2018年03月09日

【アトミック・ブロンド】My Cinema File 1886

アトミック・ブロンド.jpg

原題: Atomic Blonde
2017年 アメリカ
監督: デビッド・リーチ
出演: 
シャーリーズ・セロン:ロレーン・ブロートン
ジェームズ・マカボイ:デヴィッド・バーシヴァル
エディ・マーサン:スパイグラス
ジョン・グッドマン:エメット・カーツフェルド
トビー・ジョーンズ:エリック・グレイ
ジェームズ・フォークナー:C
ソフィア・ブテラデル:フィーヌ・ラサール
ビル・スカルスガルド:メルケル
サム・ハーグレイブ:ジェームズ・ガスコイン
ティル・シュワイガー:時計屋

<映画.com>
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『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や「ワイルド・スピード ICE BREAK」など近年はアクション映画でも活躍の幅を広げているシャーリーズ・セロンが、MI6の女スパイを演じた主演作。アントニー・ジョンソンによる人気グラフィックノベルを映画化したアクションスリラーで、『ジョン・ウィック』シリーズのプロデューサーや『デッドプール』続編の監督も務めるデビッド・リーチがメガホンをとった。冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前の1989年。西側に極秘情報を流そうとしていたMI6の捜査官が殺され、最高機密の極秘リストが紛失してしまう。リストの奪還と、裏切り者の二重スパイを見つけ出すよう命じられたMI6の諜報員ロレーン・ブロートンは、各国のスパイを相手にリストをめぐる争奪戦を繰り広げる。共演に『X-MEN』『ウォンテッド』のジェームズ・マカボイ、『キングスマン』『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』のソフィア・ブテラ。
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 もはや珍しくなくなってしまった感のある女性アクション映画。しかもスパイモノである。時に1989年、東西冷戦末期のベルリン。1人の男ガスコインが逃げるところから物語は始まる。ガスコインは追って来た男に捕まり、あえなく射殺される。そして腕時計を奪われる。実はこの腕時計には、各国で暗躍するスパイ情報が埋め込まれており、その情報が流出すればその影響は多大なものとなる。かくして東西両陣営がリストを巡って熾烈な争いを演じることになる。

 この事態に対し、イギリスのMI6は凄腕の女性エージェント、ロレーン・ブロートンにその奪還を命じる。さっそくベルリンに飛ぶローレンであるが、出迎えたのは実はソ連のスパイ。途中で気付いたローレンは、車をクラッシュさせて脱出する。そしてベルリンに潜入中のエージェント、デヴィッド・パーシヴァルと落ち合う。さらにロレーンには、リスト紛失に関与してMI6内の二重スパイ"サッチェル"を見つけ出すというもうひとつのミッションも与えられている。

 あちこちと動くロレーンに対し、その姿をカメラに捕らえる女も登場する。東ドイツの秘密警察のスパイグラスが西側への亡命を求めてくる。その頭の中にも同じリストが入っている。主人公を巡って次々と怪しい人物が登場し、ストーリーに絡んでくる。まさにスパイ映画の王道のような展開である。そして、随所でキラリと光るのが、ロレーンの格闘アクション。その内容は、「アトミック・ブロンド」というタイトルに恥じない。

 実は冒頭で殺されたガスコインはどうやらロレーンと関係があったよう。ガスコインが住んでいた部屋を訪れたロレーンは、どこかの誰かのタレコミなのだろう、東ドイツ警察が殺到してくる。逃げられないと悟ったロレーンはこれを迎え撃つ。次から次へと警官たちがなぎ倒されていく。そして鮮やかに現場から立ち去る。一連の動きはなかなかのモノ。

 ただし、ロレーンも無敵というわけではなく、後半組織の腕っぷしを相手にするとたちまち苦戦する。冒頭であざだらけ、傷だらけのロレーンが風呂に入るシーンが出てくるが、なぜそんなあざだらけ、傷だらけなのかはこのあたりの格闘の結果である。味方であるはずのパーシヴァルの動きは怪しげで、そう言えばやはり冒頭でロレーンは上司のC(007シリーズではQが出てきたが、アルファベット1文字はMI6の特徴なのかもしれない)に「誰も信用してはならない」と言われていたっけと思いながら観ていく・・・

 一件落着のラストではさらに二転三転。一体何がどうなんだか煙に巻かれそうになる。このあたりも実に王道スパイストーリーといった感がある。背景には、やはり東西冷戦というスパイモノには欠かせない背景があるのも大きいかもしれない。そう言えば、『コードネーム U.N.C.L.E.』もやはり東西冷戦下を背景とした面白いスパイモノであった。東西冷戦も映画の中では「古き良き時代」なのかもしれない。

 ストーリーよし、シャーリーズ・セロンのアクションよし、で観る価値十分のスパイ映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年06月17日

【キングスマン】My Cinema File 1751

キングスマン.jpg

原題: Kingsman: The Secret Service
2014年 イギリス
監督: マシュー・ヴォーン
出演: 
タロン・エガートン: ゲイリー・“エグジー”・アンウィン
コリン・ファース: ハリー・ハート
サミュエル・L・ジャクソン: リッチモンド・ヴァレンタイン
マーク・ストロング: マーリン
マイケル・ケイン: アーサー
ソフィ・クックソン:ロキシー・モートン
ソフィア・ブテラ:ガゼル

<シネマトゥデイ>
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『英国王のスピーチ』などのオスカー俳優コリン・ファースを主演に迎え、『キック・アス』などのマシュー・ヴォーン監督がメガホンを取って放つ痛快スパイアクション。世界を股に掛けて秘密裏に活躍するスパイ機関所属の主人公が、最強の敵相手に奮闘する姿が描かれる。『サイダーハウス・ルール』などのマイケル・ケインや、『パルプ・フィクション』などのサミュエル・L・ジャクソンらが共演。エレガントな小道具やウイットに富んだ会話はもとより、切れ味のいい怒とうのアクションに見ほれる。
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イギリス発のスパイ映画となると、ついつい『007』を連想してしまうが、これは政府機関であるMI6とは異なる“民間”のスパイ組織の物語。このあたり、面白い発想だと思う。冒頭、敵の捕虜を捕らえたスパイ組織「キングスマン」のメンバー。しかし、油断をつかれ捕虜は自爆する。咄嗟の判断でメンバーの一人が覆い被さって犠牲になり、キングスマンのメンバーは救われる。そしてリーダーのハリーは、遺児であるエグジーに「困った時に連絡しろ」とメダルを渡す。

それから月日が流れ、エグジーは成長する。車を盗んで逮捕されたエグジーは、「困った時」のメダルに連絡し、暗号を伝える。解放されたエグジーを待っていたのは、ハリーであり、ハリーはエグジーをロンドンのサヴィル・ロウにある紳士服店「キングスマン」に連れていく。そこは、表向きは高級テーラーだが、実は民間のスパイ組織「キングスマン」の拠点であった・・・

この映画、実にあちこちに見所が潜んでいる。「キングスマン」のメンバーであるランスロットが、ある組織に誘拐された教授を助けに行く。取り巻きの面々を実に鮮やかな手口で抹殺する。しかし、そのランスロットは組織の両足義足の女に真っ二つにされてしまう。義足がそのまま凶器となった殺し屋のようである。そして「キングスマン」にスカウトされたエグジーの訓練シーン。

家柄の良い他の候補生たちと共に試練を受けるエグジー。訓練生が睡眠中、突然部屋が水で満たされる。他のメンバーは、咄嗟にトイレを利用し空気を確保するが、そんな知識のないエグジーは、必死にマジックミラーを叩き壊す。しかし、逃げ遅れたメンバーの一人が溺死する。降下訓練では、メンバーの一人のパラシュートが開かないと降下中に告げられる。エグジーは、何とか最後まで残るが、合格したのは紅一点のロキシーだった。

母親と付き合うボスの手下絡まれるエグジーを助けるハリー。仕立ての良いスーツに身を包み、顔色一つ変えずチンピラたちを叩きのめす。いくつもの見せ場が続いていて、いつの間にやら時間は経っていく。そしてその間、悪の組織の人類抹殺計画が着々と進んでいく。その組織の親玉は、サミュエル・L・ジャクソン。『アベンジャーズ』『トリプルX:再起動』では、正義の組織のトップだったが、ここでは悪の組織のトップ。どちらにしても似合う男である。

民間でも、Q真っ青のスパイ小道具がいろいろ登場し、楽しませてくれる。「キングスマン」のメンバーは、いずれも凄腕のスパイであるが、ジェイソン・ボーンやイーサン・ハントのような“肉体派”ではなく、古き良き007タイプの仕立ての良いスーツが似合うタイプである。この点では、「伝統の英国スパイ」である。「ダニエル・クレイグ」ボンドにも見習ってほしいと思う。

コメディ要素もあって気楽に楽しく観ることができる。シリーズ化されたらうれしい一作である・・・


評価:★★☆☆☆




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2015年12月29日

【誰よりも狙われた男】My Cinema File 1489

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原題: A Most Wanted Man
2013年 アメリカ/イギリス/ドイツ
監督: アントン・コルベイン
出演: 
フィリップ・シーモア・ホフマン:ギュンター・バッハマン
レイチェル・マクアダムス:アナベル・リヒター
ウィレム・デフォー:トミー・ブルー
ロビン・ライト:マーサ・サリヴァン
グリゴリー・ドブリギン:イッサ・カルポフ
ホマユン・エルシャディ:ファイサル・アブドゥラ博士
ニーナ・ホス:イルナ・フライ
ダニエル・ブリュール:マキシミリアン

<シネマトゥデイ>
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2014年2月に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作となった、ジョン・ル・カレの小説を実写化したスパイサスペンス。ドイツのハンブルクを舞台に、対テロ諜報チームを率いる男がテロリストの資金源となっている者の正体をつかんでいく。監督は『ラスト・ターゲット』などのアントン・コービン。『きみに読む物語』などのレイチェル・マクアダムス、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォーら実力派が共演。息詰まる展開に加え、ホフマンの熱演にも引き込まれる。
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スパイといえば、ジェームズ・ボンドとかイーサン・ハントとか、イケメンでなんでも万能にこなすスーパーマンというイメージがあるが、実際はそんなこともないのだろう。
この映画に登場するスパイは、ジェームズ・ボンドとは対極的。
でっぷりと太り、キューバ産の葉巻ならぬ安そうなタバコを限りなくくゆらせる男、ギュンター・バッハマン。

舞台となるのは、ドイツ。
バッハマンはドイツの諜報機関に所属しているようである(映画だけではよくわからない)。
そのバッハマンの元に、ある日イスラム過激派のメンバーであるイッサが密入国したとの報告がもたらされる。
チームは早速行動に移る。

そのイッサは伝手を辿り、知人宅に身を寄せながら、弁護士のアナベルに助けを求める。
ロシアから逃れてきたイッサはチェチェン人。
ロシアの刑務所で拷問を受けた経緯を語り、アナベルに亡命希望を伝える。
また、同時にある人物へのコンタクトを依頼する。

その人物とは、銀行家のブルー。
実は、イッサの父親はブルーの銀行に大金を預けていたのである。
遺産としてこの受け取りを希望するイッサ。
そして、ブルーとアナベルに、ギュンターのチームが近づいていく・・・

イッサを追うのはギュンターのチームだけではなく、CIAのチームもこれを追う。
両者それぞれ思惑があり、対立と協調とが絡み合う。
そんな国家権力にマークされればなす術もないのが、弁護士のアナベルとイッサ。
それに銀行家のブルー。
先の分からない展開が面白い。

主演のフィリップ・シーモア・ホフマンはこれが遺作だという。
ねちっこい独特の喋り方と、体型が特徴的だったが、この映画ではそのいやらしさを存分に発揮。
存在感がある俳優さんだけに、これで見納めというのも残念な気がする。

レイチェル・マクアダムズは、プロの手にかかり翻弄される女性弁護士としてはイメージぴったりである。
この人、やっぱり『パッション』のような腹黒い役よりも、純粋に可憐な美人役が本当によく似合うと思う。

ジョン・ル・カレらしい濃厚なスパイ映画。
ストーリーでも十分に楽しめる映画である・・・

評価:★★☆☆☆





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2013年11月09日

【裏切りのサーカス】My Cinema File 1116

裏切りのサーカス.jpg

原題: Tinker Tailor Soldier Spy
2011年 イギリス・フランス・ドイツ
監督: トーマス・アルフレッドソン
原作: ジョン・ル・カレ
出演: 
ゲイリー・オールドマン:ジョージ・スマイリー
コリン・ファース:ビル・ヘイドン
トム・ハーディ:リッキー・ター
マーク・ストロング:ジム・プリドー
キーラン・ハインズ:ロイ・ブランド
ベネディクト・カンバーバッチ:ピーター・ギラム
ジョン・ハート:コントロール

<Yahoo!映画解説>
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元MI6諜報(ちょうほう)員の経歴を持つ作家ジョン・ル・カレによる人気スパイ小説を、『ぼくのエリ 200歳の少女』のトーマス・アルフレッドソン監督が映画化したサスペンス。
英国諜報組織の中枢に20年も潜入しているソ連の二重スパイを捜すため、引退生活から呼び戻されたスパイが敵味方の区別もつかない中で真相に迫る姿を描く。
主演のゲイリー・オールドマンをはじめ、『英国王のスピーチ』でオスカーを受賞したコリン・ファース、『インセプション』のトム・ハーディら実力派の競演は必見。
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東西冷戦下、英国情報局秘密情報部MI6とソ連国家保安委員会KGBは熾烈な情報戦を繰り広げていた。
そんな中、英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロール(ジョン・ハート)は、組織幹部の中に長年にわたり潜り込んでいるソ連の二重スパイ<もぐら>の存在の情報を掴む。
ハンガリーの将軍が<もぐら>の名前と引き換えに亡命を要求。
コントロールは独断で、工作員ジム・プリドー(マーク・ストロング)をブダペストに送り込むが、ジムが撃たれて作戦は失敗に終わる。

責任を問われたコントロールは長年の右腕だった老スパイ、ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)と共に組織を去ることとなる。
直後にコントロールは謎の死を遂げ、引退したスマイリーのもとに<もぐら>を捜し出せという新たな命が下る。
標的は組織幹部である“ティンカー”ことパーシー・アレリン(トビ―・ジョーンズ)、“テイラー”ことビル・ヘイドン(コリン・ファース)、“ソルジャー”ことロイ・ブランド(キアラン・ハインズ)、“プアマン”ことトビー・エスタヘイス(デヴィッド・デンシック)の4人。
過去の記憶を遡り、証言を集め、容疑者を洗いあげていくスマイリー・・・

ジョン・ル・カレと言えば、“スパイ”モノ。
これはそのジョン・ル・カレ原作の典型的なスパイモノである。
日本人的な感覚から行くと、スパイ天国とされる我が国で育ったせいか、どうも現実感が乏しい。
でも、実際には米ソ冷戦時にはこんな感じで熾烈だったのだろうと想像する。

タイトルの「サーカス」とは、英国情報部の事。
まあ“ペンタゴン”(米国国防総省)みたいなものなのだろう。
そんなサーカスの内部に潜ったと言われているスパイをあぶり出す映画。
英国情報部と言えば、何といっても007だが、この映画は同じスパイ映画でも対照的。
派手なアクションも、美女とのロマンスもほとんどなく、地味な展開がほとんど。
そのため、途中でストーリーについて行けなくなり、つながりがわからなくなる有り様。
濃厚な味わいのスパイ映画だったのかもしれないが、その濃厚さを今一味わい損ねてしまった感じである。

冷戦の終結とともに、こういうスパイ映画も廃れていくのだろうか。
それはそれでちょっと寂しい気がする。
いつもは脇役が多いゲイリー・オールドマンが、渋く主演を務めているが、それがまた味わいがある。
ストーリーをもうちょっと理解できれば、面白かったかもしれないと思わせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆






   
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2013年08月24日

【ペイド・バック】My Cinema File 1082

ペイド・バック.jpg

原題: The Debt
2010年 
監督: ジョン・マッデン
出演: 
ヘレン・ミレン/レイチェル・シンガー(1997)
サム・ワーシントン/デヴィッド・ペレツ(1965)
ジェシカ・チャステイン/レイチェル・シンガー(1965)
マートン・チョーカシュ/ステファン・ゴールド(1965)
トム・ウィルキンソン/ステファン・ゴールド(1997)
イェスパー・クリステンセン/ディーター・フォーゲル

<映画.com>
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2007年のイスラエル映画「The Debt」をハリウッドリメイクしたスパイサスペンス。
1965年、イスラエルの秘密諜報機関モサドの工作員レイチェル、スティーブン、デイビッドは、ナチスの戦犯ボーゲルを捕らえるべく東ドイツに潜入する。
ボーゲルが逃亡を図ったためやむを得ず射殺したものの、帰国した3人は英雄として讃えられる。
そして1997年、デイビッドが謎の自殺を遂げる。
その背後には、30年前の作戦に関する重大な秘密が隠されていた。
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イスラエルの諜報機関モサドによる戦犯逮捕と言えば、アイヒマンが有名であるが、これはそんなモサドの戦犯逮捕を取り上げた映画。
もともとはイスラエルの映画だったものを、例によってハリウッドがリメイクしたようである。

1965年、モサドの工作員レイチェル(ジェシカ・チャステイン)、デヴィッド(サム・ワーシントン)、ステファン(マートン・チョーカシュ)の3名は、ナチスによる人体実験の罪で戦犯となっていた、ビルケナウ収容所の外科医ディーター・フォーゲル(イェスパー・クリステンセン)を倒した英雄としてイスラエルに帰国する。

1997年のテルアビブ。
レイチェル(ヘレン・ミレン)とステファン(トム・ウィルキンソン)の娘サラ(ロミ・アブラフィア)が両親らの「偉業」を本として出版する。
娘が英雄である母を紹介するも、肝心の母親はどこか暗い表情。
一方、デヴィッド(キーラン・ハインズ)は何者かに呼び出されるが、そこにステファンの姿を見つけると、突然道路に飛び出し、ダンプに引かれて即死する。

物語は1997年と1965年とを行き来しつつ進む。
1965年、東西分断されていたベルリン。
レイチェルら3人はフォーゲルを捕らえて裁判を受けさせるために東ベルリンに潜入する。
戦後何食わぬ顔で産婦人科医を続けていたフォーゲルに、レイチェルは患者を装って接近する。

綿密な計画を立て、計画通りにフォーゲルを拉致する3人。
しかし、途中で眠らせていたフォーゲルが目覚め、東ベルリンからの脱出に失敗してしまう。
新たな脱出計画を決め、遂行するまでの間、3人はフォーゲルに食事をやり、生かし続けることになる。
3人を観察し続けていたフォーゲルは巧みにデヴィッドを挑発し、フォーゲルを殴りつけたデヴィッドをステファンが連れ出す混乱の中、フォーゲルは隙をついてロープを解くとレイチェルを倒してそのまま逃走を図る・・・

敵地での任務。
緊張感漂う中に、モサドの工作員とて人間的な弱さが出てしまう。
そしてそんな弱さから、作戦は中途半端に失敗する。
物語は、1997年に英雄として尊敬を集めるステファンとレイチェル夫婦が必死に隠す秘密を描いて行く。
本来なら喜びに包まれているはずの、娘の出版記念パーティで浮かない顔をしているレイチェルの表情が隠されている何かを物語る。

誰もが失敗を恐れる。
そして失敗そのものに加え、それが明らかになる事を恐れる。
だが、それを隠してみたところで、隠したものの重みは次第に耐え難いものとなる。
もし、始めの段階で素直に事実を語っていれば、3人の人生はまた変わったものになっていたかもしれない。

最初から最後まで見せ場を随所に盛り込み、人間心理も巧みに描き出し、意外に面白い映画であったが、なぜか日本未公開。
もっと関係者の観る目を期待したいところである。
元ネタのイスラエル映画にも興味を惹かれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆




     

    
posted by HH at 21:36 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スパイ