2025年03月01日

【犯罪都市 THE ROUNDUP】My Cinema File 2976

犯罪都市 THE ROUNDUP.jpg

原題: The Roundup
2022年 韓国
監督: イ・サンヨン
出演: 
マ・ドンソク:マ・ソクト
ソン・ソック:カン・ヘサン
チェ・グィファ:チョン・イルマン
パク・ジファン:チャン・イス
ホ・ドンウォン:オ・ドンギュン
ハジュン:カン・ホンソク
チョン・ジェグァン:キム・サンフン

<シネマトゥデイ>
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マ・ドンソク主演『犯罪都市』の続編で、韓国とベトナムを行き来しながら容疑者らを追い詰めていく刑事たちの死闘を描くクライムアクション。韓国の強行犯係の腕利き刑事たちが、凶悪犯を追い詰める。監督を手掛けるのはイ・サンヨン。マ・ドンソクが主人公を演じ、『恋愛の抜けたロマンス 』などのソン・ソックをはじめ、前作でもマ・ドンソクと組んだチェ・グィファ、パク・ジファンらが出演している。
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プロレスラー並みの肉体で犯罪者たちをちぎっては投げの活躍を見せたマ・ソクト刑事のシリーズ第2弾。冒頭、スーパーで刃物を振り回し、人質を取って立て籠もる事件が発生する。遠巻きに取り巻くだけの警察官たちを横目に、ずかずかと店に入っていき、あっという間に犯人を取り押さえる。冒頭のご挨拶としてはよくあるパターンであるが、内容に期待させてくれる。ところが、マスコミはこの活躍を警察権力の過剰行使として面白おかしく書きたてる。

頭を抱えたのは上司。しばらくマ刑事をマスコミの眼から離そうと、折からベトナムで身柄を拘束されたユ・ジョンフン容疑者の身柄引き取りの任務を与える事にする。チョン・イルマン警部とともにホーチミン市へと向かう2人。さっそく韓国領事館でジョンフンを尋問する。わざわざ自首してきた理由が怪しい。そこで強引に自白させる。その証言を元に隠れ家にやってきたマとチョンであるが、到着した時にはジョンフンの仲間は殺されている。

まだ隠している事があると、再びジョンフンを尋問にかけるマ刑事。すると仲間が殺されていたとわかり、とうとうジョンフンは金で誘拐や殺害など何でもするというカン・ヘサンと組んでいたことを話し出す。ジョンフンと仲間は、カンとともに韓国人の青年を誘拐し、身代金を要求していたが、誘拐したチェ・ヨンギという青年をカンはあっさり殺してしまう。その残忍さに怯えたジョンフンと仲間は、言われるがまま遺体を埋めさせられたと自白する。

マ刑事は自白に基づいてジョンフンに聞いた場所を掘り返し遺体を発見する。しかも遺体は1つではない。同じような誘拐殺人を繰り返していた事がわかる。しかし、地元のベトナム警察は外国人が勝手に捜査をしていた事を問題視し、中止を命じる。そうは言っても被害者はみな韓国人であり、マ刑事はイルマンと共に密かに、しかしマ刑事らしく強引な手口で調べを進める。

一方、身代金を払ったのに息子を殺害されたチェの父親チェ・チュンベクは、韓国内では金融業で財を成した成功者。金にモノを言わせ、復讐のためにカンを殺すためにヒットマンを雇ってベトナムに送り込む。ヒットマンは確実にカンの足取りを掴んでアジトにやって来る。ところがカンもさる者。残忍なだけでなく、腕もいい。ヒットマンたちを次々に返り討ちにし、逆に依頼主がチュンベクだという事を知る。そこにマ刑事が現れるが、カンには逃げられてしまう。

今回のマ刑事の相手は残忍な殺し屋のカン。カンは自らにヒットマンを送ったチュンベクを殺しに韓国に密航する。舞台を韓国からベトナム、そして再び韓国に移し物語は続いていく。チュンベクもボディーガードに守られているが、カンはそんなものをものともせず、白昼堂々チュンベクを拉致する。そして家族にまたもや身代金を要求する。肉体を揺さぶって活躍するマ刑事。残忍なカンと最後に対峙する。

刑事ドラマはいろいろあるが、ごっつい体のマ刑事がその肉体を武器に犯人を叩きのめして逮捕する。アクション派の刑事ものはめずらしくないが、ごっつい肉体アクションは珍しいと思う。しかし、このアクションが実に心地よい。それにしても主演のマ・ドンソクであるが、少し前の『アンダードッグ/二人の男』(My Cinema File 2419)のあたりでは普通の体であったが、短い期間にパンプアップしたようである。以前よりも確実に今の体型の方がアクション・スターとしてウケるように思う。

今後もシリーズとして続いていくのかどうかわからないが、続くとしたら迷わず観続けたいと思わせてくれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年02月20日

【あなたの顔の前に】My Cinema File 2971

あなたの顔の前に.jpg

原題: 당신 얼굴 앞에서/In Front of Your Face
2021年 韓国
監督: ホン・サンス
出演: 
イ・ヘヨン:サンオク
チョ・ユニ:ジョンオク
クォン・ヘヒョ:ソン・ジェウォン
キム・セビョク:店の主人

<映画.com>
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韓国の名匠ホン・サンスがベテラン女優イ・ヘヨンを主演に迎え、ひとりの中年女性の心の旅を描いたヒューマンドラマ。長い間アメリカで暮らしていた元女優のサンオクは、突然韓国に帰国し、妹ジョンオクのもとを訪れる。母を亡くして以来ずっと疎遠になっていた家族と再会するサンオクだったが、帰国の理由を明かそうとせず、その内面には深い葛藤が渦巻いていた。思い出の地を巡り、捨て去った過去と向き合いながら、心の拠りどころを見いだしていくサンオクの1日の出来事を描き出す。共演は『技術者たち』のチョ・ユニ、「夜の浜辺でひとり」のクォン・ヘヒョ、『はちどり』のキム・セビョク。ホン監督の公私にわたるパートナーである女優キム・ミニがプロダクションマネージャーを務めた。
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高層マンションの一室。サンオクは、ベッドで眠る妹のジョンオクを静かに見つめているところからドラマは始まる。起き上がったジョンオクは、サンオクに「久しぶりね」と声をかける。どういう事だろうかと訝しく思う。何気ない姉妹の会話。ジョンオクはそれまで見ていた夢の話をするが、具体的な内容については正午過ぎまで話せないと姉に告げる。姉妹は朝食をとりに川沿いのカフェに向かう。2人の平凡な会話が続いていく。

2人の会話からサンオクがどうやらアメリカから帰ってきたらしいとわかる。2人は公園内を歩きながら話に興じる。途中でサンオクとジョンオクは、通りすがりの女性に写真を撮ってほしいとお願いする。写真を撮ってくれと頼まれた女性は、サンオクに向かって昔テレビドラマに出ていなかったかと問う。それほど顔が売れているわけではないのに通りすがりの人がわかったという事に驚く2人。

2人の散歩は続く。話の内容はとりとめもない事。そして2人はジョンオクの息子の婚約者が働く店に行きお茶を飲む。息子もやってきて伯母に挨拶をする。礼儀正しく良い息子である。やがて姉妹は別れ、サンオクは旧知の映画監督と会う。居酒屋のような店で、店主も鍵を預けてどこかに行ってしまう。監督はサンオクに映画を撮ることを提案する。しかも、短いロードムービーのような内容で、2人で旅をしながら撮ろうという。

どういう映画だと観ながら思うも、サンオクも「私と寝たいのか」とはっきり聞く。ほぼ会話だけで成り立っているこの映画、何となく同じように会話だけで成り立っていた『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(My Cinema File 2812)のような感じであるが、この映画は言ってみればもっと退屈である。その退屈感は最後まで消えない。一体この映画で何を訴えたいのだろう。

映画通の人だとこの映画の意味を見出し、素人にはわからない価値がわかるのだろう。ただ、映画を単純に面白いか否かで観る私にとっては心に訴えかけてくるものがなかったと言える。監督のホン・サンスは名匠だとの事、それであればつまらない映画を作るはずもなく、根底に込められた意図があったり、撮り方なども玄人にしかわからない素晴らしさがあるのだろう。ただ、素人の私にはわからない。ただ退屈なだけの映画であった。

タイトルであるが、映画の中でサンオクが語る。「もし顔の前にあるものだけを見ることができたら何も怖くない」と。実はサンオクは医者に余命宣告を受けている。人は普通だれでも余命などわからない。それが突然、目の前に突きつけられる。そういうところを鑑みると、深い意図がありそうにも思うし、おそらくそういうところを含んだタイトルなのだろう。しかしながら、全体としてはどうにも眠気を抑えにくいものである。

この映画を「素晴らしい」と評価できる眼を自分も持ちたいと思うが、現状それはかなわない。それが残念な映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年07月26日

【人生は、美しい】My Cinema File 2882

人生は、美しい.jpg

原題: Life Is Beautiful
2022年 韓国
監督: チェ・グクヒ
出演: 
ヨム・ジョンア:セヨン
リュ・スンリョン:ジンボン
パク・セワン:若き日のセヨン
オン・ソンウ:ジョンウ
シム・ダルギ:ヒョンジョン

<シネマトゥデイ>
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余命宣告をされた主婦と、その夫の旅路を描くロードムービー。家庭に尽くしてきた女性が、初恋の相手を捜すために夫と共に各地を訪ね歩く。メガホンを取るのは『国家が破産する日』などのチェ・グクヒ。『エクストリーム・ジョブ』などのリュ・スンリョン、『未成年』などのヨム・ジョンアのほか、パク・セワン、オン・ソンウ、シム・ダルギらが出演している。
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ジンボンとセヨンは、結婚して30年を迎える夫婦。その日、2人は病院で待ち合わせている。セヨンの検査結果を聞くためであるが、セヨンがバスを乗り間違えて遅れてしまう。やむなくジンボンは、ひとり診察室に入って、妻の病状を聞く。診断は末期の肺がんで、余命は2ヶ月。忠告したのに病院に行かなかったとセヨンをなじるジンボンだが、胸中は複雑。長男ソジンは受験で好きな音楽活動を止められて苛立っている。娘イェジンはお気に入りの歌手に夢中で、セヨンには反抗的。

余命宣告を受けたセヨンは、亭主関白な夫と反抗的な子供たちとの暮らしをふと顧みる。その日、身辺整理をしていたセヨンは1枚の写真を見つける。それは初恋の人と撮った写真。そして突然、彼に会いに行こうと思い立つ。最初は相手にしないジンボンだったが、財産の半分を使う権利があると、突然買い物に走るセヨンに「協力しないなら離婚して」と迫られ、ジンボンはやむなくセヨンの初恋の人探しを手伝う事になる。そして子供たちに留守番させて2人は愛車に乗って旅に出る。

物語は並行して夫婦の歴史を追う。反政府運動で偶然出会った2人。不器用なジンボンは公務員試験に7回落ちて、軍隊に行くのも遅れる。やがて結婚し、2人の子供が生まれる。初めこそラブラブだが、次第に亭主関白になっていくジンボン。一方、セヨンの学生時代も描かれる。仲良しのヒョンジョンとつるむ日々。そしてジョンウに憧れる。最初は3人で出かけ、一緒に写真に納まる。この時の写真をセヨンは大事にしまっている。そして勘違いからの別れ。3つのストーリーが並行して進んでいく。

冒頭からいきなりみんなが歌いだす。なんだミュージカルなのかと思うも、歌満載というわけではなく、時折思い出しては歌いだすといった感じ。どうにも中途半端感が否めない。ミュージカルならミュージカルという形にしてもっと歌を増やすべきだと思えてならない。ただ、この映画に限れば、ミュージカルでない方がいいようにも思う。何がミュージカルに向いていて、何が向いていないのかについては意見がわかれるのかもしれない。明るい内容が相応しくてシリアスな内容は似合わないかと言うと、シリアスな内容でも『レ・ミゼラブル』(My Cinema File 993)のような傑作もあるから不向きとも言えない。いずれにしても本作では歌はなくても良かったと思う。

余命宣告を受けたら、人はみなどうするのだろう。主人公の選択は「初恋の人に会う」だった。それは主人公のほろ苦い思い出によるものであったが、結末は意外な展開になる。ジンボンの亭主関白ぶりは、今だと一発アウトのように思う(「湿っている」と言ってシャツを放り投げるとか・・・)。ただ、ラストのジンボンの姿はちょっと哀愁漂うもので嫌悪感はわかない。

人はみな日常生活に埋もれてしまうものであるが、余命宣告など受けなくても主人公のような行動を取ってみたい気もする。そんなことを思わせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆









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2024年07月13日

【ベイビー・ブローカー】My Cinema File 2877

ベイビー・ブローカー.jpg

原題: 브로커/Broker
2022年 韓国
監督: 是枝裕和
出演: 
ソン・ガンホ:ハ・サンヒョン
カン・ドンウォン:ユン・ドンス
イ・ジウン:ムン・ソヨン
ペ・ドゥナ:アン・スジン
イ・ジュヨン:イ刑事

<シネマトゥデイ>
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『万引き家族』などの是枝裕和が監督などを務め、韓国の製作陣や俳優らと長年構想を練ってきたオリジナル企画を映画化したヒューマンドラマ。「赤ちゃんポスト」に預けられた赤ん坊と周囲の人々のエピソードが描かれる。『パラサイト 半地下の家族』などのソン・ガンホ、『ゴールデンスランバー』などのカン・ドンウォン、『空気人形』などのペ・ドゥナをはじめ、イ・ジウン、イ・ジュヨンらが共演する。第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された。
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ある土砂降りの雨の晩、若い女性が“赤ちゃんポスト”のある施設に来て、ポストの前に赤ん坊を置いて立ち去る。その様子を自動車内から見ている女性刑事が2人。リーダーのスジンは「捨てるなら生むな」とつぶやき、後輩のイ刑事に捨てた母の尾行を指示する。そしてスジンは外に置き去りにされた赤ん坊をポストに入れ、再び施設を張り込む。なぜ母親が赤ん坊をポストに入れなかったのかはわからない。

施設の中にはサンヒョンとドンスが宿直にあたっていて、ポストに赤ん坊が入れられるとすぐにモニターで確認するが、母親の姿はない。赤ん坊には「ウソン、必ず迎えにいくから」というメモ書きが残されている。サンヒョンはドンスに指示をして赤ん坊がポストに入れられた画像を消去させる。そしてそのままサンヒョンは赤ん坊を自宅に連れて帰る。サンヒョンは自宅でクリーニング店を経営している。そしてそれを密かに尾行するスジンたち。

どうやらサンヒョンはドンスと組んで赤ん坊の人身売買をしており、その情報を掴んだスジンは、彼らを検挙するためには現行犯しかないと尾行をしている事がわかってくる。サンヒョンはクリーニング店の仕事をしながらウソンの面倒を甲斐甲斐しくみる。その一方で、子供の欲しい夫婦とコンタクトをとっている。その頃、ウソンを捨てた若い母親は街をさまよい、それをイ刑事が尾行する。ところが雑踏から赤ん坊の泣き声が聞こえ、母親は思い直して施設に戻る。

それを受け付けたのはドンス。ドンスは赤ん坊がいないのはわかっており、赤ん坊はポストに入れられていないから確認できないとごまかす。しかし、諦められない母親は警察に通報しようとしたため、ドンスは母親をサンヒョンのところに連れて行き、ウソンに会わせる。そして自分たちはブローカーであり、赤ん坊を斡旋して得た手数料を分け合おうと母親に持ちかける。ソナと名乗った母親はこれに同意する。

こうしてサンヒョンとドスンは実の母親と3人で養父母探しにいくことにする。旅支度をするサンヒョンの店にやってきたのは暴力団員。血まみれのシャツをクリーニングするように言う。しかし、本当の目的はサンヒョンの借金の取り立て。サンヒョンは返せるあてがあると説明し、その場をおさめて最初の取引相手の下に向かう。とある港町に着いた一行は交渉相手の夫婦と会うが、手数料を下げさせようと思ったのか、夫の方が赤ん坊に難癖をつけてきたため、交渉は決裂する。

そんな養父母探しのストーリーが進む間、サイドストーリーも進む。ドンスは自身もまた養護施設で育ったという経歴があり、今もその施設に時折顔を出している。ドンスも母親が「必ず迎えに行くから」という書き置きを残していっており、本当に迎えにくるのは40人に1人だと、暗にソナを批判する。施設に顔を出した一行は次の旅に出るが、施設の少年ヘジンが隠れていて、やむなく同行させる。そしてそれをスジン達が追う。やがてソナが子供を預けるに至った状況がわかってくる。

彼らがやっていることは人身売買。となれば犯罪であるが、実の親ソナが同行して養父母を探すとなれば本当に犯罪なのかと思えてくる。育てられないからこそ手放すのであり、相手からお金をもらう行為が本当に犯罪なのかは微妙だと感じる。4人は一緒に旅を続けるが、とあるホテルの一室でソナが赤ん坊を含めた3人に「生まれてきてくれてありがとう」と伝えるシーンはちょっと心動かされるものがある。

どういう経緯があったのかはわからないが、韓国映画ではあるものの、監督は是枝裕和。是枝裕和監督の作品は家族を扱ったものが非常に多い。そしてどれも観終わって何かが心に残るのである。そしてこの映画もまさにそんな是枝作品の特徴を備えている。登場人物もみな人間的。サンヒョンを現行犯逮捕することにこだわっていたスジンらも、赤ん坊には寄り添っていく。物語はあるべき姿に収まっていくが、3年後を描いたラストには、心に残るものがやはりある。

韓国映画ではあるものの、まぎれもなく是枝裕和監督作品であると感じさせてくれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年07月12日

【シュリ】My Cinema File 2876

シュリ.jpg

原題: 쉬리
1999年 韓国
監督: カン・ジェギュ
出演: 
ハン・ソッキュ:ユ・ジュンウォン
キム・ユンジン:イ・ミョンヒョン
チェ・ミンシク:パク・ムヨン
ソン・ガンホ:イ・ジャンギル

<シネマトゥデイ>
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韓国の大スター、ハン・ソッキュを主演に迎え、本国では記録的なヒットとなったスパイ・アクション。南北に分断されてしまった朝鮮半島の複雑な政治背景のもと、ソウルを襲うテロ事件の顛末を描く。ハリウッド顔負けの銃撃戦やアクション・シーンもすごいが、運命に翻ろうされる恋人たちの悲恋が涙を誘う。日本でも一大ブームを巻き起こしている、スケールの大きなエンターテイメント大作だ。
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かつて韓国の映画やドラマなどまるで興味がなかったが、それが一転したきっかけがこの映画。久しぶりに観たくなって再鑑賞に至る。

時に1992年。北朝鮮では兵士の過酷な訓練が行われている。死者が続出するその訓練は尋常ではない。反動分子とみなされた者なのかもしれないが、その者たちを実際に殺害する訓練、2人組になって銃を早く組み立て、完成したら相手を撃ち殺す訓練等々である。そしてそんな訓練を生き抜いた中には女性兵士イ・バンヒがいる。訓練を卒業したイ・バンヒは韓国に送り込まれ、祖国の指令に従ってターゲットを殺害する。

そして6年後の1998年、韓国側はイ・バンヒの存在を把握しているものの、その所在を掴めずにいる。韓国の諜報員であるユ・ジュンウォンは、アクアショップの店主イ・ミョンヒョンとの結婚を1ヶ月後に控えている。彼は仕事柄、本当の仕事の話をミョンヒョンに言うことができずにいる。そしてジュンウォンは相棒のジャンギルと共にイ・バンヒを追っている。ある時、暗殺犯に情報提供していた男を追い詰めたジュンウォンとジャンギルだが、目の前で男を何者かに射殺されてしまう。

やがて事件の陰に北朝鮮の特殊第8軍団が絡んでいる事がわかってくる。次々と先回りされることから、どうやら情報部から情報が漏れている疑いが強まる。そしてジュンウォンはイ・バンヒが韓国が新たに開発した「CTX」という、爆発すると半径1qが吹き飛んでしまう程の凄まじい威力の液体爆弾を狙っているという事が判明する。そして密かに密入国したパク・ムヨン率いる特殊第8軍団の工作員チームによって、移送中のCTXが奪われてしまう。

その頃、ジャンギルは諜報部内で飼っていた熱帯魚に盗聴機が仕掛けられていたことから、ミョンヒョンのアクアショップに向かう。そしてミョンヒョンを問い詰めるが、そこに現れたパク・ムヨンによってジャンギルが撃たれてしまう。ジュンウォンがアクアショップに到着した時には、ミョンヒョンとパク・ムヨンの姿はなく、撃たれて瀕死のジャンギルを発見する。ジャンギルはサッカーの観戦チケットを握りしめており、北朝鮮の狙いが明らかになる・・・

韓国は南北分断という悲劇を抱えており、この手のストーリーには恵まれている。冒頭で展開される死の訓練の様子は凄まじい。実際はどうかわからないが、かの国ならありうるという感じがストーリーを補強する。そんな選抜部隊が韓国にやってくる。そしてそれを迎え撃つ韓国情報部。主演はハン・ソッキュという俳優さん。何となくアクション俳優というイメージとは程遠いが、『ベルリン・ファイル』(My Cinema File 2804)なんてのもあるから、それなりに様になっている。

愛する婚約者が実は長年自分たちが追っていた北朝鮮の辣腕兵士だとわかった時のショック。そして韓国に潜入した北朝鮮の精鋭部隊の目的。それを探り当てて阻止しようとする韓国情報部。主人公のジュンウォンは婚約者と任務との間で苦悩する。二度目の鑑賞であるが、割とストーリー展開が頭に残っているのはそれだけ印象が強かったためであろう。随所で都合のいい展開はあるものの、ストーリーを妨げるほどではない。

最後までハラハラドキドキする展開。なるほど確かに面白かったなと思い出す。もっともその後も面白い韓国映画は出てきているので、今のレベルであれば埋もれてしまうかもしれない。それでも初めて観た時の気持ちが蘇る。ハン・ソッキュやソン・ガンホといった俳優の若かりし頃も今見ると新鮮である。特にソン・ガンホは今や韓国を代表する俳優さんで、『パラサイト 半地下の家族』(My Cinema File2297)を始めとして多くの映画に出演している。今のイメージとは異なる役柄も改めて新鮮である。

温故知新というほど古くはないが、私にとっては韓国映画の原点とも言える作品。難を言えば、ミョンヒョン役の女優さんがもう少し美人だったら尚良かったかもしれないと思う映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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