
原題: The Woman King
2022年 カナダ・アメリカ
監督: ジーナ・プリンス=バイスウッド
出演:
ビオラ・デイビス:ナニスカ
トゥソ・ムベドゥ:ナウィ
ラシャーナ・リンチ:イゾギ
シーラ・アティム:アメンザ
ヒーロー・ファインズ・ティフィン:サント・フェレイラ
ジョン・ボイエガ:キング・ゲゾー
ジミー・オドゥコヤ:オバ・アデ
<映画.com>
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19世紀アフリカを舞台に、女性のみで構成された最強の戦士部隊の戦いを、史実に着想を得て描いた歴史アクション。
1823年。西アフリカのダメホ王国は、奴隷貿易を背景とする民族間抗争に脅かされていた。優れた戦闘技術とすさまじい闘志で王国を守る女戦士部隊アゴジェを率いる将軍ナニスカは、敵対するオヨ王国との戦いに備え、新兵を集めて訓練を開始。その中には、アゴジェに憧れる少女ナウィの姿があった。
『フェンス』のビオラ・デイビスがカリスマ性あふれる将軍ナニスカを熱演するほか、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』のラシャーナ・リンチ、『スター・ウォーズ』シリーズのジョン・ボイエガが共演。『オールド・ガード』のジーナ・プリンス=バイスウッドが監督、「シティ・オブ・エンジェル」のダナ・スティーブンスが脚本、俳優マリア・ベロが原案・製作を担当。
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なんとなくタイトルからして勝手に『ワンダーウーマン』(My Cinema File 1838)のようなイメージを抱いていたが、まったく違うものであった。物語の舞台は1823年の西アフリカ、ダホメ王国。架空の国かと思ったら、実在の国であると言う。しかも、統治するのはゲゾ王であり、どうやら史実を基にした物語のようである。
冒頭、マヒ族の村を女の軍団が襲う。それはダホメ王国の女戦士軍団アゴジ。率いるのはナニスカ。急襲が功を奏したのか、村人を倒し、捕らえられていた者たちを解放する。どうやら奴隷として売られるところだったようである。村へ凱旋したアゴジ。村人たちは敬意を評して(下を向いて直接見ない)これを迎える。一方、滅ぼされた村へやってきたのは、アバ・オデ将軍率いる一行。将軍はダホメ討伐を決意する。
その頃、ダホメ王国の住人であるナウィが家に帰ると、両親がナウィをとある男に紹介する。それは結婚相手。男はかなり年上であるが、裕福な身であり、ナウィを紹介されると居丈高にしっかり働けと命じる。これに反抗的な態度を取ると、男はその場でナウィを殴る。両親の前でも気にしない態度に、男尊女卑の考え方が根付いている事が窺える。そして気が強いのかナウィは殴り返す。怒った男は婚約を破棄して帰ってしまう。父親も激怒し、ナウィを王宮に連れて行くと、王に献上してしまう。
献上されたナウィは、アゴジのメンバーに加えられる。訓練を経て正式な戦士になると、結婚はできず子も産めず生涯を戦士として過ごす事になる。ナニスカの右腕を務めるアメンザが新メンバーに向かって告げる。覚悟のない者は去れと。中には冒頭で襲撃された村から連行されてきた女たちもいる。その者たちはその場を去っていくが、中には残る者もいる。こうして訓練の日々が始まる。ナウィを指導する教官はイゾギ。ルールその一は、「イゾギに逆らうな」であった。
ある日、ゲゾ王の下にオヨ帝国のアバ・オデ将軍が使者としてやってくる。アバ将軍は貢物としてアゴジ戦士40名を要求する。断れば戦争である。この様子を見ていたナニスカは動揺する。ナニスカはかつて捕虜にされアバ将軍にレイプされた過去があり、この苦い思い出が脳裏を過ぎる。戦士を差し出せと言うのも屈辱である。時間稼ぎのために20名と交渉し、ナニスカはその20名を選ぶ。その頃、奴隷貿易のためポルトガル人の船団が港に入港する・・・
奴隷貿易とは、白人が一方的にアフリカの黒人を捕らえていたようなイメージがあるが、ここでは黒人が黒人を捕らえて奴隷として売っている様子が描かれる。女戦士と言ってもどの程度だったのかはわからない。体力的には男の方が上であるし、ワンダーウーマンならまだしも、人間であれば限界はある。王宮には大奥のような男子禁制エリアがあって、宦官以外の男は入れないというのも興味深い。出てくる宦官はどうもおかまチックである。
物語はナニスカと少女ナウィを中心に描かれる。アゴジ戦士として初めて会った2人だが、実は意外な関係がある事が判明する。否応なく戦いに巻き込まれていくアゴジ。ナウィの成長は戦いによって促される。女戦士というと、おそらく白人ならビジュアルが求められると思うが、黒人だとそこはあまり求められないのか。スーパーヒーローがいるわけでもなく、戦いもかろうじて勝利するという感じ。アクションが売り物という者でもない。
歴史的な史実だったという事が言いたかったのかどうかはわからないが、何が売りだったのかと問われると苦しいようにも思う。ストーリー、出演者、アクションのいずれも中途半端感がある。Amazon primeでは高評価だっただけに期待していたのだが、少々肩透かしを食ったというのが正直な感想。今一歩感が否めなかった映画である・・・
評価:★★☆☆☆