2025年10月03日

【ダーケスト・マインド】My Cinema File 3070

ダーケスト・マインド.jpeg

原題: The Darkest Minds
2018年 アメリカ
監督: ジェニファー・ユー・ネルソン
出演: 
アマンドラ・ステンバーグ:ルビー・デイリー
ハリス・ディッキンソン:リーアム・スチュワート
ミヤ・チェフ:スズメ / ズー
ブラッドリー・ウィットフォード:グレイ大統領
マンディ・ムーア:ケイト・ベグビー医師

<映画.com>
********************************************************************************************************
超能力を持つ子どもたちが未来を懸けた戦いに挑む姿を描いた近未来SFアクション。「カンフー・パンダ」シリーズのジェニファー・ユー・ネルソン監督が、アレクサンドラ・ブロッケンのヤングアダルト小説を実写映画化した。全米で謎の病気が流行し、約90%の子どもが死亡した。生き残った子どもたちは超能力を手に入れ、各地で事件が続発する。政府は事態の収拾を図るため、彼らを能力別の5色に色分けして強制的に収容所へ送り込む。その中のひとりである10歳の少女ルビーは、自分が政府に脅威とみなされる「オレンジ」であることを知る。数年後、収容所で厳しい生活を強いられていたルビーは、反政府組織のメンバーであるケイトの助けを得て脱出。政府に追われながらも、同じく超能力を持つ仲間たちとともに戦いに身を投じていく。主演は『ハンガー・ゲーム』のアマンドラ・ステンバーグ。
********************************************************************************************************

SFはさまざまな「前提条件」から成り立っている。その前提条件によって物語の面白さも左右されると考えている。この映画は、原因不明の病によって子供達の90%以上が死亡してしまった世界という前提であるが、これが物語にどう影響しているのかというと、大して影響していない。この前提があってもなくても物語自体には大して影響がない。むしろなんでこんな前提条件をつけたのだろうと首を傾げざるを得ない。そんな映画である。

IAANと名付けられた謎のウィルスによって子供たちが次々と死亡する。主人公のルビーの通う学校のクラスメイトも1ヶ月で半分が死んでしまう。奇跡的に生き残ったルビーは10歳の誕生日を迎え、両親から「ぐでたま」のキーホルダーをプレゼントされ幸福のさなかにいる。その夜、ルビーは眠っている両親のベッドを訪れ、私のことで不安を感じないで欲しいと心から願う。その時、ルビーの瞳がオレンジ色に輝く。

翌朝、目を覚ましたルビーだが、両親はルビーのことがわからない。どこの子供かと訝しがり、見知らぬ子供の存在に動揺した両親は政府に通報し、ルビーは収容所へと隔離されてしまう。どうやら生き残った子供たちを政府は収容所に収容しているようである。そこでは、子供達が能力別に色分けされて管理されている。瞳がグリーンに光る子供達は高度な知能を持ち、ブルーはサイコキネシス、イエローは電気を自在に操り、オレンジとレッドは最も危険だとされている。なぜか生き残った子供たちは超能力を身につけている。

ルビーは色分けの際、収容所の医師にオレンジであると判定される。オレンジは危険分子につきすぐに処分されることになっていて、医師は注射をしようとするが、ルビーには相手の思考を操れる能力がいつの間にか備わっていて、医師を操って自分をグリーンだと信じ込ませる。そうして6年の歳月が過ぎる。16歳になったルビーはグリーンに紛れて労働に徹していたが、グリーンの割には覚えが遅いことを疑問視され精密検査を受けることになる。そしてその結果、オレンジであることがバレてしまう。

マクマナス大尉はこれを受けてルビーを処分しようとするが、担当医として検査に当たった医師のケイトがルビーを連れて収容所から脱走する。ルビーを助けたケイトだが、リーグという反政府組織に属している。同じ組織のロブと合流し、逃走を続けるが、ふとした弾みでロブの腕に触れたルビーは、リーグが政府と同じように子供達を集めている実態がわかってしまう。ルビーには相手の思考を読み取る力がある。ケイトとロブを信用できなくなったルビーはタイミングを見て逃げ出し、偶然居合わせたリーアム、ズー、チャブスの乗るバンに駆け込む。

こうした脱走能力者に対し政府は懸賞金を賭けており、賞金稼ぎが常に後を追っている。リーアムらはその中の1人であるレディ・ジェーンに追われている。何とかケイトとレディ・ジェーンを振り切った4人は、物資調達のため廃モールに立ち寄るが、そこでモールで生活している子供達と遭遇する。そして彼らからスリップキッドをリーダーとして逃亡生活を送っている子供達が集まっているキャンプ「イーストリバー」の話を聞く。ルビーたちは自分たちの安住の地としてイーストリバーへ向かうことにする・・・

結局のところ、IAANというウィルスは、子供を死なせるか超能力を身につけさせるものだったんだろうと推測する。生き残った子供たちにはそれぞれ大小はあるものの、特殊能力が備わっている。ルビーの能力は相手の思考を読み、それを思うようにコントロールするもの。リーアムのそれはテレキネシス。木を引っこ抜いて追手の車にぶつけるなんて芸当ができてしまう。こうした能力者がその能力のゆえに危険視されて迫害される様子は『X−メン』シリーズと同じである。

主人公のルビーは意図せずして最強の能力を持ち、ゆえに危険視されるが、同じような仲間たちと出会い、黒幕と対峙し、出会いと別れがあって成長し、生きる道を見つけていくという物語。どこか既視感あふれるストーリー展開は仕方ないのかもしれない。それにしても子供達と対峙してどうするのだろうと思われていたが、黒幕の子供が出てきてなるほど感はあった。ただ、そのうちすぐに忘れてしまうだろうなと思われる。これといったインパクトがないのが原因であるが、そういう影の薄い映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月01日

2025年7-9月ベスト3

この3か月は夏休みもあり、例年鑑賞本数が増える。今年は42本であり、昨年の47本に比べて5本少ない。さらに内容的にもインパクトのある映画はそれほどでもなく、小粒感が漂う。小粒は小粒なりに良さがあったりするので、観なければ良かったと後悔させられるものがなかったのが良かったところでもある。そんな42本の中から、ベスト3を選んでみた。

第1位:『善き人のためのソナタ』(My Cinema File 3052)

善き人のためのソナタ.jpeg

東西冷戦時代の東ドイツが物語の舞台。悪名高き秘密警察シュタージに勤務する主人公。仕事ぶりは優秀で、冷徹な官吏そのもの。上司よりも優秀であることが伺えるほど。そんな主人公が監視対象として目を付けたのが、ある舞台監督。女優とともに暮らしているが、盗聴装置を仕掛け、その生活を聞いているうちにそれまでとは異なる感情が生まれてくる。そのきっかけとなったのが、「善き人のためのソナタ」というピアノ曲。社会主義の特権を謳歌する大臣と上司。その中で主人公と舞台監督との言葉を介さないやり取りが胸を打つ。
こういう映画を観ないのは人生の損失だと思わされる一作である・・・

第2位:『この茫漠たる荒野で』(My Cinema File 3062)

この茫漠たる荒野で .jpg

西部開拓時代のアメリカの物語。西部劇と言えば、昔はドンパチが中心でインディアンが悪役で、インディアンと戦うか町を牛耳る悪役と正義の白人ガンマンが戦うというのが主流だった。しかし、今やそんな流れは変わり、濃厚な人間ドラマが主流となっている。主人公は元南軍の大尉。ひょんな事からインディアンに両親を殺され、拐われて育てられた少女を拾う。英語が話せない白人の少女を成り行きから親戚の家に届ける事になったが、広大な西部を旅するうちに心が通じ合うようになる。

人々はみな自分のことで精一杯。そんな中で他人のために力を尽くす主人公の行動に心を動かされる。トム・ハンクスの主演映画にハズレはないと今回も思わされる一作である・・・

第3位:『夏目アラタの結婚』(My Cinema File 3045)

夏目アラタの結婚.jpg

児童相談所で働く主人公が、ひょんなことから世間を騒がせた連続殺人犯と刑務所で交流することになるが・・・という物語。一審で死刑判決を受けた女囚はいかにも不気味。死刑囚と刑務所で交流するという意味では、『死刑にいたる病』(My Cinema File 2657)と同じような設定であるが、今度は女囚。しかし、この女囚が不気味である。アップになった時の歯が汚いのが強烈なインパクトをもって迫ってくる。犯した罪もバラバラ殺人。女囚に翻弄されながらも隠された真実に迫っていく主人公。主役を演じるのは柳楽優弥であり、ストーリーに引き込まれていく。演技のことなどわからないが、わからないなりに凄いなと感じさせられた映画である・・・

さて、猛暑も少しずつ和んでいくこれからは食欲の秋であり、スポーツの秋であり、映画鑑賞の秋である。鑑賞本数は稼げないが、一本一本楽しみながら鑑賞していきたい。2025年最後の3か月。どんな映画に巡り合えるか。楽しみにしたいと思うのである・・・




posted by HH at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月28日

【首】My Cinema File 3069

首.jpg
 
2023年 日本
監督: 北野武
出演: 
ビートたけし:羽柴秀吉
西島秀俊:明智光秀
加瀬亮:織田信長
中村獅童:難波茂助
木村祐一:曽呂利新左衛門
遠藤憲一:荒木村重
勝村政信:斎藤利三
寺島進:般若の佐兵衛
桐谷健太:服部半蔵
浅野忠信:黒田官兵衛
大森南朋:羽柴秀長
六平直政:安国寺恵瓊
大竹まこと:間宮無聊
津田寛治:為三
荒川良々:清水宗治
寛一郎:森蘭丸
副島淳:弥助
小林薫:徳川家康
岸部一徳:千利休

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『アウトレイジ』シリーズなどの北野武監督が自身の小説を原作に、本能寺の変を描く時代劇。北野監督が脚本などのほか羽柴秀吉役も務め、天下取りを狙う織田信長、徳川家康、さらに明智光秀ら戦国武将たちの野望を映し出す。『ドライブ・マイ・カー』などの西島秀俊、『それでもボクはやってない』などの加瀬亮のほか、中村獅童、浅野忠信、大森南朋、遠藤憲一らがキャストに名を連ねる。
********************************************************************************************************

天正6年、織田家臣・荒木村重が突如謀反を起こしたところから物語は始まる。孤軍奮闘の村重は、反織田勢力である毛利の援軍を頼りにしていたものの、ついに援軍が送られることはなく、立て篭もる有岡城は落城する。しかし、張本人の村重は城を抜け出して逃げおおせてしまう。この事態に信長は激怒。かくなる上は、1番功績のあった人間を跡取りにすると羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、滝川一益ら一同に宣言し、光秀に村重の追跡を命じる。

さらに信長は裏切った村重への制裁のため、村重の家臣や親族を女子どもを含め全員斬殺する。追跡を命じられた光秀だが、もともと村重と親交があったため、織田家中では村重の謀反に関わっているとも噂され、光秀は窮地に立たされる。ところが当の村重は抜け忍の曽呂利新左衛門によって捕らえられてしまう。それと知らぬ光秀は千利休の茶会に招かれ、その場で村重を引き渡される。光秀は村重を亀山城へ連れ帰り、密かに匿うことにする。

一方、曽呂利からその情報を得た秀吉は、曽呂利を召し抱える代わりに遂行不可能と思える二つの命令を下す。曽呂利は旅の途中で、首級を挙げた友人を殺害し侍大将に成り上がろうとした農民・茂助を仲間に加えると、かつて自身が抜けた忍びの里・甲賀に立ち寄る。そこは光源坊という不気味な男が仕切るところ。曽呂利は信長が信忠に送った密書を買い取るという任務を完遂し、次に亀山城に忍び込んで光秀と村重の肉体関係を目撃する。しかし、光秀は間者の存在に気づき、間者が甲賀の人間であると知ると里を襲撃して光源坊を含む里の人間全てを殺害する。

秀吉のもとに戻った曽呂利は、密書を秀吉に見せる。そこには信長が家臣に家督を継がせる気など毛頭なく、信忠に継がせた上で邪魔な家臣を殺害するように記されており、秀吉は激怒する。一方、秀吉の軍師・黒田官兵衛は逆に光秀と密書を利用してある計略を思いつき、秀吉に進言する。秀吉はその計略の実行を命じる。その頃、光秀は村重を匿いつつ、彼を追う任務をしている振りをする危うさから、村重が徳川家康のもとに逃げ込んだように見せかける策を村重自身から提案される・・・

世は織田信長が破竹の勢いで勢力を伸ばしている時代。中心となるのは羽柴秀吉と明智光秀。冒頭から荒木村重の反乱が波乱を加え、村重と光秀とが男色関係にあることが描かれる。信長と森蘭丸との男色関係は知られているが、村重と光秀との関係は創作だろうと思う。それにしてもこの映画では信長が魔王として狂気の様が描かれる。短刀に饅頭を刺し、それを村重に食べさせる。刃が口の中に入っているにもかかわらず、それをひねるので饅頭を加えた村重の口は血だらけになる。

信長は反乱を起こした村重の一族郎党を女子供も含めて見せしめのために殺害する。『レジェンド&バタフライ』(My Cinema File 3051)では、ちょっとドジなところもあるいい男に描かれていたが、この映画ではただの狂人。いろいろな解釈があっていいと思うが、ちょっと振れすぎているようにも思う。様々な登場人物が入り乱れる物語。この時代、相手の首を上げることが手柄になったため、競って殺した敵の首を切り落とす。極めて残酷なのであるが、やはり野蛮な時代であったと言えるのだろう。

いろいろな映画やドラマや小説などで描かれてきた歴史上の戦国武将たちのまた別の解釈の物語。基本的な史実は変わらないが、人物像などは解釈によって随分と異なる。たけし監督ならではの解釈なのであろうが、それぞれ独自の解釈を楽しみたい。個人的には遠藤憲一演じる荒木村重が異彩を放っていてユニークであった。これはこれとして楽しめた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代劇/西部劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月26日

【キリング・オブ・ケネス・チェンバレン】My Cinema File 3068

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン.jpg

原題: The Killing of Kenneth Chamberlain
2019年 アメリカ
監督: デビッド・ミデル
出演: 
フランキー・フェイソン:ケネス・チェンバレン
エンリコ・ナターレ:ロッシ
スティーブ・オコンネル:パークス
ベン・マーテン:ジャクソン

<映画.com>
********************************************************************************************************
モーガン・フリーマンが製作総指揮を務め、無実の黒人男性が白人警官に殺害された実在の事件を映画化したサスペンス。殺害までの90分間を実際の事件とほぼ同時間のリアルタイム進行で描き出す。
2011年11月19日、早朝のニューヨーク。双極性障害を患うケネス・チェンバレンは、就寝中に医療用通報装置を誤作動させてしまう。安否確認にやって来た3人の警官に、ケネスはドア越しに通報は間違いだと伝えるが信じてもらえない。最初は穏便に対応していた警官たちは、ドアを開けるのを拒むケネスに不信感を募らせ、次第に高圧的な態度をとるようになっていく。
「ハンニバル」『羊たちの沈黙』のフランキー・フェイソンが主人公ケネス・チェンバレンを熱演し、2021年・第31回ゴッサム・インディペンデント映画賞で主演俳優賞を受賞した。
********************************************************************************************************

ニューヨーク州ホワイトプレーンズのとある集合住宅で暮らすケネス・チェンバレンは、双極性障害と心疾患を患っていて、ペンダント型の緊急通報システムを常に身につけていたが、夜中に寝苦しくなったケネスは、ペンダントを外してテーブルに置く。これが原因で警報管理室に通報が届いてしまう。それを受けてオペレーターがケネスに電話をかけてくる。ところが寝ているケネスは気づかずに応答しない。オペレーターは手順に従って911に連絡する。

連絡を受け、最寄りの警察からやって来たのは、パークス警部補とジャクソンと新人巡査のロッシ。到着した3人は安否確認のためロッシ巡査がドアをノックする。ここに至って目を覚ましたケネスは、ドア越しにロッシの呼び掛けに応じて自分は大丈夫だと伝える。しかし、警察としては直接本人と対面して安否確認をしなければならず、ドアを開けるようにと伝える。しかし、ケネスはドアを開けようとせず、あくまでもドア越しに大丈夫だと繰り返す。

しかし、警官には警官の都合というものがある。とにかくドアを開けて確認したいと繰り返す。ケネスはケネスで大丈夫だと繰り返すばかりでドアを開けようとしない。警察も身元確認をしてケネスが退役軍人だということ、前科がないことを確認する。しかし、頑なにドアを開ける事を拒むケネスに次第に何か隠しているのではないかという疑いを抱く。周囲は治安の悪い地域であり、同じ建物の中にも犯罪者が普通にいる事から警官たちもイライラが募っていく。

最初は穏やかに呼び掛けていた警官たちも次第に言葉使いも行動も荒々しくなっていく。特にジャクソンには人種差別傾向がある。するとケネスの態度もより頑なになっていく。やがて事態は大きくなっていく。近所の人も何事かと顔を出すし、近所に住んでいた姪も連絡を受けて様子を見に来る。姪は懸命に警察に説明しようとするが、感情が高ぶっているジャクソンは聞く耳を持たない。唯一、ロッシ巡査だけが捜査の違法性を指摘して出直そうと進言するが、パークスは新人の訴えを聞こうとしない。

激しくドアを叩くジャクソン。やがて要請を受けて応援の人員が到着する。もはや事態はケネスの安否確認からは大幅に外れ、中に入る事が優先される。その間、ケネスの下には警報管理室のオペレーターから連絡があり、ケネスに落ち着くように呼び掛け、対応策を指示する。しかし、ケネスはドアだけは決して開けようとしない。事態は膠着状態のままドアを破壊して中に入ろうとする試みが続けられる・・・

事件はタイトルにある通り悲劇に終わる。実話だという事が話の重さに加わる。なぜケネスは頑なにドアを開けようとしなかったのか。日本人の感覚なら誰もがすぐにドアを開けるだろう。また日本の警官であればこの程度の抵抗でドアをこじ開けようとはしないだろう。そこはアメリカであり、周辺の治安の悪さと警官に対する信頼度がないことが原因となっている。唯一、冷静で常識的だったロッシが新人で話を聞いてもらえなかった事も悲劇につながっている。

ケネスが素直にドアを開けてさえいたら、警官たちも呼び掛けていたように5分で済む話だったはずである。とは言え、心身に障害を抱えていたことも悲劇の一因になっているのだろう。エンドロールでは、実際の音声でのケネスとオペレーターとのやり取りが流れ、生々しさが蘇る。つくづくこの程度の事で命を落とす事のない平和な国に住んでいるありがたさを実感させられる。観終わって気持ちの重たくなる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 実話ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月22日

【はたらく細胞】My Cinema File 3067

はたらく細胞.jpg

2024年 日本
監督: 武内英樹
出演: 
永野芽郁:赤血球AE3803
佐藤健:白血球U-1146(好中球)
芦田愛菜:漆崎日胡
山本耕史:キラーT細胞
仲里依紗:NK細胞
松本若菜:マクロファージ
染谷将太:ヘルパーT細胞
垣李光人:新米赤血球板
加藤諒:先輩赤血球
加藤清史郎:武田新
マイカ・ピュ:血小板
深田恭子:肝細胞
片岡愛之助:肺炎球菌
新納慎也:化膿レンサ球菌
小沢真珠:黄色ブドウ球菌
阿部サダヲ:漆崎茂
塚本高史:好中球先生
一ノ瀬ワタル:外肛門括約筋
DJ KOO:神経細胞

<映画.com>
********************************************************************************************************
人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、テレビアニメ化もされた同名漫画を実写映画化。原作漫画「はたらく細胞」とスピンオフ漫画「はたらく細胞 BLACK」の2作品をもとに、ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く。
人間の体内には37兆個もの細胞が存在し、酸素を運ぶ赤血球や細菌と戦う白血球など無数の細胞たちが、人間の健康を守るため日夜はたらいている。高校生の漆崎日胡は、父の茂と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。そんな中、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。
永野芽郁が赤血球役、佐藤健が白血球役でそれぞれ主演を務め、人間の漆崎茂を阿部サダヲ、その娘・日胡を芦田愛菜が演じる。『翔んで埼玉』 『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹が監督を務め、『るろうに剣心』シリーズの大内貴仁がアクション演出を担当。
********************************************************************************************************

映画や小説などで人間以外のものを擬人化して主人公にするということは当たり前に行われているが、この映画は体内の細胞たちを擬人化したものであり、その着眼点がかなり面白いと思わされる作品。原作は最初の方だけ読んだことがある漫画である。

その中でも主人公は体内に酸素を運ぶ赤血球。なかでもAE3803と称される赤血球が中心となる。また、体内に侵入した病原菌等を排除する白血球(U-1146にスポットが充てられる)がもう1人の主人公になる。ともに体内で生まれ、みずからの使命を課されて成長する。赤血球AE3803は途中で道に迷いながらも酸素を運ぶ仕事をひたすらこなす。白血球(U-1146)は見事な剣さばきで体内に侵入した病原菌を退治する。赤血球に仕事を教えるのはマクロファージ。体内に侵入した外敵を排除するのは白血球ばかりでなく、キラーT細胞やNK細胞といった細胞たちも同じ役割を担っている。

そんな体内の世界と並行して人間たちも登場する。トラック運転手で娘を男手1人で育てているのが漆崎茂。そしてその娘の漆崎日胡である。日胡はしっかり者の高校生。先輩の武田にひそかに憧れている。父親の茂は、暴飲暴食の典型例。健康なんぞなんのその。タバコも酒もやり放題である。そんな茂の体内は過酷な環境で、働く細胞たちも劣悪な労働環境下で疲弊している。血管内のコレステロールが酸素を運ぶ赤血球たちの邪魔をする。何となくわかってはいるが、健康状態を擬人化された細胞たちの日常を描くことによってよく表している。

体内に侵入してきた病原菌たちであるが、白血球やキラーT細胞やNK細胞によって退治される。キラーT細胞はチームで戦う集団であり、一方NK細胞は単身で自由に動き回る。実際の細胞の働きもそうなのであろう。そうであれば、映画を観ながらはたらく細胞たちの役割がよくわかる。小学生向けの教育映画になりそうな感じもする。体内の病原菌退治だけではない。日胡が転んで擦り傷を作ると、神経細胞がアゲアゲなムードを作り血小板が登場して止血をしかさぶたを形成する。

そんな細胞たちの働きが紹介されたあと、やがて日胡の体調が悪くなる。日胡の体内でも異変が静かに起こる。物語は全般的にコメディムードで進む。トラックを運転する茂が急に腹痛を覚え、トイレに行きたくなる。高速であり、次のパーキングまで便意を我慢するシーンは阿部サダヲの真骨頂。その時体内(肛門付近)で何が起こっているのか。ユーモラスに描かれており、和やかに観る事ができる。しかし、日胡が深刻な病になったことから、後半は体内で働く細胞たちの戦いも劣勢になり、大いなる危機を迎える。

いつの間にか映画の世界にどっぷりと浸かっている。阿部サダヲの熱演もあって、やっぱり健康は大事だと認識させられる。細胞たちを擬人化したからこそ、体内の細胞の働きがよくわかり、ストーリーを楽しみつつも、体内の様子をいつしか覚えていく。放射線治療のシーンでは、癌細胞と同時に赤血球や白血球をも殺していく様子が描かれ、治療の過酷さが印象に残る。真面目に映画の世界に没頭すると感動的であったりする。何にせよ、この映画は体内の細胞というところに目をつけ、擬人化して物語を紡ぎ出したアイディアの勝利と言えると思う。

自分の年齢的にも一層健康に留意しようと思わされた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月20日

【ガール・コップス】My Cinema File 3066

ガール・コップス.jpg

原題: 걸캅스/英題:Miss & Mrs. Cops
2019年 韓国
監督: ジャング・ダウォン
出演: 
ラ・ミラン:パク・ミヨン
イ・ソンギョン:チョ・ジヘ
ユン・サンヒョン:チョ・ジチョル
チェ・スヨン:ヤン・ジョンミ
ヨム・ヘラン:総合相談窓口室長。元女性刑事機動隊3期。
ウィ・ハジュン:ウジュン

<映画.com>
********************************************************************************************************
悪に立ち向かう女性警官たちの奮闘を描いた韓国製アクションコメディ。警察の女性刑事機動隊で活躍していたミヨンは、結婚と出産をきっかけに、市民の苦情を扱う課に異動させられる。息子と無職の夫を抱えながらも平穏な日々を過ごしていたが、義妹である熱血刑事ジヘがトラブルを起こした末に同じ課に配属されたことで、状況は一変。正反対な性格の2人は、家でも職場でも衝突を繰り返す。そんなある日、アダルト動画サイトに動画を拡散すると脅された若い女性が相談に訪れる。事件を解決するべく手を組むミヨンとジヘだったが……。出演は「僕の中のあいつ」のラ・ミラン、「レッスル!」のイ・ソンギョン、アイドルグループ「少女時代」のスヨン。
********************************************************************************************************

冒頭、ソウルのソンサン警察署の刑事機動隊に所属する主人公のパク・ミヨン刑事は、単身犯罪グループに踏み込むと、女だと思ってなめる相手を次々となぎ倒して検挙する。署から表彰されるほどの活躍だったが、そんなミヨンを見染めたのが、夫になるチョ・ジチョル。検事を目指して司法試験に臨んでいたが、なかなか突破できず、結果的に無職のままである。どうして2人が結ばれたのかはわからないが、家庭を支えるためミヨンは部署の異動を申請し、現在は署の相談窓口にて慣れないデスクワークをしている。

一方、市内で女性にインクをかけるという事件が頻発し、女性刑事のチョ・ジヘが囮捜査に乗り出す。ところが、ちょっとした誤解からジチョルが犯人と間違われてジヘに捕まってしまう。実はジヘはジチョルの実の妹であるが、早とちりが過ぎるところがある。ミヨンとジへは義姉妹の関係で、夫婦と妹が同居している。ジヘの誤認逮捕が問題となり、ジヘはミヨンがいる総合窓口へ一時的に配置されることになる。2人は家庭でも職場でも口論を繰り返す。

そんなある日、通報を望む女子学生が窓口へやって来る。酷く怯えた様子で、やって来たものの逃げるように帰って行く。異変を察したミヨンは女子学生を追いかけて外へ出るが、直後に女子学生はトラックに轢かれてしまう。すぐに女子学生を救急搬送するが、その時女子学生のスマホがトークアプリの着信音を鳴らす。情報操作に長けている同僚ジャンミによって、スマホロックを解除すると、そこから女子学生がレイプされ、その時の動画を専門サイトにアップさせると脅迫するものだと判明する。

幸い事故に遭った女子学生は一命を取り留める。そこでジヘは病院へ向かう。見舞いに来ていた被害者の友人の話によると、初めて行ったクラブで4人の男達に声をかけられ、一緒に飲んでいる間に気付いたら被害者女性が姿を消していたと言う。その後、何事もなく過ごしていたが、ある画像によって女子学生が被害に遭ったことが分かったとのこと。さっそくその専門サイトにアップされた動画についてジャンミと調査していたミヨンは、動画は一つのIPから複数アップされていたが、仮想通貨の取引も行われており単独犯ではなく組織的な犯行だと考える。

病院から戻ったジヘは、すぐに署内のサイバー犯罪捜査隊へサイトの調査を依頼し、女性青少年課の女性刑事に捜査依頼を持ち掛けるが、いずれも忙しいと断られてしまう。さらに古巣の強力3チームでもジヘは厄介者扱いされており、相手にしてもらえない。自分たちは捜査などできない総合窓口であり、日中は室長の目が光っているため無暗に席を外すことができないというジレンマを抱える。それでも正義感から、ハッカー能力の高いジャンミがクラブと周辺の監視カメラをハッキングし、そこから被害者が男達に連れられ車に乗せられる映像を発見し、車のナンバーも偽造ナンバーであることなどを調べ上げていく・・・

近年、女性のアクション映画も珍しくはない。しかし、それらはたいてい美人であるが、この映画の主人公ミヨンは見事な普通のおばさんであり、そんなおばさんのアクションというのは、意外性は高いものの、あまり鑑賞意欲を掻き立てるものではない。全体的に安易な展開なのであるが、そこはコメディ・タッチということで流す。コメディであるがゆえに、細かい部分は気にしない。被害者を苦しめているのは、半グレ集団。麻薬も扱い、それで女たちを狙っては同様の手口を繰り返している。応援が得られないまま、ジヘとミヨンは2人だけで犯人逮捕に向かう。

犯人を追って2人は怪しげなタトゥー屋に客として入って行って情報を探る。そして犯行が行われたクラブへ行くが、若いジヘはすんなり通るが、ミヨンだけが受付でおばさんゆえに入店を断られる。そんなやり取りも笑いを誘うのだろう。ドタバタ展開で犯人一味を検挙してメデタシメデタシというパターンを踏襲する。正直言って、韓国映画のコメディはアクションものに比べるとあまり面白くない。この映画もおばさんを主人公にして笑いを取ろうと思ったのだろうが、あまりうまくいかなかったようである。

韓国映画にも良し悪しがある。アクションはいいけどコメディはイマイチ。この映画だけで判断するわけではないが、そんな印象を深めた一作である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月19日

【リバー、流れないでよ】My Cinema File 3065

リバー、流れないでよ.jpg

2023年 日本
監督: 山口淳太
出演: 
藤谷理子:ミコト
鳥越裕貴:タク
永野宗典:番頭
角田貴志:料理長
酒井善史:エイジ
諏訪雅:ノミヤ
石田剛太:クスミ
中川晴樹:スギヤマ
土佐和成:猟師
早織:チノ
久保史緒里:ヒサメ
本上まなみ:キミ
近藤芳正:オバタ

<MOVIE WALKER PRESS解説>
********************************************************************************************************
劇団ヨーロッパ企画の「ドロステのはてで僕ら」に次ぐオリジナル長編映画第2弾。京の奥座敷と呼ばれる貴船を舞台に、雪が降りしきる真冬の季節に、繰り返す「2分間」から抜け出せなくなってしまった人々の混乱を描くタイムループコメディ。劇団代表にして、「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半タイムマシンブルース」の脚本が高く評価された上田誠が「ドロステのはてで僕ら」に続いて原案・脚本を手がけ、映像ディレクターの山口淳太が監督を務めた。老舗料理旅館で働く仲居役の藤谷理子をはじめ、ヨーロッパ企画のメンバーが多数出演。鳥越裕貴、本上まなみ、早織、近藤芳正らが共演、乃木坂46の久保史緒里が友情出演している。
********************************************************************************************************

京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」で物語は始まる。仲居のミコトは仕事の合間に貴船川を眺め佇んでいる。そんなミコトを呼ぶ女将の声に、仕事に戻るミコト。番頭と片付けながら、ミコトは番頭の娘がボーイフレンドを連れてくるという話を聞いている。父親としてショックを受けている番頭と談笑するミコト。しかし、次の瞬間、また貴船川の前に佇んでいる。そこに女将の声が聞こえ、仕事に戻るミコトはまたしても番頭と片づけをする。番頭とともに同じ会話をしたことを確認し合う。するとまたしてもミコトは貴船川の前に佇んでいる。

どうやらしばらくすると時間が戻ってしまうらしい。いわゆるタイムループである。さらに事はミコトと番頭だけではなく、女将も仲居のチノも自分たちが陥っている異変に気づく。チノは何度も熱燗を準備しようとしているのに、全然温まらないとパニックになっている。宿泊客のクスミとノミヤは食べている雑炊が全然減らないと戸惑っている。また上の階の宿泊客である作家の先生は何度PCに入力しても消えてしまうとイラついている。番頭とミコトは自分たちもわけがわからないまま宿泊客に状況を説明してまわる・・・

これまでもタイムループの映画はいろいろとあったが、この物語は「2分間」のタイムループである。これまでも「1日」(『恋はデジャ・ブ』、『ARQ: 時の牢獄』(My Cinema File 2070))、「1週間」(『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(My Cinema File 3010))、「死ぬまで」(『タイムループ』(My Cinema File 1839)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(My Cinema File 1385))とあったが、この映画は時間が短いのが特徴である。何より2分間しかないので忙しい。またそれぞれの登場人物全員が同じ現象を体験しているというところが面白い。登場人物たちが持ち時間の2分間で次のアクションを起こしていく。幸いループ中も記憶はしっかりある。このあたりがこの物語の味わいポイントである。

この現象は、どうやら貴船の一部地域だけに限定して起こっているという事がわかってくるが、その原因はわからない。原因がわからなければどうやって抜け出せるかもわからない。ループを繰り返す騒動に気づいたのは、休憩室にいた調理場のタク。実はミコトとタクは付き合っていて、さらにタクはフランスに料理修行に行くつもりであるが、まだミコトに話していない。そんなドラマが横軸として展開される。挙句、「時間を止めたのは私だ」とミコトはタクに告白する。

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(My Cinema File 3010)でも原因を突き止めてそれを解消するまでのドタバタ顛末が描かれるが、この物語はあっさりとタクがフランスに行ってしまうことに寂しさを感じたミコトが貴船川に「流れないで」と願ったことだという事がミコトの告白で判明する。しかし、タクとミコトの会話をチノに聞かれてしまったことから、他のみんなにも伝わってしまい、フランスに行く前にデートをしようとした2人を捕まえにくる。

ところがそこは2分間ループが続く世界。どんなに逃げても2分後には元に戻ってしまう。そこでもドタバタ劇となる。主人公が1人タイムループに陥るパターンに比べ、全員がタイムループするという設定もなかなか面白い。作家の先生が窓から身を投げて死んでしまうが、2分後には何事もなかったかのように復活している。「一度やってみたかった」と言うのが何とも言えない。自分だったら、もしもタイムループしなかったらと考えるとその勇気は出ないな、などと思いながらストーリーを追う。

基本的にコメディであるから細かいことを気にせず気軽に観るべきであり、その限りでは実に楽しく観ることがでる。ほとんど知らない俳優陣だったが、本上まなみが出演しているのが懐かしい感じであった。何はなくともストーリー的には面白い。短い映画であるが、手軽に楽しめる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする