2025年01月31日

【GONIN サーガ】My Cinema File 2963

GONIN サーガ.jpg 
2015年 日本
監督: 石井隆
出演: 
東出昌大:久松勇人
桐谷健太:大越大輔
土屋アンナ:菊池麻美
柄本佑:森澤慶一
安藤政信:式根誠司
根津甚八:氷頭要
竹中直人:明神
福島リラ:余市
テリー伊藤:式根隆誠
鶴見辰吾:久松茂
佐藤浩市:万代樹彦

<映画.com>
********************************************************************************************************
バイオレンスアクションの傑作として名高い『GONIN』(1995)の続編。前作も手がけた石井隆監督が東出昌大を主演に迎え、前作の登場人物たちの息子たちに焦点を当てた新たな物語を描いた。社会からつまはじきにされた5人組による、暴力団・五誠会系大越組襲撃事件から19年。五誠会は若き3代目の誠司が勢力を拡大し、襲撃事件で殺された大越組の若頭・久松の遺児・勇人は、母の安恵を支えながら、真っ当な人生を歩んでいた。そんなある日、19年前の事件を追うルポライターが安恵のもとに取材に現れたことから、事件関係者たちの運命の歯車がきしみ始める。東出のほか、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信らが出演。前作出演者からは、俳優を引退した根津甚八が一作限りの復帰を果たしたほか、鶴見辰吾、佐藤浩市が続投している。DVD/ブルーレイには約40分のシーンを追加した「ディレクターズ・ロングバージョン」が製作された。
********************************************************************************************************

1995年5月3日、五誠会系暴力団の大越組に五人の男たちが襲撃する。『GONIN』で描かれた事件である。これにより大越組は壊滅し、襲撃した男たちもまた亡き者となる。それから19年。大越組若頭の息子大輔と若頭の側近・久松の息子勇人は、父親の死体が並べられた警察署前で花束を捧げる。

大輔は大越組再興を夢見ており、五誠会三代目の式根誠司に仕えている。勇人はまともな生活を送っており、母はそんな息子が自分の経営するスナックを継いでほしいと願っている。そんな母の唯一の悔いは、夫にかけられた汚名。組長を守らずに逃げたとされ、死後破門されている。一方、事件に巻き込まれ植物状態になった刑事・森澤の息子の慶一もまた事件に苦しむ1人。慶一は、警察官という立場と独自の調査網を駆使して、事件の真相に近付いており、勇人の母にルポライターと称して近づく。

慶一の調べによると、久松は大越組長を庇って射殺されており、そんな久松の名誉を踏みにじったのは五誠会二代目だとのこと。事件の真相を知って久松の妻は喜ぶも、夫の名誉挽回のために五誠会が運営する金貸しに夫の残した拳銃を持って単身乗り込む。あえなく返り討ちに遭うも、殺されるのは計算のうちで、使用者責任から五誠会二代目に罪が及ぶ事を狙ったもの。しかし、五誠会の息のかかった警察によって自殺として処理されてしまう。母の死を目にし、勇人は復讐を誓う。

勇人は、両親の敵を打つべく大輔と共に五誠会をつぶす計画を立て始める。これに同じ目的を持つ森澤が加わる。さらにこの計画に、五誠会三代目に弱みを握られ愛人となっている元アイドルの麻美も加わる。かくして仇討ちの「GONIN」(4人だけど)は結集する。森澤は、まず五誠会の裏金を奪うことを計画する。裏金が隠されているのは傘下の金貸し店。そこに大金が保管されているのとあわせて麻美の弱みがある手帳も金庫にあるとされる。見回りの警察に扮して3人は店へと向かう・・・

前作の19年後が本作であり、前作でクライマックスとなった大越組襲撃事件の子供世代が今回の中心。それぞれの思惑があって五誠会の隠し金を狙う。しかし、こういう計画というものはどこかでほころびが生じる。襲撃のタイミングでは運悪く三代目とその側近が居合わせており、何とか4億円という金の強奪に成功するが、現場には数々の証拠を残してしまう。この事態に激怒した五誠会二代目は、凄腕のヒットマンの明神を雇い、犯人探しを始める。

この明神を演じるのは竹中直人。前作で5人に加わったサラリーマンであるが、最初は生き残っていたのかと思っていたが、それなら五誠会に雇われるかと疑問に思うし、よくわからない。4億円は強奪したが、復讐は終わったわけではない。クライマックスは、前作で襲撃事件を起こした坂内が経営していたクラブ、バーズが舞台となる。派手な銃撃戦となるが、韓国映画を見慣れてしまうとどうにも迫力不足は否めないところがある。前作と比べても、タケシのすごみや竹中直人の狂気などと比べてもそれは感じられた。

遅まきながら観た続編。ストーリーはうまく練られていると思ったが、バイオレンスという観点からはスマート過ぎた感のある映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | バイオレンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月30日

【SWALLOW/スワロウ】My Cinema File 2962

スワロウ.jpg

原題: Swallow
2019年 アメリカ・フランス
監督: カーロ・ミラベラ=デイビス
出演: 
ヘイリー・ベネット:ハンター・コンラッド
オースティン・ストウェル:リッチー・コンラッド
エリザベス・マーヴェル:キャサリン・コンラッド
デヴィッド・ラッシュ:マイケル・コンラッド
ライト・ナクリ:ルアイ
デニス・オヘア:ウィリアム・アーウィン
ザブリナ・ゲバラ:アリス

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
異物を飲み込み続けることで、自分を取り戻していく女性を描くスリラー。孤独に苛(さいな)まれた主人公が、ガラス玉などを飲み込むことで、痛みと同時にこれまで感じたことのない快楽と充足感を得る。『KRISTY クリスティ』などのヘイリー・ベネットが製作総指揮と主演を務め、カーロ・ミラベラ=デイヴィスが監督と脚本を担当。『セッション』などのオースティン・ストウェル、ドラマシリーズ「HOMELAND」などのエリザベス・マーヴェルらが出演する。
********************************************************************************************************

主人公のハンターは、ニューヨーク郊外の贅沢な邸宅に引っ越し、夫リッチーと共に新生活をスタートさせる。夫は父親の経営する会社の役員を務め、ハンターはリッチで誰もが羨む生活を送っている。しかし、そんな贅沢な暮らしでも不満というものは沸いてくる。部屋のカーテンについて夫に相談しても「好きなようにしていいよ」と優しく答えてくれる。入念に夕食の準備をし、着飾って帰宅した夫を出迎えても仕事の電話に応じる夫。夫の立場から見ればやむを得ないが、ハンターには物足りなさが残る。

夫の両親やその家族らの集まりは、上流階級のエレガントな集いとなるが、ハンターには疎外感が付きまとう。話を振られたハンターが話し始めるも、そのペースにイラついたのか、父親は話を遮って話題を変えてしまう。途方に暮れたハンターの目に止まったのはキラキラと輝く氷。ハンターはそれを口に入れ、バリバリと音を立てて噛む。その場にいた家族はみな驚くが、気付いたハンターが詫びてその場は事なきを得る。

しばらくしてハンターの妊娠がわかる。周囲は大いに喜ぶ。ハンターは義母から自分が妊娠した時に読んだ本を渡される。しかし、ハンターの気は晴れない。ある日、いつものように家事をしていたハンターは、小物入れのなかに入っていたビー玉に目が留まる。そして、それを手に取り、おもむろに口の中に入れ、飲み込む。それから数日後、トイレに入ったハンターは、排泄後便器に手を入れる。取り出したのはビー玉。ハンターはそれを洗うと鏡台の上に保管する。

やがてハンターは、衝動を抑えきれず、今度は画鋲を口に入れる。舌が傷つき、一度は吐き出すものの、意を決してもう一度飲み込む。激痛に苦しむもその行動はエスカレートしていく。金属片や電池などあらゆるものを飲み込む。しまいには義母からもらった本すらも読んだページを破って口に入れる。ここに至り、『Swallow(飲み込む)』というタイトルの意味がわかってくる。鏡台の前には排泄されたものの「コレクション」が並ぶ。

やがて産院の検診で、腹に異物が入っていることが発覚する。飲み込んだものがすべてスムーズに排泄されていたわけではないのか、腹の中のから異物が次々と取り出される。ここに至り、夫らの知るところとなる。ハンターは精神疾患と診断されるが、夫は結婚前に言うべきだとハンターを責める。反省するハンターだが、夫と義父母から精神科医に通わされることになる。さらに住み込みの看護士を雇い、ハンターの手伝いをするという名目で実質的な監視役がつく。ハンターの日常生活はさらに苦しいものになっていく・・・

人間というものは、常に満足するという事ができないのだろうかとふと思う。ハンターは家族に恵まれたとは言えない環境に育ったが、どういう経緯か金持ちでハンサムな夫と結婚し、贅沢な暮らしができる誰もが羨む生活を送っている。しかし、何もしなくても良いという環境が返って心を蝕むのか、異物を飲み込むという行為に陥っていく。象徴的なのは雇われた看護師の言葉。シリアの内戦を逃れて来たという経歴のその看護師は、生きるか死ぬかという中で心の病気になる暇などなかったと言う。もっともである。

