2025年09月22日

【はたらく細胞】My Cinema File 3067

はたらく細胞.jpg

2024年 日本
監督: 武内英樹
出演: 
永野芽郁:赤血球AE3803
佐藤健:白血球U-1146(好中球)
芦田愛菜:漆崎日胡
山本耕史:キラーT細胞
仲里依紗:NK細胞
松本若菜:マクロファージ
染谷将太:ヘルパーT細胞
垣李光人:新米赤血球板
加藤諒:先輩赤血球
加藤清史郎:武田新
マイカ・ピュ:血小板
深田恭子:肝細胞
片岡愛之助:肺炎球菌
新納慎也:化膿レンサ球菌
小沢真珠:黄色ブドウ球菌
阿部サダヲ:漆崎茂
塚本高史:好中球先生
一ノ瀬ワタル:外肛門括約筋
DJ KOO:神経細胞

<映画.com>
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人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、テレビアニメ化もされた同名漫画を実写映画化。原作漫画「はたらく細胞」とスピンオフ漫画「はたらく細胞 BLACK」の2作品をもとに、ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く。
人間の体内には37兆個もの細胞が存在し、酸素を運ぶ赤血球や細菌と戦う白血球など無数の細胞たちが、人間の健康を守るため日夜はたらいている。高校生の漆崎日胡は、父の茂と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。そんな中、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。
永野芽郁が赤血球役、佐藤健が白血球役でそれぞれ主演を務め、人間の漆崎茂を阿部サダヲ、その娘・日胡を芦田愛菜が演じる。『翔んで埼玉』 『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹が監督を務め、『るろうに剣心』シリーズの大内貴仁がアクション演出を担当。
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映画や小説などで人間以外のものを擬人化して主人公にするということは当たり前に行われているが、この映画は体内の細胞たちを擬人化したものであり、その着眼点がかなり面白いと思わされる作品。原作は最初の方だけ読んだことがある漫画である。

その中でも主人公は体内に酸素を運ぶ赤血球。なかでもAE3803と称される赤血球が中心となる。また、体内に侵入した病原菌等を排除する白血球(U-1146にスポットが充てられる)がもう1人の主人公になる。ともに体内で生まれ、みずからの使命を課されて成長する。赤血球AE3803は途中で道に迷いながらも酸素を運ぶ仕事をひたすらこなす。白血球(U-1146)は見事な剣さばきで体内に侵入した病原菌を退治する。赤血球に仕事を教えるのはマクロファージ。体内に侵入した外敵を排除するのは白血球ばかりでなく、キラーT細胞やNK細胞といった細胞たちも同じ役割を担っている。

そんな体内の世界と並行して人間たちも登場する。トラック運転手で娘を男手1人で育てているのが漆崎茂。そしてその娘の漆崎日胡である。日胡はしっかり者の高校生。先輩の武田にひそかに憧れている。父親の茂は、暴飲暴食の典型例。健康なんぞなんのその。タバコも酒もやり放題である。そんな茂の体内は過酷な環境で、働く細胞たちも劣悪な労働環境下で疲弊している。血管内のコレステロールが酸素を運ぶ赤血球たちの邪魔をする。何となくわかってはいるが、健康状態を擬人化された細胞たちの日常を描くことによってよく表している。

体内に侵入してきた病原菌たちであるが、白血球やキラーT細胞やNK細胞によって退治される。キラーT細胞はチームで戦う集団であり、一方NK細胞は単身で自由に動き回る。実際の細胞の働きもそうなのであろう。そうであれば、映画を観ながらはたらく細胞たちの役割がよくわかる。小学生向けの教育映画になりそうな感じもする。体内の病原菌退治だけではない。日胡が転んで擦り傷を作ると、神経細胞がアゲアゲなムードを作り血小板が登場して止血をしかさぶたを形成する。

そんな細胞たちの働きが紹介されたあと、やがて日胡の体調が悪くなる。日胡の体内でも異変が静かに起こる。物語は全般的にコメディムードで進む。トラックを運転する茂が急に腹痛を覚え、トイレに行きたくなる。高速であり、次のパーキングまで便意を我慢するシーンは阿部サダヲの真骨頂。その時体内(肛門付近)で何が起こっているのか。ユーモラスに描かれており、和やかに観る事ができる。しかし、日胡が深刻な病になったことから、後半は体内で働く細胞たちの戦いも劣勢になり、大いなる危機を迎える。

いつの間にか映画の世界にどっぷりと浸かっている。阿部サダヲの熱演もあって、やっぱり健康は大事だと認識させられる。細胞たちを擬人化したからこそ、体内の細胞の働きがよくわかり、ストーリーを楽しみつつも、体内の様子をいつしか覚えていく。放射線治療のシーンでは、癌細胞と同時に赤血球や白血球をも殺していく様子が描かれ、治療の過酷さが印象に残る。真面目に映画の世界に没頭すると感動的であったりする。何にせよ、この映画は体内の細胞というところに目をつけ、擬人化して物語を紡ぎ出したアイディアの勝利と言えると思う。

自分の年齢的にも一層健康に留意しようと思わされた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年09月06日

【ウィキッド ふたりの魔女】My Cinema File 3058

ウィキッド ふたりの魔女.jpg

原題: Wicked
2024年 アメリカ
監督: ジョン・M・チュウ
出演: 
シンシア・エリボ:エルファバ
アリアナ・グランデ:グリンダ
ジョナサン・ベイリー:フィエロ
イーサン・スレイター:ボック
ボーウェン・ヤン:ファニー
ピーター・ディンクレイジ:ディラモンド教授(声)
ミシェル・ヨー:マダム・モリブル
ジェフ・ゴールドブラム:オズの魔法使い
マリッサ・ボーディ:ネッサローズ
ブロンウィン・ジェームズ:シェンシェン
キアラ・セトル:ミス・コドル
アンディ・ナイマン:スロップ総督
コートニー・メイ=ブリッグス:スロップ夫人
アーロン・テオ:アヴァリック
ショーン・プレンダーガスト:シズ大学理事長

<シネマトゥデイ>
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おとぎの国オズを舞台に、二人の魔女の友情を描いたブロードウェイミュージカル「ウィキッド」を映画化。正反対の道を歩んできた二人の魔女が大学で出会い、ぶつかり合いながらも友情を育んでいく。監督を手掛けるのは『イン・ザ・ハイツ』などのジョン・M・チュウ。『ハリエット』などのシンシア・エリヴォ、シンガー・ソングライターとしても活動するアリアナ・グランデのほか、ピーター・ディンクレイジ、ミシェル・ヨー、ジェフ・ゴールドブラムらがキャストに名を連ねる。
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かつて劇団四季のミュージカルで観て感激した作品が予想通り映画化され、さっそく鑑賞に至るもの。しかし、2部作というのは予想外。本作はその前編。冒頭ではオズの城に向かうドロシーとブリキの木こりとライオンと案山子の姿が写る。そして始まる物語は、「悪い魔女が死んだ」というニュースが流れ、人々が喜ぶところから。そこへやって来た「善い魔女」グリンダは、改めて「悪い魔女の死」を皆に告げ、歓迎される。お祝いムードで人々が盛り上がるなか、一人の少女がグリンダに「悪い魔女と友だちだったの?」と問いかける。少し考え込んだグリンダは、死んだ魔女の身の上話を始める・・・

悪い魔女の名はエルファバ。マンチキン国総督の長女に生まれたエルファバだが、実は母親が浮気をして生まれた娘で、生まれて来た時にカエルのような緑色の肌をしていて両親は言葉も出ないほど驚く。ショックを受けた母親の代わりに、エルファバは熊の乳母に育てられる。その後、妹・ネッサローザを出産した母親は亡くなり、父親は緑色の肌を持つエルファバを忌み嫌って妹をかわいがる。ネッサローザは足に障害があって歩けない。そしてエルファバは緑色の肌のせいで近所の子どもたちからいじめられる。

エルファバには不思議な力があり、怒ると物が飛び交うという現象が起こる。そんなエルファバを父親はますます嫌う。やがて成長したネッサローザがシズ大学に入学することになり、エルファバは彼女の付き添いとして同行する。緑の肌は周囲の注目を浴びる。時に魔法に憧れるグリンダもまた魔法学を学ぶためにシズ大学に入学する。エルファバは父からネッサローザの世話役を言いつけられるが、理事長はエルファバを早く立ち去らせようと車いすのネッサローザを寮へ連れて行こうする。自分の義務だとエルファバが感情を高ぶらせると、周囲の椅子や本などが飛び交う騒動となる。

偶然その場にいたシズ大学魔法学の権威マダム・モリブルは、エルファバの未完成の魔法の力を高く評価し、彼女を入学させる。そしてなんとかマダム・モリブルに取り入ろうとしたグリンダは、エルファバのルームメイトに指名される。これがエルファバとグリンダの出会い。ルームメイトになったものの、あくまでもそれはマダム・モリブルに取り入るためのグリンダは、露骨に表にあらわさないが、エルファバをどこか見下している。祖母にもたされた地味な帽子を気に入らない者にあげると言ってエルファバに渡す始末。それは魔女がよく被っている三角の帽子。

『オズの魔法使い』では悪い西の魔女として登場する魔女が主人公の物語。生まれた時から緑色の肌のせいでイジメられ、友達もできずに育つ。そんな西の魔女エルファバが、『オズの魔法使い』では南の良い魔女として描かれるグリンダと実は大学で同級生として知り合う。しかし、エルファバは、孤独であるが悪い人間ではない。心の中ではエルファバを嫌うグリンダの悪意に気づかず、魔法学を学びたいと熱望するグリンダをマダム・モリブルに口利きし、直接魔法を学べるように頼むほどである。そんなこともあっていつしか2人の間に友情が芽生えていく。

とても悪い魔女には思えないエルファバが、なぜドロシーに退治されるような悪い魔女になってしまったのか。オズの国では動物たちも言葉をしゃべり、人間と同じように暮らしているが、やがてその動物たちに対する迫害が始まる。歴史学のヤギのディラモンド教授にもその影響が及び、やがて教職をはく奪される。この動きにエルファバは、言いようのない怒りを覚える。『スター・ウォーズ エピソードV シスの復讐』(My Cinema File 437)でアナキン・スカイウォーカーが恋人パドメを救うためにフォースの暗黒面に堕ちていったようなものかもしれない。

エルファバの高い魔法能力に目をつけたマダム・モリブルは、エナメルドシティに住む偉大なオズにエルファバの魔法の力のことを報告する。そこには何やら悪意的な企みがある。そうとは知らぬエルファバはグリンダを連れてオズの魔法使いに会うためにエメラルドシティへとやって来る。劇団四季のミュージカルでは、そろそろエンディングというストーリー展開であるが、続編へと続く。という事は、劇団四季のミュージカルでは描かれなかったさらなる物語が用意されているということなのかもしれない。それはそれで大きな喜びである。

ラストに表示される「 To be Continued」の文字が恨めしい。早く後編を観てみたい。そういう思いの募る一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年08月13日

【ルームロンダリング】My Cinema File 3049

ルームロンダリング.jpg
 
2018年 日本
監督: 片桐健滋
出演: 
池田エライザ:八雲御子
渋川清彦:春日公比古
健太郎:虹川亜樹人
光宗薫:千夏本悠希
オダギリジョー:雷土悟郎

<シネマトゥデイ>
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いわくつきの物件に住んで部屋を浄化するアルバイトをしながら、幽霊たちの望みをかなえるために奔走するヒロインを描いたコメディー。孤独なヒロインがワケありの部屋にいる幽霊たちの世話を焼く様子を活写する。主演を『映画 みんな!エスパーだよ!』などの池田エライザが務め、渋川清彦やオダギリジョーらが共演する。監督はテレビドラマ「増山超能力師事務所」などの片桐健滋。
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主人公は八雲御子。父親は幼い頃に他界。母親もなぜか大きなアヒルのランプを御子に渡して待っているように伝えて、そのまま失踪してしまったという過去がある。その後、祖母に引き取られて生活していたが、その祖母も御子が18歳の時に他界している。その御子を引き取ったのは叔父の悟郎。葬儀の場で突然現れ、遺影に向かって罵倒すると、会場がざわめく中、御子に今日からお前は俺が面倒を見ると言い放つとその場から連れ去る。

悟郎は怪しげな商売で身を立てており、その一つがルームロンダリングであった。ルームロンダリングとは、賃貸物件で事件や事故などがあった場合、次に借り手がつかなくなったり家賃を大幅に下げなくてはならなくなるが、一時的に物件を借りる事で説明義務を不要にするものである。法的には事故物件の場合はその説明をせざるを得ない。しかし、説明すると借り手が減る。しかし、一度誰かに貸せば、二人目以降の借主には説明義務は発生しないというものである。

悟郎は報酬を得て事故物件に御子を住まわせていた。今回もそんな事故物件に御子を引っ越しさせる。御子は母親が残していったアヒルのランプを今も大切に持っている。引っ越した先は風呂で若い男が自殺した物件。御子が部屋で落ち着くと、電源にさしていないにもかかわらずアヒルのランプが点灯する。それが合図であり、御子が風呂場に行くと、男の霊がうずくまっている。なんと、御子には霊が見えて話ができるという力がある。

自殺した男は、パンクロックをやっていたキミヒコと名乗る。自分が見えるとわかってキミヒコは喜んで御子につきまとう。女の子であれば幽霊に付きまとわれるのはごめんだと思うかもしれないが、御子は慣れたもの。むしろ生きている人間のほうが怖いという。御子は部屋で偶然カセットテープを見つけていたが、それはキミヒコが生前に作った新曲のデモテープ。批判を恐れてレコード会社に送れなかったが、今はそれを後悔しているという。キミヒコは、御子にテープを送ってほしいと頼む。

しかし、悟郎の都合で御子は次の部屋へ移ることになる。翌朝、御子はキミヒコにダサすぎてかっこよかったと曲の感想を告げて次の部屋へと引っ越す。引っ越した先の部屋は、なんと殺人事件が起きた部屋。引っ越ししてすぐに隣の部屋に住むニジカワという青年が挨拶に来るが、隣人との関係はご法度と御子は決めており、無視を決め込む。その部屋では女が殺されていたのであるが、さっそくその霊が現れる。背中に包丁を刺された姿の女は、コスプレが趣味のOLで、千夏本悠希という名であった。

『ルームロンダリング』と称しているが、確かに事故物件の場合は入居者にその事実を伝えなければならないという法律上の義務がある。ルームロンダリングとは、大家泣かせの事故物件を正常物件にするのではなく、マネーロンダリングのように法の網をかいくぐる行為。どんなストーリーなのかと思っていたら、幽霊が登場する物語であった。そして当然、霊感の強い主人公もいるわけである。かと言って、オカルト路線を歩むものではなく、それぞれの幽霊との交流を描いていくもの。

御子がなぜそういう能力を持っているのかは描かれないが、幼い頃に出て行った母親の行方や一見、破天荒な叔父の胸の内などが明らかになっていき、物語に厚みが出て行く。この世にとどまる死者は何らかの心残りを抱えている。霊との交流を描く物語はそんな心残りを解消してあの世へと成仏させるというストーリーが多いが、やがて御子もそんな霊の手助けに目覚めていく。そして悠希の力になろうとした御子は、予想外の事態に巻き込まれる・・・

主演は池田エライザ。これまで出演作はいくつか観ている(『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(My Cinema File 2285)など)が主演作は初めて観る。美形であるし、もっと主演作があってもいいと思う。後半はちょっと「ルームロンダリング」というタイトルから外れてしまった感があるが、それはそれでいいかもしれない。今後の池田エライザに期待したいと思わされた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年07月21日

【ジョー・ブラックをよろしく】My Cinema File 3035

ジョー・ブラックをよろしく.jpg

原題: Meet Joe Black
1998年 アメリカ
監督: マーティン・ブレスト
出演: 
ブラッド・ピット:ジョー・ブラック/コーヒーショップにいた青年
アンソニー・ホプキンス:ウィリアム(ビル)・パリッシュ
クレア・フォーラニ:スーザン・パリッシュ
ジェイク・ウェバー:ドリュー
マーシャ・ゲイ・ハーデン:アリソン・パリッシュ
ジェフリー・タンバー:クインス

<映画.com>
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死神と人間の女性が紡ぎ出すファンタスティックなラヴストーリー。監督・製作は『セント・オブ・ウーマン夢の香り』のマーティン・ブレスト。脚本は「フリントストーン」のロン・オズボーンとジェフ・レノ、「ジュニア」のケビン・ウェイド、「訣別の街」のボー・ゴールドマン。撮影は「大いなる遺産」のエマニュエル・ルベズキ。音楽は「モンタナの風に抱かれて」のトーマス・ニューマン。美術は「カジノ」のダンテ・フェレッティ。編集はジョー・ハッシングとマイケル・トロニック。衣裳は「フェイク」のオード=ブロンソン・ハワードとデイヴィッド・ロビンソン。出演は「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のブラッド・ピット、「バスキア」のクレア・フォラーニ、「マスク・オブ・ゾロ」のアンソニー・ホプキンス他。
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公開時に観た映画であるが、内容はだいぶぼやけてしまっており、懐かしさもあって再度の鑑賞となるもの。物語はベッドで眠るビルにどこかからか声が聞こえてくるところから始まる。ビルは65歳の誕生日を間近に控えているが、その朝、「YES」という声が聞こえてくる。あたりに人気はなく、ビルにもわけがわからない。ビルは大企業の社長であり、2人の娘がいる。長女のアリソンは父親の為に誕生日パーティーの計画に余念がない。次女のスーザンの恋人はビルの右腕として活躍しているドリューである。

スーザンは医師であるが、どこか恋愛には冷めていて、ドリューとの関係も熱いものがあるようではなく、ビルは何となく不満を感じている。その朝、スーザンは立ち寄ったコーヒーショップで、たまたま隣に座った青年に話し掛けられる。田舎から出てきたばかりというその青年は、人懐こくスーザンに話しかけ、コーヒーをおごる。互いに名乗りもせず、他愛のない話をしただけで、2人は別れる。互いにもっと話していたいと思い、相手に好意を感じ、このまま別れるのはもったいないと思いつつ別々の方向へと向かう。そのシーンが印象的。そしてスーザンに気を取られた青年は、あろうことか車に跳ね飛ばされる。

その夜、パーティーの相談を進める為、ビルの家で長女夫妻とスーザンとドリューのカップルがディナーに集まる。すると、ビルは再び謎の声を聞く。そして声の主は、ビルの自宅にやってくる。書斎でビルが会った声の主は、なんとコーヒーショップにいた青年。自らを死神だとし、ビルの質問に答えるために気まぐれで人間界にやって来たと語る。戸惑うビルが抱いていたのは、自分の死が近いのだろうかという問い。冒頭の声の「YES」とはそれに対する答えだという。死神の望みは、最近興味を抱いている人間界をビルにガイドさせる事。その見返りとして、ガイド中は彼の命が引き伸ばされるという。ビルに選択肢はなく、その申し出を受け入れる。

突然食事の席に現れた青年を見て何より驚いたのはスーザン。実は車にはねられた青年の体を死神が拝借していたのであるが、ビルは適当に「ジョー・ブラック」と青年をみんなに紹介する。ジョーと名乗った死神はその日からビルと行動を共にする。屋敷を探検し、キッチンではスタッフの食べていたピーナツバターに興味を示し、試食して大いに気にいる。そのまま迷い込んだプールでスーザンに出会うジョー。朝とは感じが違うことに戸惑いながらも、スーザンはジョーとの距離を縮めていく。

ジョーは、ビルの会社にもついて回る。役員会に出席し、クッキーをむさぼるジョーに、ビルは困惑し、役員もみな戸惑う。中でもドリューはいら立ちを隠さない。折から会社では成長の為に、他社との合併話が出ていたが、ビルは突然白紙撤回を宣言する。自らの死期を知り、改めて利益ありきの合併を考え直すことにしたのである。そしてジョーは、今度はスーザンの病院に向かう。スーザンは戸惑いながらも、喜びを隠せない。入院患者の老婦人がジョーを見て怯えるが、痛みから解放されたいからあの世へ連れて行ってくれとせがむ。そういう力は無いと断るジョー。

突然、死神が目の前に現れて、しばらく猶予をやるから人間界を案内しろと言われたビル。なんとなく予感はしていたものの、心中は穏やかではないだろう。さらにビルの心変わりを気に入らないドリューは、取締役を言葉巧みに説得し、ビルを退任に追い込む。一方、そんな事を露知らぬスーザンは、次第にジョーに惹かれていく。ジョーもまたキスの心地良さを知り、スーザンに対する気持ちを深めていく。スーザンに心から愛せる人を探せとけしかけたビルであるが、さすがにジョーとの関係はまずい。公私に渡ってビルは窮地に陥る・・・

突然目の前に死神が現れたら、人は逃げるか運命として受け入れるかであろう。イメージとしては、死の直前に現れるものなのだろうが、この死神は人間界を見学したいという事で死期を延ばすという。よくよく考えてみれば実に身勝手であるが、死神なのでそんなものなのかもしれない。そうして人間界に降り立った死神は、なんと人間との恋愛も経験する。それであろう事か相手を連れて行こうとするから、ビルが慌てふためくのも当然である。それでも最後は何とかすべてが丸く収まり、ビルも安堵する。

「その日」はビルの誕生パーティーの夜とされる。人間、最後の時がわかっていればいろいろと準備をして心穏やかにその時を迎えられるのかもしれない。と言ってもビルのように人生の終盤(65歳では今の感覚ではまだ早いか)になっていればこそかもしれない。すべてに満足したかのようなビルの表情は、自分もかくありたいと思わされる。それにしてもアンソニー・ホプキンスは実にいい味を出しており、若きブラピはどこまでもイケメンである。なぜか「人間的な」成長を遂げた感のある死神はどこかユーモラスでもある。

ある日突然何処かから声が聞こえてきたら・・・
『フィールド・オブ・ドリームス』(My Cinema File 77)のようであれば良いが、いくらイケメンでも死神ではなぁ・・・
ラストで「再会」したスーザンと青年。その先をしみじみと想像してみたくなる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年02月19日

【天使のくれた時間】My Cinema File 2970

天使のくれた時間.jpg

原題:The Family Man
2000年 アメリカ
監督: ブレット・ラトナー
出演
ニコラス・ケイジ:ジャック・キャンベル
ティア・レオーニ:ケイト・レイノルズ
ドン・チードル:キャッシュ・マネー
ジェレミー・ピヴェン:アーニー
ソウル・ルビネック:アラン・ミンツ
ジョセフ・ソマー:ピーター・ラシッター
マッケンジー・ヴェガ:アニー・キャンベル

<映画.com>
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多忙なビジネスマンが別の人生を生きることで愛の大切さを知るラヴ・メルヘン。監督は「ラッシュアワー」のブレット・ラトナー。脚本はデイヴィッド・ダイアモンドとデイヴィッド・ワイスマン。撮影は「ワンダー・ボーイズ」のダンテ・スピノッティ。音楽は『プルーフ・オブ・ライフ』のダニー・エルフマン。衣裳は『あの頃ペニー・レインと』のベッツィ・ハイマン。出演は「60セカンズ」のニコラス・ケイジ、「ディープ・インパクト」のティア・レオーニ、「ミッション・トゥ・マーズ」のドン・チードル、「ベリー・バッド・ウェディング」のジェレミー・ピヴェンほか。
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折に触れ、かつて観た映画を観直している。この映画はニコラス・ケイジの多作な出演作の中でも印象深い方に入る映画として記憶に残っている。

時に1987年、ジャックはロンドンにある銀行での研修へ向かうため恋人のケイトと空港に来ている。ジャックは金融の世界へ、ケイトは法律の世界へとそれぞれのキャリアを築くため、一時的に離れ離れになる別れを惜しんでいる。話し合って決めた結論なのに、直前になってケイトは「考え直して欲しい」とジャックを引き留める。されど一度決めた事だからとジャックは旅立っていく。

それから13年後、ニューヨークのウォール街で成功し大手投資会社の社長になったジャックは、優雅な独身生活を満喫している。自宅は豪華な高層マンションで、女性とも浮名を流している。どうやら、ケイトとは別れてしまったようである。成功の裏にあるのはハードワーク。クリスマス・イヴの夜にも幹部を招集し、2日後に控えた重要なM&Aについての会議をしていると、その間にケイトから連絡が入ったと秘書が報告する。あえて何もせずジャックは帰路に着く。

途中で立ち寄ったコンビニで黒人の青年キャッシュと店員とのトラブルに遭遇する。店員の理不尽な対応に激怒したキャッシュは銃を突きつけるが、ジャックが穏やかに交渉し事なきを得る。ジャックはキャッシュと話をするが、その会話の中で「僕はなんでも持ってる」と答えると、キャッシュは「これから何が起きてもあんたの責任だ」という不思議な言葉を残して去っていく。

翌朝、ジャックが目を覚ますと部屋の雰囲気が一転している事に気付く。隣にはかつて別れたはずのケイトが寝ており、2人の子供が「パパ!」と起こしにくる。わけがわからず、マンハッタンの高層マンションにある自分の部屋に戻るも、なぜか顔見知りだった警備員も理事仲間の知人もよそよそしい態度を取る。極めつけは、勤務先の投資会社に行くと社長の名前に自分の名前はなく、何もかもが変わっている。状況を理解できないジャックの前に現れたキャッシュは、「答えは自分で探せ」とだけ告げると姿を消してしまう。

ジャックは仕方なくケイトのいた家に戻るが、そこには自分の知らない自分の生活がある。時にクリスマスであり、2人で友人宅のパーティーに参加する。そこでも顔見知りの知人たちとの交流があるが、誰もが「投資会社に勤めているジャック」ではないジャックを前提に話をする。唯一娘のアニーだけが様子のおかしいジャックを「パパじゃない」と言う。どうやら父に変装した宇宙人だと思ったようである。

不可解なままジャックは新たな世界での生活を始める。弁護士のケイトはボランティアでの仕事が多く、タイヤの小売り店に務めるジャックはそれほど稼ぎがあるわけでもない。2人の子供を保育園に送り届け、仕事に向かう。そしてだんだんとその世界は、1987年にジャックが海外研修を中止し、戻ってケイトと結婚した世界であることが分かってくる。羽振りの良いかつての独身生活と庶民的でも家族に囲まれた生活。どちらがいいかは難しいところだが、ジャックは元の世界の栄光が忘れられない。

「今生きている人生とは別の人生があったかもしれない」という思いは誰もが抱くかもしれない。しかしそれはたいてい「今よりもいい人生」という事が多いと思う。しかし、ここでは主人公のジャックは今の生活に満足していて、ケイトや子供たちとの生活を望んでいないというところが一味違う。それは務めるタイヤ店に投資会社の会長が偶然やって来た時、ここぞとばかりに自分の能力を売り込むところに現れている。会長の興味を引く事はたやすい事であり、ジャックは難なくそれに成功する。

しかし、嫌々ながら続けていた「家族との生活」が次第にジャックの心に浸透していく。それまで気がつかなかったものに気付いていくジャック。やはり大切なものは金や社会的な地位ではないという事に気付くジャックの姿に、観る者は安堵する。ラストでジャックとケイトは空港のカフェで話をする。2人でどんな話をしたのだろうか。2人の幸せなその後を想像してみたくなる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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