2024年11月01日

【ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー】My Cinema File 2928

ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー.jpg

原題: Beverly Hills Cop: Axel F
2024年 アメリカ
監督: マーク・モロイ
出演: 
エディ・マーフィ:アクセル・フォーリー
ジョセフ・ゴードン=レビット:ボビー
テイラー・ペイジ:ジェーン・サンダース
ジャッジ・ラインホルド:ウィリアム・“ビリー”・ローズウッド
ジョン・アシュトン:ジョン・タガート
ポール・ライザー:ジェフリー
ブロンソン・ピンチョット:サージ
ケビン・ベーコン:ケイド

<映画.com>
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エディ・マーフィ主演による大ヒットアクション映画『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズの30年ぶりの続編となる第4作。
かつて高級住宅街ビバリーヒルズで数々の難事件に挑んだデトロイト市警の型破りな刑事アクセル・フォーリーは、娘の命が危険にさらされたことから、新たな相棒と組んで事件を追うことに。時代の変化によって以前と同じような捜査ができないアクセルだったが、ビリー・ローズウッドやジョン・タガートら旧知の仲間たちの力を借りながら、持ち前の行動力と正義感で事件の真相を暴いていく。
アクセルの新たな相棒をジョセフ・ゴードン=レビットが演じ、テイラー・ペイジ、ケビン・ベーコンが共演。さらに、ビリー・ローズウッド役のジャッジ・ラインホルドやジョン・タガート役のジョン・アシュトンら過去作でおなじみのメンバーも集結した。シリーズ1作目と2作目を手がけたジェリー・ブラッカイマーがプロデューサーに名を連ね、『アクアマン』のウィル・ビールが脚本を担当。Netflixで2024年7月3日から配信。
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かつて大ヒットしたエディ・マーフィーの刑事もののなんと30年ぶりの続編。そんなに前になると、もうエディ・マーフィーが主演だったという事ぐらいしか覚えていない。復習を兼ねて『ビバリーヒルズ・コップ』(My Cinema File 2905)『ビバリーヒルズ・コップ2』(My Cinema File 2908)と観てから望む。

30年後の現在でもアクセル・フォーリーは、現役のデトロイト警察の刑事として働いている。冒頭、アメフトの会場にやってきたアクセルは試合を観戦する。同僚が試合に夢中になっている間も双眼鏡で何やら客席を見回す。その頃、選手が不在のロッカールームでは窃盗団が選手の持ち物を物色している。金持ちの選手の私物には高級品が多いのだろう。それに気づいたアクセルは追跡に入るが、例によって派手なカーチェイス(と言ってもアクセルが乗り込んだのはトラック)で、街中に混乱と破壊をもたらす。過去のシリーズと同様の展開である。

これによって警察本部長に油を絞られるのもお馴染み。ふと見ると、壁には第一作の上司の写真が飾られている。本部長ジェフリーは引退を表明し、アクセルに別居中の娘ジェーン・サンダースと再会するよう提案する。どうやら30年の間にアクセルにも娘ができたらしい。その娘ジェーンはLAで弁護士をしており、アクセルの友人で元ビバリーヒルズ警察から探偵に転身したビリー・ローズウッドと懇意にしている。しかし、父娘の関係は断絶状態のようである。ジョン・マクレーンも娘とはうまくいっていなかったが(『ダイハード4.0』(My Cinema File 306))、どこも父親とはかくも同じようである。

一方、事件は静かに進行する。ジェーンは、潜入捜査官コープランド殺害の濡れ衣を着せられたエンリケスの弁護を引き受ける。法廷で無罪を主張するが、突然駐車場で謎の男たちに襲われ、立体駐車場から宙づりにされるという脅しを受ける。ローズウッドもその事件を調べていて、殺人が行われた車から証拠を回収するが、埠頭に忍び込んだところを捕らえられてしまう。アクセルはさっそくビバリーヒルズ警察に向かう。かつてアクセルとともに事件を追ったタガートは署長に出世している。

ジェーンが派手な脅しに遭い、ローズウッドが行方不明になる中、捜査官殺しの事件には裏がありそうであり、アクセルは独自の調査を開始する。ローズウッドの事務所を訪ねるが、そこには誰もいない。その時、正体不明の男たちに襲われ、その騒動の中、アクセルはビバリーヒルズ警察に逮捕されてしまう。そこで取り調べに出てきたのが、若い刑事ボビー。このボビーだが、実は娘ジェーンの元恋人という微妙な立場であった。そして事件を中心に物語は動いていく。

このシリーズは刑事モノといいつつ、派手なアクションが売りというものではなく、主役のアクセル・フォーリーが得意の口八丁で相手を煙に巻きながら事件を解決していくというのが見どころ。しかし、前作と比べると予約をしていない高級ホテルの部屋を取ってしまったり、改装中の豪邸を勝手に借りてしまったりと面白いけどモラル的にいかがなものかという部分がなかった。現代的なコンプライアンスを意識したものだろうかと思ってみる。

30年経てば登場人物たちもそれぞれ年を取り、またそれぞれの生活環境も変わったりする。そういうのが描かれているのも、30年ぶりの続編というものの意味があるように思う。当時からだいぶ太ったエディ・マーフィーのトークも独特の笑いも健在であり、懐かしい匂いもしてよかったと思う。ただ、復習してから観ないと面白さは半減するかもしれないと思う。こういう続編もいいなと思わせてくれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年09月05日

【ビバリーヒルズ・コップ】My Cinema File 2905

ビバリーヒルズ・コップ.jpg

原題: Beverly Hills Cop
1984年 アメリカ
監督: マーティン・ブレスト
出演: 
エディ・マーフィ:アクセル・フォーリー
リサ・アイルバッハー:ジェニー・サマーズ
ジャッジ・ラインホルド:ウィリアム・ローズウッド
ジョン・アシュトン:ジョン・タガート
ロニー・コックス:アンドリュー・ボゴミル

<映画.com>
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スゴ腕の熱血漢だが上司からは見放されている若い刑事が麻薬組織を相手に大活躍するというアクション。製作はドン・シンプソンとジェリー・ブラックハイマー、エグゼキュティヴ・プロデューサーはマイク・モーダー。監督はマーティン・ブレスト、脚本はダニエル・ペトリー・ジュニア、原案はダニーロ・バックとペトリー・ジュニア、撮影はブルース・サーティーズ、音楽はハロルド・フォルターメイヤー、編集はビリー・ウェーバーとアーサー・コバーンが担当。出演はエディ・マーフィ、ジャッジ・ラインホールドなど。ドルビー・ステレオ。日本版字幕は金田文夫。テクニカラー、ビスタサイズ。1984年作品。
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最近、新作が出たようで、復習を兼ねて観なおしてみる事にしたシリーズ第1弾。主人公はデトロイト警察の刑事アクセル・フォーリー。冒頭では、1人でおとり捜査を行い、表向きはタバコの荷物を巡って密売人とやり取りをしている。そこに巡回のパトカーがやってきて、職務質問を受ける。この事態に密売人はアクセルを荷台に乗せたままトラックを発車させて逃走する。大型トラックとパトカーの迫力あるカーチェイス。最後は警察官に囲まれて密売人は逮捕されるが、アクセルの顔を見た1人の警察官が呆れた顔をする。

アクセルは上司に叱責される。カーチェイスのために市長から苦情が来ており、しかもアクセルが行ったおとり捜査はアクセルが独断で行ったもの。冒頭は主人公の顔見せとなるが、アクセルがどういう刑事かがこれでわかる。そのアクセルが家に帰ると、幼馴染のマイキーが家に入り込んでいる。マイキーは刑務所に入っており、アクセルは再会を喜んでさっそくマイキーと飲みに出かける。

幼馴染ではあるが、1人は犯罪者、1人は刑事となっている。しかし、同じように悪事をしたものの、捕まったマイキーが黙秘したことでアクセルは逮捕されなかったという経緯がある。再開を祝して酔って帰宅した2人は何者かに襲われる。どうやらマイキーがとある組織で働いていて、そこで債券を盗んで逃げてきていたのである。債券を取り返しにきた男たちはアクセルを殴り倒し、マイキーを射殺する。

幼馴染を殺されたアクセルは当然捜査に加わりたいと思うが、却下されてしまう。ならばとアクセルは休暇を取り、独自に捜査を行うことにする。そしてマイキーが直前まで働いていたというビバリーヒルズに向かう。マイキーは出所後、ビバリーヒルズにいる幼馴染のジェニーの紹介で働いており、アクセルはまずジェニーを訪ねる。ジェニーは画廊の雇われ経営者であるが、画廊のオーナーに頼み画廊の倉庫での仕事をマイキーに紹介していたのである。

アクセルはさっそく画廊のオーナーであるメイトランドに会いに行くも、ボディーガードによって会社から放り出される。しかも、警察に通報されてアクセルは逮捕されてしまう。ここでアクセルは地元警察のタガート巡査部長とその部下のローズウッドと知り合う。メイトランドは街の実業家でもあり、タガート巡査部長はその言葉を疑わない。アクセルの身元はすぐに判明し、釈放されるが、上官のボゴミル警部はダガードとローズウッドにアクセルの監視を命じる・・・

気がつけばもう40年も前の映画である。当時、エディ・マーフィはその軽快なマシンガントークで人気を博しており、このシリーズも3作作られている。口八丁で相手を煙に巻き、いつの間にやら自分のペースで物事を進めていく様子が面白い。ビバリーヒルズにやってきたアクセルは高級ホテルの受付に来ると予約もしていないのに例のマシンガントークで相手を圧倒し、まんまとスイートルームをノーマル料金で借りてしまう。よくよく考えたらいかがなものかと思うが、観ていて面白いのは確かである・・・

当時印象的だったのは、アクセルの愛車。ボロボロに乗り倒したシボレーで、高級車が往来する道を我関せずで乗り回す。個人的にはそれがなんとも言えない味わいで、最初に買った安い中古車に乗る時、いつもこの映画の軽快なテーマ音楽が頭の中を流れていたものである。アクセル刑事も口先八丁だけではない。タガートとローズウッドを誘ってストリップバーに連れて行くが、偶然店内に入ってきた怪しげな2人組に気づき、タガートに合図して強盗事件を未然に防ぐ。実力も備わっているのである。

よそ者が我が町で捜査をする(しかも正式なものではない)という事に地元の警官はいい顔をしない。しかし、アクセルの実力を目にし、まずはローズウッドがアクセルに好感を持つ。そして何事も慎重なダガードも気持ちとは裏腹に犯罪の匂いの前には警官たる本分を忘れない。一番反発していたボゴミル警部でさえ、最後はアクセルの活躍を認める。ストーリー自体はともかく、地元警察の人間をたらし込んでいくアクセルの活躍が心地よい。これで終わりというのも惜しいというもの。このあとシリーズ化したのもよくわかる記念すべきアクセル・フォーリーの第一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年05月10日

【三つ数えろ】My Cinema File 2854

三つ数えろ.jpeg

原題: The Big Sleep
1944年 アメリカ
監督: ハワード・ホークス
原作: レイモンド・チャンドラー
出演: 
ハンフリー・ボガード:フィリップ・マーロウ
ローレン・バコール:ヴィヴィン
マーサ・ヴィッカード:カルメン
ジョン・リッジリー:エディ・マース

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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「紳士は金髪がお好き(1953)」のハワード・ホークスが1946年に製作・監督に当った推理映画で、「深夜の告白」のレイモンド・チャンドラーの処女作を「脱出(1944)」のウィリアム・フォークナー、リー・ブラケット、「北京超特急」のジュールス・ファースマンが脚色した。撮影は「暴力に挑む男」のシド・ヒコックス、音楽は「欲望の谷」のマックス・スタイナー。「裸足の伯爵夫人」のハンフリー・ボガート、「百万長者と結婚する方法」のローレン・バコール、「腰抜けM・P」のジョン・リッジリー、「地獄から来た男」のマーサ・ヴィッカーズ、「殺人者はバッジをつけていた」のドロシー・マローン、「銅の谷」のペギー・ヌードセン、レジス・トゥーミーらが出演する。
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時折、古い映画を観ている。「名探偵フィリップ・マーロウ」の名前は響いているし、それをハンフリー・ボガードが演じるという事であれば、やはり観ておきたいと思わされる。そんな思いから鑑賞にいたるもの。この映画が製作されたのは、第二次世界大戦真っ最中の1944年。あらためてアメリカの余裕を感じさせられる。

ところはロサンゼルス。私立探偵のフィリップ・マーロウは、スターンウッド将軍の依頼をうけてその屋敷を訪れる。執事に出迎えられたマーロウだが、同時に次女のカルメンも興味津々といった様子で出迎える。その行動は、金持ちのわがまま娘といった様子である。当の将軍の依頼は、古書店主のガイガーがカルメンに対し賭博の借金の催促という名目で脅迫してきたことを説明し、解決して欲しいというものであった。

将軍の用心棒でお気に入りのリーガンは、マーロウとも旧知の仲だったが、最近になって賭博師のマースの妻と一緒に姿を消している。依頼を受けて帰ろうとするマーロウを今度は長女のヴィヴィアンが引きとめる。屋敷では用心棒のリーガンだけでなく、運転手も行方不明だという。長女は父とは別に何か腹に秘めている様子である。

マーロウは、図書館で古書の初版本情報を仕込み、ガイガーの古書店に足を運ぶ。しかし、ガイガーは不在。応対に出た店員のアグネスは、客のマーロウを軽くあしらって追い払う。やむなく、向かいの店で情報収集しつつ、帰ってきたガイガーを確認するとその後を追う。行きついた先はとある一軒家。雨の中、別の車がやって来るが、運転していたのはカルメン。その家に入っていったカルメンだが、やがて銃声と悲鳴が聞こえてくる。そして裏庭から走り去る2台の車。

慌てて家の中に駆け込んだマーロウだが、そこにいたのは酩酊状態のカルメンと射殺死体となったガイガー。さすがに探偵だけあって動じない。冷静に室内を観察し、胸像に仕込んだ隠しカメラを発見するがフィルムは抜き取られている。脅迫者の死体をそのままに、マーロウは酩酊したカルメンをカルメンの車に乗せると、スターンウッド邸まで連れ帰る。自分の車を取りに戻ったマーロウだが、現場からはガイガーの死体が消えていた・・・

そう言えば、かつては私立探偵というと鋭い推理を売りにした権威ある職業であった。日本でも明智小五郎などが有名であるが、本家アメリカではこのフィリップ・マーロウであろうか。今では探偵と言えば浮気調査というイメージしかないが、この頃の映画には、私立探偵の権威が輝いている。煙草をふかし、トレンチコートに身を包み、もちろん帽子も被っている。当時はこれがカッコ良かったのだろうか。

考えてみれば、この映画が撮影されたのは80年前。事件を追う私立探偵マーロウだが、あまり腕っぷしは強くない。待ち伏せしていた怪しげな2人組に手痛く痛めつけられてしまったりする。銃撃戦もほんの軽いもので、現代の映画のような迫力はない。そのあたりは、映画の進化なのかもしれない。依頼主の父とは別に怪しげな行動を取る長女ヴィヴィアン。なぜか唐突にマーロウとキスをしたりする。ベッドにまで行かないのは時代だろうか。

さまざまな登場人物が次々と現れる。その中で殺される人間もいて、物語はスリリングに展開する。銃を突きつけて自白を迫る。「三つかぞえる間に吐け」というわけであるが、邦題はそこからつけられたのであろう。それもこれも時代を感じさせる。何となく途中で人物の相関関係がわからなくなってしまった。現代の感覚で観ると、映画の世界に浸り込むのはなかなか難しい。ハンフリー・ボガードも『カサブランカ』ではなかなかの二枚目ぶりだったが、この映画では、それほどでもない。

事件の黒幕は何と自分の部下に蜂の巣にされる。それもまたなんだかなぁと思わされる。エンタメというより、映画史を見るようなつもりで、鑑賞した映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2023年11月10日

【マザーレス・ブルックリン】My Cinema File 2767

マザーレス・ブルックリン .jpeg

原題: Motherless Brooklyn
2016年 アメリカ
監督: エドワード・ノートン
出演: 
エドワード・ノートン:ライオネル・エスログ
ブルース・ウィリス:フランク・ミナ
ググ・バサ=ロー:ローラ・ローズ
ボビー・カナヴェイル:トニー・ヴェルモンテ
チェリー・ジョーンズ:ギャビー・ホロウィッツ
マイケル・ケネス・ウィリアムズ:ウィントン・マルサリス
レスリー・マン:ジュリア・ミナ
イーサン・サプリー:ギルバート・コニー
ダラス・ロバーツ:ダニー・ファントル
ジョシュ・パイス:ウィリアム・リバーマン
ロバート・ウィズダム:ビリー・ローズ
フィッシャー・スティーヴンス:ルー
アレック・ボールドウィン:モーゼス
ウィレム・デフォー:ポール・ランドルフ

<映画.com>
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エドワード・ノートンが「僕たちのアナ・バナナ」以来となる約19年ぶりの監督業に挑んだ作品で、1950年代のニューヨークを舞台に私立探偵が殺人事件の真相を追うアメリカンノワール。ノートンが監督のほか脚本、製作、主演も務めた。障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。共演にはブルース・ウィリス、ググ・バサ=ロー、アレック・ボールドウィン、ウィレム・デフォーらが顔をそろえる。
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1950年代のニューヨーク。主人公のライオネル・エスログは、探偵事務所の一員として働いている。ライオネルが人と違うのは、突然言葉を発したり、人に触れたりするトゥレット症候群という症状があること。知らない人がその様子を見ると驚くであろう。母親を早く亡くし、孤児院にいたところを、フランク・ミナと探偵事務所を経営する男に引き取られ、以来そこで働いているのである。

ライオネルには、病気とともに抜群の記憶力に恵まれていて、フランクの信頼も厚い。ある日、フランクは見知らぬ男たちと何かの交渉に出かけるが、ライオネルにフォローするように命じる。ライオネルに交渉の様子を盗聴させるが、時代もありその方法は原始的。電話ボックスから電話をかけ、フランクの部屋とつなぎっぱなしにするというもの。男たちとの交渉は友好的とは言えないもの。「なぜあの黒人女を調べた?」という男たちの声が聞こえてくる。

事態は不穏なまま推移し、フランクは車で連れ去られる。ライオネルは仲間とともに後を追うが、一瞬見失ったすきにフランクは撃たれてしまう。ライオネルは彼を救急病院に運びこむが、「フォルモサ」という言葉だけを残してフランクは息を引きとる。主を失った探偵事務所だが、ライオネルはフランクの死の真相を探るべく行動を開始する。頼りは己の記憶。フランクの会話を必死に思い出し、事務所のダニーと捜査に取り掛かる。その結果、ハーレムにあるジャズ演奏で有名な店にたどり着く。

そこは今回の事件のキーパーソンと見られる黒人女性ローラ・ローズの父親が経営する店。ローラ自身もその建物の二階に住んでいる。ローラを尾行したライオネルが行きついたところは市の公聴会。そこでは市が計画する都市開発計画に反対する市民が集まっている。都市開発とは名ばかりで、実態は貧しい地域や少数民族の地域をわざとスラム化させ、大義名分を振りかざして住民たちを追い出しているというもの。市の監督官であるモーゼス・ランドルフは、反対意見を叫ぶ市民たちを嫌悪の眼差しで見下ろす。

ライオネルは、会場で取材していた新聞記者の隣に陣取り、新人記者を装って情報を聞き出す。調べたところ、フランクが残した「フォルモサ」という言葉は「For Moses」のことで、どうやらモーゼス・ランドルフに関わっているとわかる。さらにモーゼス・ランドルフの兄ポール・ランドルフが兄弟ながらどうやら反対派に属しているらしいうことを突き止める。そしてそのポール・ランドルフから「インウッド不動産を調べてみろ」と言われる。ライオネルはさらに調べを進めていく・・・

物語は1950年代を舞台にした探偵物語。この時代、探偵が活躍している。探偵と言ってもトレンチコートの襟を立てているわけではなく、二枚目でもなく、ましてや銃の扱いに慣れた格闘センスある人物とはほど遠い。それどころか、時折奇声を発するという知らない人が見れば障害者かと思うような人物。それが人並外れた記憶力を武器に、自分たちのボスが追っていた事件とそのボスを殺した男たちを追っていく。

ヒロインとなる女性がいるのもお約束みたいなもの。このドラマでは黒人女性のローラが事件を鍵を握る。タイトルの『マザーレス・ブルックリン』だが、幼き頃に母親を失った、ボスから『ブルックリン』とあだ名で呼ばれるライオネルのこと。障害者もどきの一探偵事務所員が事件の謎を解いていくというストーリー展開は、一風変わっているが面白い。難を言えば、事件の真相があまり大したことはなかったという点だろうか。

ボスとして登場したブルース・ウィリスがあっさり殺されてしまったのは以外だったが、主演のエドワード・ノートンが癖のある主人公を巧みに演じる。それもまた映画に一味を加える。古き良き時代の探偵物語。なかなか楽しめた一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2023年09月09日

【スペンサー・コンフィデンシャル】My Cinema File 2744

スペンサーコンフィデンシャル.jpeg

原題: Spenser Confidential
2019年 アメリカ
監督: ピーター・バーグ
出演: 
マーク・ウォルバーグ:スペンサー
ウィンストン・デューク:ホーク
ロブ・ロウ:ブラッド
アラン・アーキン:ヘンリー
イライザ・シュレシンガー:シシー
ボキーム・ウッドバイン:ドリスコル
ポスト・アローン:スクイーブ
ブランドン・スケールズ:グレアム

<シネマトゥデイ>
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ベストセラー作家ロバート・B・パーカーの小説「スペンサー・シリーズ」を映画化したアクション。正義感の強い主人公が、ある殺人事件の真相を追う。『バーニング・オーシャン』 『パトリオット・デイ』などのピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグが再び組み、ラッパーのポスト・マローンのほか、アラン・アーキン、イライザ・シュレシンガーらが共演。
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主人公のスペンサーは、ボストン警察の元警官。上司であるボイラン警察署長に対する暴行で、懲役5年の実刑判決を受けて服役している。まもなく刑期を終えて釈放されるという時、他の囚人に襲われて乱闘になる。しかし、脇腹を刺されたことから正当防衛が認められ、無事出所する。迎えに来たのは父のヘンリー。実は元恋人のシシーも迎えに来るが、激しい性格のゆえかスペンサーはあえて隠れて実家に戻る。年老いた愛犬が出迎えてくれるが、ガタイのいい黒人ホークと同室にされてしまう。

そうした中、事件は起こる。5年前のスペンサーが暴行したボイラン警察署長が何者かによって殺害される。翌朝、スペンサーの元相棒の刑事ドリスコルが訪ねてくる。幸い、ヘンリーがアリバイを証言したため事なきを得るが、一緒に来た刑事からは厳しい態度を取られる。スペンサーは、軽くいなすとトラック運転手になるために教習所に通い始める。それと同時に、スペンサーはヘンリーが経営するジムでコーチとして働き始る。ジムにはホークも通っており、スペンサーが指導する。そこにシシーがやって来ると、二度と会いたくないと罵倒される。

ボイラン警察署長に続き麻薬課の警官テレンスが死んでいるのを妻が発見する。警察は自殺と発表するが、妻は信じない。事件の裏に陰謀の匂いをかぎ取ったスペンサーは、テレンスの妻を訪ねて真相を探る約束をする。さっそく、テレンスが死ぬ前日に、警官のたまり場になっているバーに行っていたことを教えてもらい、スペンサーはそのバーに向かう。しかし、そこでボイラン警察署長を慕っていた警官たちに見つかり、袋叩きにされて追い出されてしまう。

それでもバーの前のスーパーに監視カメラがあることに気付くと、ホークの手を借りて事件当日の映像を入手する。そこには迎えに来たスポーツカーに乗り込むテレンスの姿が写っており、スペンサーはそのスポーツカーを追う。派手なスポーツカーは人目につきやすく、スペンサーは街中で偶然そのスポーツカーを発見する。急いで追いかけるが、逃げられてしまう。しかし、ナンバーを頼りに事件に関係していると思われるアイルランド系マフィアの男を探し当てる・・・

何となく、主人公の立ち位置がわからないままスタートした物語。元警官ではあるが、暴力事件を起こして服役したという経歴。探偵でもないし、警官でもない。されど亡くなった警官の陰に自身も巻き込まれた陰謀の匂いをかぎ取って独自に動いていく。正義感が強く、よけいなお節介を厭わない。事件の陰には腐敗警官の影がある。腐敗警官というのは、権力を握っているだけに質が悪い。それにもかからわず単身立ち向かっていく主人公。その姿が心地よい。

主人公のスペンサーを演じるのは、マーク・ウォルバーグ。アクションからコメディから幅広くこなす役者さん。観る映画を決める基準はいろいろあるが、出演者で決める時には、間違いなくリストに入っている役者である。立ち位置がよくわからないまま始まったストーリーであるが、それなりに引き込まれていた。難を言えば事件の黒幕がちょっと小物過ぎた感は否めない。それにしてもラストでは次の事件にスペンサーは、気を引かれる。原作はシリーズものらしいから、続編もありうるのかもしれない。

マーク・ウォルバーグ主演として、ハズレのない映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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