2024年08月17日

【キングスマン ファースト・エージェント】My Cinema File 2896

キングスマン:ファースト・エージェント.jpg

原題: The King's Man
2021年 アメリカ
監督: マシュー・ボーン
出演: 
レイフ・ファインズ:オーランド・オックスフォード公
ハリス・ディキンソン:コンラッド・オックスフォード
ジャイモン・フンスー:ショーラ
ジェマ・アータートン:ポリー・ワトキンズ
リス・エバンス:グリゴリー・ラスプーチン
トム・ホランダー:イギリス国王ジョージ5世/ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世/ロシア皇帝ニコライ2世
チャールズ・ダンス:キッチナー伯爵
マシュー・グード:モートン
ダニエル・ブリュール:エリック・ヤン・ハヌッセン
バレリー・パフナー:マタ・ハリ
ジョエル・バズマン:ガブリロ・プリンツィプ
フアーロン・ボドボス:フェリックス・ユスポ
アーロン・テイラー=ジョンソン:アーチー・リード
ブランカ・カティチ:アレクサンドラ皇后
イアン・ケリー:ウッドロウ・ウィルソン

<シネマトゥデイ>
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『キングスマン』シリーズの第3弾。第1次世界大戦前夜のヨーロッパを舞台に、スパイ組織キングスマンの誕生秘話と、彼らが巨大な陰謀に立ち向かう姿が描かれる。前2作に引き続きメガホンを取るのはマシュー・ヴォーン。『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』などのレイフ・ファインズ、『マレフィセント2』などのハリス・ディキンソンのほか、リス・エヴァンスらが出演する。
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『キングスマン』(My Cinema File 1751)『キングスマン:ゴールデン・サークル』(My Cinema File 1951)と続いてきたシリーズの第3弾である。と言ってもいわゆる「続編」ではなく、前日譚とでも言うべきもの。時は1902年、オーランド・オックスフォード公爵は、息子のコンラッドと妻のエミリー、執事のショーラと共に捕虜が収容されたキャンプを訪問する。到着時、オーランド暗殺を狙った狙撃手が発砲。エミリーが流れ弾を受けて撃たれ、命を落とす。

そして12年の月日が流れる。コンラッドは、オーランドから飛行機の操縦技術を学び、ショーラに格闘術を叩きこまれ、たくましく成長する。血気にはやるコンラッドは、軍隊に志願し戦場に出ることを望むが、平和主義者のオーランドは、それを認めない。オーランドは、コンラッドを説得するため、まずは紳士の振る舞いを教えようとセヴィル・ローにあるテーラー「キングスマン」に連れて行く。オーランドは、コンラッドにスーツを仕立てさせるが、そこでイギリスの陸軍大臣であるキッチナーと、陸軍の将軍であるモートンと出会う。キッチナーは、オーランドにイギリス国王であるジョージ5世の相談に乗ってほしいと伝える。

 ジョージ5世は、いとこであるドイツ皇帝ヴィルヘルム2世とロシア皇帝ニコライ2世との関係が悪化し、戦争が起きる可能性に頭を痛めている。命を受けてセルビアを訪問したオーランドだが、皇太子と移動中、なんと皇太子を暗殺されてしまう。この事件はやがてそれを端として第一次世界大戦へとつながっていく。暗殺者はセルビア人の青年だが、謎の指輪をはめていたことで、暗躍する組織の存在に気付く。それは「羊飼い」と呼ばれる謎の男を中心にした秘密結社。「羊飼い」の目的は、戦争を仕掛けイギリスを壊滅させること。そしてロシアにはラスプーチンを派遣し、ニコライ2世を操ってロシアを戦争から撤退させようと目論んでいる。

邦題にはめずらしく丁寧な解説がついている。「ファースト・エージェント」とあるように、これは前2作の時代の前にあたる。まだ「キングスマン」という組織はできていない。セヴィル・ローにあるテーラーの「キングスマン」は純粋なテーラーで、秘密の会議室もない。そこで主人公のオーランドは陸軍のモートン将軍としばし密談を行い、後の秘密の拠点になる伏線となっていく。そしてオーランドの屋敷には多数の使用人がおり、中でもポリーとショーラが中心になる。ポリーは諜報、ショーラは格闘担当という感じである。

背景には第一次世界大戦へと向かう時代の流れがある。謎の「羊飼い」は遥か高台の上に居住し、往来には人力エレベーターが必要である。そこに配下の者を集めて指揮を取るが、そのメンバーには皇太子を暗殺したセルビアの青年がおり、ラスプーチンがいる。ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の側近もいる。主要国に配下の者を送り込み、世界を裏から操っている。それによって第一次世界大戦を引き起こし、ロシアを戦線から離脱させ、アメリカの参戦を阻んでイギリスの崩壊を狙う。

