
原題: Gold
2017年 アメリカ
監督: スティーブン・ギャガン
出演:
マシュー・マコノヒー:スティーヴン・ギャガン
エドガー・ラミレス:マイケル・アコスタ
ブライス・ダラス・ハワード:ケイ
コリー・ストール:ブライアン・ウルフ
トビー・ケベル:ジェニングスFBI捜査官
<映画.com>
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『インターステラー』 『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒーが、1990年代に株式市場に大混乱をもたらした、通称「Bre-X事件」を自身の製作、主演で映画化した犯罪サスペンス。鉱山事業に失敗し、破産寸前に追い込まれた金鉱採掘者ケニー・ウェルズは、謎めいた地質学者と組み、インドネシアの山奥で巨大金脈を発見する。一攫千金の夢を成し遂げたケニーは一躍時の人となるが、170億ドルの金塊が一夜にして消えたというニュースが飛び込んでくる。マコノヒーが徹底的な役作りで主人公のケニーを演じるほか、「ガール・オン・ザ・トレイン」のエドガー・ラミレス、『ピートと秘密の友達』 『ジュラシック・ワールド』などで知られるブライス・ダラス・ハワードらが出演。イギー・ポップが書き下ろした主題歌「GOLD」は、第74回ゴールデングローブ賞主題歌賞にノミネートされた。監督は『シリアナ』「トラフィック」のスティーブン・ギャガン。
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ネバダ州リノにある探鉱会社ワショー社の代表ケニー・ウェルスは、祖父の代からの会社の3代目。父親が存命だった頃までは、探鉱事業も順調に推移していたが、時代とともに事業は低迷。さらに世界的な不況の影響もあって、ワショー社の株も値下がり続け、事業は存続の危機を迎えている。今やオフィスもバーの一角をオフィス代わりにしている有り様で、ケニーの酒量も減ることはない。
やがて自宅も失ったケニーは、恋人のケイの家に転がり込む。次の鉱山を見つけ出したいが、そのためにはカネがいる。銀行へ資金調達に行くが、プレゼンテーションもそこそこに断られてしまう。そんな時、ケニーはインドネシアの森林地帯に金があるという夢を見るが、その夢がヒントとなってある男を思い出す。それは地質学者のマイク・アコスタ。自説の理論を世間に否定され、日陰の存在となっていた。
ケイの宝石を勝手に質に入れ、ケニーはマイクに会うためにインドネシアに赴く。そこでケニーは、“金はある”というマイクの言葉を受け、一緒に鉱山を探そうと話を持ちかける。マイクがケニーを連れていった場所は、ケニーが夢で見た場所とそっくりであったことからケニーはそこに賭けることにする。ケニーは紙ナプキンに儲けは山分けすると書きつけ、「これが契約書だ」とマイクにサインさせる。これが印象深いラストにつながる。
しかし、簡単に当たれば苦労はない。掘削を開始し、地質サンプルを取り始めるが、地質検査の結果は回を重ねるごとに悪くなる一方。集めた金も底を尽きはじめ、労働者も去ってゆく。挙句にケニーはマラリアにかかってしまう。労働者たちに戻ってきてもらいたいマイクは、彼らの悩みを聞きに行く。そこで彼らが汚染されていない水を求めていることを知ると、ケニーは全財産を使って浄水機を買い与える。その結果、労働者たちは再び作業に戻るが、このあたりのやり取りは心打たれるものがある。
そしてマラリアから回復したケニーに、「金が出た」との知らせが届く。このニュースは瞬く間に広がり、一気に掌返しが始まる。冷たかった銀行も積極的に融資を申し出る。たちまち大勢の人間が金に群がってくる。当然と言えば当然であるが、あまりの落差にあきれてしまう。金は人を変える。ケニーは手放していた以前のオフィスに戻り、成功の美酒に酔いしれる。恋人のケイにも高価な買い物や贅沢な振る舞いをさせるが、ケイはそんな成功を危うく思い始め、ケニーと意見が合わなくなっていく。
この映画の面白いところは、金を巡ってのアップダウンの落差だろうか。やがて金の世界を牛耳る大物ハンコックが登場し、ケニーが掘り当てた鉱山を3憶ドルで買い取りたいと申し出る。こうしたところでの判断は難しい。夢のような大金を手にすることはできるが、そのためには自ら探鉱する夢を諦めないといけない。ここでケニーは果敢に夢を取るが、ハンコックは奥の手を使う・・・
ここからのケニーとマイクのアップダウンはスリル満点。やられたらやり返す。そのストーリー展開は実に痛快である。しかし、気になるのは、ところどころに入るケニーのインタビュー。それは何か過去の出来事を振り返るものであるが、微妙な雰囲気を醸し出している。最終的にそれが何を意味しているのかは明らかになるが、自分がケニーだったらどうしただろうかと妄想してみる。それはなかなか難しい。
映画は実際の事件をベースにしているらしいが、どこまでが真実なのかわかりにくい。ただ、それは単なる興味でしかないが、映画を通じた妄想はなかなか楽しいものがある。そんな妄想が心地よい映画である・・・
評価:★★☆☆☆