2018年04月21日

【怒り】My Cinema File 1907

怒り.jpg
 
2016年 日本
監督: 李相日
原作: 吉田修一『怒り』
出演: 
渡辺謙:槙洋平
森山未來:田中信吾
松山ケンイチ:田代哲也
綾野剛:大西直人
広瀬すず:小宮山泉
ピエール瀧:南条邦久
三浦貴大:北見壮介
佐久本宝:知念辰哉
高畑充希:薫
原日出子:藤田貴子
池脇千鶴:明日香
宮崎あおい:槙愛子
妻夫木聡:藤田優馬

<シネマトゥデイ>
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『横道世之介』『さよなら渓谷』などの原作者・吉田修一のミステリー小説を、『悪人』でタッグを組んだ李相日監督が映画化。現場に「怒」という血文字が残った未解決殺人事件から1年後の千葉、東京、沖縄を舞台に三つのストーリーが紡がれる群像劇で、前歴不詳の3人の男と出会った人々がその正体をめぐり、疑念と信頼のはざまで揺れる様子を描く。出演には渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡など日本映画界を代表する豪華キャストが集結。
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 冒頭、真夏の猛暑日に八王子で夫婦が殺害される事件が起こる。凄惨な現場には「怒」と壁に血文字で書かれたメッセージが残されていた。警察は残された遺留品から被疑者として山神一也を指名手配するが、事件から1年が経過してもその足取りはつかめない。一方、千葉の漁港で働く慎洋平は、3ヶ月前に家出をしていた娘の愛子を歌舞伎町の風俗店で見つけ、家に連れて帰る。家に戻って来た愛子は、父洋平の元で働いている田代と出会う。田代は2ヶ月前からアルバイトとして働いているが、経歴はわからず素性は知れない。

 別のある夜、藤田優馬はあるゲイの集まりで大西直人と出会う。優馬は強引に直人を犯す。直人は東京へ来たばかりで、知り合いの家を転々としている事を知り、優馬は自分の家に呼ぶ。そして2人は一緒に暮らし始める。さらにところは沖縄へと変わる。最近、母親の都合で沖縄に越して来た女子高校生・泉は、友人の辰哉に無人島に連れて行ってもらう。そこで泉は田中という男と出会う。田中はあちこちを旅しているのだと語る。

 こうして八王子の殺人事件を中心に3つのストーリーが進む。家に戻った愛子は田代と親しくなっていき、やがて2人は小さなアパートを借りて暮らすことになる。優馬の母・貴子はホスピスに入院していて、優馬は頻繁に母を見舞っている。やがて直人の希望で、優馬は直人を母の見舞いに連れて行く。泉は辰哉に誘われて那覇に来るが、偶然会った田中と3人で居酒屋に行く。店を出て田中と別れた泉。しかし、泡盛で酔っ払った辰哉を見失い、気がついた時には公園で米兵に襲われレイプされてしまう・・・

 3つのストーリーそれぞれに身元の怪しい男が登場する。そして今だ捕まらない八王子夫婦殺害事件の被疑者山神一也。千葉の田代も東京の直人も沖縄の田中もいずれも事件の被疑者に似ている。テレビ報道で報道される犯人のビデオ画像と似顔絵が微妙に3人に似ていて、原作を読んだはずなのにどれがホンモノかわからず、自然とストーリーに引き込まれていく。推理を楽しみながら観ていく楽しみがこの映画にはある。

 その原因は、3つのストーリーがそれぞれ色濃いものになっていることがある。千葉の洋平は娘の愛子を案じるが、あまりにも無力なのに苛まれる。娘の父親ってそんなものだし、渡辺謙がいい味を出している。そしてゲイでありながら母思いの優馬を演じる妻夫木聡は、激しいゲイの演技を見せ、母親を思いつつ正体のわからない直人に対する思いが深まっていく。広瀬すずもレイプされ、それを見ていて何もできなかった辰哉の気持ちも伝わってきて、どれも濃いストーリーである。

 やがてついにそれぞれの正体がわかる。そしてそれぞれの物語も展開を見せる。安堵する物語、切ない物語。それぞれ色濃いから事件は解決するが、あとに3つの余韻が残る。なぞ解きのサスペンスというよりも、濃厚な人間ドラマといった趣がある。これがこの映画の見どころなのかもしれない。
 そんな人間ドラマをじっくりと味わいたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2018年03月31日

【ザ・タウン】My Cinema File 1897

ザ・タウン.jpg

原題: The Town
2010年 アメリカ
監督: ベン・アフレック
出演: 
ベン・アフレック: ダグ・マクレイ
レベッカ・ホール:クレア
ジェレミー・レナー: ジェームズ・“ジェム”・コフリン
ジョン・ハム: FBI捜査官フローリー
クリス・クーパー:スティーヴン・マクレイ“ビッグ・マック”
ブレイク・ライブリー:クリスタ・コフリン
ピート・ポスルスウェイト:ファーギー

<シネマトゥデイ>
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俳優として活躍する一方、前監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』が高い評価を受けたベン・アフレックの監督第2作。強盗団のリーダーと人質女性の愛を軸に、犯罪都市に生きる者たちの生きざまが描かれる。監督のベン・アフレックが主演を務めるほか、『それでも恋するバルセロナ』のレベッカ・ホール、「MAD MEN マッドメン」のジョン・ハム、「ゴシップ・ガール」のブレイク・ライヴリーら、豪華実力派キャストが出演。スリリングで骨太な運命のドラマが味わえる。
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 冒頭で、この映画の舞台となる街、ボストン・チャールズタウンはアメリカで最も強盗が多いのだと語られる。そんな街でいきなり銀行強盗のシーンから物語は始まる。手際よく行員と警備員を制圧すると、金庫を開けさせて中身を強奪する。副支店長が支店長の身代わりに名乗り出ると、それを押し退け若い女性支店長を迷いなく金庫の前に立たせ、開錠時間も言い当てるので支店長のクレア・キージーも金庫を開けざるを得ない。実に用意周到な強盗である。

 しかし、支店長クレアの機転で警報装置を鳴らされ、咄嗟の事にリーダーのダグはクレアを人質に取って逃走する。もともと殺人までは考えていなかったダグは、無事逃げおおせるとクレアを開放する。ところがこの措置について、仲間のジェムは気に入らない。既に前科二犯のジェムは、今度逮捕されれば三振アウト法で無期刑となってしまう。始末を主張するジェムに対し、ダグは安心させるためクレアの監視を始める。だが、コインランドリーの店内まで尾行をした彼は逆にクレアから話しかけられてしまう。

 こうしてダグとクレアは、いつの間にかちょくちょく会うようになる。一方、この事件を担当していたFBI捜査官のアダム・フローリーは、ダグたちが犯人であることに目星をつけつつある。ダグとクレアはついに結ばれ、ダグは今までの人生と決別し、クレアとともにタウンを出ることを決意する。しかし、タウンの影の黒幕であるファーギーがそれを良しとしない。ファーギーはクレアに害を加えることをほのめかしながらダグに次の大きな案件も手掛けるよう命じる・・・

 主人公のダグは、表向き工事現場で働いているが、父親もファーギーの下で強盗を働き無期懲役に服するような家庭環境で育っている。仲間は同じような環境で共に育っていて、警察に口をわらなかった父親を英雄視するようなカルチャーが浸透している。自動小銃で武装しての銀行強盗はなかなかの迫力であるし、よくよく考えてみればとんでもないアウトローである。だが、そんな環境に育てば誰だってそうなるのかもしれない。

 ダグは、幼いころに母が父と自分を捨てて出ていったと信じている。ところが真相をファーギーから聞かされ、愕然とする。それで父親がなぜ母を探さなかったのかの理由もわかるのであるが、それがあまりにも悲しい。ジェムの妹クリスタにしても、幼子を抱え、ダグへの想いを抱き、それでも街の中に埋没して生きていかざるを得ない。犯罪は取り締まるだけではなくならないし、根本的な解決にはならないと考えさせられる。映画が終わったあとの街では、次のダグやジェムが同じようなことを繰り返すのだろう。

 ベン・アフレックの監督第2弾と言われても、素人にはその手腕などわかりようもない。ただ、ベン・アフレック主演映画としては、心に染み入る犯罪映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2018年03月11日

【クライム・スピード】My Cinema File 1888

クライム・スピード.jpg

原題: American Heist
2016年 アメリカ
監督: サリク・アンドレアシアン
出演: 
ヘイデン・クリステンセン:ジェームズ
エイドリアン・ブロディ:フランキー
ジョーダナ・ブリュースター:エミリー
トリー・キトルズ:レイ
アリウネ・“エイコン”・チアム:シュガー

<シネマトゥデイ>
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オスカー俳優エイドリアン・ブロディと『海辺の家』などのヘイデン・クリステンセンが、兄弟役で共演したクライムサスペンス。実話を基に1959年にスティーヴ・マックィーン主演で製作された『セントルイス銀行強盗』をリメイク。ならず者の兄と、過去と決別し真面目に生きようとする弟が起こした銀行強盗事件の行方を描く。そのほか『ワイルド・スピード』シリーズなどのジョーダナ・ブリュースター、R&Bアーティストのエイコンらが出演している。
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 主人公のジェームズは出所後、自動車整備士として真面目に働いている。その職場にある日、元恋人のエミリーがやって来る。ぎこちない会話から、ジェームズが服役していた事実をエミリーは知らないとわかる。そんなジェームズは、独立して自分の店を持とうと計画し、銀行に融資を申し込むがその結果は芳しくない。そんな時、ジェームズの下に10年間の刑期を終えた兄フランキーが現れる。

 そもそもジェームズが服役したのも兄のせいであり、その兄が現れジェームズは困惑の色を隠しきれない。関わりを避けたいジェームズであるが、フランキーは新たに始めるビジネスパートナーとして仲間のシュガーとレイを紹介する。しかし、この二人は明らかに真面目な人物ではない。それもそのはず、2人はフランキーが刑務所で知り合った悪党であり、何も知らぬジェームズはいつの間にか運転手としてフランキーら3人の悪事の片棒を担がされる。

 ジェームズはすぐにフランキーとの関係を断とうとするが、フランキーもまた刑務所でシュガーとレイに借りを作っており、仲間からは抜けられない。さらにはエミリーにも危害が及ぶと匂わされ、やむなくジェームズは運転手役として銀行強盗に加わることになる。決行前にジェームズはエミリーに別れを告げ、何も知らないエミリーになじられる。真面目に生きようとするジェームズの人生を、足を引っ張って狂わせる兄フランキー。そして一味は武装して銀行に突入する・・・

 しかし、ことはそれほどうまくいかない。欲をかいたレイとシュガーがもたつくうちに、一行は駆け付けた警官隊に包囲されてしまう。こうなると、あとは仲間など何の役にも立たない。ジェームスは撃たれたフランキーを助けるべく、レイとシュガーとともに逃げかけたところを銀行に戻っていく。悪事はそうそううまくいくものではない。せっかく真面目に生きようとしていたのに、それを阻まれてしまったジェームズが哀れである。

 フランキーを演じたのは、エイドリアン・ブロディ。もともと何となく気の弱そうな雰囲気を醸し出しているだけに、レイとシュガーの悪事に流されて行かざるを得ない弱い兄の役柄がピッタリである。そしてヘイデン・クリステンセンもまた同じような雰囲気を身にまとっており、それはちょうど『スター・ウォーズ』でフォースの暗黒面に落ちて行ったアナキンの姿とダブるのである。ここでも自らの意思ではなく愛する者のため、悪事に手を染めざるを得なくなる男の姿が描かれる。

 弟の人生を狂わせ続けた兄であったが、その根底にはしっかり愛情がある。不器用な生き方が、自業自得とは言え結局は己につけが回ってくる。最後に互いに思い合う兄弟の姿が見られるが、何とも言えず切ないラストの映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2018年02月09日

【レジェンド 狂気の美学】My Cinema File 1873

レジェンド 狂気の美学.jpg

原題: Legend
2015年 イギリス・フランス
監督: ブライアン・ヘルゲランド
出演: 
トム・ハーディ:レジー・クレイ/ロン・クレイ
エミリー・ブラウニング:フランシス・シェイ
デビッド・シューリス:レズリー・ペイン
クリストファー・エクルストン:ニッパー・リード
タロン・エガートン:マッド・テディ・スミス
ポール・ベタニー: チャーリー・リチャードソン

<シネマトゥデイ>
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1960年代のイギリス・ロンドンで暗躍した実在の双子のギャングを、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディが一人二役で演じるクライムサスペンス。裏社会のみならず有力者ともつながりを持ったクレイ兄弟が、その名をとどろかせながらも次第に破たんしていくさまを映し出す。メガホンを取るのは、『L.A.コンフィデンシャル』の脚本などを手掛けたブライアン・ヘルゲランド。共演はエミリー・ブラウニングやのタロン・エガートン。伝説の双子ギャングを演じ分けるトムの演技力に脱帽。
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 1960年代初頭のロンドンを舞台とした、実在した双子のギャング、レジーとロンのクレイ兄弟の物語。双子と言っても性格は対照的。レジーは頭も良くスマートに行動するが、ロニーは精神状態も安定せず、直情型。のちに精神疾患で収監されるくらいだから、いわゆるクレージーな男だったのであろう。レジーは部下の妹フランシスを見初め、アタックする。レジーが「ギャング」であることは知らない者はいない。母親は猛反対するが、本人はレジーの誘いを普通に受けていく。

 レジーには常に警察の尾行がついているが、そんな警察の動きを疎ましく思いながら、肝心なところでは巧みに尾行をまいたりしている。近所の人たちもレジーには愛想も良く、ロンドン警視庁の刑事ニッパーは、「市民は警察には喋らないがギャングには愛想がいい」と苦虫を噛み潰している。そんな外面の良さもあるが、裏では欲しい店があれば脅して手放させるなど、やはり無法者である。

 それでも警察の追及によりレジーは逮捕される。すぐに手をまわして釈放されるも、レジーはフランシスに二度と逮捕されないことを約束させられる。表向きだけでもまっとうなビジネスマンとなるべく、ナイトクラブを買収し、世間的にはクラブオーナーという形を取って行く。クラブにはセレブリティたちも多数来店し、活況を呈していく。さらにカジノ建設の動きに関しては、アメリカのマフィアも手を組むことを求めてくる。まさに王国の成立である。

 そんな王国もアキレス腱はロンの異常行動。レジーが収監されている間、クラブでの異様な振る舞いに、セレブ達も離れていく。レジーが戻ってみれば店は閑古鳥。さらには衆人環視の中での殺人に至り、ロンドン警視庁も兄弟の検挙に向けて本格捜査に乗り出す。そしてレジーとフランシスの間にも不協和音が漂う・・・まさにイギリス・ギャングの栄枯盛衰の物語。どこの国でも地域でもやはり悪は栄えるものなのだろう。そして悪にふさわしい末路をたどれば、やはり人の世はかくあるべしと思えてくる。

 実話の映画化作品は、どれも実話の持つ迫力というものがある。この映画も実在の双子のギャングの話だという。双子というわけで似ていなければならないが、これを主演のトム・ハーディが二役を演じ分ける。英語はわからなくても、レジーとロンは話し方も異なり、一見似ている別人かと思うほど。「役者だなぁ」と思ってしまう。もしもレジーが双子ではなかったら、マイケル・コルレオーネのように永続的な組織の繁栄を実現できたのではないかと思ってしまう。

 アメリカ版マフィアの物語とは一味違う、なんとも言えない諸行無常の響きが聞こえて来そうな物語である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年12月31日

【ハイネケン誘拐の代償】My Cinema File 1848

ハイネケン誘拐の代償.jpg

原題: Kidnapping Freddy Heineken
2015年 ベルギー・イギリス・オランダ
監督: ダニエル・アルフレッドソン
出演: 
アンソニー・ホプキンス:フレディ・ハイネケン
ジム・スタージェス:コル・ヴァン・ハウト
サム・ワーシントン:ヴィレム・ホーレーダー
ライアン・クワンテン:ヤン・“カット”・ブラート
マーク・ファン・イーウェン:フランス・“スパイクス”・メイヤー
トーマス・コックレル:マーティン・“ブレイクス”・エルカンプス
ジェミマ・ウェスト:ソーニャ

<映画.com>
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有名ビール企業ハイネケンの経営者が誘拐された実在の事件を映画化したクライムサスペンス。エミー賞受賞ジャーナリスト、ピーター・R・デ・ブリーズのベストセラーをもとに、誘拐犯と被害者双方の視点から謎多き事件の真相に迫る。1983年、オランダの都市アムステルダムでハイネケンの会長フレディ・ハイネケンが誘拐された。警察は巨大組織による犯行を疑うが、真犯人は犯罪経験すらない幼なじみの若者5人組だった。犯人たちは莫大な身代金を要求し、計画は順調に進んでいるかに見えた。ところが、人質であるハイネケンの傲慢な態度に振り回されるようになり、次第に追い詰められていく。名優アンソニー・ホプキンスが、素人誘拐犯たちを翻弄する老獪な大富豪役を存在感たっぷりに怪演。誘拐犯一味に「アクロス・ザ・ユニバース」のジム・スタージェス、『アバター』のサム・ワーシントン。
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 こういう事件が実際にあったことなど全く知らなかったが、これは事実に基づいた映画。主人公のコル、ヴィレム、カット、スパイクス、ブレイクスは、5人で会社を経営している。しかし、事業が思わしくなく、資金繰りに窮する。銀行に融資を頼みにいくが、こういう時に銀行の返事は色良いものではない。担保に入れられる建物を有していたが、そこは不法滞在者の溜まり場となっていて、担保価値をみてくれない。思い余って自分たちで不法滞在者を追い出そうしたが、自力救済は法の禁じるところでもあり、5人は警察に逮捕されてしまう。

 釈放されたコルが家に帰ると、妻から妊娠を知らされる。喜びの反面、男として稼がねばならない責任が一層重くなる。ある日、妻と実家に帰ったコルは、父がかつて仕えていたハイネケン氏について誇らしげに語るのを聞く。父親は自分を解雇したハイネケン氏と撮った写真を今でもリビングに大切に飾っている。コルはそれが気に入らない。そして5人で集まった時、窮地を脱するための計画をみんなに話す。それこそが、ハイネケン氏の誘拐計画であった。

 犯罪に走る人間には2通りあって、短絡的に犯行に及ぶ者と用意周到に準備するタイプである。5人は後者。しかし、綿密な計画を立てるにも資金が必要とわかる。そこで5人は銀行を襲う事にする。白昼堂々の犯行にも関わらず、現金輸送車を襲撃して現金を奪う。すぐにパトカーが現れカーチェイスとなり、銃撃戦となるも、なんと1人も犠牲者を出さずに逃げ切ることに成功する。この金で事業を立て直せなかったのだろうかと1人ブツブツ言いながら続きを追う。

そして誘拐計画の準備に着手する5人。ターゲットは、ハイネケン氏のみならず運転手まで含める。そして2人分の偽装した防音完備の監禁部屋まで作る。そこまでやったからこそか、このハイネケン氏誘拐計画は見事に成功する。ここまでは実に見事である。いつも不思議に思うのだが、これだけうまくやれる力があるのなら、その知恵をなぜ事業に使わなかったのだろう。きっとうまくいったと思うのだが・・・

 そして物事は予想通りには運ばないもの。すぐに手に入れられると思った身代金は、なかなか支払われる様子がなく、5人の間には不安から不協和音が流れ始める。やはりそれまで犯罪に手を染めることなく生きてきた者ゆえに、悪になりきれないのだろう。犯罪をチームで行うなら、まず何よりも信頼できる仲間かどうかが重要。そして次に精神力だろう。捕まるかもしれないという不安と恐怖をどう克服していくか。

 映画では、ハイネケン氏の老獪さも出ていた。やはり大企業の経営者ゆえに、不安に駆られた犯罪初心者では対人力が違う。それが実際にはどう影響したのか興味深いところである。どうせなら、どうして犯人逮捕に至ったのか詳しく描いて欲しかったと思うが、そこが残念なところ。そして身代金の一部は、結局回収できなかったというから、その行方も興味深い。それにしても、結局みんな逮捕され、犯罪は割に合わないと証明されることになる。もう少し徹底していたら、あるいは逃げきれたのかもしれない。

やはり真面目に生きのが一番だと改めて思わせてくれる実話映画である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 00:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | 犯罪ドラマ