その計画を阻止するのが、オーランドであるというのが、縦糸のストーリー。横糸にはオーランドの子息コンラッドとの親子間の問題が描かれる。コンラッドは時代の熱気に煽られ、軍隊に入隊せんと血気にはやる。しかし、この若者の興奮を知る父のオーランドはあの手この手で入隊を阻止しようとし、阻止できないとなると人脈を生かして後方の配属になるようにする。しかし、コンラッドは父親の手配を逃れて最前線の塹壕に臨む。そしてそこで本当の戦争の姿に気づくが、父親の気持ちに気づいた時には既に死と隣り合わせにある・・・

軽快なテンポ感のあった前2作と比べると少し異質な雰囲気が漂うのは、まだ「キングスマン」が発足していないからなのかもしれない。いとこ同士であったイギリス国王ジョージ5世、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世、ロシア皇帝ニコライ2世に加え、ラスプーチン、ウィルソン米大統領、そしてマタ・ハリまで歴史上の人物を織り交ぜて物語は進む。第一次世界大戦の影にこんな暗躍があったというのも面白い設定である。そしてラストでは若きアドルフ・ヒトラーまでもが登場する。これは次作への予告であろうか。

一難去っていよいよ「キングスマン」が結成される。「ファースト・エージェント」という邦題は珍しく巧妙な邦題である。シリーズモノにはメンバーを変えて前日譚を描くというパターンがよくあるが、今までのメンバーはもう出ないのだろうかと思ってみたりする。どういう風に続くかはわからないが、このシリーズもまだ続くような気がするし、続いてほしいとも思う。ジェームズ・ボンドともイーサン・ハントとも違うテイストのスパイ映画として、楽しみたい一作である・・・

評価:★★☆☆☆








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2024年07月19日

【エージェント:アンヌ】My Cinema File 2879

エージェント:アンヌ.jpeg

原題: Seule: les dossiers Silvercloud
2023年 フランス・スイス
監督: ジェローム・ドシエ
出演: 
アーシア・アルジェント:アンヌ
ジャンヌ・バリバール:シャルリー
ジョゼフ・レズウィン:ジョー・ターナー

<映画.com>
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時に2008年10月、所はスイスのサンモリッツ。人里離れた山小屋に主人公が住んでいる。ある日、小屋に帰ってきた主人公は違和感を覚える。最初は外に捨てられていたタバコの包装紙。人里離れた山小屋で自分はタバコを吸わないとなれば、誰でも不審に思うだろう。室内に入り、慎重に見回す。そしてちょっとしたきっかけで盗聴器が仕掛けられていることに気づく。そしてとあるところに電話をするが、そこでは自ら「エリザベス」と名乗る。

その直後、各国政府機関の機密情報を暴露することで有名なサイト「シルバークラウド」の管理者ターナーから電話がかかってくる。ターナーは主人公をアンヌと呼ぶ。アンヌはターナーから選挙中のバラク・オバマ候補の側近が、ロシアのスパイだったというスキャンダルに関する情報提供を求められる。実はアンヌ自身、諜報組織GRUに協力していた元スパイ。どうやらエリザベスに名前を変えて足を洗うようである。

アメリカ大統領選に絡むスキャンダルに通じる秘密。仕組んだロシアとしては公にされたくない。そこでシルバークラウドの動きをキャッチしたのか、ロシア側はアンヌの動きを監視する。そしていざとなればアンヌの口封じをしようとしたのであろう。アンヌもなぜか盗聴器をそのままにして元に戻す。2008年が舞台となっているため、電話は固定電話であり、背後に置かれているのはカラーのiMacだったりする。

やがて気がつく。この映画、アンヌ以外の登場人物がほとんど出てこない。アンヌの相手はほとんど電話。顔の見えない相手なのである。ターナーにしろロシア側にしろ、とにかく顔がみえない。これまでも『ハード・ヒット 発信制限』(My Cinema File 2829)『THE GUILTY/ギルティ』(My Cinema File 2451)『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』(My Cinema File 2080)など声だけの相手とひたすらやり取りする映画があったが、この映画も画面に登場するのはほとんどアンヌである。アンヌが情報を漏らそうとしているのかどうか、ストーリーを追って行ってもよくわからないが、ロシア側は口封じをしようとする。

そしてわかりにくいのであるが、どうやらロシア側も一枚岩ではなく、ロシアのスパイとしてアンヌの相棒ともいうべき存在がいて、アンヌを助けようとする。ロシア側は証拠隠滅を図ろうと動き出すが、元相棒の立場は微妙。アンヌを助ければ組織を裏切ることなる。しかし、最初はその意図がアンヌにはわからない。自分を助けるのか組織の手先なのか。銃撃戦はあるものの、アンヌは凄腕のスパイというわけではなく、腕前は極めて心もとない。大半が電話でのやり取りであり、神経戦のようなストーリー展開である。

フランス・スイス合作映画という事で、普段観慣れているハリウッド映画とはテイストが大きく異なる。スパイ映画と言えば、007のQの作り出す秘密兵器的なものはなく、むしろ一昔前の現実的なデジタル機器ばかりで、妙に古臭い雰囲気が漂う。ラストは元相棒の真意がわかる。アンヌにとっては切ない幕切れ。終始静かな展開は、時折睡魔を呼び寄せる。変わってはいるものの、一人芝居的なストーリーで最後に大きなオチがあるわけでもなく、観る者に響いてくるものもない。

ちょっともの足りなさがあとに残った映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2021年03月12日

【マイ・スパイ】My Cinema File 2374

マイ・スパイ.jpeg

原題: My Spy
2020年 アメリカ
監督: ピーター・シーガル
出演: 
デイヴ・バウティスタ:JJ
クリステン・シャール:ボビー・ウルフ
パリサ・フィッツ=ヘンリー:ケイト・ニュートン
クロエ・コールマン:ソフィー・ニュートン
ケン・チョン:キム
グレッグ・ブリック:ヴィクター・マルケス
デヴェレ・ロジャース:カルロス
ノア・ダンビー:トッド

<シネマトゥデイ>
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『ファイナル・スコア』などのデイヴ・バウティスタが主演を務めるスパイアクション。CIAのエージェントが、監視対象だった少女と組む。メガホンを取るのは『リベンジ・マッチ』などのピーター・シーガル。ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」などのクロエ・コールマン、『ロング・トレイル!』などのクリステン・シャールらが共演する。『MEG ザ・モンスター』などのエリック・ホーバーとジョン・ホーバーが脚本を担当した。
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最近ではすっかり俳優として目立つようになったが、この人を見ると元WWEのバティスタというイメージが強い。その体格を活かした俳優業に転業し、これまでは脇役中心であったが、とうとう主演に昇格。これからは映画の世界でますます活躍していくのだろう。そんな元バティスタの主演作品。

冒頭、何やら廃工場で、ロシアのマフィアと軍人との間でプルトニウムとダイヤの取引が行なわれている。一味に扮していたのは、実はCIAのスパイJJ。ところがその場で正体がバレてしまう。やむなくJJはその場にいた者たちと乱闘になる。次々とド派手になぎ倒し、一掃する。よくあるあいさつ代わりのアクションであるが、さすがに元プロレスラーの巨体は迫力がある。

しかし、相手をブチのめしたのはいいが、任務であるプルトニウムの行方を見失うという失態を犯し、上司のキム局長から叱責を食う羽目となる。元特殊部隊の隊員という経歴は、乱闘では活かせるが、CIAのエージェントに必要なのは腕っぷしの強さだけではない。その結果、JJはプルトニウムを追う作戦の主流からは外され、フランス人テロリストのヴィクター・マルケスの義妹であるケイトと9歳になる娘ソフィの監視任務に回されてしまう。

地味な任務に気乗りしないJJだが断るわけにはいかず、技術畑出身の女性エージェント、ボビー・オルトと組んでやむなく現場に向かう。そしてケイト親子のアパートに侵入し、留守の間に監視カメラを仕掛ける。ところが、この監視カメラがあっさりとソフィに気付かれてしまい、しかもソフィはカメラの映像信号を辿って何とJJたちの存在まで嗅ぎ付けてしまう。

自分の正体がバレてしまったことに慌てるJJに、ソフィは内緒にしてやる条件として一緒にスケート場まで連れて行ってほしいと持ちかける。ソフィは学校で友達ができず、ケイトも仕事で忙しく、スケートには行きたいがいけないという悩みを抱えている。身分がバレるという更なる失態をごまかしたいJJは、仕方なくソフィをスケート場まで連れて行く。味を占めたソフィは、次の条件としてケイトが参加できない学校の授業参観に来てほしいと要求する。

いかつい大男が子供に翻弄されるというのはよくある王道パターン。この映画でも子供ながら知恵が働くソフィが、JJの正体を見破り、さらに子供らしい要求をして翻弄する。JJも次第に本来の職務を忘れソフィとケイトの母娘と親しくなっていく。しかしながら、その間にも陰謀は進み、やがてケイトの前にマルケスが現れる。マルケスは亡き弟のパソコンに残しておいたデータを回収するためにやってきたのである。

脇へと追いやられた形のJJの前に巡ってきたチャンス。母娘を守りながらのミッション。スパイモノと言ってもガチガチのアクションではなく、コメディタッチの軽いノリのストーリー。ツッコミどころはたくさんあるが、それを指摘するのは野暮というもの。あくまでもコメディだと思えば納得できる。体のデカいバウティスタが、小さなソフィとの凸凹コンビで織りなすストーリーは何も考えずに楽しめる。

そう言えばその昔、アーノルド・シュワルツェネッガーも幼稚園に保育士として潜入捜査していた(『キンダガートン・コップ』)し、ガタイのいい大人と子供というミスマッチは、それだけでギャップが楽しめるところがある。ライト感覚で楽しみたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2020年08月04日

【アンロック 陰謀のコード】My Cinema File 2259

アンロック 陰謀のコード.jpg

原題: Unlocked
2017年 アメリカ
監督: マイケル・アプテッド
出演: 
ノオミ・ラパス: アリス・ラシーン
オーランド・ブルーム: ジャック・オルコット
マイケル・ダグラス: エリック・ラッシュ
トニ・コレット: エミリー・ノウルズ
ジョン・マルコビッチ: ボブ・ハンター

<シネマトゥデイ>
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元CIAの女性取調官が、バイオテロから世界を救うために奔走するサスペンスアクション。陰謀に立ち向かう主人公に『ミレニアム』シリーズなどのノオミ・ラパスがふんするほか、オーランド・ブルーム、マイケル・ダグラス、トニ・コレット、ジョン・マルコヴィッチらが共演する。『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』などのマイケル・アプテッドがメガホンを取った。
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アリスはCIA諜報員。現在はロンドンのコミュニティーセンターで移民の生活の相談に乗りながら、イギリス諜報機関・MI5のエミリーと協力しテロの情報を集めている。そんな中、CIAとMI5はロンドンのイスラム教の指導者ハリムによるテロ計画の情報を入手する。実行計画を立案しているのはマーサー。そしてそのマーサーに許可を出すのが指導者ハリムである。そしてCIAロンドン支部は、ハリムのテロリストの一人を捕らえることに成功する。

アリスはもともとCIAの尋問スペシャリスト。元上司のエリックよりそのテロリストの尋問を行うように言われるが、アリスには2012年のテロを防げなかったトラウマがあり、その依頼を断る。しかし、CIAのサッターから再度テロリストの尋問を依頼される。ロンドンにいる尋問スペシャリストが他にいないこともあり、またテロによる犠牲を防ぐべく、アリスはこの依頼を引き受ける。

ホテルの一室でサッターとCIA諜報員たちと合流したアリスは、さっそくテロリストを尋問する。テロリストと言っても、男は単なる連絡員。聞き出すのは互いを認識するパスワード。アリスは男を和ませ、信頼させた上でパスワードを聞き出す。ところがその時、CIA本部より電話がかかってくる。内容はハリムのテロリストを尋問してもらいたいというもの。そこでおかしいと感じたアリスは、男とともに部屋を脱出する。

尋問のスペシャリストと言っても、アリスは格闘戦も得意。同じCIAを相手に銃撃戦を展開し(男は射殺されてしまう)、これを振り切って逃げきる。一方、テロの実行を計画するマーサーは、モスクワの同志から生物兵器を受け取る。逃走したアリスはエリックの家に逃れ、CIA内部の裏切り者にはめられたことを説明するが、間もなく追手の襲撃を受け、アリスは逃げのびるものの、エリックは射殺されてしまう。

死ぬ間際、エリックはアリスにある住所を伝え、そこに行くように伝える。そしてそこで盗みに入っていた男を捕らえる。男はジャックと名乗る。息つく間もなく、アリスはロンドン警察に逮捕されそうになるが、なんとジャックに助けられる。身をやつしたとは言え、ジャックはイギリス元海兵隊員だと言う。そしてテロを自力で防ごうとするアリスにジャックは協力を申し出る。

ストーリーは、バイオテロを企むテロリストが行動する一方、否応なしに事件に巻き込まれてしまったアリスがこれを阻むべく動く形で進んでいく。しかし、CIAは本部とロンドン支部とで別々に動き、そしてどうやらロンドン支部は裏切り者が暗躍している。アリスはロンドン警察に追われ、MI5のエミリーはどうやら味方として信じられそうな状況。錯綜する敵味方。いつの間にか物語の世界に引き込まれていく。

アリスを演じるのは。ノオミ・ラパス。出世作『ミレニアム』シリーズ以来、アクション系の映画に結構出ている。『プロメテウス』(My Cinema File 1145)しかり、『クロース 孤独のボディーガード』(My Cinema File 2124)しかりである。派手なアクションはないものの、地味ながらしっかりと見せるアクションが持ち味なのかもしれない。二転三転するストーリー。先を読ませない展開が面白い。

本作品では、マーサーがバイオテロを首謀するが、それを指導者の許可を求めるという形でストーリーは進む。その指導者は別の思惑があるが、自分自身の正義に酔いしれるマーサーは、形だけの許可を求める。戦前の日本も天皇陛下の御名の下に軍部が戦争への道を突き進んでいった経緯を彷彿とさせる。自分たちの勝手な思惑のために錦の御旗を利用しようというハラである。いずこも似たようなものであるが、そんなことをツラツラと考えながらストーリーを追っていた。

短いながらも中身のしっかりした見ごたえある映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2019年06月14日

【アメリカン・アサシン】My Cinema File 2092

アメリカン・アサシン.jpg

原題: American Assassin
2017年 アメリカ
監督: マイケル・クエスタ
出演: 
ディラン・オブライエン:ミッチ・ラップ
マイケル・キートン:スタン・ハーリー
テイラー・キッチュ:ゴースト
サナ・レイサン:アイリーン・ケネディ
デビッド・スーシェ:スタンスフィールド

<シネマトゥデイ>
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『メイズ・ランナー』シリーズなどのディラン・オブライエンが、ヴィンス・フリンのベストセラー小説シリーズの主人公を演じるスパイアクション。無差別テロで恋人を亡くした青年が、報復のためにCIAのエージェントとなって核兵器テロに立ち向かう姿を、多彩なアクションを交えて活写する。共演は、マイケル・キートン、テイラー・キッチュら。メガホンを取ったのは、ドラマシリーズ「HOMELAND」などのマイケル・クエスタ。
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冒頭、ビーチで恋人のカトリーナにプロポーズをするミッチ。和やかな雰囲気であったが、突然数人の男たちが無差別に銃を乱射し始める。ミッチも足を撃たれながらカトリーナを探すが、混乱の中、カトリーナは無残にもミッチの目の前で撃たれて息絶える。ミッチは、一命を取り留めたものの、復讐に燃えトレーニングや情報収集に明け暮れる。そしてついに実行犯のテログループとコンタクトを取ることに成功する。グループの首謀者モンスールに会うことに成功するが、まさにその時、CIAチームによりテログループは全員射殺されてしまう。

目の前で恋人の敵を殺されたころされたミッチ。そんなミッチを見込んだCIAのケネディーは、自分たちの組織にスカウトする。仲間入りを決めたミッチは、元ネイビーシールズのハーリーの元で訓練を受ける。こうして、復讐の人生から新たにCIAのエージェントとしての人生が始まる。この物語は、こうしてエージェントとなったミッチの活劇モノ。ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントらといった先達とどう伍していくのか、が見ものと言える。

ある日ハーリーはロシアで起きたテロの犯人が、かつて自分が最高のスパイに鍛え上げたロニーだという事に気づく。昔の任務中に死んだと思われていたロニーはゴーストと名乗りテロ行為を繰り返している。ケネディーはゴーストとそのパートナーを止めるべくハーリーとミッチをトルコへと送る。トルコでオペレーターのアニカと合流したハーリー達。さっそくゴーストのパートナーであるシャリフを捕まえようとするが、そこへゴーストが現れる。ミッチはハーリーの命令を無視しシャリフを殺してしまう。

どうやらこの主人公はチームプレーというよりもワンマンショーをやりたがるタイプのよう。ゴーストは核兵器によるテロを計画していて、既にウランを入手し核兵器として完成させるべく物理学者をスカウトする。ハーリーの命令下、ゴーストを追うミッチとアニカ。なんだか、よく使い古されたような物語の筋書きである。そしてよくありがちなパターンのミッチの活躍が描かれる。

肝心の主人公のミッチであるが、「素人上がり」のせいかどうもインパクトが弱い。特技と言えば、命令を無視した単独行動くらいか。何か特別なスパイ装備を利用したり、格闘アクションが優れていたりするわけではない。度肝を抜くようなアクションシーンがあるわけでもなく、先達から比べれば小物感が否めない。このあたりが限界だろうか。ただ、ラストの核爆発はなかなか迫力があったのが映画としては良かったところである。

新たなヒーローとしてシリーズ化するにはちょっと弱いと思わざるを得ない映画である・・・


評価:★★☆☆☆









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