2013年05月19日

密告・者

密告者.jpg

原題: 綫人、The Stool Pigeon
2010年 香港
監督: ダンテ・ラム
出演: 
ニコラス・ツェー:ホー・サイフイ(サイグァイ)
ニック・チョン:ドン・リー
グイ・ルンメイ:ディー
リウ・カイチー:ジャバー
パトリック・キョン:タイピン

<Movie Walker 解説>
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ダンテ・ラム監督の重厚なタッチが冴える香港ノワール。
心に傷をもつ刑事と情報屋との逃走劇を、壮絶な流血アクションと迫真のカーチェイス、先の読めない心理戦など盛り沢山の内容で活写。
本作で香港電影金像奨最優秀主演男優賞を受賞したニコラス・ツェーと、初の汚れ役に挑んだ清純派美人女優グイ・ルンメイの熱演にも注目。
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香港警察の捜査官ドンは、密告者を仕立てては犯罪捜査に協力させている。
ある犯罪組織に密告者を送り込み内偵させたが、麻薬取引の現場で、土壇場で正体がばれてしまい、密告者に瀕死の重傷と再起不能のトラウマを負わせてしまう。

それから1年、ドンは深い罪の意識を背負いながらも、台湾から帰ってきた凶悪犯罪者バーバイの動向を探ることになり、新たな密告者として出所間近の青年サイグァイに白羽の矢を立てる。
若くして数々の罪状で投獄されていたサイグァイだが、親の遺した借金のカタに最愛の妹がヤクザに娼婦にされているという事実を知る。

出所したてで金などないサイグァイ。
強引に妹を連れ出そうとして失敗し、半殺しの憂き目にあう。
さりとて金など用意できるわけがない。
そんなところに、ドンは高報酬で密告のオファーをする。

密告者にならざるを得ないサイグァイの事情。
そんなサイグァイと再会する裏社会で哀しげに生きる女ディー。
自らの過失で家庭崩壊を招いてしまったドンは、そんな哀しみを胸に密告者をコントロールする。
そんな3人の思惑が交差する中、バーバイによる宝石店襲撃計画が水面下で進行する。

香港ノワールの名称で香港の裏社会映画は定評があるが、これは久々に看板健在を感じさせる一作。
哀しいながらにも筋を通して生きる男たちに、今回は女性のディーも加わって、熱い物語に仕上がっている。

そんなディー役のグイ・ルンメイは初めて観る女優さんであるが、裏社会に咲く一輪の花の如く、妙に美しさが際立っていたりする。
そんなところも見所かもしれない。
香港ノワール好きならば、見逃す手はないし、そうでなくても一見の価値ある映画である。

評価:★★☆☆☆






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2012年05月28日

イップ・マン葉問

イップ・マン葉問.jpg


原題: 葉問2、英題:Ip Man 2
2010年 香港
監督: ウィルソン・イップ/サモ・ハン・キンポー
出演: ドニー・イェン(Ip Man)/サモ・ハン・キンポー(Master Hung Quan)/ホァン・シャオミン(Jin Shan Zhao)/リン・ホン(Zhang Yong Cheng)/ダーレン・シャラヴィ(ツイスター)

<STORY>********************************************************************************************************
1950年、詠春拳の達人イップ・マンは家族を連れて広東省から香港に移住、同郷の新聞社編集長の好意で、屋上に武館を開く。
やがて血気盛んな青年ウォンがやって来て、イップに挑んだのち仲間を連れて入門する。
その頃、香港には様々な門派がしのぎを削っており、それを仕切る洪拳の師範ホンは大勢の弟子を抱えていた。
ある日、ホンの弟子たちに絡まれたウォンは、拉致されてしまう。
ウォンを助けに来たイップの前にホンが現れ、香港で武館を開設するための掟を告げるのだった…
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ブルース・リーの師匠として知られるイップ・マンを描いた映画「イップ・マン序章」の続編である。
これもストーリー自体はフィクションのようである。

日本との戦争が終わり、家族とともに香港に移り住んだイップ・マン。
生活のために道場を開くが、なかなか生徒が集まらない。
ようやく生徒が集まったが、ホン師匠を中心とする地元の道場主たちから道場開設にあたって掟を守るように迫られる。

資金力のないイップ・マンにとって、守れる掟と守れない掟がある。
弟子同士が対立し、やがて道場も追い出されてしまう。
そんな中、香港を牛耳るイギリスのボクサーが中国拳法を侮辱する。
それまでの中国拳法同士の抗争から、一転して中国拳法VSボクシングの対立へと移行する。

こうした格闘技モノはどうしても対決が軸となる。
前半はホン師匠率いる洪拳との対決。
そしてクライマックスではボクシングとの対決が、物語の主軸をなす。
相変わらず鮮やかなイップ・マンの技が冴える。