看護師からすればハンターの状況は「贅沢病」と映るのだろうが、ハンターにすれば慣れない贅沢におかしくなったという事もできるかもしれない。そしてハンターの身を案じる夫と義理の両親の対応も返って逆効果になる。自らの出自に関するトラウマもハンターの精神を蝕んでいく。そしてハンターはついにとある行動に出る。幸せ過ぎる環境が逆に働くというのも、恵まれていない人からすれば理解できないかもしれない。ハンターに批判的だった看護師が最後にハンターに同情的になったことに少し安堵する。

ラストでハンターの取った行動。それがハンターの幸せにつながったのだろうか。ハンターの幸せをちょっと願ってしまった映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | スリラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月25日

【今日も嫌がらせ弁当】My Cinema File 2961

今日も嫌がらせ弁当.jpg

2019年 日本
監督: 塚本連平
原作: Kaori(ttkk)
出演: 
篠原涼子:持丸かおり
芳根京子:持丸双葉
松井玲奈:持丸若葉
佐藤寛太:山下達雄
鳥越壮真:岡野健太郎

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
反抗期を迎えた高校生の娘に、卒業まで弁当を作り続けた母親のブログを基にしたエッセイを映画化。母親を『アンフェア』シリーズなどの篠原涼子、娘をNHKの連続テレビ小説「べっぴんさん」などの芳根京子が演じる。元SKE48の松井玲奈、劇団EXILEの佐藤寛太、『ROOKIES』シリーズなどの佐藤隆太らが共演。『レオン』、ドラマシリーズ 『特命係長 只野仁 』などの演出を務めた塚本連平がメガホンを取った。
********************************************************************************************************

物語の舞台は自然豊かな東京・八丈島。主人公は持丸かおり。夫と2人の娘の4人家族である。末娘の双葉は「大きくなったらママと結婚する」「ママとレストランをやる」と無邪気に話す。しかしその幸せな暮らしは長くは続かず、夫が交通事故で亡くなってしまう。以来、12年。かおりは女手ひとつで仕事を掛け持ちしながら、2人の娘を大切に育てている。

長女の若葉は、高校卒業後、家を出て仕事をしながら一人暮らしをしている。双葉は高校1年になろうとしているが、反抗期真っ只中で、母かおりとはロクに口も利かない状態である。朝、寝起きの悪い双葉をかおりは何度も起こすが「おはよう」の挨拶もない。お弁当を渡してもお礼もなく、目と鼻の先にいても要件はアプリで伝える始末である。反抗期だと頭ではわかっているがそのままにもしておけない。何かいい方法はないか考えたかおりはいいことを思いつく。

双葉の高校入学初日、かおりは双葉に嫌な態度を改めるまであなたが嫌がることをすると宣言する。双葉がその意味を理解したのは昼食時。双葉が弁当箱を開くとそれは見事なキャラ弁。あまりにもかわいいその弁当を同級生に見られて恥ずかしがる双葉。帰宅した双葉は弁当の文句をかおりにぶつけるが、弁当自体は完食。文句の言葉ではあったが、久しぶりの双葉との会話にかおりは喜ぶ。

こうしてかおりは双葉に毎朝嫌がらせのキャラ弁を作る。これがこの映画のタイトルのゆえん。何と実話(ブログ)を基にしたものらしい。見事狙い通りとなったものの、毎日の弁当のネタを考えるのは大変。仕事を終えた後、寝る間を惜しんであれこれとキャラ弁を作る。広告(芸人“スギちゃん”)や映画(『リング』の“貞子”)など、目につくあらゆるものからネタをひねり出す。次第に同級生の間で双葉のキャラ弁は注目されるようになる。

毎日の嫌がらせ弁当にうんざりしていた双葉だったが、周囲に弁当が注目されることによって、密かに思いを寄せる幼馴染の山下達雄との会話のきっかけになるというメリットもあった。そこは高校生の清らかな思いである。しかし、3ヶ月もするとさすがにネタ切れしてしまう。かおりは若葉にアイディアを求め、「メッセージはどうか」とアドバイスを受ける。翌日、双葉がお弁当を開けると“皿は片せや”とメッセージが書かれている。メッセージの内容はたちまち先生や同級生に知れ渡る。

どこまで実話通りなのかはわからないが、メッセージは双葉に効果的で、その日の夕食後、双葉はいつもと違い、食べ終えた食器を流しに持っていく。言葉で言ってもおそらく聞き流されるだけであっただろうし、このメッセージのアイディアはなかなか面白い。そしてかおりは毎日苦労して作っているキャラ弁をブログにアップすることにする。やがて徐々にブログの読者は増えていき、いつしか人気のブログとなっていく。そしてそのブログをシングルファーザーの岡野信介が読む。

岡野は妻を病気で亡くし、保育園に通う息子・健太郎と2人暮らし。冷凍食品を詰めて弁当を持たせているが、健太郎は友達の持ってくるキャラ弁を羨む。何とかしたいと思い、ネットでキャラ弁について検索し、かおりのブログに行きついたという次第である。ブログを参考にして試行錯誤するが、実際に作るとうまくできない。そこで岡野は、かおりにメッセージを送り助けを求める。丁寧な文面のメッセージに好感を持ったかおりは岡野に弁当作りを教えることになる・・・

実話ブログを基にしているとは言え、そこは映画であり、演出は入っているだろう。キャラ弁と言えば、我が家も子供たちが幼稚園の頃は妻が作っていた。高校生にもなるとさすがに恥ずかしい。反抗期の娘に手を焼いた母親が、その高校生の娘に嫌がらせでキャラ弁を作るという展開がなかなかユニークである。親の心子知らず。「ママと結婚する」と言っていた娘もいつの間にか自我が目覚め、親は戸惑う。主人公の他にもシングルファーザーの岡野が出てきて、別のシングルファミリーが描かれる。

映画はハッピーエンドに終わるのだが、そんな親の物語が心温かく描かれる。篠原涼子もいつの間にかお母さん役に違和感がなくなっている。卒業の日の最後のお弁当は過剰演出であるが(普通卒業式当日にお弁当はないと思うが・・・)、まぁご愛敬だろう。いかにも日本映画らしいほのぼのとした映画である・・・


評価:★★☆☆☆










posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月24日

【マイスモールランド】My Cinema File 2960

マイスモールランド.jpg
 
2022年 日本・フランス
監督: 川和田恵真
出演: 
嵐莉菜:チョーラク・サーリャ
奥平大兼:崎山聡太
アラシ・カーフィザデー:チョーラク・マズルム
リリ・カーフィザデー:チョーラク・アーリン
リオン・カーフィザデー:チョーラク・ロビン
サヘル・ローズ:ロナヒ
藤井隆:太田武
池脇千鶴:崎山のり子
平泉成:山中誠

<MOVIE WALKER PRESS解説>
********************************************************************************************************
差別や迫害から故郷を逃れ日本で育ったクルド人少女を描き、第72回ベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞・特別表彰を授与された人間ドラマ。クルド人サーリャは同世代の日本人と同様にごく普通の高校生活を送っていたが、ある日突然在留資格を失い……。監督は、早稲田大学在学中に制作した「circle」が東京学生映画祭準グランプリに輝き、是枝裕和監督率いる映像制作者集団『分福』に所属する川和田恵真。サーリャを5カ国のマルチルーツを持つモデルの嵐莉菜が演じ、難民として認められた例がこれまでないに等しくいつ強制退去させられるかわからない在日クルド人の葛藤を映し出す。
********************************************************************************************************

いきなり結婚式のシーンで映画は始まる。言葉は英語でもフランス語でもドイツ語でもロシア語でもない。次はあなたねと言われて戸惑う若い女性。シーンは一転してバスの中。しかも「川口」というアナウンスが流れる日本のバスである。乗っているのは、結婚式に出席していた若い女性とその父親。どうやらその女性サーリャは、日本に住んでいるようである。翌朝、出勤する父親を見送りつつ、掌の赤い印を消そうとするがなかなか消えない。その印は結婚式での伝統のようである。

自転車で高校に通うサーリャ。同級生たちと流ちょうな日本語で話す。学校が終わるとコンビニに行き、そこでバイトに勤しむ。顔立ちは外国人であるが、サーリャは際立った美形であり、雇い主の店長も鼻の下が長くなる。お客さんに「日本語がお上手」と言われる。お客さんは親切心からの言葉であるのは間違いないが、なぜだろうかそれを聞いていてどこかよそ者的な違和感を感じさせる。「出身は?」と問われて「ドイツ」と答えるサーリャ。コンビニで共にバイトする崎山は何気なく親切に振る舞う。

家に帰ったサーリャは食事の支度をする。家族は父マズルム、妹アーリン、弟ロビンとの4人暮らし。お祈りを捧げ、食事は床に広げた皿から手づかみで食べる。何となくイスラム系の感じがする。実はサーリャたちはクルド人である。日本人にはあまり馴染みがない。トルコとかイラクとかにまたがっていて、「国家を持たない最大の民族」と言われているのは知っているが、日本にいるクルド人に視点を当てたというのが興味深い。

サーリャも進路を決める時期に来ている。そんな時、弟ロビンが学校で馴染めていないと担任から伝えられる。会話の中からサーリャは小学生時代、日本語がまだできずにいじめられた過去があるという事がわかる。そのついでに会った恩師にサーリャは自分も小学校の先生になりたいという夢を語る。そんなサーリャの家族の生活が描かれていく。そこに暗雲が漂う。実はサーリャたちチョーラク一家は、難民申請をしていたが、出入国在留管理局から申請が不認定となったと告げられる。

このあたりの事情はまったく知らなかったが、難民申請が不認定となると、在留資格を失い“仮放免”という状態になるらしい。この状態では就労もできず、許可なしでは居住区である埼玉県から出られなくなる。父マズルムは解体業に従事して生活費を稼いでいるが、就労を禁止されると収入がなくなり暮らしていけなくなる。サーリャも橋を渡って東京都にアルバイトに行っていたが、不法就労になるとバイトを解雇される。そうなると進学どころではない。さらに運の悪い事に、仕事中に父マズルムが職務質問を受け、不法就労で拘束されてしまう。

サーリャが暮らす地域には、クルド人のコミュニティができている。日本語ができるサーリャはできない人たちに代わって様々な雑事を引き受けている。バイト先の崎山はサーリャに好意を持ち、サーリャも同様に思う。プラトニックな交流が交わされるが、難民申請が取り消されたことで、それらのものが音を立てて崩れていく。収入が途絶えた事で家賃の支払いが滞り、大家には退去を迫られる。とても高校生のサーリャには担いきれない現実がのしかかる。事情を知らない弟ロビンの無邪気さが何とも言えない。

我が国は難民をなかなか認めていない。何となくそれは知っているが、現実的にどういう問題があってそうなのか、詳しくはわからない。ただ、この映画に描かれているクルド人たちの様子を見れば、もう少し柔軟に愛のある対応があってもいいように思う。一方で、悪意的なクルド人が集団で問題を起こし、日本の左翼勢力がそれを利用して騒いでいる現実もあり、一方的に国を責めるのも不適切であるようである。なかなか難しい問題ではある。

主人公のサーリャは、何よりも目を見張る美形であり、それだけでも観る価値はある。演じる嵐莉菜はモデルだそうであるが、今後も出演作を観たいと思わされる。そんな美形のサーリャが追い詰められて流す涙には心に切なく伝わるものがある。国としていろいろと問題はあるのだろうが、もっと1人1人の事情を汲んだ対応はできないものかと思わざるを得ない。そそんな問題の存在にスポットライトを当てたという意味では、この映画の意義は大きい。サーリャの幸せを心から願ってしまう映画である・・・


評価:★★★☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月18日

【シビル・ウォー アメリカ最後の日】My Cinema File 2959

シビル・ウォー アメリカ最後の日.jpg

原題: Civil War
2024年 アメリカ
監督: アレックス・ガーランド
出演: 
キルステン・ダンスト:リー・スミス
ワグネル・モウラ:ジョエル
ケイリー・スピーニー:ジェシー・カレン
スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン:サミー
ソノヤ・ミズノ:アニャ
ニック・オファーマン:大統領

<映画.com>
********************************************************************************************************
『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランドが監督・脚本を手がけ、内戦の勃発により戦場と化した近未来のアメリカを舞台に、最前線を取材するジャーナリストたちを主人公に圧倒的没入感で描いたアクションスリラー。
連邦政府から19の州が離脱したアメリカでは、テキサス州とカリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。就任3期目に突入した権威主義的な大統領は勝利が近いことをテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。戦場カメラマンのリーをはじめとする4人のジャーナリストは、14カ月にわたって一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うべく、ニューヨークからホワイトハウスを目指して旅に出る。彼らは戦場と化した道を進むなかで、内戦の恐怖と狂気を目の当たりにしていく。
出演は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のキルステン・ダンスト、テレビドラマ「ナルコス」のワグネル・モウラ、『DUNE デューン 砂の惑星』のスティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、「プリシラ」のケイリー・スピーニー。
********************************************************************************************************

物語は内戦に陥ったアメリカを描いて始まる。連邦政府から19の州が離脱し、政府軍とテキサス州とカリフォルニア州による西部軍(WF=Western Forces)との間で内戦になっている。大統領は強気の演説を繰り返すが、もはやワシントンD.C.の陥落は目前に迫っている。戦場カメラマンのリーはとある現場で取材している。給水車に群がる人たち。気づくとカメラを手にした若い女性が無防備に立っており、リーは自分の「ブレス」と書かれたビブスを渡す。その時、現場で自爆テロが起きる。

かろうじて難を逃れたリー。宿泊しているホテルでジャーナリストのジョエルと、厳戒な警備網を潜り抜けて大統領にインタビューしようと計画する。大統領は既にメディアの取材に14か月間答えていない。既に3期目の任期に突入し、FBIを解散させている。詳しくは描かれていないがこのあたりが内戦の理由と関係しているのかもしれない。話を聞いたニューヨーク・タイムズのベテラン記者サミーも同行を申し出る。そこにリーが助けた若い女性カメラマンのジェシーが現れる。リーの反対を押し切り、ジョエルとサミーは、ジェシーを車に乗せる。

一路ホワイトハウスへと向かう4人。途中、政府軍とWFとの交戦があり、銃弾の飛び交う中を取材するリーたち。WFは政府軍を鎮圧するも、降伏した政府軍兵士を射殺する。米軍らしからぬ行為である。果たしてどちらに正義があるのかわからない。米国内の移動であるが、出会う人たちが敵味方か判別できない。ガソリンスタンドに寄った一行だが、そこにいる武装した集団との交流は緊張感に包まれる。裏の空き地では痛めつけられて瀕死の男が吊り下げられている。

この映画では視点は主人公のリーに合わされている。そして政府軍、WFのどちらに正義があるかという事は明確ではない。大統領は現行憲法では禁止されている3期目に入っていて、さらにFBIを廃止するなど独裁色を強めている。それに抵抗するWFは降伏した政府軍兵士を射殺するなどモラルが欠如しており、どちらか曖昧な武装勢力が各地に跋扈している。道中、記者仲間が理不尽な物言いをつけられて射殺されるのも一例である。非武装の記者だからといって安全ではない。

そんな内戦が現実的かと問われると、現在のトランプ大統領の再選が実現し、またまた大胆な発言を見ると、3期目を目指すというのもあながちあり得ない事ではない。中国では習近平が憲法を改正して3期目であるし、そうした「あり得そうな近未来」と言えなくもない。ひょっとしたらこの映画の制作の背後にはトランプ大統領に対する警戒感があるのではないかと思ってしまうくらいである。内戦と言っても、映画では激しい戦闘シーンはラストのホワイトハウスを巡る攻防戦以外ほとんど出てこない。

そんな内戦の行方を追う一方、映画は若いカメラマンのジェシーの成長を追う。リーに憧れていたと言い、時に無謀とも思える行動を取り、リーの教えを受けながら成長していく。ラストのホワイトハウスでの行動はその成長の表れでもある。そんなジャーナリストの姿を見ると、そこには本物のジャーナリズムがあるように思う。それに比べると、我が国に本物のジャーナリズムが果たしてあるのかと思えてならない。そんな事をつらつらと考えさせられるところがある。特に集大成となるクライマックスのホワイトハウスでの攻防戦は実に見応えがある。繰り返すが、どちらに正義があるというものでもない。

映画は表現が自由であり、ありうべき近未来、ありそうもない近未来のいずれも表現可能である。ただそこに実現可能性があれば、表面的なストーリーの流れとは別に深く考えさせられるものがある。観ながら感じたが、アメリカの地理にもう少し明るければ、違う楽しみ方もできたかもしれない。決して絵空事ではない「起こりえる近未来」であるが、「起こってほしくない近未来」でもある。エンディングでホワイトハウスを陥落させた兵士たちの笑顔の写真にも深く考えさせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月17日

【復讐するは我にあり】My Cinema File 2958

復讐するは我にあり.jpg
 
1979年 日本
監督: 今村昌平
出演: 
緒形拳:榎津巌
三國連太郎:榎津鎮雄
ミヤコ蝶々:榎津かよ
倍賞美津子:榎津加津子
小川真由美:浅野ハル
清川虹子:浅野ひさ乃

<映画.com>
********************************************************************************************************
九州、浜松、東京で五人を殺し、詐欺と女性関係を繰り返した主人公の生いたちから死刑執行までを辿る。昭和五十年下期の直木賞を受賞した佐木隆三の同名の原作の映画化で、脚本は「ギャンブル一家 チト度が過ぎる」の馬場当、監督は「にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活」の今村昌平、撮影は「野性の証明」の姫田真佐久がそれぞれ担当。
********************************************************************************************************
タイトルとともに観た記憶だけは残っていて、緒形拳が出演していた事と残酷だった事が印象に残っている。既に映画を趣味と認識していた中学生の頃の作品だが、改めて観たくなって鑑賞にいたるもの。

古めかしいパトカーである男が護送されるシーンから物語は始まる。時に昭和39年。5人を殺害した容疑で逮捕され、パトカーで護送されるのは榎津巌。余裕しゃくしゃくの態度で脇を固める刑事と話をする。そして逮捕されるまでの78日間の逃亡が振り返る形で描かれていく。初めの事件は昭和38年10月。榎津巌は顔見知りだったのだろう、専売公社の職員2人が乗るトラックに同乗する。集金を終えた1人をとあるところへと誘う。

てっきり一杯と勘違いした男は榎津について行くが、人気のない畑の一角に来ると、榎津は突然金槌を振り上げて襲う。さらに激しい抵抗に遭うと、千枚通しでとどめをさす。金を奪ってトラックに戻ると、再び残る1人を騙して人気のないトンネル内で襲い掛かる。殺された者は娘がいるからと命乞いをするが榎津は容赦しない。金だけを目当てとした実に残虐な行為である。返り血をぬぐうとラジオを購入して身を隠す。

警察は早々に榎津の身元を特定し、全国に指名手配するとともに実家にも向かう。榎津の実家は温泉旅館を経営しており、父と母と榎津の妻がいる。長崎出身の父親鎮雄はクリスチャンで、そこから巌の過去が描かれる。漁師をしていた父に軍は戦争協力で漁船を供出しろと命じる。しかし、他の漁師ではなくクリスチャンであるがゆえに自分への供出命令であると抵抗する父。横柄な軍人に巌は無謀にも殴りかかる。もともとの気性なのか、巌は少年院を出たり入ったりして成人する。

そして詳しい経緯はわからないが、知り合って関係ができた加津子が実家に押しかけてくる形で結婚する。それも見合いの当日であり、巌は女癖も悪かった(モテたとも言える)ようである。そして常習的に刑務所に入る巌だが、父鎮雄と加津子の関係を疑う。それも無理からぬところで、加津子は父鎭雄に好意を抱いており、巌に愛想をつかして家を出たものの、迎えに来た鎭雄にほだされて戻るのである。鎭雄が入る風呂に入っていく加津子の行為はなかなか大胆である。この時代、倍賞美津子のヌードは話題になったのではないかと思ってみたりする。家族の中で、唯一巌に優しかったのは、体の弱い母のかよだけであった。

逃亡しながら犯罪を繰り返す巌と父鎭雄を慕う妻加津子、そしてクリスチャンであるがゆえに加津子の好意から必死に逃げる父鎭雄を物語は描いていく。弁護士や大学教授と巧みに身分を偽って身を隠す巌。その犯行はとどまるところを知らない。宇高連絡船の甲板で遺書と靴を残し自殺を偽装し、言葉巧みに詐欺で逃亡資金を稼ぎ、旅館に身を隠す。手配書が出回る中、金と女を巧みに手に入れて逃亡生活を送る巌。

ストーリーもさることながら、60年前の(映画が作られた年としても45年前)の日本の様子も興味深い。浜松ではタクシーの運転手の案内で、とある旅館に行く。「女がいるところ」というリクエストであり、運転手も心得たものでそこに案内する。案内されたのは普通の旅館であるが、女将がしかるべきところに連絡して、女の子を呼ぶのである。そこも女将は若い男とできていたり、同居している女将の母親は覗きの常習犯であり、なかなかの強者揃いである。警官が手配書持って巡回しているのも時代的か。それでも巌は東京に出ては詐欺と殺人を繰り返す。

観終わってみれば、なぜタイトルが「復讐するは我にあり」だったのかよくわからない。実話をベースにしているというが、女にもてて、口がうまく、稀代の犯罪者だったのだろう。それにしても、ストーリーとは別のところで、父鎮雄と妻の加津子のサイドストーリーの方が妙に気になってしまった。巌は当然ながら死刑となる。殺された人たちの事を思えば何とも後味が悪い。それにしても映画としては、やっぱりインパクトの強い映画だと改めて思える一作である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 実話ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月12日

【アイアンクロー】My Cinema File 2957

アイアンクロー.jpg
原題: The Iron Claw
2023年 アメリカ
監督: ショーン・ダーキン
出演: 
ザック・エフロン:ケビン・フォン・エリック
ジェレミー・アレン・ホワイト:ケリー・フォン・エリック
ハリス・ディキンソン:デビッド・フォン・エリック
モーラ・ティアニー:ドリス・フォン・エリック
スタンリー・シモンズ:マイク・フォン・エリック
ホルト・マッキャラニー:フリッツ・フォン・エリック
リリー・ジェームズ:パム
マイケル・J・ハーネイ:ビル・マーサ―

<映画.com>
********************************************************************************************************
日本でもジャイアント馬場やアントニオ猪木らと激闘を繰り広げ、鉄の爪=アイアンクローを得意技としたアメリカの伝説的なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、プロレスの道を歩むことになった兄弟の実話をベースに描いたドラマ。
1980年代初頭、元AWA世界ヘビー級王者のフリッツ・フォン・エリックに育てられたケビン、デビッド、ケリー、マイクの兄弟は、父の教えに従いプロレスラーとしてデビューし、プロレス界の頂点を目指していた。しかし、世界ヘビー級王座戦への指名を受けた三男のデビッドが、日本でのプロレスツアー中に急死したことを皮切りに、フォン・エリック家は次々と悲劇に見舞われ、いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになっていく。
次男ケビン役をザック・エフロンが務め、三男デビッド役を「逆転のトライアングル」のハリス・ディキンソン、四男ケリー役を配信ドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」で第80回ゴールデングローブ賞主演男優賞(テレビ部門ミュージカル・コメディシリーズ)を受賞したジェレミー・アレン・ホワイトがそれぞれ演じた。米プロレス団体AEWのマクスウェル・ジェイコブ・フリードマンが製作総指揮、元WWE王者のチャボ・ゲレロ・Jr.がプロレスシーンのコーディネーターを務め、それぞれレスラー役で劇中にも登場。監督は「不都合な理想の夫婦」のショーン・ダーキン。
********************************************************************************************************
「アイアン・クロー」と言えば、「鉄の爪」=フリッツ・フォン・エリックとオールドファンならすぐに思い浮かぶ。そんなタイトルを見れば、プロレスファンとしては観ないわけにはいかない。しかし、タイトルにもかかわらず、内容はフリッツ・フォン・エリックというよりもその息子たちの物語である。父フリッツは、プロレスラーとしてはかろうじて冒頭のモノクロでのみ試合シーンが出てくるだけで、あとは父親としての姿のみである。

フリッツ家の長男は幼い頃に亡くなっており、次男ケビンが実質的な長男でこの物語の主人公。弟の三男デビッドとともにリングに立つ。当時はまだNWAが世界の権威として君臨している。ケビンもデビッドもNWA世界チャンピオンになるのがその大きな目標。父親でさえ果たせなかった目標である。地元でそれなりの人気を博した2人だが、ある試合の後、1人の女性がケビンにサインをもらい、モーションをかける。なかなか積極的だ。この女性パムはやがてケビンと結婚することになる。

ケビンとデビッドは、兄弟ながら性格が違う。ケビンは黙々とトレーニングし、試合でも堅実に振る舞うが、デビッドは社交的でマイク・パフォーマンスもうまい。父フリッツは、レスラーとしては2人を差別せず、逆に競わせる。そしてその結果、NWA世界チャンピオンへの挑戦権をつかんだのはデビッド。兄としては弟に抜かれるわけであり、心中穏やかならぬものがあるが、そこは勝負の世界。父親としても冷徹に判断している。

一方、フリッツ家の兄弟は全部で6人。しかし、映画で描かれるのは夭折した長男を除いた4人。残る三男ケリーも四男マイクもともにプロレスデビューする。ケリーは円盤投げで活躍していたが、アメリカのオリンピックボイコットで梯子を外される。マイクは音楽をやっていたが、プロレスラーに転身する。映画では詳しく描かれていなかったが、父親のフリッツがやらせたのだろう。映画の中で息子たちは、父親に「イエス・サー」と答えており、父親が絶対の存在だったように伺える。

エリック一家は「呪われた一家」と噂されている。その最初の出来事がNWA世界チャンピオンへの挑戦権をつかんだデビッド。ケビンとパムの結婚式の裏でトイレで吐くデビッド。詳しくはわからないが、筋肉増強剤の影響なのだろうか。そしてデビッドは全日本プロレスに参戦するため、日本に行く。ところがホテルで急死してしまう。当時、これはニュースにもなり、ショックを受けた記憶がある。

代わりに挑戦権を得たのは三男のケリー。そしてケリーはリック・フレアーを破って一家念願のNWA世界王者となる。ところが、このケリーはバイク事故を起こして足首切断の致命的な怪我を負ってしまう。事故で怪我をしたのは知っていたが、足を切断したのは知らなかった。それでも義足をつけてリングに立ち続けていたのは凄いことである。個人的には4兄弟のうち、一番カッコ良かったのはケリーであった。映画ではちょっと背が低かったが・・・

プロレス映画であり、プロレスシーンもこの映画の見どころの1つ。リック・フレアーやハリーレイスなどのNWA世界チャンピオンやブルーザー・ブロディ(これも演じる役者さんは似ていたが背が低かった)なども登場して、しかもみんなそれっぽくて試合シーンも迫力がある。試合前に互いに試合の流れを打ち合わせするシーンもあり、実にリアルに再現している。映画はそんな中で、ケビンの苦悩を描いていく。そしてケリーもマイクも自ら命を絶ってしまう。

一家の呪いは一体どこから始まっていたのだろう。何となくそれは父フリッツに起因しているように思える。絶対家長として君臨し、父親に逆らえない雰囲気がある。エリック家に生まれなければ、ケビンを除いてみんな早世してしまう事もなかったのではないだろうか。なぜ、映画化されたのがエリック一家だったのかはわからないが、オールド・ファンには懐かしく、そして知られざる舞台裏を知ることができて、興味深い一作である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 実話ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする