
1948年 日本
監督: 小津安二郎
出演: 佐野周二/田中絹代/三宅邦子/笠智衆/村田知栄子
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間借り生活の時子は、小さい浩をかかえ、まだ復員してこぬ夫修一の帰りを待ちわびていた。
時子は頼りにしている友達秋子を時折訪ねては一枚、二枚の着物を託し、それを同じアパートの織江に買ってもらうのだった。
今日も時子は秋子を訪れた。
織江はそうした時に「時子さん、きれいだからその気になりゃ、こんなことしなくってもいいのに−−」というのだ。
その日家に帰った時子は、突然の浩の発熱におどろきうろたえて近所の病院へはしった。
浩は急性大腸カタルであった。
何本も注射が打たれ、そしてようようのことで命だけはとりとめることが出来たが、次に時子の上にふりかかって来たものは病院の支払いであった・・・
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1948年制作の小津監督作品。
これまでの家族に目を向けた作品からちょっと嗜好が変わり、夫婦関係へと視線を移した作品。
時代背景ならでは、のところがある。
冒頭、巡査が各家庭を回っている。
住んでいる人物を確認するのであるが、なかなか威張った態度なのは戦前の名残りなのだろう。
大家が問われるまま、主人公の時子は間借りしていると答える。
「間借り」という言葉も今は死語になりつつある。
「ご主人はまだ帰らないのかね」と巡査が問う。
言わずもがなだが、ここでは復員という意味であるが、これも当時ではここかしこで聞かれた問いなのだろう。
いまだ帰らぬ夫を待つ時子は、一人息子のひろしと共に暮らしている。
針仕事を請け負っているが、当然それでは生活も苦しい。
友人を訪ね、着物を売ってもらって糊口をしのぐ。
それでさえ、もう最後の着物である。
買い取った知人は、「きれいなんだから、いくらでも稼げるよ」と甘い囁きを寄せる。
現代と違って貞操観念の強い当時、苦しくてもそんな囁きには乗らない時子。
しかし、ひろしが急病で入院する。
かろうじて一命を取り留めるが、安堵したのも束の間、今度は入院費用の支払いがのしかかる・・・
もうあてもなく、ついに時子は一度だけ体を売る。
幸運にも復員した夫修一がその事実を知ると、修一はそれが許せない。
時子にあたり、もやもやを抱えたまま自分も女を買ってみたりする。
現代であれば、お金がなければあちこちから何かと借りる手段は豊富だ。
こうした貧困から体を売るケースは稀なのだろう。
その代わり、現代では遊ぶ金欲しさに若い女性もほいほい体を売る。
その手段も援交やアダルトビデオや風俗など様々である。
はたしてそれは進歩なのかどうかはわからない。
そんなに悩む事なのか、とついつい夫には苦言を呈したくなる。
今の我々の感覚とはだいぶ違う気がする。
時代によって価値観は変わる。
それがいいのか悪いのかはよくわからない。
夫も妻も苦しい時代を生き抜いた。
そんな時代を背景にしたストーリーは、いろいろと考えさせてくれる。
その後この夫婦がどんな暮らしを送ったのか、ちょっと知りたい気持ちにさせられた・・・
評価:★★☆☆☆




