2025年02月19日

【天使のくれた時間】My Cinema File 2970

天使のくれた時間.jpg

原題:The Family Man
2000年 アメリカ
監督: ブレット・ラトナー
出演
ニコラス・ケイジ:ジャック・キャンベル
ティア・レオーニ:ケイト・レイノルズ
ドン・チードル:キャッシュ・マネー
ジェレミー・ピヴェン:アーニー
ソウル・ルビネック:アラン・ミンツ
ジョセフ・ソマー:ピーター・ラシッター
マッケンジー・ヴェガ:アニー・キャンベル

<映画.com>
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多忙なビジネスマンが別の人生を生きることで愛の大切さを知るラヴ・メルヘン。監督は「ラッシュアワー」のブレット・ラトナー。脚本はデイヴィッド・ダイアモンドとデイヴィッド・ワイスマン。撮影は「ワンダー・ボーイズ」のダンテ・スピノッティ。音楽は『プルーフ・オブ・ライフ』のダニー・エルフマン。衣裳は『あの頃ペニー・レインと』のベッツィ・ハイマン。出演は「60セカンズ」のニコラス・ケイジ、「ディープ・インパクト」のティア・レオーニ、「ミッション・トゥ・マーズ」のドン・チードル、「ベリー・バッド・ウェディング」のジェレミー・ピヴェンほか。
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折に触れ、かつて観た映画を観直している。この映画はニコラス・ケイジの多作な出演作の中でも印象深い方に入る映画として記憶に残っている。

時に1987年、ジャックはロンドンにある銀行での研修へ向かうため恋人のケイトと空港に来ている。ジャックは金融の世界へ、ケイトは法律の世界へとそれぞれのキャリアを築くため、一時的に離れ離れになる別れを惜しんでいる。話し合って決めた結論なのに、直前になってケイトは「考え直して欲しい」とジャックを引き留める。されど一度決めた事だからとジャックは旅立っていく。

それから13年後、ニューヨークのウォール街で成功し大手投資会社の社長になったジャックは、優雅な独身生活を満喫している。自宅は豪華な高層マンションで、女性とも浮名を流している。どうやら、ケイトとは別れてしまったようである。成功の裏にあるのはハードワーク。クリスマス・イヴの夜にも幹部を招集し、2日後に控えた重要なM&Aについての会議をしていると、その間にケイトから連絡が入ったと秘書が報告する。あえて何もせずジャックは帰路に着く。

途中で立ち寄ったコンビニで黒人の青年キャッシュと店員とのトラブルに遭遇する。店員の理不尽な対応に激怒したキャッシュは銃を突きつけるが、ジャックが穏やかに交渉し事なきを得る。ジャックはキャッシュと話をするが、その会話の中で「僕はなんでも持ってる」と答えると、キャッシュは「これから何が起きてもあんたの責任だ」という不思議な言葉を残して去っていく。

翌朝、ジャックが目を覚ますと部屋の雰囲気が一転している事に気付く。隣にはかつて別れたはずのケイトが寝ており、2人の子供が「パパ!」と起こしにくる。わけがわからず、マンハッタンの高層マンションにある自分の部屋に戻るも、なぜか顔見知りだった警備員も理事仲間の知人もよそよそしい態度を取る。極めつけは、勤務先の投資会社に行くと社長の名前に自分の名前はなく、何もかもが変わっている。状況を理解できないジャックの前に現れたキャッシュは、「答えは自分で探せ」とだけ告げると姿を消してしまう。

ジャックは仕方なくケイトのいた家に戻るが、そこには自分の知らない自分の生活がある。時にクリスマスであり、2人で友人宅のパーティーに参加する。そこでも顔見知りの知人たちとの交流があるが、誰もが「投資会社に勤めているジャック」ではないジャックを前提に話をする。唯一娘のアニーだけが様子のおかしいジャックを「パパじゃない」と言う。どうやら父に変装した宇宙人だと思ったようである。

不可解なままジャックは新たな世界での生活を始める。弁護士のケイトはボランティアでの仕事が多く、タイヤの小売り店に務めるジャックはそれほど稼ぎがあるわけでもない。2人の子供を保育園に送り届け、仕事に向かう。そしてだんだんとその世界は、1987年にジャックが海外研修を中止し、戻ってケイトと結婚した世界であることが分かってくる。羽振りの良いかつての独身生活と庶民的でも家族に囲まれた生活。どちらがいいかは難しいところだが、ジャックは元の世界の栄光が忘れられない。

「今生きている人生とは別の人生があったかもしれない」という思いは誰もが抱くかもしれない。しかしそれはたいてい「今よりもいい人生」という事が多いと思う。しかし、ここでは主人公のジャックは今の生活に満足していて、ケイトや子供たちとの生活を望んでいないというところが一味違う。それは務めるタイヤ店に投資会社の会長が偶然やって来た時、ここぞとばかりに自分の能力を売り込むところに現れている。会長の興味を引く事はたやすい事であり、ジャックは難なくそれに成功する。

しかし、嫌々ながら続けていた「家族との生活」が次第にジャックの心に浸透していく。それまで気がつかなかったものに気付いていくジャック。やはり大切なものは金や社会的な地位ではないという事に気付くジャックの姿に、観る者は安堵する。ラストでジャックとケイトは空港のカフェで話をする。2人でどんな話をしたのだろうか。2人の幸せなその後を想像してみたくなる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年02月15日

【レインマン】My Cinema File 2969

レインマン.jpg

原題: Rain Man
1988年 アメリカ
監督: バリー・レビンソン
出演: 
ダスティン・ホフマン:レイモンド
トム・クルーズ:チャーリー
バレリア・ゴリノ:スザンナ
ジェラルド・R・モーレン:ブルーナー医師
ジャック・マードック:ジョン・ムーニー
マイケル・D・ロバーツ:バーン

<映画.com>
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高級外車ディーラーのチャーリーは、絶縁状態にあった父の訃報を聞き、遺産目当てに帰省する。ところが、遺産の300万ドルは全て匿名の人物に相続されることとなっていた。その人物が、今まで存在すら知らなかった自閉症の兄レイモンドであると知った彼は、兄を病院から連れ出してロスへと向かうが……。アカデミー賞主要4部門(作品・監督・脚本・主演男優賞)他、多数の映画賞に輝いた、バリー・レビンソン監督による感動作。
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この映画を観たのはもう37年も前なのかと感慨ひとしお。いつかもう一度観たいと思ううちに今日まで来てしまった。改めて先送りはやめようと鑑賞に至る。

チャーリー・バビットは、高級スポーツカーを扱うディーラーを営んでいる。港に到着する4台のランボルギーニを満足気に見つめる。しかし、環境保護局から連絡が入り、入管手続きにさらに時間がかかるとの事。されど顧客に対する納車期限は迫っている。審査を急ぐようにと交渉する一方、顧客には納車を待てないかと訴え、しかも納入のために借り入れた借入金の返済期限も同時に迫り、まさに混乱を極めている。

チャーリーは口八丁で社員のレニーに対応させ、一旦、混乱を収拾させると社員兼恋人のスザンナと週末を過ごすため、パーム・スプリングスへ出発する。よくまぁ遊びに行けるものだという気もするが、そのあたりの気持ちの切り替えがうまいのかもしれない。ところが道中、レニーから電話が入り、父が死去したという報告を受ける。実はチャーリーは父とケンカ別れをして、絶縁状態のまま疎遠になっていたが、さすがに無視はできないのか、葬儀に向かう。

といっても、長い年月絶縁状態だった父の死に悲しみの感情が湧くわけでもなく、チャーリーは喪服すら着ることもせず、葬儀を見守る。葬儀が終わるとチャーリーは父の弁護士から父の遺言状を見せられる。チャーリーに残された遺産は、1949年製のビュイック・ロードマスターと、数々の品評会で優勝したバラの木というもの。およそ300万ドル相当のそれ以外の遺産は、なんと遺言状に書かれた受取人のために、信託銀行に預けられるとの事。しかも受取人のことは開示されず、チャーリーは憤懣やるかたない思いを抱く。

チャーリーに残された1949年製ビュイック・ロードマスターは、チャーリー親子の関係を終わらせるきっかけとなった因縁の代物。それはチャーリーが16歳の時、成績で“オールA”をとり、その褒美として父の愛車のビュイックを運転させてほしいとせがむが、父はそれを拒む。ならばとチャーリーは、黙ってキーを持ち出し、友人らとビュイックでドライブに出かける。しかし、父はあえて警察に車の盗難届を出したため、チャーリーは警察に拘留されてしまう。しかも友人たちはすぐに家族が迎えに来たが、チャーリーの父は2日間放置する。ブチ切れたチャーリーは家を飛び出し、それ以降は音信を断っていた。

そんな関係なのに、金に困っているせいか、チャーリーは300万ドルの遺産が気になる。すぐに信託銀行へ行き受取人が誰なのか調べるが教えてくれるはずもない。しかし、財産を管理する管財人が、ブルーナーという医師だということがわかり、チャーリーはブルーナに会うため病院に行く。されどやはりブルーナーが教えるわけもない。やむなく帰ろうとしたチャーリーだが、いつの間にか乗ってきたビュイックの運転席に妙な男が座っている。知恵遅れのようなその男は、なぜかそのビュイックに詳しく、父親の名前はサンフォード・バビットだと答える。その事態にブルーナーはやむなく男はチャーリーの兄だと教える。

チャーリーは兄の存在を知らされておらず驚愕する。兄の名前はレイモンドで、自閉症を患っていると知らされる。そんなレイモンドに300万ドルの遺産が残されたとわかったチャーリーは、どうにも我慢の虫が収まらない。そこで一計を案じたチャーリーは、レイモンドを散歩に連れ出し、ロサンゼルスでドジャースの試合を一緒に観ようと誘い、半ば強引にレイモンドを病院に黙って連れ出す・・・

こうしてチャーリーは、レイモンドとスザンナとビュイックで旅に出る。しかし、金のために自分やレイモンドを利用していると憤慨したスザンナは行動を別にする。こうして兄弟2人となるが、特徴的なのは自閉症のレイモンドの行動。いわゆる普通の生活はしにくいが、特殊能力もある。ホテルで一心不乱に読んでいた電話帳はすべて覚えてしまい、レストランのウエイトレスの名札を見て、電話番号をいい当てる。さらに床にばらまいてしまったマッチの本数を瞬時に言い当てる。このシーンは特に印象に残っている。

普通に生活ができないレイモンドを連れた道中は混乱の道中となる。チャーリーはレイモンドに振り回されてばかりとなる。突然現れた兄。しかも自閉症で普通ではない。長く断絶していた父親からの遺産など欲しがらなければと思うも、金に困っていて、しかも自閉症で金の価値もわからない兄がそれを受け取るという事に我慢がならなかったのだろう。チャーリーの行動は自分勝手でスザンナが怒るのも無理はない。しかし、寝食を共にしているうちに、実は幼い頃、チャーリーはレイモンドと暮らしていた事がわかってくる。そして離れ離れになった経緯も知る事になる。

そして変わりゆくチャーリーの心境。ラスベガスでレイモンドの能力を利用してカジノで一儲けしたチャーリーだが、レイモンドに対する心境の変化は心を温かくしてくれる。6日間かけてようやくロサンゼルスに帰りついたチャーリー。そのチャーリーは、レイモンドに会う前のチャーリーとは違う。そんなチャーリーの姿が心を打つ。アカデミー賞主要4部門を制覇したのも納得。若きトム・クルーズと名優ダスティン・ホフマンのコンビが何より素晴らしく思える。間違いなく名作と思える映画である・・・


評価:★★★★☆









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2025年02月14日

【ファントム・スレッド】My Cinema File 2968

ファントム・スレッド.jpg

原題: Phantom Thread
2017年 アメリカ
監督: ポール・トーマス・アンダーソン
出演: 
ダニエル・デイ=ルイス:レイノルズ・ウッドコック
レスリー・マンヴィル:シリル
ヴィッキー・クリープス:アルマ
カミーラ・ラザフォード:ジョアンナ
ジーナ・マッキー: ヘンリエッタ・ハーディング伯爵夫人
ブライアン・グリーソン:ロバート・ハーディング医師
ハリエット・サンソム・ハリス

<映画.com>
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『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソン監督とダニエル・デイ=ルイスが2度目のタッグを組み、1950年代のロンドンを舞台に、有名デザイナーと若いウェイトレスとの究極の愛が描かれる。「マイ・レフトフット」 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 『リンカーン』で3度のアカデミー主演男優賞を受賞している名優デイ=ルイスが主人公レイノルズ・ウッドコックを演じ、今作をもって俳優業から引退することを表明している。1950年代のロンドンで活躍するオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックは、英国ファッション界の中心的存在として社交界から脚光を浴びていた。ウェイトレスのアルマとの運命的な出会いを果たしたレイノルズは、アルマをミューズとしてファッションの世界へと迎え入れる。しかし、アルマの存在がレイノルズの整然とした完璧な日常が変化をもたらしていく。第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。
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物語の舞台は1950年代のロンドン。主人公のレイノルズ・ウッドコックは、社交界のセレブや金持ちを顧客とするオートクチュールの仕立屋。独身の姉のシリルと2人で自らのファッション・ブランドを運営している。そんなレイノルズは仕事の虫。その日も朝から食事もそこそこに仕事をする。一緒に食卓についていた恋人も、甘い会話など望むべくもない。そんな態度に愛想をつかしてしまう。

ある日、郊外の別荘へ向かったレイノルズは、立ち寄ったレストランで働くウェイトレスのアルマを見染める。アルマもまんざらではない様子。そしてレイノルズはいきなりアルマを食事に誘う。仕事の虫の割には手が早い。高級レストランで食事をし、うっとりとしたアルマを別荘へと連れて行く。しかし、ベッドに直行するのではなく、仕事場へと誘い、そこでアルマの体の採寸を始める。どこまでが愛情でどこまでが仕事なのかわからないが、レイノルズはアルマを自宅へ連れ帰る。

レイノルズはそのままアルマをモデルとしてしまう。レイノルズとアルマは交際なのか仕事仲間なのか曖昧なままに関係を続ける。しかし、レイノルズの態度は変わらず、朝食時にも仕事に没頭し、アルマに対してトーストにバターを塗る音にも反応して文句を言う。されどアルマはそんなレイノルズを受け入れ、言われるままにモデルとしてショーにも登場する。ショーの後、疲れ果てたレイノルズをアルマはいたわり、やがてアルマはレイノルズのアシスタントのようになっていく。

ある時、レイノルズはバーバラという常連客に結婚式のドレスを納入する。結婚式の当日、レイノルズはアルマと共に式に出席する。しかし、その場でバーバラは酔ってしまい、醜態をさらす。それを見ていたアルマは、レイノルズにバーバラには自分たちのドレスはふさわしくないと告げる。2人は式の後バーバラの自宅に押しかけてドレスを返せと迫る。けれど当の本人はドレスを着たままベッドで酔いつぶれている。強引に押し入った2人はなんとバーバラからドレスを脱がして持ち帰る。

次にレイノルズはベルギーのプリンセス・モナのウエディングドレスの仕事を受注する。アルマは仕事のパートナーであるとともに私生活のパートナーでもあり、レイノルズを喜ばせようとサプライズの夕食を考える。それをシリルに相談するが、シリルはやめた方がいいと答える。ならばとアルマは1人で考えて準備をするが、帰宅したレイノルズはモナの仕事で不機嫌になっており、またサプライズを素直に喜ぶ性格でもない。自分のために手間暇かけて準備した事に感謝するような思いやりもない。とうとうアルマは日頃の不満をレイノルズにぶちまける・・・

主人公のレイノルズは、オートクチュールの仕立屋。腕が良いそうで評判を得ているが、性格は気難しい。時代の男のあり方もあるのかもしれないが、仕事以外に興味を示さず、女性との付き合いにおいてもお世辞でも相手を喜ばそうなんてしない。それでもモテるのは、ファッションという女性を毒する世界に君臨しているからなのかもしれない。そのオートクチュールであるが、1950年代のその様子は、『ミセス・ハリス、パリへ行く』(My Cinema File 2881)とまったく同じである。

『ミセス・ハリス、パリへ行く』(My Cinema File 2881)では、主人公のミセス・ハリスはパリのオートクチュールの代表クリスチャン・ディオールに憧れてお金を貯めてパリに行くが、同じロンドン市内の他の国内オートクチュールには魅力を感じなかったのだろうか、などと思ってみたりした。ビジュアル的にはじいさんに入るレイノルズを愛するアルマは、その愛が高じてとんでもない行動に出る。歪んだ愛の形とでも言えるだろう。この映画は、いったいどういう映画なのだろうか、恋愛映画なのかサスペンスなのか。

鬼気迫る様相で仕事に没頭するレイノルズと鬼気迫る内面の激しい愛でレイノルズに向かうアルマ。2人はとうとう結婚するが、それは純愛とは程遠い。一昔前のロンドンを舞台にした狂気的な愛の物語。アルマ役のヴィッキー・クリープスはあまり美人とは言えないが、狂気の愛を見せる迫力は十分である。原題は「幻の糸」とでも訳すのであろうか。ストーリーを合わせ考えると意味深さを感じさせる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年02月10日

【月の満ち欠け】My Cinema File 2967

月の満ち欠け.jpg
 
2022年 日本
監督: 廣木隆一
原作: 佐藤正午
出演: 
大泉洋:小山内堅
有村架純:正木瑠璃
目黒蓮:三角哲彦
伊藤沙莉:緑坂ゆい
田中圭:正木竜之介
柴咲コウ:小山内梢
菊池日菜子:小山内瑠璃

<シネマトゥデイ>
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『鳩の撃退法』などの原作で知られる佐藤正午の直木賞受賞作を実写映画化。妻子を同時に失い幸せな日常を失った男が、数奇な運命に巻き込まれていく。監督は『ナミヤ雑貨店の奇蹟』などの廣木隆一、脚本は『そして、バトンは渡された』などの橋本裕志が担当。『探偵はBARにいる』シリーズなどの大泉洋が主人公を演じ、廣木監督作『ストロボ・エッジ』などの有村架純、ドラマ「消えた初恋」などの目黒蓮、大泉主演作『青天の霹靂』などの柴咲コウらが共演する。
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主人公の小山内堅は、東京でサラリーマンとして重要な仕事を任されることになり、充実した日々を送っていたが、最愛の妻梢と娘瑠璃を突然の交通事故で失い、失意のうちに故郷の青森に帰る。生きる気力を失い、漁港で働きながら細々と暮らしているところに、「三角哲彦」と名乗る男が訪ねてくる。事故の日に、瑠璃は面識のないはずの自分に会いに来ようとしていたと、三角は語る。

そして物語は、過去へと遡る。仲睦まじい小山内夫婦に待望の娘が生まれる。妻・梢は「夢のなかでこの子に、名前は瑠璃にしてほしいと言われた」と言い、娘を瑠璃と名づける。両親の愛情をたっぷり注がれた瑠璃はすくすくと育つ。しかし7歳のとき、瑠璃は1週間ほど高熱で寝込む。それ以降、瑠璃の様子が変わった事に梢が気付く。クマのぬいぐるみを「アキラ君」と呼ぶようになったり、生まれる前の流行歌「リメンバー・ラヴ」を口ずさんだり、ジッポのライターを直してみたり。

そしてある日、突然瑠璃の行方がわからなくなる。警察にも捜索願を出し、必死に探したところ、瑠璃は高田馬場のレコード店にいるところを保護される。なぜそんな所に行ったのか、多くを語ろうとしない瑠璃。映画「アンナ・カレーニナ」を大人しく観ていたと告げられるが、小山内は瑠璃に「高校を卒業するまでは1人で遠くに行かない」と約束をさせる。それからは瑠璃の奇妙な言動も減り、元の穏やかな日々が続く。

青森まで突然やって来た三角は、小山内の娘と同じ「瑠璃」という名を持つ、かつて愛した女性について語り始める。それはまだ三角が学生のころ、ある雨の日、三角がアルバイトしているレコードショップの店先で雨宿りしている女性と出会う。その女性の名は正木瑠璃。一目で心惹かれるも、奥手なのか三角は連絡先も聞けずに別れる。しかし、生活圏が近いようで、三角と正木瑠璃はいくどか偶然の出会いを繰り返す。

瑠璃が映画館で映画を観ていると、そこに哲彦が現れる。その映画は「アンナ・カレーニナ」。瑠璃が時折口ずさむ流行歌は、小山内瑠璃が口ずさんでいた「リメンバー・ラヴ」。そして三角がバイトしていたレコードショップこそ、小学生の小山内瑠璃がたった1人で行ったレコードショップ。さらに正木瑠璃は人妻であるが、結婚相手と出会ったのはアルバイト先。そこで夫になる男性にジッポのライターを売ったのである。

ここに至り、この映画は生まれ変わりをテーマにした物語だとわかってくる。いずれも瑠璃という名の女性。生まれる前に母親の夢の中で「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の「瑠璃」という名にしてほしいと訴え、その名前をもらって生まれてくる。不老不死と合わせて魂の不滅を信じたい人間が考えたもので、仏教の輪廻転生でもある。ここでは動物に生まれ変わったりせず、都合よく人間に生まれ変わる。

そうした生まれ変わりをテーマにしたのも悪くはないと思う。三島由紀夫の名作『豊穣の海』も生まれ変わりをテーマにした壮大な物語であった。しかしながらこの物語は何となくストーリーが荒く、大作家の名作には遠く及ばない。そもそも生まれ変わりなど、身近な者にしかわかるはずもなく、それも疑惑レベルの代物である。それが正木瑠璃の夫は、高校生の小山内瑠璃が「リメンバー・ラヴ」を歌っているのを聞いただけで妻の生まれ変わりと確信してしまうのである。

あり得ない設定でもそれなりのリアリティがあればストーリーに入っていける。しかし、あり得ない設定にあり得ない展開が重なると興覚めしてしまう。そして生まれ変わりは3度に及ぶ。それも都合よく関係者だったりする。さすがに最後はすっかり覚めてしまう自分がいた。大泉洋が主役だし、製作者は感動モノを意図していたのかもしれないが、興覚めするストーリー展開は、出演陣の熱演にも関わらず心に響いてこない。これは完全にストーリーの自滅だろう。つくづく、残念な一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年02月08日

【チィファの手紙】My Cinema File 2966

チィファの手紙.jpg

原題: Last Letter
2018年 中国
監督: 岩井俊二
出演: 
ジョウ・シュン:ユアン・チィファ
チン・ハオ:イン・チャン
ドゥー・ジアン:ジョウ・ウェンタオ
チャン・ツィフォン:少女時代のチィファ/サーラン
ダン・アンシー:少女時代のチィナン/ムームー
ジーホン:タン・ジュオ
フー・ゴー:ジャン・チャオ
ビィン・テンヤン:少年時代のイン・チャン
フー・チャンリン:チェンチェン
ウー・ヤンシュ:ウェンタオの母

<シネマトゥデイ>
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『花とアリス』などの岩井俊二が監督を務め、自身の小説「ラストレター」を中国で映画化したラブストーリー。姉の同窓会に出席したヒロインが姉本人と勘違いされ、再会した初恋の人と手紙を交わすようになる。出演は『小さな中国のお針子』などのジョウ・シュンと『長江 愛の詩』などのチン・ハオなど。プロデューサーとして『捜査官X』などのピーター・チャン監督が参加している。
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監督が岩井俊二となっていて興味を持ったこの映画、実は『ラストレター』(My Cinema File 2341)の中国版だという。ただし、こちらの映画の方が制作年次は早い。ストーリーは基本的に同じである。

姉チィナンが亡くなり、妹のチィファは葬儀を終える。たまたま姉宛に同窓会の案内が届いており、チィファはそのことを伝えるため同窓会に出席する。しかし、チィファはなぜか姉に間違えられる。どうやら定期的に開かれている同窓会ではなく、時間を置いた久しぶりのものであったようである。それもあって姉と間違われる他のであるが、少し考えればありえない設定である(普通であれば案内状に返信する形で連絡するだろうし、あるいは入口でそう告げて帰るだろう)。しかし、それはそれとして受け止めて観ていく

同窓会には、チィファが憧れていたイン・チャンも来ている。もしかしたらチィファが姉に間違われたまま席に着いたのは、どこかでチャンに会う事を期待していたのかもしれない。そのチャンは遅れてやって来る。間違われたままスピーチまでしてしまうチィファはさすがに途中で席を立つ。そのチィファのあとをチャンは追いかける。2人の会話はどこか噛みあわない。チャンは小説家としてデビューし、処女作が話題になったが、その後は鳴かず飛ばず。ドラマの脚本を書いて細々と物書きとして生きている。名残惜し気に別れる2人。否、名残惜し気なのはチャンの方である。

チィファはチャンにスマホの連絡先を交換して帰る。そして帰宅した後、チャンからさっそくメッセージが届く。ところがそれを見た夫が激怒してスマホを壊してしまう。やむなくチャンに手紙を書くチィファ。自らの連絡先は伏せたまま、思う事どもを綴る。かつてチャンと姉のチィナンは同級生。チィナンに憧れるチャンとそのチャンに憧れるチィファ。チャンの気持ちを知りつつ、姉にラブレターを書けと言う。その助言に従ってチィナンにラブレターを書くチャン。それをチィファに渡すが、チィファはそれを姉に渡さない。ある時チャンはチィファと話をするが、その時チャンはチィナンが手紙を読んでいない事に気づく。

物語はチィナンとチィファとチャンの学生時代と現在、そしてチィナンとチィファの娘と3つの物語が交差していく。基本的にストーリーは『ラストレター』(My Cinema File 2341)と同じである。亡くなった姉を中心として動く物語。かつての秘めた想いが蘇る。チャンが唯一発表した小説は「チィナン」。姉のチィナンとの思い出を綴ったもの。別れて以来、書けなくなってしまったチャン。男は昔の女の影を引きずるものである。

ノスタルジー溢れる物語。基本的にストーリーは同じであるが、個人的には日本版の方が良かったと思う。それは先に観たからというわけではなく(けっこうストーリーは忘れていたので既視感は少なかった)、もしかしたら出演陣によるものかもしれないし、日本の物語だから日本の風景が良かったのかもしれない。個人的にはそんな感想を抱いたが、中国人がこの映画をどう観たのかはちょっと気になるところであった。

どういう経緯で中国版が(日本よりも早く)できたのかはわからないが、岩井俊二監督の紡ぎ出す物語は心を温かくするものがある。同じストーリーで日本版と中国版、比べて観たい一作である・・・


評価:★★☆☆☆









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2025年02月07日

【カラーパープル】My Cinema File 2965

カラーパープル.jpg

原題: The Color Purple
2023年 アメリカ
監督: ブリッツ・バザウーレ
出演: 
ファンテイジア・バリーノ:セリー
タラジ・P・ヘンソン:シュグ・エイブリー
ダニエル・ブルックス:ソフィア
コールマン・ドミンゴ:ミスター
コーリー・ホーキンズ:ハーポ
H.E.R.:スクイーク
ハリー・ベイリー:若き日のネティ

<シネマトゥデイ>
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アリス・ウォーカーの小説を原作に、スティーヴン・スピルバーグが監督を手掛けた作品のミュージカル版リメイク。過酷な状況に置かれながらも、前向きに生きる女性の姿を描く。『ブラック・イズ・キング』などのブリッツ・バザウールが監督を務め、オリジナル版監督のスピルバーグのほか、同作に出演したオプラ・ウィンフリーらが製作を担当。ブロードウェイミュージカル版で演じたセリーをファンテイジア・バリーノが再び担当するほか、『ドリーム』などのタラジ・P・ヘンソン、ダニエル・ブルックスらが出演する。
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『カラーパープル』というタイトルを聞いて真っ先に昔観たスティーヴン・スピルバーグ監督の作品を思い出したが、そのミュージカル版リメイクだという。スティーヴン・スピルバーグ版も良かったので、期待して鑑賞に至るもの。

時に1909年のアメリカ。南部ジョージア州のアフリカ系アメリカ人の町で、14歳のセリーは父親と妹との3人暮らし。しかし、もう妊娠しているが、なんと父親はセリーの父親。鬼畜の所業であるが、とりあえず血のつながっていない親子のようである。まだあどけないセリーは妹ネティと仲が良い。そして無事出産するが、父親は生まれた赤子をその日のうちにどこかへと連れ去ってしまう。そして実はこれが2人目の子供だというから鬼畜度はさらに高まる。

妹のネティはなかなかかわいらしく、見染めた“ミスター”と自称するアルバートが父親の下に嫁に欲しいと申し出る。しかし、父親は代わりにセリーを差し出す。先妻との間に3人の子供のいるアルバートは、背に腹は代えられないのか、セリーをもらい受けて家に連れ帰る。その家の中は荒れ放題。アルバートはさっそく掃除と夕食の支度を言いつける。嫁というよりも家政婦といったところである。

1日の家事を終えたセリーだが、そこへネティが逃げ込んで来る。セリーがいなくなり、代わりに父親が体を求めたとの事。何ともはやである。セリーはネティと再び一緒になれたことを喜ぶ。しかし、今度はアルバートがネティのベッドを襲う。かろうじて難を逃れたネティだが、激怒したアルバートはネティを追い出してしまう。泣く泣く手紙を書くと言い置いて去って行くネティ。何とも言えないやりきれなさが残る。

1917年、アルバートの息子ハーポがソフィアと結婚する。沼地に家を建てそこを酒場とする。ソフィアはセリーと仲良くなるが、気の強いソフィアはハーポを尻に敷く。1922年、人気歌手のシュグが町に帰って来る。アルバートは長年、シュグに想いを馳せている。妻であるセリーは相変わらず家政婦扱い。シュグは町の牧師の娘だったが、ブルースを歌う娘を牧師は否定し、親子関係は断絶状態である。

アルバートが酔い潰れた朝、偶然郵便配達から手紙を受け取ったシュグは、セリー宛のネティの手紙を見つける。それまでネティからの手紙が届かない事を気に病んでいたセリーだが、実はすべてアルバートが受け取ってセリーに渡さなかったのである。家探しして大量のネティの手紙を見つけるセリーとシュグ。セリーの生んだ2人の赤ん坊たちは牧師夫妻が引き取っていたが、ネティは彼らと共にアフリカに伝道に赴いている事を知る。セリーの子供たちの世話を焼いていると手紙で伝えるネティにセリーの胸は熱くなる・・・

アメリカの黒人のドラマと言えば、人種差別というキーワードが思い浮かぶ。しかし、このドラマで描かれるのは黒人社会の様子。人種差別はないが、酷い男尊女卑が人種差別と同じように胸糞が悪くなる。人種差別も皆無ではなく、セリーを誘って町に出たソフィアがその被害に遭う。出会った白人の市長夫人からメイドに雇うと強要されるのである。もともと気が強いソフィアはなんと白人市長を殴ってしまう。投獄されるのは仕方がないが、この期間が6年にも及ぶのはやはり差別のなせる業である。セリーは収監されたソフィアを幾度となく見舞う。

人種差別と男尊女卑の酷い世界で涙をこらえながら生きるセリー。そんなセリーの物語がミュージカルに色づけられて描かれる。と言ってもあまりミュージカル色は強くない。物語は1945年まで続いていく。セリーの人生もどん底が続くのではなく、少しずつ光明が差していく。傲慢だったアルバートも改心し、セリーも静かにこれを受け入れる。そんな様子が心を温めていく。この物語はフィクションであるが、似たような話はどこにでもあったように思う。

人の心を温める物語はミュージカルであろうとなかろうと不変のものがある。ラストのセリーの幸福感に包まれた表情が何とも言えない。ハッピーエンドが心地よい映画である・・・


評価:★★★☆☆









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2025年02月01日

【あなたが寝てる間に…】My Cinema File 2964

あなたが寝てる間に….jpg

原題: While you were sleeping
1995年 アメリカ
監督: ジョン・タートルトーブ
出演: 
サンドラ・ブロック:ルーシー・モデレッツ
ビル・プルマン:ジャック・キャラハン
ピーター・ギャラガー:ピーター・キャラハン
ピーター・ボイル:オックス・キャラハン
ジャック・ウォーデン:ソウル・タトル
グリニス・ジョンズ:エルシー・キャラハン
ミコール・マーキュリオ:ミッジ・キャラハン
ジェイソン・バーナード:ジェリー・ウォレス
マイケル・リスポリ:ジョー・ジュニア
アリー・ウォーカー:アシュレー・ベーコン
モニカ・キーナ:メアリー・キャラハン
ディック・キューザック:ルービン医師

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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大都会で暮らす孤独なシングル・ウーマンが、運命のいたずらから真実の愛を掴むまでを描いたハートフルなラヴストーリー。偶然の積み重ねによる物語の妙と、ツボを抑えた演出が醸し出す笑いと感動が心に残る。監督は「クール・ランニング」のジョン・タートルトーブ。脚本は新鋭のダニエル・G・サリヴァンとフレデリック・リボー。製作は「エンジェルス」「アイ・ラブ・トラブル」などのヒットメーカー・コンビ、ジョー・ロスとロジャー・バーンバウム。エグゼクティヴ・プロデューサーはアーサー・サルキシアンと、「コーンヘッズ」などの監督でもあるスティーヴ・バロン。撮影は「クール・ランニング」のフェドン・パパマイケル、音楽は「マスク(1994)」のランディ・エデルマンが担当。主演は『スピード』で一躍トップスターとなったサンドラ・ブロックと、「めぐり逢えたら」「キャスパー」のビル・プルマン。共演は「未来は今」のピーター・ギャラガー、「ケイティ」のピーター・ボイル、「ギルティ 罪深き罪」のジャック・ウォーデンほか。
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主人公のルーシーは、家族も恋人もいない孤独なシングルウーマン。シカゴの鉄道改札で働いている。そんなルーシーだが、毎日決まった時間に改札を通り抜けて行くハンサムなサラリーマンに淡い恋心を抱いている。声をかけられるわけでもなく、一瞬の遭遇である。クリスマス・イヴの朝、今日も見知らぬハンサムなサラリーマンがルーシーの座る改札を通り抜けていく。ところが、その彼はホームでチンピラに絡まれてしまう。そして勢いでホームから落ちて気を失う。そのまま線路に落ちて気を失った彼をルーシーは線路に飛び降り、間一髪のところで彼を救出する。

意識不明の状態に陥った彼と共にルーシーは病院へ向かう。しかし、面会出来るのは家族のみと言われてしまう。いつか結婚したいのにというルーシーの独り言を聞いていた看護婦が、ルーシーを婚約者だと勘違いしてしまう。そのお蔭で、ルーシーは彼のそばにいられる事になったが、事態を聞きつけてやってきた彼の家族にも婚約者だと間違えられてしまう。随分のんきな話だが、そこはラブコメのいいところ。病室には、彼の両親、祖母、妹、名付け親のおじまでもが集う。

孤独なルーシーは居心地の悪さを感じるも、彼の名前がピーター・キャラハンだということがわかる。その場を去ろうとしたルーシーだが、フレンドリーなピーターの家族が引き止めてルーシーをクリスマスの夕食に誘う。偽りの婚約者の立場で躊躇するルーシー。いつの間にか本当の婚約者ではないということを言い出せなくなっている。意識を失っているピーターにルーシーは、独り言で事の顛末を語る。偶然それを聞いていたおじのソウルは、逆にルーシーに本当のことを伝えてあの家族を壊さないでくれと頼まれてしまう・・・

こうしてピーターが意識を失っている間に(あなたが寝てる間に…)、ルーシーとキャラハン家の距離が急速に縮まっていく。家族の愛に溢れたキャラハン家のクリスマスにルーシーは、温かい気持ちになる。ルーシーがキャラハン家に泊った翌朝、ひっそりと帰ろうとしたルーシーは、ピーターの弟のジャックと鉢合わせてしまう。初対面の2人のこれが運命の出会い。物語はいたってシンプルなラブコメ。30年前の作品だが、サンドラ・ブロックも若さに溢れている。物語の内容とタイトルも絶妙である。

随所にツッコミどころはあるのだが、ラブコメにはそんなツッコミは無粋である。見た目に一目ぼれというのはよくあるが、イケメンに一目ぼれした孤独な女性が誤解の中で本当の愛を見つけていく物語は安心して観ていられる。駅のホームの上に改札があり、みんなコインを置いて改札を通っていく。そんな時代を感じさせる背景も新鮮であったりする。やがてピーターが意識を取り戻すが、当然ながらルーシーのことがわからない。すると医師から一時的な記憶喪失だと告げられてしまうのには笑ってしまった。医者はそんなものかもしれない。

サンドラ・ブロックのお相手のビル・プルマン。どこかで観た記憶はあるが、名前になじみがない。よくよく調べてみたら、『インデペンデンス・デイ リサージェンス』(My Cinema File 1611)の大統領だった。そんなにイケメンというほどではないと思うが、がらりと違う役柄も面白い。サンドラ・ブロックはコメディにも多数出演しているが、これがその走りの映画かもしれない。

安心して観られるラブコメ映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コメディ/ラブコメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする