2017年06月24日

サン・オブ・ゴッド

サン・オブ・ゴッド.jpg

原題: Son of God
2014年 アメリカ
監督: クリストファー・スペンサー
出演: 
ディオゴ・モルガド:イエス・キリスト
ローマ・ダウニー:聖母マリア
グレッグ・ヒックス:ピラト
エイドリアン・シラー:カイアファ
アンバー・ローズ・レバ:マグダラのマリア
ダーウィン・ショウ:ペトロ
セバスチャン・ナップ:ヨハネ

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
2013年3月からヒストリーチャンネルで放送された、全10話のテレビシリーズ「ザ・バイブル」を基にした歴史ドラマ。イエス・キリストの誕生から復活までを、壮大なスケールで追い掛けていく。メガホンを取るのは、「ザ・ローマ 帝国の興亡」などのテレビドラマで活躍するクリストファー・スペンサー。モデル出身のディオゴ・モルガドがキリストを熱演、その美しいルックスが、アメリカでの公開時に話題となった。政治や歴史の情勢からもキリストの運命を見つめるという視点にも注目。
********************************************************************************************************

イエス・キリストの生涯を描いた映画というと、何だかたくさん創られているような気がするが、具体的に思い出そうとするとなかなか出てこない。かろうじて、かつて『ナザレのイエス』という映画を観に行った記憶があるのと、そう言えばチャールトン・へストンの『ベン・ハー』に出てきたなというくらいである。あるいはテレビドラマのような形で観たりしているのだろうかとも思う。いずれにせよ、改めてキリスト映画として向かい合う。

冒頭、人類の誕生(もちろんアダムとイヴである)から、ノアの箱舟、モーゼの脱出、ダビデと旧約聖書の歴史が神と人類の関わりという形でさらりと語られる。そして、貧しい馬小屋でマリアの子供としてイエスが生まれる。次に成人したイエスがペテロと出会い、不漁を嘆くペテロに豊漁をもたらせてスカウトする。「世界を変えよう」という誘い文句には何となく違和感を覚える。

やがてイエスは、行く先々で歩けない者を歩かせたりと奇跡をもたらす。山上の垂訓や水の上を歩いたり、姦淫の罪を犯した女に対し、律法通り石で打とうとする人々を前に「罪を犯したことのない者だけが打つが良い」と告げる。よく知っているエピソードが続いて行く。そしてそれを面白くないと思うのが、パリサイ人の司教。それはそうだろう、自分の話を聞いていた人たちがイエスの方へ行ってしまうわけであるから、「商売あがったり」なわけである。

神に成り代わり「罪を許す」と語るイエスに、「冒涜だ」と難癖をつける司教。「罪を許すことができるのは神だけだ」という理屈はもっともでもある。一方でローマの圧政が描かれる。エルサレムの人々は、税金を取られいわれなき迫害にも耐えるしかない。イエスのもたらす混乱にローマによる一層の介入を警戒する動きも出てくる。そしてそれがイエスの逮捕と処刑へと繋がって行く。このあたり、取り締まる方にも一理を与えていて面白いと思う。

聖書は全世界でもっとも多くの人に読まれている本だと言われているが、となれば新約聖書のイエスをめぐる物語も多くの人が知っているであろう。この映画は、そんな誰もが知っているエピソードを綴って行くわけで、何か独自の解釈があるとも思えないし、それを改めて観て面白いのかどうかわからない。イエスの物語を改めて描いた目的は何なのか、興味深い気もする。

イエス・キリストといえば痩せたイメージがあるが、主演のディオゴ・モルガドという役者さんは実にイケメンのいい男。身にまとったオーラはよく雰囲気が出ていたと思う。難をいえば、キリスト教徒ではないと使徒について詳しくわからないから、どうも物語の深みを感じられないところだろうか。さすがにユダとペテロについてはわかったがヨハネがどういう生涯を辿ったかわからず、冒頭とラストのシーンに何か意味があったのかと悶々としたものが残ってしまったことだろう。

キリスト教初心者にはいいかもしれないが、そうでない自分にはちょっとフラストレーションの溜まる映画なのであった・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 00:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史ドラマ

2017年02月04日

日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日.jpg

2015年 日本
監督: 原田眞人
原作: 半藤一利
出演: 
役所広司: 阿南惟幾(陸軍大臣)
本木雅弘: 昭和天皇
山崎努: 鈴木貫太郎(内閣総理大臣)
堤真一: 迫水久常(内閣書記官長)
松坂桃李:畑中健二(陸軍少佐、軍務課員)

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
半藤一利のノンフィクションを基にした群像歴史ドラマ大作。太平洋戦争での日本の降伏決定から、それを国民に伝えた玉音放送が敢行されるまでの裏側を見つめていく。メガホンを取るのは、『クライマーズ・ハイ』、『わが母の記』などの原田眞人。キャストには『わが母の記』などの役所広司、『おくりびと』などの本木雅弘、『ツナグ』などの松坂桃李ら実力派が集結し、昭和天皇や阿南惟幾陸相をはじめとする実在の人物を熱演する。身をていして現在の平和の礎を築いた人々の思いに引き込まれる。
********************************************************************************************************

 1945年、太平洋戦争も日本軍の敗色が濃厚になる中、77歳の鈴木貫太郎に組閣の命が下る。鈴木貫太郎は、高齢でもあり一度は辞退するが、昭和天皇の強い希望を受け内閣総理大臣に就任する。当時は陸海軍からそれぞれ内閣に大臣を出す慣例になっており、陸軍はこれを利用して内閣をコントロールしてきたが、今回その任は阿南惟幾に委ねられる。

 戦局が好転することもなく、やがて連合国からポツダム宣言を受諾するよう通告がある。内閣はこの受け入れを巡り紛糾するが、阿南陸相をはじめとする陸軍軍人は本土決戦を主張する。そしてそうこうするうちに、広島、長崎に原爆が投下され、ソ連が参戦してくる。ここに至ってもポツダム宣言の文言の解釈を巡って陸軍の主戦派が抵抗を見せ、ついに、その結論は御前会議で天皇の聖断によることになる。

 天皇の聖断でポツダム宣言受諾が決定されるが、それを不服とする陸軍の畑中少佐ら若手将校らがクーデターを画策。畑中少佐は、本土決戦になかなか同意しない森・近衛師団長の説得を諦めこれを殺害、命令書を偽造して偽の命令を発布するとともに、宮内省の役人などを軟禁し、玉音放送のレコードを奪おうと放送協会にも進入する。一方、大きな仕事を片付けた阿南陸相は、静かに自刃の時を迎える・・・

 歴史の教科書では、ポツダム宣言を受諾して日本は「スムーズに」降伏するのであるが、そこに至るにこれほどの動きがあったというのは、驚きである。当時は2.26事件などに見られるように、反対派を殺して自らの主張を通すことなど何でもないという雰囲気があったのかもしれない。つくづく恐ろしい時代であったと思う。

 共産党などは「天皇の戦争責任」などと主張していたが、この映画を観ると天皇の果たしていた役割というものがよく理解できる。そんな昭和天皇を演じるのは本木雅弘。かつて『太陽』で、イッセー尾形が演じてそっくりだと思ったが、本木昭和天皇もなかなかいい雰囲気である。『おくりびと』ですっかり役者として認識していたが、がらりと違う雰囲気になっているのはさすがという気がする。

 降伏に強硬に反対する陸軍を代表しながら、天皇の意向を汲みながら冷静に行動する阿南陸相。東条英機内閣が継続していたらどうなっていたのだろうと思わざるを得ない。そして最後は、「切腹」。武士の時代のしきたりをいまだしっかりと順守しているところが、当時の陸軍であったのだろう。

 映画はエンターテイメントではあるものの、こうした歴史の教科書と言う意味では教科書よりもはるかに記憶に残るものだろう。我々の大事な歴史の1ページとして、観ておきたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 00:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史ドラマ

2016年12月03日

ルートヴィヒ

ルートヴィヒ.jpg

原題: Ludwig II.
2012年 ドイツ
監督: マリー・ノエル/ペーター・ゼーア
出演: 
ザビン・タンブレア: ルートヴィヒ(18歳から26歳)
ゼバスチャン・シッパー: ルートヴィヒ(40歳)
ハンナー・ヘルツシュプルング: エリザベート -オーストリア皇妃
エトガー・ゼルゲ: リヒャルト・ワーグナー
フリードリヒ・ミュッケ: リヒャルト・ホルニヒ
ユストゥス・フォン・ドホナーニ: ヨハン・ルッツ
ザムエル・フィンツィ: ローレンツ・マイヤー
トム・シリング: オットー
ポーラ・ビール: ゾフィ

<映画.com>
********************************************************************************************************
ルキノ・ビスコンティも「ルートヴィヒ 神々の黄昏」(1972)で取り上げたバイエルン王ルートビヒ2世の生涯を描いた歴史大作。ドイツ連邦の統一をめぐって激しい主導権争いが繰り広げられていた19世紀半ば、類まれな美貌をもちながらも、その高い美意識と強烈な個性ゆえに周囲の支持や理解を得られず、「狂王」とまで呼ばれたルートビヒ2世の波乱の人生を描く。15歳の時に見た歌劇「ローエングリ」に感銘を受け、作曲家のワーグナーを崇拝するようになったたルートビヒは、皇太子でありながらも政治や権力に無関心で、芸術だけに熱中していた。やがて父の急死によりわずか18歳で即位したルートビヒは、戦争が迫る中でも「国民の安全に必要なのは、詩と音楽の奇跡だ」と主張し、ワーグナーを宮廷に招き入れ独自の理想を掲げるが……。
********************************************************************************************************

かつてドイツの地にあったバイエルン王国の国王ルートヴィヒ2世の生涯を描いた作品。ルートヴィヒは、皇太子ながら音楽を愛し、最新式の銃の試射に立ち会わされるも興味を示さない。そんな皇太子に国王は顔をしかめる。将来の国王教育を本格化させようとした矢先に、国王マクシミリアン2世は突然崩御してしまう。

思いもよらず国王に即位したルートヴィヒであるが、自分の自由にできるようになると、早速ワーグナーを招聘する。その革命的な思想からワーグナーを嫌っていた閣僚は反対するも、君主には逆らえない。 かくしてワーグナーを招聘したルートヴィヒは、軍備よりも芸術関連の充実に取り掛かる。

時に地域ではビスマルク率いるプロイセンの台頭著しく、きな臭さが漂う国際情勢。軍備拡張と戦争準備を閣僚は進言するも、ルートヴィヒは聞き入れない。ルートヴィヒは「狂王」という異名を取っているが、このあたり微妙である。確かに、国際情勢に基づけば、軍備拡張と近代化は必須であるが、戦争をすれば兵士が死ぬと主張するルートヴィヒの理想は間違っていない。たった一人動員令の署名を拒み続ける平和主義の国王を軟弱と言い切れるだろうか。

結局、孤立無援のルートヴィヒは、動員令に署名し、プロイセンとの戦争に突入する。そして強力なプロイセン軍の前に、バイエルンは敗北する。結果から見れば、戦争に反対したルートヴィヒの判断は正しかったと言えるわけであるが、音楽によって戦争を回避しようとする王の理想は、さすがに受け入れ難いだろう。

一方、ルートヴィヒは芸術ならぬゲイ術にも向いていたようで、婚約は破棄し、側近と禁断の関係を結びそうになる。フランスのナポレオン3世と交流し、ドイツ統一の歴史的背景で台頭するプロイセンとの衝突を回避しようとするが、大きな流れを変えるには至らない。そんな現実からの逃避か、ルートヴィヒは隠遁してしまう。

この方が本当に王としてふさわしかったのかどうかはわからない。ただ、何度も映画化されているということは、それだけ題材として面白かったということなのかもしれない。それにしても芸術を愛好したこの国王が、今も観光名所として世界的に名高いノイシュバンシュタイン城を作ったというのは意外な事実である。もしも側近が一致団結してルートヴィヒの考えに従って政治を行っていたら・・・ちょっと妄想してみたくなる。
映画は歴史の勉強にもなる。改めてそんなことを考えた作品である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 11:58 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史ドラマ

2016年11月21日

白鯨との闘い

白鯨との闘い.jpg

原題: in the Heart of the Sea
2015年 アメリカ
監督: ロン・ハワード
出演: 
クリス・ヘムズワース:オーウェン・チェイス
ベンジャミン・ウォーカー:ジョージ・ポラード
キリアン・マーフィー:マシュー・ジョイ
トム・ホランド:トーマス・ニッカーソン
ベン・ウィショー:ハーマン・メルヴィル
ブレンダン・グリーソン:老年期のトーマス・ニッカーソン
ミシェル・フェアリー:ニッカーソン夫人

