2017年04月21日

ラン・オールナイト

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原題: Run All Night
2015年 アメリカ
監督: ジャウマ・コレット=セラ
出演: 
リーアム・ニーソン: ジミー・コンロン
ジョエル・キナマン: マイク・コンロン
エド・ハリス: ショーン・マグワイア
ボイド・ホルブルック: ダニー・マグワイア
ヴィンセント・ドノフリオ: ジョン・ハーディング刑事

<シネマトゥデイ>
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『アンノウン』『フライト・ゲーム』のジャウマ・コレット=セラ監督とリーアム・ニーソンが3度目のタッグを組んだアクション。息子の命を守るため親友でもあるマフィアのボスの息子を殺害してしまったことから、復讐に燃えるボスに命を狙われる殺し屋の逃走劇を描く。組織のボスに名優エド・ハリスが扮するほか、主人公を30年以上も追う刑事を『フルメタル・ジャケット』などのヴィンセント・ドノフリオ、主人公の息子を『ロボコップ』などのジョエル・キナマンが演じる。
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舞台は、ニューヨークのブルックリン。主人公のジミーは、長年マフィアのボスであり親友のショーンに仕えてきた殺し屋。しかし、もはや老齢で出番はなくなったのか、過去に殺してきた者たちに対する罪悪感に苛まれ、アルコールに溺れる毎日を送っている。組織もショーンの息子ダニーが仕切り始めているが、麻薬取引をめぐっては父親に厳しく咎められ、代替わりには程遠い状態。

そしてある日、ダニーはアルバニア・マフィアと麻薬取引を進めようとしてトラブルとなり、なんと相手を射殺してしまう。それを目撃していたのがジミーの息子であるマイク。マイクは辛くもダニーから逃げるが、ダニーは父ショーンの命令を無視してマイクの口封じに向かう。一方、これを聞きつけたジミーはマイクの元に駆けつけ、すんでのところでマイクを救うが、逆にダニーを射殺してしまう。

もともと殺し屋であった父親を嫌悪してジミーとは縁を切って暮らしていたマイク。ジミーに助けられたものの、ジミーに頼ることを良しとせず、ダニーの指示を無視して警察へ連絡する。まともな市民なら当然の行動である。しかし、警察もショーンの買収下にあり、マイクは逮捕されパトカーに乗せられる。連れて行かれるところが警察ではないと知り、慌てるマイク。

事態を見守っていたダニーは、冷静に行動し警官を射殺しマイクを救う。ジミーに反発するマイクは、ダニーが目の前で射殺され動揺するが、父ジミーの言うことには耳を貸さない。やむなく引き上げるふりをしてジミーは待機している。このあたりは冷静な行動だ。そしてなんとかショーンと話をつけようとするも、息子を殺されたショーンの怒りは収まらず、ジミーに対しマイクを殺すと宣言する。ジミーはやむなくショーンとの対立を選ぶ・・・

マフィアのボスの息子が短絡的でどうしようもないというのは、なんとなくよくあるパターンだ。古くは『ゴッドファーザー』の長男ソニーもそうであった。そして組織の殺し屋がボスに追われるというパターンも『ロード・トゥ・パーディション』と似通っている。まぁ似通うストーリーも出てくるであろう。この映画では、それに長年ジミーを追ってきたハーディング刑事が加わってくる。

もはやアクション・スターと言ってもおかしくないリーアム・ニーソンが、老いた殺し屋を演じ、エド・ハリスが組織のボスとして対峙する。これだけでも観る価値があるというもの。どこか既視感のあるストーリー展開ながら、深みがあるのは間違いなくこの2人の存在感と言えよう。父に反発し、真面目に生きている息子マイクを演じるのは『ロボコップ』のジョエル・キナマン。この人もそのうち目立ってくるのかもしれない。

起こるべくして起こってしまった事態。どこでどう間違ったのか、当事者にはわからないだろう。人生にはこういう理不尽もありうるのである。悲哀を帯びた主人公の姿。しかしそれは組織の殺し屋として多くの人を殺めてきた報いなのかもしれない。そんなジミーのラストになんとも言えない味わいが漂う。虚しいハッピーエンドとでもいうべきであろうか。渋いストーリーの映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年04月16日

クライム・ヒート

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原題: The Drop
2014年 アメリカ
監督: ミヒャエル・R・ロスカム
出演: 
トム・ハーディ:ボブ・サギノフスキ
ノオミ・ラパス:ナディア・ダン
ジェームズ・ガンドルフィーニ:カズン・マーヴ
マティアス・スーナールツ:エリック・ディーズ
ジョン・オーティス:トーレス刑事
エリザベス・ロドリゲス:ロムジー刑事

<映画.com>
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「ミスティック・リバー」の原作者としても知られる作家デニス・ルヘインの小説を、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディ主演で映画化したクライムドラマ。ニューヨーク、ブルックリンでバーを営むボブとマーブは、店を隠れ蓑にマフィアの裏金を預かる仕事を請け負っていた。ところがある日、仮面をつけた2人組の強盗が店を襲い、大金を奪い去ってしまう。ボブとマーブは金を取り返すようマフィアに命じられ、犯人探しに乗り出すが……。2013年に急逝した俳優ジェームズ・ガンドルフィーニの遺作となった。監督は、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたベルギー映画「闇を生きる男」のミヒャエル・R・ロスカム。
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 映画の原題は、“The Drop”。マフィアが裏金を動かす隠れ蓑にするバーを表す隠語のことらしい。物語の舞台となるそんなバーは、マーヴの経営するバー。そこで働くボブは、マーヴの従兄であり、寡黙な男。日々黙々とバーで働く。そんなボブは、ある日通りかかった家のゴミ箱に犬が捨てられているのを発見する。その家の住人ナディアと親しくなるも、積極的にアタックするでもない。ボブのキャラクターは静かに生きる男である。

 ある日、バーに二人組の強盗が現れ、レジの金5千ドルが強奪される。幸い奪われたのは裏金ではなく店の売上。しかし、店のオーナーはチェチェンマフィアであり、「取られた」などという言い訳は通用しない。何か失敗をやらかし、足をドリルで貫かれて呻く男を見せつけられ青くなる2人。強盗の捜査に来た刑事は、ボブが通う教会で顔を知る人物。その気軽さからか、ボブは犯人が止まった腕時計をしていたことを話してしまう。

 この強盗、実はマーヴが犯人たちとグルになって、自作自演のものであった。実はもともと店のオーナーはマーヴであり、それをチェチェンマフィアに乗っ取られて恨みを抱いているもの。そしてマーヴは大胆にも裏金そのものを奪う計画を立てている。そんなこととは知らないボブは、犬を捨てた男(実はナディアの元カレ)に犬を返せと迫られている。男は殺人のうわさもあり、精神科への通院歴もある。

 そうした伏線が描かれ、全米最大のイベントスーパーボウルの日に、マーヴの店が「Drop」の対象になる。ゴミ袋に入れられていた止まった時計をした片腕。ナディアに付きまとう男。じわりじわりと捜査の輪を縮めてくる刑事。チェチェンマフィアの金を強奪して一泡吹かせようと企むマーヴ。そんな渦中にあって一人犬の心配をしているボブ・・・

 最後は意外な顔を見せたボブ。なかなかストーリーとしては面白い。ボブを演じるのは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディ。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のマックスも強いんだか弱いんだか良くわからなかったが、そんな不思議なイメージがこの映画でも重なり合う。

 そして好きなんだか好きでないんだか良くわからない相手を演じるのは、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のノオミ・ラパス。はっきり言ってあんまり美人とは思えないが、独特の雰囲気がある。そんな出演者もあってか、映画は結構面白い。ただ、切り取られた腕だけがどうも良くわからず消化不良だった。

 それにしても映画になるくらいだから、チェチェン・マフィアって存在感を増しているのだろうか。ふとそんなことを考えた映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年01月14日

紙の月

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2014年 日本
監督: 吉田大八
出演: 
宮沢りえ:梅澤梨花
池松壮亮:平林光太
大島優子:相川恵子
田辺誠一:梅澤正文
小林聡美:隅より子
近藤芳正:井上佑司
大西武志:内藤課長
石橋蓮司:平林孝三

<シネマトゥデイ>
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銀行勤めの平凡な主婦が引き起こした大金横領事件のてん末を描いた、『八日目の蝉』 の原作などで知られる直木賞作家・角田光代の長編小説を映画化。まっとうな人生を歩んでいた主婦が若い男性との出会いをきっかけに運命を狂わせ、矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に手を染めていく。監督は、『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八。年下の恋人との快楽におぼれ転落していくヒロインの心の闇を、宮沢りえが体現する。
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 物語の舞台は、バブル崩壊直後の1994年。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として、外回りの仕事を始める。気配りや丁寧な仕事ぶりで、次第に上司や顧客に評価されるようになっていく。そんなある日、梨花は銀行の顧客である裕福な老人・平林から大口の国債の契約を取るが、セクハラにあってしまう。その時、助けに入ったのが平林の孫・光太だった。

 その後、駅で偶然光太と出会った梨花は、ほどなくして不倫関係になっていく。しばらくして、梨花は平林から光太が借金の無心に来ていたと教えられる。光太を追及した梨花は、光太が父のリストラで払えなくなった大学の学費を借金していたことを知る。強欲な平林はそんな孫の窮状を金があっても救うつもりはなく、梨花は憤りを感じる。そして平林から新規定期預金のため200万円を預かる・・・

 仕事が順調に回り始めた梨花は、次第にお金を使うようになる。そしてある時、化粧品を買うことになり、財布にお金が足りなかったことから集金してきた客の金を借り、そして途中でATMに寄りお金を下ろしてこれを戻す。一見、辻褄が合えば問題ないようにえるが、実はこれは銀行員には禁じ手である。というのも、この「ちょっとくらい」の意識から得てして間違いが始まるからである。そしてその通り、光太の窮状を救うべく、梨花は巧みに平林の定期預金の作成を本人にわからないよう取り消し、光太の借金返済に充てる。

 真面目な光太は、梨花の差し出した金の受け取りを渋る。そんな様子に梨花は自分が金持ちであるかのように振舞うことで、光太の心理的抵抗を和らげる。金持ちの顧客から聞いた話を我がことの如く話し、そして振舞う。いつしか光太と一緒に行くのは、安い居酒屋ではなく高級レストランになり、逢瀬を重ねる場はラブホテルからホテルのスイートルームへと変わる。当然、そんなお金などなく、梨花は客のお金に手を付けるようになる・・・

 こうした横領の背景として、梨花のカトリック系の女子校時代のエピソードが挿入される。学校では行われた「愛の子供プログラム」という募金活動で、梨花のもとに寄付した相手からお礼の手紙が返ってくる。それを機に募金活動にのめり込んでいった梨花は、とうとう父の財布から盗んだ金5万円を寄付する。それを咎められた梨花は、最初だけで募金をやらなくなった友人たちの分だと主張するが、事態を重視した学校は募金活動を中止する。


 原作は、映画『八日目の蝉』や先日読んだ『坂の途中の家』の作者である角田光代。『坂の途中の家』もそうであったが、主人公の女性の表に表せない心理状況が痛いほど伝わってくるストーリーである。さらに横領の手口にリアリティがあることが、ストーリーに一層の真実味を与えてくれる。

 次第に暴走していく梨花に対し、同僚のベテラン女子行員隅が疑惑を持つ。隅自身は実は支店では冷遇されている。銀行では得てして女性は早々に寿退社してほしいと考えがちで、この支店でも自らの実績を気にする支店長ら幹部らは閑職への転勤を内示して退職を仕向けている。そんな中で冷たい風あたりの中で隅は真面目に働いている。後輩の面倒を見ながら、梨花に対する疑惑から誰に言われるともなく独自に梨花の仕事を調べていく。結果としてこれが事件発覚に至るのだが、支店長らにとっては痛い皮肉である。

 実在の事件というわけではなく、映画はフィクションであるが、実際の事件だと言われても何の不思議もない。高齢者のお金の問題等、社会問題になりそうなことも含んでおり、なかなか観応えのあるドラマである。こうなると、原作も是非読んでみたいと思わずにはいられない。これから注目したい作家原作の映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2016年12月19日

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

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2012年 日本
監督: 伊藤匡史
出演: 
阿部寛:武沢竹夫
村上ショージ:入川鉄巳
石原さとみ:河合やひろ
能年玲奈:河合まひろ
小柳友:石屋貫太郎
ベンガル:質屋の店主
ユースケ・サンタマリア:競馬場の客
戸次重幸:豚々亭のマスター
鶴見辰吾:ヒグチ

<シネマトゥデイ>
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「月と蟹」で直木賞に輝いた作家、道尾秀介の小説を実写化。ワケありの詐欺師コンビが、ひょんなことから共同生活を送ることなった姉妹と青年と共に一世一代の勝負に挑む姿を活写する。『テルマエ・ロマエ』の阿部寛とベテラン芸人の村上ショージが詐欺師コンビにふんし、絶妙な掛け合いを披露。共演には『北の零年』の石原さとみ、『グッモーエビアン!』の能年玲奈、『トウキョウソナタ』の小柳友など、バラエティー豊かな顔ぶれが集結。全編にちりばめられた伏線が一気に回収される、ラスト20分に圧倒。
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主人公の武沢は詐欺師。元はと言えば、まっとうなサラリーマンだったが、闇金の取り立てで職を失い、なし崩しに借金取りにさせられたという過去をもつ。その元締めであったヒグチという男にある母子家庭の追い込みを命じられ、それを苦にした母親が自殺してしまう。良心の呵責から貸付資料を警察に持ち込んだ結果、ヒグチたちは逮捕されたが、武沢は自宅に放火され幼い娘を失ってしまう。以来、ヒグチの復讐を恐れ逃げ回る生活を余儀なくされていた。

武沢のパートナーのテツは、自殺しようとしていたところで武沢と出会い、以来コンビを組んで仕事を重ねていた。競馬場で一仕事終え、ラーメン屋で食事をしていた二人は、住んでいるアパートが火事になったことを知り慌てて逃げ出す。ヒグチらによる放火だと思ったのであるが、帰るところを失った二人は、綾瀬に一軒家を借りて新生活を始める。

上野での一仕事のあと、二人は仕事に失敗したスリの少女まひろを見かけて逃がしてやる。その後、まひろから生活に窮していることを聞かされた武沢はお金を渡し、困ったことがあればウチに来いと誘う。するとそれを真に受けたまひろが、あろうことか美人だが常識も生活力もない姉のやひろ、そしてやひろの恋人で図体はデカいが気が小さい元イジメられっ子で失業中の時計職人貫太郎とともに二人の家に転がり込んでくる。こうして5人は共同生活を始める。

さらに子猫の「トサカ」も加わり、家族のように暮らす5人だが、平和な日々は長くは続かない。怪しげな車が様子を伺うようになり、ボヤ騒ぎが起きる。そして、「トサカ」が姿を消し、変わり果てた姿で発見される。ヒグチの仕業だと考えた5人は、詐欺による復讐を企てる・・・

なんとなく面白そうだと思えて観た映画であるが、期待を裏切られることはなかった。後で知ったのであるが、原作は道尾秀介だというから納得というもの。ちょっと単純すぎると思えなくもないところもあったが、まぁ全体としてスムーズに流れていれば、細かいところは気にするものではないと思う。

改めて思うのは、主演の阿部寛は多才であるなということ。ここではどちらかというとコメディー的な感じであるが、コメディーは既に『HERO』『テルマエ・ロマエ』でお馴染みだし、シリアスなのもOK(『麒麟の翼』)。ちょっと癖のある(『チーム・バチスタの栄光』)のも違和感がないときている。役者だからといえばそれまでだが、オールマイティさがいいと個人的に思う。

タイトルの「カラス」とは、「玄人」の意味らしい。詐欺の映画だけあって、観る者も最後にアッと言わされる。一件落着と思われ、そのまま終わっていたらあまり印象にも残らなかったと思うが、ラストでの意外な展開はなかなか良かった。最後のひとヒネリがこの映画のキモと言える。そのあたりは道尾秀介なのかもしれない。原作は読んでいないものの、映画が面白かったので興味を惹かれるところがある。そのうち読んでみたいと思わされた一作である・・・


評価:★★☆☆☆




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2016年11月17日

ドライブ・ハード

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原題: Drive Hard
2014年 オーストラリア
監督: ブライアン・トレンチャード=スミス
出演: 
ジョン・キューザック:サイモン・ケラー
トーマス・ジェーン:ピーター・ロバーツ
ゾーイ・ヴェントゥーラ:ウォーカー
クリストファー・モリス:マリオ・ロッシ
ダミアン・ガーヴェイ:スミス
イエッセ・スペンス:テッサ・ロバーツ
ジェローム・イーラーズ:銀行重役

<シネマトゥデイ>
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『ハイ・フィデリティ』などのジョン・キューザック、『ミスト』などのトーマス・ジェーンの実力派共演によるアクション。元レースドライバーの運転教習所教官が、謎めいた教習生と出会ったばかりに強盗事件に巻き込まれてしまう姿を追う。メガホンを取るのは、『アドベンチャー・オブ・ジ・アース』『ダブル −完全犯罪−』などのブライアン・トレンチャード=スミス。男たちのプライドや絆をめぐるドラマもさることながら、主人公たちが操るビンテージのフォード・マスタングの激走ぶりも見もの。
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主演が、ジョン・キューザックなのでてっきりハリウッド映画かと思っていたら、実はオーストラリア映画であったのがこの映画。
舞台は、ゴールドコースト。元レーサーのピーターは、今はレースの世界から身を引き、自動車教習所の教官として冴えない毎日を送っている。妻のテッサは弁護士であり、家庭内の立場は完全に妻主導である。

そんなある日、彼はサイモンというアメリカ人から指名を受け、教習を担当する。その教習中、サイモンは銀行へ立ち寄ることを要求する。ピーターが車で待っていると、高額の債券の束を強奪したピーターが、警備員に追われながら車へと戻ってくる。驚くピーターをよそに、銀行の警備員は容赦なく二人に発砲してくる。命からがらその場から逃走するピーターとサイモンだが、あっという間にパトカーの追走を受けることになる。

実は、サイモンはそもそも銀行強盗が目的で、元レーサーであるピーターの運転技術に目を付け、自身の犯行の手助けをさせたのである。少々強引な展開だが、まぁいいだろう。当然ピーターはこれを拒否するものの、追ってくる警察はピーターを一味と見て発砲してくる。やむなく、ピーターはそのドライビング・テクニックを弄してパトカーの追走を振り切る。

一方、被害のあった銀行の上層部では、何やらきな臭い動き。どうやら不正な資金を原資とした債券らしく、幹部の一人が買収した刑事にサイモンらの行方を追わせる。連邦捜査官も捜査に加わる。こうして善悪入り乱れての逃亡劇が展開されるが、意図せぬまま銀行強盗の片棒を担がされた形のピーターとサイモンのやり取りも、また一興。

サイモンは言葉巧みにピーターの心の中の気持ちを引き出す。本当はレースが好きで生きがいであったのに、妻の勧め(という名の命令だろう、たぶん)によって引退し、今は教習所の指導員をしている。家計は楽ではないが、弁護士をしている妻の方が年収は多く、家庭内でも確固たる立場を築けていない。女房の言葉なんて無視してレースをやれと言うサイモンの言葉を否定しきれないピーター。そんなドラマも面白い。

結局、サイモンの目的は何だったのか、表に出てこない裏事情は何だったのか、よくわからないまま映画は終わる。ただ、それはそれで差し障りない。サイモンから解放されたあとのピーターの姿に、ハッピーエンドを感じるのである。家の中で燻っている男なら、心に響くものがあるかもしれない。

ちょっと気軽に観たいオーストラリア映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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