2022年05月27日

【モータル・コンバット】My Cinema File 2552

モータル・コンバット.jpeg

原題: Mortal Kombat
2021年 アメリカ
監督: サイモン・マッコイド
出演: 
ルイス・タン:コール・ヤング
ジェシカ・マクナミー:ソニア・ブレイド
ジョシュ・ローソン:カノウ
浅野忠信:ライデン
メカッド・ブルックス:ジャクソン・ジャックス・ブリッグス
ルディ・リン:リュウ・カン
マックス・ハン:クン・ラオ
チン・ハン:シャン・ツン
ジョー・タスリム:ビ・ハン/サブゼロ
ネイサン・ジョーンズ:レイコ
シシ・ストリンガー:ミレーナ
ダニエル・ネルソン:カバル
マチルダ・キャンバー:エミリー
ローラ・ブレント:アリソン
真田広之:ハサシ・ハンゾウ/スコーピオン

<映画.com>
********************************************************************************************************
世界的人気を誇る対戦型格闘ゲームで、1995年にも一度映画化されている「モータルコンバット」を、新たに実写映画化。胸にドラゴンの形をしたアザを持つ総合格闘技選手コール・ヤングは、自身の生い立ちを知らないまま、金を稼ぐために戦う日々を送っていた。そんなある日、魔界の皇帝シャン・ツンがコールを倒すため、最強の刺客サブ・ゼロを送り込む。コールは特殊部隊少佐ジャックスに言われるがまま女戦士ソニア・ブレイドと合流し、地球の守護者ライデンの寺院へ向かう。そこでコールは、太古より繰り広げられてきた格闘トーナメント「モータルコンバット」の存在と、自分が魔界の敵と戦うために選ばれた戦士であることを知る。主人公コール役に『デッドプール2』のルイス・タン、女戦士ソニア役に『MEG ザ・モンスター』のジェシカ・マクナミー。日本からも真田広之と浅野忠信が参加し、重要キャラクターのスコーピオンとライデンをそれぞれ演じる。
********************************************************************************************************

最近では映画や漫画に加え、ゲームも映画化されるのが珍しくなくなっているが、これは対戦型格闘ゲームの実写映画化だと言う作品。

物語は17世紀の日本から始まる。白井流の忍者ハサシ・ハンゾウは、妻子とともに慎ましく暮らしている。それでも周囲に護衛がいるのは、重要人物だからなのかと思ってみたりする。小川へ水を汲みに山を下りたハンゾウだが、家屋の方角から妻の悲鳴が聞こえ、急いで駆けつけるも、彼が見つけたのは氷漬けにされてしまった妻と子。そこに現れたのはビ・ハン。

ビ・ハンは氷を操る能力があるようで、白井流の血統を根絶やしにするべくハンゾウの命を狙っている。2人による戦いが繰り広げられるが、ビ・ハンの前にハンゾウは殺されてしまう。ビ・ハンの去った後に家の中から赤ん坊の泣き声が響く。実はハンゾウの妻が生まれたばかりの我が子を隠していたのである。そこに現れたるは謎の男。男は赤ん坊を取り上げると何処かへと姿を消す。

そして舞台は現代に移行する。主人公のコールには生まれつき胸に龍の形をしたあざがある。場末で総合格闘技に励んでいるが、負けが込んでプロモーターにも見放されかけている。そんなコールだが、理解ある妻子に恵まれ、幸福な家庭を築いている。そんなある日、家族で食事をとろうとしていたコールたち。窓の外に季節外れの雪が降ったかと思う間もなく、あの氷を操る男ビ・ハンが現れ、あたり一面を氷で覆いつくす。狙いはどうやらコール。

逃げるコールたち家族の前にジャックスという男が助けに現れる。しかし、ビ・ハンは強敵。ジャックスは自ら囮になるとともにコールに、ソニア・ブレイドを訪ねろと伝える。ジャックスがビ・ハンを引きつける間、コールは妻子を連れて逃げる。そしてソニアを訪ねたコールは、ソニアから事情を聞く。ジャックスとソニアは軍の特殊部隊所属で、龍のあざを持つ人間を探しているとのこと。そして調査の結果、太古の昔から語り継がれる、ある言い伝えの存在にたどり着いたこと。

そして物語に秘められた事情がわかってくる。
・この世には人間界と魔界が存在する
・モータルコンバットという武道大会が開かれ、人間界と魔界の戦士たちがそこで戦う
・龍のあざはモータルコンバットの出場にふさわしい「選ばれた者」の証
・人間界と魔界はこれまで9回の戦いを経ており、人間界の9連敗中。あと1回負けると人間界は魔界に支配されてしまう
・預言では10回目の大会で人間界が勝利する
なるほど、ゲームらしい物語の世界である。

コールは生まれつき胸にあざがあるが、他のメンバーはあざのある人間を殺してあざが移っている。ソニアの家にはカノウという粗暴な男が捕えられているが、魔界の魔物に襲われ、カノウも金に釣られてコールたちと行動をともにすることになる。3人はモータルコンバットについての詳細を得るため、地球の守護神ライデンが居を構える寺院へと向かう。寺院で彼らを出迎えたのは、炎の使い手リュウ・カンと刃物のように鋭利な帽子を操るクン・ラオの2人。あざを持つコールとカノウは奥義を習得するため、訓練を始める。

こうして人間界を代表するコールたちと予言を阻止すべく大会前に勝負を決めてしまおうとする魔界のシャン・ツンが戦士を招集し、新たにサブゼロと名乗り、魔界に転生したビ・ハンらを引き連れて寺院へとやってくる。その寺院では、まずカノウがあざによる特殊能力を獲得する。能力の習得には、強い怒りや大切なものを守るという強い執念が必要だとされるが。コールはまだ獲得できずにいる・・・

人間と魔界の戦士たちの戦いがクライマックス。さすがに対戦型格闘ゲームらしい展開。それにしてもゲームの世界観というのも随分凝ったものだと改めて思う。自分はゲームなどやらないから知る由もないが、なるほどどうして映画化されるのも無理はない展開である。ただ、その後の展開はなんとも意味不明。日本からは真田広之と浅野忠信が出演しているが、それが日本人としては心地よい。

まぁ、細かいことはともかくとして、暇つぶしにはなる格闘アクション映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 格闘アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月09日

【リズム・セクション】My Cinema File 2532

リズムセクション.jpeg

原題: The Rhythm Section
2020年 イギリス・アメリカ・スペイン
監督: リード・モラーノ
出演: 
ブレイク・ライヴリー:ステファニー
ジュード・ロウ:B
リング・K・ブラウンスター:マーク・セラ
リチャード・ブレイク:リーマン
マックス・カセラ:レオン・ギラー
ダニエル・メイズ:ディーン・ウェスト
ラザ・ジャフリー:キース
ジェフ・ベル:グリーン
タウフィーク・バルホーム:レザ

<映画.com>
********************************************************************************************************
『シンプル・フェイバー』のブレイク・ライブリー&『シャーロック・ホームズ』シリーズのジュード・ロウ共演によるリベンジアクション。マーク・バーネルの小説「堕天使の報復」を原作者自らの脚本で映画化し、「孤独なふりした世界で」のリード・モラーノ監督がメガホンをとった。3年前に飛行機事故で家族を失ったステファニーは、生きる気力を失い自堕落な生活を送っていた。そんなある日、飛行機事故が何者かによって仕組まれたものだと知った彼女は、復讐を果たすべく真相を探り始める。やがて謎の男に拉致されたステファニーはその男のもとで過酷な戦闘訓練を積み、激しい戦いに身を投じていく。
********************************************************************************************************