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
ハーマン・メルヴィルの「白鯨」の裏側に迫るナサニエル・フィルブリックのノンフィクション「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を基に描く驚異のサバイバルドラマ。19世紀を舞台に、白い大型のマッコウクジラと捕鯨船の乗組員たちとの壮絶なバトルを描く。主人公を『アベンジャーズ』シリーズなどのクリス・ヘムズワースが演じ、『ダ・ヴィンチ・コード』などのロン・ハワードが監督を担当。大海原で繰り広げられるクジラと人間の究極の闘いに息をのむ。
********************************************************************************************************

 1850年、ハーマン・メルヴィルと名乗る無名の作家が、トーマスという男を訪ねてくる。トーマスはかつて遭難したエセックス号という捕鯨船の最後の生き残りであり、疑惑のある遭難の真相について聞くのが、メルヴィルの目的であった。しかし、なぜか頑なに口を閉ざすトーマス。それでも夫人の説得もあり、トーマスはようやく真相を語り始める・・・

 時に1819年、エセックス号は捕鯨基地ナンタケットを出港する。船長は家柄だけで選ばれた未経験者のポラード。本来、船長を約束されていたベテランの一等航海士チェイスは、それが不満。そしてその船には、14歳の孤児トーマスも初めて乗りこんだ。当時はまだ石油燃料はなく、主力は鯨油。今でこそ日本は捕鯨で世界各国から批判されているが、アメリカは当時の捕鯨大国。しかし、リスクもある事業であり、エセックス号も成果を期待されての出港であった。

 3ヶ月目でクジラを発見し、さっそく捕獲。エセックス号は帆船で、クジラを発見すると船員はボートに分散し、クジラに接近。そして銛を投げ込むというのが、当時の漁法。しかしクジラは巨体であり、ボートは小さく、その漁法は死闘に近い。普通の漁のように釣り上げて殺すということができないわけであり、よくそれで捕獲できていたものだと感心してしまう。

 捕獲したクジラは、エセックス号に引き寄せ、押し寄せるサメを追い払いつつ解体しながら鯨油を取る。鯨油は脳にあるようで、猛烈な匂いの中、体の小さなトーマスが潜り込んでそれを汲み出す。こうした捕鯨シーンは、ストーリーとは関係ないものの、当時の様子が伺われて興味深い。映像も迫力があり、ある意味勉強になるのではないかと思う。現代の映画の効能かもしれない。

 しかし、以降クジラと遭遇することなく、時間が過ぎていく。そして寄港した港で、南太平洋でのクジラの大群の目撃情報を得る。しかし、同時に巨大な白鯨に襲われたという話も聞く。何かと対立していた船長のポラードと航海士のチェイスであるが、利害は一致し、4,800キロ離れた噂の海域に臨むことになる。首尾よく、クジラの大群を発見し、色めき立つ船員たち。しかし、捕獲に乗り出した船員たちを巨大な白鯨が襲い、ダメージを負ったエセックス号は漏れた鯨油への引火もあり、沈没してしまう・・・

 タイトルのイメージからすると、この白鯨との闘いがメインとなるかと思っていたが、さにあらん。人間は巨鯨に手も足も出ず、なす術もない。何とか沈みゆく船から食料と帆を確保するのが精いっぱい。そして太平洋の真ん中で、船員たちは小さなボートで取り残される。陸地から4,800キロの海上である。僅かな水と食料を積んだボートは、帆を張れはしたが、その実態は漂流に近い。チェイスとトーマスの乗るボートでは食料が尽きる。死んだ仲間の死体を海に埋葬しようとすると、チェイスは「貴重品を無駄にするな」と戒める・・・

 トーマスが長年苦しんでいたのは、その漂流中の体験。話を聞いた作家のメルヴィルが、取材した実話ではなくそこから創作したフィクションが名作『白鯨』だというが、そんな名著の隠され続けてきた衝撃の実話というのがこの映画の売りである。何だかまたしても邦題にイメージをずらされてしまったが、難を言えばもう少し後日談をしっかり描いて欲しかったと思うところである。

 ラストでトーマスは石油が採掘されたというニュースを聞く。まさに時代の流れを感じさせるシーンである。映像の迫力も十分であり、深みのある物語である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 20:58 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史ドラマ

2016年07月22日

エクソダス:神と王

エクソダス-神と王.jpg

原題: Exodus: Gods and Kings
2014年 アメリカ
監督: リドリー・スコット
出演: 
クリスチャン・ベール:モーゼ
ジョエル・エドガートン:ラムセス
ジョン・タトゥーロ:セティ
アーロン・ポール:ヨシュア
ベン・メンデルソーン:ヘゲップ総督
マリア・バルベルデ:ツィポラ
シガニー・ウィーバー:トゥーヤ
ベン・キングズレー:ヌン

<映画.com>
********************************************************************************************************
「グラディエーター」の巨匠リドリー・スコットが、旧約聖書の「出エジプト記」に記されたモーゼの奇跡の数々を、最新VFXを満載に3Dで描いた歴史大作。紀元前1300年、栄華を誇るエジプトの王家で養子として育てられたモーゼが、兄弟同然に育ったエジプト王ラムセスに反旗を翻し、たった1人で40万人のヘブライの民を救うため、約束の地を目指す旅を描く。主人公モーゼには、『ダークナイト』3部作のクリスチャン・ベール、ラムセス役には『ゼロ・ダーク・サーティ』『華麗なるギャツビー』などで注目されるジョエル・エドガートン。そのほかベン・キングスレー、シガニー・ウィーバーが共演。
********************************************************************************************************

エクソダスとは、英語で『出エジプト記』のことだという。もう少し教養があって、それを知っていたらある程度の先入観を持ってこの映画を観ていただろう。残念ながら、そこまで教養がなかったので、モーゼという主人公が出てきてから気付いた次第である。

主人公のモーゼは、エジプト王の息子ラムセスとともに育てられる。やがてはラムセスの右腕となる存在であったが、ある時預言者が「ラムセスの命を救う者が民衆を導く」と告げる。そしてヒッタイトとの戦いにおいて、モーゼはラムセスの命を救う働きをする。また、王の命令を受けたモーゼは、奴隷として酷使されるヘブライ人たちの視察に向かう。そしてそこで贅を尽くす総督とヘブライ人の苦境とを目にする。

ヘブライ人たちと接したモーゼに、ある古老ヌンがモーゼの出自を告げる。モーゼは実はヘブライ人で、王の命令でその年生まれた男児が殺されるところ、川に流されて助かり、王女に拾われて王宮でラムセスとともに育てられたと。総督の密告により、その事実を知ったラムセスは、預言者の予言のこともあり、モーゼを追放処分とする。こうして荒野に追放されたモーゼは、ラムセスの刺客を退けながら、やがて辿り着いた村に安住し、ツィポラという娘と結婚する。

ツィポラと結婚し、子供にも恵まれたモーゼは、9年の間、幸せな生活を送る。しかし、ある時モーゼは、逃げたヤギを追って神の山に足を踏み入れる。そこで遭難したモーゼは、子供の姿をした神と遭遇する。神によって仲間たちをエジプトから脱出させるように告げられたモーゼは、妻子を残しヘブライ人たちの元へと向かう・・・

出エジプト記といえば、「十戒」であり、「紅海が割れるシーン」であろう。そういえば子供の頃、チャールトン・ヘストン主演の『十戒』という映画を観た記憶がある。この映画もその要素は外せないわけで、実際、エジプト軍の追撃を受けたヘブライ人たちが紅海を渡るシーンがこの映画のクライマックスとなる。そして『十戒』の時代からはるかに進化した映像技術から、このシーンの迫力は、神がエジプトにもたらす十の災いとともにこの映画の見所でもある。

最初にモーゼがラムセスとともに王族の一員として登場した時、あれっという違和感を感じたが、この部分はどうやらフィクションのようで、実際の出エジプト記にこの記載はない。しかし、モーゼの出自や結婚した経緯や、その他は出エジプト記に沿って映画化されているようである。ヘブライ人=ユダヤ人たちの放浪の長い歴史の一部であり、個人的には興味深い。

主演は、個人的に注目しているクリスチャン・ベール。この人の出演する映画は、『ダークナイト』シリーズや『3時10分、決断の時』など深い味わいがある作品が多く、出演作はすべてチェックしたい役者さんの筆頭である。この映画に、出演しているのは予備知識としてなく、観始めて気がついたほどであったが、まずまずの満足感が得られたというところである。苦悩する姿が、よく似合う役者さんである。

結末がわかっている物語を見せて満足させるというのも、考えてみれば簡単ではないかもしれない。それにあえて挑戦したという映画であるが、十分期待に応えてくれた見応え十分の映画である・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 22:10 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史ドラマ