前半でイップ・マンと対立する洪拳のホン師匠は、昔懐かしいサモ・ハン・キンポー。
「燃えよデブゴン」などのデブのカンフースターだが、相変わらずの巨体で登場。
主演のイップ・マンは前作そのままで、美人の奥さんのリン・ホンも変わらずの美形を披露。

イギリス人ボクサーに敗れた友人のため、リングに上がるストーリーはよくありがちなパターンだ。
ラストのボクシング対詠春拳の対決は、異種格闘技戦であり、ルールが曖昧。
公平なのかどうなのか、よく考えてみるとルールの面で問題がありそうな気がする。
とはいえそこは映画。
単純に楽しめば、なかなか力の入る格闘シーンだ。

前作同様、格闘シーンは見応えのある映画である・・・


評価:★★☆☆☆
   
   
posted by HH at 22:43 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 香港映画

2012年05月26日

イップ・マン 序章

イップマン序章.jpg

原題: 葉問、英題:Ip Man
2008年 香港
監督: ウィルソン・イップ
出演: ドニー・イェン/サイモン・ヤム/リン・ホン/池内博之/ラム・カートン

<STORY>********************************************************************************************************
1930年代の中国広東省佛山。
武術館の師範との戦いに勝ったイップ・マンは、町一番の武術家として知られるようになる。
しかし栄華は長く続かなかった。
1938年に日中戦争が勃発。
1年もたたぬうちに佛山は日本軍の占領下となる。
日本兵たちに武術を教えることを拒否したイップ・マンは、空手の名手である日本軍将校三浦と生死をかけた対決をする。
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ブルース・リーの師匠と言われる実在の人物。
ストーリーはフィクションのようであるが、実在の人物を描いた映画である。

武術の盛んな中国広東省佛山。
詠春拳を操るイップマンは、弟子を取らず、穏やかな生活を送っている。
道場破りに現れたキム。
佛山の各道場主も歯が立たない。
イップマンの自宅に勝負に乗り込んだキムを、イップマンはあっさりと返り打ちにする。

やがて始る日中戦争。
日本軍に占領される佛山。
極貧生活を余儀なくされるイップマン。
家族のために慣れない肉体労働を送る日々。

日本軍は冷酷な存在として描かれる。
将校三浦は自らの趣味で、腕に覚えのある格闘家を集めて試合をさせていた。
そこに参加したイップマンの実力に目をつけた三浦は、日本人への指導を命じるが、イップマンは従わない。
そしてついに自らイップマンとの勝負に乗り出す・・・

ストーリー自体はよくありがちなパターン。
実力ある格闘家は穏やかであり、能ある鷹は爪を隠すを地で行く。
しかしながら本人の意向とは関係なく、事態はやむなき戦いへと進んでいく。
仲間のため、家族のため、戦わざるを得なくなり、そうして最後に強力な敵と戦うというパターンである。

ブルース・リーの師匠という触れ込みのイップマン。
実在の人物ながら、映画ではそんな王道パターンを踏襲した人物として登場。
そして鮮やかな格闘シーン。
王道ストーリーであるものの、自然と観る方も力が入る。
こうした映画では格闘シーンの迫力がモノを言うが、それは十分なレベルにあると言える。

初めて観る女優さんだが、イップマンの奥さんを演じた女優さんはどことなく常磐貴子に似ていて、ちょっと興味を引かれた。
映画にちょっとした彩りを添えている。
意外と面白かったというのが、正直な感想。
すんなりと続編を観る事を決めた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     




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2012年05月13日

MAD探偵 7人の容疑者

MAD探偵 7人の容疑者.jpg

原題: 神探、英題:Mad Detective
2007年 香港
監督: ジョニー・トー/ワイ・カーファイ
出演: ラウ・チンワン/アンディ・オン/ラム・カートン/ケリー・リン/ラウ・カムリン

<STORY>********************************************************************************************************
5年前、西九龍署・刑事課へ配属された新人のホー刑事は、そこで奇妙な犯罪検証を行う先輩のバン刑事に出会う。
我が身を殺人被害者と同じ状況に置くことで、奇妙にもバンは真犯人を突き止めていた。
時は流れて現在。
数々の奇行が原因で刑事をクビになったバンのマンションへ、かつての後輩ホー刑事が現れる。
バンの洞察力に畏敬の念を抱いていた彼は、暗礁に乗り上げた失踪事件解決の糸口をつかもうと、意見を求めにやって来たのだった…。
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犯人または被害者と同じ状況に身を置く事で、犯人を特定してしまうという特殊能力をもった刑事バン。
しかし、天才とキチガイは紙一重という例えの通り、刑事としてはあるまじき奇行が元で刑事を退職する。
配属初日にその能力を見ていた刑事ホーは、自身が壁に当たった難事件解決のヒントを求めてバンに会いに来る。
しかし、そこで会ったバンは、見えない妻と話をしていた。

一人の刑事が容疑者を追跡中に森の中で行方不明となる。
ホーはバンを連れて捜査に当たる。
バンは相手を見ると、その人格が見える。
失踪した刑事と一緒にいた相棒コウを見た時、バンはコウに7人の人格を見る。

そして事件現場を訪れたホーとバンだが、死体がどこかに埋まっていると考えるバンは、自ら土の中に埋まろうとする。
代わりに土の中に入ったホーは、バンに埋められ、そのまま放置されてしまう。
バンはやがて脳裏に事件の概要を思い浮かべていく。

MAD探偵というタイトルは何を意味しているのかと思ったら、人の中に潜む本当の姿を人格として見る事ができ、同じ体験をする事によって犯人を突き止めるという能力をもった刑事の話であった。
監督は、香港系バイオレンス・アクションのジョニー・トーなのだが、この映画は少し今までとと系統が違う。
単なるドンパチだけではなく、心理的な要素も多分に入っている。

主人公のバンは、その特殊能力をフルに使って事件を追うのだが、一方でそれは狂気と紙一重。
傍らには常に別れた妻の幻影がいる。
そして、再び刑事のように事件に首を突っ込む事に反対する。
しかしそれは考えてみると、バンのもう一つの人格なのかもしれない。

狂っているから特殊能力が身についたのか、特殊能力ゆえに狂ってしまったのか。
ラストでのホー刑事の人格の変化がなかなかいい味を出していた。
香港映画らしい味わいの映画である。


評価:★★☆☆☆

ジョニー・トー監督作品
「エレクション」
「エレクション 死の報復」
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」
「エグザイル・絆」





   
posted by HH at 11:29 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 香港映画

2012年01月17日

エレクション 死の報復

エレクション 死の報復.jpg


原題: ELECTION 2/社會以和為貴
2006年 香港
監督: ジョニー・トー
出演: サイモン・ヤム/ルイス・クー/ウォン・ティンラム/ラム・カートン/ニック・チョン

<STORY>********************************************************************************************************
ロクが会長の座を手にしてから早くも2年の時が過ぎようとしていた。
そして、再び会長選挙の時期がやって来る。
いろいろな候補が囁かれる中、長老たちの本命はビジネスでの才覚を発揮し、みるみる頭角を現わしてきたジミー。
ところが、当のジミーは大陸での事業拡大に関心が向いており、選挙にはまるで乗り気でない。
一方、すっかり権力の味を占めたロクは、任期満了にもかかわらず会長の座を明け渡そうとはせず、一族の掟を無視した前代未聞の再選に向けて動き出すのだったが…
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2005年の香港映画「エレクション」の続編である。
前作では、ライバルを葬って会長の座を安泰にしたロク。
任期の2年が過ぎて、次の会長選びが始る。

筆頭候補のジミーはあまり乗り気でない様子。
それよりも大陸でのビジネスにご執心。
ところが大陸側の警察から、権力がないジミーに商売はさせないという圧力がかかる。
やむなくジミーも会長選に名乗りを上げる。

現会長のロクはポストを明け渡すつもりでいたが、心変わりして再選を目指す。
タブー行為に長老たちは猛反対するが、ロクは意に介さない。
そしてロクとジミーは決定的に対立していく・・・

香港映画らしいバイオレンスストーリー。
選挙で会長を選ぶというところが、このストーリーのミソ。
2年ごとに会長を選んでいて、しかも再選不可のルールだと、随分会長経験者が回りにいそうだが、映画には出てこない。
みんなどうなってしまったのだろうと、くだらないことが脳裏をよぎる。

前作では主人公だったロク。
ところが本作ではすっかり敵役。
こうした正邪逆転も香港映画らしい。
会長の座に固執し、反対する者をそれが例え長老と言えども抹殺していく。
対抗するジミーも、負けず劣らずの状況。
香港映画らしい迫力が、この映画の見所でもある。

この映画は登場人物もほとんど前作と同じ。
制作も1年違いだし、ほとんど同時に撮られたと言えるのだろう。
内容的にも極めて連続的なので、前作と続けて観た方がわかりやすいだろう。
ロクの子供の反応などは、前作のラストが影響していると思われるし、理解も進むだろう。

さて選ばれた新会長も前途の雲行きは怪しい。
祇園精舎の鐘の音が聞こえてきそうな気がする。
この映画を観て思うのは、因果応報。
真面目に暮らすのが、やはり一番だと思える映画である・・・


評価:★★☆☆☆
                 
                    
                
posted by HH at 23:03 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 香港映画