2017年05月21日

ザ・スクワッド

ザ・スクワッド.jpg

原題: THE SQUAD
2015年 フランス/イギリス
監督: バンジャマン・ロシェ
出演: 
ジャン・レノ:セルジュ
アルバン・ルノワール:カルティエ
カテリーナ・ムリーノ:マルゴー
ティエリー・ヌーヴィック:ベッカー


<シネマトゥデイ>
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『レオン』をはじめ数多くの出演作を誇るジャン・レノ主演のポリスアクション。パリ警視庁特殊捜査チームと凶悪な強盗団が、すさまじい戦いを繰り広げる。メガホンを取るのは、『ザ・ホード −死霊の大群−』などのバンジャマン・ロシェ。『ゴール・オブ・ザ・デッド』などのアルバン・ルノワール、『プレイ‐獲物‐』などのカテリーナ・ムリーノらが共演する。派手な銃撃戦やカーチェイス、無口な男を演じるジャンの雰囲気に引き込まれる。
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 主人公は、パリ警視庁の特殊捜査チームを率いる刑事セルジュ。冒頭から何やら倉庫に押し入った強盗団を急襲する。メンバーは、みな腕利きで、あっという間に強盗団を叩きのめし逮捕する。しかし、その手法は過激かつ暴力的で、たたでさえ庶民に不人気なフランス警察は、批判の的となる。新任の署長ベッカーは、そんなやり方に反対。セルジュと署長のベッカーは過去の因縁もあり、着任早々不服従の態度のセルジュとの間には不穏な空気が漂う。

 メンバーからは信頼の厚いセルジュではあるが、なかでもマルゴーとは不倫関係。しかもマルゴーの夫がベッカーだったりするから、穏やかではない。そんな中、宝石店で強盗殺人事件が発生する。日中店内に押し入った強盗団が、居合わせた女性客を射殺して逃走したもの。セルジュは、その手口から犯人はかつて自ら逮捕したものの証拠不十分で釈放せざるを得なかったアルミン・カスペールだと睨む。

 さっそく、「いつもの」やり方でカスペールとその仲間たちを連行するが、強硬な取り調べにもかかわらず決定的な証拠は出ない。さらに射殺された女性客を調べると、別人の犯行である可能性が高まり、カスペールは釈放される。セルジュのこの失態から、日頃のベッカーの不満もあって、チームとともにセルジュは捜査を外されてしまう。そうこうするうちに、再び同一犯と見られる強盗事件が発生する・・・

 フランス映画界の第一人者ともいうべきジャン・レノ。その出演作品はハズレが少ない。安心して観られる俳優さんと言える。そんなジャン・レノ主演となれば、観ない手はない。今回はフランス警察の刑事。と言っても、推理を得意とする渋いデカではなく、「西部警察」的なノリの強硬班である。そしてそんな強硬班となると、世間の不評を買って上司の覚えが悪いというのはある意味王道パターン。ジャン・レノ演じるセルジュは、やっぱり上司であるベッカー署長と事あるごとに対立している。

 そんなセルジュだが、密かにベッカーの奥さんと浮気しているというところはフランス的なのかもしれない。そしてその奥さんであるマルゴーは、セルジュ指揮下の強硬班のメンバーだったりする。そしてこの手のパターンとしては、やっぱり凶悪犯が登場する。宝石店を襲撃し、女性客を射殺し、高性能マシンガンを連射する。果たして今のフランスでもこういう事態は普通にあり得るのだろうかとちょっと思ってみたりする。

 凶悪犯との対峙が物語の本筋。上司との対立があって、ロマンスがあって悲劇もあるが、それを乗り越えて凶悪犯を退治する。そうした王道的なストーリーでも、それをいかに見せるかがその映画ならではと言えるだろう。この映画では、ジャン・レノの存在感だけでも満足であったが、脇役ながらアクション部門を引き受けたアルバン・ルノワールの存在も良かったと思う。

 安心して観られるフランス発の刑事アクション映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2016年08月21日

誰も守れない/誰も守ってくれない

誰も守ってくれない.jpg

2008年 日本
監督: 君塚良一
出演: 
佐藤浩市: 勝浦卓美
志田未来: 船村沙織
松田龍平: 三島省吾
佐野史郎: 坂本一郎
柳葉敏郎: 本庄圭介
石田ゆり子: 本庄久美子
木村佳乃: 尾上令子

<シネマトゥデイ>
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殺人犯の妹になった少女と、彼女を保護する刑事の逃避行を通じて日本社会の理不尽さを問う社会派ドラマ。『踊る大捜査線』シリーズの脚本を手掛けた君塚良一が脚本と監督を兼ね、過熱するマスコミ報道と容疑者家族の保護をテーマにした問題作を撮り上げた。兄の逮捕で世間から糾弾される少女に志田未来、彼女を守る刑事に佐藤浩市。手持ちカメラの擬似ドキュメンタリー手法が非情な社会感情を浮き彫りにし、観る者の心に迫る。
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本編の映画の公開に合わせ、テレビでその前編となるドラマを放映するという手法は、いろいろな映画で行われていると思う。個人的に記憶しているのは、『HERO』だろうか。映画とドラマと両方楽しめる効果もあるが、時間の短い映画の欠点を補うという効果もあると思う。この映画も、本編である『誰も守ってくれない』と前編にあたる『誰も守れない』とのドラマと映画のコンビである。

前編にあたるドラマでは、ある企業の人物が暴漢に襲われ、「家族も覚悟しろ」と言い残していったことから、警察は家族の警護を始める。娘の令子を警護することになったのは刑事の勝浦。実は勝浦は3年前のある事件で心に傷を負っており、一度カウンセリングに行ったが、そのとき担当した医師が令子であった。警護に反発する令子。一方で、勝浦の相棒の三島は、令子の医院に訪れる不審人物に気がつく・・・

前編のドラマは一件落着するが、ラストで幼い姉妹が18歳の若者に刺殺されるという事件が発生し、世間は騒然となる。そんな前編のラストを受けて、本編の物語が始まる。犯人はすぐに逮捕されるものの、自宅はマスコミが取り囲む。呆然とする家族を前に、警察の「加害者家族保護」のプログラムが始動する。慌ただしく形式的な離婚手続きを行い、家族全員が妻の姓に変わる。

所轄の勝浦は、三島とともに娘の保護を命じられる。娘を連れ出すも、車はマスコミの車両の追跡を受け、手配したホテルには情報を嗅ぎつけたマスコミが押し寄せる。思い余った勝浦は、マスコミの追撃を振り切り、娘の沙織を自宅へと連れ帰る。勝浦の家族は妻が娘を連れて家を出ており、勝浦は沙織のために令子に助けを求める。

前編のドラマを観ていれば、勝浦と令子の関係も良くわかり、勝浦がなぜ沙織のために令子を呼んだのかがわかる。だが、映画だけだとピンとこないかもしれない。そして勝浦と上司の微妙な関係。勝浦は三島に冗談半分に「シャブ漬けにするぞ」と言うが、この意味も前編のドラマを観ていないとわからない。3年前のある事件と勝浦への影響もわからないだろう。よくよく考えてみれば、前編のドラマを観ていないと、本編の映画もわからない部分が多いかもしれない。たまたま続けて観たからよかったものの、本編の映画を観るならその前に前編のドラマも観ておきたい。

本編の映画は、加害者の保護がテーマになっている。加害者の家族というのも微妙な立場だ。世間からは加害者と同一視され、非難はされても同情は得にくい。一方で、突然降りかかった思いもかけない災難は、被害者家族にも通じるものがある。事実、加害者の船村家にはマスコミが大挙して押し寄せ、おそらくあたりは騒然としてご近所もかなりの迷惑だろう。

実際に同じことをするのかどうなのかわからないが、警察は「保護」という名目で夫婦に対し離婚・再婚の手続きを行い、合法的に姓を変更する。事件は真実なのかと混乱する中、無理に手続きを促され、夫婦の心情はいかにと思わせられる。そして何よりも中学生の娘も、通学できなくなることを告げられ、携帯には友人たちからの興味本位のメールが殺到する。

ネットでは本来匿名にされるはずの犯人の名前が特定され、公開される。さらには家族も写真まで公開される。犯人に対する憎しみは家族にも及び、さらに保護している警察への非難から担当の勝浦までもが家族情報を含めて公開されてしまう。今や絵空事ではなく、犯人の名前程度ならすぐにネットに情報が流出しているわけであり、歯止めの効かない恐ろしさがある。実際はみんな匿名をいいことに、コソコソ動いているだけのネット住人で、映画のような現実はあまりないと思うが、それにしても現代社会というものを改めて考えさせられる。

ストーリー的な面白さでいけば、正直言ってイマイチである。ただ、問題提起という意味では、先端を行くドラマかもしれない。どうなるかと思われた大騒動も意外な決着をみる。それもまた現代のネット社会の特徴かもしれない。いろいろと感じさせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2016年07月21日

HERO(2015)

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2015年 日本
監督: 鈴木雅之
出演: 
木村拓哉: 久利生 公平
松たか子: 雨宮 舞子
北川景子: 麻木 千佳
佐藤浩市: 松葉 圭介
杉本哲太: 田村 雅史
八嶋智人: 遠藤 賢司
濱田岳: 宇野 大介
小日向文世: 末次 隆之
吉田羊: 馬場 礼子

<映画.com>
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型破りな検察官・久利生公平が活躍する木村拓哉主演の人気ドラマ「HERO」の8年ぶりとなる劇場版第2作。2014年に放送されたシーズン2のレギュラーキャストがそのまま出演するほか、シーズン1のヒロイン・雨宮舞子を演じた松たか子が8年ぶりに同役で復帰を果たす。ネウストリア大使館の裏通りで女性が車にはねられて死亡し、東京地検城西支部の検事・久利生は事務次官の麻木千佳とともに事故を起こした運転手を取り調べる。そんな2人の前に、かつて久利生の事務官を務めていた雨宮舞子が現れる。死亡した女性が、大阪で検事として活躍している雨宮の追っていた事件の重要な証人だったことから、久利生と雨宮は事件の裏に何かがあると感じ、合同で捜査を開始する。
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テレビドラマが大ヒットし、その後創られた映画版も面白く、さらに時を経て再ドラマ化されたこのシリーズ、映画版第2弾も不思議ではない。というか、むしろ望んでいたところでもある。個人的にテレビドラマはあまり見ないし、安易なテレビドラマの映画化には嫌悪感すら覚えるのだが、このシリーズだけは別と言える。やっぱり、面白いのだ。

冒頭で一人の女性が何者かに追われるようにして車道に飛び出し、車にはねられて死亡する。運転手は、業務上過失致死の容疑で東京地検に送られる。事件を担当するのが、主人公の久利生公平。久利生は、被疑者に話を聞きながら、事務官の麻木と共に事件現場を訪れる。そして死亡した女性の行動を推察していくうちに、ある建物に行き着く。そこはネウストリア国の大使館。

大使館といえば、そこは外国で、治外法権地帯。普通ならそこでダメだと諦めるのであるが、久利生は平気でピンポンとやる。任意で話を聞くならいいだろうというわけである。こう言う柔軟な発想は、意外と人はできないものである。ビジネスの現場ではしばしそれに気づくのであるが、そんなことをふと思い出す。

しかし、大使館の門は閉ざされたまま。さらに大使館からは外務省経由で抗議が来て、久利生ならず、城西支部もお叱りを被る。そんな時、死亡した女性は実は大阪で暴力団の事件の証人であり、死亡したタイミングから口封じが疑われる。担当検事として城西支部に捜査に来たのが、かつて久利生の下で事務官をしていた雨宮。試験に合格して検事になっての登場である。

こうして、「単なる交通事故」の捜査を行っていく久利生と麻木と雨宮と城西支部の面々。外務省からは圧力がかかる中、外交特権という壁をどう乗り越えていくか、今回もなかなか魅せてくれる。事件を縦糸に、そして登場人物たちの物語を横糸にドラマは進んでいくのだが、久利生と雨宮の「微妙な関係」は、あんまり時間をとってほしくないところである。それはこのドラマの魅力が、安易な恋ドラにはないことからでもある。それに松たか子は、ヒロインとしては個人的に趣味ではない。むしろ北川景子のキャラクターの方が好みである。

外交特権という壁に、久利生は人間関係というありふれた手段を武器にしていく。これは何にでも当てはまりそうなことである。前作は、「地道な捜査」が魅力だったが、今回は「人間関係」だろうか。いずれにせよ、また違った出来で、ストーリーとしても満足いくものであった。観終われば、またまた続きが観たくなる。そんなシリーズである。
ドラマが無理ならせめて映画版だけでも、次回作を期待したい映画である・・・


評価:★★★☆☆





posted by HH at 22:57 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ

2016年05月22日

クロッシング

クロッシング.jpg

原題: Brooklyn's Finest
2008年 アメリカ
監督: アントワーン・フークア
出演: 
リチャード・ギア:エディ
イーサン・ホーク:サル
ドン・チードル:タンゴ
ウェズリー・スナイプス:キャズ
ウィル・パットン: ホバーツ副署長

<シネマトゥデイ>
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『ザ・シューター/極大射程』のアントワーン・フークア監督による、心揺さぶられるクライム・サスペンス。ニューヨークの犯罪多発地区ブルックリンに身を置く3人の刑事たちが、それぞれのやり方で正義を貫く姿を圧倒的な迫力で見せる。『アメリア 永遠の翼』のリチャード・ギア、『デイブレイカー』のイーサン・ホーク、『アイアンマン2』のドン・チードルら豪華な役者が集結。立場の異なる男たちのストーリーが交錯する、ドラマチックな展開にのめり込む。
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物語の舞台は、犯罪多発地帯NYブルックリン。折から黒人青年を警官が射殺するという事件が起こり、警察は批難をかわすべくイメージアップのための取り締まり強化を図ることにする。その一環として新人教育がエディに言い渡される。エディは退職間近のベテラン警官で、仕事は熱心とはいえず、娼婦を心の拠り所とし空の銃で自殺の真似を繰り返し、どこか荒んでいる。

麻薬捜査官のサルは、子沢山の家族と住んでいる家が原因の病気の妻を抱え、引っ越しを考えている。しかし、警官の給料では支払いが困難で、見つけた家も頭金の納付期限が迫っている。そんな中、あるディーラーを射殺して所持金を奪う。一方、潜入捜査官のタンゴは、妻から離婚を突きつけられ、危険な割に昇進もない仕事に不満を抱えている。そんな時、命の恩人でもあるギャングのボス、キャズが出所してくる。取り締まり強化とイメージアップを図りたい上層部は、キャズの逮捕を仕組むようにタンゴに指示する。

3人の警官の物語がそれぞれ何の関わりもなく、進行していく形式の映画。エディはやる気満々の新人に対し、自らの処世術に基づいて接していくが、「面倒を回避する」というスタンスのそれは到底新人の納得いくものではない。そして退職の日を迎えるが、出入りする娼婦の家の前で、行方不明の女性が何者かに連れて行かれるのを発見する。

麻薬捜査官のサルは、仕事に熱心であるものの、金の必要性に迫られている。妻はハウスダストが原因の肺病を抱え、医師からは転居を勧められているが、そのお金が工面できないのである。真面目に働いても給料は安く、目の前には麻薬で汚れた金が山と積まれている。双子の出産を控え、購入したい家の支払い期限が迫る中、とうとうある決意を固める。

潜入捜査官のタンゴは、ボスのキャズの信任を得て、組織内に深く潜り込んでいる。しかし、そんな生活の結果、妻は離れていく。上司は任務の解除になかなかOKを出さず、昇進もない。そんな中、鼻持ちならない捜査官がキャズ逮捕を仕組むように要求してくる。キャズはタンゴの命の恩人でもあり、いつしか情が移っていたタンゴは乗り気になれない。

そうした3人のドラマがラストで交差する。こうした群像劇は、『ボビー』という映画もあったが、人間至る所でそれぞれのドラマがある現実を考えると、面白いと思う。ラスト近くで、3人が一つの場面でそれと知らずに交差するシーンが象徴的である。個人的には、一番庶民的だったサルの物語に心惹かれるものがあった。人間、家族のためなら道を踏み外すことも厭わないものなのである。

リチャード・ギア演じるエディの行動もよく理解できる。危険な仕事を長年にわたってそれなりにこなしてくるには、「余計なことをしない」というスタンスも必要だったのであろう。それを良しとせず、正義感にはやる新人警官から疎まれ教育係から外されるが、間もなくその新人の殉職が告知される。そうしたやるせなさ、自らの心に眠っている正義感が退職を数日に控えた彼の行動を変える。

どちらも胸に響く物語である。たまたま見つけたものの、この映画は2008年の作品であり、いつの間にか見落としていたことになる。ちょっともったいない気がしたのは事実である。観ても観てもまだまだ観きれないほどたくさんの映画があるが、こういう映画は見落とさないようにしたいものである。
リチャード・ギアとイーサン・ホークとドン・チードルと、さすが大物の迫力と言える内容の映画である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 21:59 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ

2016年04月06日

ケープタウン

ケープタウン.jpg

原題: Zulu
2013年 フランス
監督: ジェローム・サル
出演: 
オーランド・ブルーム:ブライアン・エプキン
フォレスト・ウィテカー:アリ・ソケーラ
コンラッド・ケンプ:ダン・フレッチャー
ジョエル・カイエンベ:ジーナ
インゲ・ベックマン:ルビー
ティナリー・ヴァン・ウィック・ルーツ:クレール・フレッチャー
レガルト・ファンデン・ベルフ:デビーア
パトリック・リスター:ジュースト・オッパーマン医師
タニア・ヴァン・グラーン:タラ

<シネマトゥデイ>
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『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどのオーランド・ブルームと、『大統領の執事の涙』などのフォレスト・ウィテカーが共演を果たしたサスペンスアクション。南アフリカの大都会ケープタウンを舞台に、そこに巣食う深い闇の世界をあぶり出す。キャリル・フェリーの推理小説「ZULU」を基に、『ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀』などのジェローム・サルがメガホンを取る。人気と実力を併せ持つ主演俳優たちの熱演や、緊迫した展開に目がくぎ付け。
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舞台は、南アフリカの都市ケープタウン。
そこである日、元人気ラグビー選手の娘が惨殺死体で発見される。
事件の捜査に当たるのは、主人公であるズールー人の警部アリ・ソケーラ。
原題(“ZULU”)もここからきているのであろう。

彼が率いるチームには、酒と女に溺れる問題児ブライアン・エプキン刑事が所属している。ブライアンとアリは、捜査を進めていくうちに、被害者が殺害前にとある薬物の売人と接触していたことを突き止める。その薬物は最近多発している児童失踪事件の現場にも遺されていたものだった。

オーランド・ブルームにフォレスト・ウィテカー主演であり、しかも英語の映画であることからして想像もできなかったが、なんとこれはフランス映画なのだという。
まぁそれはどうでもいいこと。
舞台は南アフリカ。
その舞台が、この映画に独特の雰囲気をもたらしている。

一人の娘が惨殺されるという事件が起こり、主人公たちが捜査を開始する。
一方で子供たちが行方不明になるという事件が頻発する。
もちろん、だからと言って警察もいちいち捜査などしてくれない。
殺された娘も、多分白人で有名なラグビー選手の娘でなかったら、多くの黒人の貧しい子供たちのようにまともな捜査などされなかったかもしれない。

捜査線上に上がった麻薬密売人の男の行方を追って海岸地帯を聞き込みにやってきたアリら一行。ところが凶悪なグループに遭遇し、同僚刑事の段は腕を切断された上斬り殺される。
警察をも恐れぬ凶悪グループの所業に背筋が凍る。
舞台設定の妙と言えるかもしれない。

やがて裏で繋がっていく事件と事件。
ブライアンはアル中で、夫または父親としては最低なのであるが、刑事としてはアリから評価されている。その本領を発揮していく中で、家族もまた危機に巻き込まれる。
アパルトヘイト時代の暗い過去を抱えるアリ。
これもまた南アフリカならでは。

こうした舞台と登場人物たちが、なんとも言えぬ雰囲気を醸し出していく。
暗い影はやはり南アフリカならではと言える。
ストーリーと登場人物と、そしてその深い影に引き込まれてしまった映画である・・・


評価:★★★☆☆



posted by HH at 20:49 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