主人公のステファニーは、売春婦をしている。3年前、両親と弟妹を航空機事故で亡くし、しかもその原因は自分にあると思い、すっかり自暴自棄になりドラッグ漬けの毎日を送っている。そんなある日、キース・プロクターという男が客としてやってくる。しかし、プロクターはステファニーを知っていて、「3年前の航空機の事故は事故じゃない、テロだ」と告げる。ステファニーはプロクターを追い出すが、その言葉が心に残る。

ステファニーは悩み抜いた末に、プロクターに会いに行く。部屋の壁一面に貼られた航空機事故で亡くなった乗客の写真、そして関連する多数の資料。プロクターはジャーナリストであり、事件を調査していると語る。事件の実行犯はレザという男。しかし当局はレザを逮捕せずに泳がせ、背後にいる組織を追い詰めようとしているとステファニーに教える。

部屋にあった資料からレザの居場所を知ったステファニーは、拳銃を買い、レザの下へと向う。しかし、引き金を引くことはできずに終わる。その時、ステファニーはバッグを盗まれる。そしてプロクターの部屋に戻ったステファニーは、プロクターが何者かに頭を撃ち抜かれて死んでいるのを発見する。

プロクターから聞いた話をもとにステファニーはBという男を訪ねる。しかし、Bは警戒心が強いのか、突然の訪問客を捕らえて縛り上げて尋問する。ステファニーの話を聞いたBは、「レザを殺したければプロを雇え」と冷たく言い放つ。しかし、そんな金もないステファニーは、自分を鍛えてくれと直訴する。

こうして始まったBによる厳しい訓練。Bにはどこかステファニーが途中で諦めるだろうという思いがあったかもしれない。しかし、ステファニーには、自分だけが乗る予定の便に家族を呼んだものの、自分だけがわがままで乗らなかったという思いがある。家族が死んだのは自分のせいだと責め続けるステファニーに諦めるという選択肢はない。訓練は進んでいく。

Bによってステファニーは事件の背後を知る。黒幕はイスラム原理主義の指導者。反政府運動の中心人物を殺すためにU-17という人物に指示し、U-17がレザに爆破させたものだったのである。射撃、格闘技と訓練は続く。ステファニーに『ペドラ』と名乗らせたBは、ステファニーを現場に出す。そして物語は、復讐に燃えるステファニーの姿を追って進んでいく。

力の弱い女が戦闘訓練を受けて復讐に向うというありがちなパターンのストーリー。主演はブレイク・ライブリー。『アデライン、100年目の恋』『シンプル・フェイバー』に出演していた美人女優さんだが、ここではガラリと雰囲気が変わっている。ここではなかなか見事な格闘技術を見せてくれる。もはや女性の格闘アクションは珍しいものではなくなっている。

訓練を受けたとはいえ、まだ危なっかしいステファニーが、少しずつ敵を取っていく。謎の人物であるU-17を探すという要素もストーリーの面白さに加わる。もちろん、アクションも見どころの1つである。何も考えずに気楽にアクション映画を観たい時には最適な映画の1つと言える。

観終わって「ブレイク・ライブリーの次回作は」と問いたくなる。自然とそんな感想を持つ映画である・・・




評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 格闘アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月18日

【ケイト】My Cinema File 2524

ケイト.jpeg

原題: Kate
2021年 アメリカ
監督: セドリック・ニコラス=トロイヤン
出演: 
メアリー・エリザベス・ウィンステッド:ケイト
ウディ・ハレルソン:ヴァリック
ミキール・ハースマン:スティーブン
ミク・マルティノ:アニ
浅野忠信:蓮司
MIYABI:城島
國村隼:木嶋
田邊和也:シンゾウ

<映画.com>
********************************************************************************************************
夜の東京を舞台に、毒を盛られ余命わずかとなった暗殺者の壮絶な復讐劇を描いたアクション。幼い頃に両親を殺され、冷酷な暗殺者として育てられた女性ケイトは、標的の日本人ヤクザを彼の娘の目の前で殺したことをきっかけに引退を決意する。最後の仕事へと向かう前に、ケイトはバーで知り合った男と一夜をともにするが、その男に毒を盛られてしまう。医師から余命24時間と告げられたケイトは、自分の殺害を命じた者に復讐するべく、東京の街を奔走する。『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』のメアリー・エリザベス・ウィンステッドが主演を務め、「ゾンビランド」シリーズのウッディ・ハレルソン、「モータルコンバット」の浅野忠信、『哭声 コクソン』の國村隼、「不屈の男 アンブロークン」のMIYAVIが共演。「スノーホワイト 氷の王国」のセドリック・ニコラス=トロイヤン監督がメガホンをとった。Netflixで2021年9月10日から配信。
********************************************************************************************************

主人公のケイトは殺し屋。ところは大阪。この映画の舞台はなんと日本である。埠頭のような人気のない場所に近づく車。警備に当たっていたヤクザ2名に話しかけるケイト。片言の日本語に気を取られた瞬間、ケイトは2人を倒し、建物に侵入すると狙撃ポジションを取る。車から降りてきたターゲットを狙撃しようとした刹那、車からターゲットの娘と思しき少女が降りてくる。咄嗟に中止を進言するも、インカムからは無情に実行の指示。やむなく引き金を引くケイト。ターゲットは娘アニの目の前で倒れ、父親の血を浴びたアニは泣きながら必死に助けを求める・・・

そんなケイトは、幼い頃に(たぶん両親を殺され)ヴァリックに引き取られ、殺しの英才教育を受けて育っている。したがって銃の扱いや格闘術に秀でている。そういうプロフィールは、『ハンナ』『コロンビアーナ』といった先例と同じスタイルである。違いを見せるとしたら、アクションの中身とストーリーであろう。大阪でケイトが射殺した相手は、ヤクザの木嶋組組長の弟健太郎。

それから10カ月後、ケイトは東京にいる。少女の目の前で木嶋健太郎を殺したことがトラウマになっている。そしてケイトは、今回、木嶋組の組長の命を狙っている。任務の前夜、ケイトはバーで知り合ったスティーブンという男と酒を飲み、体を重ねる。翌日、計画通り木嶋組の組長を狙うケイトだが、めまいがして標的を外してしまい、任務は失敗に終わる。この後の警察とのカーチェイスはなかなかマンガチックである。そこでクラッシュしてケイトは病院へと運ばれる。

目が覚めたケイトは、医者から急性放射線症候群と診断される。体内に入った放射線物質は、ポロニウム204というもの。既に致死量が体内に入っており、残された時間は24時間。ケイトはすぐさま前夜スティーブンと飲んだワインが原因だと悟る。報復のためにケイトは医者を脅してモルヒネを持ち出すと、ボロボロの体を引きずってスティーブンの元へと向かう。前夜、スティーブンの運転免許を盗み見て自宅を覚えていたのは殺し屋の習性だろうか。

スティーブンを脅して毒を盛るように指示した相手を聞き出すケイト。相手は木嶋組の佐藤カズオ。ケイトに協力するヴァリックは、木嶋組は東京のヤクザのトップであり、ケイトが健太郎を殺した報復ではないかと推測する。そしてケイトは1人で佐藤カズオたちがいる料亭へと乗り込む。1対多の激しいバトル。ちぎっては投げ、投げてはちぎりの大乱闘。ケイトは鮮やかにその場にいたヤクザたちを全滅させる。この大乱闘シーンの迫力はなかなかのものである。もう既に合格点のバーを楽々と越える。

警戒が厳しく居所の掴めない木嶋組組長を追うケイト。そしてかつて射殺した健太郎の娘アニから居場所を聞き出そうと考えたケイトはアニをさらう。そしてキーマンである蓮司が登場する。迫るタイムリミット。ケイトはアニと行動を共にするが、なぜかアニが命を狙われる。複雑に絡み合うストーリー。殺し屋がいつの間にか裏の事情に踊らされていたというのもよくある展開。

行く先々での激しいバトル。孤軍奮闘のケイトは何度かピンチを救われる。迫力ある格闘シーンだけで観る価値は十分である。ストーリーとアクションとがブレンドされて見応えは十分。なぜ舞台が日本だったのかはわからないが、浅野忠信や國村隼といったおなじみの日本人俳優も出演していて、それだけで日本も国際化してきたような気がする。女版『ジョン・ウィック』とでも言えそうな爽快な格闘アクション映画である・・・


評価:★★★☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 格闘アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月14日

【ジェミニマン】My Cinema File 2324

ジェミニマン.jpg

原題: Gemini Man
2019年 アメリカ
監督: アン・リー
出演: 
ウィル・スミス:ヘンリー・ブローガン/ジュニア
メアリー・エリザベス・ウィンステッド:ダニー・ザカウスキー
クライヴ・オーウェン:クレイトン・“クレイ”・ヴァリス
ベネディクト・ウォン:バロン
ダグラス・ホッジ:ジャック・ウィリス
ラルフ・ブラウン:デル・パターソン
リンダ・エモンド:ジャネット・ラシター

<映画.com>
********************************************************************************************************
ウィル・スミスが現在の自分と若い自分の2役を演じ、『ブロークバック・マウンテン』 『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』の名匠アン・リーがメガホンをとった近未来アクション。史上最強とうたわれるスナイパーのヘンリーは政府に依頼されたミッションを遂行中、何者かに襲撃される。自分の動きをすべて把握し、神出鬼没な謎の襲撃者の正体は、秘密裏に作られた若い頃のヘンリーのクローンだった。その衝撃の事実を知ったヘンリーは、アメリカ国防情報局の捜査官ダニーの協力を得ながら、政府を巻き込む巨大な陰謀の渦中へと身を投じていく。主演のスミスは現在のヘンリーのほか、クローンである若いヘンリーも演じ、クローンのヘンリーは最新のデジタル技術によってスミスの外見を若返らせている。ダニー役はメアリー・エリザベス・ウィンスレット。製作に『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジェリー・ブラッカイマー。
********************************************************************************************************

主人公は、凄腕スナイパーのヘンリー・ブローガン。と言ってもゴルゴ13のような殺し屋ではなく、アメリカ国防情報局(DIA)に雇われている「正規の暗殺者」である。その腕前は、冒頭で披露してくれる。高速鉄道に乗ったターゲットを同乗している仲間からの連絡を元に狙撃し、成功させる。まるで漫画のようであるが、ターゲットの前に少女が近づくというアクシデントがあり、何とかターゲットの首を撃ち抜いたが、ヘンリーは腕の衰えを感じて引退を決意する。

そんな思いを抱え、ヘンリーは旧友のジャック・ウィリスを訪ねる。そこで海洋生物学の大学院生だというダニー・ザカウスキーと知り合う。ヘンリーはジャックから驚くべき情報を知らされる。ヘンリーが暗殺したターゲットは、テロリストというのは嘘で、無実の分子生物学の科学者だというのである。ヘンリーは事実を確認するため、情報源のユーリ・コヴァッチと接触するべくはブダペストに向かう。

しかし、実はダニーの正体を怪しんだヘンリーは、発信機が仕組まれていたことを見抜きダニーを問い詰める。ダニーはやむなくDIAの潜入捜査官であり、ヘンリーの監視を命じられていることを明かす。一方、DIAのジャネット・ラシターは、独自に進めていた極秘計画「ジェミニ計画」をヘンリーに知られることを恐れ、極秘特殊機関「ジェミニ」の指揮官クレイ・ヴァリスと共にヘンリーとその関係者を抹殺することにする。

そしてその夜、ジャックは恋人と共に殺害され、ヘンリーの元相棒マリーノも殺害される。暗殺者たちはヘンリーを襲うも、ヘンリーはこれを交わし、ダニーと共に旧友のバロンの下に身を隠す。しかし、休息もつかの間、そこにも追っ手が現れる。これが実に手強い相手で、ヘンリーも苦戦する。古い街並みの市街地で繰り広げられるバイクチェイスはなかなかの見ものである。そしてヘンリーは謎の追っ手が若い頃の自分とそっくりなことに気付く。

ブダペストに着いたヘンリーは、ユーリと会い、現場で謎の追っ手が残した髪の毛のDNAが自分と同じであると知らされる。その正体は、何とヘンリーのクローン人間。「ジェミニ計画」とは、ヴァリスの主導で極秘裏に行われているクローン人間の研究。そして冒頭でヘンリーに暗殺されたターゲットは、ヴァリスと意見が合わずに計画を抜けたことがわかる。ヘンリーはまんまと利用されたというわけである。そして今やヘンリー自身もターゲットとなったわけである。

こうして物語は、いつの間にか組織に追われるようになった凄腕の主人公が、主人公を亡き者としようとする男と対決しながら進んで行く。ポイントは何と言っても世界最高の凄腕スナイパーvsそのクローンの対決であろう。なにせ同じ DNAを持っているため、戦っても互角なのである。まぁ、よく考えてみれば戦闘力などというものは後天的なものであり、DNAとは関係ないと思うのだが、「素質」は同じとすれば、最高レベルのトレーニングを受ければ互角になるというところで辻褄も合うのであろう。

そして、ヘンリーよりも若いというところがクローンの強み。同じ戦闘能力であれば若い方が有利なのは当然であろう。そしてその姿は、現在の映像表現力からすれば何の問題もなく、見事にウィル・スミスの現在と若い頃の2人が相並んで観られる。これも映画のなせる技である。敵の正体がわかってみれば自分のクローン。いわば若い頃の自分ではあるが、もしも自分のクローンが目の前に現れたらどんな感じなのだろうと想像してしまう。それは自分なのか、赤の他人なのか。自分ではなくとも家族的なものを感じるものなのだろうか。

そして、実力とDNAという二つの「戦いにくさ」を抱えたヘンリーは、ダニーとともに陰謀に立ち向かって行く。アクションシーンもなかなか見所であるし、ストーリー的にも面白い。ウィル・スミス主演ということで、それだけでも観る価値は高いが、期待は裏切らない。アクションを堪能したい時には、ハズレのない一作である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 🌀| Comment(0) | 格闘アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月21日

【ザ・ガンマン】My Cinema File 2283

ザ・ガンマン.jpg

原題: The Gunman
2015年 アメリカ・スペイン・イギリス・フランス
監督: ピエール・モレル
出演: 
ショーン・ペン:ジム・テリア
ハビエル・バルデム:フェリックス
イドリス・エルバ:バーンズ
レイ・ウィンストン:スタンリー
マーク・ライランス:コックス
ジャスミン・トリンカ:アニー

<映画.com>
********************************************************************************************************
「ミスティック・リバー」『ミルク』で2度のアカデミー主演男優賞を受賞している演技派ショーン・ペンが、引退後ふたたび銃を取ることとなる元特殊部隊員を演じたアクション作品。除隊後、愛する恋人も捨て、ひっそりと平穏な生活を送っていた元特殊部隊最強の暗殺者ジム。除隊から数年後、ジムは何者かに命を狙われる。アフリカ・コンゴ民主共和国の鉱山利権に絡む極秘の大臣暗殺作戦に参加した、かつての仲間たちが次々と殺されている事実を知ったジムは、自身の身を守るため、そして命を狙う敵の正体を暴くため、再び銃を取る。主人公のジム役にショーン・ペン。『007 スカイフォール』のハビエル・バルデム、『パシフィック・リム』のイドリス・エルバらが脇を固める。監督は『パリより愛を込めて』 『96時間』のピエール・モレル。
********************************************************************************************************

2006年のコンゴ民主共和国。主人公のジム・テリアは、表向き民間軍事会社の社員として現地のNGOの護衛を任務としているが、裏では公にできない仕事を請け負っている。さらに反政府軍に武器を供給する仕事にも手を染めている。ジムは一方で現地のNGOの医療スタッフとして働くアニーと付き合っている。その様子をじっと見ているのは、ジムとともに裏の仕事を仕切るフェリックス。

ある日、ジムたちはコンゴの鉱物資源相の暗殺を依頼される。鉱物資源相は、鉱山の国有化方針を打ち出しており、鉱山会社にとっては邪魔者な存在となっている。ジムはこの作戦で狙撃手に任命されるが、暗殺が終わり次第速やかに国外退去するよう指示される。ジムにその任務を命じたのは、フェリックス。どうやら任務にかこつけてジムをアニーから引き離そうとしているように伺える。そして、暗殺は成功しジムはアニーに別れを告げることもなく単身コンゴから出国する。

それから8年が経過する。ジムは再びコンゴで人道支援事業に携わっている。今度は純粋な支援事業だったが、ある日井戸掘り作業を行っていると、突然現地の男たちから襲撃を受ける。咄嗟に元特殊部隊の腕を生かして男たちを返り討ちにするが、ジムはこの襲撃と8年前の事件との関連を直感的に確信する。そしてロンドンへと向かうと、今では軍事企業の経営トップとなったコックスを訪ねる。そこで手掛かりを握っているのは、当時作戦の依頼主と直接やり取りしていたフェリックスであることを知らされ、ジムはフェリックスが住むバルセロナに向かう。

バルセロナに到着したジムは、慈善投資家として活動するフェリックスを探し当てるが、驚いたことにアニーがフェリックスと結婚していることを知る。やはりフェリックスは、邪魔者のジムをうまく追い払い、アニーを口説き落としていたようである。おそらく、アニーには何も告げず、むしろジムについて突然アニーを捨てていなくなった酷い男だとでもしたのかもしれない。説明はなくとも、そうした経緯が想像できてしまううまいストーリー展開である。

ジムの失踪にアニーが傷ついていたことは、フェリックスと食事に来ていたレストランに突然ジムが現れ、激しく動揺したことに見て取れる。そして落ち着いたアニーはフェリックスの使いでジムのアパートを訪ねると、そこで「昔の関係」が復活する。しかし、それは「不倫」という苦い関係。また、ジムは、脳震盪後症候群という病に侵されており、医者からは安静を言い渡される。そんな状態であるが、ジムたちを追い詰める影の存在は、ついにフェリックスをも射殺する。

なんとかアニーとともに逃げ延びたジム。後半は、襲い来る敵とジムとのバトルがメインとなる。これがこの映画の見所か。主役のジムを演じるのは、なんとなくこれまでの映画で「ヤサ男」的なイメージが強かったショーン・ペン。この映画ではたくましい肉体とともにハードなバトルアクションを展開してくれる。まぁ、リーアム・ニーソンの例もあるし、役者なんだからいろいろな役柄を演じるのは不思議ではないが、こういう役柄も似合っているなと思わずにはいられない。

アパートは見張られており、さらに罠が仕掛けられていると見抜いてそれを逆手にとって襲撃者たちを撃退するジム。肉体美だけでなく、そのやり方はなかなか痛快。ラストの闘牛場での死闘も、ジムの病気が出る中でハンディを負ってのもの。スキッとさせてくれるところは、「ちょっとアクション映画の気分」の場合は十分だと思う。「アクションスター」ショーン・ペンの魅力発見の一作である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 格闘アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする