2016年08月29日

複製された男

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原題: Enemy
2013年 カナダ・スペイン
監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演: 
ジェイク・ギレンホール:アダム/アンソニー
メラニー・ロラン:メアリー
サラ・ガドン:ヘレン
イザベラ・ロッセリーニ:キャロライン

<シネマトゥデイ>
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ノーベル文学賞作家でポルトガル出身のジョゼ・サラマーゴの小説を実写化したミステリー。至って普通の日々を送ってきた教師が、ある映画に自分と酷似した男が出ているのを見つけたことから思わぬ運命をたどっていく。メガホンを取るのは、『灼熱の魂』『プリズナーズ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。キャストには『ブロークバック・マウンテン』などのジェイク・ギレンホール、『マイ・ファミリー/遠い絆』などのメラニー・ロランら実力派が集う。全編を貫く不穏なムード、幻惑的な物語、緻密な映像が混然一体となった世界観に引きずり込まれる。
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 大学の歴史講師アダムは、独身で時折訪ねてくるメアリーと食事をし、ベッドを共にする生活を送っている。ある日、同僚から勧められて何気なく鑑賞した映画の中に自分と瓜二つの俳優を見つける。興味を持ったアダムはその俳優アンソニーについて調べ始める。やがて驚くほど自分に似ていることが気になり、思い切って本人に連絡をする。

 アンソニーには妻ヘレンがおり、妊娠6ヶ月ではあるが、どうやらアンソニーの浮気が原因でヘレンは何かにつけてアンソニーに疑惑の目を向けている。アダムの存在を知ったヘレンは、密かに大学へ行きアダムを見つける。驚くほど夫と似ていることにヘレンも驚く。そしてアンソニーとホテルの一室で会ったアダムは、体の傷まで一致していることに恐怖を抱きその場を去る・・・

 タイトルからして何やら『シックスデイ』のようなクローン社会を創造していたのであるが、実際は全く異なる。冒頭から怪しげなクラブが出てくる。女性がステージでいかがわしいショーをするようなところである。そしてなぜか蜘蛛がそこに描かれる。画面はなんとなくセピア色風であり、映画全体が何かを暗示しているかのようである。

 しかし、クローンなどというSF的な展開は欠片もなく、単に自分と恐ろしいくらい似ている赤の他人と出会う話である。ここまで似ていると、「恋人交換」のようなこともできてしまうなぁとよくない想像をしていたら、アンソニーも同じことを考え、アダムを脅して服と車を借りるとメアリーを連れ出す。そしてアダムは逆にアンソニーの自宅へ行き、ヘレンと何気ない夫婦の会話を始める。

 非常に興味深い展開が続いていたのであるが、ラストは唐突に訪れる。メアリーを連れ出したアンソニーに起こった出来事から、その後の面白そうな展開を期待していたことから一転、「ナンダコレハ」という疑惑に包まれる。大概、こういう映画は何かを意味しているものであるが、ネットで調べてみるとどうやらアダムとアンソニーは妄想の中で別人化した同一人物らしい。そんなの映画の中でわからなければ何の意味もない。

 原作となる本があるようで、ひょっとしたらそちらを読めばもっと詳しくて面白いのかもしれない。しかし、映画だけを観ていると全くわからない。個人的には、映画だけで面白さがわからないものはダメと考えているので、これはもう駄作としか言いようがない。途中まで良かっただけに残念である。関係者はそれなりに考えて「芸術作品」を創っているのだろうし、わからないヤツは通ではないと考えているのかもしれないが、あくまでも素人が普通に観る立場から言えば、面白くも何ともない。これを観て面白いと言っている人間は、ただ映画通を気取っているだけだろう。

製作者のマスターベーション映画である・・・


評価:★☆☆☆☆





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2015年08月17日

鑑定士と顔のない依頼人

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原題: The Best Offer
2013年 イタリア
監督: ジュゼッペ・トルナトーレ
出演: 
ジェフリー・ラッシュ:ヴァージル・オールドマン
ジム・スタージェス:ロバート
シルヴィア・フークス:クレア・イベットソン
ドナルド・サザーランド:ビリー・ホイッスラー
フィリップ・ジャクソン:フレッド

<Yahoo!映画解説>
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名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、刺激的な謎をちりばめて紡ぐミステリー。
天才鑑定士が姿を見せない女性からの謎めいた鑑定依頼に翻弄されていくさまを、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの音楽に乗せて描く。
偏屈な美術鑑定士には、『シャイン』などのジェフリー・ラッシュ。
共演には『アップサイドダウン 重力の恋人』などのジム・スタージェス、ベテランのドナルド・サザーランドらが名を連ねる。
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主人公は鑑定士のヴァージル。
絵画などの美術品を鑑定し、オークションを仕切る。
しかしこのヴァージル、どうやら正直者というほどではなく、売れない画家のビリーと組んで、本来高額な絵画を低額で落札したりしている。
それはみな美人画で、そうして集めたコレクションは密かに自宅の特別室に飾っている。

ある時、旧家の娘クレアより鑑定の依頼が入る。
さっそくその屋敷に向かうが、肝心の依頼者であるクレアは姿を現さない。
しかし、屋敷で見つけた歯車が、ヴァージルの興味を惹く。
それを仲間の機械技師ロバートに見せたところ、18世紀に作られたロボットだとわかる。
そして姿を見せないクレアは、「広場恐怖症」という症状で、長いこと外出していないということもわかってくる。

依頼を受けたヴァージルは、ロボットの部品を集めながら、ついにクレアと対面することに成功し、そしてその美しさに惹かれていく。
実はヴァージルは、妻子もなく孤独の身。
それどころか女性と付き合ったこともない。
集めたコレクションの美女たちがその代わりとなっている。
そんなところに、美女が現れ、しかも自分が保護しなければならないとなると、女性に免疫のない男はひとたまりもなく惚れ込んでしまう・・・

かくして、仕事もそっちのけとなっていくヴァージル。
クレアが姿を消すと、もう仕事どころではなかったりする。
また、ストーリーの伏線として、クレアの屋敷の前にあるカフェにいつもいる小さな女性。
何やらいつも数を数えている。
そしてストーリーは、意外な(といっても実は想像がついてしまったのだが)結末へと続く。

結末まで来て、さまざまな場面を回想し、ストーリーを理解する。
なるほど、と思わせられるところが随所にある。
最後の最後までクレアを想い続けるヴァージル。
その気持ちはよくわかるような気がする。

目の前で鮮やかな技を披露されたような気分になる。
ストーリーと役者さんの演技が相まって、技あり一本という感じの映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 11:19 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー

2014年08月03日

さよならドビッシー

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2012年 日本
監督: 利重剛
出演: 
橋本愛:香月遥
清塚信也:岬洋介
ミッキー・カーチス:香月玄太郎
柳憂怜:香月徹也
相築あきこ:香月悦子
山本剛史:香月研三
清水紘治:鬼塚先生

<Movie Walker解説>
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第8回「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた中山七里の小説を、久々にメガホンを取る利重剛監督が映画化。
火事で重傷になりながらも、懸命にピアニストを目指す少女が不可解な事件に巻き込まれていくさまを、ドビュッシーやショパンの名曲に乗せて描く。
主演は、『桐島、部活やめるってよ』など話題作への出演が相次ぐ橋本愛。
ピアノ教師を、テレビドラマ「のだめカンタービレ」の吹き替え演奏で知られる人気ピアニストの清塚信也が演じる。
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橋本愛主演の人間ドラマ。
原作はミステリーらしいが、ところどころそれらしき展開にはなるものの、映画を観ている限りはあまりミステリーという感じはしない。

遥とルシアは従姉妹同士。
ある日ルシアが遥一族の住む邸に連れられてくる。
両親は海外ボランティアへ行くに際し、行き先が危険地帯である事から、一人娘のルシアを祖父の家に預ける事にしたようである。
そしてその両親は、現地で紛争に巻き込まれ、帰らぬ人となる。

遥とルシアは同い年でもあり、仲良く成長していく。
共にピアニストになるべく練習に励んでいたが、ルシアは才能の限界を感じ、遥にはピアニストの夢を断念すると伝える。
そんなルシアに対し、遥はいつかコンサートでルシアのためだけにドビッシーの「月の光」を演奏すると約束する。

その晩、祖父と遥とルシアが寝ていた離れが火事となり、祖父とルシアは焼死する。
生き残った遥も全身にやけどを負い、顔も見分けがつかぬほどであったが、着衣から遥とわかり、整形手術で修復することになる。
一命は取り留めたものの、歩くのも指を動かすのも不自由となり、遥は懸命にリハビリに励む。

死んだ祖父は、膨大な遺産を遥に残しており、ピアニストになるため、遥はピアノの個人レッスンを受けることにする。
遥の状況を見ると、名の通った教師はレッスンを拒否し、雇われたのは岬洋介という無名のピアニスト。
それでもレッスンを始める遥であるが、その頃から遥を狙ったと見られる不可解な出来事が頻発するようになる・・・

映画は姉妹のように育った二人の少女が、不幸な火災に遭い、一人が死んで一人が生き残る。
そしてやけどで顔がわからなくなり、かろうじて着衣で遥と判断されるというあたりで、ある程度の展開は見えてくる。
しかし、そこに何者かが遥を狙い、さらに母親が謎の事故に遭うというミステリー色が入ってくる。

純粋なドラマでいいのにミステリー色が入り、違和感を覚えたが、原作がミステリーだと知り、逆にドラマ色を強めたのかもしれないとも思う。
振り返ってみれば、原作のミステリー色を弱め、様々な思いを胸に秘めた遥が懸命にピアノを弾くドラマの方が胸に響いてくるのは確かである。

事故の後遺症もあって満足にピアノを弾けなくなった遥に対し、音楽学校は退学を勧め、高名な講師による個人レッスンも断られる。
そんな窮状を見かねたピアニストの岬がレッスンを引き受ける。
その再生のドラマだけでも感動的である。
原作に忠実に映画化するのもいいが、この手のアレンジがあっても良いような気もする。
特に劇中奏でられるドビッシーの名曲は、本では味わう事のできない映画ならではの強みである。

ここのところよく橋本愛の出演作を観る機会が増えている。
この作品でのちょっと陰りを帯びた主人公の役は、これまで観た映画(『アナザー』『HOME愛しの座敷わらし』『桐島、部活辞めるってよ』)の中では一番良かったと思う。
今後日本の「映画女優」として、かわいいだけではない魅力を見せてくれるかもしれないと期待してしまう。
ストーリー的にもキャスト的にも満足できた一作である。


評価:★★★☆☆


   
 
posted by HH at 00:00 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー

2014年03月11日

Virginia/ヴァージニア

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原題: Twixt
2011年 アメリカ
監督: フランシス・フォード・コッポラ
出演: 
ヴァル・キルマー:ホール・ボルティモア
ブルース・ダーン:ボビー・ラグレインジ保安官
エル・ファニング:V
ベン・チャップリン:エドガー・アラン・ポー

<Yahoo!映画解説>
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『コッポラの胡蝶の夢』で復活した巨匠フランシス・フォード・コッポラが監督を務めたミステリー。
エドガー・アラン・ポーの小説を題材に、ある殺人事件に熱中する不調の小説家が、現実と夢を行き来するようになる様子を映し出す。
主人公を『トゥームストーン』のヴァル・キルマーが演じ、彼を夢の世界へと誘う少女を『幸せへのキセキ』のエル・ファニングが演じている。
映画全体に漂う重厚な雰囲気と、謎が謎を呼ぶ物語に吸い寄せられる。
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フランシス・フォードコッポラ監督と言うだけで観る事を決意したが、コッポラ監督というのは、それだけの実績を誇る監督である。
前作『コッポラ胡蝶の夢』は、それまでのイメージと一転して、よくわからない映画だった。
気を取り直して観たのが、この作品。
だが、またしても期待外れの一作となってしまった。

主人公は、作家のホール・ボルティモア。
ミステリー作家であるが、車に自分の本を積んで町から町へと売り歩いている。
そんな彼が、ある町にやって来る。
そこは、かつてミステリーの大御所エドガー・アラン・ポーが滞在したホテルがある町。

不思議な七角塔の時計台があるその町で、ある夜ホールは夢を見る。
夢に出てきた少女はヴァージニアと名乗り、かつてエドガー・アラン・ポーが滞在したホテルには、大量殺人の犠牲になった子供たちが埋められている。
作家志望の保安官が、ホールに共同執筆を持ち掛けてくる。
テーマはまさにその大量殺人事件。
そして保安官事務所には、検死を待つ少女の遺体が安置されている・・・

雰囲気だけは、怪しげなモノを漂わせてストーリーは進む。
されどこれはホラーなのか何なのかよくわからないのも事実。
夢に出てきた少女ヴァージニアは、もう既に死んでいる。
エドガー・アラン・ポーも出てくるのであるが、何が何だか正直よくわからない。

これが、あの「ゴッド・ファーザー」のフランシス・フォード・コッポラ監督の作品なのだろうかと我が目を疑ってしまう。
もうここまでなのだろうか。

主演は、ヴァル・キルマー。
最近はすっかり太ってしまって、『トップガン』のアイスマンの面影はどこへやら。
それでも久々の主演映画を観た気がする。
観る人が観れば、良い映画なのだろうか。
素人にはそれがわからない映画である。


評価:★★☆☆☆


     

    
posted by HH at 22:48 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー