2025年10月31日

【花椒(ホアジャオ)の味】My Cinema File 3081

花椒(ホアジャオ)の味.jpg

原題: 花椒之味 Fagara
2019年 香港
監督: ヘイワード・マック
出演: 
サミー・チェン:ユーシュー
メーガン・ライ:ルージー
リ・シャオフェン:ルーグオ
リウ・ルイチー:ジャン・ヤーリン
ウー・イエンシュー:リウ・ファン
リッチー・レン:チョイ・ホーサン
ケニー・ビー:ハー・リョン
アンディ・ラウ:クォック・ティンヤン

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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父が遺した火鍋店を継ぎ、秘伝のスープを再現する過程を通して、香港、台北、重慶と別々の土地で育った三姉妹が、家族の温かさに触れて、自分自身と向き合う癒しと成長の物語。プロデューサーは2020年にヴェネチア国際映画祭で生涯功労賞を受賞したアン・ホイ。父親の死によって初めてお互いの存在を知った三姉妹には、真面目な性格のハー・ユーシュー(夏如樹)役に香港のトップスター、サミー・チェン、プロのビリヤード選手でボーイッシュな次女オウヤン・ルージー(欧陽如枝[知])役に台湾の女優メーガン・ライ、ネットショップのオーナーの三女シア・ルーグオ(夏如果)役に中国の女優リー・シャオフォンが選ばれた。脚本・監督は「烈日当空(原題)」のヘイワード・マック(麥曦茵)。また、豪華俳優たちが香港・台湾・中国から集結。ユーシューが心を開く麻酔医チョイ・ホーサン(蔡浩山)にリッチー・レン(任賢齊)、元婚約者クォック・ティンヤン(郭天恩)にアンディ・ラウ(劉コ華)、ルージーの母親ジャン・ヤーリン(張雅玲)役に台湾のベテラン、リウ・ルイチー(劉瑞h)、ルーグオの祖母リウ・ファン(劉芳)役に中国国家一級俳優のウー・イエンシュー(吳彥姝)、ふらふらして頼りないが愛情あふれる父親ハー・リョン(夏亮)役に歌手・俳優のケニー・ビー(鍾鎮濤)など。この映画の「花椒の味」とは何か。三姉妹の名前に込められた「祈り」が心に沁みわたる。
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香港の旅行代理店で働くユーシューのもとに、疎遠だった父が倒れたとの報せが入ったところから物語は始まる。すぐに病院に駆け付けたユーシューだが、父は既に亡くなったあとであった。久しぶりに父リョンの火鍋店「一家火鍋」へ行き、遺品の携帯を見ていると、自分とよく似た名前があるのに気づく。葬儀の日、携帯で見た名前のルージーが台北から、そしてオレンジに髪を染めたルーグオが重慶からそれぞれ出席する。実は3人はそれまでお互いの存在を知らなかったが、異母姉妹であるとわかる。

変わった葬儀だと思って観ていたが、実はそれは道教の葬儀だと説明される。部屋の中にもかかわらず火を焚いて炎の周りを舞ったり、副葬品を燃やしたりする儀式などが興味深い。しかし、父の宗教は仏教だったと教えられる。そのあたりも含めて父とユーシューの間柄が疎遠だったことをうかがわせる描写である。それもそのはず、父はユーシューが小さい頃、他に女を作って家を出ていたのである。その女の娘がルージーで、実はそのあとにも女がいて、ルーグオが生まれたのである。

ちょっと考えると複雑な関係の3姉妹である。長女のユーシューには父が出て行ったあとの母との生活の記憶がある。亡くなる直前、病気の母の下に戻ってきた父であるが、そんな父に反発する気持ちが心のどこかにある。次女のルージーは、母が再婚し、また別の家庭があってそこに居心地の悪さを感じている。実母との会話もいつもぎこちない。三女のルーグオは、母親が再婚でカナダに行く時、おばと呼べと言われてカナダへ行かずに祖母との同居を選んでいる。3姉妹それぞれが家族との間で人間関係のもつれを抱えている。

あとに残された火鍋店。契約期限は1年残っているが、父は料理を自分でやっていて、その下で働いていた店員は肝心な料理ができない。ユーシューはいったんは店舗を売却しようとするが、長年働いてきた店の再開を切望する従業員の思いを受け、また亡き父に対しそこかしこに残るものから伝わってくるものがあり、火鍋店を継ぐ決意をする。とはいえ、慣れない客商売にユーシューは自転車操業で店の切り盛りに追われる。そんな時、次女と三女が火鍋店に現われ手伝いを申し出る・・・

こうして始まった3姉妹の奮闘記。ルージーとルーグルもまた家庭に居場所を見いだせないという事情もある。父の死によって初めて会った姉妹だが、父の残した火鍋店が姉妹の新たな居場所になっていく。父親がいったいどういう死因で亡くなったのかは描かれていない。しかし、その死は急だったようで、それは店の後継が何も決まっていないことに現れている。店を再開したのはいいが、肝心の火鍋の味が出せない。客からも味が変わったと言われてしまったりする。

それでも3姉妹が仲良く協力しあって店を切り盛りする様子は見ていて心地良い。もしも天国があって父親がこの様子を見たら、きっと驚き、そして目を細めるに違いない。3姉妹それぞれが個人的には悩みを抱えている。世の中なかなか思う通りにはいかないもの。それでも3姉妹がそろったことで、それなりの道を見出していく様子が見ていて心地良い。亡き父親も随所で笑顔で登場するが、そもそも女癖が悪かったところは映画では不問に付される。そこを突っ込むと3姉妹の物語が霞んでしまう。

父を亡くした3姉妹の物語というと、なんとなく『海街diary』(My Cinema File 1737)を連想してしまう(こちらは4姉妹だけど)。女だけの姉妹というのも独特の関係性があるように思う。長女、次女、三女とそれぞれに性格が違い、それぞれの生き方がある。姉妹がそれぞれ香港、台北、重慶と3つの地域出身というのも面白い。中国が台湾も中国だとみなしているのかと勘ぐってしまうが、それはそれとして、それぞれ違った地域(香港、台湾、本土)というのも含みがあるのかもしれない。

香港映画ではあまりお目にかからないように思える味わい深い人間ドラマである・・・


評価:★★★☆☆








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2025年02月08日

【チィファの手紙】My Cinema File 2966

チィファの手紙.jpg

原題: Last Letter
2018年 中国
監督: 岩井俊二
出演: 
ジョウ・シュン:ユアン・チィファ
チン・ハオ:イン・チャン
ドゥー・ジアン:ジョウ・ウェンタオ
チャン・ツィフォン:少女時代のチィファ/サーラン
ダン・アンシー:少女時代のチィナン/ムームー
ジーホン:タン・ジュオ
フー・ゴー:ジャン・チャオ
ビィン・テンヤン:少年時代のイン・チャン
フー・チャンリン:チェンチェン
ウー・ヤンシュ:ウェンタオの母

<シネマトゥデイ>
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『花とアリス』などの岩井俊二が監督を務め、自身の小説「ラストレター」を中国で映画化したラブストーリー。姉の同窓会に出席したヒロインが姉本人と勘違いされ、再会した初恋の人と手紙を交わすようになる。出演は『小さな中国のお針子』などのジョウ・シュンと『長江 愛の詩』などのチン・ハオなど。プロデューサーとして『捜査官X』などのピーター・チャン監督が参加している。
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監督が岩井俊二となっていて興味を持ったこの映画、実は『ラストレター』(My Cinema File 2341)の中国版だという。ただし、こちらの映画の方が制作年次は早い。ストーリーは基本的に同じである。

姉チィナンが亡くなり、妹のチィファは葬儀を終える。たまたま姉宛に同窓会の案内が届いており、チィファはそのことを伝えるため同窓会に出席する。しかし、チィファはなぜか姉に間違えられる。どうやら定期的に開かれている同窓会ではなく、時間を置いた久しぶりのものであったようである。それもあって姉と間違われる他のであるが、少し考えればありえない設定である(普通であれば案内状に返信する形で連絡するだろうし、あるいは入口でそう告げて帰るだろう)。しかし、それはそれとして受け止めて観ていく

同窓会には、チィファが憧れていたイン・チャンも来ている。もしかしたらチィファが姉に間違われたまま席に着いたのは、どこかでチャンに会う事を期待していたのかもしれない。そのチャンは遅れてやって来る。間違われたままスピーチまでしてしまうチィファはさすがに途中で席を立つ。そのチィファのあとをチャンは追いかける。2人の会話はどこか噛みあわない。チャンは小説家としてデビューし、処女作が話題になったが、その後は鳴かず飛ばず。ドラマの脚本を書いて細々と物書きとして生きている。名残惜し気に別れる2人。否、名残惜し気なのはチャンの方である。

チィファはチャンにスマホの連絡先を交換して帰る。そして帰宅した後、チャンからさっそくメッセージが届く。ところがそれを見た夫が激怒してスマホを壊してしまう。やむなくチャンに手紙を書くチィファ。自らの連絡先は伏せたまま、思う事どもを綴る。かつてチャンと姉のチィナンは同級生。チィナンに憧れるチャンとそのチャンに憧れるチィファ。チャンの気持ちを知りつつ、姉にラブレターを書けと言う。その助言に従ってチィナンにラブレターを書くチャン。それをチィファに渡すが、チィファはそれを姉に渡さない。ある時チャンはチィファと話をするが、その時チャンはチィナンが手紙を読んでいない事に気づく。

物語はチィナンとチィファとチャンの学生時代と現在、そしてチィナンとチィファの娘と3つの物語が交差していく。基本的にストーリーは『ラストレター』(My Cinema File 2341)と同じである。亡くなった姉を中心として動く物語。かつての秘めた想いが蘇る。チャンが唯一発表した小説は「チィナン」。姉のチィナンとの思い出を綴ったもの。別れて以来、書けなくなってしまったチャン。男は昔の女の影を引きずるものである。

ノスタルジー溢れる物語。基本的にストーリーは同じであるが、個人的には日本版の方が良かったと思う。それは先に観たからというわけではなく(けっこうストーリーは忘れていたので既視感は少なかった)、もしかしたら出演陣によるものかもしれないし、日本の物語だから日本の風景が良かったのかもしれない。個人的にはそんな感想を抱いたが、中国人がこの映画をどう観たのかはちょっと気になるところであった。

どういう経緯で中国版が(日本よりも早く)できたのかはわからないが、岩井俊二監督の紡ぎ出す物語は心を温かくするものがある。同じストーリーで日本版と中国版、比べて観たい一作である・・・


評価:★★☆☆☆









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2024年12月13日

【スキップ・トレース】My Cinema File 2941

スキップ・トレース.jpg

原題: Skiptrace
2016年 アメリカ・中国・香港
監督: レニー・ハーリン
出演: 
ジャッキー・チェン:ベニー・チャン
ジョニー・ノックスヴィル:コナー・ワッツ
ファン・ビンビン:サマンサ
エリック・ツァン:ヤン
イヴ・トーレス:ダーシャ
ヨン・ジョンフン:ハンサム・ウィリー
ウィンストン・チャオ:ヴィクター・ウォン
シー・シー:レスリー

<シネマトゥデイ>
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アカデミー賞名誉賞を受賞するなど長年にわたり活躍してきたジャッキー・チェンが、『ダイ・ハード2』などのレニー・ハーリン監督と組んだアクションコメディー。ある犯罪王を長年追い続ける香港のベテラン刑事が、ひょんなことからアメリカ人詐欺師と共に追われる身となり世界中を逃げ回るさまが描かれる。図らずも主人公の相棒となり、コミカルな掛け合いを繰り広げる詐欺師を『ジャッカス』シリーズなどのジョニー・ノックスヴィルが演じるほか、『ブッダ・マウンテン〜希望と祈りの旅』などのファン・ビンビンらが共演。
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ジャッキー・チェン主演の刑事ドラマとなると、『ポリス・ストーリー』シリーズが思い浮かぶが、この映画も同じく刑事モノである。主人公のベニー・チャン刑事は、香港犯罪界のドンと思われるヴィクター・ウォンを追っていたが、相棒ヤンがいつの間にか捕らえられ、ベニーがヤンを発見した時には体に爆弾を取りつけられてしまっている。ベニーは解除を試みるが、時間が足りず、ヤンは形見の腕時計と娘のサマンサをベニーに託し、海へと飛び降りる。激しい爆音が鳴り響き、水しぶきが上がる。

それから9年。ベニーは同僚のレスリーとエズモンドと共にヴィクターを追い続けている。水上家屋を舞台とした乱闘劇。ジャッキー・チェンのお得意のコミカルアクション全開の展開。しかし、すんでのところで逃げられてしまう。ヴィクターは表向きは立派な実業家として有名で、9年間の捜査にもかかわらず香港裏社会の黒幕だという証拠は何1つ見つかっていない。さらにベニーの上司であるタン警部は、ヴィクター黒幕説を否定している。そういう背景もあり、無許可の捜査で家屋を破壊したベニーに1か月の休暇を言い渡す。

一方、詐欺師のコナー・ワッツはマカオのカジノを訪れる。そこで出会ったゲストサービス責任者のサマンサに目を奪われる。サマンサは勝負に勝っているコナーに声をかけ、スイートルームに誘う。サマンサはその場にやってきたウィリーの姿をこっそり撮影する。サマンサにも何か裏がありそうである。ところが、コナーがイカサマで大金をせしめ行方を眩ませてしまう。サマンサはコナーの仲間だと誤解され、ウィリーから何としてでもコナーを探すよう命令される。身の危険にさらされたサマンサはベニーに助けを求める。

そのコナーであるが、その頃ロシアンマフィアに捕まって痛めつけられている。どうやらコナーはボスの娘を妊娠させたようで、ボスから責任を取って結婚するよう強要されていたのである。そこに現れたベニーは、ロシアンマフィアの手からコナーを助け出して逃げる。しかし、助けられたのにもかかわらず、コナーはマカオに行くのを嫌がり、パスポートを燃やしてしまう。まともな方法でマカオに戻れなくなったベニーは、コナーを連れてあの手この手でマカオ行きを試みる・・・

ジャッキー・チェン主演の映画は大概がコメディ・アクションものになっている。今回も冒頭の水上家屋での派手な立ち回りと建物の崩壊。そしてロシアから詐欺師のコナーを連れてのドタバタ道中。ロシアン・マフィアや香港の裏社会のグループ相手に立ち回る。マカオへ戻る事に抵抗するコナーは自らのパスポートを焼却する。再交付など待っていられないベニーはコナーを引き連れて裏から戻ろうと悪戦苦闘する。列車から飛び降り、ボロ車で移動する。

ようやくたどり着いたモンゴルでは、ゴビ砂漠で怪我をしている少年を助けた事からとある部族に捕えられ、大柄なレスラーと対戦する羽目になる。随所でジャッキー・チェンのコミカル・アクションが炸裂する。最後は黒幕との対決になるのであるが、その正体は意外な者。ジャッキー・チェンの映画はストーリーで見せるものではないので、どれも同じようなものになりがちであるが、一方でお約束的な楽しみがあるのも事実である。例によってエンドロールでのNGシーンもお約束である。

安心して観られるという意味では定番的なジャッキー映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年08月02日

【あなたがここにいてほしい】My Cinema File 2886

あなたがここにいてほしい.jpg

原題: 我要們在一起 Love Will Tear Us Apart
2021年 中国
監督: シャー・モー
出演: 
チュー・チューシアオ:リュー・チンヤン
チャン・ジンイー:リン・イーヤオ

<シネマトゥデイ>
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中国のソーシャルカルチャーサイト「ドウバン(豆瓣)」で反響を呼んだ投稿を原作に描くラブストーリー。高校時代に出会った男女の10年にわたる愛と、結婚というシビアな現実を映し出す。シャー・モーが監督を手掛け、『ロスト・レジェンド 失われた棺の謎』などのチェン・クォフーがプロデューサー、『クローサー』などにも出演してきたカレン・モクが主題歌を担当する。『流転の地球』などのチュー・チューシャオ、チャン・ジンイーをはじめ、スン・ニン、チャン・ヤオらが出演している。
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中国発の恋愛映画。主人公のリュー・チンヤンとリン・イーヤオの出会いは高校時代。チンヤンの一目惚れから始まる。チンヤンは行動力がある。さっそくラブレターをしたためてイーヤオに送る。しかし、それが先生にバレて問題となる。なんと校内放送でその事実を公表し、チンヤンは謝罪させられる。頭を坊主刈りにされ、全校生徒に恥をさらすわけで、今の日本の感覚だと先生の方が問題にされそう。しかし、この機会を逆手にとって、なんとチンヤンはそこで愛を告白する。

そんな行動力に心を動かされたのか、イーヤオとチンヤンは付き合うようになる。しかし、イーヤオは優等生だが、チンヤンは典型的な劣等生。卒業するものの、チンヤンとつきあいにイーヤオの母親は良い顔をしない。ならばとイーヤオはチンヤンと同棲を始める。ロミオとジュリエットではないが、反対されれば2人の愛は燃え上がる。チンヤンはマンションの現場監督で収入も多くない。一方、イーヤオは大学院に通う学生。取り壊し予定の安いアパートを見つけ、家具は中古品を漁って集めたものでも、そこは2人にとっては夢の城。

しかし愛だけで生きていけるほど現実は楽ではない。少しでも金を稼ぎたいチンヤンだが、成績は悪くとも正義感の強い性格が職場で軋轢を生む。利益優先で建設を急ぎたい社長(映画の中ではイマイチ関係がよくわからなかった)と、検査を受けてからコンクリートを流し込むという当然の手続きを優先するチンヤンとが対立する。社長は金を渡して酒を飲ませて懐柔しようとするが、チンヤンは喉から手が出るほど欲しいお金を突き返す。それは正義感とともに、「自分が建てたマンションに2人で住みたい(から違法な事はしたくない)」という思いがあったのかもしれない。

そしてそんな時、高校時代の友人から独立しての仕事を紹介される。自分を信頼する後輩とともに職人を集めてこの機会に賭けるチンヤン。マンションを買うために貯めておいた預金もこれにつぎ込む。しかし、それは高校時代から惚れた女と一緒になりたい一心の友人の詐欺であり、チンヤンは預金を使い果たし、さらに借金まで背負い込むことになる。金を稼ぐため、そしてイーヤンの幸せを願ってチンヤンはイーヤンと別れ、遠い西部の砂漠地帯に長期の出稼ぎに出る・・・

高校時代に出会った2人の恋愛を描いていくというストーリーは、恋愛映画にはよくあるパターン。『あの頃、君を追いかけた』(My Cinema File 1357)台湾版と(日本版)や『糸』(My Cinema File 2639)なども同じようなパターンである。永遠に続くものなどない中で、恋愛も否応なく現実という嵐にさらされる。生きていくにはお金が必要なわけで、安アパートに中古の家具の部屋もいつまでもそのままというわけにもいかない。真面目に働けばそれだけでいいというものでもない。

チンヤンはマンション建設の現場で手抜きを要求される。随所で鉄筋不足を指摘したり、手順に従って工事を進めようと、現場監督であれば当然の仕事をするが、ずるをして儲けようという者たちからは疎まれる。現代中国でもたぶんこういう事はあるのだろうと思わされる。そしてチンヤンは結局、友人に騙されてお金を失うが、友人も自分の事を優先して友を裏切っている。なんともやり切れない。よくありがちな展開だが、実話をベースにしているとの触れ込み。最後まで観ていくと、本当なのかと思えてしまう。

実話か否かはともかくとして、チンヤンの生き方には共感が持てる。もう少しうまく振る舞えていたら、ささやかながらも幸せになれたのかもしれない。自分が現場監督を勤めるマンションの建設現場にイーヤンを連れてきて、そこで完成した部屋を想像して2人で戯れる。お金がなくても愛のある若い時のひと時は、そんな経験があれば人生の宝になると思う。観ている方も幸せな気分になれる。後半の展開はともかく、前半だけでも観ていて引き込まれてしまった。

これから中国映画を観る機会も多くなるのだろう。それを楽しみにしたいと思える一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2023年09月15日

【未来戦記】My Cinema File 2746

未来戦記.jpeg

原題: 明日戦記 Warriors of Future
2022年 香港
監督: ン・ユェンファイ
出演: 
ルイス・クー:テイラー
ラウ・チンワン:ジョンソン・チェン
チョン・カーファイ:ショーン・リー
カリーナ・ラウ:タム・ビン大佐
フィリップ・キョン:スカンク
ツェ・クァンホー:チャン博士

<シネマトゥデイ>
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荒廃した近未来の地球を舞台に、巨大隕石(いんせき)の落下により出現した植物型生命体から人類を守るため、危険な任務に挑む男たちを描くSFアクション。監督は『ウォーロード/男たちの誓い』などのVFXに携わってきたン・ユエンファイ。プロデューサーも務めた『SPL 狼たちの処刑台』などのルイス・クー、『レクイエム−最後の銃弾−』などのラウ・チンワン、『つきせぬ想い』などのカリーナ・ラウのほか、フィリップ・キョン、ニック・チョンらが出演する。
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舞台は近未来の地球。テクノロジーの進化は戦闘用ロボを生み出し、戦争は新しい形になる。そして環境汚染が進み、世界は荒廃している。そんな中でもB16地区は空気浄化システム・スカイネットを導入して成功の兆しが見えていた。そこへ隕石が落下し、そこに付着していたパンドラと呼ばれる凶暴な植物型生命体が出現する。水を得ると成長して街を破壊するという厄介なもの。運悪く、嵐が近づいている。

それに対し、対抗策としてめしべに遺伝子弾を撃ち込むことで成長を抑えられることが判明する。しかも、遺伝子弾で大人しくなったパンドラには空気清浄機能は衰えずに残ることがわかり、人類は一縷の望みを作戦に託す。選ばれたのは空戦部隊に所属するタイラーをリーダーとする部隊。まずは、パンドラに追跡可能な薬剤を撃ち込み、めしべの位置を特定する計画を立案する。

軍の作戦を指揮するタム大佐は、タイラーの計画が失敗したら、プランBとしてパンドラを特殊爆弾で街ごと爆撃する事を決める。その場合、市民16万人を犠牲にすることになるが、嵐が数時間後に迫る中、避難は間に合わず、作戦は極秘として扱われる。重要な任務を負ったタイラーの部隊は、オスプレイに似た軍用機でパンドラがうごめく場所へ向かう。まずは造影剤を撃ち込むことに成功するが、何者かのハッキングによって戦闘ロボが暴走し、空挺部隊が墜落してしまう。

タイラーの作戦機も墜落するが、タイラーは部下のコナーと共になんとか脱出する。この事態に責任者のリー少将は、ただちにプランBの爆撃を命じるが、嵐まで3時間ありることからタム大佐は、現地部隊の生存確認とギリギリまでの任務遂行を主張する。一方、タイラーは遺伝子弾を確保し、造影弾によって判明しためしべに向かう。しかし、パンドラの蠢く元には昆虫タイプのエイリアンが行く手を阻む・・・

ストーリーは単純。空爆作戦が思わぬ妨害で失敗し、主人公は地上からパンドラへの攻撃を試みる。道中で虫型エイリアンが襲い掛かってくるため、これを撃退する。近未来らしく、タイラー達は戦闘スーツを着用しているが、これがなかなかの優れモノ。さらに敵はエイリアンだけではなく、味方であるはずの戦闘ロボットまでも襲い掛かってくる。その背景には、私利私欲に走る人間がいるのである。虫型エイリアンとの戦闘は、本家『エイリアン2』(My Cinema File 52)に相通じるものがある。タイラーを助けに入る兄貴分のジョンソンがいて、かつて臆病風に吹かれて部隊をはなれたスカンクもピンチに駆けつける。ビビリの部下コナーも勇気を振り絞る。

虫型エイリアンとの戦闘は、現代のシューティング・ゲームのようであり、戦闘ロボットとの死闘は、無慈悲な戦闘マシーンゆえに迫力がある。戦闘スーツでの肉弾戦も見ものである。市民16万人に被害を出さずに作戦を成功させようと奮闘する主人公に対し、私利私欲から妨害する人物がいるのもお約束のようである。縦糸となるパンドラ退治に対し、横糸となる人間ドラマがそれぞれの登場人物にある。限られた時間の中での主人公の奮闘が心地よい。全編に香港映画らしい匂いを漂わせる香港映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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