2017年05月12日

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

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原題: Miss Peregrine's Home for Peculiar Children
2016年 アメリカ
監督: ティム・バートン
出演: 
エイサ・バターフィールド:ジェイコブ・"ジェイク"・ポートマン
エヴァ・グリーン:アルマ・ルフェイ・ペレグリン
テレンス・スタンプ:エイブラハム・"エイブ"・ポートマン
エラ・パーネル:エマ・ブルーム
サミュエル・L・ジャクソン:バロン
ジュディ・デンチ:エスメラルダ・アヴォセット

<映画.com>
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『チャーリーとチョコレート工場』 『アリス・イン・ワンダーランド』のティム・バートン監督が、ランサム・リグズによる全米ベストセラー小説「ハヤブサが守る家」を映画化し、人とは異なる奇妙な能力を持った子どもたちが織りなす物語を描いたミステリアスファンタジー。周囲になじめない孤独な少年ジェイクは、唯一の理解者だった祖父の遺言に従い、森の奥にある古めかしい屋敷を見つける。そこには、美しくも厳格な女性ミス・ペレグリンの保護のもと、空中浮遊能力を持つ少女や透明人間の男の子、常に無口な双子といった、奇妙な子どもたちが暮らしていた。主人公ジェイク役は『ヒューゴの不思議な発明』で知られるエイサ・バターフィールド、ミス・ペレグリン役は『007 カジノ・ロワイヤル』 『ダーク・シャドウ』のエヴァ・グリーンが務めている。
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 ティム・バートン監督と言えば、これまでも“不思議系”の映画を数々と手掛けてきた監督だが、もう名前を聞くだけでその手の映画だろうとイメージしてしまう。そしてこの映画も、そんな期待通りの“不思議系”である。

 主人公は、フロリダ州に住むジェイク。両親と3人暮らしであるが、ある時近隣に住む祖父から電話を受ける。ただならぬ様子にすぐに駆け付けるが、家の中は荒らされ、祖父は目玉をくりぬかれて倒れている。そして一瞬目にした奇妙なモンスターの姿。祖父はそのまま死に際に謎の言葉を残して息絶える。小さい頃から祖父に不思議な話を聞かされて育ったジェイクは、ショックでしばらくカウンセリングを受ける。

 父親とともに祖父の遺品整理をしていたジェイクは、そこで幼い頃から聞かされていた「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」の写真やミス・ペレグリンから祖父の誕生日に送られた手紙を発見する。感じるものがあったジェイクは、父に頼み祖父に聞いたケインホルム島へ行く。そして地元の若者に教えられるまま向かった森の奥で、朽ち果てた屋敷を発見する・・・

 こうしてジェイクは、不思議な世界へと足を踏み入れる。そこはある種の「能力」を有している者にしか行くことのできない世界「ループ」であり、そこでは1943年の9月3日が永遠に繰り返されている。そしてそこにいるのは、ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち。ハヤブサに変身できるミス・ペレグリンをはじめ、怪力の少女、ふわふわと空中に浮いてしまう少女、あらゆるものに生命を吹き込む少年等々の異能力の持ち主。

 一方、祖父を殺したのはバロンという異能者に率いられたモンスター軍団。狙うは異能者の子供の目玉。こうしてジェイクは、祖父がかつて一緒に過ごしたというミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちとバロンの陰謀に対峙することになる。この手のストーリーには、敵がいてみんなでピンチを切り抜けるというのが王道である。ジェイクもみんなそれぞれの異能を活かし、バロンと対決する。

 この異能なのであるが、その種類はみな違う。何となく観ていて既視感に覆われたのであるが、考えてみればこれは『X-MEN』シリーズと似通っているなということ。ただし、こちらの方が異能者がみんな子供ということもあって、戦いもかわいらしいものになっている。

 主人公のジェイクを演じるのは、『ヒューゴの不思議な発明』のエイサ・バターフィールド。『ヒューゴの不思議な発明』ではまだ幼い感じが残っていたが、さすがに成長している。『スーパーマン』のゾッド将軍のイメージがいまだ残るテレンス・スタンプももういいおじいちゃんである。

 祖父との幼い孫の交流。祖父の話す不思議な話に目をキラキラさせて聞き入る孫。父と子ではなく、祖父と孫という関係の持つ「深さ」もこの映画から感じるところである。我が家の子供たちにもこういう関係を持って欲しかったし、持たせてやれなかった後悔がちらりと脳裏をよぎる。

 エンターテイメントとして、純粋に楽しめる映画。ティム・バートンのこの手の作品はいつまでも観続けたいと改めて思わされる一作である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年05月01日

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

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原題: Fantastic Beasts and Where to Find Them
2016年 アメリカ
監督: デヴィッド・イェーツ
原作・脚本: J・K・ローリング
出演: 
エディ・レッドメイン:ニュート・スキャマンダー
キャサリン・ウォーターストン:ポーペンティナ(ティナ)・ゴールドスタイン
ダン・フォグラー:ジェイコブ・コワルスキー
アリソン・スドル:クイニー・ゴールドスタイン
コリン・ファレル:パーシバル・グレイブス
カルメン・イジョゴ:セラフィーナ・ピッカリー
エズラ・ミラー:クリーデンス・ベアボーン
ジョン・ヴォイト:ヘンリー・ショー・シニア
ジョニー・デップ:ゲラート・グリンデルバルド

<シネマトゥデイ>
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『ハリー・ポッター』シリーズの原作者J・K・ローリングが映画の脚本に初参加し、『リリーのすべて』などのエディ・レッドメインらが出演したファンタジー。不思議な生き物たちが詰まったトランクを手にイギリスからニューヨークに渡った魔法動物学者が、そのうち数匹を逃がしたことから始まる大騒動を描く。『スティーブ・ジョブズ』などのキャサリン・ウォーターストンらが出演。アメリカを舞台に魔法動物学者と仲間たちが巻き起こす旋風に興奮する。
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 大ヒットした『ハリー・ポッター』の続編というか姉妹編とでもいうか、新たなシリーズとして話題となった作品。

 1926年、イギリスの魔法使いで魔法生物学者であるニュート・スキャマンダーが、ニューヨークに到着する。まだ時代は船での移動である。何やら中に入っているらしいトランクを抱え、入国検査では中身の提示を求められ、「マグル」用を選択すると中は普通の旅行道具となっている。そしてニュートが、魔女や魔法使いを危険視するスピーチを聞いている間に、トランクから魔法生物が逃げ出してしまう。

 それをつかまえようとして戸惑うニュート。魔法生物は光るものが好きと見えて、銀行に入り込んで硬貨を次々と手に入れていく。追いかけるニュートは、たまたま居合わせたジェイコブ・コワルスキと出会う。そしてひょんなことから2人が持っていたトランクが同じものだったことから、取り違えてしまう。一方、アメリカの魔法組織に属するティナ・ゴールドスタインは、ニュートを見つけ無登録の魔法使いとして逮捕する。

 その頃、ニュートのトランクを取り違えたジェイコブのところでは、トランクから生きものが複数逃げ出してしまい、アパートを壊してジェイコブは噛まれと大混乱が生じる。ティナとニュートがジェイコブは、現場に急行し逃げた生物を探すことになる。そして2人を見張ることとなったティナは、彼らを自分のアパートに連れて行く。そこには人の心を読むことのできる妹のクイニーがいる。こうして4人は、必然的に逃げた魔法生物の行方を追うこととなり、それと並行して進む悪巧みに巻き込まれていくこととなる・・・

 終わったと思っていた人気シリーズが、形を変えて復活するというのも面白いとこの映画を観て思う。ここにはハリー・ポッターやその仲間たちは一切出てこない。唯一タンブルドアの名前が出てくるだけである。しかし、そこに展開される魔法使いたちの姿は、まさに『ハリー・ポッター』シリーズのそれである。好きな人にはたまらないかもしれない。

 そして舞台はイギリスからアメリカへと移る。時代はシリーズよりも前となる。アメリカにも魔法使いがいて、しかもイギリスでは「マグル」と呼ばれていた人間は、アメリカでは「ノー・マジ」(=ノー・マジック)と呼ばれている。イギリス英語とアメリカ英語の違いであり、ささいなところだが面白い。

 物語は、逃げ出した魔法生物を追う騒動と、それと並行して暗躍する悪役との対決があって、面白おかしく進んでいく。見所はと言えば、やはり繰り広げられる魔法の世界だろう。ニュートのトランクの中などは、やはり魔法世界ならではであり、そしてそれを実現する映像力であろう。難を言えば、タンブルドアの名前以外にも『ハリー・ポッター』シリーズの世界とのつながりがあったのかもしれないが、イマイチそのあたりがよくわからなかったことだろう。

 最後の最後にジョニー・デップが登場したりして、なかなか遊び心にも満ちている感があった。これもシリーズ化されるなら続けて観ていきたいと思うところである。夢のあるシリーズゆえに、ずっと続いていくことを望みたい映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年04月29日

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント

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原題: The BFG
2016年 アメリカ
監督: スティーブン・スピルバーグ
出演: 
マーク・ライランス:BFG / ビッグ・フレンドリー・ジャイアント
ルビー・バーンヒル:ソフィー
ペネロープ・ウィルトン:女王
ジェマイン・クレメント:マルノミ(フレッシュランピーター)
レベッカ・ホール:メアリー
レイフ・スポール:Mr.ティブズ
ビル・ヘイダー:チダラリン(ブラッドボトラー)
オラフル・ダッリ・オラフソン:ツブシー(メイドマッシャー)
アダム・ゴドリー:ハグリン(マンハガー)

<映画.com>
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スティーブン・スピルバーグ監督が、『チャーリーとチョコレート工場』で知られるイギリス児童文学作家ロアルド・ダールの名作「オ・ヤサシ巨人BFG」を映画化したファンタジー。スピルバーグ監督作『ブリッジ・オブ・スパイ』でアカデミー賞を受賞したマーク・ライランスが演じる心優しい巨人と、孤独な少女の心温まる友情と奇想天外な冒険を描いた。ロンドンの児童養護施設に暮らす好奇心旺盛な少女ソフィーは、真夜中に窓から入ってきた巨大な手に持ち上げられ、「巨人の国」に連れて行かれてしまう。ソフィーを連れ去ったのは、夜ごと子どもたちに夢を届ける、優しい巨人BFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)だった。ひとりぼっちのソフィーは、自分と同じく孤独なBFGと心を通わせていく。
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 主人公は、ロンドンの児童養護施設で暮らすソフィー。不眠症であるらしく、いつも夜中に独り起きている。そんなある夜も一人起きていると、突然窓の外にとてつもなく大きな男がいるのを目撃してしまう。大男はソフィーに気がつくと、窓から手を入れソフィーを捕らえるとそのままいずこかへと連れて行く。

 ソフィーが連れて行かれた先は巨人の国の男の部屋。部屋の中は何もかもが巨人サイズ。ソフィーは恐ろしくなって帰らせてくれと巨人に懇願するも、姿を見られた以上、他の人間たちに話されても困ると聞く耳を持たない。巨人は言葉に難があり、うまく話せない。それで人間(human being)をマメ(beans)と言っている。そんな巨人だが、実は心根は優しいとわかり、ソフィーは巨人をBFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)と呼ぶ。

 驚くのはここからで、実は巨人の国の住人は他に9人の巨人がいる。その9人はいずれもBFGよりもはるかに大きく、それが故にBFGは他の巨人たちから蔑まれている。そして巨人たちの好物は人間。かつてBFGがソフィーと同じように姿を見られ、連れてきた男の子がいたが、巨人たちに見つかり食べられてしまったと言う。そして巨人たちは、新たな人間の臭いを嗅ぎつける・・・

 BFGはお化けキュウリというまずい食べ物を食べ、プップクプーというフザけた飲み物を愛し、様々な夢を捕まえては人間たちにそれを見せたりしている。次第に心を通わせて行くソフィーとBFG。このあたりは実に子供が喜びそうなファンタジーに溢れている。しかし、ネックになるのは人間を食べる他の巨人たち。巨人たちは夜な夜なロンドンあたりに出没しては、子供達を捕らえて食べている。そんな状況を変えようとソフィーはBFGに決意を促す・・・

 ディズニーとスピルバーグの合体ということで、この映画は話題になったようである。ストーリーはまさにそんな合体を象徴するかのようにほのぼのとしている。そして現代の映像技術は、巨人の存在も不自然なく描き出して観せてくれる。まあツッコミどころはあるのであるが、そこはこだわらずに観たいところである。

 個人的には、女王陛下とBFGが謁見するシーンが愉快で良かったと思うが、全体として安心して観ていられる映画となっている。巨人退治も子供の視点を意識したものになっていて、これは親子で楽しめる映画でもある。それにしても、今の不夜城のような大都会では、巨人も夜中にウロウロできないだろうなどと思ってしまう。現代社会では生まれにくいファンタジーで、文明が栄える分、人間は夢を失って行くような気もする。想像力にあふれた時代の良さを感じさせるロンドンの姿もいい雰囲気だったと思う。

そんなことを感じながら鑑賞したが、心が温かくなる良い映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年01月31日

ジャングル・ブック

ジャングル・ブック.jpg

原題: The Jungle Book
2016年 アメリカ
監督: ジョン・ファヴロー
出演: 
ニール・セティ: モーグリ
ビル・マーレイ: バルー(声)
ベン・キングズレー: バギーラ(声)
イドリス・エルバ: シア・カーン(声)
スカーレット・ヨハンソン: カー(声)
クリストファー・ウォーケン:キング・ルーイ(声)

<シネマトゥデイ>
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ラドヤード・キプリングによる名作を実写化したアドベンチャードラマ。ジャングルで黒ヒョウとオオカミに育てられた少年が、一匹のトラとの出会いを通して壮大な冒険に身を投じる。監督は『アイアンマン』シリーズなどのジョン・ファヴロー。主演は2,000人もの候補から抜てきされた新星、ニール・セティ。ベン・キングズレー、ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソンなどのスターが、動物たちの声を務める。動物と自然の風景の全てを創造した最先端CGに圧倒される。
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何となく昔から「ディズニーのアニメ」という認識で記憶の底の方にある「ジャングル・ブック」。あらためて原題を見て、「ジャングルの本」というタイトルだとわかる。そんな古くて有名な物語だが、内容はほとんど記憶にないので新鮮な気持ちでこの実写版を観る。

物語の主人公は、人間の少年モーグリ。子供の頃森でクロヒョウのバギーラに拾われ、バギーラによってオオカミたちに託され、育てられていた。日々仲間のオオカミたちとジャングルの中を走り回っている。オオカミの群れを束ねるのは、リーダーのアキーラ。ジャングルの掟を守り、群れの結束を高めている。

そんなジャングルで雨季が終わり、熱くて長い乾季が訪れる。川の水が乾上がって平和の岩が姿を現すと、ジャングルには休戦の時が訪れる。この時は、普段肉食獣を恐れる草食動物たちも安心して水を飲める。しかし、トラのシア・カーンが現れると、休戦期間であっても周囲に緊張感が溢れる。シア・カーンは、かつて人間により火傷を負わされており、その恨みを人間の子供であるモーグリに抱いている。そして、水の休戦が終わったら、モーグリを庇う者に危害を加えることを示唆する。

そしてジャングルに雨が戻ってきたその夜、モーグリはこの件で揉めているオオカミたちのもとへ行き、出ていくことを宣言する。母親役を務めきたラクシャは猛反対したが、バギーラもそれがモーグリの命を救う最善の方法でもあるとして、自ら彼を人間の村に送り届けることする。しかし、モーグリを狙うシア・カーンはこれを追い、モーグリはすんでのところでこれを逃れる・・・

こうして逃げるモーグリとこれを狙うシア・カーンを中心に物語は進んでいく。そしてそれぞの動物たちとの交流。オオカミたちは群れの結束を大事にし、森の中でゾウの群れに遭遇すれば、頭を下げて敬意を示さなければならない。道中では、大蛇のカーの催眠術で食べられそうになり、熊のバルーとの出会い冬眠の手伝いをする。猿たちの王バンダー・ログに「赤い花(つまり火)」を手に入れろと迫られと、冒険が続いていく。

 何せ、登場「人物」はモーグリと回想シーンに出てくるモーグリ親子のみ。あとはすべて動物たちである。しかし、その声の出演者は実に豪華である。と言ってもわかったのは、大蛇のカーの声のスカーレット・ヨハンソンのみで、あとはわからなかったが・・・スカーレット・ヨハンソンの声だけ出演は、『her/世界でひとつの彼女』でもあったが、独特のボイスはすぐわかったのである。

 映像は実に見事であり、動物たちもみな生き生きと本物のごときである。今やどんな世界でも表現可能な映像力は改めてすごいものであると思う。個人的に気に入ったのは、モーグリと熊のバルーとのやり取りだろうか。「クマのプーさん」そのままに、うまいこと言ってモーグリにハチミツを取らせるバルー。いかにも怠け者風であるのだが、肝心なところではしっかりモーグリを助ける。キャラクター的にも一番気に入ったところである。

 本来のストーリーが同じなのか違うのかはわからないが、実に楽しめる映画である。大人から子供まで、一緒に観ても楽しいだろう。さすがディズニーと言える、ディズニーらしい映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年01月15日

シンデレラ

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原題:  Cinderella
2015年 アメリカ
監督: ケネス・ブラナー
出演: 
リリー・ジェームズ: エラ/シンデレラ
ケイト・ブランシェット: トレメイン夫人
リチャード・マッデン: キット王子
ヘレナ・ボナム=カーター: フェアリー・ゴッドマザー
ノンソー・アノジー: 大佐
 ステラン・スカルスガルド:大公

<シネマトゥデイ>
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古くから人々に親しまれている「シンデレラ」の物語を実写化したラブストーリー。継母と義姉妹から冷遇される日々を送っていた女性が、未来を切り開く姿を追い掛ける。メガホンを取るのは、演技派俳優で『ヘンリー五世』などで監督としても高い評価を得ているケネス・ブラナー。テレビドラマ「ダウントン・アビー」で注目を浴びたリリー・ジェームズがシンデレラにふんし、その脇を『ブルージャスミン』のケイト・ブランシェット、『英国王のスピーチ』のヘレナ・ボナム=カーターといった実力派が固めている。
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 物語は、知らぬ人がいないというくらい有名な童話。ストーリーは良く知っているが、それがあらためて実写映画となるとどうなるのか。そういう実写版は、これまでも『赤ずきん』『美女と野獣』などを観てきているが、どれも成功していると思っている。そんなわけで迷うことなく観ることにしたのがこの映画。

主人公のエラは貿易商の父と美しい母とに囲まれ、豊かに幸せに暮らしている。ところが、母が病で亡くなってしまう。エラは、「辛いことがあっても勇気と優しさを忘れないで」という母の教えを守り、美しく成長していく。やがて父に再婚話が持ち上がる。やってきたのは継母とその連れ子の娘ドリゼラとアナスタシア。エラは3人を心から迎え入れる。

そんなある日、商売に出ていたエラの父が、急な病で突然帰らぬ人となる。収入が激減することになった一家。継母は使用人をすべて解雇する。継母と娘姉妹は、使用人に任せていた仕事をすべてエラにやらせる。屋根裏部屋に追いやられたエラは召使い同然の扱いを受けることになる。寒さに耐えきれず居間の暖炉の前で眠り、翌朝その灰にまみれた顔のエラに対し、姉妹は“灰まみれのエラ=シンデレラ”と呼んで蔑む。

それまでじっと耐えてきたエラは、悲しみのまま家を飛び出し、森へと馬を走らせる。そこでエラは、狩りに来ていた青年と出会う。キットと名乗るその青年は、実は王子であるが、王子はあえて身分を明かさずエラに心惹かれたまま二人は別れる。一方、国と王子の行く末を案じる国王は、王子に結婚を勧める。しかし、政略結婚を嫌う王子は心密かに森で出会ったエラのことを思う。結婚相手を選ぶ舞踏会を開くことを国王が決めると、王子は条件として国中のあらゆる未婚女子を招待することを求める・・・

 当時の社会に「生命保険」などというものはなかったのだろうが、一家の大黒柱が倒れ、家計が傾くというのも珍しいことではなかっただろうと思う。豊かな生活から一転して苦境に陥る。継母にしてみれば、アテが外れたであろうし、実の娘より連れ子に辛く当たるのも道理であろう。そうした辛い立場の人たちが、救いを求めるとしたら、やはりこうした「シンデレラストーリー」なのではないだろうか。多分、それは現代に至るまで変わらないだろう。

辛くとも優しさを失わないエラの元に、魔法使いがやってくる。白雪姫では悪の立場だが、シンデレラでは救いの神だ。かぼちゃを馬車に変え、ネズミたちを馬に、トカゲを御者に変え、そしてガラスの靴をプレゼントする。清く正しく生きていれば、救いは訪れるというメッセージとも言える。そうして城のパーティーで王子と再会したシンデレラは、楽しいひと時を過ごす。

最近は、映像技術によって魔法もごく自然に見える。ガラスの靴のエピソードもわかっていても嬉しくなる。やはり幼い頃に親しんだせいか、わかっていても心温まるストーリーである。結局のところ、貧しくとも辛くとも清く正しく生きるべしというメッセージがこもったストーリー。世の中の人は皆子供の頃は心を動かされ、かくあるべしと思ったはず。だが、いつのまにか継母の立場になっている人も少なくないだろう。それにしてもその継母を演じているのはケイト・ブランシェット。有名女優が悪役を演じるのは、『白雪姫と鏡の女王』のジュリア・ロバーツと趣向は一緒。それはそれで見どころでもある。

 それにしても、改めて原点の大切さを考えさせられる。わかっていても心を動かされるのは、この物語自身が持つ不変の原理だと思う。大人から子供まで、観て良しの映画である・・・


評価:★★★☆☆



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