2025年03月05日

【ヴェノム ザ・ラストダンス】My Cinema File 2977

ヴェノム ザ・ラストダンス.jpg

原題: Venom: The Last Dance
2024年 アメリカ
監督: ケリー・マーセル
出演: 
トム・ハーディ:エディ・ブロック/ヴェノム
キウェテル・イジョフォー:ストリックランド将軍
ジュノー・テンプル:テディ・ペイン博士
リス・エバンス:マーティン
ペギー・ルー:ミセス・チェン
アラナ・ユーバック:ノア
スティーブン・グレアム:マリガン刑事
クラーク・バッコ:セイディ
アンディ・サーキス:ヌル
クリスト・フェルナンデス:バーテンダー

<シネマトゥデイ>
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トム・ハーディが主人公を続投し、マーベルコミックに登場するキャラクター、ヴェノムを描く『ヴェノム』の第3弾。ヴェノムの秘密が明らかになり、それを狙う地球外生命体のシンビオートとの激しいバトルを映し出す。監督などを務めるのは、前2作で脚本などを担当したケリー・マーセル。『死の谷間』などのキウェテル・イジョフォーのほか、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンスらがキャストに名を連ねる。
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『ヴェノム』(My Cinema File 2159)『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(My Cinema File 2581)に続くシリーズ第3弾。どこか宇宙の果てで物語は始まる。ヌルと呼ばれる存在が閉じ込められている。自由になるためには「コーデックス」という鍵が必要であり、それを探し求めて怪物ゼノファージを放つ・・・

そんなことは露とも知らないエディ・ブロックは、本業はどこへやら。ヴェノムとともにメキシコのバーで酔っ払っている。しかし、少々状況はややこしい。サノスによって人類の半分が消失した5年間があったとバーテンダーが語る。ところがそのバーテンダーが変わる。と言っても別人というより同じ人物だが別の同一人物。このところマーベルはいくつもの次元を取り入れているのでややこしいが、別の世界のバーテンダー(あるいはエディが別の次元に飛んだのか)のようである。

ヴェノムは触手を伸ばし、ノリノリで勝手なカクテルを作る。ふとニュースを見ると、エディは指名手配犯になっている。前作でパトリック・マリガン刑事を殺害した容疑である。いつの間にかエディが殺害したことになっている。酔ったままバーを出て、夜の町を歩き、いつの間にか倉庫のようなところに来ている。たくさんの犬が檻に入れられており、いつのまにか良からぬ風体の連中に囲まれている。しかし、エディとヴェノムの力を借り、相手を倒してしまう。

一方、エディがいたバーにレックス・ストリックランドが現れ、バーテーブルに残っていたヴェノムの一部を回収し、去っていく。そして、エリア51の軍施設に来るとレックス・ストリックランドはシンビオートのサンプルをサディ・クリスマスに渡す。そこにはテディ・ペインという科学者もいる。ペインは幼い頃に双子の兄を亡くし、それが心の傷となっている。その施設には、なんとパトリック・マリガンも運び込まれている。生きてはいるが、シンビオートに寄生されている。

ヌルの求めていた「コーデックス」は、シンビオートが宿主を蘇らせた時に作られるものだという。実はヴェノムがエディを蘇らせた時に作られており、ヴェノムの姿の時にそれが現れる。そして怪物ゼノファージは、それを感知して襲ってくる。このゼノファージは不死のような強さをもっていて、地球上では無敵のヴェノムやシンビオートが束になっても倒せない。そのゼノファージがヴェノムのコーデックスを感知する。今度の物語はエディ+ヴェノムとゼノファージとの戦いとなる。

宇宙人が運び込まれているという噂のあるエリア51だが、表向き廃止が宣言されるが、その地下ではシンビオートの研究が秘密裏に行われている。さまざまなシンビオートが捕獲されていて、それが後半では意外な形でゼノファージと対峙する。それにしても、よくわからないのがコーデックス。宿主を蘇らせた時に作られるのであれば、もういくつも作られていそうな気もする。特にマリガンは蘇ってはいないのだろうかと疑問符がつく。

ストリックランドとゼノファージという2つの勢力に追われることになったエディ+ヴェノム。1匹でも手ごわいゼノファージが次々に現れる。ヴェノムは知恵も動員して最後の勝負に挑むが、このシリーズはこれで終わりなのだろうかというエンディング。終わりと見せかけてまた復活するのだろうか。それはよくわからないが、終わるのも惜しい気がする。まだまだ続いてほしい一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年03月01日

【犯罪都市 THE ROUNDUP】My Cinema File 2976

犯罪都市 THE ROUNDUP.jpg

原題: The Roundup
2022年 韓国
監督: イ・サンヨン
出演: 
マ・ドンソク:マ・ソクト
ソン・ソック:カン・ヘサン
チェ・グィファ:チョン・イルマン
パク・ジファン:チャン・イス
ホ・ドンウォン:オ・ドンギュン
ハジュン:カン・ホンソク
チョン・ジェグァン:キム・サンフン

<シネマトゥデイ>
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マ・ドンソク主演『犯罪都市』の続編で、韓国とベトナムを行き来しながら容疑者らを追い詰めていく刑事たちの死闘を描くクライムアクション。韓国の強行犯係の腕利き刑事たちが、凶悪犯を追い詰める。監督を手掛けるのはイ・サンヨン。マ・ドンソクが主人公を演じ、『恋愛の抜けたロマンス 』などのソン・ソックをはじめ、前作でもマ・ドンソクと組んだチェ・グィファ、パク・ジファンらが出演している。
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プロレスラー並みの肉体で犯罪者たちをちぎっては投げの活躍を見せたマ・ソクト刑事のシリーズ第2弾。冒頭、スーパーで刃物を振り回し、人質を取って立て籠もる事件が発生する。遠巻きに取り巻くだけの警察官たちを横目に、ずかずかと店に入っていき、あっという間に犯人を取り押さえる。冒頭のご挨拶としてはよくあるパターンであるが、内容に期待させてくれる。ところが、マスコミはこの活躍を警察権力の過剰行使として面白おかしく書きたてる。

頭を抱えたのは上司。しばらくマ刑事をマスコミの眼から離そうと、折からベトナムで身柄を拘束されたユ・ジョンフン容疑者の身柄引き取りの任務を与える事にする。チョン・イルマン警部とともにホーチミン市へと向かう2人。さっそく韓国領事館でジョンフンを尋問する。わざわざ自首してきた理由が怪しい。そこで強引に自白させる。その証言を元に隠れ家にやってきたマとチョンであるが、到着した時にはジョンフンの仲間は殺されている。

まだ隠している事があると、再びジョンフンを尋問にかけるマ刑事。すると仲間が殺されていたとわかり、とうとうジョンフンは金で誘拐や殺害など何でもするというカン・ヘサンと組んでいたことを話し出す。ジョンフンと仲間は、カンとともに韓国人の青年を誘拐し、身代金を要求していたが、誘拐したチェ・ヨンギという青年をカンはあっさり殺してしまう。その残忍さに怯えたジョンフンと仲間は、言われるがまま遺体を埋めさせられたと自白する。

マ刑事は自白に基づいてジョンフンに聞いた場所を掘り返し遺体を発見する。しかも遺体は1つではない。同じような誘拐殺人を繰り返していた事がわかる。しかし、地元のベトナム警察は外国人が勝手に捜査をしていた事を問題視し、中止を命じる。そうは言っても被害者はみな韓国人であり、マ刑事はイルマンと共に密かに、しかしマ刑事らしく強引な手口で調べを進める。

一方、身代金を払ったのに息子を殺害されたチェの父親チェ・チュンベクは、韓国内では金融業で財を成した成功者。金にモノを言わせ、復讐のためにカンを殺すためにヒットマンを雇ってベトナムに送り込む。ヒットマンは確実にカンの足取りを掴んでアジトにやって来る。ところがカンもさる者。残忍なだけでなく、腕もいい。ヒットマンたちを次々に返り討ちにし、逆に依頼主がチュンベクだという事を知る。そこにマ刑事が現れるが、カンには逃げられてしまう。

今回のマ刑事の相手は残忍な殺し屋のカン。カンは自らにヒットマンを送ったチュンベクを殺しに韓国に密航する。舞台を韓国からベトナム、そして再び韓国に移し物語は続いていく。チュンベクもボディーガードに守られているが、カンはそんなものをものともせず、白昼堂々チュンベクを拉致する。そして家族にまたもや身代金を要求する。肉体を揺さぶって活躍するマ刑事。残忍なカンと最後に対峙する。

刑事ドラマはいろいろあるが、ごっつい体のマ刑事がその肉体を武器に犯人を叩きのめして逮捕する。アクション派の刑事ものはめずらしくないが、ごっつい肉体アクションは珍しいと思う。しかし、このアクションが実に心地よい。それにしても主演のマ・ドンソクであるが、少し前の『アンダードッグ/二人の男』(My Cinema File 2419)のあたりでは普通の体であったが、短い期間にパンプアップしたようである。以前よりも確実に今の体型の方がアクション・スターとしてウケるように思う。

今後もシリーズとして続いていくのかどうかわからないが、続くとしたら迷わず観続けたいと思わせてくれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年02月28日

【BLUE GIANT】My Cinema File 2975

BLUE GIANT.jpg
 
2023年 日本
監督: 立川譲
原作: 石塚真一
出演: 
山田裕貴:宮本大
間宮祥太朗:沢辺雪祈
岡山天音:玉田俊二
近藤雄介:宮本雅之
須田美玲:宮本彩花
木下紗華:アキコ

<映画.com>
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2013年から小学館「ビッグコミック」にて連載開始した石塚真一の人気ジャズ漫画「BLUE GIANT」をアニメ映画化。
仙台に暮らす高校生・宮本大はジャズに魅了され、毎日ひとり河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業と同時に上京した彼は、高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込む。ある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会った大は彼をバンドに誘い、大に感化されてドラムを始めた玉田も加わり3人組バンド「JASS」を結成。楽譜も読めずただひたすらに全力で吹いてきた大と、幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈、そして初心者の玉田は、日本最高のジャズクラブに出演して日本のジャズシーンを変えることを目標に、必死に活動を続けていく。
主人公・宮本大の声を人気俳優の山田裕貴が担当し、沢辺雪祈を間宮祥太朗、玉田俊二を岡山天音が演じる。「名探偵コナン ゼロの執行人」の立川譲が監督、原作の担当編集者でストーリーディレクターも務めるNUMBER 8が脚本を手がけ、「幼女戦記」シリーズのNUTがアニメーション制作を担当。世界的ピアニストの上原ひろみが音楽を手がけ、劇中曲の演奏も担当した。
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漫画を原作としたアニメ映画である。物語は仙台で始まる。冬の広瀬川のほとりで雪が深々と降る中、ひとりの高校生、宮本大はテナーサックスを吹いている。世界一のジャズプレイヤーになるという目標を立て、高校を卒業した大は上京する。と言っても行く当てはなく、高校の同級生・玉田俊二の所に転がり込む。そして最初にやったのは練習場所の確保。広瀬川の河川敷と似た場所を探し周り、とある川の高架下をそこと定める。何が大事なのか、それをきちんとわかっている姿に好感を覚える。

そして次にバイト。稼いだお金の一部を居候先の玉田に渡し、東京のジャズバーを巡って演奏させてくれる場所を探す。たまたま通りかかったジャズバー“TAKE TWO”では、ライブはやっていないものの、店主のアキコが店を紹介してくれる。その店は亡き夫がやっていた店。雨の日にあわせたレコードを聞いた大が、雨の日の雰囲気の曲だと呟き、アキコは大の才能を感じる。もうライブをやる事はないが、設備は整っている。以後、“TAKE TWO”は大たちの練習場所になる。

紹介された店を訪れた大は、凄腕のピアニスト沢辺雪祈と出会う。4歳の時からピアノを弾いてきた雪祈は、高校からサックスを始めた大に共感するものはなかったが、大の演奏を聴いて先入観が吹き飛ぶ。それは3年間の練習が並外れたものである事を示しており、雪祈は大と組むことを承諾する。これでピアノとサックスのデュオが誕生する。しかし、ドラムが足りない。その頃、大の同級生・玉田は、毎日好きなことに全力で取り組む大の姿を羨ましく思っている。そんなある時、大がいつも練習している場所へ玉田が顔を出すと、空き缶と枝でリズムを取ってくれと頼む。

一定のリズムで叩き続ける難しさに戸惑う玉田だったが、いつの間にか気付くと夢中で空き缶を叩いている。ジャズの楽しさに気づいた玉田はドラムの練習を始める。素人の玉田とのレベル差に難色を示す雪祈。そこから玉田の猛特訓がスタートする。雪祈もなんだかんだと言いながら見守る。いつしか3人はバンドとして形になっていき、そして雪祈が作曲した「First Note」を引っ提げ、初めてのライブの日を迎える。客は店員をあわせても4、5人程度。それでもこのステージを一生覚えておこうと言って演奏を始める・・・

音楽を題材にした映画は珍しくない。ジャズをテーマにしたのも、ジャズドラムを学ぶ主人公を描いた『セッション』(My Cinema File 1762)や日本映画でも『坂道のアポロン』(My Cinema File 2594)というのもあった。音楽の中でもジャズは比較的マイナーだと思うが、日本の若者的にもウケるのだろうかと思ってみる。

実際に流れるジャズミュージックがどうかという事はよくわからない。バンド名を“JASS”と名付けた3人は老舗の店舗“So Blue”に出演する事を目標にする。大きな目標を立てて邁進していく若者の姿はまぶしい。特に主人公の大はぶれない。仲間を大事にし、目先の利益よりもその先を見据えて行動する。次第に彼らを応援する人が増えていく。音楽の物語であるが、音楽は主役ではない。3人の“JASS”の成長の物語である。そしてとうとう念願の“So Blue”に出演する事になるが、それは大にとって世界一への1つの過程にしかならない。

タイトルの由来は、「若く熱いプレイヤーのことをブルージャイアントと呼ぶことがある」と語られる。なかなか熱いアニメ映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2025年02月24日

【STAND BY ME ドラえもん】My Cinema File 2974

STAND BY ME ドラえもん.jpg
 
2014年 日本
監督: 八木竜一/山崎貴
原作:藤子・F・不二雄
出演: 
水田わさび:ドラえもん
大原めぐみ:のび太
かかずゆみ:しずか
木村昴:ジャイアン
関智一:スネ夫
萩野志保子:出来杉
三石琴乃:のび太のママ
松本保典:のび太のパパ
田原アルノ:しずかのパパ
妻夫木聡:青年のび太

<映画.com>
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藤子・F・不二雄生誕80周年を記念して製作された「ドラえもん」シリーズ初の3DCGアニメーション。原作から厳選されたエピソードを再構成し、ドラえもんとのび太の出会いから別れまでを描いた。「フレンズ もののけ島のナキ」を手がけた八木竜一と『永遠の0』 『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴が共同監督。何をやらせても冴えない少年のび太のもとに、22世紀の未来から、ネコ型ロボットのドラえもんがやってくる。のび太の孫の孫にあたるセワシが、ご先祖様であるのび太の悲惨な未来を変えるために送り込まれたドラえもんだったが、当のドラえもんはあまり乗り気ではない。セワシはそんなドラえもんにやる気を出させるため、のび太を幸せにしない限り22世紀に帰ることができないプログラムを仕込む。かくして仕方なくのび太の面倒をみることになったドラえもんは、のび太がクラスメイトのしずかちゃんに好意を抱いていることを知り、のび太としずかちゃんが結婚できる明るい未来を実現するため、数々の未来の道具を駆使してのび太を助けるが……。トヨタ自動車のCMで大人になったのび太を演じている俳優の妻夫木聡が、青年のび太の声優として参加している。
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「ドラえもん」は息の長いアニメである。初めて漫画を読んだのは小学生の頃だったように記憶している。テレビのアニメも観ていた記憶がある。そんな長寿アニメの映画化作品。何となく子供向けでもう卒業した気分でいたが、どうにも評判が高いので観てみる気になった映画。監督に山崎貴の名前があればそれだけで一見の価値があるだろうと判断。

ある日、勉強もスポーツも何をやらせても冴えない少年のび太の元に、22世紀の未来からのび太の孫の孫にあたるセワシと、ネコ型ロボットのドラえもんが現れる。ご先祖様であるのび太のあまりにも不甲斐ない未来に、その子孫たちにも大きな悪影響があり、その未来を変えようとドラえもんを連れてきたことを伝える。セワシはドラえもんに成果を上げさせるため、「のび太を幸せにしない限り22世紀に帰ることができない」というプログラムをセットして帰って行く。こうして、ドラえもんは、のび太の面倒をみることになる。

毎朝、のび太は寝坊をして先生に怒られて立たされる。スネ夫に嫌味を言われてからかわれるのもいつもの事。しかし、その朝はドラえもんが「どこでもドア」を出してのび太の遅刻を防ぐ。そう言えばこのどこでもドアは心底欲しいなと思ったものである。夜の町をタケコプターで飛ぶ。しずかちゃんやジャイアン、スネ夫などのお馴染みのメンバーとドラえもんのひみつ道具で遊ぶ。しかし、そこには子供の教育にいい事もこっそり含まれている。

のび太はしずかちゃんに憧れているが、成績優秀でスポーツ万能な出来杉を見てしまうと自分との差を見せつけられて落ち込む。そこでドラえもんは、ポケットから「刷り込みたまご」を取り出す。それは動物の「刷り込み」を利用し、たまごから出て最初に目にした相手が好きでたまらなくなる道具。その目論見は失敗するが、人に好かれたいと思ったら道具に頼ってやるものではないという当たり前の事に気付かされる。

「道具に頼り過ぎている」と指摘されたのび太は反省して次のテストに向けての勉強をする。それは結局、その日のテスト内容は「漢字」なのに「算数」の勉強をして失敗するのであるが、自分で何とかしようという意欲は立派である。どんな子でものび太ほど悪くはないだろう。そんなのび太でさえ頑張る姿を見せれば、子供も頑張ろうと思うかもしれない。単なるアニメに終わらず、教育的内容がともなっているのがいい。

物語はいくつかのエピソードを交えて進んでいく。のび太とドラえもんは次に未来に行き、相変わらずふがいない自分の姿を目にする。秘密道具で大人の姿になったのび太は、雪山で遭難しかかっているしずかを助けに行くが、ここでもやっぱりふがいなさが出てしまう。機転を利かせてピンチを脱したのび太。いろいろとあって未来は変わるが、その結果、ドラえもんが帰ることになる。そのエピソードは良く知られているが、やっぱりちょっと感動的である。

単なるアニメではあるが、単なるアニメに終わらない。1つ1つのエピソードに大人でも当てはまる教訓が込められている。単なる子供向けアニメには終わらせられないものがある。なるほど、評判に嘘はない。他の『ドラえもん』の映画版はわからないが、この映画は大人でも観る価値はある。長い年月を「現役」で通用しているだけのことはある。大人も心温まる映画である・・・


評価:★★★☆☆








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2025年02月23日

【余命10年】My Cinema File 2973

余命10年.jpg

2022年 日本
監督: 藤井道人
原作小坂流加
出演: 
小松菜奈:高林茉莉
坂口健太郎:真部和人
山田裕貴:富田タケル
奈緒:藤崎沙苗
井口理:三浦アキラ
黒木華:桔梗
田中哲司:平田先生
原日出子:百合子
リリー・フランキー:梶原
松重豊:明久

<映画.com>
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小坂流加の小説を原作にしたラブロマンス。難病で余命10年の女性と、彼女の同窓生である男性が恋に落ちる。メガホンを取るのは『宇宙でいちばんあかるい屋根』などの藤井道人。主演は『恋する寄生虫』などの小松菜奈、『仮面病棟』などの坂口健太郎。『おとなの事情 スマホをのぞいたら』などの岡田惠和、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」などの渡邉真子が脚本を務め、『天気の子』などのRADWIMPSが音楽を手掛けている。
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物語は2011年から始まる。入院していた主人公の茉莉は、同室の患者からビデオをもらう。その患者は幼い子を残して亡くなる。茉莉はまだ二十歳だが、10年以上生きる人はほとんどいないといわれる難病の肺動脈性肺高血圧症を患っている。2年間という長い入院生活を終えて退院の日を迎えた茉莉は、もらったビデオを回しながら家族と共に帰宅する。学生時代の友人たちとも再会し、楽しく過ごした帰り道、沙苗から出版社で一緒に働かないかと誘われるが、茉莉は笑顔で断る。

2014年。病気は小康状態。茉莉は、久しぶりに同窓会に出席する。茉莉は病気のことは隠し、東京でOLをしているとみんなに嘘をつく。地元に残っているのが大半な中、茉莉と同じように東京に出ている和人と再会する。一次会が終わると、飲み過ぎて気分が悪くなった和人を介抱しながら、茉莉は学生時代の思い出話をする。何かを思いつめたような表情の和人は、その後、自室のベランダから飛び降りる。幸いにも命をとりとめた和人。親とは絶縁しているようで、行きがかり上、茉莉は同じく同窓生のタケルと一緒に見舞う。

和人なりに生きる事に意味を感じられずの行動だが、余命宣告を受けている茉莉には受け入れられるものではない。そんな気持ちを隠して席を立つ茉莉。後日、病院で茉莉が母親といるのをみかけた和人は、茉莉の母親が病気だと勘違いし、茉莉が自殺しようとした自分に腹を立てたのは母を思ってのことだと和人は誤解する。茉莉とタケルが「焼き鳥屋げん」で開いてくれた退院祝いの席で、和人は茉莉に謝る。帰り道の桜並木でカメラ撮影をしながら茉莉は、和人と話をする。今後の展開を予感させる雰囲気である。

やがて茉莉は在宅で沙苗の出版社のウェブライターの仕事を始め、和人も「焼き鳥屋げん」で働き始める。それぞれ前を向いて歩いていく。2016年、茉莉の姉の桔梗が結婚する。茉莉は陰で親戚が自分の病気の事を話しているのを聞いてしまう。和人との関係は良好だが、余命を考えて恋を避ける茉莉は、和人から告白される。しかし、ひどい息切れを起こしてその場に倒れて救急搬送され、茉莉の病は和人の知るところとなる・・・

タイトルからして死別系悲恋モノという感じがしていたが、どうやら実話をベースとした小説が原作のようである。ふだん、当たり前のように生きている我々は、命が無限だとは思わないが、その期限を意識することはない。しかし、病気などで余命を知らされると、途端に生きる日々が大事になる。茉莉は「あと10年しか生きられないとしたらあなたは何をしますか?」とした小説の執筆に取り掛かる。それを読んだ友人の沙苗は、涙を流しながら世に出そうと話す。

余命宣告を受けてしまうと、相手の事を考えると恋愛には消極的になる。それは相手の時間を奪う事にもなり、どうしても遠慮が出てしまう。茉莉もそうして身を引くが、帰宅して母親にすがり、もっと生きたいと言って泣くシーンは心に迫るものがある。もしも、自分の娘だったらと親としては切なく思う。単なる「お涙頂戴悲恋ストーリー」を予想していたらちょっと違った。主演の2人の共演も好印象の映画である・・・


評価:★★★☆☆








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2025年02月22日

【52ヘルツのクジラたち】My Cinema File 2972

52ヘルツのクジラたち.jpg
 
2024年 日本
監督: 成島出
原作: 町田そのこ
出演: 
杉咲花:三島貴瑚
志尊淳:岡田安吾
宮沢氷魚:新名主税
小野花梨:牧岡美晴
桑名桃李:少年
金子大地:村中真帆
西野七瀬:品城琴美
真飛聖:三島由紀
池谷のぶえ:藤江
余貴美子:岡田典子
倍賞美津子:村中サチエ

<映画.com>
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2021年本屋大賞を受賞した町田そのこの同名ベストセラー小説を、杉咲花主演で映画化したヒューマンドラマ。
自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく。
杉咲が演じる貴瑚を救おうとするアンさんこと岡田安吾を志尊淳、貴瑚の初めての恋人となる上司・新名主税を宮沢氷魚、貴瑚の親友・牧岡美晴を小野花梨、「ムシ」と呼ばれる少年を映画初出演の桑名桃李が演じる。「八日目の蝉」「銀河鉄道の父」の成島出監督がメガホンをとり、「四月は君の嘘」「ロストケア」の龍居由佳里が脚本を担当。タイトルの「52ヘルツのクジラ」とは、他のクジラが聞き取れないほど高い周波数で鳴く、世界で1頭だけの孤独なクジラのこと。
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大分の海沿いの町に1人の女性が越してくる。そんな田舎に女性が1人となると、何か「訳アリ」かと思ってしまう。事実、長く使われていなかったらしいその家の修繕に来た地元の業者の若者は、「都会で風俗嬢をしていたという噂は本当ですか?」と訪ねて先輩に叩かれる。問われた女性貴瑚(キコ)も笑うしかない。貴瑚にとって、その家は祖母がかつて住んでいた家。祖母もまた芸者をしていて、地元の夫人たちに悪く言われていた過去がある。

1人でいる貴瑚は時折「アンさん」と心の中で語りかける。やはり過去に何かあったようである。そして港で1人の少年と出会う。髪が長く、まるで少女のような少年。そして貴瑚には腹に傷跡があり、ちょっとした拍子に激痛が走る。そして物語は、貴瑚の過去へと遡る。幼少期から母親からの虐待を受ける。さらに高校を卒業して以来、母親の再婚相手の介護に明け暮れる。再婚相手も介護という年齢だったのかよくわからないが、付きっきりの介護は若い貴瑚にとっては虐待の延長に等しい。

そして介護に明け暮れる日々を送るが、ある日義父は誤嚥を起こし、肺炎も加わり救急搬送される。この事態に母は貴瑚を罵倒する。身も心も疲弊した貴瑚は、ふらりと病院を出て街を彷徨い車に轢かれそうになる。そこに偶然通りかかったのが、高校時代の親友・牧岡美晴と彼女の同僚だった岡田安吾(アンさん)であった。事情を聞いたアンさんは、貴瑚を救うために奔走する。義父の介護施設の資料を集め、貴瑚の母の元に向かう。余計な口出しをなじる母に構わずアンは貴瑚を家から連れ出す。

貴瑚は、しばらくの間、美晴の友人である美音子とルームシェアする。美音子は貴瑚に「52ヘルツのクジラの声」を聴かせる。その声に心を落ち着かせた貴瑚は、それ以降52ヘルツのクジラの声を聴くようになる。そうした経緯から、いつしかアンに思いを寄せる貴瑚であるが、アンはそんな貴瑚の気持ちに気づきながらも貴瑚の気持ちに応えようとはしない。やがて貴瑚はある会社に就職するが、そこでその会社の跡取り息子であり、専務の新名主税(にいなちから)に見初められる。

物語はそんな貴瑚の過去と現在の物語とを描いていく。港で出会った少年もまた実の母親から虐待を受けている。自らの体験もあり少年に寄り添う貴瑚。それにしても、子供を持つ親として、どうして虐待なんかできるのだろうかと思ってしまう。フィクションであるのはわかっていても虐待を受ける2人の子供の様子に心が痛む。タイトルにある“52ヘルツのクジラ”とは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴くクジラのこと。世界に1頭だけしかいない52ヘルツのクジラの声は誰にも届かないとされる。虐待を受ける子供たちを52ヘルツのクジラにたとえたストーリーは胸を打つものがある。

貴瑚と少年がその後、どんな人生を歩んでいくのか。その幸せを心から願いたくなる映画である・・・


評価:★★★☆☆








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2025年02月20日

【あなたの顔の前に】My Cinema File 2971

あなたの顔の前に.jpg

原題: 당신 얼굴 앞에서/In Front of Your Face
2021年 韓国
監督: ホン・サンス
出演: 
イ・ヘヨン:サンオク
チョ・ユニ:ジョンオク
クォン・ヘヒョ:ソン・ジェウォン
キム・セビョク:店の主人

<映画.com>
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韓国の名匠ホン・サンスがベテラン女優イ・ヘヨンを主演に迎え、ひとりの中年女性の心の旅を描いたヒューマンドラマ。長い間アメリカで暮らしていた元女優のサンオクは、突然韓国に帰国し、妹ジョンオクのもとを訪れる。母を亡くして以来ずっと疎遠になっていた家族と再会するサンオクだったが、帰国の理由を明かそうとせず、その内面には深い葛藤が渦巻いていた。思い出の地を巡り、捨て去った過去と向き合いながら、心の拠りどころを見いだしていくサンオクの1日の出来事を描き出す。共演は『技術者たち』のチョ・ユニ、「夜の浜辺でひとり」のクォン・ヘヒョ、『はちどり』のキム・セビョク。ホン監督の公私にわたるパートナーである女優キム・ミニがプロダクションマネージャーを務めた。
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高層マンションの一室。サンオクは、ベッドで眠る妹のジョンオクを静かに見つめているところからドラマは始まる。起き上がったジョンオクは、サンオクに「久しぶりね」と声をかける。どういう事だろうかと訝しく思う。何気ない姉妹の会話。ジョンオクはそれまで見ていた夢の話をするが、具体的な内容については正午過ぎまで話せないと姉に告げる。姉妹は朝食をとりに川沿いのカフェに向かう。2人の平凡な会話が続いていく。

2人の会話からサンオクがどうやらアメリカから帰ってきたらしいとわかる。2人は公園内を歩きながら話に興じる。途中でサンオクとジョンオクは、通りすがりの女性に写真を撮ってほしいとお願いする。写真を撮ってくれと頼まれた女性は、サンオクに向かって昔テレビドラマに出ていなかったかと問う。それほど顔が売れているわけではないのに通りすがりの人がわかったという事に驚く2人。

2人の散歩は続く。話の内容はとりとめもない事。そして2人はジョンオクの息子の婚約者が働く店に行きお茶を飲む。息子もやってきて伯母に挨拶をする。礼儀正しく良い息子である。やがて姉妹は別れ、サンオクは旧知の映画監督と会う。居酒屋のような店で、店主も鍵を預けてどこかに行ってしまう。監督はサンオクに映画を撮ることを提案する。しかも、短いロードムービーのような内容で、2人で旅をしながら撮ろうという。

どういう映画だと観ながら思うも、サンオクも「私と寝たいのか」とはっきり聞く。ほぼ会話だけで成り立っているこの映画、何となく同じように会話だけで成り立っていた『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(My Cinema File 2812)のような感じであるが、この映画は言ってみればもっと退屈である。その退屈感は最後まで消えない。一体この映画で何を訴えたいのだろう。

映画通の人だとこの映画の意味を見出し、素人にはわからない価値がわかるのだろう。ただ、映画を単純に面白いか否かで観る私にとっては心に訴えかけてくるものがなかったと言える。監督のホン・サンスは名匠だとの事、それであればつまらない映画を作るはずもなく、根底に込められた意図があったり、撮り方なども玄人にしかわからない素晴らしさがあるのだろう。ただ、素人の私にはわからない。ただ退屈なだけの映画であった。

タイトルであるが、映画の中でサンオクが語る。「もし顔の前にあるものだけを見ることができたら何も怖くない」と。実はサンオクは医者に余命宣告を受けている。人は普通だれでも余命などわからない。それが突然、目の前に突きつけられる。そういうところを鑑みると、深い意図がありそうにも思うし、おそらくそういうところを含んだタイトルなのだろう。しかしながら、全体としてはどうにも眠気を抑えにくいものである。

この映画を「素晴らしい」と評価できる眼を自分も持ちたいと思うが、現状それはかなわない。それが残念な映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 22:12| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする