2023年01月06日

【I LOVE YOU】My Cinema File 2640

I LOVE YOU.jpeg

 
2013年 日本
監督: 廣木隆一
原作: 伊坂幸太郎「透明ポーラーベア」/石田衣良「魔法のボタン」/本多孝好「Sidewalk Talk」
出演: 
「透明ポーラーベア」
戸田恵梨香/濱田岳/金子ノブアキ/三津谷葉子/鈴木杏
「魔法のボタン」
多部未華子/池松壮亮/リリー・フランキー
「Sidewalk Talk」
真木よう子/金井勇太

<TSUTAYA 解説>
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伊坂幸太郎、石田衣良、本多孝好、人気男性作家による恋愛アンソロジーを映像化した「UULA」オリジナルドラマ。戸田恵梨香、多部未華子、真木よう子の3人が恋に悩む女性を演じたオムニバスストーリー。監督は『余命1ヶ月の花嫁』の廣木隆一。
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映画かと思っていたら、実はソフトバンクモバイルのスマートフォン向け総合エンタメアプリUULAのオリジナルドラマなのだという。しかし、鑑賞という点においては映画もドラマも区別がつくわけではない。内容はと言えば、伊坂幸太郎、石田衣良、本多孝好といったメジャー作家による原作をオムニバスで展開するもの。作家が作家だけに、ハズレも少ないだろうと選んだドラマである。

最初は伊坂幸太郎の「透明ポーラーベア」。
2人のカップルユウキとチホが市電で何処かへと向かう。会話の内容からユウキが福岡へ転勤するのだという。どうやら遠距離恋愛になるらしい。どうにも寂しさを堪えきれないチホ。「今日は転勤の話はなし」と言って、2人で豊橋総合動物園に入って行く。よくあるカップルのデート風景。そこでユウキは偶然、ある男トガシに出会う。それは姉の最後の彼氏だった男。今は別の彼女とやはり動物園に来ている。

ここで、冒頭に北極熊の着ぐるみと戯れる女が出てくる。これが実はユウキの姉。姉はいろいろな男と付き合ってきている。それはミュージシャンだったり、マジシャンだったり。そして別れるたびに旅に出ている。最後に別れた時に出た旅の行先が北極。テレビでは、その北極で身元不明の死体が発見されたと報じられている。ユウキの姉は、実は4年前に旅に出て以来、行方不明になっている。2組のカップルは、北極熊のブースの前に来ると行方不明になった姉のことを思い起こす・・・

2話目は、石田衣良の「魔法のボタン」。
冒頭、リュウスケはベッドから起き上がった女に別れを告げられる。「別の男と結婚する」のだと。呆然とするリュウスケは、それから失意の日々を送る。ある日、幼馴染の萌枝から電話を受け、久しぶりに飲みに行く。萌枝は、幼稚園から高校までずっとリュウスケと一緒。しかし、いつもジャージ姿で化粧っ気のない萌枝は、リュウスケにとっては恋愛対象外だった。

いつものようにジャージ姿で現れた萌枝と飲みに行くリュウスケ。気晴らしになったことから、リュウスケは萌枝にしばらくの間週末にデートしようと誘う。リュウスケは恋のリハビリのため、そして萌枝は女子力アップのため。そして2人は毎週末デートを重ねる。やがてリュウスケは萌枝にスカートを履くように進める。女性らしい格好をして化粧をした萌枝は、あるバーへ行く・・・

3話目は、本多孝好の「Sidewalk Talk」。
登場するのはある夫婦。レストランでディナーを共にするが、妻が夫に差し出したのは離婚届。どうやら夫婦で最後の晩餐らしい。会話の合間に挟まれるのは、2人のこれまでの出会いからのエピソード。女はバリバリのキャリアウーマン。彼女を狙う友人から当て馬として誘われた男はそこで初めて女と出会う。面白くない男は途中で席を立つが、表で見つけた花を手折って女に手渡す。これが女の心を掴む。

プロポーズは女から。外資系企業で働く女は、建築士の男より収入も多い。休日には2人で散歩し、買ったパンを分け合って食べる仲睦まじさ。一度妊娠するも、流産してしまうといった過去がある。なぜ離婚に至ったのかは詳しく語られない。やがてディナーは最後のデザートへと移り、2人は食事を終える。互いに指輪を外し、いよいよ別々に帰ろうとするが、その時女がつけていた香水に男が気づく。その香水には2人の間で約束があった・・・

いずれも派手ではないが、じんわりと心に染み入るような静かな恋愛が描かれる。人の数だけドラマはあり、恋愛風景もまたさまざまな景色がある。人気作家の手による恋愛ドラマはどれも心が和む。しかし、個人的には最後の夫婦の物語が良かったと思う。互いに本音を語れない。ただ、2人の歴史がその本音を炙り出す。並んで歩く2人の姿に、どこか羨ましさが残る。

恋愛ドラマも若い頃のようなものではなく、最後の夫婦の物語のようなものに親密感を覚える。これは観る人個人の好みが反映されると思う。観る人それぞれで、心に残るものも違うだろう。たまには静かな恋愛に心を浸してみたいと思わせてくれるドラマである・・・


評価:★★☆☆☆







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2022年12月09日

【スパイの妻】My Cinema File 2627

スパイの妻.jpeg
 
2020年 日本
監督: 黒沢清
出演: 
蒼井優:福原聡子
高橋一生:福原優作
坂東龍汰:竹下文雄
恒松祐里:駒子
みのすけ:金村
玄理:草壁弘子
東出昌大:津森泰治
笹野高史:野崎医師

<映画.com>
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2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優主演の同名ドラマをスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として劇場公開。1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と疑われる中、妻の聡子はスパイの妻と罵られようとも、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う。そんな2人の運命を太平洋戦争開戦間近の日本という時代の大きな荒波が飲み込んでいく。蒼井と高橋一生が「ロマンスドール」に続いて夫婦役を演じたほか、東出昌大、笹野高史らが顔をそろえる。「ハッピーアワー」の濱口竜介と野原位が黒沢とともに脚本を担当。「ペトロールズ」「東京事変」で活躍するミュージシャンの長岡亮介が音楽を担当。第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞。
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物語の舞台は1940年の日本。時にラジオからは日独伊の三国同盟締結のニュースが流れ、日本中が不穏な空気に支配されている。福原優作は、貿易商を営み、神戸で裕福な暮らしを送っている。まだ、和装が一般的な時代において、そのライフスタイルは洋風である。ある日、福原の会社に憲兵隊の隊長に任命され、神戸へ派遣されてきた津森泰治が訪ねて来る。泰治は優作の妻、聡子の幼馴染であり、福原は来訪を歓迎するが、泰治の態度はどこかよそよそしい。

実は福原の友人で、生糸の商人であるドラモンドがスパイの容疑をかけられ、憲兵隊に逮捕されている。泰治は、福原に人付き合いを改めるように忠告するが、福原は聞き流す。裕福な暮らしを送る福原は、聡子と甥の竹下文雄と共に趣味で映画を製作するという優雅な暮らし。文雄は福原の貿易会社で働いている。そしてまたある日、福原は聡子に2週間満州に渡る事を告げる。表向きは仕事だが、満州で映画撮影を行うとして文雄も連れて神戸港から旅立つ。

福原の留守中、聡子は泰治を自宅に招く。留守だと知っていれば遠慮したと語る泰治。時代は「男女七歳にして席を同じゅうせず」の時代である。西洋風の生活を送る聡子はウイスキーを泰治に勧めるが、泰治は表情固くこれを固辞する。そして暗雲漂う時代に敢えて西洋風の生活を送る聡子に警告を発する。そして満州から福原と文雄が帰国する。神戸港に2人を出迎えた聡子は一人の女性が目立たぬように付き添っているのに気づく。

福原の帰国後に開催された貿易会社での忘年会。福原が撮影した映画が上映され盛り上がる。最後に文雄が退社し小説家になる事を報告する。そして文雄は、旅館に篭り執筆生活に入る。突然の文雄の行動に驚く聡子。さらに忘年会の終わりに福原からアメリカへ渡ると告げられる。日米関係が悪化する中、今が最後のタイミングと屈託なく語る福原に聡子は戸惑う。そして数日後、文雄が篭る旅館の近くで女性の水死体が発見される。それは神戸港で見かけた女性。

その女性は旅館で働いていたが、雇うように口利きしたのが福原だったことから、憲兵隊に疑いをかけられる。それは旅館に籠る文雄にも同様。聡子も泰治から事情を聞かれ、帰宅してから死んだ女性の事を福原に問いただす。答えを濁す福原に聡子は、旅館篭っている文雄にも事情を聞く。文雄は何も語らず、ただ聡子に封筒を渡し、福原に渡すようにと告げられる。聡子は貿易会社を訪ね、福原に封筒を渡すが、隠している真実を教えろと迫る。そして福原は満州で知った真実を聡子に語る・・・

『スパイの妻』というタイトルからは想像できなかったが、夫福原はもともと貿易商ということもあって、国粋色が色濃くなる国内の風潮に批判的。それが満州に行った際、関東軍のある秘密を知ってしまったことから、ある決意を抱く。それがどうも違和感を禁じ得ないと思っていたら、元はNHKのドラマだと知って合点がいく。NHKはこの手の戦中の日本にとって批判的なものに力が入る組織。時にそれが事実に反していようがお構いなしというところがある。

福原の行動も唐突感があり、そう感じてしまうとストーリーに感情移入できなくなる。蒼井優をはじめとした出演陣に不満はないが、どうもなぁと思わざるを得ない。ストーリー的にあっと思わせる展開もあって悪くはなかったが、そもそもNHK的な悪意あふれる空気に気持ちは失速する。そもそもはNHK BS放送のドラマだったらしいが、やはり衛星放送の料金は死んでも払いたくないと強く思わされる。

ラストの福原の様子にも興醒めさせられたし、好きになれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2022年01月04日

【破獄】My Cinema File 2500

破獄.jpeg

2017年 日本
監督: 深川栄洋
出演: 
ビートたけし:浦田進(看守部長)
山田孝之:佐久間清太郎
松重豊:大田坂洋(小菅刑務所所長)
寺島進:仁科久(札幌刑務所所長)
渡辺いっけい:田島公平(通訳)
勝村政信:泉吾郎(網走刑務所看守部長)
池内博之:藤原吉太(網走刑務所専任看守)
中村蒼:野本金之助(網走刑務所看守)
橋爪功:貫井千吉(網走刑務所所長)
満島ひかり:佐久間光(佐久間清太郎の妻)

<ウィキペディア>
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2017年4月12日にテレビ東京で開局記念日スペシャルドラマとして放送された。視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)。フランスのカンヌで開催された世界最大規模の国際テレビ番組見本市「MIPCOM 2017」で、「MIPCOM BUYERS’ AWARD for Japanese Drama」グランプリ、国際ドラマフェスティバル in TOKYOのメインイベント「東京ドラマアウォード2017」の作品賞「単発ドラマ部門」のグランプリを受賞した。主演のビートたけしは無期懲役囚・佐久間清太郎役のオファーを1985年以降に受けていたものの、雪の中を走るのが嫌で断っていた。しかし本作は看守役でのオファーでいつもとは違うタイプの役であったため、チャレンジすることを決めたという。佐久間を演じた山田孝之は、他の全ての仕事をやめて撮影と役作りに没頭、身体を鍛え、津軽弁を練習し、マイナス気温の網浜や長野でふんどし一丁で雪の中を走ったり、手錠を手足につけた状態で壁に頭を打ちつけたりするなどの過酷な撮影を行った。
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太平洋戦争が勃発した翌年、秋田刑務所で深夜、佐久間清太郎が脱走を企てる。土砂降りの雨が降る中、佐久間は独房の天窓から塀の外へと出てまんまと脱獄に成功する。その知らせを小菅刑務所の浦田進看守部長は、所長の大田坂洋から受ける。浦田は佐久間をよく知っていたためである。そして佐久間は、浦田の家を訪ねてくる。

佐久間が浦田に会いに来たのは、浦田が囚人をきちんと扱っていたため。秋田の看守は暴力を振るい、おまけに秋田の冬は寒い。寒さに弱い浦田は、人間扱いされない刑務所であるがゆえに脱獄したと言う。浦田は、佐久間に風呂場で足を洗ってくるように勧め、その隙に通報する。「3mもある天窓まで、どうやって登ったんだ?」と訊く浦田に、佐久間は「ヤモリのように」と答える。

佐久間は、東京の刑務所を希望するが、米軍による空襲が予想され、網走刑務所へと送られる。日本の戦況が悪化している中ではそれも止むを得ない。浦田には関東大震災に際し、緊急避難措置として囚人を釈放し、それがのちに全員帰って来たことで評価されたという実績がある。そしてその浦田は、戦局が悪化する中、網走刑務所に看守長として転任することになる。娘の美代子に転任すると伝えに行くが、この父娘には関東大震災で家族が亡くなってから溝ができている。

網走刑務所では過去に脱走者はなく、「私の代でその記録が破られるわけにはいかない」と所長の貫井は言う。浦田は、独房での監視は佐久間に反抗心をもたせるだけと提案するが、それまでのやり方に固執する看守たちは反発する。一方、佐久間は桶のたがを外し、金具を手に入れてやすやすと手錠を外している。それに対し、看守の泉吾郎は、怒りのまま佐久間に暴行する。そして佐久間は、さらに足錠をつけられその継ぎ目を潰される。今の基準からすれば立派な人権侵害であるが、当時はもちろんそんな意識などない。

人情派の浦田は、青森にある佐久間の妻・光の家を訪れ、面会に来るか手紙でも書いてほしいと頼むが、光は拒絶する。刑期を真っ当するより脱獄してでも早く帰って来てほしいというのが素直な気持ちだという。そして父の借金のカタに函館の遊郭に売られ、なじみ客の佐久間が蟹工船に乗って給料2年分を前借りし、身受けしてくれたという経緯が語られる。「早く出てきて欲しい」という言葉は、浦田にとっても娘美代子の言葉と重なる。物語は巧みに登場人物の過去を拾っていく。

佐久間は、徹底的にマークされる。それにしても当時の監獄は酷かったと思える。網走の冬は厳しく独房内の温度は氷点下となる。そんな中でも囚人服も寝具も薄っぺらであり、凍てつくような寒さは大変だったろうと思う。浦田が、塩湯を用意して凍傷を治そうと佐久間に言うシーンがあるが、その劣悪な環境は現代の感覚では信じ難いところがある。そんな中、浦田は足錠を外すことを提案し、佐久間と看守の溝を埋めるべきではないかと言う。だが、泉は反対する。脱獄を気持ちの上から防ごうと考える浦田と、あくまでも物理的に防ごうと考える泉とはとことん対極的である。

そして佐久間は脱獄する。かつて網走刑務所を観光で訪れた時、佐久間のモデルとなった脱獄王のことが説明されていた。味噌汁を残しておいて独房の錠に塗りつけ腐食を狙う。布団から顔を出して寝なければならないという規則を佐久間は徹底的に無視する。脱獄も簡単にはできない。知恵と不屈な闘志と毎日の地道な準備である。脱獄は誉められたものではないが、佐久間の創意工夫と執念は大したものだと思う。

主演はビートたけしと山田孝之ががっぷり四つに組む。両者とも主演作品となればそれだけでも観たくなる役者さんだけに見応えは十分。実在の脱獄王をベースにした物語は、観光で訪れた網走刑務所の記憶も蘇らせてくれる。いろいろと考えさせてもくれるTVドラマである・・・


評価:★★★☆☆








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2016年05月28日

【エクスタント】My Cinema File 1554

エクスタント.jpg

原題: Extant
2014年 アメリカ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ 
出演: 
ハル・ベリー: モリー・ウッズ
ゴラン・ヴィシュニック: ジョン・ウッズ
ピアース・ガニォン: イーサン・ウッズ
真田広之: ヒデキ・ヤスモト
マイケル・オニール: アラン・スパークス
グレイス・ガマー: ジュリー・ジェリノー
カムリン・マンハイム: サム・バートン

<映画.com>
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スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、映画「チョコレート」で史上初となるアフリカ系女優としてアカデミー主演女優賞に輝いたハル・ベリーが主演を務めるミステリードラマ。日本を代表する国際派俳優となった真田広之、「ER 緊急救命室」のコバッチュ役で知られるG・ビシュニックらが共演し、13ヶ月の宇宙滞在ミッションを終えて地球に帰還した宇宙飛行士モリー・ウッズの不可解な妊娠を発端に、人類の存亡に関わる陰謀に巻き込まれていく姿を描く。
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普段、観ないといけない映画をたくさん抱えているため、海外ドラマについてはなるべく目をつぶるようにしているのであるが、「スティーブン・スピルバーグ総指揮」といううたい文句と、予告映像によって観てしまったドラマである。

主人公はISEA所属の宇宙飛行士のモリー。13ヶ月に及ぶ宇宙ステーション”セラフィム”での単独滞在ミッションを終えて地球に帰還する。待っていたのは夫のジョンとジョンが中心になって開発し、今や我が子として育てている子供型アンドロイド「ヒューマニクス」のイーサン。13ヶ月ぶりの地球の生活。体調がすぐれないのは重力の影響かと思っていたモリーであるが、友人の医師サムから告げられたのは、「妊娠」という事実。13ヶ月間たった一人で宇宙にいたモリーにはあり得ない事実。

しかし、モリーには思い当たることがある。
ある時、セラフィムに異変が起きる。そしてモリーの前に現れたのは、かつての恋人であり、だが事故死したはずのマーカス。あり得ない現象の連続に、地球に帰還したモリーは真実を調べ始める。一方、そんなモリーの前に、やはり自殺したはずの宇宙飛行士クライガーが表れ、「誰も信じるな」と警告する。

ヤスモト・コーポレーションの代表ヤスモトは、ジョンの研究に出資することにし、ジョンをヤスモトタワーの研究室に招く。ジョンの部下でともにヒューマニクスの開発に携わっているジュリーには、オーディンが偶然を装って近づく。モリーの動きに上司のアランは、ヤスモトの指示を受け密かに動き始める・・・

舞台は近未来の地球で、テクノロジーが進歩し、ヒューマニクスは人間と見分けがつかない出来栄え。開発に携わるジュリーも両足が義足であるが、外見上それとわからない。こういう時代がくれば、パラリンピックも過去のものとなるに違いない。車の自動運転も一般化し、夢の未来社会も実はもうすぐそこに来ている感がある。

ドラマのいいところは、映画と違って時間の制約が緩いところだ。いろいろなエピソードを交えて丁寧に物語が進んでいく。毎回毎回、次はどうなるのかと興味をかき立てられるエンディングで、だから最後まで観てしまったと言えるが、たった一人で宇宙にいたのに妊娠してしまうというストーリー展開は否が応でも惹きつけられる。

いつの間にかストーリーに引き込まれ、全話観てしまった。真田広之も出演していて、主役も『X-MEN』シリーズでお馴染みのハル・ベリーだし、素直に面白いドラマであった。そしてどうやらシーズン2があるようである。ただ、このシーズンで完結感が強いだけにどうなるのだろうという気がしないでもない。観るかどうかはその時の気分次第かもしれない。

たまにはこういうテレビドラマもいいなと思わされるシーズン1である・・・


評価:★★☆☆☆








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2014年07月17日

【ヒンデンブルグ第三帝国の陰謀】My Cinema File 1240

ヒンデンブルグ第三帝国の陰謀.jpg

原題: Hindenburg
2011年 ドイツ
監督: フィリップ・カデルバッハ
出演: 
マキシミリアン・ジモニシェック:マーテン・クルーガー− ツェッペリン社設計技師。
ローレン・リー・スミス:ジェニファー・ヴァンザント - 米国の石油会社の社長令嬢。
ステイシー・キーチ:エドワード・ヴァンザント - ジェニファーの父。米国の石油会社社長。
グレタ・スカッキ:ヘレン・ヴァンザント - ジェニファーの母。
ヒンネルク・シェーネマン:アルフレート・ザウター - マーテンの幼なじみ。ヒンデンブルク号乗員。
ユストゥス・フォン・ドナーニー:カウフマン - ビジネスマン。

<映画.com>
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1937年5月6日に起こった巨大飛行船ヒンデンブルグ号爆発事故を、ドイツ人の飛行船設計技師とアメリカ人実業家の娘の恋物語とともに描くスペクタクル大作。1937年、ふとしたきっかけで恋に落ちたドイツの巨大飛行船ヒンデンブルグ号の設計技師マーテンと、アメリカ人実業家の娘ジェニファー。2人は、ジェニファーの父親が病に倒れたとの報せを受け、ヒンデンブルグ号でドイツからアメリカに向かうことになる。しかし、飛行船に爆弾が仕かけられているとの情報を得たマーテンは、ジェニファーの乗船を阻もうとするが……。着陸寸前に火災が発生し、97人の乗員乗客のうち35人が死亡。地上作業員も1人が死亡するという大惨事に発展した事故の隠された真実を描き出していく。
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ヒンデンブルグと言えば、1937年に爆発事故を起こしたドイツの飛行船。
その歴史的事件を背景に、架空のストーリーをはめ込んだドラマである。

同じ20世紀初頭の大事故タイタニック号の沈没もフィクションを組み込んだ映画が作られているが、この手のものは、結末がわかっているという特徴があり、そこにどういうストーリーを結びつけるかが鍵となる。この手の映画は、ほかにも『ボビー』『光州5・18』などを観たが、いろいろと応用は出来そうであるから、これからも様々出てくるのかもしれない。

主人公は、飛行船ヒンデンブルグ号を運行するツェッペリン社の設計技師マーティン・クルーガー。グライダーによる飛行中、誤って湖に墜落してしまう。溺れかかったところをたまたま近くにいた女性ジェニファーに助けられる。「残り30秒でしくじっただけ」と言い訳するマーティンに、「その30秒が最も大事だ」と返すジェニファー。その後の“事件”を暗示させる出会いである。

二人はその夜、アメリカ領事館で開催されたパーティで再会する。
ジェニフアーはアメリカのヴァンザント社の社長令嬢であり、ヴァンザント社はアメリカ政府によるドイツへのヘリウム輸出禁止解禁を目指していた。当時ツェッペリン社は爆発しやすい水素を飛行船に使用しており、より可燃性の低いヘリウムの需要が双方を結びつけていたのである。

そのヴァンザント社長が発作を起こしたというニュースが伝わり、ジェニファーは急きょ母とヒンデンブルグ号で帰国する事になる。それを知ったヴァンザント社長はなぜか慌てて二人に下船する様に伝言を託す。伝言を託されたマーティンは、それを伝えに行く途中、ジェニファーの婚約者フリッツに襲われる。身を守ったマーティンだが、フリッツはアクシデントで死んでしまう。フリッツは、最後に「爆弾」という言葉を残し、マーティンはヒンデンブルグ号に乗り込む・・・

ヒーローとヒロインが登場し、主役のヒンデンブルグ号が出発する。
爆破計画を出し、それを阻止すべくヒーローとヒロインが活躍するというストーリーとなるが、結末がわかっていても、そこに至る道にはハラハラ・ドキドキが仕込まれているというわけである。クライマックスのヒンデンブルグ号炎上シーンは、迫力もあって、何度か見た事が
ある当時のニュース映像の記憶と相俟って、臨場感は十分であった。

もとのTVドラマは180分だったようであるが、それを110分に削っているとのこと。
ストーリーの詳細がちょっとわかりにくかったのは、ひょっとしたらそのあたりに原因があるのかもしれない。それもあってか、全体的には“普通レベル”の域を出られない映画であった・・・


評価:★★☆☆☆







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