2016年12月14日

危険な関係

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原題: 危險關係
2012年 中国
監督: ホ・ジノ
出演: 
チャン・ツィイー:ドゥ・フェンユー - 貞淑な未亡人。
チャン・ドンゴン:シエ・イーファン - プレイボーイ。
セシリア・チャン:モー・ジエユー - 大物女性実業家。
リサ・ルー:ドゥ・ルイシュエ夫人 - シエの祖母。フェンユーの大叔母。
ショーン・ドウ:ダイ・ウェンジョウ - 画家志望の大学生。ベイベイの絵の教師。
キャンディ・ワン:ベイベイ - モーの恋人ジン氏と婚約した若い令嬢。
ロン・ロン:ジュウ夫人 - ベイベイの母親。

<シネマトゥデイ>
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『四月の雪』などのホ・ジノが監督を務め、18世紀にピエール・コデルロス・ド・ラクロが発表したフランスの古典小説を映画化した恋愛劇。退廃的な1930年代の上海を舞台に、危うい恋のゲームに深入りする3人の男女の関係をドラマチックに描写する。名うてのプレイボーイをチャン・ドンゴン、彼と同類の女性実業家をセシリア・チャン、貞淑な未亡人をチャン・ツィイーが好演。アジアのトップスター共演のめくるめく体験に酔いしれる。
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物語の舞台は1931年の上海。まだ戦争の影もなく、街では莫大な資産を持つ富裕層がパーティに明け暮れる享楽的な生活を送っている。裕福なプレイボーイのイーファンは、次から次へと女性遍歴を繰り返している。そしてそんなイーファンが唯一本気で射止めようとしているのが、女性実業家のモー・ジエユー。ある日、ジエユーは、婚約者が自分を捨て年端もいかない少女ベイベイと婚約したことを新聞紙上で知る。それを許せないジエユーは、ベイベイを寝取って欲しいとイーファンに持ちかける。

しかし、そんなイーファンの前に、亡き夫の遺志を継ぎ東北の抵抗活動の支援をしている貞淑な未亡人フェンユーが現れる。ベイベイを寝取るなんて容易いことよりも、フェンユーを落とす方がやり応えがあると判断したイーファンは、ジエユーと賭けをする。うまく落とせれば、ジエユーをモノにできるとあってイーファンはアタックを開始する。

 すべてを意のままに動かそうとする野心家のジエユー。そんな彼女を支配することに欲望を燃やすイーファン。2人のゲームに、それとは知らず巻き込まれていくフェンユー。はじめはイーファンの悪評を警戒して、頑なな態度を取るフェンユーだが、イーファンの熱心なアプローチに次第に心を許していく。イーファンはジエユーとのゲームのために、純粋なフェンユーを口説いているように見えるが、果たして本当にそうなのか。ジエユーとのゲームはどこまで本気なのか。観ているうちにいつの間にか物語に引き込まれていく。

背景には、反日運動も描かれる。本格的な日中戦争はまだ先だが、前夜のきな臭さが漂っている。そんな中で、富裕層はパーティに演劇にと我が世の春を謳歌している。主人公のイーファンは金持ちで二枚目とくるから、どうしてもモテる。男としてはかくありたいと思う。そしてそんなイーファンが、ゲームで落とそうとするのが貞淑な未亡人フェンユー。もしも自分が同じ立場だったら、遊びでは手を出さないだろう。そのくらいのモラルは持ち合わせているつもりである。

ところがイーファンはそれをやる。しかし、観ているこちらもどこかイーファンが本気になるのではないかと期待するところもある。そしてイーファンと賭けをするジエユーも美人で魅力的。いつのまにか映画の世界に引き込まれていく。何となく、で観始めた映画なのに、意外な面白さに面食らう。こういう世界は嫌いではない。そしてラストの展開は心打たれるものになる。

単なる恋愛ゲームではなく、時代背景も反映し、そして観る者の心にも働き掛ける。原作の持つ面白さもあるのかもしれない。面白そうだと思っていてその通り面白かった映画よりも、それほどでもないだろうと高をくくっていたらそれ以上に面白かったりした映画は余計印象が深い。これはそういう映画と言える。
心に静かな余韻の残る映画である・・・


評価:★★★☆☆




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2016年12月13日

罪の手ざわり

罪の手ざわり.jpg

原題: 天注定
2013年 中国
監督: ジャ・ジャンクー
出演: 
チアン・ウー:炭鉱作業員ダーハイ
ワン・バオチャン:強盗チョウ
チャオ・タオ:風俗サウナの受付シャオユー
ルオ・ランシャン:広東省の青年シャオホイ

<シネマトゥデイ>
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『長江哀歌(エレジー)』などで世界的に評価の高いジャ・ジャンクー監督が、実際の事件を基に変化を遂げる中国で必死に生きる人たちを描くヒューマンドラマ。実業家に利益を吸い上げられてきた山西省の炭鉱作業員、職を転々としながらホステスとの恋に苦悩する広東省の若者ら4人の平凡な男女を通して、中国の現代を浮き彫りにする。出演は、ジャ・ジャンクー監督作品に欠かせないチャオ・タオなど。急激な発展の陰で虐げられる人々の営みや、彼らが抱えるかなしみや怒りが心に響く。
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 冒頭、トマトを乗せたトラックが倒れて、それをダーハイが眺めている。バイクに乗ったチョウを3人の男が止め、金を出せと脅す。男たちは手に鎌を持っているが、チョウは、懐から銃を取り出すと3人を次々に射殺する。そしてダーハイの横を通り過ぎてゆく。ダーハイは、炭鉱作業員だが、村で共同所有していた炭鉱を売られ怒ってる。 村長に直談判しても相手にされず、自家用機で帰ってきた町の資本家に直談判すると逆に部下たちに滅多打ちにされる。

 怪我をして入院したダーハイには、金が払われる。中国にはびこる不正の一面なのであろう。払われた金はそこそこの金額だと思われるが、当然資本家が懐に入れた金に比べると微々たるものだろう。村人たちは諦め顔であり、中央委員会への直訴状も住所がわからないという理由で突き返され、ダーハイは猟銃を手に取ると手始めに会計士の下へと向かう・・・

 出稼ぎから帰ってきたチョウは、留守がちなせいか、息子との関係はギクシャクし、妻からは出稼ぎに行くなと言われる。しかしチョウは次の目的地へと向かう。荷物を預けると、慣れた手つきで顔を隠し、銀行から出てきた金持ち夫婦を射殺して鞄を奪う・・・
シャオユーは、不倫関係に疲れ、ある町のサウナで受付として働く。そこはどうやら風俗業の店であるが、町の権力者に相手をするよう強要され、果物ナイフで殺してしまう。

 工場に勤務しているシャオホイは、おしゃべりで注意散漫となった同僚が事故を起こしてしまう。工場長から、働けなくなった同僚の給料をシャオホイの給料から引くと言われ、工場を辞めてしまう。知人を頼ったシャオホイは、ナイトクラブでボーイとして勤めることになる。そこで風俗嬢として働く女を好きになるのだが、彼女には3歳の子供がいることを知る。故郷の母親からは仕送りを督促する電話が入り、怪我をした同僚は追いかけてきてシャオホイを脅す・・・

 まったく関わり合いのない4人のそれぞれを追うオムニバス形式の映画。タイトルにある通り、それぞれがそれぞれの事情において「罪」を犯すわけであるが(もっともシャオホイの場合は罪とは言い難いが)、背景には間違いなくいびつな成長を続ける中国社会があるわけである。「持てる者」と「持たざる者」の大きな格差、そして「勝てば官軍」の風潮。誰もが自分のことしか考えられない。

 同僚に怪我をさせてしまったシャオホイは、無休で働くのが嫌で会社を辞めて知人を頼っていく。その知人は工場勤務。みんな同じ制服を着て作業し、食堂で同じ食事をし、寮で暮らす。今の中国の若者の姿がそこに見て取れる。それを良しとしなかったシャオホイは、実入りがよさそうなナイトクラブのバーテンを選ぶ。そこで知り合った女性に惹かれるが、彼女は子持ちの風俗嬢だ。故郷の母親からは仕送りが減ったことをなじられる。シャオホイの将来に対する絶望感が伝わってくる。

 ストーリー的には、各々何のつながりもない。淡々と進み、そして終わる。だが、後には澱のようなものが残る。登場する人物たちの姿から何かを感じ取る映画だが、その澱には重みがある。どこの社会にも問題はあるのだろうが、中国社会のそれを垣間見せてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2016年07月23日

サイレント・ウォー

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原題: 聽風者
2012年 中国・香港
監督: アラン・マック/フェリックス・チョン
出演: 
トニー・レオン:何兵
ジョウ・シュン:張学寧
ワン・シュエピン:郭興中
メイヴィス・ファン:沈静
パル・シン:羅三耳
ドン・ヨン:伍昌

<シネマトゥデイ>
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中国のベストセラー作家、麦家(マイジャー)の小説「暗算」を基にしたスパイ作品。共産党と国民党が戦いを繰り広げていた中国内戦時代を舞台に、暗号解読のプロフェッショナルと大物スパイをめぐるドラマが展開する。監督にアラン・マック、フェリックス・チョン、主演にトニー・レオンと、『インファナル・アフェア』シリーズのメンバーが結集。『クラウド アトラス』などのジョウ・シュン、テレビドラマ「傾城之恋 〜上海ロマンス〜」などの ワン・シュエビンら実力派が共演。スリリングな展開に加えて、重厚なタッチの演出にも注目。
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中国の映画は、もう珍しくもないが、第二次大戦後の国共内戦をテーマとしたスパイモノというのは珍しい気がする。敵役として日本が出てこないので、安心して見られる反面、いつの時代かとか、その時社会はどんな様子だったのかとか、背景がわかりにくいという欠点もある。ただ、それを補っても、まずまず面白かった映画といえる。

共産党の組織内、国民党の動きを探るべく、701部隊が設立され、通信の傍受と暗号の解読が行われている。女性ながら優秀な工作員である張学寧は、聴力の優れた者をスカウトすべく、あるピアノの調律師に会いに行く。ところが本人よりも一緒にいた盲目の男の聴力に気がつき、その男何兵をスカウトする。

何兵は、すぐにその本領を発揮。傍受する通信の中から、敵の暗号通信を次々と補足していく。そしてやがて敵の大物スパイ重慶が浮かび上がり、張学寧らは重慶を捕らえるべく、何兵らとともに行動を開始する。そして、容疑者を5人に絞り込み、張学寧自ら身分を偽って容疑者グループに潜入していく・・・

現代であれば、さしずめ電子機器の出番であり、いくら優れた聴力であっても太刀打ちは出来ないであろう。ただ、この時代はまだまだ人間の能力が幅をきかせる時代。人並み外れた聴力の持ち主というのも、十分映画の主人公たり得るのである。その優れた聴力を持つ男何兵が、共産党の701部隊にスカウトされ、様々な通信技術を覚えながら敵の通信を傍受していく。並行して美人スパイの張学寧との微妙な関係が描かれる。ジェームズ・ボンドならすぐベッドインするところだが、アジア文化圏は身持ちが硬い。

そして、微妙な二人の関係は、敵の思いがけぬ動きでドラマチックな展開を迎える。この展開は予測不可能であった。なかなかやるなという感じがする。初めは金を要求していた何兵も、この展開を経て最後はプライドをかけて敵を追い詰めていく。任務にかける何兵の思いと、はっきりとは示されない張学寧への思いとが、観る者の心をそっと撫でていく。縦糸のストーリーと横糸のストーリーとがうまく絡み合っている。

「聴風者」という原題もなかなか味わいのあるタイトルである。中国映画も(香港の力が入っているとはいえ)、なかなかの出来栄えだと思わざるをえない。ストーリーといい、登場人物たちの濃厚な関係といい、なかなかの味わいのある映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2016年05月31日

セデック・バレ第二部:虹の橋

セデック・バレ第二部虹の橋.jpg

原題: 賽コ克・巴萊 /Seediq Bale
2011年 台湾
監督: ウェイ・ダーション
出演: 
リン・チンタイ(林慶台): モーナ・ルダオ(壮年)
マー・ジーシアン(馬志翔): タイモ・ワリス
安藤政信: 小島源治
河原さぶ: 鎌田弥彦
ビビアン・スー(徐若瑄): 高山初子(オビン・タダオ)
ダーチン(大慶): モーナ・ルダオ(青年)
木村祐一: 佐塚愛佑
シュー・イーファン(徐詣帆): 花岡一郎(ダッキス・ノービン)
スー・ダー(蘇達): 花岡二郎(ダッキス・ナウイ)
ルオ・メイリン(羅美玲): 川野花子(オビン・ナウイ)
田中千絵: 小島マツノ

<シネマトゥデイ>
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日本による統治下の台湾で実際に起こった、先住民族のセデック族と日本軍とのし烈な戦い「霧社事件」を映画化した歴史大作の後編。民族の誇りを胸に武装蜂起したセデック族と反撃に出た日本軍による激しい戦闘と、戦いの陰で悲しい運命をたどった人々の姿を描く。『海角七号/君想う、国境の南』のウェイ・ダーション監督がメガホンを取り、リン・チンタイ、安藤政信、ビビアン・スーらが出演。日本軍の攻撃にひるむことなく戦う戦士や、壮絶な決断をする女性たちなど、セデック族の生きざまのすさまじさに圧倒される。
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セデック族の予期せぬ襲撃により、日本人は女子どもの区別なく次々と殺害されていく。かろうじて難を逃れた警官の連絡により、日本軍が救援・制圧に動き出す。しかし、険しい山中では思うように兵士も動けず、地の利を知り尽くしたセデック族に苦闘を強いられる。一方、セデック族の女性たちは、日本軍の報復を恐れて山中に避難するが、食料が不足することを案じ、また日本軍の強さを案じ、足手まといを避けるべく集団自決するという結論に達する・・・

前編に続く後編では、セデック族対日本軍の対決に焦点が当てられる。セデック族も一枚岩ではなく、日本軍に協力する部族も出てくる。もともと互いに縄張りを巡って対立し、首を狩りあってきた間柄となると、そう簡単にも行かない。後の日中戦争では相対立する国民党と共産党が「共通の敵」を前に手を組んだ。しかし、ここではタイモ・ワリス率いる部族は日本軍と手を組む。

圧倒的な軍事的優位を誇る米軍もベトナムのジャングルでは苦戦し、ベトコンに敗退した。この映画でも日本軍は険しい山中でセデックの攻撃に苦戦の連続。300人のセデック族に数千人の日本軍が翻弄される様は、エンターテイメントとしては面白い。ただし、史実は異なるようで、日本軍の被害は警官も含めて30人未満だったというから、あくまでもエンターテイメントに徹しているのだろう。

日本軍もセデック族の持たない重火器を擁して反撃する。そして航空機による毒ガス攻撃も行うが、これは史実通りであったようである。日本側も無抵抗な女子供が犠牲になっており、「頭に血が上っ」ていたのかもしれない。史実と違うところはあっても、その原因はやはり日本軍の統治とその方法にあったことは間違いないであろうし、セデック側に「正義の視点」をおいてみるのもおかしくはない。

セデック族の子孫の人たちもいまさら祖先の生活には戻りたいと思わないだろうし、文明衝突の悲劇と言えなくもないが、日本の主張する「文明化」の功罪は判断が難しいところである。ただし、首狩りの習慣だけは、やっぱり未開文明の劣った習慣として過去の遺物にしていいと思うところである。

日本が徹底して悪者である映画であるが、それほど嫌悪感はなく、逆にいろいろと考えさせてくれる映画である。単なるエンターテイメントではなく、得るものが多いと感じるのは、やっぱり親日的な台湾の映画だからだろうかと思える映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2016年05月30日

セデック・バレ第一部:太陽旗

セデック・バレ 太陽旗.jpg

原題: 賽コ克・巴萊 /Seediq Bale
2011年 台湾
監督: ウェイ・ダーション
出演: 
リン・チンタイ(林慶台): モーナ・ルダオ(壮年)
マー・ジーシアン(馬志翔): タイモ・ワリス
安藤政信: 小島源治
河原さぶ: 鎌田弥彦
ビビアン・スー(徐若瑄): 高山初子(オビン・タダオ)
ダーチン(大慶): モーナ・ルダオ(青年)
木村祐一: 佐塚愛佑
シュー・イーファン(徐詣帆): 花岡一郎(ダッキス・ノービン)
スー・ダー(蘇達): 花岡二郎(ダッキス・ナウイ)
ルオ・メイリン(羅美玲): 川野花子(オビン・ナウイ)
田中千絵: 小島マツノ

<シネマトゥデイ>
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日本による台湾統治時代に発生した、先住民による大規模な抗日運動「霧社事件」を映画化した歴史大作の前編。文化や風習を否定され、野蛮人として扱われたセデック族が、部族の誇りを懸けて武装蜂起するまでを描く。監督は、『海角七号/君想う、国境の南』のウェイ・ダーション。主人公の部族の頭目を、映画に初めて出演するリン・チンタイが熱演するほか、安藤政信、木村祐一など日本人キャストも出演。戦闘シーンの過激さに驚くとともに、彼らのさまざまな苦悩が観る者の心に突き刺さる。
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台湾といえば、戦前戦中において日本の領土であり、日本統治下にあったものの、中国・韓国と違って親日的な国と認識している。そんな国で抗日運動を取り上げた映画と聞き、何となく違和感を覚えていた。しかしながら前後編と分かれた大作でもあり、観てから判断すべしとして観てみることにした次第である。

物語の舞台は台湾山中。狩猟民族のセデック族は、部族同士で縄張りを巡る争いはあるものの、狩猟をし敵の首を狩り、伝統的な暮らしを営んでいる。そんな彼らの預かり知らないところで、台湾を領有する清と日本が、彼らの知らないところで戦争をし、そして彼らの知らないところで領有権が日本に移る。時に1895年、新たに「支配者」となった日本が台湾にやってくる。

抵抗も空しく、近代装備を誇る日本軍に屈したセデック族は、日本の統治下で「文明的な生活」を強制される。しかし、低賃金重労働で差別を受ける日々に、いつしか鬱屈した不満が高まっていく。そんな不満が日本の警官に対するリンチ事件に発展し、やがて他の部族と共に武装蜂起を決意するに至る。そして日本人が一堂に会する運動会の日に一斉蜂起する。これが日本人たちを手当たり次第に惨殺するという霧社事件となる・・・

日本は台湾を領有後、近代化を促進し、ダムを造り農地を切り開きと台湾の発展にある意味貢献したのは事実であるが、セデック族の立場に立つと、それは「余計なお世話」。部族の伝統に従って祖先から受け継いだ生活を送りたいという希望とは、どんな説明をしても相容れない。さらにそれに上乗せするのは、「日本人の態度」。自分たちより劣っている者として、上から目線での物言いや態度は、映画であることを除いてもたぶん実態であったことは想像に難くない。もっとも官憲は日本人に対しても「オイコラ」方式だったから、無理もないという言い訳もあるかもしれない。

いずれにせよ、日本の統治にはいい面と悪い面があり、実際反乱が起きたという事実を取れば、悪い面の影響だったことは間違いないだろう。女子供も含めて殺されたという事実は、残酷であるが、敵を殺して首を切り落とすのを当然とする民族的伝統があるので、「命」に対する概念が我々とは異なるのかもしれない。かくして次々に日本人が殺されていく。リーダーであるモーナ・ルダウも、日本軍の強さを知っているがために、ただで済むとは考えていない。そして物語は後編へと続く。

日本もペリーの来航により鎖国時代が終了した。自ら西洋近代文明を吸収し、富国強兵策を取り、坂の上の雲の時代を迎えた。西洋近代文明との遭遇は、「融合」という形であったが、セデック族のそれは、急激過ぎたのかもしれない。統治する日本の対応も悪かったがために、双方に悲劇をもたらしたと言える。

エンターテイメントとしての要素と、いろいろと歴史を考える要素とがあいまった良い映画であり、必然的に興味は後編へと続くのである・・・


評価:★★☆☆☆





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