2025年03月19日

【君たちはどう生きるか】My Cinema File 2984

君たちはどう生きるか.jpg
 
2023年 日本
監督/原作: 宮ア駿
出演: 
山時聡真:眞人
菅田将暉:青サギ/サギ男
柴咲コウ:キリコ
あいみょん:ヒミ
木村佳乃:夏子
木村拓哉:勝一
竹下景子:いずみ
風吹ジュン:うたこ
阿川佐和子:えりこ
滝沢カレン:ワラワラ
大竹しのぶ:あいこ
國村隼:インコ大王
小林薫:老ペリカン
火野正平:大伯父

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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宮崎駿監督が少年時代に母から手渡された同名小説『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著)にインスパイアされ、オリジナルの物語に自身の少年時代を重ねた自伝的ファンタジー・アニメーション。舞台は宮崎監督の記憶の中に残る、かつての日本。母を戦火で失った11歳の少年・眞人(マヒト)は、父・勝一とともに東京を離れ、新たな母・夏子とともに庭園家屋で暮らし始める。眞人はそこでサギ男や屋敷に住む7人の老婆たち、漁師の女性・キリコなど魅力的なキャラクターにいざなわれ、生と死が混然となった不思議な世界へと分け入っていく。宮崎駿監督が2013年の『風立ちぬ』公開後に行った引退宣言を撤回し、2016年から7年の歳月を経て製作、ついに2023年に劇場公開された。公開前には、音楽は久石譲であること以外は、内容もキャスト・スタッフも明かされない宣伝戦略がとられた。日本公開から間をおかず世界各国で公開、2024年1月、第81回ゴールデングローブ賞の最優秀長編アニメーション映画賞受賞。さらに2024年3月、第96回アカデミー賞長編アニメ映画賞受賞。ジブリ作品のオスカー獲得は『千と千尋の神隠し』以来、21年ぶり2度目となった。
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物語の舞台は太平洋戦争が始まってから3年目の時代。主人公の眞人は軍需工場の経営者である父親の勝一と母ヒサコとの3人暮らし。その母は入院中であったが、空襲で病院が火に包まれ母を失う。父親はヒサコの実家へ工場とともに疎開し、ヒサコの妹夏子と再婚する。勝一は軍需工場の経営者であり、羽振りが良い。疎開先で眞人は転校先に車で送られて行くが、さっそく周りに眼をつけられて殴られる。手痛い洗礼である。眞人は道端の石で自分の頭を殴って出血を伴う大ケガを負い、屋敷で手当を受けて自室で寝込む。

そんな眞人は友達もできず屋敷で1人過ごす。時折青サギがやって来るのを眺めている。ある日、眞人は青サギに誘われるように敷地内にある古い塔に行く。崩れかけた塔を不思議に思った眞人は、土砂で半ば埋もれている入り口から入ろうとするが、屋敷に仕えるばあやたちに制止される。その晩、眞人は夏子から塔は、大伯父によって建てられ、その後大伯父は塔の中で忽然と姿を消したこと、大水が出たときに塔と母屋をつなぐ通路が落ちて迷路のようなトンネルが見つかり、危ないので入り口が埋め立てられたことを教えられる。

翌朝、それまで眞人の部屋にたびたびやって来ていた青サギを木刀を持って追いかける。すると青サギは言葉を話し、「死んだと言われているが、母親の遺体を見ていないでしょう。あなたの助けを待っていますよ」と話しかけられる。不思議な体験である。眞人のケガを知った勝一は、学校側に苦情を訴える。一方で夏子は妊娠し、つわりに苦しんで床に伏す。そして別の日、眞人は屋敷の窓から夏子が森の中へと歩いていく姿を見かける。特に気に留めず、落ちていた青サギの抜け羽を材料に弓矢を自作するが、ヒサコが眞人のために残した小説『君たちはどう生きるか』を見つけて読み進める。

やがて夏子が失踪したと屋敷中が大騒ぎになる。眞人は使用人のばあやキリコとともに夏子を探しに森へ入ると、塔の裏口にたどり着く。そこで青サギの声に促されるまま足を踏み入れた3人はいつの間にか閉じ込められてしまう。塔内で待ち構えていた青サギに眞人は矢を放つ。矢は青サギの嘴を穿つが、それが青サギの弱点をついたのか、青サギは半分鳥で半分人の姿になり、青サギの姿に戻れなくなってしまう。青サギは塔の最上階の人物に命令されたとし、眞人とキリコばあやは「下の世界」へいざなわれていく・・・

タイトルから『君たちはどう生きるか』の映画化かと思っていたら、内容はまったく関係ないもの。なぜそういうタイトルにしたのか疑問に思う。映画の中で主人公が『君たちはどう生きるか』を読んでいるシーンがでてくるので、意識している事は間違いがないが、なぜまったく別の内容のものにしたのかよくわからない。そして塔の中は別世界。そこはジブリならではのもの。その別世界で眞人は不思議な経験と冒険をするのである。

その塔の中の不思議な世界での体験が何かの意味をもっているならまだしも、そうではない(と自分には思えた)のでなおさらよくわからない。しかし、その不思議な世界で行方不明になっていた大伯父に会った眞人は、自らつけた傷について振り返る。それは少年が成長した証。さらに自分の母になるヒミに会う経験もする。少年の成長という大きな括りでは『君たちはどう生きるか』と通じるものがあるのかもしれない。元の世界に戻った眞人は、きっと立派な青年に成長して戦後の世界を生き抜いたに違いない。

タイトルにこだわらなければジブリ作品ならではの面白さを満載。子供が観ても大人が観ても違和感なく楽しめる一作である・・・


評価:★★☆☆☆









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2025年03月15日

【ブレイブ・ロード 名もなき英雄】My Cinema File 2983

ブレイブ・ロード 名もなき英雄.jpg

原題: Ayla: The Daughter of War
2017年 トルコ
監督: カン・ウルカイ
出演: 
イスマエル・ハシオグル:スレイマン
キム・ソル:アイラ
セティン・テキンドル:スレイマン(老人)
アリ・アタイ:アリ
ムラート・ユルドゥルム:中尉
タネル・ビルセル:大尉
ダムラ・ソンメズ:ヌーラン

<シネマトゥデイ>
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朝鮮戦争に参戦した兵士と少女の実話を映画化し、アカデミー賞外国語映画賞のトルコ代表に選ばれたドラマ。戦場で出会ったトルコ軍軍曹と戦災孤児の少女との交流と別れ、およそ60年を経て起こる出来事を描き出す。監督をジャン・ウルカイが務め、イスマエル・ハシオグル、キム・ソル、イ・ギョンジン、セティン・テキンドルらが出演。
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物語は1950年の朝鮮半島で始まる。とある韓国の農村で、両親と共に暮らしていた少女ソラは父から手製の三輪車をもらい喜んでいる。ところが、突如その村に爆弾が落ち、北朝鮮軍兵士が戦車とともに姿を現す。無情にもソラの両親を含む村人たちは次々射殺され、ソラの三輪車も戦車に引き潰される・・・

その頃、朝鮮半島から遠く離れたトルコのイスケンデルンで、トルコ軍の軍人であるスレイマンとアリは自転車で兵営に向かう。途中の店で、マリリン・モンローの映画のポスターを手に入れて喜ぶアリ。兵営に向かう彼らをヌーランが見送る。互いに好意を寄せ合っているのがわかる。トルコ陸軍の歩兵師団本部に呼ばれたスレイマン軍曹は、間もなくトルコ軍が朝鮮半島に派遣されると告げられる。そしてスレイマンはその候補に指名される。

スレイマンは車両整備の後方要員であるが、アリたちとともに朝鮮半島に派遣される。愛するヌーランにしばしの別れを告げ、戦地から手紙や写真を送ると約束するスレイマン。ラジオのニュースは、4,500名のトルコ軍部隊の朝鮮派兵を告げている。そして1950年10月、トルコ軍部隊は釜山に上陸し、韓国市民の歓迎を受ける。その後トルコ軍はまず韓国のテグに集結し、米軍に続いて進軍する。行く手からは難民の集団が着の身着のままですれ違っていく。

勝利を確信し、気楽なムードが漂うトルコ軍の将兵たち。しかし、戦争というものは実戦となるとまるで違う。そう言えば第一次世界大戦でも「クリスマスまでには終わるだろう」と従軍する若者たちの会話が何かの映画で描かれていた。そんな楽観的なムードも突然の空襲を受けて消し飛ぶ。そんな前線の様子を知らないトルコ国内では、朝鮮戦争が早期に終結する見込みとの報道が流れ、ヌーランらはその知らせに安堵する。

夜道を車両で第9軍団司令部へ向かうスレイマンたちを敵が攻撃する。車両は爆破されるも、アリが敵を倒して一同は救われるが、戦場の現実を思い知らされる。月明りの中、森の中を進むスレイマンたちは無数の避難民の遺体を発見する。何かの物音を聞いたスレイマンが辺りを調べると泣きじゃくる幼い少女を見つける。それは冒頭で戦火に見舞われた村の少女ソラ。スレイマンたちは少女を保護して第9軍団司令部に到着する。

