
原題: Sous la Seine
2024年 フランス
監督: ザビエ・ジャン
出演:
ベレニス・ベジョ:ソフィア
ナシム・リエス:アディス
レア・レヴィアン:ミカ
アンヌ・マリヴァン:パリ市長
アナイス・パレロ:ジェイド
イニャキ・ラルティーグ:ホアン
オレリア・プティ:アンジェレ
<映画.com>
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パリのセーヌ川に出現した巨大ザメが巻き起こす恐怖を、環境問題を背景に描いたパニックスリラー。
海洋生物学者のソフィアは太平洋ゴミベルトに生息する巨大ザメを追跡調査していたが、そのサメに襲われてパートナーや仲間たちを殺されてしまう。3年後、パリで暮らすソフィアのもとに若き環境活動家ミカが現れ、ソフィアたちを襲った巨大ザメがセーヌ川にいることを知らせる。折しもパリでは、トライアスロン世界大会の開催が目前に迫っていた。さらなる惨劇を阻止するべく、セーヌ川を管轄する水上警察と協力して巨大ザメの調査に乗り出すソフィアだったが……。
「アーティスト」「ある過去の行方」のベレニス・ベジョが主人公ソフィアを演じ、「FARANG ファラン」のナシム・エリスが共演。『ヒットマン』「コールド・スキン」のザビエ・ジャン監督がメガホンをとった。Netflixで2024年6月5日から配信。
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サメに襲われるという海洋パニック映画は、名作『ジョーズ』(My Cinema File 19)がなんと言っても筆頭に挙げられ、その後数多創られているが、どれも二番煎じ感が否めない。そんな中にあって、近年では『MEG ザ・モンスター』(My Cinema File 2034)シリーズや『海底47m』(My Cinema File 2084)など、ちょっと趣向を変えたものがいい味を出している。この映画は、サメをセーヌ川にもってきてしまうところが斬新である。
主人公は海洋生物学者のソフィア。夫と仲間たちとともに太平洋の某所にサメの生態観察に来ている。そこはプラスチックゴミが一面に漂う海域。海流の関係なのか様々な「製品」が浮いている。クジラの子供がそんなゴミの網にひっかかって動けなくなり息絶えている。実際にこういう場所があるのだろうかと観ながら思う。ターゲットは「リリス」と名付けたとあるサメの個体。発信機を設置してあって、その近くで待機している。そして現れたリリスに一同は驚く。それは思いがけずに巨大化していたからである。そしてとあるきっかけからリリスに襲われ、夫と仲間たちは命を落とす。
傷心のソフィアは研究から足を洗い過ごしていたが、3年後、環境活動家ミカがソフィアを訪ねてくる。そしてさらに巨大に成長したリリスが、セーヌ川で生息しているという知らせをもたらす。セーヌ川と言えば淡水であるが、リリスは環境に適応するように進化を遂げていたようである。おりしもパリでは、セーヌ川でのトライアスロン世界大会の開催が間近に迫っている。ミカは仲間とともにリリスを追跡しており、勇敢にもセーヌ川に潜ってリリスの行動を追う計画をソフィアに告げる。ソフィアの反対には耳もくれない。
一方、セーヌ川を管轄する水上警察はトライアスロン世界大会に備えて警備を強化しているが、顔見知りのホームレスがサメに襲われたと見られる死体で発見されると、ソフィアの話を信用するようになる。当然、そんなセーヌ川で泳ぐなどもってのほかであり、パリ市長に大会中止を訴える。しかし、パリ市長は多額の予算をかけ、世界中からギャラリーが集まるトライアスロン大会の中止を認めようとしない。このあたりはよくある構図である。そう言えば『ジョーズ』(My Cinema File 19)でも観光収入が減ることを危惧して市長がビーチの閉鎖を認めなかったが、いずこも同じである。
環境活動家のミカは、ソフィアと思いが同じかというとそうではない。セーヌ川に迷い込んだリリスを保護しようとするミカとその危険性を説くソフィアとは対立してしまう。夫を目の前でなくしているソフィアと理想に燃えるミカとはそもそもの立ち位置が違う。その差は後に現れる。さらにリリスは淡水でも生きられるのに加え、子連れで出現しソフィアを驚愕させる。そして共食いのようになって死んだ子どものサメを調べると、生後間もないのに妊娠していることが発覚する。なんと、リリスは単独で妊娠できる新種のサメであることが判明する。
これまでのサメパニックものは、特別な個体を退治してメデタシメデタシであったが、この映画ではリリスが子を産み、そしてその子がまた子を産みという形で、短期間で猛烈な数のサメが出現する。そしてそんなことを知りもしない市長がトライアスロンの開会を宣言する。さらに途中でセーヌ川で不発弾が見つかるという伏線が張られる。いかにもありそうな話であり、実際にはどうなのだろうと思っていたが、これがとんでもない事態を引き起こす。ラストに至る展開は予想もしないものになっていく。ラストシーンには愕然とさせられるものがある。ハッピーエンドが好きなハリウッドとは一味違うフランス映画の持ち味かもしれない。
サメに限らず、動物パニック映画という事で多くの映画が同じような二番煎じに準じて埋もれていったように思うが、何か一工夫すると面白味が増す。サメがセーヌ川に現れるという意表をついた展開が良かったのかもしれない。座布団一枚!の映画である・・・
評価:★★☆☆☆




