2023年04月14日

【ゴールド 金塊の行方】My Cinema File 2675

ゴールド金塊の行方.jpeg

原題: Gold
2017年 アメリカ
監督: スティーブン・ギャガン
出演: 
マシュー・マコノヒー:スティーヴン・ギャガン
エドガー・ラミレス:マイケル・アコスタ
ブライス・ダラス・ハワード:ケイ
コリー・ストール:ブライアン・ウルフ
トビー・ケベル:ジェニングスFBI捜査官

<映画.com>
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『インターステラー』 『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒーが、1990年代に株式市場に大混乱をもたらした、通称「Bre-X事件」を自身の製作、主演で映画化した犯罪サスペンス。鉱山事業に失敗し、破産寸前に追い込まれた金鉱採掘者ケニー・ウェルズは、謎めいた地質学者と組み、インドネシアの山奥で巨大金脈を発見する。一攫千金の夢を成し遂げたケニーは一躍時の人となるが、170億ドルの金塊が一夜にして消えたというニュースが飛び込んでくる。マコノヒーが徹底的な役作りで主人公のケニーを演じるほか、「ガール・オン・ザ・トレイン」のエドガー・ラミレス、『ピートと秘密の友達』 『ジュラシック・ワールド』などで知られるブライス・ダラス・ハワードらが出演。イギー・ポップが書き下ろした主題歌「GOLD」は、第74回ゴールデングローブ賞主題歌賞にノミネートされた。監督は『シリアナ』「トラフィック」のスティーブン・ギャガン。
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ネバダ州リノにある探鉱会社ワショー社の代表ケニー・ウェルスは、祖父の代からの会社の3代目。父親が存命だった頃までは、探鉱事業も順調に推移していたが、時代とともに事業は低迷。さらに世界的な不況の影響もあって、ワショー社の株も値下がり続け、事業は存続の危機を迎えている。今やオフィスもバーの一角をオフィス代わりにしている有り様で、ケニーの酒量も減ることはない。

やがて自宅も失ったケニーは、恋人のケイの家に転がり込む。次の鉱山を見つけ出したいが、そのためにはカネがいる。銀行へ資金調達に行くが、プレゼンテーションもそこそこに断られてしまう。そんな時、ケニーはインドネシアの森林地帯に金があるという夢を見るが、その夢がヒントとなってある男を思い出す。それは地質学者のマイク・アコスタ。自説の理論を世間に否定され、日陰の存在となっていた。

ケイの宝石を勝手に質に入れ、ケニーはマイクに会うためにインドネシアに赴く。そこでケニーは、“金はある”というマイクの言葉を受け、一緒に鉱山を探そうと話を持ちかける。マイクがケニーを連れていった場所は、ケニーが夢で見た場所とそっくりであったことからケニーはそこに賭けることにする。ケニーは紙ナプキンに儲けは山分けすると書きつけ、「これが契約書だ」とマイクにサインさせる。これが印象深いラストにつながる。

しかし、簡単に当たれば苦労はない。掘削を開始し、地質サンプルを取り始めるが、地質検査の結果は回を重ねるごとに悪くなる一方。集めた金も底を尽きはじめ、労働者も去ってゆく。挙句にケニーはマラリアにかかってしまう。労働者たちに戻ってきてもらいたいマイクは、彼らの悩みを聞きに行く。そこで彼らが汚染されていない水を求めていることを知ると、ケニーは全財産を使って浄水機を買い与える。その結果、労働者たちは再び作業に戻るが、このあたりのやり取りは心打たれるものがある。

そしてマラリアから回復したケニーに、「金が出た」との知らせが届く。このニュースは瞬く間に広がり、一気に掌返しが始まる。冷たかった銀行も積極的に融資を申し出る。たちまち大勢の人間が金に群がってくる。当然と言えば当然であるが、あまりの落差にあきれてしまう。金は人を変える。ケニーは手放していた以前のオフィスに戻り、成功の美酒に酔いしれる。恋人のケイにも高価な買い物や贅沢な振る舞いをさせるが、ケイはそんな成功を危うく思い始め、ケニーと意見が合わなくなっていく。

この映画の面白いところは、金を巡ってのアップダウンの落差だろうか。やがて金の世界を牛耳る大物ハンコックが登場し、ケニーが掘り当てた鉱山を3憶ドルで買い取りたいと申し出る。こうしたところでの判断は難しい。夢のような大金を手にすることはできるが、そのためには自ら探鉱する夢を諦めないといけない。ここでケニーは果敢に夢を取るが、ハンコックは奥の手を使う・・・

ここからのケニーとマイクのアップダウンはスリル満点。やられたらやり返す。そのストーリー展開は実に痛快である。しかし、気になるのは、ところどころに入るケニーのインタビュー。それは何か過去の出来事を振り返るものであるが、微妙な雰囲気を醸し出している。最終的にそれが何を意味しているのかは明らかになるが、自分がケニーだったらどうしただろうかと妄想してみる。それはなかなか難しい。

映画は実際の事件をベースにしているらしいが、どこまでが真実なのかわかりにくい。ただ、それは単なる興味でしかないが、映画を通じた妄想はなかなか楽しいものがある。そんな妄想が心地よい映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2020年04月03日

【七つの会議】My Cinema File 2197

七つの会議.jpg
 
2019年 日本
監督: 福澤克雄
原作: 池井戸潤
出演: 
野村萬斎: 八角民夫
香川照之: 北川誠
及川光博: 原島万二
片岡愛之助: 坂戸宣彦
音尾琢真: 三沢逸郎
藤森慎吾: 新田雄介
朝倉あき: 浜本優衣
岡田浩暉: 佐野健一郎
木下ほうか: 田部
吉田羊: 淑子
土屋太鳳: 三沢奈々子

<映画.com>
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テレビドラマ化もされた池井戸潤の同名企業犯罪小説を、野村萬斎主演で映画化。中堅メーカー・東京建電の営業一課で万年係長の八角民夫は、いわゆる「ぐうたら社員」。トップセールスマンで、八角の年下である課長の坂戸からは、そのなまけぶりを叱責され、営業部長・北川誠が進める結果主義の方針の下、部員たちが必死で働く中、八角はひょうひょうとした毎日を送っていた。そんなある日、社内でパワハラ騒動が問題となり、坂戸に異動処分が下される。坂戸に代わって万年二番手に甘んじてきた原島が新しい課長として一課に着任するが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた。八角役を自身初のサラリーマン役となる萬斎が演じ、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、立川談春、北大路欣也といった池井戸ドラマ常連俳優が顔をそろえる。監督は「陸王」「下町ロケット」「半沢直樹」など、一連の池井戸ドラマの演出を手がけた福澤克雄。
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 ちょっと売れるとすぐドラマ化、映画化される日本。逆に言えば安易に元ネタを小説やマンガなどに求めているとも言える。どんな映画を創ったら売れるだろうかと工夫する時、安易に「売れている小説」「売れているマンガ」となるのだろう。本当に貧素な発想だと思う。これもそんな貧素な発想から生まれた売れっ子小説家池井戸潤の小説の映画化作品である。

 物語の舞台は、飛行機や電車の椅子、パイプ椅子などを製造する中堅メーカー、東京建電。親会社ゼノックスの梨田常務が見守る中、今日も営業会議が行われている。檄を飛ばすのは営業部長の北川。坂戸課長率いる営業一課は、営業部の業績をけん引しており、ノルマも達成し部長の覚えもめでたいが、原島課長率いる営業二課はノルマ未達により北川から激しい叱責を受けている。どう見てもパワハラそのものであるが、原島は何も言い返せず黙って耐えている。

 そんなピリピリした雰囲気の中、堂々と居眠りをしているのがこの物語の主人公、営業一課の万年係長、八角民夫。「居眠り八角」とも呼ばれるぐうたら社員で、周りからはお荷物社員扱いされている。しかし北川は、そんな八角を一瞥しただけで、とがめることはない。八角はそれでも会社をクビにならない謎の男。しかし、あまりの態度に耐えかねた坂戸はそれ以降、八角に対する怒りを爆発させる。ある日、営業一課では課題に課されたノルマ達成のため一丸となって働こうという状況の中、八角が有給休暇を申請したことから坂戸はキレて八角を激しく罵る。ところがあろうことか八角は坂戸を逆にパワハラで訴える。

 片やぐうたら社員、片や営業部のエース、当然坂戸への処分はないだろうとの予想に反し、パワハラ委員会での検討の結果、坂戸は人事部預りとなってしまう。それはパワハラの処分としては異例なほど重い不可解な人事。一方、坂戸に代わり原島が営業一課長に就任するが、坂戸の時のような営業成績は上げられず、北川から再度叱責される。その最中、原島が座ったパイプ椅子が壊れてしまう。また、営業一課の女子社員、浜本優衣は、社内環境改善のために、ドーナツの無人販売を企画する。

 物語はこうしてあちこちにピースを散りばめながら進んでいく。主人公の八角は、会議で居眠りするぐうたら社員であるが、小説で読んで頭の中に描いたイメージと演じる野村萬斎とは大きく異なる。個人的なイメージではあるが、どうも歌舞伎っぽい演技と原作のイメージはどうしても違和感を感じてしまう。それはともかくとして、経理部と営業部とが互いに対立しあったり、親会社の意向に右往左往させられたり、気合だけの営業がまかり通っていたりとサラリーマン社会の縮図が描かれていく。そうして明らかになる驚愕の事実。

 途中、謎解きの要素もあって、物語がどう展開していくのかとグイグイと引っ張られていく。そこは池井戸作品のゆえんである。ネジの下請け製造をしている会社との取引解消を巡る疑惑。坂戸が左遷された理由、浜本によるドーナツ販売、社内不倫あり、親会社の絶対君主の存在があり、さまざまなエピソードを踏まえて物語は進む。そして組織の理不尽。自分だったら果たしてどんな行動を取るだろうか。主人公の八角のような行動は、普通のサラリーマンにはなかなか勇気がいるだろう。せめて映画の主人公を自らに重ね合わせて満足したいところである。

 読んで良し、観て良しの池井戸作品の評価は健在。大いに楽しみたい一作である・・・


評価:★★☆☆☆







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2016年06月05日

【マイ・インターン】My Cinema File 1559

マイ・インターン.jpg

原題: The Intern
2015年 アメリカ
監督: ナンシー・マイヤーズ
出演: 
ロバート・デ・ニーロ:ベン・ウィテカー
アン・ハサウェイ:ジュールズ・オースティン
レネ・ルッソ:フィオナ
アンダーズ・ホーム:マット
ジョジョ・クシュナー:ペイジ
アンドリュー・ラネルズ:キャメロン
アダム・ディヴァイン:ジェイソン
ザック・パールマン:デイビス
ジェイソン・オーリー:ルイス
クリスティーナ・シェラー:ベッキー

<映画.com>
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『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイと名優ロバート・デ・ニーロが共演したハートフルドラマ。ファッションサイトのCEOとして活躍する女性が40歳年上の男性アシスタントとの交流を通して成長していく姿を描いた。ニューヨークに拠点を置く人気ファッションサイトのCEOを務めるジュールスは、仕事と家庭を両立させながら誰もが羨むような人生を歩んでいた。ところがある日、彼女に人生最大の試練が訪れる。そんな折、会社の福祉事業で雇われたシニアインターンのベンが、ジュールスのアシスタントに就く。ジュールスは人生の大先輩であるベンから様々な助言をもらい、次第に心を通わせていく。監督・脚本は『ホリデイ』「恋愛適齢期」のナンシー・マイヤーズ。「セックス・アンド・サ・シティ2」の衣装を手がけたスタッフによる洗練されたファッションも見どころ。
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名優ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイの共演といえば、それだけで観る価値はあるというもの。その2人の心地よい友情物語である。

アン・ハサウェイ演じるのは、人気ファッションサイトのCEOジュールズ。わずかな期間で急成長し、今や200名を超える社員を擁している。そこへ社会貢献の一環として採用された70歳のベンがアシスタントとして配属される。もともと電話帳製作会社に勤めていたベンだが、妻を亡くし、暇を持て余した挙句の社会復帰であった。

ジュールズも時代の先端を行く存在。ネット企業として起業し、わずかな期間で急成長。CEOとして会社を切り盛りし、家では夫が主夫として子供の面倒から一切の家事をみている。そこへやってきたベンは、電話帳製作会社の元部長。業種も年齢もジュールズとは真逆の存在である。配属初日に机の上に置いたのは、電卓に品質の良さそうなペンにアナログの時計等々。このギャップが微笑ましい。

忙し過ぎてシニアのインターンを採用することすら忘れていたジュールズ。ベンに仕事はメールで指示するとだけ言い置くが、待てど暮らせど指示のメールは来ない。ベンはふてくされるでも腹を立てるでもなく、いつの間にか社内で仕事を見つけ仲間を助けている。ある日、ジュールズの専属運転手が飲酒しているのを見つけ、さり気なく運転を変わる。ここから2人の距離が縮まっていく。

忙し過ぎる仕事、家庭では夫を頼りにしつつも夫婦間の関係はいつしかすれ違うことが多くなっている。それでも仕事ではライバルの研究をし、顧客サービスを追及し、社員にも的確な指示を出すジュールズ。そして自分の立場をわきまえ、1歩身を引きながらも自分自身であることを忘れないベン。スーツは不要と言われるが、それが自分のこだわりと、毎朝ビシッと身を固めて出勤する。2人の仕事に対するスタンスは、ビジネスマンにはヒントになる要素が溢れていると思う。

ある日、ジュールズは、母親宛に間違ってメールを送信してしまう。絶対に読まれたくないジュールズは、会社のIT専門スタッフに知恵を求める。しかし、ベンは家に忍び込んでPCから削除すれば良いと提案する。なんでも先端の知識が一番というわけではないことをさり気なく示すエピソードであるが、こういうところにシニアの域に近づいた者の心得がある気がする。

物語は、ベンとジュールズの交流を描いていき、それはそれで心暖まる映画である。一方で、『プラダを着た悪魔』と同様、ビジネスマンにとっては仕事に対するスタンス等参考になる部分も多い。自分がベンだったら、あるいはジュールズだったら、と想像しながら見ると、いいヒントに溢れていると思う。

大人向けの実にいい映画である・・・


評価:★★★☆☆








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2013年02月18日

【カンパニー・メン】My Cinema File 990

カンパニー・メン.jpg

原題: The Company Men
2010年 アメリカ
監督: ジョン・ウェルズ
出演: 
ベン・アフレック:Bobby Walker
トミー・リー・ジョーンズ:Gene McClary
ローズマリー・デウィット:Maggie Walker
ケヴィン・コスナー:Jack Dolan
クリス・クーパー:Phil Woodward
マリア・ベロ:Sally Wilcox

<STORY>********************************************************************************************************
総合企業のGTX社で若くして部長の座についたボビーだが、突然のリストラを受ける。家族を養わなければならないボビーは再就職の道を歩むが、それはとても困難だった。一方、GTX社創業時から在籍している重役のジーンはリストラに反対しながらも、最終的にはそれを受け入れざるを得なかった。やがて、リストラはジーンの身にも及ぶ。仕事が見つからないボビーは、相性が悪い妻の兄に頭を下げて建築現場で働く事になる。しかしそんな苦境が、逆に家族の絆を深めていった…。
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直訳すると「会社人間」となるのであろうか。
日本よりはるかにシリアスなアメリカの企業で働く男たちの物語である。

冒頭でリーマンショックのニュースが流れる。
100年に一度と言われた不況を決定付けるニュース。
総合企業のGTX社で、37歳のボビーは部長職。
リーマン・ショックなど他所の出来事と見向きもしなかったに違いない。
ところが突然の解雇。

みんな私物を入れた段ボールを持って車に向かう。
アメリカらしい光景。
そしてボビーの再就職活動が始る。
支援センターのようなところへ通うボビー。
費用はGTXが出してくれるようである。

GTXで部長を務めたという自負が、ボビーの鼻を高くする。
再就職など簡単と思っていたが、ずるずると月日は過ぎる。
妻のマギーは倹約モードの生活に入るが、ポルシェに乗ってゴルフに行き、高給をもらっていた頃の生活を続けるボビー。やがてとうとう高コストの生活を維持できなくなる。

子供の心遣いにとうとう改心したボビーは、ポルシェを手放し、自宅を売り、嫌な実家に家族で転がり込む。ウマの合わなかった義兄に頭を下げ、大工の仕事を手伝う事になる。
一方GTXでは、買収防衛に躍起になる経営陣。
さらなるリストラの嵐が吹き荒れる・・・

リーマン・ショック後のアメリカのサラリーマンたちの悲哀が実にリアルに描かれる。
日本では簡単に解雇などできないが、アメリカは実に簡単。
ある朝出社したら解雇を告げられ、その日のうちに荷物をまとめて出ていかないといけない。
再就職活動の様子など、実に参考になる。ストーリーとは別の部分で映画に引き込まれていくのは、自分もサラリーマンだからに他ならない。
「自分ならどうするだろう」
そんな事を自然に考えている。

実にドライなアメリカの企業。
解雇されて収入が途絶え、子供の学費の支払いに苦しむ社員を横目に、CEOは社員の平均給与の700倍の収入を得る。
何とも言えない世界。

久しぶのケヴィン・コスナーが、ボビーの義兄ジャックとして登場。
ジャックは大工の棟梁。
自ら仕事を取り、人を雇って働く自営業者だ。
零細企業の悲哀を、たぶんいろいろ味わっている。

優雅なサラリーマンだったボビーとウマが合わなかったのは、額に汗して肉体労働に励む自分とは正反対の世界で、スーツを着て高給を取るカンパニー・メンに反感を抱いていたからに他ならない。それでも、仕事がなくてプライドを捨てて頭をさげてきたボビーを雇い、大して役に立たなくても余計に給料を払う。

仕事を取るためには安く請け負わないといけないが、一方で給料も払わないといけない。
足りない分は、一人残業と休日出勤を繰り返して賄っている。
そういう男が、ケヴィン・コスナーには良く似合う。
そしてそんなジャックの気持ちをやがて理解するようになるボビーに、ちょっと胸が熱くなったりする。ボビーの妻も懸命に夫を支える。窮地に陥ってこそ、家族の結束が固まる様子が胸に迫る。

日本よりはるかにシビアな環境で生きるアメリカのサラリーマン(カンパニー・メン)たち。
ストーリーはともかく、その生きる姿にあれこれと我が身を振り返ってみてしまう、サラリーマン必見の映画である。


評価:★★☆☆☆
     



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2012年03月19日

【川の底からこんにちは】My Cinema File 837

川の底からこんにちは.jpg

2009年 日本
監督: 石井裕也
出演: 
満島ひかり:木村佐和子
遠藤雅:新井健一
相原綺羅:新井加代子
志賀廣太郎:木村忠男
岩松了:木村信夫

<STORY>********************************************************************************************************
上京して5年、仕事も恋愛もうまくいかず妥協した日々を送っていたOLの佐和子。そんな彼女の元に、父が末期がんで倒れたという知らせが届いた。佐和子は田舎に戻り、実家のしじみ工場を継ぐことに。しかし工場は倒産寸前で、パートで働くおばちゃんたちからも相手にされない。さらについてきた恋人にまで浮気されてしまう始末。そんな追い込まれた中で佐和子は工場を立て直す決意をし……。
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上京して5年。
上京して5つ目の仕事に就き、上京して5人目の彼氏健一はバツイチこぶつきというOL佐和子。何事も「しょうがない」という口癖とともに、諦め切って人生を送るが如くの日々の生活。同僚OLとの会話を聞いていると、その無気力さに尻を蹴飛ばしたくなる。

そんな佐和子の下に、故郷の父が倒れたという知らせが届く。
末期癌で余命いくばくとなり、やむなく父の経営するしじみ工場を引き継ぐ事になる。
そこについてきたのが、会社を辞めた彼氏の健一。子供も連れて押しかけてくる。この彼氏も女房に逃げられ、会社も実質的に首になり、要は佐和子の実家を当てにして転がり込んで来ているのである。誰も彼もが性根を入れ変えたくなるような人物ばかり。

いざ継いだ工場であるが、社長の後継ぎと言っても、工場で働くおばさんたちにしてみればただの小娘。しかも高校を卒業してすぐ東京へ駆け落ちしたが失敗したという経緯もあり、田舎では半端モノの烙印を押されて見られてしまう。肝心な工場は、しじみのパック詰めという何の特色もない事業で、受注は減り続け経営的には青息吐息の状態。

経営はどうしていいかわからず、周りからは白い目で見られ、彼氏は子供を残して同級生の女の下へ走ってしまう。こんな八方ふさがりの状況に、“キレた”佐和子は自らを「中の下」と称して、「頑張る」と周囲に宣言。
猛烈な開き直りを見せる・・・

ちょっと変わったタイトルは、川の底から取れるしじみから来ている。
主演は満島ひかり。冒頭から妙な雰囲気を醸し出す。
この満島ひかりは、実は「悪人」にも出演していて、主人公に殺されてしまう女の子の役だったが、妙に印象に残っている。この映画ではまた違った雰囲気。
ひょっとしたらかなりの演技派なのかもしれない。

何をやってもダメな「中の下」の女が、開き直って物事すべてに体当たりでぶつかっていく。
そんな痛快なストーリー。ただ、傾いたしじみ工場を立て直すのに、「県庁の星」のようなビジネス的に納得性の高い手法だったりすると、サラリーマン的にも受けたのではないかと、ちょっと残念な気もする。

あまりあれこれ考えずに、ストーリーに集中すれば結構楽しめる映画である。
満島ひかりには、これからちょっと注目してみたいと思う映画である・・・


評価:★★☆☆☆
    



    
    
posted by HH at 22:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする