2025年07月19日

【神は銃弾】My Cinema File 3034

神は銃弾.jpg

原題: God Is a Bullet
2023年 アメリカ
監督: ニック・カサベテス
出演: 
ニコライ・コスター=ワルドー:ボブ・ハイタワー
マイカ・モンロー:ケース・ハーディン
カール・グルスマン:サイラス
ジャニュアリー・ジョーンズ:モーリーン・ベーコン
ポール・ヨハンセン:ジョン・リー・ベーコン
デヴィッド・ソーントン:アーサー・ナシ
イーサン・サプリー:ガター
ジョナサン・タッカー:エロール・グレイ
ブレンダン・セクストン3世:グラニー・ボーイ
ギャレット・ウェアリング:ウッド
ジェイミー・フォックス:フェリーマン

<シネマトゥデイ>
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ボストン・テランの小説「神は銃弾」を実写化したサスペンス。カルト集団に元妻を殺され、まな娘を誘拐された刑事が、同じカルト集団から逃げ出した過去のある女性の協力を得て、元妻の復讐と娘の捜索に挑む。監督は『きみに読む物語』などのニック・カサヴェテス。ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」などのニコライ・コスター=ワルドー、『ヴィランズ』などのマイカ・モンローのほか、ジェイミー・フォックス、カール・グルスマンらが出演する。
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冒頭、スーパーから出てきた母と娘。母は買い忘れたものがあったのだろう、娘をその場に残して店内に戻っていく。それを見ていたのは怪しげなバンに乗る怪しげな集団。全身タトゥーの男たちがあっという間に娘を拉致してバンに押し込めるといずこかへと走り去る。店から出てきた母親は娘の姿を探して戸惑う。これが一体どういうシーンなのか、何となく想像はつくのであるが、はっきりと説明されていないからわからず、何となく隔靴掻痒感が漂う。

一方、場面代わって警察署内。クリスマスを迎え、和んだ雰囲気の署内。まだ仕事をしているボブに署長は早く帰れと声をかける。ボブは帰路につくが、娘ギャビにメールを送る。とある豪邸。口論する夫婦とそれを疎んじて部屋にこもる娘ギャビ。どうやら母親はどこかの金持ちと再婚したらしい。しかし、いつしか静かな気配が気になり、ギャビは様子を見に行く。そこにいたのは全身タトゥーの男たち。父親は銃で脅され、母親はレイプされており、男たちはギャビを捕まえると連れて行こうとする。必死に取り返そうとする母親を男たちは無情にも射殺する。なんとも言えないバイオレンスシーンである。

翌日、元義父がボブを訪ねてくる。娘の家の異変を感じ、保安官事務所勤務のボブに同行を求めたのである。ともに義父と豪邸を訪れるボブ。鍵のかかっていない玄関。銃を構えて室内に入るボブだが、そこで惨殺された再婚相手を発見する。義父はプールで変わり果てた娘を発見して泣き崩れる。大事件の発生に保安官事務所は大騒動となる。その頃、ある集団から逃げ出してきた女性ケース・ハーディンがその事件を知る。何かに苦悩しながらも事件について保安官事務所に話をするが、タトゥー顔の女性の話を誰も聞こうとしない。しかし、ボブはその話を心にとめる。

ボブは保安官事務所に勤務してはいるものの、事務職である。日本人には馴染みがないが、映画の登場人物の発言から、捜査などには関連しないようである。日本でも警察署内に警官ではない事務職の人たちがいるが、同じようなものなのかもしれない。ケースによれば、誘拐したのは「左手の小径 Left-Handed Path」というカルト集団。ケースの話を信用しない所長に対し、娘を誘拐されているボブは、藁をもつかむ心境でケースの話を信じ、言われるまま一緒に探しにいく事にする。

こうして何の支援もなく、ボブはケースとともに娘のギャビを探しに行く。まずギャビがボブを連れて行ったのは、旧知のフェリーマンのところ。これまた全身タトゥーまみれで、おまけに海賊並みの義手をしている怪しげな男。そこでケースはボブにタトゥーを入れるようフェリーマンに依頼する。慌てるのがボブ。いきなりタトゥーを入れるとなれば普通は戸惑うだろう。しかし、組織に近づくには必要だと言われ、ボブは受け入れる。最後にケース自らボブの顔にタトゥーを入れる。そしてカルト集団の追跡に取り掛かる。

カルト集団の親玉はサイラス。何せ白昼堂々、人の多いスーパーで誘拐するくらいだから尋常ではない。少女を誘拐した理由はあまりよくわからない。何かの儀式で生贄のようにするようでもあり、そこから逃げてきたギャビのように生かされて行動を共にさせられるようでもあるが、詳しい説明が省かれているのでよくわからない。いかにも場末の怪しげな酒場から2人の捜索は本格化していく。かつて逃げ出した組織に戻りたいと訴え、サイラスに近づこうとするケース。しかし、それはよく考えれば危険な行為。

それにしても、なぜせっかく逃げてきたカルト集団にケースはあえて接近していくのか、観ていてよくわからない。単なる正義感ではないようであるし、サイラスに対する復讐なのだろうと想定して観ていく。保安官事務所の支援がないのにも実は理由がある。それはなぜサイラスがギャビの両親を襲ったのかの理由でもある。結果的に見れば、ギャビこそ大人たちの勝手な理屈でいい迷惑をこうむったことになる。そしてここでも娘を助けるために危険を厭わず飛び込んでいく父親の姿がある。

ラストで娘を救出したボブとケースであるが、その前に立ちふさがるのはサイラスとその仲間たち。そして最後の銃撃戦は異様な展開。手足が吹き飛び、何とも言えないグロテスクなもの。スプラッタームービーかと思わせるほど。それにしても、冒頭で誘拐された少女はケースだったのか。ケースと両親との物語も多くは語られないが、切ないものもある。振り返ってみれば、いろいろな要素が絡み合って面白い映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2025年01月31日

【GONIN サーガ】My Cinema File 2963

GONIN サーガ.jpg 
2015年 日本
監督: 石井隆
出演: 
東出昌大:久松勇人
桐谷健太:大越大輔
土屋アンナ:菊池麻美
柄本佑:森澤慶一
安藤政信:式根誠司
根津甚八:氷頭要
竹中直人:明神
福島リラ:余市
テリー伊藤:式根隆誠
鶴見辰吾:久松茂
佐藤浩市:万代樹彦

<映画.com>
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バイオレンスアクションの傑作として名高い『GONIN』(1995)の続編。前作も手がけた石井隆監督が東出昌大を主演に迎え、前作の登場人物たちの息子たちに焦点を当てた新たな物語を描いた。社会からつまはじきにされた5人組による、暴力団・五誠会系大越組襲撃事件から19年。五誠会は若き3代目の誠司が勢力を拡大し、襲撃事件で殺された大越組の若頭・久松の遺児・勇人は、母の安恵を支えながら、真っ当な人生を歩んでいた。そんなある日、19年前の事件を追うルポライターが安恵のもとに取材に現れたことから、事件関係者たちの運命の歯車がきしみ始める。東出のほか、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信らが出演。前作出演者からは、俳優を引退した根津甚八が一作限りの復帰を果たしたほか、鶴見辰吾、佐藤浩市が続投している。DVD/ブルーレイには約40分のシーンを追加した「ディレクターズ・ロングバージョン」が製作された。
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1995年5月3日、五誠会系暴力団の大越組に五人の男たちが襲撃する。『GONIN』で描かれた事件である。これにより大越組は壊滅し、襲撃した男たちもまた亡き者となる。それから19年。大越組若頭の息子大輔と若頭の側近・久松の息子勇人は、父親の死体が並べられた警察署前で花束を捧げる。

大輔は大越組再興を夢見ており、五誠会三代目の式根誠司に仕えている。勇人はまともな生活を送っており、母はそんな息子が自分の経営するスナックを継いでほしいと願っている。そんな母の唯一の悔いは、夫にかけられた汚名。組長を守らずに逃げたとされ、死後破門されている。一方、事件に巻き込まれ植物状態になった刑事・森澤の息子の慶一もまた事件に苦しむ1人。慶一は、警察官という立場と独自の調査網を駆使して、事件の真相に近付いており、勇人の母にルポライターと称して近づく。

慶一の調べによると、久松は大越組長を庇って射殺されており、そんな久松の名誉を踏みにじったのは五誠会二代目だとのこと。事件の真相を知って久松の妻は喜ぶも、夫の名誉挽回のために五誠会が運営する金貸しに夫の残した拳銃を持って単身乗り込む。あえなく返り討ちに遭うも、殺されるのは計算のうちで、使用者責任から五誠会二代目に罪が及ぶ事を狙ったもの。しかし、五誠会の息のかかった警察によって自殺として処理されてしまう。母の死を目にし、勇人は復讐を誓う。

勇人は、両親の敵を打つべく大輔と共に五誠会をつぶす計画を立て始める。これに同じ目的を持つ森澤が加わる。さらにこの計画に、五誠会三代目に弱みを握られ愛人となっている元アイドルの麻美も加わる。かくして仇討ちの「GONIN」(4人だけど)は結集する。森澤は、まず五誠会の裏金を奪うことを計画する。裏金が隠されているのは傘下の金貸し店。そこに大金が保管されているのとあわせて麻美の弱みがある手帳も金庫にあるとされる。見回りの警察に扮して3人は店へと向かう・・・

前作の19年後が本作であり、前作でクライマックスとなった大越組襲撃事件の子供世代が今回の中心。それぞれの思惑があって五誠会の隠し金を狙う。しかし、こういう計画というものはどこかでほころびが生じる。襲撃のタイミングでは運悪く三代目とその側近が居合わせており、何とか4億円という金の強奪に成功するが、現場には数々の証拠を残してしまう。この事態に激怒した五誠会二代目は、凄腕のヒットマンの明神を雇い、犯人探しを始める。

この明神を演じるのは竹中直人。前作で5人に加わったサラリーマンであるが、最初は生き残っていたのかと思っていたが、それなら五誠会に雇われるかと疑問に思うし、よくわからない。4億円は強奪したが、復讐は終わったわけではない。クライマックスは、前作で襲撃事件を起こした坂内が経営していたクラブ、バーズが舞台となる。派手な銃撃戦となるが、韓国映画を見慣れてしまうとどうにも迫力不足は否めないところがある。前作と比べても、タケシのすごみや竹中直人の狂気などと比べてもそれは感じられた。

遅まきながら観た続編。ストーリーはうまく練られていると思ったが、バイオレンスという観点からはスマート過ぎた感のある映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2024年08月15日

【REVENGE リベンジ】My Cinema File 2894

REVENGE リベンジ.jpg

原題: Revenge
2017年 フランス
監督: コラリー・ファルジャ
出演: 
マチルダ・ルッツ:ジェニファー
ケヴィン・ヤンセン:リチャード
ヴァンサン・コロンブ:スタン
ギヨーム・ブジェード:ディミトリ
ジャン=ルイ・トリベス:ロベルト

<シネマトゥデイ>
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男たちに凌辱され、人間狩りの標的になった美女が復讐を果たそうとするバイオレンススリラー。フランスの新鋭コラリー・ファルジャが、ヒロインのリベンジを血みどろの残虐描写とスタイリッシュな画面構成で描き、世界各国の映画祭で話題を呼んだ。主演は『ザ・リング/リバース』などのマチルダ・ルッツが務め、『ビヨンド・ザ・ロウ』などのケヴィン・ヤンセンスらが共演している。
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とある砂漠地帯にある別荘にヘリが飛来する。降り立ったのはリチャードと連れの女性ジェニファー。ヘリが2人を残して帰ってしまうと、豪勢な別荘には、リチャードとジェニファーだけが残される。さっそくベッドでお楽しみとなる。ゆっくりとくつろぐジェニファーは、突然外に見知らぬ男が立っているのに気づいて驚く。それはリチャードの狩猟仲間のスタンとディミトリ。男たちは翌日、狩猟に行く予定である。

その夜、4人はプールサイドで酒を飲みながら楽しく過ごす。酒の勢いもあってか、セクシーなジェニファーはスタンを挑発するかのようなダンスを披露する。リチャードは幻覚作用の強い麻薬をジェニファーに預ける。翌朝、ジェニファーが目を覚ますと、別荘にいたのはスタンとディミトリだけ。リチャードは狩猟の許可を取りに行ったという。何となくよそよそしい雰囲気の中、スタンの視線が気になったジェニファーは、逃げるように自分の部屋へ戻る。

ところが、ジェニファーが自分の部屋で着替えをしていると、スタンがそれを覗いており、部屋に入ってくる。そしてあろう事か、スタンはそのままジェニファーに迫る。必死に抵抗するジェニファー。そこにディミトリが現れるが、状況を察したはずだが、助けるどころかディミトリはどこかへ行ってしまう。別荘に戻ってきたリチャードは、留守中にあった事を知って怒りを爆発させるが、それ以上に咎めようとはしない。

ショックを受けたジェニファーは、リチャードに怒りをぶつける。実はリチャードには妻子がおり、ジェニファーとは不倫関係。リチャードの態度に腹を立てたジェニファーは、すぐに帰るからヘリを呼べとリチャードに迫るも、言い逃れをしようとするリチャードにとうとう家族に不倫関係をバラすと脅す。これにはリチャードがキレてジェニファーを殴る。ジェニファーは、そのまま別荘から逃げ出すが、3人の男たちはこれを追い、ジェニファーを崖に追い詰める。

文字通り崖っぷちのジェニファーだが、なんとリチャードはジェニファーを崖から突き落とす。めんどくさいと思ったのだろうか。何ともひどい男である。突き落とされたジェニファーは転落したのが木の上であり、枝がジェニファーの腹部に刺さってジェニファーは串刺し状態となる。これを見た3人の男はその場から立ち去る。断崖絶壁ともいうべき崖から突き落とされたジェニファーだが、なんと奇跡的に生きている。そして苦心しながら手持ちのライターで木を燃やして脱出する。

リチャード達も下手をすれば殺人罪にも問われるわけで、ジェニファーの死体を確認するために崖の下までやってくるが、既にジェニファーは立ち去った後。生きていてはまずいと思ったのだろう、3人は血痕を辿りジェニファーを探しに行く。腹に木の枝が突き刺さったまま。冒頭に登場したジェニファーは、肌の露出の多い服を着て、肉体は立派だがお頭は弱いブロンド美人という感であったが、何とも根性を見せて男たちから逃げる。タイトルにある通り、ここからジェニファーは逆襲に転じる。

復讐劇はよくあるが、か弱い主人公が訓練を重ねて力をつけるパターン(『コロンビーナ』(My Cinema File 1191))などが一般的なイメージとしてあるが、この映画ではそんな間もなく逆襲に転じる。前半ではなす術もなくレイプされて泣いていたおつむの軽そうなブロンド美人が、後半では腹に木の枝が突き刺さったまま逃げ、そして男たちに復讐していく姿に変わっていく。麻薬の力を借りて腹をえぐる木の枝を取り除き、焼いて傷口を塞ぐ。立ち上がったジェニファーは、もはや別人である。

窮鼠猫を噛むと言うが、ジェニファーの変貌はまさにそれを地で行く。3人の男たちは、分かれてジェニファーの行方を追う。これがジェニファーには有利になる。3人相手となれば圧倒的に不利だが(なにせおつむの軽いブロンド美人である)、1対1なら勝てる可能性は上がる。そして最初に遭遇したのがディミトリであるが、ディミトリは体格ではジェニファーを圧倒する。これが油断を生み、ジェニファーはその油断を利用してディミトリを倒す。そのような展開も自然に映画の世界に違和感なく浸れた理由である。

それにしても、この映画は「痛み」の表現力が1つの特徴と言える。ジェニファーの腹には木の枝が刺さる。それを周りを切り裂いて抜き出す。スタンは裸足でガラスの破片を踏み、痛みに顔をゆがませながら足の裏からガラスの破片を取り出す。出血する血がドクドクと流れ出す。観ている方が思わず顔をしかめてしまう。ラストの対決まで、けっしてプロではない素人同士の壮絶な殺し合いが展開される。これはなかなか見応えのあるバトルであった。

話題作になったというほどではなかったと思うが、意外に「見せて」くれた映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2024年03月02日

【KILLERS キラーズ】My Cinema File 2824

KILLERS キラーズ.jpeg

原題: KILLERS
2013年 日本・インドネシア
監督: ティモ・ジャヤント キモ・スタンボエル
出演: 
北村一輝:野村
オカ・アンタラ:バユ
高梨臨:久恵
ルナ・マヤ:ディナ
黒川芽以:みどり

<映画.com>
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日本とインドネシアの初の合作映画で、東京とジャカルタを舞台にネットを通じて知り合った殺人鬼同士が交錯していく様を、猟奇テイストやノワールのムードを融合させて描いた長編作。サディスティックなサイコキラーを演じる北村一輝とインドネシア俳優のオカ・アンタラが主演し、高梨臨、でんでんらも共演する。人を殺人の標的としてしか見ていない殺人鬼の野村は、無機質な部屋で女を殺害し、その様子をインターネット上にアップする。ジャカルタでジャーナリストとして活動するバユは、偶然見つけたその動画を見てしまい、残酷さの中に漂う美しさに魅了される。そしてある日、強盗に襲われたバユは身を守るために反撃し、強盗を殺害。その死の瞬間を撮影し、ネットに投稿する。今度はその映像を見た野村がバユに共感を抱いていく。『ザ・レイド』のギャレス・エバンスが製作総指揮。シンガポールで製作したスラッシャー映画「MACABRE」(2009)で注目された若手監督コンビのモー・ブラザース(ティモ・ジャヤント&キモ・スタンボエル)がメガホンをとった。
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いずこかわからない場所。カメラの前には縛られた女性が身動きできずにいる。そこに男がハンマーを手にして近づく。そのハンマーを振りかざし、哀れな女性を殴り殺す。そして男は一部始終を記録した映像をネットに投稿する。何と残酷かつ頭のおかしなサイコキラーであろうか。男はさらに女の死体をバスタブに入れて処理する。酸なのか、液体をかけて死体を溶かしてしまう。死体が発見されなければ犯罪も露呈しない。そんなサイコキラーがこの映画の主人公である。

男は車で住宅街を走っていると、道路際でとある姉弟を見つける。姉は何かを弟に言いくるめると、道路に立たせる。そこに走ってきたトラックがブレーキをかける。あわや引かれるところ。というよりもむしろ引かせようとしていたようにも見える。姉は事の重大さに気づいたのか、弟を抱きしめる。男はその様子を窺うが、姉弟に興味を抱く。後を付けた男は、姉がフラワーショップを営んでいることを知り、何食わぬ顔をして客として店を訪れる。姉は久恵と名乗り、男は野村と名乗る。

一方、所変わってインドネシアで報道記者として働くバユは、ネットで野村が投稿した動画を目にする。バユは思わず野村の動画を見入ってしまう。ある日、バユはタクシー強盗に遭ってしまう。乗り込んできた強盗と後部座席で争っているうちに誤って犯人を射殺してしまう。同様しつつも、犯人たちの死体の映像をカメラで録画し、野村と同様にネットに投稿する。すると動画を投稿してすぐに、野村からメッセージが届く。自分の考えを全て野村に見透かされ同様を隠せなかったバユだったが、自分自身に隠れていた感情があることを意識する。

バユは日常の取材で、権力者であるダルマを追う。その傍若無人な行動を見ているうちに、正義の鉄槌を下したくなる。幸か不幸か、強盗を射殺した拳銃が手元にある。バユはダルマの行動を追い、彼の宿泊するホテルに向かう。なんとかダルマの部屋に忍び込んだバユであるが、部屋にいたのはダルマの息子。殺す気はなかったが、誤って息子を射殺してしまう。運悪くダルマの取り巻き一行が戻ってきたため、バユは這う這うの体でその場を逃げ出す・・・

一見、日本とインドネシアで無関係に進む二つのストーリー。接点は殺人鬼野村がネットに投稿した殺人動画。そんな動画が簡単に見られて、簡単にメッセージのやり取りができてしまうのには違和感を禁じ得ないが、細かい突っ込みをしていては映画の世界に浸っていられない。野村はサイコパス的な殺人鬼だが、バユは偶然人を殺してしまっただけの元は善人。野村がバユだけに目をつけて同類視するのにも違和感がある。まぁ、そういう違和感を気にしていては先に進めない。

この映画は野村だけで十分成り立つと思うが、中途半端な殺人犯を殺人鬼の仲間にしようというストーリーに無理を感じる。我慢し続けた違和感もやがて限界に達する。どうしてもインドネシアと合作で映画を作りたくて、どうしても殺人鬼のストーリーを作りたくて、気がついたらこうなっていたと思われるのである。ラストで血まみれの野村が見たのは、自分に携帯カメラを向けている小さな子ども。皮肉の利いたラストがちょっと名誉を挽回した映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2023年11月12日

【クリーン ある殺し屋の献身】My Cinema File 2768

クリーン ある殺し屋の献身.jpeg

原題: Clean
2021年 アメリカ
監督: ポール・ソレット
出演: 
エイドリアン・ブロディ:クリーン
グレン・フレシュラー:マイケル
リッチー・メリット:マイキー
チャンドラー・アリ・デュポン:ディアンダ
ミケルティ・ウィリアムソン:トラヴィス
ミシェル・ウィルソン:エセル
ジョン・ビアンコ:フランク
RZA:質屋のカート

<シネマトゥデイ>
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『プレデターズ』などのエイドリアン・ブロディが製作、脚本、音楽、主演を務めたアクション。清掃人という表の顔を持つ殺し屋が、ある少女と心を通わせたことでギャングとの戦いに身を投じる。メガホンを取るのは『キラー・ドッグ』でもブロディと組んだポール・ソレット。『ジョーカー』などのグレン・フレシュラー、『ホワイト・ボーイ・リック』などのリッチー・メリットのほか、チャンドラー・アリ・デュポン、ミケルティ・ウィリアムソンらが共演する。
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クリーンは清掃作業員。清掃トラックを運転し、街のゴミを黙々と収集する。家に帰っても1人。しかし、ある少女の思い出を夢に見て、うなされて目が覚めるという事を繰り返している。そんなクリーンは、簡単なランチを用意すると、近所に住むディアンダに届ける。どういう関係かはわからないが、クリーンはディアンダが学校へ行くのを見届けると仕事へと向かう。一方、界隈を牛耳るギャングのボスであるマイケルは刑務所へと向かう。出所してきたのは息子のマイキー。しかし、マイキーは父親を無視し、黒人の仲間とともにいずこかへと行ってしまう。

静かな展開の物語。クリーンは時折向かう散髪屋で、顔なじみの店主に人生に対するアドバイスを受けたりする。さらにクリーンは手先が器用なのか、ゴミ収集で拾った家電製品を修理しては中古品を扱う店に持ち込み、現金に変えている。腕がいいのか、店主のクリーンに対する信頼は厚い。クリーンは白人だが、フラッシュバックする少女は黒人。どんな関係かはわからないが、今もクリーンを苦しめ続けている。一方、マイケルは大人しい息子のマイキーに不満。薬物を横領した部下のところへ連れて行き、目の前で男を殴り殺す。ギャングの厳しさを教えるつもりなのだろうが、傍から見ていると逆効果である。

クリーンは黒人の少女ディアンダに何かと目をかける。通学バスが廃止されると、自転車をプレゼントする。ディアンダの家庭事情はよくわからないが、祖母と2人暮らしである。しかし、ディアンダはいつしかマイキーもメンバーである黒人の不良グループと行動をともにするようになる。将来に絶望したのか。そしてそんな不良グループと一緒にいるうちに、ある晩、仲間にレイプされそうになる。

たまたまディアンダの自転車を通りがかりに見つけたクリーンは、察するところがあり、その家の中に入っていく。突然の白人の訪問に中にいた男に反発されるが、クリーンはその前にたまたま手に入れていたスパナで男を叩きのめす。1人、そしてまた1人。その中にはマイキーもいたが、酷く殴られて重症を負う。そしてクリーンは難なくディアンダを救出する。

不甲斐ない息子のマイキーに対して不満はあるが、やはりそこは親子。息子をぶちのめした男を部下に探らせる。クリーンのことはすぐにわかるが、同時にクリーンがかつて名うての殺し屋であったこともわかる。だが、ギャングのボスたるマイケルはその程度ではビビらない。すぐに報復を決意する。しかし、重症のマイキーに対しては冷酷である。主治医は顔の整形手術を勧めるが、これを教訓とさせようと考えたのか、この提案を拒絶する。さらに原因となったディアンダをも祖母もろとも抹殺しろと指示を出す・・・

こうして、ギャングのマイケルとクリーンとの対決が後半に向けて盛り上げられていく。クリーンは馴染みの中古屋で銃を購入すると、それを慣れた手つきで改造していく。銃身を切り、何やら即席の装置を銃身に装着する。ラストの1対多の対決に向けてドラマは進んでいく。ディアンダと祖母とを避難させつつ、自身はマイケルとの対決に向かう。そしてラストのアクション。

クリーンは凄腕の殺し屋であったのだろう。マイケルの自宅という相手の土俵で本領を発揮していく。しかし、その後には意外な展開も待っている。主演はエイドリアン・ブロディ。どちらかというと、優男的なイメージが強く、殺し屋という感じがしない。しかし、さすがにここでは孤独の中で過去の自分に苦しみ、そして現在のディアンダを守ろうとする一匹の狼になりきっている。その戦いは、過去への贖罪でもある。

1人の少女を守ってギャングの組織と対決していくというパターンはよくありがち。しかし、そのありがちなストーリー展開を独自に味付けしていくのが見せ所。製作、脚本まで手がけたというエイドリアン・ブロディの懇親の一作はまずまずといったところ。物静かなアクション映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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