保護したものの、軍隊内では預かってもらえない。少女は一言もしゃべらない。やむなくスレイマンたちは少女をアイラと名付ける。戦場は中国の人民解放軍兵士が参戦して新たな局面を迎える。トルコ軍部隊は韓国軍と共に移動するが、スレイマンはアイラを連れて行く。預かってくれるところもなく、アイラもスレイマンから離れない。途中で中国軍部隊と交戦し、スレイマンたちもピンチを迎えるが、何とか反撃して難を逃れる。戦争は激しさを増していく・・・

朝鮮戦争にトルコ軍が参戦していたという事実はこの映画で初めて知った。なんでも国連軍としての参戦だったようである。タイトルからして勇ましい戦争映画かと思っていたが、物語は意外な方向へと動いていく。主人公のスレイマンは偶然戦争孤児を保護し、アイラと名付けてそのまま手元に置く。整備兵という立場だからできたのかもしれないが、やがてアイラに愛情が移り、手離せなくなる。映画は、勇ましいとごろか兵士と戦争孤児との物語になっていく。

この映画はフィクションではなく実話だという。フィクションであるなら「実際の戦場でこんなこと」と思ったかもしれない。されど、実話というのが何にも勝る説得力を持つ。アイラに情が移ったスレイマンは、アイラにトルコ語を教え、言葉を覚えたアイラはスレイマンをパパと呼ぶ。東京での休暇にもアイラを連れていくスレイマン。いずれ別れの時がくるとわかっていても、募る思いは打ち消せない。そしてその時がやってくる・・・

友人のアリのためにアイラを使ってマリリン・モンローのサインを手に入れたりとほのぼのとしたエピソードを交えて進んでいく。やがて朝鮮戦争が終わり、スレイマンの思いは叶わず別れの時がやってくる。帰国してもアイラの事が忘れられないスレイマン。そして60年の歳月が流れ、奇跡の瞬間が訪れる。エンドロールでは2人の実際の再会シーンが流れる。異国の地で出会った子供に対してここまで強い思いを抱いていたスレイマン。まったく映画のタイトルと内容があっていないが、2人の物語は心温まるものである。

トルコが朝鮮戦争に軍を派遣していたという事実も初めて知ったが、こんな物語もあったと知って、戦争の悲劇は様々な物語を生むものだと改めて思う。トルコと日本の間にも『海難1890』(My Cinema File 2162)という史実があったが、トルコ人は情に篤い人たちなのかもしれない、と改めて思わされた映画である・・・


評価:★★★☆☆









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2025年03月14日

【湯道】My Cinema File 2982

湯道.jpg

2023年 日本
監督: 鈴木雅之
出演: 
生田斗真:三浦史朗
濱田岳:三浦悟朗
橋本環奈:秋山いづみ
小日向文世:横山正
天童よしみ:小林良子
クリス・ハート:竜太
戸田恵子:高橋瑛子
寺島進:高橋大作
厚切りジェイソン:アドリアン
笹野高史:堀井豊
吉行和子:堀井貴子
ウエンツ瑛士:DJFLOW
吉田鋼太郎:太田与一
窪田正孝:梶斎秋
夏木マリ:夙子
角野卓造:二之湯薫明
柄本明:風呂仙人

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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小山薫堂が入浴行為を日本の文化の一つと捉え、提唱した「湯道」を基に、お風呂を通した人間模様を描いた群像劇。『おくりびと』の脚本を担当した小山が自らオリジナル脚本を手掛け、『HERO』シリーズの鈴木雅之がメガホンをとった。主人公の三浦史朗を「土竜の歌」シリーズの生田斗真、史朗の弟、悟朗を『ヒメアノ〜ル』の濱田岳、銭湯の看板娘を『キングダム』の橋本環奈がそれぞれ演じる。
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主人公は東京で建築家として活動する三浦史朗。独立したものの、仕事はどうやら厳しいらしく、机の上には督促状が山となしている。その中に実家からの手紙が入っており、史朗は父親が亡くなったことを知る。とある考えを抱いた史朗は、実家に帰省する。史朗の実家はまるきん温泉という銭湯を営んでおり、父亡き後は弟の悟朗が後を継いでいる。悟朗は住み込みのアルバイトの秋山いづみとふたりで経営を続けている。田舎の寂れた銭湯であり、史朗は売却して自分の相続分をもらい受けたいと考える。

そんな思惑を心に秘め、史朗は実家に滞在する。父親の葬儀にも帰郷しなかった兄に対し、悟朗もいい顔はしない。史朗はとりあえず銭湯の仕事を手伝うことにする。客は近所の住人であるが、風呂仙人と呼ばれる男がいて、湯を焚く廃材を持って来る代わりに無料で入浴している。一方、郵便局の横山は風呂に入る事が趣味であり、それが高じて「湯道」の道場に通っている。ここは茶道のように湯に入る作法を重視し、湯を嗜む事を目的としているようである。作法に従って入浴する様はなかなか面白い。

史朗は、悟朗にまるきん温泉を売却し、マンションを建てるアイディアを打ち明ける。たった一人でまるきん温泉を守ってきた悟朗はこれに激怒し、マンションの設計図をボイラーの火に投げ入れる。それをきっかけに兄弟は取っ組み合いの喧嘩になる。この時、散乱した廃材に引火してし、消火しようとした悟朗はやけどを負って入院する。まるきん温泉はやむなく臨時休業する。

翌日、ボイラー室に風呂仙人が来ており、彼は壁に書かれた文字を一心に見つめている。そして「自分の都合で商売するな」と呟く。その壁には父が残した「風呂で人を幸せにする」という文字と家族の名前が連ねてあった。亡き父の姿を思い出し、1人でまるきん温泉を続けてきた悟朗を思い、史朗はその日から風呂仙人に風呂の焚き方を教わり始める。その史朗の姿を見たいづみは、安堵していつも通りの開店準備を始める。しかし、やがて退院してきた悟朗は、そんな史朗の姿を見て、父の遺書を史朗に見せる。そこには、まるきん温泉は継がずに売却しろと書かれていた・・・

『湯道』とはなんぞやと思って観たが、田舎の寂れた銭湯を巡る兄弟の物語。しかし、そこにサイドストーリーとして茶道ならぬ湯道を説く家元が登場する。真面目ぶって湯に入る作法があって、恭しく入浴する様は滑稽である。また、源泉かけ流し至上主義の温泉評論家なる者が登場し、「温泉」と名打っているものの、通常湯のまるきん温泉を批判する。兄弟の物語を縦糸に、湯道を提唱する家元や温泉評論家の話を横糸に物語は進む。考えてみれば、自分も含めて日本人は風呂好きだと思うし、風呂にまつわる諸々に考えさせられることも多い。

史朗と悟朗は、山奥にある「くれない茶屋」の風呂に入る。そこは五右衛門風呂で、川から水を汲んできて沸かすため、無茶苦茶手間暇がかかる。それでも自然の中、湯船に浸かるのは気持ち良さそうである。まるきん温泉も昔ながらの銭湯で、昭和の空気が漂う。家庭風呂が普及した現在であっても、大浴場には家庭風呂にない良さがある。湯道も真面目にあってもおかしくはない(実際、提唱している人もいるらしいし)。温泉もいいし、銭湯もいいと思う。

昔ながらの銭湯を守る兄弟の姿に共感するし、金には代えられないものを見つけた史朗の姿にも心地よさを感じさせる。どんなに家庭風呂が普及したとしても、銭湯はなくなってほしくない日本の文化だと思う。観終わって大浴場に入りたくなる映画である・・・


評価:★★★☆☆








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2025年03月09日

【十一人の賊軍】My Cinema File 2981

十一人の賊軍.jpg
 
2024年 日本
監督: 白石和彌
出演: 
山田孝之:政
仲野太賀:鷲尾兵士郎
尾上右近:赤丹
鞘師里保:なつ
佐久本宝:ノロ
千原せいじ:引導
岡山天音:おろしや
松浦祐也:三途
一ノ瀬颯:二枚目
小柳亮太:辻斬
本山力:爺っつぁん
野村周平:入江数馬
音尾琢真:仙石善右エ門
玉木宏:山縣狂介
阿部サダヲ:溝口内匠
ゆりやんレトリィバァ:村娘

<シネマトゥデイ>
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『日本侠客伝』『仁義なき戦い』シリーズなどを手掛けた脚本家・笠原和夫のプロットを原案に描くアクション時代劇。江戸幕府から明治政府へと政権が移り変わろうとしていた戊辰戦争の最中、新発田藩(現・新潟県新発田市)で起きた抗争を映し出す。監督を手掛けるのは『碁盤斬り』などの白石和彌。『ステップ』などの山田孝之、『泣く子はいねぇが』などの仲野太賀が主演を務める。
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幕末、戊辰戦争が始まった頃の新潟、新発田藩。主人公となる政は妻・さだが藩士に手ごめにされたと知って激怒し、相手の隙をついて襲い、刺殺する。政は捕えられて死罪を宣告され磔にされる。処刑を待つ間、花火師の息子で知的障害のあるノロは、磔にされた政を見て兄だと勘違いし彼を助けようとするが失敗し、ともに牢獄へ入れられてしまう。

その頃、新発田藩の上層部では官軍につくか、奥羽越列藩同盟につくかの選択を迫られている。若殿・溝口直正はまだ若く、家老の溝口内匠はどちらにつくかの判断に迷う。その迷いは奥羽越列藩同盟側にも伝わり、同盟軍の色部長門と斉藤主計は軍を引き連れて城に居座り、藩主に目通りを求めて圧力をかけてくる。

しかし、この時点で藩主は官軍につく事を宣言しており、ギリギリまで態度を曖昧にしたい溝口は同盟軍に藩主は病気だと偽って時間稼ぎをする。斎藤たちには同盟軍のために兵を出すと言いつつ、その裏では官軍の山縣狂介に同盟軍が城から出て行ったら新発田藩は無血開城して官軍に協力すると二股外交を試みる。

溝口は忠義に厚い鷲尾兵士郎に藩境の重要な砦を官軍から守る任務を与える。同盟軍が城から出ていくまでの間、官軍を食い止めるのである。鷲尾は死刑囚を決死隊として連れていく事になる。死刑囚たちには、同盟軍が出て行ったら狼煙が上がるので、それまで持ち堪えたら無罪放免にするという餌を与える。

兵士郎と入江数馬が率いる決死隊は10人。政もその1人に選ばれる。砦には同盟の旗を掲げ、官軍には同盟が行く手を阻んでいるように見せかける。そこへ水本正虎と弟の正鷹率いる官軍先遣隊が到着する。両者の間にあるのは吊り橋のみ。まともに戦えば勝ち目はないが、吊り橋が官軍の進軍を妨げる。そして溝口の企みを知らない兵士郎は、官軍が攻めてきたと思い込んで戦いの合図を出す・・・

戊辰戦争で、官軍と奥羽越列藩同盟との間で揺れる小藩である新発田藩。どうやって生き残るか、幕僚たちは苦悩する。あらかじめ勝ち馬がわかっていれば問題ないが、下手に負け馬に加担すれば藩が崩壊する。そんなトップと最前線では死刑囚たちが命をかけて藩境の砦を死守する様子が描かれる。決死隊内も疑心暗鬼があり、一枚岩とは言えない。藩の利益よりも自分の利益が優先される。

この時期のこの地域については、奥羽列藩同盟から描いた映画『峠 最後のサムライ』(My Cinema File 2898)が記憶に新しい。勝ち馬に乗ろうとどっちつかずの態度を取り、せこい時間稼ぎをする新発田藩の様子は、『峠 最後のサムライ』(My Cinema File 2898)の長岡藩から比べると武士らしくない。されど力の弱い小藩にとっては、やむを得ない対応なのかもしれない。

映画の内容はほとんどフィクションなのだろうが、面白おかしく決死隊の様子を描いていく。大義のためよりも自分のためにやむなく戦う罪人たちだが、互いに命をかけて戦ううちに違う感情が芽生えてくる。大義も立場によって微妙に異なる。罪人たちにも家族がいて守るものがある。物語は史実はともかくとして、あつい戦いを繰り返す。この時代、理不尽を嘆いても仕方がなかったのかもしれない。

激動の時代だから、人間の熱い思いが溢れるのかもしれない。両サイドから観るという事で、『峠 最後のサムライ』(My Cinema File 2898)と併せて観るのもいいかもしれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆









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2025年03月08日

【TANG タング】My Cinema File 2980

TANG タング.jpg
 
2022年 日本
監督: 三木孝浩
原作: デボラ・インストール「ロボット・イン・ザ・ガーデン」
出演: 
二宮和也:春日井健
満島ひかり:春日井絵美
市川実日子:野村桜子
小手伸也:加藤飛鳥
奈緒:大槻凛
京本大我:林原信二
山内健司:小出光夫
濱家隆一:大釜仁
景井ひな:原田カオリ
武田鉄矢:馬場昌彦

<映画.com>
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日本でもベストセラーとなったイギリスの小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を、二宮和也主演で映画化。『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』「思い、思われ、ふり、ふられ」の三木孝浩が監督、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」の金子ありさが脚本を手がけ、人生に迷うダメ男と記憶喪失のロボットが繰り広げる冒険を、日本版にアレンジして描く。
ある理由から、自分の夢も妻との未来も諦めてしまった春日井健。そんな彼の家の庭に、記憶を失ったロボットのタングが迷い込んでくる。時代遅れな旧式のタングを捨てようとする健だったが、タングが失った記憶には、世界を変えるほどの秘密が隠されていた。
健の妻を満島ひかり、健とタングを監視する謎の男を小手伸也、中国在住のロボット歴史学者を奈緒が演じる。『STAND BY ME ドラえもん』などの「白組」がVFXを担当。
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物語の舞台はAIが進化し、人間とロボットが一緒に暮らす近未来。主人公の春日井健は、かつては研修医であったが、今はゲーム三昧のニート生活を送っている。そんな夫を弁護士である妻の絵美は献身的に支えている。しかし、その日、夫が紹介された病院の面談をドタキャンした事実を知って腹を立てる。庭の柵を直すように言われていた健は、妻の怒りから逃げるように庭に出る。するとそこになにやら旧式のロボットが迷い込んでいるのを見つける。試しに話しかけてみると、ロボットは「タング」と名乗る。

最新の高性能ロボットがCMで流れる世界にあって、タングはいかにも古めかしいロボットという姿。人間の言葉を理解し、コミュニケーションは取れるものの、記憶を失くしているようで何も情報を得られない。健はそんなタングを、リサイクルショップに持って行き売り払おうとするが、タングは店員の目を盗んで抜け出して健の後を追う。結局、タングは健の家に居座ることになる。ティッシュ箱を発見し、次々とティッシュを取り出して喜ぶ様子は子供のようでもある。

そんなタングの様子を尻目に、健と絵美の物語も描かれる。何があったのか、働く気力を失った健に絵美は腹を立てる。挙句に健の父親の形見である時計を床に投げつけてはめ込まれていたガラスを割ってしまう。仕事をしながら家事もこなす絵美。父親の時計のネジすら毎日絵美が巻いているとなれば絵美の怒りも無理はない。とうとう健とタングは一緒に家を追い出されてしまう。

気付くとタングの体から液体が漏れており、体内にあったメーカーのタグから検索すると、旧式タイプを最新タイプへ交換するキャンペーンを行っている事を知る。これ幸いとタングを最新の料理ロボットと交換して絵美にプレゼントすれば仲直りが出来るかもしれないと、健はタングを連れて本社のある福岡へと向かう。ところがせっかく行ったのに、製造会社では適応外として断られてしまう。

途方に暮れた健だが、たまたまその場に居合わせた社員の林原は、タングに感情があることに驚き、タングに応急処置をほどこすと、中国の深センにいるロボット博士・大槻を紹介する。さすがに中国まで行くのをためらう健だが、健の好きなコーヒーを宝物の100円硬貨で買い、揺れてこぼしながらも一生懸命届けてくれたタングの優しさに触れて決心する。こうして健とタングは深センに向かう・・・

近未来の深センは、ロボット科学の最前線で、マッピング映像にあふれた様子はとても華やかな大都会。アメリカではなく、中国であることが何とも言えない。ここから物語は動いていく。何やら怪しげな2人組がタングを「誘拐」する。ここからタングにまつわる陰謀が露になっていく。そんな陰謀を縦糸に、健の過去と妻の絵美との物語を横糸にドラマは進んでいく。健が自信を失くしたのにもそれなりに理由がある。

そこからのストーリーはなんとなく子供向けという内容。悪の親玉を演じるのは武田鉄矢。面白いキャスティングであるが、それだけ。子供向けの映画であると考えれば納得できるが、大人にはちょっとキツイ。もっともこの映画を観ようと思ったのは満島ひかりが出演していたから。その目的では満足いくので、何を求めるかで感想も異なるだろう。この手のロボットドラマではどこかで見たようなストーリーの焼きまわし感は否めない。ストーリーを観ていくのは子供と一緒がいいかもしれない。

個人的には満島ひかりを観て満足の一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年03月07日

【潜伏SENPUKU】My Cinema File 2979

潜伏.jpg

2013年 日本
監督: 保坂延彦
出演: 
土屋貴子:波子/松岡祥子
なだぎ武:山路
東野克:
真由子:
宮下雄也:

<シネマトゥデイ>
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地下鉄サリン事件をはじめ、数々の社会的事件を引き起こしたオウム真理教の元信者、菊地直子の17年間にわたる逃亡生活をモデルにした人間ドラマ。指名手配犯として逃亡、潜伏を続ける新興宗教団体の女性信者と、彼女をかくまい続けた同居男性の出会いと別れを、ドキュメンタリータッチで描く。監督は、『そうかもしれない』などの保坂延彦。お笑い芸人のなだぎ武と、『さまちゃれ 泣かないで、マンドリン』などの土屋貴子が同居人と信者を演じる。
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人目を避けるようにして1人の女性がアパートに帰ってくる。近所の人に話しかけられてもあいまいに返事をする。部屋の中は殺風景で、生活感がまるで感じられない。そんな部屋の中で男が座禅を組んでいる。部屋に入った女は質素なジャージに着替えをすませると、隣に座って同じように座禅を組む。しばらくして欲情した男が女の上に乗る。しかし、女の目はどこかうつろで、男の行為が終わるのをひたすら待っている感じである。

冒頭から意味ありげな様子の2人だが、実は2人とも「カーマの家」という新興宗教の信者である。その前は4人であったが、逃亡生活を送っているようで、リーダーの指示で男女2人ずつのペアに分かれる。女は波子という偽名を与えられる。男はタサカ。逃亡資金をもらい波子はサカタととあるホテルに身を寄せる。交わると告げるタサカに、女は教義に反するのではと反論するが、教祖の例を持ち出してタサカは説得する。互いにもう1人の相手の方が良かったのではと言い合う。

波子とタサカはともに全国指名手配されている。その内容からどうやらこれはオウム真理教のことだろうとわかってくる。やがてタサカと波子はアパートを借りて一緒に住み、社会に溶け込む。波子はとある会社で事務員として職を得る。少し表情が暗いが、仕事はよくでき、社長の覚えもめでたい。そんな波子はある日、会社の同僚の山路から食事に誘われる。どうやら山路は波子に好意を抱いており、波子もまんざらではない。しかし、逃亡犯だという事実が波子の心に重くのしかかる。

それでも人の心は抑えきれぬもの。波子もいつしか山路に惹かれていく。そして波子は山路に同棲相手がいる事を伝える。そこでどう反応するかで男の気持ちも確かめられる。山路は考えがあって会社を辞めるが、改めて波子に告白し2人は一緒になる事になる。波子も仕事を辞めて老人ホームの事務員になり、2人の新しい生活が始まる。やがて波子は仕事に慣れ、同僚たちからも信頼を寄せられるようになる。しかし、本名である松岡祥子の顔写真付きのポスターが貼られ、懸賞金がかけられるニュースに波子の心中も穏やかではない。

実際の逃亡生活はどんなものか、一般人には想像しにくいものもある。たとえば波子は病気になるが、保険証を持っていないので病院にもいけない。山路からプロポーズされるが、波子は結婚はできないと言う。それは住民票が本人の名前でしかなく、籍を入れるにもリスクがある。そうした状況がさり気なく描かれる。指名手配されて逃亡している身であればこうした不自由は当然であるからおかしな事ではないが、そうした実態を改めて知るという意味では参考になる映画であると言える。

実在のオウム真理教の元信者をモデルにした映画であるとされているが、どこまで事実を描いているのかわからない。実際にはあまり犯罪行為には関わっていなかったそうであるが、ならばもっと早くに出頭してもよかったようにも思えてしまう。タサカという男も不思議な男で山路がタサカに会いに行った時の行動は不思議な対応と言える。面白いかどうかと問われれば、微妙な内容。それでもそういう事実(フィクションが入っていたとしても)を知るという意味では有意義な映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年03月06日

【ピザ!】My Cinema File 2978

ピザ!.jpeg

原題: Kaakkaa Muttai
2014年 インド
監督: M・マニカンダン
出演: 
J・ヴィグネシュ:兄
V・ラメシュ:弟
アイシュワリヤー・ラジェシュ:母
ダヌシュ:ピザ屋オーナー

<映画.com>
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インドのスラム街を舞台に、1枚のピザをめぐって少年たちが巻き起こす騒動を描いたハートフルコメディ。貧困や差別といった社会問題を盛り込みながら、幼い兄弟の日常を生き生きと映し出す。南インドの都市チェンナイにあるスラム街で、母や祖母と暮らす幼い兄弟。父親は勾留中で、兄弟は線路沿いに落ちている石炭を拾って家計を助けている。ある日、スラム街の近くにピザ店がオープンする。生まれて初めてピザを見た兄弟は食べてみたいと熱望するが、その値段は彼らが1カ月働いてようやく手に入る金額だった。懸命に働いてお金を貯めた兄弟は、意気揚々とピザ店へ向かうが……。
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インドのスラム街に住む兄弟の物語。小さな部屋に祖母、母と小学生くらいの兄弟2人の4人が暮らしている。身を寄せ合って寝ている姿は、プライバシーなどまったくない。夜中におねしょをして目覚めた次男。あわてて床に流れた尿をふき取ると、それを隠してまた寝る。一家の父親は理由はわからないが、逮捕されて収監されており、母親はお金を工面しては弁護士に渡して何とか釈放してもらえないかと願っている。しかし、保釈金が足りずに状況は改善されない。

そんな家庭の事情をよく理解していない兄弟は、友達と空き地で遊び、貧しいながらも楽しく日々を送っている。スラム街近くの空き地では、友達がクリケットで遊んでいるが、兄弟はそれに見向きもせず、木に登る。そしてカラスの巣から卵を盗んで食べる。3個のうち、1個は巣に残す知恵も供えている。また兄弟は、線路に行って石炭を拾ってお金にする。石炭車が通るたびに、振動で落ちる石炭を拾い集めるのである。売ったお金は母親に渡し、生活費の足しにしてもらう。

そのスラム街には柵で囲われた公園があり、金持ちの子供がラジコンで遊んでいる。柵の中にはスラムの子供は入れない。それでも子供同士、柵越しに仲良くなる。着ている服からして貧富の差は明らかである。そんなある日、いつもの空き地が立ち入り禁止になり、カラスの木も斬り倒される。建設工事が始まり、やがてピザ屋がオープンする。人気俳優シンブが開店セレモニーに招かれてやって来て、ピザを食べる。兄弟はその美味しそうな映像を見て、どうしてもピザが食べたいと思う。

しかし、ピザの値段は1枚300ルピー。それはスラム街の住人にとっては1ヶ月分の給料に相当する。お金の価値がわからない兄弟だが、コンテナ一台分の石炭と言われて絶望的な気持ちになる。さらにピザの配達員と話した兄弟は、住所はどこかと聞かれて答えられない。祖母に聞いても同様。どうやらスラム街には「住所」がない。それだとたとえお金があっても配達してもらえない。インドの貧困レベルは日本とは比べ物にならない。

それでも兄弟はどうしてもピザが食べたい。大人の分別であれば諦めもつくのかもしれないが、子供ゆえか兄弟はお金を貯めることにする。線路で石炭を拾うがとても足りない。そこで友達になった大人(通称ニンジン)から石炭置場を教えてもらう。線路脇に落ちているのを拾うよりもはるかに効率的。2人はせっせと石炭を集めて換金所へ持っていく。しかし、落ちているものならともかく、石炭置場のものには所有権があり、2人の行動は窃盗である。やがてニンジンが窃盗で辞めさせられてしまう。

そう言えば、以前『スタンリーのお弁当箱』(My Cinema File 1314)というインド映画を観たが、歌も踊りも登場せず、庶民の暮らしがベースになっているという点でこの映画は共通するものがある。大国ではあるが、貧富の差は激しい。ストーリーはピザを食べようとする兄弟の奮闘記であるが、背景に描かれるスラム街の生活も興味深いものがある。見かねた祖母がピザのチラシを参考にそれらしきものを作ってくれる。生き生きと材料を買いに行き、ワクワクしながらそれを食べる兄弟。一口食べてがっかりする。微笑ましい一方、切ない思いに駆られる。

そして兄弟はなんとか300ルピーを集める。奇跡に近いが、2人の執念は見事である。しかし、意気揚々とピザ屋へ向かった2人は、なんと守衛に追い返されてしまう。汚い身なりをした子供ゆえの行動であるが、貧困層の現実なのであうか。それでもあきらめきれない兄弟は、ならばとキレイな服を買う為に再びお金を貯めることにする。あの手この手で創意工夫を重ねる2人の姿はひたすら好ましいものがある。それにしても、2人の前には次々に難問が立ちふさがる。金持ちの子が着る服を買おうと、シティセンターにバスに乗って行くが、そこでも身なりで追い返されてしまう。貧困層の子は入口にも立てないのである。

そんな深刻な状況であるのに、映画はどこか明るい。それはたぶん2人の兄弟が貧乏に苦しむことなく(生まれた時からそれが当たり前の環境なので)、生きているからだろう。金持ちの子供に対しても卑屈になる事はない。逆に金持ちであるがゆえに(不衛生だから)買ってもらえない路面で売っているお菓子と、服を交換するしたたかさが兄弟にはある。そしてせっかく貯めた300ルピーなのに、祖母の葬儀代に困る母親に迷わず差し出す優しさが兄弟にはある。紆余曲折を経て兄弟はとうとう念願のピザを食べる。その感想が実に面白い。

昔の歌にあったが、ボロは着てても心は錦。貧しくとも明るい兄弟の姿に心が和む。『スタンリーのお弁当箱』(My Cinema File 1314)もそうであったが、たくましく生きるインドの子供たちの姿がまぶしく見える一作である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の国の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする