないのであろう。南北分裂といい、韓国には日本にはない映画の題材に事欠かない。やがて時間をかけて掘った救助用のトンネルが、ジョンスが閉じ込められているであろう送風機のところに届くも様子がおかしい。改めて調べてみれば、設計図はでたらめと判明する。キム隊長もジョンスも現場で救助隊を手伝う妻のセヒョンも絶望的な気分になる。

 さらに政治家はマスコミの前で救助の陣頭指揮をとるPRに余念がない。また、救助のためストップしている別のトンネル工事再開を目論む業者がいる。救助隊がトンネル内の様子を探るため偵察用のドローンを飛ばすが、その後ろに大量のマスコミドローンが続く様は滑稽さと恐ろしさを感じさせる。政治家もマスコミも事業者もジョンスの救助は自らの利益の前には二の次。救助隊だけがジョンスの救出に心を砕いている。演出といえばそれまでであるが、実際にそうであろうことは多分間違いなく、腹立たしさが募る。

 あまりのリアリティにこれは実話なのだろうかという疑問が脳裏をよぎる。調べてみたがよくわからない。しかし、韓国ならありがちなゆえにそれが映画の説得力につながっているのは間違いない。つくづく、韓国に生まれなくてよかったと思わされる。1人生き残るために気力を保つジョンスと救助のために奮闘するキム隊長。互いに声だけの繋がりながら、感情移入していく様は『ダイハード』の黒人警官パウエルとジョン・マックレーンのようであった。救助待つ献身的な妻セヒョンとの3人の姿が、この映画の救いとなっている。

 韓国に行きたいとは思わないが、行かざるを得なくなった時、トンネルは通りたくないとつくづく思う。いや、トンネルに止まらず、フェリーには乗りたくないし、橋は通りたくないし百貨店には行きたくない。やっぱり死んでも韓国には行きたくないと改めて思わされる。韓国は映画だけで十分だとつくづく思う映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年10月06日

【チング 永遠の絆】

チング 永遠の絆.jpg

原題: 친구 2/Chingu 2
2013年 韓国
監督: クァク・キョンテク
出演: 
ユ・オソン:イ・ジュンソク
キム・ウビン:チェ・ソンフン
チュ・ジンモ:イ・チョルジュ
チョン・ホビン:ウンギ
チャン・ヨンナム:ヘジ
キ・ジュボン:ヒョンドゥ

<シネマトゥデイ>
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2001年の韓国映画『友へ チング』の17年後を舞台に、裏社会で生きる3世代にわたる男たちの過酷な運命を描いたノワールアクション。親友を殺した罪で服役していた主人公が出所後に巻き込まれる抗争や弟分との絆と共に、前作でなぜ親友が亡くなったのかが明らかになる。監督のクァク・キョンテクと主人公のヤクザを演じるユ・オソンは前作より続投し、キム・ウビンやチュ・ジンモらが共演する。裏社会の男たちの切ない生きざまと、ハードなアクションが見どころ。
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物語は裁判とともに始まる。この映画は、2001年に公開された映画『友へ チング』の続編だというが、どうやら冒頭の裁判は前作を受けてのものらしい。親友だったドンスの殺害を指示したと認めたヤクザのジュンソクは刑務所に服役している。一方、少年時代から母に暴力を振るう義理の父親に対する憎しみから暴力的に育ったソンフンは、ついにその父親を半殺しにして刑務所に収監される。

刑務所での危険を心配した母親はジュンソクを訪ね、ソンフンがドンスの息子であることを告げ彼を守るように頼む。ジュンソクはソンフンの面倒を見て、出所後にはそばに置くことにする。故郷の釜山に舞い戻ったジュンソクだが、長い不在期間に組織はかつての弟分のウンギが副会長になっていることがわかる。さらにウンギは兄貴分だったジュンソクに海外へ息抜きに行くように進める始末。年老いた会長も引退を迫られる有様で、組織はすっかりウンギに牛耳られていることを知る。

これを問題視したジュンソクは、ウンギの手から組織を取り戻す決意をする。死を前にした会長から軍資金を授かると、ソンフンを使って仲間を募り反撃の狼煙を上げる。警察にも裏金を渡し、死者を出さないという約束で抗争に目を瞑るように根回しをする。そうしてウンギが目を掛ける幹部を襲撃していく。

合間に語られるのは、ジュンソクの父がかつて日本のヤクザと抗争しながらも釜山を勢力圏下に収め、今の組織を作ったこと。独立から朝鮮戦争を経て、激動の時代の余韻が残る韓国。命を張った中で、勢力を築き上げた父。親子二代の物語は、『ゴッドファーザーPARTII』を彷彿とさせるが、父については扱いも短く、『ゴッドファーザーPARTII』の迫力には及ばない。

続編とはいうものの、前作を観ていなくてもそれほど違和感はない。これはこれで1つの完結した作品として観ることができる。それよりもこうしたヤクザ同士の抗争ものとなると、ある程度の迫力は必要になるところである。『アウトレイジ』がそのいい見本なのだが、この映画にはそこまでの迫力がない。韓国映画にしては珍しいことではないかと思う。

前作については、随分と高評価なのであるが、続編となる本作はそれほどでもない。こうなると前作も観てみたいという気になってくる。いずれそのうちにとは思うが、この映画については「そこそこ」という評価にとどめたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆



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2017年09月18日

【鰻の男】

鰻の男.jpg

原題: Made in China
2014年 韓国
監督: キム・ドンフ
製作総指揮・脚本:キム・ギドク
出演: 
パク・ギウン: チェン
ハン・チェア: ミ
イム・ファヨン

<シネマトゥデイ>
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『嘆きのピエタ』など次々に問題作を放ち続けてきたキム・ギドクが脚本と製作総指揮を務め、中国産ウナギを題材に韓国社会の抱える闇をあぶり出す社会派ドラマ。品質検査で韓国への輸出が禁止されてしまった中国産ウナギの安全性を証明するため、韓国に密入国した男を待ち受ける運命を描く。メガホンを取るのは、『レッド・ファミリー』のプロデューサーのキム・ドンフ。『シークレット・ミッション』などの俳優パク・ギウンが主演を務める。
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冒頭、海上を進む怪しげな船。それは中国から韓国へ違法入国を図ろうとする者たちを乗せた船。長い期間ろくな食べ物も与えられない劣悪な環境で、さらにその中の男が唯一の女性を暴行しようとする。それを止めに入ったのは、主人公のチェン。韓国へ違法入国しようとする目的は皆金を稼ぐことだが、チェンの目的は鰻の検査。父が経営する養殖場から出荷した鰻に水銀が含まれていることが判明し、養殖場は打撃を受け父も倒れてしまったという。その汚名をそそぐため、韓国へ行こうとしているのある。

中国から船での韓国への違法入国は、『哀しき獣』『海にかかる霧』でも描かれており、日本ではなかなかわからない問題ではあるが、こうして映画で描かれるということは、現実にはかなり多いのだろうと推察される。映画は世相を映す鏡でもある。

チェンと行動をともにしていた男は、韓国へ出稼ぎに出た妻が男を作って逃げてしまったという。その復讐のために韓国へ行こうとしている。これもまさに『哀しき獣』と同じである。しかし、国境での入国に失敗し男は射殺されてしまう。死の間際、男はチェンに復讐を委託し銃を託す。

言葉の通じない韓国で、チェンは辞書を片手に水産試験場へ鰻を持ち込む。しかし、そこでは相手にされず門前払い。何日も門前で粘るが、警察官がやってきたりアクシデントがあったりして、持ってきた3匹の鰻のうち2匹が死んでしまう。そんな中、検査官のミに狙いを定めたチェンは、銃をチラつかせながらも必死の訴えでついに検査にこぎつける。しかし、結果は残酷なクロ判定。検査結果は非情にも高い水銀の値を示す。

並行して描かれるのは、中国製品に対する韓国人の拒絶反応。(日本でもそうだが)ちょっとお金に余裕のある人たちは、徹底して「メイド・イン・チャイナ」を毛嫌いする。その現実にショックを受けるチェン。しかし、なぜかミには受け入れられ、いつの間にか男女の関係となり一緒に暮らし始める。

このミであるが、経緯は定かではないが、食品検査でクロとなり廃棄処分となるはずの鰻の横流しに加担している。何のことはない、毛嫌いして避けているはずの中国産の汚染鰻をそれと知らずに庶民は飲食店で食べさせられている訳である。この廃棄処分品の横流しは、日本でもCoCo壱番屋のカツの流出事件と同じであるが、いずこでも悪い奴は同じようなことをして儲けようとしているということであろう。

悪いのは汚染食品を作る側か、それともそれと知りつつ流通させる側か。チェンの養殖場はどうやら真面目にやっていたようであるが、近くの工場から垂れ流された廃液で、鰻が汚染されてしまったということらしい。鰻ばかりでなく、汚染はチェン自身の体にも及んでいる。チェンの実家は真面目に鰻の養殖をしているようであるが、近くの工場がそれを無茶苦茶にしているわけである。

この映画は、@中国の環境汚染A廃棄食品の横流しB中国から韓国への違法入国等の問題を絡み合わせて描いている。なかなかどうしてストーリーだけではない奥深さを秘めている。そこにあるのは、我が身のみを顧みて他人を顧みない姿にほかならない。「中国だから」、「韓国だから」と決して言い切れないところが怖いところでもある。

中国人チェンと韓国人ミの言葉の通じない同士の不思議な関係。なんでいきなり氏素性もわからない言葉もわからない男を受け入れたのかと思うが、そこにはミの贖罪意識もあったのかもしれない。深い問題を孕みつつ進んでいくストーリー。「お隣の国の問題」で終わらせたいと思う映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年04月07日

神の一手

神の一手.jpg

原題: 신의 한 수
2014年 韓国
監督: チョ・ボムグ
出演: 
チョン・ウソン: テソク
イ・ボムス: サルス
アン・ソンギ: ジーザス
キム・イングォン: コンス
イ・シヨン: ペッコム
アン・ギルガン: ホ・モクス
チェ・ジニジョク: ソンス

<映画.com>
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「私の頭の中の消しゴム」「愛のタリオ」などの人気俳優チョン・ウソンが主演し、囲碁の世界を舞台に男の復讐劇を描いたサスペンスアクション。兄を助けるため賭け囲碁に手を出したプロ棋士テソク。しかし、賭けの元締めサルスの一団に騙されて兄を殺されてしまい、その殺人の罪も着せられてしまう。サルスへの復讐を誓うテソクは、獄中で囲碁の腕前と肉体を鍛え上げていく。そして数年後、出所したテソクは囲碁のプロたちと手を組み、兄のかたき討ちのため動き始める。「スーパースター☆カム・サヨン」など多数の映画に出演するイ・ボムスと韓国の国民的俳優アン・ソンギが共演。
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 囲碁の試合に負け、一人で歩いて帰るテソクの前に兄が現れる。頼みがあるとテソクを連れていく兄。着いたところは怪しげな人気のない事務所。なんとそこで兄はサルス率いるギャングと賭け碁をする。無線で待機しているテソクと連絡を取りながら碁を打つ兄。はっきり言っていかさま(代理打ちとでもいうべきか)であるが、サルスの方も同様にバックで元女流プロのペッコムが指示を出している。

 順調な展開だったが、途中で電波状況が悪くなり、兄は絶体絶命のピンチとなる。さらに無線がバレてテソクは兄ともども捕らえられてしまう。ギャング相手にいかさまがバレればタダでは済まない。兄はその場で碁石を飲まされた挙句、無残にも殺され、さらにその罪はテソクに着せられる。そしてテソクは刑務所に送られる。

 刑務所の中でもなぜか賭け碁が行われていて、そこでテソクは刑務所長と碁を打つギャングのボス(サルスとは別組織)と知り合う。ボスに成り代わって刑務所長を負かしたテソクは、ボスに気に入られる。兄の復讐を心に誓うテソクは、ボスに喧嘩を教えてほしいと頼む。それから刑務所での鍛錬の日々。さらに独房では隣の房にいる謎の人物から勝負を持ちかけられる。壁を叩いて碁を打つ2人。しかし、テソクはとうとう一度も勝てずに終わる。謎の人物は出所したら「ジーザス」と言う人物を探せとメッセージを残す。

 刑務所から出たテソクは、ボスに金を借り復讐の仲間集めに入る。兄が殺された時に組んでいたコンス。刑務所の謎の人物に紹介されたジーザス、その知人のモクス。4人は、兄の敵のギャングを一人一人追い詰めて葬っていく。最初の相手は、縛っておいて「デコピン」で目を潰すというなかなかエグイ手口。ギャングの賭場に金持ちを装って潜入し、捕らえたソンスとは、テソクは冷凍庫で互いに裸のまま碁の勝負をする。順調に復讐をこなしていくテソク。

 それにしても、映画は映画として韓国社会に碁ってどの程度広まっているのだろうかとふと思う。まぁこういう映画だからと言ってしまえばそれまでなのであるが、映画を観ている限りあちこちで日常的に、日本で言えばパチンコレベルで碁を打っているような感じである。そしてバックから打ち手の指示を出すのだが、その方法が漫画チックで面白い。

 囲碁の勝負と言いながら、最後は結局乱闘劇。刑務所でどれほどトレーニングを積んだのかはわからないが、テソクの無敵ぶりはなかなかのモノ。どうせなら碁石を使った必殺技でも披露してくれればより一層漫画チックで良かったかもしれない。まぁ韓国映画もいろいろあるなという感じである。
 ちょっと笑えてしまう映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年04月02日

サスペクト 哀しき容疑者

サスペクト 哀しき容疑者.jpg

原題: 용의자
2013年 韓国
監督: ウォン・シニョン
出演: 
コン・ユ:チ・ドンチョル
パク・ヒスン:ミン・セフン大佐
チョ・ソンハ:キム・ソッコ室長
ユ・ダイン:チェ・ギョンヒ記者
キム・ソンギュン:リ・グァンジョ
チョ・ジェユン:チョ大尉
ソン・ジェホ:パク・コノ会長
パク・チイル:ソン・サングン専務
キム・ウィソン:シン次長
ナム・ボラ:ドンチョルの妻

<シネマトゥデイ>
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リベンジを誓った追跡者にして、殺人容疑の掛かった逃亡者である北朝鮮特殊部隊の元エリート工作員を、『トガニ 幼き瞳の告発』などのコン・ユが演じるアクション。妻子を殺した犯人を捜すために脱北した主人公が殺人事件を目にしたことで、憎き敵を追跡しつつも、自らも容疑者として追跡されるさまをスリリングに描く。メガホンを取るのは、『セブンデイズ』などのウォン・シニョン。『依頼人』などのパク・ヒスン、『哀しき獣』などのチョ・ソンハなどが共演。肉弾戦やカーチェイスなど壮絶なアクションはもちろん、登場人物たちの思惑が絡み合うドラマも見応えがある。
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韓国映画は、「南北分断」という悲劇が映画の世界では功を奏していると言えるだろう。映画の題材としては、他にないものを提供してくれるからである。この映画もそんな南北モノである。主人公のチ・ドンチョルは脱北者。北支援組織のユン会長の支援申出に頑なに首を振り、運転代行をしながら貧しい暮らしを送っている。しかし、部屋には壁一面の地図。実はドンチョルは、妻子を殺した犯人を追っているのである。

そんなある日、ユン会長宅を訪れたドンチョルは、異変を感じてユン会長の部屋へと向かう。するとそこに何者かがいて、まさにユン会長を殺害しようとしているところであった。犯人ともみあいになったドンチョルは、鮮やかにこれを倒す。実はドンチョルは元北工作員。しかし、そんな彼を駆け付けた偽警官が襲う。死の間際の会長にメガネを託されたドンチョルは、その場を逃げおおせるも会長殺害の容疑をかけられてしまう。

一方、ユン会長を殺害したのはなんと国家保安部。指揮を執るのはソッコ室長。思いがけない難敵の登場にソッコ室長は、特殊部隊教官のミン大佐にドンチョル逮捕を命じる。ミン大佐は、かつてドンチョル一人に率いる部隊を翻弄され、教官に左遷されるという過去があり、自らの因縁の相手でもあるドンチョル逮捕に執念を燃やす。

こうして国家から追われるドンチョルであるが、追われながらも妻子を殺した男を追い、追いつ追われつの展開が全編にわたって展開される。そしてこれが実に迫力がある。ドンチョルはただの工作員ではなく、地獄のような訓練を生き抜いた腕利き。しかし、組織に捨てられ、拷問の挙句、絞首刑になるところを何と首一本で耐え、後ろ手に縛られたまま肩の関節を外してロープを掴んで逃れるという離れ業をやってのける。

ソッコ室長は、実は裏で武器の密売を仕切っており、保安部とは別に北進会という元工作員脱北者で組織する暗殺組織を動かしている。それをドンチョル退治に仕向けるのであるが、工作員同士の息詰まる死闘が展開される。ドンチョルも警官隊は手玉に取るが、さすがにプロ相手では苦戦を強いられる。

次から次へと襲い来る北進会とのバトルアクションに加え、迫力あるカーチェイスが展開される。観ていて飽きるどころか息をするのも忘れそうである。ミン大佐もソッコ室長とは確執があり、言いなりにはならない。腹心の部下がこれを支え、ストーリーはいろいろな角度から複雑に絡み合う。

映画としては、実に完成度が高い。これだから嫌いな韓国でも映画だけは認めざるを得ない。ちょっと前の映画であるが、今日まで気付かずにきたのに反省させられる。アクションといい、ストーリーといい、文句なく面白い映画である・・・


評価:★★★☆☆






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