さて、そんな桜の季節に1月からの3か月間を振り返ってみた。この間、観た作品は41本。昨年の同時期の45本に比べると4本少ない。ドラマも随分観ているからその影響もあるが、映画もしっかり観たいところである。
その中からベスト3を選んでみた。
第1位:『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(My Cinema File 2954)

タイトルだけで選んでいたらまず間違いなく観なかったと思う。たまたま車の中で聞いていたラジオで誰かが勧めていたので観ることにしたもの。これが大正解。基本的に人に勧められたものは必ず観る事にしているが、それは自分の趣向の範囲を超えるという意味でも大事だと改めて思う。
物語はクリスマスシーズンを迎えた全寮制の高校を舞台としたもの。クリスマス休暇でみんなが帰省する中、家庭の事情で1人残らなければならなくなった少年と、そのために残らなければならなくなった教師と料理長との3人の物語。恋人と過ごすために息子に残れという母親も母親だが、それにすねた少年と偏屈で変わり者と見られている教師、折からのベトナム戦争で最愛の息子を失った料理長との心温まる交流。
なんでこんなセンスのないタイトルを平気でつけられるのだろうかという思いは封印し、観た自分を褒めてやりたくなる映画である。
第2位:『マイスモールランド』(My Cinema File 2960)

日本にいるクルド難民にスポットライトを当てた映画。主人公はクルド難民の女子高生。長年日本で暮らし、日本語も流ちょうに話す。進学の時期に来ているが、そこで事件が起こり、将来に暗雲が漂う。日本にいるクルド人問題もいろいろあるようで、クルド人に対する批判の声もあるようである。何が正しいのかは総合的に判断しないといけないが、この映画に関してだけ言えば、難民ゆえに苦労する女子高生に同情したくなる物語。
日本における難民認定が困難な事はよく言われているが、その問題に一石を投じるもの。この映画だけ観ていればたしかにそう思う。美形の主人公に人として何とかしたいと思わされる。いろいろな意味で観る価値は高い映画である・
第3位:『52ヘルツのクジラたち』(My Cinema File 2972)

変わったタイトルは、特定の周波数で鳴くゆえに他のクジラに聞こえないと言われる孤独なクジラから来ている。主人公はとある田舎町に越してきた女性。訳アリの様子に町では都会で風俗嬢をしていたという噂が流れる。そんな主人公の訳アリの過去。それは実の親に虐待されて育ったというもの。あるきっかけでそんな境遇から解放されるが、恩人とは通じ合えない苦悩がある。不幸は後を追いかけてくる。田舎に移り住んだ主人公は、同じく虐待されている少年と出会う。
我が子は可愛いと思うのが普通の親の感情。虐待など考えられないが、世の中にはそういう考えられない親もいる。やりきれない気持ちになることしばしば。主人公の幸せを心から願いたくなる映画である。
さて、季節はこれから新緑の季節に向かう。外も気持ちいいが、夜は映画に没頭したい。GWもあるし、溜め込んだ映画を次々と観ていきたいと思うのである。